【実施例1】
【0017】
本発明の実施例1を
図1乃至
図3によって説明する。なお、
図1は、本発明の撹拌装置の説明用斜視図であり、
図2は、本発明の撹拌装置を模式図として表した説明縦断側面図であり、
図3は、本発明の撹拌装置のフローパターンを、接続用棒を省略した模式図として表した説明縦断側面図である。
【0018】
1は、本実施例1の撹拌装置、2は、該撹拌装置1の円筒状の撹拌槽、3は、回転駆動軸4に装着された撹拌翼本体、5は、被接続体6が接続される接続用軸を示す。
【0019】
前記撹拌翼本体3は、例えば、間隔を存して並列する2本の支柱3a、3aからなる回転軸と、該支柱3aの外側に多段に固定された傾斜羽根3bと、該支柱3a、3aの上端部を連結して固定したブラケット3cと、該支柱3a、3aの下端に設けた底面翼3dとからなり、該撹拌翼本体3は、前記ブラケット3cの中間部に固定した前記回転駆動軸4により撹拌槽2内に垂設され、前記底面翼3dが前記撹拌槽2の底面に近接するように保持されている。なお、前記支柱3aは、3本以上であってもよい。
【0020】
また、前記傾斜羽根3bは、例えば、平板状で、撹拌翼本体3の翼外径と撹拌槽2の内壁との隙間ができるだけ少なくなるよう該傾斜羽根3bの外側縁を該撹拌槽2の内周面に近接している。
【0021】
また、傾斜羽根3bの傾斜角度は水平面に対し15°乃至45°で、傾斜羽根3bの幅は前記翼外径の15%乃至25%であることが好ましく、多段に配列された該傾斜羽根3bの間隔は、水平に見て少し重なり合う程度としたので、撹拌液が撹拌翼本体3と共回り状態とならない。
【0022】
前記支柱3aの太さも、強度上から許される最小の太さとして、撹拌液が撹拌翼本体3と共回り状態となるのを防いでいる。
【0023】
前記底面翼3dは、例えば、平板を折り曲げた構造で、その下端が前記撹拌槽2の底面の形状に沿った形状とし、前記傾斜羽根3bの後方に垂直部3eを設けている。中心部では流れがあまり強くないので、垂直部の高さを低くして流れの停滞を防止している。
【0024】
前記接続用軸5は、例えば、下端に、前記被接続体6を、前記撹拌翼本体3の回転中心付近の所望の場所に位置させるための接続部5aを有する直線状の棒体からなる。そして、該接続用軸4は、例えば、中空に形成された前記回転駆動軸4内を貫通して、その下端の接続部5aが、前記槽内の液体中の所望の場所に位置するように垂設される。
【0025】
なお、前記撹拌翼本体3の回転中心付近とは、液体中の前記支柱3a、3a、前記ブラケット3c、前記底面翼3d間であり、特に、
図3の斜線で表された範囲Dに示すように、槽中間部から液面下付近の間が好ましい。
【0026】
また、前記接続用軸5は、図示しない回転駆動装置により、該軸5の軸回りに回転自在に設けられている。
【0027】
また、前記接続用軸5は、図示しない上下動装置により、該軸5の軸方向に沿って上下動自在に設けられている。
【0028】
なお、前記接続用軸5に接続される被接続体6は、前記撹拌槽内の所望の場所に位置するように挿入されて様々な処理を行うあらゆる物が該当し、例えば、撹拌槽内の液体を加熱、冷却する熱源がある。
【0029】
また、該被接続体6としては、例えば、撹拌槽内の液体内に撹拌される触媒粒子や添加物などの撹拌対象物を収納した収納体がある。かかる収納体は、例えば、複数の微細孔を有し、該微細孔から、収納した前記撹拌対象物が所望の時間をかけて撹拌槽内に供給されるようになる。
【0030】
また、該被接続体6としては、例えば、多数の触媒粒子や添加物などを、例えば成形機などでプレスして所望の形状に形成した撹拌対象物がある。かかる撹拌対象物は、所望の時間をかけて徐々に、該所望の形状に形成された撹拌対象物の外周部分が剥がれて、前記触媒粒子や添加物などが触媒槽内に供給され、撹拌されるようになる。
【0031】
また、該被接続体6としては、例えば、槽内の液体に常時接触させて槽内の液体の反応を促す触媒や、槽内で成長させる結晶などがある。
【0032】
また、該被接続体6として、翼があり、低粘度液を撹拌する場合に、混合性能を高めることができるようになる。
【0033】
なお、
図2においてLは撹拌液の上面を示し、該上面が一番高い場合でも傾斜羽根の上部が該上面から突出するように該傾斜羽根を多段にしてある。
【0034】
次に本発明の第1実施例の作用及び効果について説明する。
【0035】
本発明の撹拌翼本体3を回転駆動軸4により
図1で示すA矢印の方向に回転させると、
図3に示すように、傾斜羽根3bの作用により該傾斜羽根3b間の液体は下方向流となり、最下段でかき下げられた液体は中心方向へ押し出される流れとなり、中心部でその流れは、底面翼3dの垂直部3eにより、効率よく上昇流となり、槽中心部には、極めて一様な上昇流が形成されるようになる。
【0036】
そして、この極めて一様な上昇流中の所望の場所に前記被接続体6を位置させることにより、従来では難しかった、槽内の液体の熱交換や撹拌対象物の添加などの様々な処理を非常に効果的にできるようになった。
【0037】
また、前記被接続体を、回転、及び/又は、上下動させることにより、更に、様々な処理を効果的に行えるようになった。
【0038】
即ち、前記被接続体6が、例えば、熱源であれば、極めて一様に流れる液体を加熱・冷却することになるので、良好に液体を加熱することができると共に、前記撹拌槽内の液体の加熱、冷却の調整が容易になり、また、槽内の液体の状態把握、解析が容易になる。
【0039】
また、前記熱源の位置を、回転、及び/又は、上下動させて、該熱源の位置を自由にコントロールすることにより、槽内を更に、効果的に加熱、冷却できるようになる。
【0040】
また、被接続体6が、例えば、撹拌対象物を収納した収納体であれば、極めて一様に流れる液体に撹拌対象物を供給し撹拌させることができるので、良好に液体に被撹拌物を添加できると共に、流れる液体に加える被撹拌物量の微調整が容易となり、また、槽内の液体の状態把握、解析が容易になる。
【0041】
また、前記収納体の位置を、回転、及び/又は、上下動させて、該収納体の位置を自由にコントロールすることにより、流れる液体に更に、効果的に被撹拌物を添加できるようになる。
【0042】
また、被接続体6が、多数の触媒粒子や添加物などを、例えば成形機などでプレスして所望の形状に形成した撹拌対象物あれば、前記と同様に、極めて一様に流れる液体に撹拌対象物を供給し撹拌させることができるので、良好に液体に被撹拌物を添加できると共に、流れる液体に加える被撹拌物量の微調整が容易となり、また、槽内の液体の状態把握、解析が容易になる。
【0043】
また、前記撹拌対象物の位置を、回転、及び/又は、上下動させて、該撹拌対象物の位置を自由にコントロールすることにより、所望の形状の撹拌対象物を、所望の形状に変化させながら液体中に接触させることができるので、該撹拌対象物の状態把握、解析なども容易になる。
【0044】
また、被接続体6が、結晶であれば、この結晶も前記と同様に、極めて一様に流れる液体を作用させることができるので、結晶の育成が良好になる。
【0045】
また、該結晶の位置を、回転、及び/又は、上下動させて、該結晶の位置を自由にコントロールすることにより、育成に必要な流体作用の微調整も可能となる。
【0046】
また、被接続体6が、翼であれば、バッフル効果を働かせることができ、低粘度から高粘度液までの良好な撹拌ができるようになる。
【0047】
また、該翼を、前記回転駆動軸と独立して、回転、及び/又は、上下動させて、該翼を自由にコントロールすることにより、更に効果的に混合性能を上げることができるようになる。
【0048】
なお、前記所望の場所とは、例えば、前記ブラケット3c、前記底面翼3d間の、前記撹拌翼本体3の回転軸線上などがある。
【0049】
なお、本実施例では、撹拌翼本体3の回転方向を前記傾斜羽根3bが液体をかき下げる方向としたが、これは該傾斜羽根3bが液体をかき上げる方向に該撹拌翼本体3を回転させてもよい。