【文献】
Figge, Axel et al.,Synthesis and resolution of 2-(2-diphenylphosphinyl-naphthalen-1-yl)-1-isopropyl-1H-benzoimidazole; a new atropisomeric P,N-chelating ligand for asymmetric catalysis,Tetrahedron: Asymmetry,2002年,13(2),pp. 137-144
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0015】
下記の式を有するヘテロレプティックイリジウム錯体を含む化合物が提供される。
【化2】
R
1、R
2、R
3、及びR
4は、モノ−、ジ−、トリ−又はテトラ置換を表し、R
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。R
1、R
2、R
3、及びR
4は、縮合していてもよい。Xは、CRR’、SiRR’、C=O、N−R、B−R、O、S、SO、SO
2、及びSeからなる群から選択される。R及びR’は、それぞれ独立して、直鎖アルキル、分岐アルキル、及びアリールからなる群から選択される。nは、1又は2である。
【0016】
1つの態様においては、前記化合物は、下記の式を有する。
【化0】
R
6は、モノ−、ジ−、トリ−又はテトラ置換を表し、R
6は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。R
6は、縮合していてもよいし、更に置換されていてもよい。
【0017】
1つの態様においては、nは2である。他の態様においては、nは1である。
【0018】
1つの態様においては、Xは、O及びSからなる群から選択される。他の態様においては、XはOである。他の態様においては、XはSである。
【0019】
1つの態様においては、R
5は、アリール又は置換アリールである。他の態様においては、R
5はアルキルである。1つの態様においては、R
5は2,6−二置換アリールである。1つの態様においては、R
5は下記の基である。
【化3】
【0020】
1つの態様においては、R
2、R
3、及びR
4は、それぞれ独立して、水素及びアルキルからなる群から選択され、R
2、R
3、及びR
4の少なくとも1つはアルキルである。
【0021】
1つの態様においては、R
3はアリール又はヘテロアリールである。他の態様においては、R
3はフェニル又は置換フェニルである。1つの態様においては、R
6、R
2、及びR
4は水素である。
【0022】
具体的且つ非限定的な化合物を示す。1つの態様においては、前記化合物は、化合物1〜化合物80からなる群から選択される。他の態様においては、前記化合物は、化合物81〜化合物156からなる群から選択される。
【0023】
第1のデバイスも提供される。第1のデバイスは、有機発光デバイスを含み、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置された、下記の式を有する化合物を含む有機層とを更に含む。
【化4】
R
1、R
2、R
3、及びR
4は、モノ−、ジ−、トリ−又はテトラ置換を表し、R
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。R
1、R
2、R
3、及びR
4は、縮合していてもよいし、置換されていてもよい。Xは、CRR’、SiRR’、C=O、N−R、B−R、O、S、SO、SO
2、及びSeからなる群から選択される。R及びR’は、それぞれ独立して、直鎖アルキル、分岐アルキル、及びアリールからなる群から選択される。nは、1又は2である。
【0024】
1つの態様においては、前記有機層は発光層であり、式Iの化合物は発光ドーパントである。1つの態様においては、前記有機層はホストを更に含む。
【0025】
1つの態様においては、前記ホストは、ベンゾ縮合チオフェン又はベンゾ縮合フランを含むトリフェニレンを含み、ホスト中の置換基は、C
nH
2n+1、OC
nH
2n+1、OAr
1、N(C
nH
2n+1)
2、N(Ar
1)(Ar
2)、CH=CH−C
nH
2n+1、C≡CHC
nH
2n+1、Ar
1、Ar
1−Ar
2、及びC
nH
2n−Ar
1からなる群から独立して選択される非縮合置換基であるか、又は無置換である。Ar
1及びAr
2は、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、トリフェニレン、カルバゾール、及びそれらのヘテロ芳香族アナログからなる群から独立して選択され、nは1から10である。
【0026】
1つの態様においては、前記ホストは、下記の式を有する。
【化5】
【0027】
1つの態様においては、前記ホストは金属錯体である。
【0028】
1つの態様においては、第1のデバイスは、消費者製品である。他の態様においては、第1のデバイスは、有機発光デバイスである。
【0029】
1つの態様においては、第1のデバイスは、400nm〜500nmのピーク波長を有する第2の発光ドーパントを更に含む。他の態様においては、第2の発光ドーパントは、蛍光発光体である。他の態様においては、第2の発光ドーパントは、リン光発光体である。
【0030】
1つの態様においては、第1のデバイスは、照明パネルを含む。
【0031】
他の態様においては、第1のデバイスは、式Iの化合物を含む第1の有機発光デバイス、及び前記第1の有機発光デバイスとは別の、400nm〜500nmのピーク波長を有する発光ドーパントを含む第2の発光デバイスを更に含む。
【0032】
他の態様においては、第1のデバイスは、第1の発光層及び第2の発光層を有する有機発光デバイスを含み、前記第1の発光層は、式Iの化合物を含み、前記第2の発光層は、400nm〜500nmのピーク波長を有する発光ドーパントを含む。
【0033】
下記の式の化合物を製造する方法が提供される。
【化6】
前記方法は、二酸化マンガンを含む溶媒中で、アリール1,2−ジアミンとアリールアルデヒドとを反応させた縮合生成物IIIを製造することを含む。R
1、R
2、及びR
5は、モノ−、ジ−、トリ−又はテトラ置換を表す。更に、R
1、R
2、及びR
5は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。R
1、R
2、及びR
5は、縮合していてもよいし、更に置換されていてもよい。
【0034】
1つの態様においては、前記縮合生成物は、下記の式:
【化7】
のアリール1,2−ジアミンを、下記の式:
【化8】
のアリーアルデヒドと、相間移動触媒及び溶媒の存在下で反応させることを含む。
【0035】
1つの態様においては、前記相間移動触媒は、1−ヘキサデシルピリジニウムブロミドを含む。
【0036】
1つの態様においては、R
5はアリール又は置換アリールである。他の態様においては、R
5は2,6−二置換アリールである。他の態様においては、R
5はアルキルである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
概して、OLEDは、アノード及びカソードの間に配置され、それらと電気的に接続された少なくとも1つの有機層を含む。電流が印加されると、アノードが正孔を注入し、カソードが電子を有機層(複数可)に注入する。注入された正孔及び電子は、逆帯電した電極にそれぞれ移動する。電子及び正孔が同じ分子上に局在する場合、励起エネルギー状態を有する局在電子正孔対である「励起子」が形成される。光は、励起子が緩和した際に、光電子放出機構を介して放出される。いくつかの事例において、励起子はエキシマー又はエキサイプレックス上に局在し得る。熱緩和等の無輻射機構が発生する場合もあるが、概して望ましくないとみなされている。
【0041】
初期のOLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第4,769,292号において開示されている通り、その一重項状態から光を放出する発光分子(「蛍光」)を使用していた。蛍光発光は、概して、10ナノ秒未満の時間枠で発生する。
【0042】
ごく最近では、三重項状態から光を放出する発光材料(「リン光」)を有するOLEDが実証されている。参照によりその全体が組み込まれる、Baldoら、「Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices」、395巻、151〜154、1998;(「Baldo−I」)及びBaldoら、「Very high−efficiency green organic light emitting devices based on electrophosphorescence」、Appl.Phys.Lett.、75巻、3号、4〜6(1999)(「Baldo−II」)。リン光については、参照により組み込まれる米国特許第7,279,704号5〜6段において更に詳細に記述されている。
【0043】
図1は、有機発光デバイス100を示す。図は必ずしも一定の縮尺ではない。デバイス100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子ブロッキング層130、発光層135、正孔ブロッキング層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155及びカソード160を含み得る。カソード160は、第一の導電層162及び第二の導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。これらの種々の層の特性及び機能並びに材料例は、参照により組み込まれるUS7,279,704、6〜10段において更に詳細に記述されている。
【0044】
これらの層のそれぞれについて、更なる例が利用可能である。例えば、フレキシブル及び透明基板−アノードの組合せは、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5、844、363号において開示されている。p−ドープされた正孔輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、50:1のモル比でm−MTDATAにF.置換(sub).4−TCNQをドープしたものである。発光材料及びホスト材料の例は、参照によりその全体が組み込まれるThompsonらの米国特許第6,303,238号において開示されている。n−ドープされた電子輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、1:1のモル比でBPhenにLiをドープしたものである。参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5,703,436号及び同第5,707,745号は、上を覆う透明の、導電性の、スパッタリング蒸着したITO層を持つMg:Ag等の金属の薄層を有する複合カソードを含むカソードの例を開示している。ブロッキング層の理論及び使用は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,097,147号及び米国特許出願公開第2003/0230980号において更に詳細に記述されている。注入層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において提供されている。保護層についての記述は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において見ることができる。
【0045】
図2は、反転させたOLED200を示す。デバイスは、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、及びアノード230を含む。デバイス200は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。最も一般的なOLED構成はアノードの上に配置されたカソードを有し、デバイス200はアノード230の下に配置されたカソード215を有するため、デバイス200は「反転させた」OLEDと称されることがある。デバイス100に関して記述されたものと同様の材料を、デバイス200の対応する層において使用してよい。
図2は、いくつかの層が如何にしてデバイス100の構造から省略され得るかの一例を提供するものである。
【0046】
図1及び2において例証されている単純な層構造は、非限定的な例として提供されるものであり、本発明の実施形態は多種多様な他の構造に関連して使用され得ることが理解される。記述されている特定の材料及び構造は、事実上例示的なものであり、他の材料及び構造を使用してよい。機能的なOLEDは、記述されている種々の層を様々な手法で組み合わせることによって実現され得るか、又は層は、設計、性能及びコスト要因に基づき、全面的に省略され得る。具体的には記述されていない他の層も含まれ得る。具体的に記述されているもの以外の材料を使用してよい。本明細書において提供されている例の多くは、単一材料を含むものとして種々の層を記述しているが、ホスト及びドーパントの混合物等の材料の組合せ、又はより一般的には混合物を使用してよいことが理解される。また、層は種々の副層を有してもよい。本明細書における種々の層に与えられている名称は、厳しく限定することを意図するものではない。例えば、デバイス200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し、正孔を発光層220に注入し、正孔輸送層又は正孔注入層として記述され得る。一実施形態において、OLEDは、カソード及びアノードの間に配置された「有機層」を有するものとして記述され得る。有機層は単層を含んでいてよく、又は、例えば
図1及び2に関して記述されている通りの異なる有機材料の多層を更に含んでいてよい。
【0047】
参照によりその全体が組み込まれるFriendらの米国特許第5,247,190号において開示されているもののようなポリマー材料で構成されるOLED(PLED)等、具体的には記述されていない構造及び材料を使用してもよい。更なる例として、単一の有機層を有するOLEDが使用され得る。OLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第5,707,745号において記述されている通り、積み重ねられてよい。OLED構造は、
図1及び2において例証されている単純な層構造から逸脱してよい。例えば、基板は、参照によりその全体が組み込まれる、Forrestらの米国特許第6,091,195号において記述されている通りのメサ構造及び/又はBulovicらの米国特許第5,834,893号において記述されている通りのくぼみ構造等、アウトカップリングを改良するための角度のついた反射面を含み得る。
【0048】
別段の規定がない限り、種々の実施形態の層のいずれも、任意の適切な方法によって堆積され得る。有機層について、好ましい方法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,013,982号及び同第6,087,196号において記述されているもの等の熱蒸着、インクジェット、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第6,337,102号において記述されているもの等の有機気相堆積(OVPD)、並びに参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願第10/233,470号において記述されているもの等の有機気相ジェットプリンティング(OVJP)による堆積を含む。他の適切な堆積法は、スピンコーティング及び他の溶液ベースのプロセスを含む。溶液ベースのプロセスは、好ましくは、窒素又は不活性雰囲気中で行われる。他の層について、好ましい方法は熱蒸着を含む。好ましいパターニング法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,294,398号及び同第6,468,819号において記述されているもの等のマスク、冷間圧接を経由する堆積、並びにインクジェット及びOVJD等の堆積法のいくつかに関連するパターニングを含む。他の方法を使用してもよい。堆積する材料は、特定の堆積法と適合するように修正され得る。例えば、分枝鎖状又は非分枝鎖状であり、且つ好ましくは少なくとも3個の炭素を含有するアルキル及びアリール基等の置換基は、溶液プロセシングを受ける能力を増強するために、小分子において使用され得る。20個以上の炭素を有する置換基を使用してよく、3〜20個の炭素が好ましい範囲である。非対称構造を持つ材料は、対称構造を有するものよりも良好な溶液プロセス性を有し得、これは、非対称材料のほうが再結晶する傾向が低くなり得るからである。溶液プロセシングを受ける小分子の能力を増強するために、デンドリマー置換基が使用され得る。
【0049】
本発明の実施形態に従って製作されたデバイスは、フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニター、テレビ、掲示板、屋内若しくは屋外照明及び/又は信号送信用のライト、ヘッドアップディスプレイ、完全透明ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンター、電話、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダー、ファインダー、マイクロディスプレイ、車、大面積壁、劇場又はスタジアムのスクリーン、或いは看板を含む多種多様な消費者製品に組み込まれ得る。パッシブマトリックス及びアクティブマトリックスを含む種々の制御機構を使用して、本発明に従って製作されたデバイスを制御することができる。デバイスの多くは、摂氏18度から摂氏30度、より好ましくは室温(摂氏20〜25度)等、ヒトに快適な温度範囲内での使用が意図されている。
【0050】
本明細書において記述されている材料及び構造は、OLED以外のデバイスにおける用途を有し得る。例えば、有機太陽電池及び有機光検出器等の他の光電子デバイスが、該材料及び構造を用い得る。より一般的には、有機トランジスタ等の有機デバイスが、該材料及び構造を用い得る。
【0051】
ハロ、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリルキル、複素環式基、アリール、芳香族基及びヘテロアリールの用語は当技術分野において公知であり、参照により本明細書に組み込まれるUS7,279,704の31〜32段において定義されている。
【0052】
下記の式を有するヘテロレプティックイリジウム錯体を含む新規化合物が提供される。
【化9】
R
1、R
2、R
3、及びR
4は、モノ−、ジ−、トリ−又はテトラ置換を表し、R
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。R
1、R
2、R
3、及びR
4は、縮合していてもよい。R
1〜R
4のいずれかが縮合している場合、R
1〜R
4が結合した環と共に更なる環が形成される。前記更なる環及びR
1〜R
4が結合した環はいずれも、この段落中の前記基のいずれかで更に置換されていてもよい。Xは、CRR’、SiRR’、C=O、N−R、B−R、O、S、SO、SO
2、及びSeからなる群から選択される。R及びR’は、それぞれ独立して、直鎖アルキル、分岐アルキル、及びアリールからなる群から選択される。nは、1又は2である。
【0053】
1つの実施形態においては、前記化合物は、下記の式を有する。
【化10】
R
6は、モノ−、ジ−、トリ−又はテトラ置換を表し、R
6は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。R
6は、縮合していてもよいし、更に置換されていてもよい。
【0054】
1つの実施形態においては、nは2である。他の実施形態においては、nは1である。
【0055】
1つの実施形態においては、Xは、O及びSからなる群から選択される。好ましい実施形態においては、XはOである。他の好ましい実施形態においては、XはSである。
【0056】
式Iの化合物中のフェニルイミダゾール及びフェニルベンゾイミダゾール配位子は、非常に安定なイリジウム(III)錯体を形成する。ヘテロレプティック化合物は、非常に調節し易いリン光発光を示し、そのため広範囲に亘る色を達成するのに重要である。遷移金属錯体の発光は、様々な三重項状態及びHOMO/LUMO準位を有する配位子を選ぶことによって調節することができる。式Iの化合物中のフェニルイミダゾール及びフェニルベンゾイミダゾール配位子は、浅いHOMOと深いLUMOを有し、得られる遷移は、ヘテロレプティック錯体中に相補的な配位子を用いることによって調節できる。例えば、フェニルピリジン錯体は、深いHOMO準位と浅いLUMO準位を有し、ヘテロレプティック系においてこれら2種の配位子間には、予期しない相互作用が生じ得る。本明細書に示すピリジルジベンゾフラン又はピリジルジベンゾチオフェン含有配位子は、フェニルピリジン誘導体であり、組み合わせの性質は予想できない。各種ジベンゾ誘導体が安定であるが、ジベンゾフラン及びジベンゾチオフェン含有配位子を使用することが、狭い線形状、高デバイス効率、及び長寿命のため好ましい。しかしながら、3個のジベンゾフラン又はジベンゾチオフェン配位子を含む錯体は、高い昇華温度を有する。ヘテロレプティック錯体を形成することによって、昇華温度が低下し、効率的な精製とそれに続くOLEDへの使用が可能となる。
【0057】
更に、ピリジルジベンゾフラン又はピリジルジベンゾチオフェン含有配位子を含む、式Iのヘテロレプティックイリジウム(III)錯体は、振電カップリングを経験することが少なく、これによりスペクトルが狭くなり、このことは、単色発光に重要である。何ら理論に拘束されるものではないが、これは、金属錯体中におけるフェニルイミダゾール又はフェニルベンゾイミダゾール配位子と、ピリジルジベンゾフラン又はピリジルジベンゾチオフェン含有配位子との間の相互作用によると考えられている。式Iの化合物におけるこれら2種の配位子の組み合わせは、式Iの化合物の性質について予期しない結果をもたらす。
【0058】
1つの実施形態においては、R
5はアリール又は置換アリールである。他の実施形態においては、R
5はアルキルである。R
5を適切に選択することによって、全体的な安定性に大きな影響を与えずに錯体の昇華温度を下げることができる。1つの実施形態においては、R
5は2,6−二置換アリールである。好ましい実施形態においては、R
5は下記の基である。
【化11】
何ら理論に拘束されるものではないが、2,6−ジイソプロピルフェニル部分の使用により、イリジウム中心の周りの立体的嵩高さが増し、固体状態での充填を防ぎ、高い効率が得られるので、有利になり得ると考えられている。
【0059】
1つの実施形態においては、R
2、R
3、及びR
4は、独立して、水素及びアルキルからなる群から選択され、R
2、R
3、及びR
4の少なくとも1つはアルキルである。
【0060】
1つの実施形態においては、R
3は、アリール又はヘテロアリールである。他の実施形態においては、R
3は、フェニル又は置換フェニルである。1つの実施形態においては、R
6、R
2、及びR
4は、水素である。
【0061】
具体的且つ非限定的な化合物を示す。1つの実施形態においては、前記化合物は、下記からなる群から選択される。
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【0062】
他の実施形態においては、前記化合物は、下記からなる群から選択される。
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【0063】
第1のデバイスも提供される。第1のデバイスは、有機発光デバイスを含み、アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置された、下記の式を有する化合物を含む有機層とを更に含む。
【化30】
R
1、R
2、R
3、及びR
4は、モノ−、ジ−、トリ−又はテトラ置換を表し、R
1、R
2、R
3、R
4、及びR
5は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。R
1、R
2、R
3、及びR
4は、縮合していてもよいし、更に置換されていてもよい。Xは、CRR’、SiRR’、C=O、N−R、B−R、O、S、SO、SO
2、及びSeからなる群から選択される。R及びR’は、それぞれ独立して、直鎖アルキル、分岐アルキル、及びアリールからなる群から選択される。nは、1又は2である。式Iの化合物は、OLEDにおけるリン光ドーパントとして有用である。
【0064】
1つの実施形態においては、前記有機層は発光層であり、式Iの化合物は発光ドーパントである。1つの実施形態においては、前記有機層はホストを更に含む。
【0065】
1つの実施形態においては、前記ホストは、ベンゾ縮合チオフェン又はベンゾ縮合フランを含むトリフェニレンを含み、ホスト中の置換基は、C
nH
2n+1、OC
nH
2n+1、OAr
1、N(C
nH
2n+1)
2、N(Ar
1)(Ar
2)、CH=CH−C
nH
2n+1、C≡CHC
nH
2n+1、Ar
1、Ar
1−Ar
2、及びC
nH
2n−Ar
1からなる群から独立して選択される非縮合置換基であるか、又は無置換である。Ar
1及びAr
2は、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、トリフェニレン、カルバゾール、及びそれらのヘテロ芳香族アナログからなる群から独立して選択され、nは1から10である。
【0066】
1つの実施形態においては、前記ホストは、下記の式を有する。
【化31】
【0067】
1つの実施形態においては、前記ホストは金属錯体である。
【0068】
1つの実施形態においては、第1のデバイスは、消費者製品である。他の実施形態においては、第1のデバイスは、有機発光デバイスである。
【0069】
1つの実施形態においては、第1のデバイスは、400nm〜500nmのピーク波長を有する第2の発光ドーパントを更に含む。他の実施形態においては、第2の発光ドーパントは、蛍光発光体である。他の実施形態においては、第2の発光ドーパントは、リン光発光体である。
【0070】
幾つかの実施形態においては、式Iの化合物を含むOLEDを白色発光デバイスに用いることができる。
【0071】
白色光源の質は、簡単なパラメーターで完全に記述することができる。光源の色は、そのCIE色度座標x及びy(1931 2ディグリー標準観測者CIE色度)で与えられる。CIE座標は、典型的には、2次元プロット上に表される。単色は、左下の青色から始まり、時計回りにスペクトルの各色を通って右下の赤色に至る蹄鉄形状の曲線の境界に当たる。所定のエネルギー及びスペクトル形状の光源のCIE座標は、曲線の領域内になる。全ての波長における光を合計すると、色度図の中心で白色又は中性点を一様に与える(CIEx、y−座標、0.33、0.33)。2以上の光源からの光を混合すると、その色が独立した光源のCIE座標の強度で重み付けされた平均で表される光を与える。したがって、2以上の光源からの光の混合を、白色光を得るために用いることができる。
【0072】
これらの白色発光光源の使用について考慮する際、光源のCIE座標に加えてCIE演色評価数(CRI)を考慮してもよい。CRIは、光源がどの程度それが照らす物体の色を表現するかの指標を与える。所定の光源と標準的な発光体が完全に一致すると、CRIは100である。少なくとも70のCRI値がある種の用途では許容されるが、好ましい白色光源は、約80以上のCRIを有する。
【0073】
幾つかの実施形態においては、第1のデバイスは、式Iの化合物、赤色発光体、及び青色発光体を含む。
【0074】
1つの実施形態においては、第1のデバイスは、照明パネルを含む。
【0075】
他の実施形態においては、式Iの化合物を含む第1の有機発光デバイス、及び前記第1の有機発光デバイスとは別の、400nm〜500nmのピーク波長を有する発光ドーパントを含む第2の発光デバイスを更に含む。
【0076】
他の態様においては、第1のデバイスは、第1の発光層及び第2の発光層を有する有機発光デバイスを含み、前記第1の発光層は、式Iの化合物を含み、前記第2の発光層は、400nm〜500nmのピーク波長を有する発光ドーパントを含む。前記第1の発光層及び前記第2の発光層は、をその間に1つ以上の層を有していてもよい。
【0077】
下記の式の化合物を製造する方法が提供される。
【化32】
前記方法は、二酸化マンガンを含む溶媒中で、アリール1,2−ジアミンとアリールアルデヒドとを反応させた縮合生成物IIIを製造することを含む。R
1、R
2、及びR
5は、モノ−、ジ−、トリ−又はテトラ置換を表す。更に、R
1、R
2、及びR
5は、それぞれ独立して、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。R
1、R
2、及びR
5は、縮合していてもよいし、更に置換されていてもよい。
【0078】
式IIIの化合物を製造するためのアリール1,2−ジアミンとアリールアルデヒドとの縮合は、例えば、ワンポットプロセスを開示するMonatsh.Chem.2009、140、375−380などに開示されているように、空気酸化工程を含むと考えられている。典型的には、アリール1,2−ジアミンとアリールアルデヒドとの縮合後、反応生成物は、対応するベンゾイミダゾールとアミナールの混合物を含む。しかしながら、先行技術のワンポットプロセスは、嵩高いR
5置換基(例えば、2,6−二置換アリール)を有する式IIIの化合物の合成には有効ではなかった。FeCl
3を用いて酸化を助長し式IIIの化合物を製造する他のプロセスでは、収率が低かった(典型的には、30%以下)。
【0079】
二酸化マンガン(IV)(MnO
2)の使用により、式IIIの化合物が48〜75%という良好な収率で製造されたことは、驚くべき発見であった。この結果は、芳香族化/酸化反応に通常使用されるDDQを用いて観測された結果を考慮すると、特に予期しないものである。例えば、R
5=2,6−二置換アリールの場合、DDQを用いると、所望の生成物の収率は僅か18%であった。他の通常使用される酸化剤であるH
2O
2は、R
5=2,6−二置換アリールの場合、全く反応しなかった。表1は、本明細書に開示の方法を用いて得られた結果の要約と、他の方法との比較を含む。
【表1】
【0080】
1つの実施形態においては、前記縮合生成物は、下記の式:
【化33】
のアリール1,2−ジアミンを、下記の式:
【化34】
のアリーアルデヒドと、相間移動触媒及び溶媒の存在下で反応させることを含む。当業者に知られた各種の相間移動触媒を用いることができ、例えば、アンモニウム塩、ヘテロ環アンモニウム塩、ホスホニウム塩などが挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態においては、相間移動触媒は、1−ヘキサデシルピリジニウムブロミドを含む。各種の有機及び無機溶媒を用いることができ、有機溶媒と水の混合物が好ましい。
【0081】
1つの実施形態においては、R
5はアリール又は置換アリールである。1つの実施形態においては、R
5は2,6−二置換アリールである。他の実施形態においては、R
5はアルキルである。
【0083】
式Iの化合物をOLEDに含有させ、参考としての化合物A〜Dと比較した。デバイスはいずれも、高真空下(<10
−7Torr)における熱蒸着(VTE)で作製した。アノード電極は、1200Åの酸化インジウムスズ(ITO)である。カソードは、10ÅのLiFと、1,000ÅのAlとからなる。デバイスはいずれも、作製後直ちに、窒素グローブボックス(H
2O及びO
2は、<1ppm)中で、エポキシ樹脂で封止したガラス製の蓋で封入し、水分ゲッターをパッケージに入れた。
【0084】
デバイス実施例の有機積層体は、ITO表面から順に、化合物Eの100Åホール注入層(HIL)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(アルファ−NPD)の300Åホール輸送層(HTL)、ホストとしての化合物Fに10〜15wt%の式Iの化合物をドープした300Å発光層(EML)、化合物Fの50Åブロッキング層(BL)、及びAlq(トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム)の400Å電子輸送層(ETL)からなる。化合物A、化合物B、化合物C、及び化合物Dを用いた比較例も、化合物A、化合物B、化合物C、及び化合物DをEML中の発光体として用いた以外はデバイス実施例と同様にして作製した。
【0085】
これらのデバイスのデバイス結果及びデータを表2及び表3にまとめる。本明細書においては、NPD、Alq、化合物A、B、C、D、E、F、化合物81、及び化合物82は、下記の構造を有する。
【化35】
【表2】
表2:VTEリン光OLED
【表3】
表3.VTEデバイスデータ
【0086】
デバイスデータから、実施例1及び実施例2(式Iの化合物を使用)はいずれも、狭い線形状、高効率、及び長寿命を示していることが分かる。化合物82及び化合物Cは、化合物82がピリジルベンゾフラン配位子を含み、化合物Cがそれを含まない点を除き、類似している。化合物82は、化合物C(0.337、0.605)よりも飽和した緑色を有し(0.329、0.625)、より狭い発光(60nmFWHMに対して化合物Cは72nm)、より高い発光効率(54.4cd/A)、より高い外部量子効率(15.0%)及び電力効率(29lm/W)を示す(化合物Cは、それぞれ44.1cd/A、12.9%、及び25.8lm/W)。更に、化合物82は、化合物C(100h)よりも長いLT
80%までの寿命を示す(122h)。
【0087】
他の材料との組合せ
有機発光デバイス中の特定の層に有用として本明細書において記述されている材料は、デバイス中に存在する多種多様な他の材料と組み合わせて使用され得る。例えば、本明細書において開示されている発光性ドーパントは、多種多様なホスト、輸送層、ブロッキング層、注入層、電極、及び存在し得る他の層と併せて使用され得る。以下で記述又は参照される材料は、本明細書において開示されている化合物と組み合わせて有用となり得る材料の非限定的な例であり、当業者であれば、組み合わせて有用となり得る他の材料を特定するための文献を容易に閲覧することができる。
HIL/HTL:
【0088】
本発明において使用される正孔注入/輸送材料は特に限定されず、その化合物が正孔注入/輸送材料として典型的に使用されるものである限り、任意の化合物を使用してよい。材料の例は、フタロシアニン又はポルフィリン誘導体;芳香族アミン誘導体;インドロカルバゾール誘導体;フッ化炭化水素を含有するポリマー;伝導性ドーパントを持つポリマー;PEDOT/PSS等の導電性ポリマー;ホスホン酸及びシラン誘導体等の化合物に由来する自己集合モノマー;MoO
x等の金属酸化物誘導体;1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル等のp型半導体有機化合物;金属錯体、並びに架橋性化合物を含むがこれらに限定されない。
【0089】
HIL又はHTL中に使用される芳香族アミン誘導体の例は、下記の一般構造:
【化36】
を含むがこれらに限定されない。
【0090】
Ar
1からAr
9のそれぞれは、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン等の芳香族炭化水素環式化合物からなる群;ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン及びセレノフェノジピリジン等の芳香族複素環式化合物からなる群;並びに芳香族炭化水素環式基及び芳香族複素環式基から選択される同じ種類又は異なる種類の基である2から10個の環式構造単位からなる群から選択され、且つ、直接的に、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位及び脂肪族環式基の少なくとも1つを介して、互いに結合している。ここで、各Arは、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される置換基によって更に置換されている。
【0091】
一態様において、Ar
1からAr
9は、
【化37】
からなる群から独立に選択される。
【0092】
kは1から20までの整数であり;X
1からX
8はC(CHを含む)又はNであり;Ar
1は、上記で定義したものと同じ基を有する。
【0093】
HIL又はHTL中に使用される金属錯体の例は、下記の一般式:
【化38】
を含むがこれに限定されない。
【0094】
Mは、40より大きい原子量を有する金属であり;(Y
1−Y
2)は二座配位子であり、Y
1及びY
2は、C、N、O、P及びSから独立に選択され;Lは補助配位子であり;mは、1から金属に付着し得る配位子の最大数までの整数値であり;且つ、m+nは、金属に付着し得る配位子の最大数である。
【0095】
一態様において、(Y
1−Y
2)は2−フェニルピリジン誘導体である。
【0096】
別の態様において、(Y
1−Y
2)はカルベン配位子である。
【0097】
別の態様において、Mは、Ir、Pt、Os及びZnから選択される。
【0098】
更なる態様において、金属錯体は、Fc
+/Fcカップルに対して、溶液中で約0.6V未満の最小酸化電位を有する。
ホスト:
【0099】
本発明における有機ELデバイスの発光層は、発光材料として少なくとも金属錯体を含むことが好ましく、前記金属錯体をドーパント材料として用いるホスト材料を含んでいてもよい。前記ホスト材料の例は、特に限定されず、ホストの三重項エネルギーがドーパントのものより大きい限り、任意の金属錯体又は有機化合物を使用してよい。
【0100】
ホストとして使用される金属錯体の例は、下記の一般式:
【化39】
を有することが好ましい。
【0101】
Mは金属であり;(Y
3−Y
4)は二座配位子であり、Y
3及びY
4は、C、N、O、P及びSから独立に選択され;Lは補助配位子であり;mは、1から金属に付着し得る配位子の最大数までの整数値であり;且つ、m+nは、金属に付着し得る配位子の最大数である。
【0102】
一態様において、金属錯体は、
【化40】
である。
【0103】
(O−N)は、原子O及びNに配位された金属を有する二座配位子である。
【0104】
別の態様において、Mは、Ir及びPtから選択される。
【0105】
更なる態様において、(Y
3−Y
4)はカルベン配位子である。
【0106】
ホストとして使用される有機化合物は、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン等の芳香族炭化水素環式化合物からなる群;ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン及びセレノフェノジピリジン等の芳香族複素環式化合物からなる群;並びに芳香族炭化水素環式基及び芳香族複素環式基から選択される同じ種類又は異なる種類の基であり、且つ、直接的に、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位及び脂肪族環式基の少なくとも1つを介して互いに結合している2から10個の環式構造単位からなる群から選択される。ここで、各基は、水素、重水素、ハライド、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルフォニル、ホスフィノ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される置換基によって更に置換されている。
【0107】
一態様において、ホスト化合物は、分子中に下記の群:
【化41】
の少なくとも1つを含有する。
【0108】
R
1からR
7は、独立して、水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。
【0110】
X
1からX
8はC(CHを含む)又はNから選択される。
HBL:
【0111】
正孔ブロッキング層(HBL)を使用して、発光層から出る正孔及び/又は励起子の数を低減させることができる。デバイスにおけるそのようなブロッキング層の存在は、ブロッキング層を欠く同様のデバイスと比較して大幅に高い効率をもたらし得る。また、ブロッキング層を使用して、発光をOLEDの所望の領域に制限することもできる。
【0112】
一態様において、前記HBL中に使用される前記化合物は、上述したホストとして使用されるものと同じ分子を含有する。
【0113】
別の態様において、前記HBL中に使用される前記化合物は、分子中に下記の群:
【化42】
の少なくとも1つを含有する。
【0114】
kは0から20までの整数であり;Lは補助配位子であり、mは1から3までの整数である。
ETL:
【0115】
電子輸送層(ETL)は、電子を輸送することができる材料を含み得る。電子輸送層は、真性である(ドープされていない)か、又はドープされていてよい。ドーピングを使用して、伝導性を増強することができる。ETL材料の例は特に限定されず、電子を輸送するために典型的に使用されるものである限り、任意の金属錯体又は有機化合物を使用してよい。
【0116】
一態様において、前記ETL中に使用される前記化合物は、分子中に下記の群:
【化43】
の少なくとも1つを含有する。
【0117】
R
1は、水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、アリール、及びヘテロアリールからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合、上記で言及したArのものと同様の定義を有する。
【0118】
Ar
1からAr
3は、上記で言及したArのものと同様の定義を有しする。
【0120】
X
1からX
8はC(CHを含む)又はNから選択される。
【0121】
別の態様において、前記ETL中に使用される金属錯体は、下記の一般式:
【化44】
を含有するがこれらに限定されない。
【0122】
(O−N)又は(N−N)は、原子O、N又はN、Nに配位された金属を有する二座配位子であり;Lは補助配位子であり;mは、1から金属に付着し得る配位子の最大数までの整数値である。
【0123】
OLEDデバイスの各層中に使用される任意の上記で言及した化合物において、水素原子は、部分的に又は完全に重水素化されていてよい。
【0124】
本明細書において開示されている材料に加えて且つ/又はそれらと組み合わせて、多くの正孔注入材料、正孔輸送材料、ホスト材料、ドーパント材料、励起子/正孔ブロッキング層材料、電子輸送及び電子注入材料がOLEDにおいて使用され得る。OLED中で本明細書において開示されている材料と組み合わせて使用され得る材料の非限定的な例を、以下の表4に収載する。表4は、材料の非限定的なクラス、各クラスについての化合物の非限定的な例、及び該材料を開示している参考文献を収載する。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【表4-6】
【表4-7】
【表4-8】
【表4-9】
【表4-10】
【表4-11】
【表4-12】
【表4-13】
【表4-14】
【表4-15】
【表4-16】
【表4-17】
【表4-18】
【実施例】
【0125】
本明細書中で使用される化学略語は、次の通り:Cyは、シクロヘキシル、dbaは、ジベンジリデンアセトン、EtOAcは、酢酸エチル、PPh
3は、トリフェニルホスフィン、DDQは、ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン、DCMは、ジクロロメタンである。
実施例1:ベンズアルデヒドとN−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンゼン−1,2−ジアミンの縮合生成物の合成
【化45】
【0126】
1−ブロモ−2−ニトロベンゼン(15g、75mmol)、2,6−ジイソプロピルアニリン(14.0mL、75mmol)及び炭酸セシウム(41.5g、127mmol)を500mLのトルエン中で混合し、得られた溶液を20分間窒素バブルした。Pd
2(dba)
3(1.36g、1.49mmol)及びジシクロヘキシル(2’,6’−ジメトキシ−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)ホスフィン(2.44g、5.94mmol)を添加し、反応混合物を18時間加熱還流した。冷却後、有機層を分離し、水層をジクロロメタン(3×50mL)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を除去した後、粗生成物を、10:90(v/v)酢酸エチル:ヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付し、20g(72%)の生成物を得た。生成物を、GC/MS、NMR、及びHPLC(99.96%純度)で確認した。
【化46】
【0127】
2,6−ジイソプロピル−N−(2−ニトロフェニル)アニリン(12g、40.2mmol)を200mLのエタノールに溶解し、パラジウムカーボン(0.642g)を添加した。反応混合物をParr水素化器に1時間置いた。反応混合物を、セライト(登録商標)プラグを通して濾過し、ジクロロメタンで洗浄し、蒸発させた。粗生成物を、10:90(v/v)酢酸エチル:ヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付し、10g(93%)の生成物を得た。生成物を、GC/MS及びNMRで確認した。
【化47】
【0128】
N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンゼン−1,2−ジアミン(16.5g、61.5mmol)、ベンズアルデヒド(9.8mL、92mmol)及び1−ヘキサデシルピリジニウムブロミド(1.2g、3.1mmol)を50mLのTHFと500mLの水の中で溶解し、一晩室温で撹拌した。GC/MSの結果、反応混合物は、典型的に、フェニルベンゾイミダゾール生成物とフェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール生成物(約50:50)の混合物であることを示した。食塩水(200mL)を添加し、反応混合物をEtOAcで抽出し(3×300mL)、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。合計粗収量は、20g(〜91%)であり、これを次の工程に用いた。
【0129】
実施例2:ベンズアルデヒドとN−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンゼン−1,2−ジアミンとの縮合生成物と酸化マンガン(IV)との反応
【化48】
【0130】
実施例1で得られたフェニルベンゾイミダゾール生成物とフェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール生成物の混合物(18g、50.5mmol)を、300mLのトルエン中で酸化マンガン(IV)(22g、252mmol)と合わせた。激しく撹拌しながら、反応物を10時間加熱還流し、冷却し、ジクロロメタンで溶出するシリカゲルのプラグを通して濾過し、蒸発させた。粗生成物を、ジクロロメタン中0〜3%の酢酸エチルを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付し、次いで、ヘキサンから再結晶して、14.7g(82%)の生成物を得た。生成物を、HPLC(>98%)及びNMRで確認した。収率は、48%〜75%であった。
【0131】
実施例3:ベンズアルデヒドとN−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンゼン−1,2−ジアミンとの縮合生成物とDDQとの反応
【化49】
【0132】
実施例1で得られたフェニルベンゾイミダゾール生成物とフェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール生成物の混合物(10.19g、44.9mmol)に、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン(DDQ)(10.19g、44.9mmol)の300mLTHF溶液を0℃で添加した。発熱反応の結果、温度が45℃に上昇した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。GC/MSにより、ベンゾイミダゾールへの酸化が完了したことを確認した。食塩水(200mL)を添加し、反応混合物を酢酸エチルで抽出した(3×200mL)。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で除去した。粗生成物を、DCM中0〜3%の酢酸エチルを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付して、3.2g(20%)の生成物を得た。得られた生成物を、HPLC及びGC/MSで確認した。
【0133】
実施例4:ベンズアルデヒドとN−(2,6−ジイソプロピルフェニル)ベンゼン−1,2−ジアミンとの縮合生成物とH
2O
2との反応
【化50】
【0134】
実施例1で得られたフェニルベンゾイミダゾール生成物とフェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾール生成物の混合物(1g、4.5mmol)を、30%H
2O
2水溶液と合わせ、一晩撹拌した。反応物をGC/MSで確認したところ、出発材料と同一の生成物比を示した。
【0135】
化合物81及び82の合成
【0136】
実施例5:4−(2−ピリジル)ジベンゾ[b,d]フランの合成
【化51】
【0137】
1Lの丸底フラスコに、2−ブロモピリジン(13.80mL、142mmol)、ジベンゾ[b,d]フラン−4−イルボロン酸(25g、118mmol)、ジシクロヘキシル(2’,6’−ジメトキシ−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)ホスフィン(1.936g、4.72mmol)及び第三リン酸カリウム一水和物(81g、354mmol)を、トルエン(350mL)及び水(35mL)と共に添加した。反応混合物をN
2で20分間脱気した。Pd
2(dba)
3(2.16g、2.35mmol)を添加し、反応混合物を18時間還流した。反応の完了をHPLC、GC及びTLCで確認した。冷却後、水層を除去し、トルエンを減圧下で蒸発させた。残渣をジクロロメタンに溶解し、ジクロロメタンで溶出する、フリット(frit)上の1インチのシリカゲルプラグを通した。粗生成物を、ヘキサン中20〜25%の酢酸エチルを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付して、18g(62%)の生成物を得た。得られた生成物を、HPLC(99.6%純度)及びGC/MSで確認した。
【0138】
実施例6:5−ブロモ−2−(ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)−4−メチルピリジンの合成
工程1
【化52】
【0139】
2,5−ジブロモ−4−メチルピリジン(30g、118mmol)、ジベンゾ[b,d]フラン−4−イルボロン酸(25g、118mmol)、Pd(PPh
3)
4(1.4g、1.18mmol)、及びK
2CO
3(49g、354mmol)を、ジメトキシエタン(450mL)及び水(100mL)と共にフラスコに添加し、窒素で脱気した。反応混合物を15時間加熱還流した後、室温まで冷却した。EtOAc及び水を添加し、有機層を分離し、水層をジクロロメタン(3×50mL)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を除去した後、粗生成物を、ジクロロメタンを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して、29.7gの粗生成物を得た。生成物をヘキサンから再結晶化して、28.8g(72%)の純粋な生成物を得た。得られた生成物を、NMR及びHPLC(99.3%純度)で確認した。
工程2
【0140】
2−(ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)−4,5−ジメチルピリジンの合成
【化53】
【0141】
−ブロモ−2−(ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)−4−メチルピリジン(28.7g、85mmol)、ジシクロヘキシル(2’,6’−ジメトキシ−[1,1’−ビフェニル]−2−イル)ホスフィン(1.394g、3.39mmol)及びリン酸カリウム一水和物(58.6g、255mmol)を、トルエン(500mL)及び水(50mL)に添加し、20分間脱気した。トリメチルボロキシン(14.83mL、106mmol)及びPd
2(dba)
3(0.777g、0.849mmol)を添加し、反応混合物を一晩加熱還流した。冷却後、有機層を分離し、水層をEtOAcで抽出し(3×50mL)、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。粗生成物を、ヘキサン中の8/2ジクロロメタン/EtOAcを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付し、19.2gのオフホワイトの固体を得、これをヘキサンから再結晶化して、16.8g(83%)の生成物を白色針状物として得た。得られた生成物をNMR及びHPLC(99.97%純度)で確認した。
【0142】
化合物A〜Dの合成
【0143】
実施例7:2−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−4,5−ジメチルピリジンの合成
工程1
【化54】
【0144】
2,5−ジブロモ−4−メチルピリジン(10g、39.9mmol)、[1,1’−ビフェニル]−3−イルボロン酸(7.89g、39.9mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィ)パラジウム(0)(2.303g、1.99mmol)、トルエン(250mL)及び水(25mL)を、窒素下でフラスコに入れた。反応混合物を、20分間窒素で脱気し、18時間加熱還流した。冷却後、有機層を分離し、水層をジクロロメタンで抽出し(3×50mL)、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。粗生成物を、ヘキサン中の10%の酢酸エチルを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付し、11.5g(85%)の生成物を得た。得られた生成物をNMR及びGC/MSで確認した。
工程2
【化55】
【0145】
2−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−5−ブロモ−4−メチルピリジン11.5g(35.5mmol)、2,4,6−トリメチル−1,3,5,2,4,6−トリオキサトリボリナン(5.57g、44.3mmol)、ジシクロヘキシル(2’,6’−ジメトキシ−[1,1’−ビフェニル]−3−イル)ホスフィン(1.2g、2.84mmol)、Pd
2dba
3(0.650g、0.709mmol)、第三リン酸カリウム一水和物、250mLのトルエン、及び25mLの水を窒素下でフラスコに入れた。反応混合物を20分間窒素で脱気し、24時間加熱還流した。冷却後、有機層を分離し、水層をジクロロメタンで抽出し(3×50mL)、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。粗生成物を、ヘキサン中の5%のジクロロメタンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付し、8.0g(87%)の生成物を得た。得られた生成物をNMR及びGC/MSで確認した。
実施例8
【化56】
【0146】
丸底フラスコに、N
2雰囲気下で1−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−2−フェニル−1H−イミダゾール(8.00g、26.3mmol)及び塩化イリジウム(III)水和物(3.09g、8.76mmol)を、2−エトキシエタノール(90mL)及び水(30mL)と共に添加した。得られた反応混合物を130℃で18時間還流した。緑色の沈殿物を濾過し、エタノール(3〜4回)とヘキサン(3〜4回)で洗浄し、乾燥後、7.3g(98.9%)の緑色固体を得た。生成物を更なる精製を行わずに用いた。
実施例9
【0147】
丸底フラスコに、N
2雰囲気下で1−(2,6−ジイソプロピルシクロヘキサ−2,4−ジエン−1−イル)−2−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール(6.0g、16.83mmol)及び塩化イリジウム(III)水和物(1.98g、5.61mmol)を、2−エトキシエタノール(100mL)及び水(33mL)と共に添加した。得られた反応混合物を130℃で18時間還流した。黄色の沈殿物を濾過し、メタノール(3〜4回)とヘキサン(3〜4回)で洗浄し、乾燥後、5.2g(98.8%)の黄色固体を得た。生成物を更なる精製を行わずに用いた。
【0148】
実施例10
【化57】
【0149】
丸底フラスコに、N
2雰囲気下で2−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−4−メチルピリジン(10g、40.8mmol)及び塩化イリジウム(III)水和物(4.11g、11.66mmol)を、2−エトキシエタノール(100mL)及び水と(33mL)と共に添加した。得られた反応混合物を130℃で18時間還流した。黄色の沈殿物を濾過し、メタノール(3〜4回)とヘキサン(3〜4回)で洗浄し、乾燥後、10.5g(63%)の黄色固体を得た。生成物を更なる精製を行わずに用いた。
【0150】
実施例11
【化58】
【0151】
丸底フラスコに、N
2雰囲気下で2−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−4,5−ジメチルピリジン(6.5g、25.06mmol)及び塩化イリジウム(III)水和物(2.95g、8.35mmol)を、2−エトキシエタノール(100mL)及び水(33mL)と共に添加した。得られた反応混合物を130℃で18時間還流した。黄色の沈殿物を濾過し、メタノール(3〜4回)とヘキサン(3〜4回)で洗浄し、乾燥後、6.2g(100%)の黄色固体を得た。生成物を更なる精製を行わずに用いた。
【0152】
実施例12
【化59】
【0153】
丸底フラスコに、実施例8で得たイリジウム二量体錯体(7.2g、4.3mmol)を600mLのジクロロメタンに溶解した。別のフラスコに、銀(I)トリフレート(2.4g、9.5mmol)を300mLのMeOHに溶解した。これを、室温にて連続撹拌下で二量体溶液にゆっくりと添加した。反応混合物を暗所で一晩撹拌し、次いで、密に充填したセライト(登録商標)ベッドを通して濾過し、塩化銀沈殿物を除去した。溶媒を減圧下で除去して、9.6g(100%)の黄緑色の固体を得て、これを更なる精製を行わずに用いた。
【0154】
実施例13
【化60】
【0155】
丸底フラスコに、イリジウム二量体錯体(5.2g、2.78mmol)を200mLのジクロロメタンに溶解した。別のフラスコに、銀(I)トリフレート(1.5g、5.84mmol)を250mLのMeOHに溶解した。これを、室温にて連続撹拌下で二量体溶液にゆっくりと添加した。反応混合物を暗所で一晩撹拌し、次いで、密に充填したセライト(登録商標)ベッドを通して濾過し、塩化銀沈殿物を除去した。溶媒を減圧下で除去して、6.0g(100%)の茶色がかった緑色の固体を得て、これを更なる精製を行わずに用いた。
【0156】
実施例14
【化61】
【0157】
丸底フラスコに、イリジウム二量体錯体(10.5g、7.3mmol)を600mLのジクロロメタンに溶解した。別のフラスコに、銀(I)トリフレート(4.0g、15.4mmol)を300mLのMeOHに溶解した。これを、室温にて連続撹拌下で二量体溶液にゆっくりと添加した。反応混合物を暗所で一晩撹拌し、次いで、密に充填したセライト(登録商標)ベッドを通して濾過し、塩化銀沈殿物を除去した。溶媒を減圧下で除去して、11.5g(100%)の茶色がかった緑色の固体を得て、これを更なる精製を行わずに用いた。
【0158】
実施例15
【化62】
【0159】
丸底フラスコに、イリジウム二量体錯体(6.2g、4.2mmol)を600mLのジクロロメタンに溶解した。別のフラスコに、銀(I)トリフレート(2.3g、8.8mmol)を300mLのMeOHに溶解した。これを、室温にて連続撹拌下で二量体溶液にゆっくりと添加した。反応混合物を暗所で一晩撹拌し、次いで、密に充填したセライト(登録商標)ベッドを通して濾過し、塩化銀沈殿物を除去した。溶媒を減圧下で除去して、8.0g(100%)の茶色がかった緑色の固体を得て、これを更なる精製を行わずに用いた。
【0160】
実施例16:化合物Aの合成
【化63】
【0161】
フラスコに、実施例14で得られたイリジウムトリフレート錯体(2.5g、2.2mmol)及び2−(ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)−4,5−ジメチルピリジン(1.6g、5.8mmol)、25mLのEtOH及び25mLのMeOHを添加した。反応混合物を36時間還流し、黄色沈殿物を得た。反応混合物を室温に冷却し、エタノールで希釈し、セライト(登録商標)を添加し、混合物を10分間撹拌した。得られた混合物を、フリット上の小シリカゲルプラグで濾過し、エタノール(3〜4回)とヘキサン(3〜4回)で洗浄した。濾液を捨てた。次いで、セライト(登録商標)/シリカプラグをジクロロメタンで洗浄し、生成物を溶解した。ジクロロメタンの半分量を減圧下で除去し、ヘキサンを添加して生成物を沈殿させ、これを濾過しヘキサンで洗浄した。粗生成物を、1/1(v/v)ジクロロメタン/ヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付し、次いで昇華させて1.0g(30%)の生成物を黄色固体として得た。生成物、化合物A、をHPLC(99.7%純度)及びLC/MSで確認した。
【0162】
実施例17:化合物Bの合成
【化64】
【0163】
フラスコに、実施例13で得られたイリジウムトリフレート錯体(3.3g、3.0mmol)及び2−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−4−メチルピリジン(1.9g、7.7mmol)、25mLのEtOH及び25mLのMeOHを添加した。反応混合物を36時間還流し、黄色沈殿物を得た。反応混合物を室温に冷却し、エタノールで希釈し、セライト(登録商標)を添加し、混合物を10分間撹拌した。得られた混合物を、フリット上の小シリカゲルプラグで濾過し、エタノール(3〜4回)とヘキサン(3〜4回)で洗浄した。濾液を捨てた。次いで、セライト(登録商標)/シリカプラグをジクロロメタンで洗浄し、生成物を溶解した。ジクロロメタンの半分量を減圧下で除去し、ヘキサンを添加して生成物を沈殿させ、これを濾過しヘキサンで洗浄した。粗生成物を、1/1(v/v)ジクロロメタン/ヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付し、次いで昇華させて1.0g(30%)の生成物を黄色固体として得た。生成物、化合物B、をHPLC(99.6%純度)及びLC/MSで確認した。
【0164】
実施例18:化合物Cの合成
【化65】
【0165】
フラスコに、実施例13で得られたイリジウムトリフレート錯体(3.0g、2.7mmol)及び2−([1,1’−ビフェニル]−3−イル)−4,5−ジメチルピリジン(1.8g、7.0mmol)、25mLのEtOH及び25mLのMeOHを添加した。反応混合物を36時間還流し、黄色沈殿物を得た。反応混合物を室温に冷却し、エタノールで希釈し、セライト(登録商標)を添加し、混合物を10分間撹拌した。得られた混合物を、フリット上の小シリカゲルプラグで濾過し、エタノール(3〜4回)とヘキサン(3〜4回)で洗浄した。濾液を捨てた。次いで、セライト(登録商標)/シリカプラグをジクロロメタンで洗浄し、生成物を溶解した。ジクロロメタンの半分量を減圧下で除去し、ヘキサンを添加して生成物を沈殿させ、これを濾過しヘキサンで洗浄した。粗生成物を、1/1(v/v)ジクロロメタン/ヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付し、次いで昇華させて1.0g(32%)の生成物を黄色固体として得た。生成物、化合物C、をHPLC(99.6%純度)及びLC/MSで確認した。
【0166】
実施例19:化合物Dの合成
【化66】
【0167】
フラスコに、実施例15で得られたイリジウムトリフレート錯体(1.8g、2.0mmol)及び1−(2,6−ジイソプロピルシクロヘキサン−2,4−ジエン−1−イル)−2−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール(1.8g、5.05mmol)、25mLのEtOH及び25mLのMeOHを添加した。反応混合物を20時間還流し、黄色沈殿物を得た。反応混合物を室温に冷却し、エタノールで希釈し、セライト(登録商標)を添加し、混合物を10分間撹拌した。得られた混合物を、フリット上の小シリカゲルプラグで濾過し、エタノール(3〜4回)とヘキサン(3〜4回)で洗浄した。濾液を捨てた。次いで、セライト(登録商標)/シリカプラグをジクロロメタンで洗浄し、生成物を溶解した。ジクロロメタンの半分量を減圧下で除去し、イソプロパノールを添加して生成物を沈殿させ、これを濾過しメタノールとヘキサンで洗浄した。粗生成物を、1/1(v/v)ジクロロメタン/ヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付し、1.4gの生成物をfac−及びmer−異性体として得た。異性体混合物を、Rayonet中10日間、365nmの光で光異性化し、fac−異性体のみを得た。この異性体を、再度、1/1(v/v)ジクロロメタン/ヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付し、次いで昇華させて0.6g(30%)の生成物を黄色固体として得た。生成物、化合物D、をHPLC(99.2%純度)及びLC/MSで確認した。
【0168】
化合物2の合成
【0169】
実施例20:化合物2の合成
【化67】
【0170】
フラスコに、実施例12で得られたイリジウムトリフレート錯体(3.0g、3.0mmol)及び2−(ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)−4,5−ジメチルピリジン(2.8g、10.4mmol)、25mLのEtOH及び25mLのMeOHを添加した。反応混合物を36時間還流し、黄色沈殿物を得た。反応混合物を室温に冷却し、エタノールで希釈し、セライト(登録商標)を添加し、混合物を10分間撹拌した。得られた混合物を、フリット上の小シリカゲルプラグで濾過し、エタノール(3〜4回)とヘキサン(3〜4回)で洗浄した。濾液を捨てた。次いで、セライト(登録商標)/シリカプラグをジクロロメタンで洗浄し、生成物を溶解した。ジクロロメタンの半分量を減圧下で除去し、ヘキサンを添加して生成物を沈殿させ、これを濾過しヘキサンで洗浄した。粗生成物を、2/3(v/v)ジクロロメタン/ヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付し、次いで昇華させて0.55g(17%)の生成物を黄色固体として得た。生成物、化合物2、をHPLC(99.7%純度)及びLC/MSで確認した。
化合物81及び化合物82の合成
【0171】
実施例21:化合物81の合成
【化68】
【0172】
フラスコに、実施例13で得られたイリジウムトリフレート錯体(2.5g、2.2mmol)及び2−(ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)ピリジン(2.5g、10.2mmol)、25mLのEtOH及び25mLのMeOHを添加した。反応混合物を20時間還流し、黄色沈殿物を得た。反応混合物を室温に冷却し、エタノールで希釈し、セライト(登録商標)を添加し、混合物を10分間撹拌した。得られた混合物を、フリット上の小シリカゲルプラグで濾過し、エタノール(3〜4回)とヘキサン(3〜4回)で洗浄した。濾液を捨てた。次いで、セライト(登録商標)/シリカプラグをジクロロメタンで洗浄し、生成物を溶解した。ジクロロメタンの半分量を減圧下で除去し、イソプロパノールを添加して生成物を沈殿させ、これを濾過しヘキサンで洗浄した。粗生成物を、7/3(v/v)ジクロロメタン/ヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付し、次いで昇華させて1.1g(43%)の生成物を黄色固体として得た。生成物、化合物81、をHPLC(99.1%純度)及びLC/MSで確認した。
【0173】
実施例22:化合物82の合成
【化69】
【0174】
フラスコに、実施例13で得られたイリジウムトリフレート錯体(2.5g、2.2mmol)及び2−(ジベンゾ[b,d]フラン−4−イル)−4,5−ジメチルピリジン(1.6g、5.8mmol)、25mLのEtOH及び25mLのMeOHを添加した。反応混合物を36時間還流し、黄色沈殿物を得た。反応混合物を室温に冷却し、エタノールで希釈し、セライト(登録商標)を添加し、混合物を10分間撹拌した。得られた混合物を、フリット上の小シリカゲルプラグで濾過し、エタノール(3〜4回)とヘキサン(3〜4回)で洗浄した。濾液を捨てた。次いで、セライト(登録商標)/シリカプラグをジクロロメタンで洗浄し、生成物を溶解した。ジクロロメタンの半分量を減圧下で除去し、ヘキサンを添加して生成物を沈殿させ、これを濾過しヘキサンで洗浄した。粗生成物を、7/3(v/v)ジクロロメタン/ヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィーに付し、次いで昇華させて0.9g(34%)の生成物を黄色固体として得た。生成物、化合物82、をHPLC(99.6%純度)及びLC/MSで確認した。
【0175】
本明細書において記述されている種々の実施形態は、単なる一例としてのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。例えば、本明細書において記述されている材料及び構造の多くは、本発明の趣旨から逸脱することなく他の材料及び構造に置き換えることができる。したがって、特許請求されている通りの本発明は、当業者には明らかとなるように、本明細書において記述されている特定の例及び好ましい実施形態からの変形形態を含み得る。なぜ本発明が作用するのかについての種々の理論は限定を意図するものではないことが理解される。