(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5886945
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】多成分発光層を有するOLED
(51)【国際特許分類】
H01L 51/50 20060101AFI20160303BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20160303BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
H05B33/14 B
H05B33/22 D
H05B33/22 B
H05B33/10
C09K11/06 690
【請求項の数】19
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2014-512812(P2014-512812)
(86)(22)【出願日】2011年5月27日
(65)【公表番号】特表2014-519707(P2014-519707A)
(43)【公表日】2014年8月14日
(86)【国際出願番号】US2011038403
(87)【国際公開番号】WO2012166101
(87)【国際公開日】20121206
【審査請求日】2014年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】503055897
【氏名又は名称】ユニバーサル ディスプレイ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】ヴァディム・アダモヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】山本 均
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エス・ウィーバー
(72)【発明者】
【氏名】チュアンジュン・シャ
【審査官】
岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/143807(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/013783(WO,A1)
【文献】
特開2003−092185(JP,A)
【文献】
特開2006−344544(JP,A)
【文献】
特開2002−275179(JP,A)
【文献】
特開2001−110569(JP,A)
【文献】
特開平07−157473(JP,A)
【文献】
特開2005−340176(JP,A)
【文献】
特開2004−217557(JP,A)
【文献】
特開2007−277170(JP,A)
【文献】
特開2006−135147(JP,A)
【文献】
特開2006−269819(JP,A)
【文献】
特開2004−319456(JP,A)
【文献】
特開2007−221097(JP,A)
【文献】
特開2007−200938(JP,A)
【文献】
特開2006−165526(JP,A)
【文献】
特開2011−151096(JP,A)
【文献】
特開2006−245565(JP,A)
【文献】
特開2006−128636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50
C09K 11/06
H05B 33/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード電極と;
カソード電極と;
前記アノード電極と前記カソード電極との間に配置された有機電界発光層とを含み、
前記有機電界発光層が、リン光ドーパントと、次の3つの異なる化合物(a)、(b)及び(c)を含むホスト材料とを含むことを特徴とする有機発光デバイス:
(a)前記リン光ドーパントの三重項エネルギーよりも大きい三重項エネルギーを有する電子輸送ホスト化合物;
(b)前記リン光ドーパントの三重項エネルギーよりも大きい三重項エネルギーを有するホール輸送ホスト化合物;
(c)分子量が2,000未満であり、少なくとも2.0eVのバンドギャップを有し、且つ前記リン光ドーパントの三重項エネルギーよりも大きい三重項エネルギーを有する広いバンドギャップを有するホスト化合物;
ここで、前記(b)の前記ホール輸送ホスト化合物が有機金属錯体である。
【請求項2】
アノード電極と;
カソード電極と;
前記アノード電極と前記カソード電極との間に配置された有機電界発光層と;
前記有機電界発光層と前記アノード電極との間にホール注入層を含み、
前記有機電界発光層が、リン光ドーパントと、次の3つの異なる化合物(a)、(b)及び(c)を含むホスト材料とを含むことを特徴とする有機発光デバイス:
(a)前記リン光ドーパントの三重項エネルギーよりも大きい三重項エネルギーを有する電子輸送ホスト化合物;
(b)前記リン光ドーパントの三重項エネルギーよりも大きい三重項エネルギーを有するホール輸送ホスト化合物;
(c)分子量が2,000未満であり、少なくとも2.0eVのバンドギャップを有し、且つ前記リン光ドーパントの三重項エネルギーよりも大きい三重項エネルギーを有する広いバンドギャップを有するホスト化合物;
ここで、前記(b)の前記ホール輸送ホスト化合物が有機金属錯体である。
【請求項3】
広いバンドギャップを有するホスト化合物(c)が、ホール輸送ホスト化合物(b)のバンドギャップ及び電子輸送ホスト化合物(a)のバンドギャップと同等又はそれよりも大きいバンドギャップを有する請求項1及び2のいずれかに記載のデバイス。
【請求項4】
電子輸送ホスト化合物(a)のLUMOエネルギー準位が、ホール輸送ホスト化合物(b)のLUMOエネルギー準位と同等又はそれよりも低い請求項1及び2のいずれかに記載のデバイス。
【請求項5】
ホール輸送ホスト化合物(b)のHOMOエネルギー準位が、電子輸送ホスト化合物(a)のHOMOエネルギー準位と同等又はそれよりも高い請求項1及び2のいずれかに記載のデバイス。
【請求項6】
広いバンドギャップを有するホスト化合物(c)が、小分子である請求項1及び2のいずれかに記載のデバイス。
【請求項7】
有機金属錯体が、イリジウム錯体又は亜鉛錯体である請求項1及び2に記載のデバイス。
【請求項8】
電子輸送ホスト化合物(a)が、オキサジアゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、トリアジン、ベンゾチアゾール、又はカルバゾール化合物である請求項1及び2のいずれかに記載のデバイス。
【請求項9】
電子輸送ホスト化合物(a)が、有機金属錯体である請求項1及び2のいずれかに記載のデバイス。
【請求項10】
有機金属錯体が、アルミニウム錯体、亜鉛錯体、又はベリリウム錯体である請求項1及び2のいずれかに記載のデバイス。
【請求項11】
広いバンドギャップを有するホスト化合物(c)の濃度が、10〜60wt%の範囲である請求項1及び2のいずれかに記載のデバイス。
【請求項12】
電子輸送ホスト化合物(a)とホール輸送ホスト化合物(b)の濃度がそれぞれ、10〜60wt%の範囲である請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
リン光ドーパントの濃度が、0.5〜10wt%の範囲である請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
リン光ドーパントが増感剤ドーパントであり、有機電界発光層が発光体ドーパントを更に含み、前記発光体ドーパントの三重項エネルギーが前記増感剤ドーパントの三重項エネルギーよりも低い請求項1及び2のいずれかに記載のデバイス。
【請求項15】
第1の電極を提供することと;
前記第1の電極の上に有機電界発光層を形成することと;
前記有機電界発光層の上に第2の電極を形成することとを含み、
前記有機電界発光層が、リン光ドーパントと、次の3つの異なる化合物(a)、(b)及び(c)を含むホスト材料とを含むことを特徴とする有機発光デバイスを作製する方法:
(a)前記リン光ドーパントの三重項エネルギーよりも大きい三重項エネルギーを有する電子輸送ホスト化合物;
(b)前記リン光ドーパントの三重項エネルギーよりも大きい三重項エネルギーを有するホール輸送ホスト化合物;
(c)分子量が2,000未満であり、少なくとも2.0eVのバンドギャップを有し、且つ前記リン光ドーパントの三重項エネルギーよりも大きい三重項エネルギーを有する広いバンドギャップを有するホスト化合物;
ここで、前記(b)の前記ホール輸送ホスト化合物が有機金属錯体である。
【請求項16】
第1の電極を提供することと;
前記第1の電極の上に有機電界発光層を形成することと;
前記有機電界発光層の上に第2の電極を形成することを含み、
前記有機電界発光層が、リン光ドーパントと、次の3つの異なる化合物(a)、(b)及び(c)を含むホスト材料とを含むことを特徴とする有機発光デバイスを作製する方法:
(a)前記リン光ドーパントの三重項エネルギーよりも大きい三重項エネルギーを有する電子輸送ホスト化合物;
(b)前記リン光ドーパントの三重項エネルギーよりも大きい三重項エネルギーを有するホール輸送ホスト化合物;
(c)分子量が2,000未満であり、少なくとも2.0eVのバンドギャップを有し、且つ前記リン光ドーパントの三重項エネルギーよりも大きい三重項エネルギーを有する広いバンドギャップを有するホスト化合物;
ここで、前記(b)の前記ホール輸送ホスト化合物が有機金属錯体である。
【請求項17】
有機電界発光層が、ホスト材料の真空熱蒸着により形成される請求項15、及び16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
有機電界発光層化合物の2つ以上が真空熱蒸着の前に予め混合される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
電子輸送ホスト材料(a)が、オキサジアゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、トリアジン、ベンゾチアゾール、又はカルバゾール化合物である請求項15、及び16のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
特許請求されている発明は、大学・企業の共同研究契約の下記の当事者:University of Michigan、Princeton University、University of Southern California、及びUniversal Display Corporationの理事らの1又は複数によって、その利益になるように、且つ/又は関連して為されたものである。該契約は、特許請求されている発明が為された日付以前に発効したものであり、特許請求されている発明は、該契約の範囲内で行われる活動の結果として為されたものである。
【0002】
本発明は、有機発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
有機材料を利用する光電子デバイスは、いくつもの理由から、次第に望ましいものとなりつつある。そのようなデバイスを作製するために使用される材料の多くは比較的安価であるため、有機光電子デバイスは無機デバイスを上回るコスト優位性の可能性を有する。加えて、柔軟性等の有機材料の固有の特性により、該材料は、フレキシブル基板上での製作等の特定用途によく適したものとなり得る。有機光電子デバイスの例は、有機発光デバイス(OLED)、有機光トランジスタ、有機光電池及び有機光検出器を含む。
【0004】
OLEDはデバイス全体に電圧が印加されると光を放出する薄い有機膜を利用する。OLEDは、フラットパネルディスプレイ、照明及びバックライティング等の用途において使用するためのますます興味深い技術となりつつある。数種のOLED材料及び構成は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、特許文献1、特許文献2及び特許文献3において記述されている。
【0005】
リン光性発光分子の1つの用途は、フルカラーディスプレイである。そのようなディスプレイの業界標準は、「飽和(saturated)」色と称される特定の色を放出するように適合された画素を必要とする。特に、これらの標準は、飽和した赤色、緑色及び青色画素を必要とする。色は、当技術分野において周知のCIE座標を使用して測定することができる。
【0006】
緑色発光分子の一例は、下記の構造(この構造式中、及び本明細書における後出の構造式中では、金属への配位結合は直線として描写される):
【化1】
を有する、Ir(ppy)
3と表示されるトリス(2−フェニルピリジン)イリジウムである。
【0007】
本明細書において使用される場合、用語「有機」は、有機光電子デバイスを製作するために使用され得るポリマー材料及び小分子有機材料を含む。「小分子」は、ポリマーでない任意の有機材料を指し、且つ「小分子」は実際にはかなり大型であってよい。小分子は、いくつかの状況において繰り返し単位を含み得る。例えば、長鎖アルキル基を置換基として使用することは、「小分子」クラスから分子を排除しない。小分子は、例えばポリマー骨格上のペンダント基として、又は該骨格の一部として、ポリマーに組み込まれてもよい。小分子は、コア部分上に構築された一連の化学的シェルからなるデンドリマーのコア部分として役立つこともできる。デンドリマーのコア部分は、蛍光性又はリン光性小分子発光体であってよい。デンドリマーは「小分子」であってよく、OLEDの分野において現在使用されているデンドリマーはすべて小分子であると考えられている。
【0008】
本明細書において使用される場合、「頂部」は基板から最遠部を意味するのに対し、「底部」は基板の最近部を意味する。第一層が第二層「の上に配置されている」と記述される場合、第一層のほうが基板から遠くに配置されている。第一層が第二層「と接触している」ことが指定されているのでない限り、第一層と第二層との間に他の層があってもよい。例えば、間に種々の有機層があるとしても、カソードはアノード「の上に配置されている」と記述され得る。
【0009】
本明細書において使用される場合、「溶液プロセス可能な」は、溶液又は懸濁液形態のいずれかの液体媒質に溶解、分散若しくは輸送することができ、且つ/又は該媒質から堆積することができるという意味である。配位子は、該配位子が発光材料の光活性特性に直接寄与していると考えられる場合、「光活性」と称され得る。配位子は、該配位子が発光材料の光活性特性に寄与していないと考えられる場合には「補助」と称され得るが、補助配位子は、光活性配位子の特性を変化させることができる。
【0010】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるであろう通り、第一の「最高被占分子軌道」(HOMO)又は「最低空分子軌道」(LUMO)エネルギー準位は、第一のエネルギー準位が真空エネルギー準位に近ければ、第二のHOMO又はLUMOエネルギー準位「よりも大きい」又は「よりも高い」。イオン化ポテンシャル(IP)は、真空準位と比べて負のエネルギーとして測定されるため、より高いHOMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有するIP(あまり負でないIP)に相当する。同様に、より高いLUMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有する電子親和力(EA)(あまり負でないEA)に相当する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、材料のLUMOエネルギー準位は、同じ材料のHOMOエネルギー準位よりも高い。「より高い」HOMO又はLUMOエネルギー準位は、「より低い」HOMO又はLUMOエネルギー準位よりもそのような図の頂部に近いように思われる。
【0011】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるであろう通り、第一の仕事関数がより高い絶対値を有するならば、第一の仕事関数は第二の仕事関数「よりも大きい」又は「よりも高い」。仕事関数は概して真空準位と比べて負数として測定されるため、これは「より高い」仕事関数が更に負であることを意味する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、「より高い」仕事関数は、真空準位から下向きの方向に遠く離れているものとして例証される。故に、HOMO及びLUMOエネルギー準位の定義は、仕事関数とは異なる慣例に準ずる。OLEDについての更なる詳細及び上述した定義は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる特許文献4において見ることができる。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、多成分発光層を有する有機発光デバイスを提供する。1つの態様においては、本発明の有機発光デバイスは、アノード電極と;カソード電極と;前記アノード電極と前記カソード電極との間に配置された有機発光層とを含み、前記有機発光層が、リン光ドーパントと、次の3つの異なる化合物(a)、(b)及び(c)を含むホスト材料とを含む:(a)前記リン光ドーパントの三重項エネルギーよりも大きい三重項エネルギーを有する電子輸送ホスト化合物;(b)前記リン光ドーパントの三重項エネルギーよりも大きい三重項エネルギーを有するホール輸送ホスト化合物;(c)分子量が2,000未満であり、少なくとも2.0eVのバンドギャップを有し、且つ前記リン光ドーパントの三重項エネルギーよりも大きい三重項エネルギーを有する広いバンドギャップを有するホスト化合物。
【0013】
他の態様においては、本発明は、有機発光デバイスを作製する方法であって、第1の電極を提供する工程と;前記第1の電極の上に有機電界発光層を形成する工程と;前記有機電界発光層の上に第2の電極を形成する工程とを含み、前記有機電界発光層が、リン光ドーパントと、次の3つの異なる化合物(a)、(b)及び(c)を含むホスト材料とを含む方法を提供する:(a)前記リン光ドーパントの三重項エネルギーよりも大きい三重項エネルギーを有する電子輸送ホスト化合物;(b)前記リン光ドーパントの三重項エネルギーよりも大きい三重項エネルギーを有するホール輸送ホスト化合物;(c)分子量が2,000未満であり、少なくとも2.0eVのバンドギャップを有し、且つ前記リン光ドーパントの三重項エネルギーよりも大きい三重項エネルギーを有する広いバンドギャップを有するホスト化合物。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】
図3は、実施例デバイス及び比較デバイスの構造を示す。
【
図4】
図4は、実施例1のデバイスに用いられる化合物のHOMO−LUMOエネルギー準位を示す。
【
図5】
図5は、試験されたデバイスの発光効率対輝度のプロットを示す。
【
図6】
図6は、試験されたデバイスの外部量子効率(EQE)対輝度のプロットを示す。
【
図7】
図7は、試験されたデバイスの電流密度対電圧のプロットを示す。
【
図8】
図8は、試験されたデバイスの電界発光スペクトルを示す。
【
図9】
図9は、試験されたデバイスの40mA/cm
2で動作させたときの経時における輝度の減衰(即ち、デバイス寿命)のプロットを示す。
【
図10】
図10は、試験されたデバイスの作製に用いられた化合物の化学構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
概して、OLEDは、アノード及びカソードの間に配置され、それらと電気的に接続された少なくとも1つの有機層を含む。電流が印加されると、アノードが正孔を注入し、カソードが電子を有機層(複数可)に注入する。注入された正孔及び電子は、逆帯電した電極にそれぞれ移動する。電子及び正孔が同じ分子上に局在する場合、励起エネルギー状態を有する局在電子正孔対である「励起子」が形成される。光は、励起子が緩和した際に、光電子放出機構を介して放出される。いくつかの事例において、励起子はエキシマー又はエキサイプレックス上に局在し得る。熱緩和等の無輻射機構が発生する場合もあるが、概して望ましくないとみなされている。
【0016】
初期のOLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第4,769,292号において開示されている通り、その一重項状態から光を放出する発光分子(「蛍光」)を使用していた。蛍光発光は、概して、10ナノ秒未満の時間枠で発生する。ごく最近では、三重項状態から光を放出する発光材料(「リン光」)を有するOLEDが実証されている。参照によりその全体が組み込まれる、Baldoら、「Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices」、395巻、151〜154、1998;(「Baldo−I」)及びBaldoら、「Very high−efficiency green organic light emitting devices based on electrophosphorescence」、Appl.Phys.Lett.、75巻、3号、4〜6(1999)(「Baldo−II」)。リン光については、参照により組み込まれる米国特許第7,279,704号5〜6段において更に詳細に記述されている。
【0017】
図1は、有機発光デバイス100を示す。図は必ずしも一定の縮尺ではない。デバイス100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子ブロッキング層130、発光層135、正孔ブロッキング層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155及びカソード160を含み得る。カソード160は、第一の導電層162及び第二の導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。これらの種々の層の特性及び機能並びに材料例は、参照により組み込まれるUS7,279,704、6〜10段において更に詳細に記述されている。
【0018】
これらの層のそれぞれについて、更なる例が利用可能である。例えば、フレキシブル及び透明基板−アノードの組合せは、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5、844、363号において開示されている。p−ドープされた正孔輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、50:1のモル比でm−MTDATAにF
4−TCNQをドープしたものである。発光材料及びホスト材料の例は、参照によりその全体が組み込まれるThompsonらの米国特許第6,303,238号において開示されている。n−ドープされた電子輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、1:1のモル比でBPhenにLiをドープしたものである。参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5,703,436号及び同第5,707,745号は、上を覆う透明の、導電性の、スパッタリング蒸着したITO層を持つMg:Ag等の金属の薄層を有する複合カソードを含むカソードの例を開示している。ブロッキング層の理論及び使用は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,097,147号及び米国特許出願公開第2003/0230980号において更に詳細に記述されている。注入層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第7,071,615号において提供されている。保護層についての記述は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第7,071,615号において見ることができる。
【0019】
図2は、反転させたOLED200を示す。デバイスは、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、及びアノード230を含む。デバイス200は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。最も一般的なOLED構成はアノードの上に配置されたカソードを有し、デバイス200はアノード230の下に配置されたカソード215を有するため、デバイス200は「反転させた」OLEDと称されることがある。デバイス100に関して記述されたものと同様の材料を、デバイス200の対応する層において使用してよい。
図2は、いくつかの層が如何にしてデバイス100の構造から省略され得るかの一例を提供するものである。
【0020】
図1及び2において例証されている単純な層構造は、非限定的な例として提供されるものであり、本発明の実施形態は多種多様な他の構造に関連して使用され得ることが理解される。記述されている特定の材料及び構造は、事実上例示的なものであり、他の材料及び構造を使用してよい。機能的なOLEDは、記述されている種々の層を様々な手法で組み合わせることによって実現され得るか、又は層は、設計、性能及びコスト要因に基づき、全面的に省略され得る。具体的には記述されていない他の層も含まれ得る。具体的に記述されているもの以外の材料を使用してよい。本明細書において提供されている例の多くは、単一材料を含むものとして種々の層を記述しているが、ホスト及びドーパントの混合物等の材料の組合せ、又はより一般的には混合物を使用してよいことが理解される。また、層は種々の副層を有してもよい。本明細書における種々の層に与えられている名称は、厳しく限定することを意図するものではない。例えば、デバイス200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し、正孔を発光層220に注入し、正孔輸送層又は正孔注入層として記述され得る。一実施形態において、OLEDは、カソード及びアノードの間に配置された「有機層」を有するものとして記述され得る。有機層は単層を含んでいてよく、又は、例えば
図1及び2に関して記述されている通りの異なる有機材料の多層を更に含んでいてよい。
【0021】
参照によりその全体が組み込まれるFriendらの米国特許第5,247,190号において開示されているもののようなポリマー材料で構成されるOLED(PLED)等、具体的には記述されていない構造及び材料を使用してもよい。更なる例として、単一の有機層を有するOLEDが使用され得る。OLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第5,707,745号において記述されている通り、積み重ねられてよい。OLED構造は、
図1及び2において例証されている単純な層構造から逸脱してよい。例えば、基板は、参照によりその全体が組み込まれる、Forrestらの米国特許第6,091,195号において記述されている通りのメサ構造及び/又はBulovicらの米国特許第5,834,893号において記述されている通りのくぼみ構造等、アウトカップリングを改良するための角度のついた反射面を含み得る。
【0022】
別段の規定がない限り、種々の実施形態の層のいずれも、任意の適切な方法によって堆積され得る。有機層について、好ましい方法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,013,982号及び同第6,087,196号において記述されているもの等の熱蒸着、インクジェット、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第6,337,102号において記述されているもの等の有機気相堆積(OVPD)、並びに参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願第10/233,470号において記述されているもの等の有機気相ジェットプリンティング(OVJP)による堆積を含む。他の適切な堆積法は、スピンコーティング及び他の溶液ベースのプロセスを含む。溶液ベースのプロセスは、好ましくは、窒素又は不活性雰囲気中で行われる。他の層について、好ましい方法は熱蒸着を含む。好ましいパターニング法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,294,398号及び同第6,468,819号において記述されているもの等のマスク、冷間圧接を経由する堆積、並びにインクジェット及びOVJD等の堆積法のいくつかに関連するパターニングを含む。他の方法を使用してもよい。堆積する材料は、特定の堆積法と適合するように修正され得る。例えば、分枝鎖状又は非分枝鎖状であり、且つ好ましくは少なくとも3個の炭素を含有するアルキル及びアリール基等の置換基は、溶液プロセシングを受ける能力を増強するために、小分子において使用され得る。20個以上の炭素を有する置換基を使用してよく、3〜20個の炭素が好ましい範囲である。非対称構造を持つ材料は、対称構造を有するものよりも良好な溶液プロセス性を有し得、これは、非対称材料のほうが再結晶する傾向が低くなり得るからである。溶液プロセシングを受ける小分子の能力を増強するために、デンドリマー置換基が使用され得る。
【0023】
本発明の実施形態に従って製作されたデバイスは、フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニター、テレビ、掲示板、屋内若しくは屋外照明及び/又は信号送信用のライト、ヘッドアップディスプレイ、完全透明ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンター、電話、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダー、ファインダー、マイクロディスプレイ、車、大面積壁、劇場又はスタジアムのスクリーン、或いは看板を含む多種多様な消費者製品に組み込まれ得る。パッシブマトリックス及びアクティブマトリックスを含む種々の制御機構を使用して、本発明に従って製作されたデバイスを制御することができる。デバイスの多くは、摂氏18度から摂氏30度、より好ましくは室温(摂氏20〜25度)等、ヒトに快適な温度範囲内での使用が意図されている。
【0024】
本明細書において記述されている材料及び構造は、OLED以外のデバイスにおける用途を有し得る。例えば、有機太陽電池及び有機光検出器等の他の光電子デバイスが、該材料及び構造を用い得る。より一般的には、有機トランジスタ等の有機デバイスが、該材料及び構造を用い得る。
【0025】
ハロ、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリルキル、複素環式基、アリール、芳香族基及びヘテロアリールの用語は当技術分野において公知であり、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,279,704号の31〜32段において定義されている。
【0026】
有機発光デバイス中の発光層のホスト材料は、アノード及びカソードから注入された電荷キャリアの輸送及び再結合のための固体媒体を提供する。ホスト材料に使用される化合物は、それらの電荷輸送性に従って分類することができる。主に電子輸送性であるホスト化合物もあれば、主にホール輸送性であるホスト化合物もある。ホスト化合物は、1つの種類の電荷を主に輸送するとして特徴付けることができるが、本発明における化合物は、両方の種類の電荷を輸送してもよい。
【0027】
1つの態様においては、本発明の有機発光デバイスは、ホスト材料に分散されたリン光ドーパントを含む有機電界発光層を有する。前記ホスト材料は、少なくとも3つの異なる化合物:広いバンドギャップを有するホスト化合物、電子輸送ホスト化合物、及びホール輸送ホスト化合物の混合物である。「ホスト化合物」及び「コホスト」という用語は、相互変換可能に用いられる。ホスト化合物及びコホスト化合物は、リン光ドーパントの三重項エネルギーよりも大きな三重項エネルギーを有する。このエネルギー構成により、ドーパントにおける三重項励起状態の閉じ込めが可能になる。発光層における更なるコホストの使用により、励起子と電荷キャリアとの相互作用を低減することができ、これにより励起子の消滅が低減され、デバイス効率及び/又は寿命を改善することができる。
【0028】
更に、広いバンドギャップを有するホスト化合物は、少なくとも2.0eVのHOMO−LUMOバンドギャップを有する。用いるリン光ドーパントに応じて、幾つかの場合においては、広いバンドギャップを有するホスト化合物は、少なくとも2.5eVのHOMO−LUMOバンドギャップを有し、幾つかの場合においては、少なくとも3.0eVのHOMO−LUMOバンドギャップを有する。幾つかの場合においては、広いバンドギャップを有するホスト化合物のHOMO−LUMOバンドギャップは、電子輸送ホスト化合物及びホール輸送ホスト化合物のHOMO−LUMOバンドギャップと同等又はそれよりも大きい。広いバンドギャップを有するホスト化合物は、発光層中でいずれのタイプの電荷も容易には輸送しない。特に、広いバンドギャップを有するホスト化合物は、ホール輸送コホストよりも低いホール移動度を有し、且つホール輸送コホストよりも低い電子移動度を有する。幾つかの場合においては、広いバンドギャップを有するホスト化合物は、2,000未満の分子量を有し、幾つかの場合においては、1,500未満の分子量を有し、幾つかの場合においては、900未満の分子量を有する。幾つかの場合においては、広いバンドギャップを有するホスト化合物は、小分子である。広いバンドギャップを有するホスト化合物は、発光層の他の成分と十分に混合することができ、アモルファス膜の形成を促進できることが好ましい。
【0029】
前記広いバンドギャップを有するホスト化合物として好適に用いられる広いバンドギャップを有する化合物としては、米国特許出願公開第2004/0209115号及び第2004/0209116号(いずれもThompson et al.による)に記載されている化合物が挙げられる。幾つかの場合においては、前記広いバンドギャップを有するホスト化合物は、下記の部分の少なくとも1つを分子中に含む。
【化2】
【0030】
前記化学構造式中、R
1〜R
7は、それぞれ独立して、水素、重水素、アルキル、アルコキシ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであり;kは、0〜20の整数であり;X
1〜X
8は、それぞれ独立して、CH又はNである。前記広いバンドギャップを有するホスト化合物として用いることができる有機化合物の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【化3】
【0031】
発光層のホスト材料は、電子輸送ホスト化合物を更に含み、前記電子輸送ホスト化合物は、発光層中で主に電子輸送を行う(即ち、ホール移動度よりも大きい電子移動度を有する)任意の化合物とすることができる。幾つかの場合においては、電子輸送ホスト化合物は、2,000未満の分子量を有し、幾つかの場合においては、1,500未満の分子量を有し、幾つかの場合においては、900未満の分子量を有する。幾つかの場合においては、電子輸送ホスト化合物は、小分子である。電子輸送コホストのバンドギャップは、リン光ドーパントのバンドギャップよりも大きく、幾つかの場合においては、電子輸送コホストのバンドギャップは、少なくとも2.0eVである。
【0032】
幾つかの場合においては、電子輸送ホスト化合物は、オキサジアゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、トリアジン、ベンゾチアゾール、又はカルバゾールとすることができる。幾つかの場合においては、電子輸送コホストは、アルミニウム、亜鉛、又はベリリウムの錯体などの有機金属錯体とすることができる。このような有機金属錯体としては、下記の錯体が挙げられる。
【化4】
【0033】
幾つかの場合においては、電子輸送コホストは、下記の部分の少なくとも1つを分子中に含む有機化合物である。
【化5】
【0034】
前記化学構造式中、X
1〜X
8は、CH又はNであり、X
1〜X
8の少なくとも1つはNである。電子輸送コホストとして用いることができる有機化合物の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【化6】
【0035】
発光層のホスト材料は、ホール輸送ホスト化合物を更に含み、前記ホール輸送ホスト化合物は、発光層中で主にホール輸送を行う(即ち、電子移動度よりも大きいホール移動度を有する)任意の化合物とすることができる。幾つかの場合においては、ホール輸送ホスト化合物は、2,000未満の分子量を有し、幾つかの場合においては、1,500未満の分子量を有し、幾つかの場合においては、900未満の分子量を有する。幾つかの場合においては、ホール輸送ホスト化合物は、小分子である。ホール輸送コホストのバンドギャップは、リン光ドーパントのバンドギャップよりも大きく、幾つかの場合においては、ホール輸送ホスト化合物のバンドギャップは、少なくとも2.0eVである。幾つかの場合においては、電子輸送ホスト化合物のLUMOエネルギー準位は、ホール輸送ホスト化合物のLUMOエネルギー準位と同等又はそれよりも低い(同等に電気陰性である又はより電気陰性である)。幾つかの場合においては、ホール輸送ホスト化合物のHOMOエネルギー準位は、ホール輸送ホスト化合物のHOMOエネルギー準位と同等又はそれよりも高い(同等に電気陰性である又はより電気陰性ではない)。有機化合物のHOMO及びLUMO準位を見積もる方法は、米国特許第7,045,952号に記載の方法など、当該技術分野においてよく知られており、電子構造モデリングのためのガウシアンソフトフェアプログラムなどの市販のソフトウェアパッケージを用いて計算することができる。
【0036】
幾つかの場合においては、電子輸送コホストは、イリジウム又は亜鉛の錯体などの有機金属錯体とすることができる。電子輸送コホストとして用いることができる有機金属錯体としては、下記の錯体が挙げられる。
【化7】
【0037】
幾つかの場合においては、ホール輸送コホストは、カルバゾール又はトリアリールアミン化合物であり、例えば、下記の部分の少なくとも1つを分子中に含むカルバゾール又はトリアリールアミン化合物などである。
【化8】
【0038】
ホール輸送コホストとして用いることができる有機化合物の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
【化9】
【化10】
【0039】
任意の好適なリン光ドーパントを発光層に用いることができ、例えば、下記の表3のドーパントが挙げられる。コホストの選択は、リン光ドーパントの選択によって変わる。幾つかの実施形態においては、電界発光層は、更なるドーパントを含む。例えば、電界発光層は、増感剤ドーパントとして第1のリン光ドーパントを、リン光又は蛍光のいずれでもよい発光体として第2のドーパントを含んでもよい。増感剤ドーパントは、ホストから発光体ドーパントへのエネルギー移動を助ける。この場合、発光体ドーパントは、増感剤ドーパントの三重項エネルギーよりも低い三重項エネルギーを有し、増感剤ドーパントの三重項エネルギーは、ホスト化合物の三重項エネルギーよりも低い。このように複数のドーパントを用いることは、発光色の調節、寿命の延長、及び/又はデバイス効率の改善のために有用となり得る。
【0040】
ドーパント、広いバンドギャップを有するホスト化合物、電子輸送ホスト化合物、及びホール輸送ホスト化合物の相対量は、特定の用途に応じて変わる。本発明の混合されたホスト材料を用いることにより、発光層中のドーパント濃度を低下させることができる。幾つかの場合においては、ドーパントは、発光層の0.5〜10wt%の量で存在し、広いバンドギャップを有するホスト化合物は、10〜60wt%の量で存在し、電子輸送ホスト化合物は、10〜60wt%の量で存在し、ホール輸送ホスト化合物は、10〜60wt%の量で存在する。しかしながら、他の濃度も可能である。ドーパントが複数ある場合には、各ドーパントは、発光層の0.5〜10wt%の量で存在することができる。
【0041】
発光層の化合物は、任意の好適な堆積技術を用いて堆積させることができ、例えば、真空熱蒸着などの気相堆積技術が挙げられる。発光層における各種化合物は、別々に又は組み合わせて堆積させることができる。例えば、各化合物を個別に制御された速度で堆積してもよいし、或いは、ホスト化合物の2つ以上を予め混合し、次いで一緒に蒸着してもよい。
【実施例】
【0042】
図3に示す構造を有する実験デバイス(実施例1)を作製した。
図10は、デバイスの作製に使用した化合物の幾つかの化学構造を示す。デバイスは、ITOアノード及びLiF/Alカソードを有する。アノードとカソードとの間に挟まれているのは、化合物HIL−1からなる厚み100Åのホール注入層、NPDからなる厚み400Åのホール輸送層、厚み300Åの発光層、化合物H2からなる厚み100Åのブロッキング層、及びAlqからなる厚み450Åの電子輸送層である。発光層は、ホストとして化合物H2を、コホストとして40wt%の濃度で化合物H1を、コホストとして20wt%の濃度で化合物S1を、4wt%の濃度でドーパントR1を用いて作製した。これらの化合物のHOMO−LUMOエネルギー準位を、下記の
図4及び表1に示す。発光層は、これらの化合物の真空熱蒸着を個別に制御された速度で行うことにより堆積させた。
【0043】
【表1】
【0044】
比較デバイスCE1〜4は、発光層の組成が異なる以外は、実験デバイス実施例1と同一の構造を有する。比較デバイスCE5は、ブロッキング層を設けず、電子輸送層の厚みが550Åであり、発光層の組成が異なること以外は、実験デバイス実施例1と同一の構造を有する。下記の表2は、これらのデバイスにおける発光層の組成を示す。
【0045】
これらのデバイスを各種試験プロトコルに付し、その性能を評価した。
図8は、これらのデバイスからの発光の電界発光スペクトルを示す。下記の表2は、1931CIE色空間座標、λ
max、及び発光ピークの半値全幅(FHWM)を示す。これらのデータから、発光のスペクトル特性が、比較デバイスと比べて実施例1の実験デバイスでは、あまり変化しなかったことが分かる。
【0046】
図5は、試験デバイスの発光効率対輝度のプロットを示す。同図に見られるように、実験デバイス実施例1は、広範囲の輝度レベルに亘ってより高い発光効率を有する。この改善された発光効率は、表2における1,000ニト及び10,000ニトでデバイスを動作させたときのLE(発光効率)の欄にも示されている。
【0047】
図6は、試験デバイスの外部量子効率(EQE)対輝度のプロットを示す。同図に見られるように、実験デバイス実施例1は、広範囲の輝度レベルに亘ってより高い外部量子効率を有する。この改善された外部量子効率は、表2における1,000ニト及び10,000ニトでデバイスを動作させたときのEQEの欄にも示されている。
【0048】
図7は、試験デバイスの電流密度対電圧(即ち、J−Vプロット)を示す。同図に示されるように、実験デバイス実施例1は、比較デバイスと同等のJ−V特性を有する。表2もまた、1,000ニト及び10,000ニトで動作させたときの実験デバイス実施例1の改善された電力効率(PE)を示している。
【0049】
図9は、試験デバイスを室温にて40mA/cm
2の一定のDC電流密度で動作させたときの経時における輝度の減衰(即ち、デバイス寿命)のプロットを示す。表2もまた、輝度が初期レベルの95%(LT95%)まで減衰するまでの動作時間を示している。デバイスは、それぞれ異なる発光効率を有するので、40mA/cm
2での各デバイスの初期輝度も表2に示す。デバイス安定性の比較のために、LT95%及び40mA/cm
2で動作させたときのデバイスの初期輝度からの加速係数を2と仮定して、同一輝度における10,000ニトのLT95%を計算した。これらのデータから、本発明のデバイスが改善された動作効率とより長い寿命を有することができることが分かる。これらの改善は、より高い輝度レベル(例えば、10,000ニト)で特に顕著であり、発光層中でより高い程度の励起子消滅が生じている。
【表2-1】
【表2-2】
【0050】
本明細書において記述されている種々の実施形態は、単なる一例としてのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。例えば、本明細書において記述されている材料及び構造の多くは、本発明の趣旨から逸脱することなく他の材料及び構造に置き換えることができる。したがって、特許請求されている通りの本発明は、当業者には明らかとなるように、本明細書において記述されている特定の例及び好ましい実施形態からの変形形態を含み得る。なぜ本発明が作用するのかについての種々の理論は限定を意図するものではないことが理解される。
【0051】
リン光ドーパントの例
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】米国特許第5,844,363号明細書
【特許文献2】米国特許第6,303,238号明細書
【特許文献3】米国特許第5,707,745号明細書
【特許文献4】米国特許第7,279,704号明細書
【符号の説明】
【0053】
100 有機発光デバイス
110 基板
115 アノード
120 正孔注入層
125 正孔輸送層
130 電子ブロッキング層
135 発光層
140 正孔ブロッキング層
145 電子輸送層
150 電子注入層
155 保護層
160 カソード
162 第一の導電層
164 第二の導電層
200 反転させたOLED、デバイス
210 基板
215 カソード
220 発光層
225 正孔輸送層
230 アノード