(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5886955
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】蓋と協動する取っ手を具備する調理器具
(51)【国際特許分類】
A47J 45/06 20060101AFI20160303BHJP
A47J 27/00 20060101ALI20160303BHJP
A47J 36/12 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
A47J45/06 E
A47J27/00 101Z
A47J27/00 101D
A47J36/12
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-519602(P2014-519602)
(86)(22)【出願日】2012年7月5日
(65)【公表番号】特表2014-522691(P2014-522691A)
(43)【公表日】2014年9月8日
(86)【国際出願番号】FR2012051579
(87)【国際公開番号】WO2013007929
(87)【国際公開日】20130117
【審査請求日】2015年4月28日
(31)【優先権主張番号】1156364
(32)【優先日】2011年7月13日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョセリン ボウネル
【審査官】
大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2006/0278095(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0184079(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第1369072(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 45/06
A47J 27/00
A47J 36/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁(3、3a、3b)を具備する保護容器(2、2a、2b)と、前記保護容器(2、2a、2b)を覆うように成された蓋(4、4a、4b)と、取っ手を側壁(3、3a、3b)に固定するための固定手段を備える前記取っ手(5、5a)とを含む調理器具(1、1a、1b)であって、前記取っ手(5、5a)が、電気エネルギー発生源(6、6a)と、前記電気エネルギー発生源(6、6a)から電源が供給され制御手段によって制御される電気機械装置(20、20a)とを含み、前記電気機械装置(20、20a)が、前記蓋(4、4a、4b)を移動させるために前記蓋に作用する作動装置(30、30a、30b)を駆動するよう成される調理器具において、前記作動装置(30、30a)が、レバーが前記取っ手(5、5a)の内部にある休止位置と作動位置との間で可動なレバーを含み、前記作動位置では、前記レバーが前記取っ手(5、5a)の上面(51、51a)から突出し、前記保護容器(2、2a)上に置かれた前記蓋(4、4a)が持ち上げられ、したがって、食品が前記保護容器(2、2a)内で加熱される時に蒸気の流量が調節されることを特徴とする調理器具。
【請求項2】
前記レバーが、回転可動なカム(31)で形成されることを特徴とする請求項1に記載の調理器具(1)。
【請求項3】
前記レバーが、平行運動可能な少なくとも1つのピストン(40)で形成されることを特徴とする請求項2に記載の調理器具(1a)。
【請求項4】
前記電気機械装置(20、20a)が、前記作動装置(30、30a、30b)を駆動するためのモーター(21、41)を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の調理器具(1、1a、1b)。
【請求項5】
前記電気エネルギー発生源(6.6a)が、充電器により再充電されるように成された再充電可能電気エネルギー発生源であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の調理器具(1、1a、1b)。
【請求項6】
前記取っ手(5a)を前記側壁(3a)に、取り外しできるよう固定するために、前記取っ手(5a)の前記固定手段が切り離し可能であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の調理器具(1a)。
【請求項7】
フライパン、鍋、深型フライパン、または深鍋であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の調理器具(1、1a、1b)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を調理するための調理器具、特に、取っ手および蓋を有するフライパン、鍋、深型フライパン、深鍋、または圧力鍋に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、食品を撹拌するために、バッテリーを電源とするモーターと、モーターにより回転駆動される撹拌器とを含む蓋を具備する調理器具が知られている。かかる構成により、ユーザーを支援するためモーターおよびバッテリーを用いるかき混ぜ機能を機械化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】CH686338
【特許文献2】仏国特許出願公開第2898031号明細書
【発明の概要】
【0004】
しかしながらかかる蓋を有する調理器具では、ユーザーが食品の調理を監視することは容易ではない。実際、主にモーターおよびバッテリーの重量により蓋が重くなり、したがって取り扱いが難しくなる。さらに、モーターおよびバッテリーにより蓋の上部に突起が生じるため、蓋を具備する調理器具の収納が複雑になる。
【0005】
本発明の目的は、前出の欠点を解消し、ユーザーが調理器具を容易かつ安全に取り扱うことができるよう最適化された人間工学性を有する蓋を具備する調理器具を提案することである。
【0006】
本発明の別の目的は、容易に収納できる蓋を具備する調理器具を提案することである。
【0007】
本発明の別の目的は、設計が単純で作製が安価である蓋を具備する調理器具を提案することである。
【0008】
これらの目的は、側壁を具備する保護容器と、保護容器を覆うように成された蓋と、取っ手を側壁に固定するための固定手段を備える取っ手とを含む調理器具であって、前記取っ手が、電気エネルギー発生源と、電気エネルギー発生源から電源が供給され制御手段によって制御される電気機械装置とを含むこと、および電気機械装置が、蓋を移動させるために蓋に作用する作動装置を駆動するよう成されることを特徴とする調理器具によって達成される。
【0009】
かかる構成により、蓋を使用するにあたり機械化された機能をユーザーに提供する蓋を具備する調理器具を得ることが可能になる。機能の機械化を可能にする重くてかさがある構成要素、すなわちエネルギー発生源、電気機械装置および作動装置は取っ手の中に位置決めされる。それにより、蓋が重くならないようにし、また突起が生じないようにすることができる。したがって、蓋の使用および収納のしやすさは依然として確保される。さらに、重い構成要素が取っ手内に配設されることにより、ユーザーが握る取っ手側に重心が移動するので人間工学性を向上させることが可能になる。
【0010】
有利には、作動装置は、レバーが取っ手の内部にある休止位置と作動位置との間で可動なレバーを含み、作動位置では、レバーが取っ手の上面から突出し、保護容器上に置かれた蓋が持ち上げられ、したがって、食品が保護容器内で加熱される時に蒸気の流量が調節される。
【0011】
この配置により、蒸気の排出機能を機械化することが可能になる。ユーザーは、取っ手上に配設された制御手段を用いることにより、蓋に触れることなく、したがって火傷をするリスクなく、蒸気の排出を調節することができる。
【0012】
レバーは、回転可動なカムで形成されるのが好ましい。
【0013】
この配置により、可動レバーが容易かつ安価に得られる。
【0014】
レバーは、平行移動可能な少なくとも1つのピストンで形成されることが有利である。
【0015】
好ましくは、蓋は環状ラックを含み、作動装置は電気機械装置により回転駆動されるスプロケットを含み、前記スプロケットは、保護容器上で蓋を回転させるためにラックと協動する。
【0016】
この配置により、きわめて軽量で、取り扱いおよび収納が容易な、保護容器上で回転する蓋が得られる。
【0017】
有利には、蓋は、保護容器内に配置された食品のかき混ぜまたは粉砕手段を含み、前記かき混ぜまたは粉砕手段は、蓋が保護容器上で回転された時、食品に作用する。
【0018】
この構成により、保護容器内に配置された食品のかき混ぜまたは粉砕機能を機械化することが可能になる。
【0019】
かき混ぜ手段は撹拌羽根を含むのが好ましい。
【0020】
電気機械装置は、作動装置を駆動するためのモーターを含むのが有利である。
【0021】
この構成により、きわめて安価な作動装置の駆動を得ることができる。
【0022】
電気エネルギー発生源は、充電器により再充電されるように成された再充電可能電気エネルギー発生源であるのが好ましい。
【0023】
この構成により、想定する機能を機械化するのに充分な駆動可能時間を得ることができる。
【0024】
取っ手を側壁に取り外しできるように固定するために、前記取っ手の固定手段が切り離し可能であるのが有利である。
【0025】
この配置により、調理器具をよりうまく整頓できること、およびバッテリーの再充電を容易にすることもまた可能であり、バッテリーを具備する取っ手は、いったん調理器具から切り離されれば、再充電台上に配置することができる。
【0026】
調理器具は、フライパン、鍋、深型フライパン、または深鍋であるのが好ましい。
【0027】
本発明は、完全に非限定的例として用いられかつ添付の図面で示される実施形態の検討によってより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の個別の実施形態による調理器具および蓋の断面略図である。
【
図2】
図1に示す線分II−IIによる調理器具の取っ手の略図である。
【
図3】蓋を持ち上げた状態の、
図1の調理器具の部分断面略図である。
【
図4】
図3に示す線分IV−IVによる調理器具の取っ手の略図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態による調理器具、蓋および取り外し可能取っ手の部分断面略図である。取っ手の断面は
図6に示される線分V−Vによるものである。
【
図6】
図5の調理器具の取り外し可能取っ手の斜視図である。
【
図7】蓋を持ち上げた状態の、
図5の調理器具、蓋および取り外し可能取っ手の部分断面略図である。取っ手の断面は
図8に示される線分VII−VIIによるものである。
【
図8】
図7の調理器具の取り外し可能取っ手の斜視図である。
【
図9】本発明の第3の実施形態による調理器具および回転駆動される蓋の部分断面略図である。
【
図10】
図9の線分X−Xによる調理器具の取っ手の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1から
図4に示す第1の実施形態によれば、調理器具1は、側壁3を具備する保護容器2と、保護容器2を覆うように成された蓋4と、取っ手5とを備える。取っ手5は固定手段(図示せず)により側壁3に固定される。固定手段は、保護容器に固定されたスタッドボルトであって取っ手の開口部内に配設されたねじと協動するスタッドボルトを含むことができる。
【0030】
側壁3は、蓋4が載架する上縁15を備える。蓋4は、上縁15を超えて半径方向に延びほぼ水平な壁を形成する材料戻し部11を具備する外縁10を含む。蓋4の外縁10は上縁上にセンタリングショルダー12を含む。
【0031】
取っ手5は細長い形を有し、側壁3から長手方向Xに延びる。取っ手5は、電気エネルギー発生源6と、電気エネルギー発生源6から電源が供給され制御手段により制御される電気機械装置20、ならびに電気機械装置20により駆動される作動装置30を含む。
【0032】
作動装置30は、回転可動なカム31であって、蓋4の縁10が保護容器2に載架した時、取っ手5の前端内の蓋の縁の下に配設されるカム31を形成するレバーを含む。カム31は、ジャーナル35により回転案内されるシャフト32の第1の端部33に配設される。シャフト32は、電気モーター21で形成される電気機械装置により回転駆動される第2の端部34を備える。
【0033】
取っ手5は上面51を含み、その上面の下にはハウジング36が配設される。カム31はハウジング36内に収納され、取っ手5の上面51により外部に開口する。カム31は、作動装置が、カム31がハウジング36の内部にある休止位置(
図1および
図2)と、カム31が取っ手5の上面51から突出する作動位置(
図3および
図4)との間で可動であるよう、電気モーター21により回転駆動される。休止位置ではカム31の主軸は取っ手5の水平面とほぼ平行である。作動位置では、カム31の主軸は、取っ手5の水平面に対しほぼ直角であり、保護容器2が水平支持体上に置かれた時には上を向く。
【0034】
作動位置ではカム31は縁10に載架し、蓋4は傾斜位置において持ち上げられ間隙37ができ、保護容器2内で食品が加熱されると、その間隙から蒸気を逃がすことができる。作動位置における間隙37の値は最大で25ミリメートルである。
【0035】
ユーザーが空隙37を発生する蒸気量に合わせて調節できるよう、カム31は休止位置と作動位置の間で複数の中間位置を取ることができるのが好ましい。
【0036】
電気モーター21は減速ギア25を備えるのが好ましい。たとえば、電気モーターの回転速度は、カムをたとえば2秒間で90°というように休止位置から作動位置に移動させるのに適している。モーターの出力はおよそ2ワットとすることができる。
【0037】
電気エネルギー発生源6は、充電可能電気エネルギー発生源(蓄電池またはスーパーキャパシタ)あるいは1または複数の電池を備えることができる。たとえば、蓄電池は3.6ボルトの電圧および780ミリアンペア時の電流を有することが可能である。電気エネルギー発生源6は、調理器具1からは独立した充電器で再充電できるよう、取り外し可能とすることができる。
【0038】
カム31は取っ手5の前端に配設され、電気エネルギー発生源6は取っ手5の後端の近傍に配設されるのが好ましい。制御手段、電気機械装置20および作動装置30は、カム31と電気エネルギー発生源6との間に配設される。電気機械装置20、作動装置30および電気エネルギー発生源6は長手方向(X)においてほぼ一列に配置され、ユーザーが調理器具1を持ち上げるにあたり取っ手を把握できるよう充分に細長いコンパクトな取っ手5が提供される。
【0039】
制御手段は、取っ手5の外側からアクセス可能である制御ボタン22と、制御ボタン22および電気機械装置20に接続された電子回路(図示せず)とを備える。
図1および
図3の例においては、制御ボタン22は取っ手5上に配設される。ユーザーが制御ボタン22を作動させると、電子回路に信号が送信され、電子回路は電気モーター21の回転を制御する。
【0040】
制御ボタン22は3つの位置を含む、すなわち、安定した休止位置と、蓋4の開動作専用の電気モーター21の第1の回転方向を選択するための前方切り換え位置と、蓋4の閉動作専用の反対方向への第2の回転方向である。
【0041】
運転時においては、ユーザーは調理する食品を調理器具1に入れ、調理を実際に行うにあたっては、調理器具1を加熱源上に置く。彼は蓋4を手に取り、外縁10を上縁15上に位置決めする。カム31は取っ手5内の休止位置にある。いったん食品の調理が始まったら、ユーザーは蒸気の開放を所望した時点で、制御ボタン22を押すことにより電気モーター21を起動する。これによりカム31は回転を開始し、縁10に載架して蓋4を持ち上げる。間隙37が生じ、そこから蒸気を逃がすことができる。ユーザーは、調理の進行および加熱源の調整に応じて、間隙37が最大となる作動位置と、間隙37が最小となる休止位置との間でカム31の位置を調節することにより、蒸気の排出量を変えることができる。
【0042】
図5から
図8に示す変形形態においては、調理器具1aは、側壁3aを具備する保護容器2aと、保護容器2aを覆うように成された蓋4aと、取っ手5aとを備える。取っ手5aは、前記取っ手5aを取り外し可能な方法で側壁3aに固定するために、切り離し可能な固定手段を含む。固定手段は、コレットを形成する2つの爪60、61を備え、そのうちの一方の爪60は他方の爪61に対し、開位置と、コレットを形成する2つの爪60、61が調理器具1の側壁3aを挟む閉位置との間で平行移動可能である。固定手段は、コレットを形成する爪60、61を開位置と閉位置との間で移動させるよう成された移動手段も備える。移動手段は、遠隔位置と、取っ手5aの内部に格納された位置との間で旋回可能に取っ手5a上に取り付けられるレバー62を備える。クランクユニット63は、ユーザーが手動でレバー62を旋回させると、可動爪60を平行移動させるよう成されている。そのような取り外し可能取っ手は特許文献2においてより詳細に記載されている。
【0043】
この実施形態においては、取っ手5aは、保護容器2a上に置かれた蓋4を同じく持ち上げることができる作動装置30aを備える。作動装置30aは、それぞれモーター41で駆動される2つのピストン40で形成されるレバーを備える。モーター41はねじ/ナットシステム(図示せず)を含む。ナットは回転駆動され、ねじによりピストン40に作用する。これらのモーター41には、取っ手5aの把握体50a内に格納されたエネルギー発生源6aから電源が供給される。ピストン40は、それらが把握体50aの中に(完全に、あるいはほぼ完全に)収納される休止位置(
図5および
図6)と、それらが取っ手の上面51aからそれに対しほぼ直角に突出する作動位置(
図7および
図8)の間で、長手方向(X)に対し直角な方向に平行移動可能である。ピストン40は、長手方向(X)に対し直角な方向において、把握装置の前縁に沿って一列に配置される。
【0044】
取っ手5aは側壁の上部から保護容器2aの側壁3aを挟む。
図5に示すように、蓋4aは、ピストン40が休止(格納)位置にある時、ピストン40に載架し可動爪60を覆うように形成され、蓋4aと取っ手5aの間の間隙が最小になるようにされる。蓋4aは、ピストン40が押圧するようになる外周部上に載架縁10aを備える。ピストン40は、作動位置(
図7および
図8)にある時には、蓋4aの載架縁10aに接触し、それを上方に押すので、蓋4aと取っ手5aの可動爪60との間に間隙37aが形成される。こうして蓋4aと保護容器2aの上縁との間に間隙37aが形成され、そこを蒸気が通ることができる。
【0045】
変形形態においては、ピストンは、電磁石、特に、円筒形本体と、金属製ロッドを動かすコイルとを備える「プッシュ」型電磁石によって駆動することができる。
【0046】
再充電可能電気エネルギー発生源を使用する場合には、再充電可能電気エネルギー発生源6aへの電流の再充電ができるよう、取っ手5aは、取っ手の外部からアクセス可能な電気接続手段を備える。電気接続手段は、再充電可能電気エネルギー発生源6aに接続された2つの電気接続端子65を備えることができる。2つの電気接続端子65は、電気エネルギー発生源6への電流の再充電が行えるよう、再充電ベース上に設けられた2つの電気接続端子に取り外し可能な方法で接続可能である。電気接続端子65は取っ手5aの後方に配設される。
【0047】
変形形態においては、制御手段は、作動装置を制御するために、保護容器内の蒸気の存在の検出手段を含む。この変形形態により蒸気排出機能を自動化することができ、よって、調理器具内の食品の調理の監視を軽減することができる。たとえば、パスタの調理の際、沸騰の監視不足による溢れのリスクを回避することができる。検出手段はたとえば、湯の沸騰を検出する温度センサー、光学センサー、または容量性電極を具備する電気センサーを含むことができる。
【0048】
図9および
図10に示す別の実施形態によれば、調理器具1bは、側壁3bを具備する保護容器2bと、保護容器2bおよび取っ手5を覆うように成された蓋4bとを備える。側壁3bは、蓋4bが載架する上縁15bを備える。蓋4bは、上縁15bを超えて半径方向に延びほぼ水平な壁を形成する材料戻し部11bを具備する外縁10bを含む。蓋4bの縁10bは上縁上にセンタリングショルダー12bを含む。
【0049】
作動装置30bは、電気機械装置20により回転駆動されるスプロケット45を含む。スプロケット45は、蓋4bが保護容器2bに載架した時、取っ手5の前端内の、それの縁10bの下に配設される。
【0050】
スプロケット45はシャフトの前端に固設される。スプロケットは取っ手5内に設けられたハウジング36b内に収納される。ハウジング36bは取っ手5の上面51により外部に開口する。スプロケット45は上面51上で部分的に突出し、電気モーター21により回転駆動されるので、蓋4bの縁10b上に配設されたラック46が駆動される。ラック46は保護容器2b上で蓋4bを回転駆動する。ショルダー12bにより上縁15bで蓋4bを案内することができる。モーターの回転速度は、たとえばおよそ毎分15回転の速度で蓋を駆動するように成されている。蓋の回転速度は調節可能である。
【0051】
変形形態においては、側壁3b上の蓋4bの滑りを促進するとともに摩耗を減らすために、ラック46およびショルダー12bは可塑性材料の射出により単一部品で作製される。可塑性材料は温度に対しても耐性を有し、特にポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、またはポリスルホンとすることができる。この部品は、交換ができるよう取り外し可能とすることができる。
【0052】
蓋4bは、保護容器2bの底部内に配置された食品(たとえばピューレ、ベジタブルハッシュ、スープ)を撹拌することができる羽根16を含む。羽根16は、たとえば洗浄を容易にするためユーザーが羽根を分解することができる固定手段により蓋に組み付けることができる。羽根は折りたたむことができ蓋の中に格納することができる。羽根は、行う調理に応じて様々な形をとることができる。たとえば撹拌の場合、食品を戻すために、羽根は、下部に材料戻し部を具備する無垢の垂直壁を含み、ソースやスープの場合には有穴壁を有する。
【0053】
変形形態においては、蓋は食品の粉砕手段を含む。粉砕手段は、食品の中において、保護容器の底部に対して斜めに配置された有孔羽根を含むことができる。この実施形態においては、蓋は保護容器上への保持手段を含むので回転のみが可能になる。
【0054】
もちろん本発明は、例としてだけ説明し図示した実施形態に何ら限定されるものではない。特に、種々の要素の構成と言う見地から、あるいは同等技術の代用により、本発明の保護範囲から逸脱することなく変更が可能である。
【0055】
したがって、ある実施形態においては、ユーザーが蓋に触らなくとも調理を監視できるよう、蓋4は透明部分を含む。