(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5886960
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】乗り物用座席
(51)【国際特許分類】
B60N 2/30 20060101AFI20160303BHJP
B60N 2/06 20060101ALI20160303BHJP
B60N 2/20 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
B60N2/30
B60N2/06
B60N2/20
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-526624(P2014-526624)
(86)(22)【出願日】2012年7月23日
(86)【国際出願番号】JP2012068575
(87)【国際公開番号】WO2014016887
(87)【国際公開日】20140130
【審査請求日】2015年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】598147400
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】金井 裕也
【審査官】
佐々木 一浩
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−245990(JP,A)
【文献】
特開平9−188172(JP,A)
【文献】
特許第4941965(JP,B2)
【文献】
特許第4437977(JP,B2)
【文献】
特開2011−218841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/30
B60N 2/06
B60N 2/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結ユニットと、
シートクッションに連結されたクッションフレームであって、前記連結ユニットに第3軸支部を中心に回動可能に支持されるとともに前記第3軸支部に固定されたクッションフレームと、
シートバックに連結されたフレームであって、前記連結ユニットに回動可能に支持されたフレームと、
前記連結ユニットに第1軸支部を中心に回動可能に支持されたウオークイン部材であって、前記第1軸支部を挟んで入力部と出力部とを有するウオークイン部材と、
前記連結ユニットに第2軸支部を中心に回動可能に支持された解除部材であって、前記出力部とロッドを介して連結された一端部と、前記一端部に対して直角の位置に配された他端部と、前記一端部に形成された押圧部とを有する解除部材と、
前記ウオークイン部材の前記出力部と前記解除部材の前記一端部とを連結するロッドと、
前記連結ユニットに前記第2軸支部を中心に回動可能に支持されたチップアップロック部材であって、前記押圧部に接した一端部と、前記一端部に二股状に形成された他端部と、前記一端部及び前記他端部より前側に延在する係合部とを有するチップアップロック部材と、
前記チップアップロック部材の前記他端部と前記連結ユニットとの間に懸架され、前記チップアップロック部材を前記第2軸支部を中心として常時反時計方向に回転付勢するばねと、
前記連結ユニットに設けられた移動孔と、
前記クッションフレームに連結され、前記チップアップロック部材の前記係合部に係脱可能なストッパ部材であって、前記クッションフレームの前記第3軸支部を中心とした回動に応じて移動孔内を移動するストッパ部材と、
前記第3軸支部に前記反時計方向への回転付勢力を付与する付勢部と、を備え、
前記フレームを前倒しすると前記ウオークイン部材が回転され、前記ウオークイン部材の回転により前記解除部材が回転され、前記解除部材の回転により前記チップアップロック部材が回転されて前記ストッパ部材との係合が解除され、前記付勢部による回転付勢力により前記クッションフレームが跳ね上がる
乗り物用座席。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物、例えば自動車に搭載される座席に関する。
【背景技術】
【0002】
関連する乗り物用座席として、ウオークイン機構により座席を前側に移動後、座席の前端側を跳ね上げる(チップアップという。)機構を備えたものが特許文献1に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4437977号公報
【発明の概要】
【0004】
このような関連技術にあっては、チップアップ機構が複雑であるが為に製造原価が高騰し、重量的にも重く、改善が求められている。
【0005】
本発明は、簡易なチップアップ機構を有し、製造原価が廉価、軽量な乗り物用座席を提供することを目的とする。
【0006】
本発明のアスペクトは、連結ユニットと、シートクッションに連結されたクッションフレームであって、前記連結ユニットに第3軸支部を中心に回動可能に支持されるとともに前記第3軸支部に固定されたクッションフレームと、シートバックに連結されたフレームであって、前記連結ユニットに回動可能に支持されたフレームと、前記連結ユニットに第1軸支部を中心に回動可能に支持されたウオークイン部材であって、前記第1軸支部を挟んで入力部と出力部とを有するウオークイン部材と、前記連結ユニットに第2軸支部を中心に回動可能に支持された解除部材であって、前記出力部とロッドを介して連結された一端部と、前記一端部に対して直角の位置に配された他端部と、前記一端部に形成された押圧部とを有する解除部材と、前記ウオークイン部材の前記出力部と前記解除部材の前記一端部とを連結するロッドと、前記連結ユニットに前記第2軸支部を中心に回動可能に支持されたチップアップロック部材であって、前記押圧部に接した一端部と、前記一端部に二股状に形成された他端部と、前記一端部及び前記他端部より前側に延在する係合部とを有するチップアップロック部材と、前記チップアップロック部材の前記他端部と前記連結ユニットとの間に懸架され、前記チップアップロック部材を前記第2軸支部を中心として常時反時計方向に回転付勢するばねと、前記連結ユニットに設けられた移動孔と、前記クッションフレームに連結され、前記チップアップロック部材の前記係合部に係脱可能なストッパ部材であって、前記クッションフレームの前記第3軸支部を中心とした回動に応じて移動孔内を移動するストッパ部材と、前記第3軸支部に前記反時計方向への回転付勢力を付与する付勢部と、を備え、前記フレームを前倒しすると前記ウオークイン部材が回転され、前記ウオークイン部材の回転により前記解除部材が回転され、前記解除部材の回転により前記チップアップロック部材が回転されて前記ストッパ部材との係合が解除され、前記付勢部による回転付勢力により前記クッションフレームが跳ね上がる乗り物用座席であることを要旨とする。
【0007】
上記アスペクトによれば、簡易なチップアップ機構を有し、製造原価が廉価、軽量な乗り物用座席を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る乗り物用座席の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の矢視Aに係る平常時の乗り物用座席の側面図である。
【
図3】
図3は、
図1の矢視Aに係るシートクッション前端部を跳ね上げた状態を示す乗り物用座席の側面図である。
【
図4】
図4は、
図1の矢視Aに係る
図2に復帰途中のシートクッション前端部を示す乗り物用座席の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
簡易なチップアップ機構を有し、製造原価が廉価、軽量な乗り物用座席を提供する、という目的を、以下の構成により実現した。すなわち、連結ユニットと、シートクッションに連結されたクッションフレームであって、前記連結ユニットに第3軸支部を中心に回動可能に支持されるとともに前記第3軸支部に固定されたクッションフレームと、シートバックに連結されたフレームであって、前記連結ユニットに回動可能に支持されたフレームと、前記連結ユニットに第1軸支部を中心に回動可能に支持されたウオークイン部材であって、前記第1軸支部を挟んで入力部と出力部とを有するウオークイン部材と、前記連結ユニットに第2軸支部を中心に回動可能に支持された解除部材であって、前記出力部とロッドを介して連結された一端部と、前記一端部に対して直角の位置に配された他端部と、前記一端部に形成された押圧部とを有する解除部材と、前記ウオークイン部材の前記出力部と前記解除部材の前記一端部とを連結するロッドと、前記連結ユニットに前記第2軸支部を中心に回動可能に支持されたチップアップロック部材であって、前記押圧部に接した一端部と、前記一端部に二股状に形成された他端部と、前記一端部及び前記他端部より前側に延在する係合部とを有するチップアップロック部材と、前記チップアップロック部材の前記他端部と前記連結ユニットとの間に懸架され、前記チップアップロック部材を前記第2軸支部を中心として常時反時計方向に回転付勢するばねと、前記連結ユニットに設けられた移動孔と、前記クッションフレームに連結され、前記チップアップロック部材の前記係合部に係脱可能なストッパ部材であって、前記クッションフレームの前記第3軸支部を中心とした回動に応じて移動孔内を移動するストッパ部材と、前記第3軸支部に前記反時計方向への回転付勢力を付与する付勢部と、を備えた。前記フレームを前倒しすると前記ウオークイン部材が回転され、前記ウオークイン部材の回転により前記解除部材が回転され、前記解除部材の回転により前記チップアップロック部材が回転されて前記ストッパ部材との係合が解除され、前記付勢部による回転付勢力により前記クッションフレームが跳ね上がる。
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る乗り物用座席1を
図1〜
図5に基づいて説明する。
図1〜4において、FR、RR、LWR、UPR、RH、LHは、それぞれ乗り物の前側方向、後側方向、下側方向、上側方向、右側方向、左側方向を示す。乗り物用座席1は、シートクッション2と、シートクッション2に連結されたクッションフレーム2aと、シートバック3と、シートバック3に連結されたフレーム3aと、クッションフレーム2a及びフレーム3aを連結する連結ユニット18と、シートバック3の頂部に支持されたヘッドレスト4とを備える。クッションフレーム2aは、第3軸支部14に固定されるとともに、連結ユニット18に第3軸支部14を中心に回動可能に支持されている。フレーム3aは、連結ユニット18に回動可能に支持されている。フレーム3aには、ウオークインスイッチ3bが支持されている。
【0011】
連結ユニット18には、ウオークイン部材5と、解除部材7と、チップアップロック部材11と、ストッパ部材12と、付勢部16とが少なくとも支持されている。
【0012】
ウオークイン部材5は、連結ユニット18に第1軸支部6により上下回転自在に軸支されている。ウオークイン部材5は、上端部に入力部5aが設けられ、下端部に出力部5bが設けられている。入力部5aと出力部5bとは、第1軸支部6を挟んで配置されている。フレーム3aが、シートバック3の前倒しに同動して前側FRに倒れ込む(ウオークイン作動)と、フレーム3aのウオークインスイッチ3bがウオークイン部材5の入力部5aを
図5の白抜き矢印方向に押す。これにより、
図5の時計方向にウオークイン部材5が第1軸支部6を中心に回転する。これにより、出力部5bが
図5の黒矢印方向に第1軸支部6を中心に回転する。
【0013】
解除部材7は、チップアップロック部材11を介して連結ユニット18に第2軸支部8により第2軸支部8を中心に上下回転自在に軸支されている。解除部材7は、ウオークイン部材5の出力部5bとロッド9を介して連結された一端部7aと、一端部7aに対して略直角の位置に配された他端部7bとを有する。解除部材7の他端部7bには、スライド解除ケーブル10が連結されている。解除部材7の一端部7aには、ロッド9を係止した貫通孔7aaが形成され、解除部材7の他端部7bには、スライド解除ケーブル10を係止した貫通孔7baが形成されている。解除部材7の一端部7aには、押圧部7abが形成されている。
【0014】
チップアップロック部材11は、解除部材7の押圧部7abに接した一端部11aと、一端部11aに二股状に形成された他端部11bと、一端部11a及び他端部11bより前側FRに延在する係合部11cとを有する。チップアップロック部材11は、連結ユニット18に第2軸支部8により上下回転自在に軸支されている。他端部11bと、連結ユニット18より切り起こしたブラケット2baとの間には、引っ張りばね17が懸架されており、チップアップロック部材11が第2軸支部8を中心として常時
図5の反時計方向に回転付勢されている。
【0015】
ストッパ部材12は、クッションフレーム2aに連結されている。ストッパ部材12は、連結ユニット18に設けられた前後FR、RRに長尺な移動孔13を移動自在である。ストッパ部材12は、クッションフレーム2aの第3軸支部14を中心とした回動に応じて移動孔13内を移動する。ストッパ部材12は、チップアップロック部材11の係合部11cに係脱可能となっている。すなわち、
図5に示すように、ストッパ部材12がチップアップロック部材11の係合部11cに係合支持されている状態では、クッションフレーム2aは通常の着座可能位置に保持されている。それが、
図3に示すように、ストッパ部材12が係合部11cから外れて、移動孔13の前端部に移動した状態では、クッションフレーム2aは跳ね上がっていて、乗り物用座席1の前後寸法が短いものとなっている。
【0016】
付勢部16は、チップアップ回転中心であるクッションフレーム2aの回転中心である第3軸支部14に巻装された渦巻きばねである。付勢部16の端部16aは、連結ユニット18に設けられた止まりピン15に支持されている。このような構成により、第3軸支部14を反時計回りに回転させる付勢力が付与されている。
【0017】
乗り物のフロアには、
図1に示すように、乗り物用座席1を前後FR、RRに移動自在な長尺なレールであるスライドレール20が固定されている。乗り物用座席1には、連結ユニット18に連結して乗り物用座席1を乗り物の左右方向に移動自在にする横スライド装置21が取り付けられている。
【0018】
図2に示す着座可能位置にあるシートバック3(フレーム3a)を前倒しすると、ウオークイン部材5の入力部5aがフレーム3aのウオークインスイッチ3bに押されて、ウオークイン部材5が第1軸支部6を中心に時計方向(
図3の左上の白抜き矢印方向)に回転される。ウオークイン部材5の回転により、ウオークイン部材5の出力部5bがロッド9を引き、解除部材7が第2軸支部8を中心に回転される。すると、解除部材7の一端部7aが時計方向に移動し、押圧部7abがチップアップロック部材11の一端部11aを押圧することで、チップアップロック部材11が第2軸支部8を中心に時計方向に回転し、チップアップロック部材11とストッパ部材12との係合が解除される。同時に、解除部材7の他端部7bが時計方向に移動し、スライド解除ケーブル10が引かれて、スライドレール20の図示しないスライドロックが解除される。チップアップロック部材11とストッパ部材12との係合が解除されると、ストッパ部材12が移動孔13内を自由に移動可能な状態となり、付勢部16による付勢力によりシートクッション2(クッションフレーム2a)が第3軸支部14を中心に回動して、シートクッション2(クッションフレーム2a)の前端部が跳ね上がりをする。以上のように、シートバック3(フレーム3a)を前倒しすると、スライドロックが解除されてシートクッション2が前側に移動可能となるとともに、シートクッション2(クッションフレーム2a)が自動的に跳ね上がるようになっている。
【0019】
本発明の実施形態によれば、チップアップ機構が簡易で、製造原価が廉価、軽量な乗り物用座席を提供できる。
【0020】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。