特許第5886971号(P5886971)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5886971車両の周辺区域にある物体の位置を判定する方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5886971
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】車両の周辺区域にある物体の位置を判定する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20160303BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20160303BHJP
   B60Q 1/14 20060101ALI20160303BHJP
   B60Q 1/12 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
   G08G1/16 C
   B60R21/00 624C
   B60Q1/14 D
   B60Q1/12 100
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-534977(P2014-534977)
(86)(22)【出願日】2012年8月28日
(65)【公表番号】特表2015-501470(P2015-501470A)
(43)【公表日】2015年1月15日
(86)【国際出願番号】EP2012066634
(87)【国際公開番号】WO2013056883
(87)【国際公開日】20130425
【審査請求日】2014年4月15日
(31)【優先権主張番号】102011084762.6
(32)【優先日】2011年10月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・フォルティン
【審査官】 高田 基史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−240387(JP,A)
【文献】 特開2009−040272(JP,A)
【文献】 特開2007−280144(JP,A)
【文献】 特開2008−096196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00−99/00
B60Q 1/00− 1/56
B60R 21/00
B60W 30/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)の周辺区域(120)にある物体(127)の位置を判定する方法(400)において、前記方法(400)は次の各ステップを含んでおり、すなわち、
光学センサ(110)の1つの光信号を読み取り(410)、前記光信号は、
輝度、
車両(100)のヘッドライト(140)から放射された光の物体による反射の度合い、
および、
ヘッドライト(140)からの光で照射された物体(127)の境界線の鮮明さを表しており、
車両(100)の周辺区域(120)にある物体(127)の位置を決定するために前記光信号が表す輝度、反射の度合い及び鮮明さの全てを利用して車両(100)からの物体(127)の距離(128)を決定する(420)方法。
【請求項2】
前記読取のステップ(410)で車両(100)の向きを基準として前記光信号が検出された角度(129)がさらに読み取られ、前記決定のステップ(420)で前記角度(129)をさらに利用して物体(127)の位置が決定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法(400)。
【請求項3】
前記読取のステップ(410)で光の輝度、反射の度合いを表す前記光学センサ(110)の少なくとも1つの別の光信号が読み取られ、前記別の光信号は輝度、車両のヘッドライトから放射された光の物体による反射の度合い、または車両のヘッドライトからの光で照射された物体の境界線の鮮明さを表しており、前記別の光信号は前記光信号と同一の物体(127)の別の個所から検出され、前記決定のステップ(420)で前記光信号と前記別の光信号とを利用して物体(127)の広がり及び位置を推定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法(400)。
【請求項4】
走行方向(122)で見て車両(100)の前方の領域が、構造的なインフラストラクチャー措置(127)の存在がないときに予期されるよりも高い輝度を有しているときに、構造的なインフラストラクチャー措置(127)が認識される認識のステップを有していることを特徴とする、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の方法(400)。
【請求項5】
前記決定のステップ(420)で物体(127,210)との距離(128)が事前設定された安全距離よりも短いと決定されたときに、前記認識のステップで構造的なインフラストラクチャー措置(127)が認識されることを特徴とする、請求項4に記載の方法(400)。
【請求項6】
前記認識のステップでは予期される輝度よりも高い輝度をもつ領域が認識された車両(100)の側で構造的なインフラストラクチャー措置が認識されることを特徴とする、請求項4または5に記載の方法(400)。
【請求項7】
前記認識のステップで構造的なインフラストラクチャー措置(127)が認識されたときに、車両(100)のヘッドライト(140)の光の光放射および/または車両(100)のヘッドライト(140)の光の光放射に関するパラメータを適合調節するステップを有していることを特徴とする、請求項4から6のいずれか1項に記載の方法(400)。
【請求項8】
前記読取のステップ(410)の前に少なくとも1つのヘッドライト(140)の動きを制御するステップが実行され、前記制御は、車両(100)のヘッドライト(140)の光の光放射および/または車両(100)のヘッドライト(140)の光の光放射に関する光放射パラメータが変更されて、車両の走行方向に対して実質的に横向きに向く方向へ光放射が旋回するように変更されることを特徴とする、請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の方法(400)。
【請求項9】
特定の距離(128)が警告距離よりも短いときに警告信号を出力するステップを有していることを特徴とする、請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の方法(400)。
【請求項10】
車両(100)から物体(127)までの特定の距離(128)に対応して運転者アシストシステムが車両の制御に介入するステップを有しており、特に、車線維持アシストの介入、先行車両との間隔を守るためのアシストシステム、境界部への左右方向の接近を監視するためのアシストシステム、ブレーキアシストシステム、および/またはパーキングヘルプシステムが、車両(100)から物体(127)までの特定の距離に対応する運転者アシストシステムとして行われることを特徴とする、請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載の方法(400)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の方法(400)の各ステップを実施するために構成されている装置(125)。
【請求項12】
コンピュータに、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法(400)を実施させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の周辺区域にある物体の位置を判定する方法、これに対応する装置、ならびにこれに対応するコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車ヘッドライトの制御では、構造的な分離物によって道路が対向車線から分離されているか否かを知るのが望ましい。特別な光分布「アウトバーンライト」は、目下のところ、ある程度の速度閾値を超過しているときにしかスイッチオンされない。立法者は、構造的な分離物が認識されているときにも、アウトバーンライトのスイッチオンを許容している。
【0003】
ヘッドライト制御アルゴリズムにとっては、構造的な分離物が存在しているか否かを知ることが重要である:構造的な分離がなされていると、他の車両のヘッドライトを認識できないことがしばしばあり、それによってハイビームへの切換が行われ、そのために眩惑が生じる可能性がある。
【0004】
ナビゲーション情報は、アウトバーン(および場合により構造的な分離物)を認識するためには有意義に利用することができるものの、固定的にインストールされたナビゲーションシステムは、低価格帯の自動車には稀にしか設けられていない。コンクリート壁による構造的な分離物が置かれている建設現場では、地図素材の更新の問題があるために、ナビゲーションシステムは無力である。
【0005】
距離測定が有意義である状況も存在する。これには、左右方向ガイドのためのアシスト(たとえば建設現場、パーキングビル、ガレージ)のほか、前後方向ガイドのためのアシスト(たとえば駐車、(ビデオ式)ACCによる停止までの減速)も含まれる。上に挙げた前後方向ガイドや左右方向ガイドの課題においては、ナビゲーションシステムは、地図素材および/またはGPS信号の精度の欠如のために利用することができない。
【0006】
パーキングヘルプは、目下のところ超音波センサによって具体化されている。駐車システムは、たとえそれが音楽設備を通じて警告音を発するだけのものであっても金銭を要する。後付けシステムも存在しているものの、それは付加コストと結びついている。パーキングヘルプはしばしば後方に向かってしか組み込まれない。運転者は、前方に向かっては後方に向かってよりも良好な視界を有しているからである。
【0007】
特許文献1には、車線認識をするためのセンサシステムを含む車両の運転者アシストシステムによって車線検出をする方法が開示されており、車線認識のためのセンサシステムにより、車両前方に位置している交通空間の領域で、走行車線マーキングを表す測定点が検出される。参照モデルをベースとしたうえで、測定点MPの理想的な個数が判定される。実際に検出された測定点の個数と、理想的な測定点の個数との比較から、予測距離の妥当性の程度が決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第102007034196A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上を背景とする本発明により、主請求項に記載されている方法、さらにはこの方法を適用する制御装置、ならびに最後に、これに対応するコンピュータプログラム製品が提供される。好ましい実施形態は、それぞれの従属請求項および以下の説明から明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、車両の周辺区域にある物体の位置を判定する方法を提供するものであり、前記方法は次の各ステップを含んでいる:
−光学センサの光信号を読み取り、この光信号は、
・輝度、
・車両のヘッドライトから放射された光の物体による反射の度合い、および/または、
・ヘッドライトからの光で照射された物体の境界線の鮮明さを表しており、
−車両の周辺区域にある物体の位置を決定するために光信号を利用して車両からの物体の距離を決定する。
【0011】
さらに本発明は、本発明による方法の各ステップを相応の器具で実施ないし具体化するために構成された装置を提供する。このような装置の形態での本発明の実施態様によっても、本発明に課せられた課題を迅速かつ効率的に解決することができる。
【0012】
特に本発明は、車両の周辺区域にある物体の位置を判定する装置を提供するものであり、前記装置は次の各構成要件を含んでいる:
−光学センサの光信号を読み取るためのインターフェースであって、この光信号は、
・輝度、
・車両のヘッドライトから放射された光の物体による反射の度合い、および/または、
・ヘッドライトからの光で照射された物体の境界線の鮮明さを表しており、および、
−車両の周辺区域にある物体の位置を決定するために光信号を利用して車両からの物体の距離を決定するためのユニットを有している。
【0013】
装置とは本件においては、センサ信号を処理し、それに依存して制御信号を出力する電気機器であると理解することができる。この装置は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアとして構成されていてよいインターフェースを有することができる。ハードウェアとしての構成では、インターフェースは、たとえば装置の種々の機能を含むいわゆるシステムASICの一部であってよい。しかしながら、インターフェースが独自の集積回路であり、または少なくとも部分的に離散したデバイスで構成されていることも可能である。ソフトウェアとしての構成では、インターフェースは、たとえばマイクロコントローラに他のソフトウェアモジュールと並んで存在するソフトウェアモジュールであってよい。
【0014】
半導体メモリ、ハードディスク、光学メモリのような機械で読取可能な担体に保存されていてよく、コンピュータまたは装置でプログラムが実行されたときに、上で説明した各実施形態に基づく方法を実施するために利用されるプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品も好ましい。
【0015】
車両の周辺区域にある物体の位置とは、車両を基準とする物体または物体の一部の(たとえば地理的な)位置であり、特に、車両を基準とする物体および/もしくは物体の一部の距離、ならびに/または車両を基準とする物体または物体の一部の方向であると理解することができる。光学センサとは、人間の目で見ることができる電磁領域の少なくとも一部を評価したうえで、画像を記録するためのユニットであると理解することができる。光学センサにより、人間の目には見ることができない電磁スペクトルの領域も検出することができる。このようなスペクトル成分は、本件で提案される装置の広範なコンポーネントを利用したうえで、または本件で提案される方法の各ステップを適用したうえで、同じく評価することができる。半導体は一般に赤外領域(IR領域)に感受性がある。IRフィルタを利用することでこの領域を取り除くことを試みることができるが、多くの場合において不可視領域全体を取り除くことはできず、したがってこれも一緒に評価される。ヘッドライトからの光で照射された物体の1つの領域の境界線の鮮明さとは、ヘッドライトからの光で照明された物体の明るい領域から、車両のヘッドライトの光によって照明されない暗い領域への移行部の幅および/または構造であると理解することができる。
【0016】
本発明が踏まえている知見は、特に、物体から車両までの距離の増加にともなう輝度やコントラストの低下に関わる光学の物理法則を利用することで、たとえばレーダセンサや超音波センサのような、そのために特別に設計されたセンサ類がなくても、この距離の判定を行うことができるというものである。むしろ、たとえばすでにシリーズ生産でしばしば車両に搭載されるカメラを利用して、物体または物体の一部の距離を決定することができる。このように本発明は、別の機能のためにすでに設けられているセンサ素子を追加機能のために利用することができ、それにより、たとえばこの追加機能の実装のために特別に設けられる別個のセンサを省略することができるという利点を有している。このことは、上に挙げた機能を提供するためのシステムの製造コストを削減する。
【0017】
さらに読取のステップで、車両の向きを基準として光信号が検出された角度が読み取られると特別に好ましく、さらに決定のステップで、この角度を利用して物体の位置が決定される。本発明のこのような実施形態は、物体または物体の一部の位置の非常に厳密で正確な決定という利点を提供する。
【0018】
車両を基準とする物体の位置の、特に良好な空間的推定を得るために、車両を基準とする物体の複数の部分領域の距離および/または方向を判定することができる。したがって本発明の1つの好都合な実施形態では、読取のステップで、光の輝度、反射の度合いを表す光学センサの別の光信号が読み取られ、この別の光信号は、輝度、車両のヘッドライトから放射された光の物体による反射の度合い、または車両のヘッドライトからの光で照射された物体の境界線の鮮明さを表しており、この別の光信号は光信号とは別の物体の個所から検出され、決定のステップで、光信号と別の光信号とを利用して物体の空間的な結像が決定される。
【0019】
車両を走行させるときの走行安全性を向上させるために、本発明の好都合な実施形態では、(特に車両を走行させるときに)決定のステップで物体との距離が事前設定された安全距離よりも短いときに、構造的なインフラストラクチャー措置を認識するステップが意図されていてよい。構造的なインフラストラクチャー措置とは、たとえばアウトバーンなどの複数車線の道路にある(特に反対向きの走行方向を有する)2つの走行車線の間の分離壁やガードレールであると理解することができる。さらに構造的なインフラストラクチャー措置とは、ヘッドライトの光をはね返す車道縁部の(照明のない)境界標識、道路縁部の隆起した縁石、あるいは車両の近傍にある壁、たとえば車両の前、後、もしくは横にある壁などであり得る。本発明のこのような実施形態は、物体の位置の認識から、走行方向を基準とした物体の推移の推定が可能であり、それにより、こうした構造的な分離物の存在を車両のその他の機能のために引き続き利用することができるという利点を提供する。同様に、判定された物体との距離を、車両のその他の機能によって引き続き利用することができる。
【0020】
構造的なインフラストラクチャー措置の認識は、特別な光分布であるアウトバーンライトをスイッチオンするために利用することができる。さらに、ハイビームアシストについてのパラメータを適合調節することが可能である。
【0021】
ロービームとハイビームとの間で切換を行う従来式のハイビームアシストでは、構造的な分離物が認識されたときに、ハイビームへの増光時間を変更することができ、特に延期することができる。このことは、構造的な分離物によって認識するのが難しい他の車両を認識するための時間が長くなり、それにより、認識されていない他の交通関与者が存在していたときの増光が回避されるという利点がある。このシステムは、眩惑の回避に加えて落ち着いた挙動を有しており、このことは、運転者に不快を与える恐れがあるせわしない挙動よりも運転者にとって快適である。
【0022】
たとえば構造的なインフラストラクチャー措置の認識は、車線逸脱警告や車線維持アシストの機能で利用することができる。そのつどの物体との左右方向の距離が狭くなりすぎると、たとえば光学式、音響式、または触覚式に特徴づけられていてよい警告信号を生成することができる。その代替または追加として車両への介入を行うことができ、それにより、最低距離が守られることによって衝突が回避され、または少なくとも強度が緩和され、および/または衝突角が浅くなる。車線逸脱警告や車線維持アシストの機能は、通常、車線マーキングの情報に基づいている。車線マーキングが欠如しているときには、あるいは車線マーキングに由来する車線情報の補足として、構造的なインフラストラクチャー措置との衝突について運転者に警告または運転者を保護するために、本発明を好ましく適用することができる。たとえば走行車線が構造的なインフラストラクチャー措置によって部分的に分離されている建設現場などで、車線マーキングが欠如しているときでも、運転者が車両運転にあたって支援を受けることができる。
【0023】
市街地の領域では車道の縁部がしばしば縁石で区切られており、車線マーキングも部分的に省略されている。縁石との距離を認識することで、運転者はそうした状況でも車線逸脱警告や車線維持アシストによる支援を受けることができ、このことは、車線のみに基づくアシストの場合、車線マーキングが欠如しているときにはもはや不可能である。
【0024】
道路脇に車両を駐車して車線マーキングが隠れたとき、または車線マーキングが存在しないとき、それにもかかわらず運転者は本発明により支援を受けることができる。他の車両における光の輝度によって、これとの距離を判定することができ、そのようにして、運転者が自分の車両を動かすことができる走行可能な領域を推測することができる。車線逸脱警告や車線維持アシストの機能の警告と介入により、運転者は、本発明によってこのような状況でも支援を受けることができる。
【0025】
運転者が左右方向に制約を受ける駐車状況、たとえば建造物、生垣、他車両などで左右方向が区切られているガレージや駐車場では、障害物との距離を判定するために光信号を評価することができる。そのようにして運転者は、判定された距離に依存する警告と車両への介入によって駐車のときに支援を受けることができ、または車両が自律的に駐車をする。
【0026】
さらに別の機能では、物体との衝突について運転者に警告し、または車両に介入するために、走行方向での物体との距離を利用することができる。
【0027】
特に本発明により、運転者は駐車や操車にあたって支援を受けることができ、それにより、たとえば壁や他の車両のような物体との距離が事前設定された閾値よりも短くなると、運転者に警告が与えられる。警告の代替または追加として、判定された距離に依存して車両への介入を行うことができる。本発明は、運転者への支援のほか、特に低い速度領域での自律的な駐車や操車も可能にする。
【0028】
距離の判定は他の車両に関しても行うことができる。停止している車両に関する距離の判定のほか、その追加または代替として、他の車両との距離およびこれから導き出される距離変化も判定することができる。そのようにして、他の車両に一定の距離をおいて追随し、距離の変化および間隔変化として現れる、ほかの車両の速度変化に対応することが可能である。このような対応は、たとえば音響式、光学式、または触覚式の警告信号の生成を含むことができ、その追加または代替として、車両への介入を含むことができる。本発明の利用は、特に低い速度領域と短い距離のときに、交通の安全性に貢献することができる。たとえばパーキングビルで他の車両に追随することができ、あるいは、交差点、信号、渋滞などがあるときに、速度と距離を先行車両に合わせて適合調節することができる。
【0029】
物体とは、たとえば構造的なインフラストラクチャー措置、ガードレール、分離壁、コンクリート壁(または一般に左右方向の仕切)、壁、縁石、案内標識や境界標識、草や樹木の生垣、あるいは他の(特に駐車している)車両などであると理解することができる。
【0030】
認識のステップで、走行方向で見て車両の前方の領域が、構造的なインフラストラクチャー措置の存在がないときに予期されるよりも高い輝度を有しているときに、構造的なインフラストラクチャー措置が認識されると特別に好ましい。このような本発明の実施形態は、構造的なインフラストラクチャー措置の位置を特別に高い信頼度で検知するために、光放射と反射に関わる物理的な法則性が利用されるという利点を提供する。
【0031】
さらに、物体で光が反射されるときにこの光が光学センサにはね返されるだけでなく、物体のすぐ周囲へも、たとえばそこにある車道へもはね返されることを利用することができ、それによってこの車道は、物体の存在がないときに予期されるよりも高い輝度を有することになる。そのために本発明の1つの実施形態では認識のステップで、予期される輝度よりも高い輝度をもつ領域が認識された車両の側に、構造的な措置が配置されていると認識することができる。
【0032】
たとえばそのつどの道路状況に応じて、およびこれに伴って認識される構造的なインフラストラクチャー措置に依存して光を適合調節する、自動式のライトコントロールの適合調節を実行できるようにするために、本発明の1つの実施形態では、認識のステップで構造的なインフラストラクチャー措置が認識されたときに、車両のヘッドライトの光の光放射を適合調節するステップ、たとえば特別な光分布であるアウトバーンライトへの切換、および/または車両のヘッドライトの光の光放射に関する光放射パラメータを適合調節するステップ、たとえばロービームからハイビームへ増光をするための待機時間が意図されていてよい。
【0033】
本発明の特別に好都合な実施形態では、読取のステップの前に少なくとも1つのヘッドライトの動きを制御するステップを実行することができ、この制御は、車両のヘッドライトの光の光放射および/または車両のヘッドライトの光の光放射に関する光放射パラメータが変更されて、車両の走行方向に対して実質的に横向きに向く方向へ光放射が旋回するように実行される。制御のステップの前および後にそれぞれ読取のステップを実行することもでき、それにより、制御の前と後の光信号の評価によって、車両周辺の非常に厳密かつ簡単な分析が可能となる。ヘッドライトの旋回またはより一般的には光放射の旋回は、いっそう正確に測定を行えるようにするために行われる。この旋回は、物体を発見したり、より良く計測をするためのサーチライトと同様に理解することができる。たとえばヘッドライトの旋回は、構造的な分離物が認識されることを必要とすることなく、たとえば旋回が行われない構造的な分離物の存在のその他の予測に追加して、インターバルをおいて行うことができる。ヘッドライトの旋回は、構造的な分離物が認識されたとき、妥当性検査をするために利用することができる。たとえば構造的な分離物の蓋然性が高いときに、物体そのものを認識するために旋回を利用することができるのが好ましい。このことは、構造的なインフラストラクチャー措置がまだ認識される前に、ヘッドライトが旋回するのが好ましいことを意味することができる。それに対して上で説明した光放射の適合調節は、たとえば光分布「アウトバーンライト」への切換として理解することができるが、それに対してヘッドライトの旋回は、構造的な分離物の存在を判定するために行われる。すなわちヘッドライトは、測定のためのいっそう正確な測定データを得るために旋回する。このような本発明の実施形態は、光学センサの検出領域にある物体を検出するための、厳密かつ迅速に実行可能な手段という利点を提供する。
【0034】
たとえば運転者が車両を地下ガレージに駐車しようとするとき、車両ヘッドライトにより、地下ガレージの壁を認識して物体として評価することもできる。ここで提案される取組みをパーキングヘルプとしても利用できるようにするために、本発明の1つの実施形態では、特定の距離が警告距離よりも短くなったときに、警告信号を出力するステップが意図されていてよい。この警告信号は、距離、物体と車両の狭くなりつつある距離、または物体と車両の狭すぎる間隔に関する示唆を運転者に与える光学式、音響式、触覚式、またはその他の信号であってよい。その代替または追加として、たとえば壁のそばでの減速によって(半)自動式の駐車を行うことができる。
【0035】
介入は、事前設定された介入距離よりも距離が短くなったときに行われる。
【0036】
したがって、車両から物体までの特定の距離に対応して運転者アシストシステムが車両の制御に介入するステップが意図され、特に、車線維持アシストの介入、先行車両との間隔を守るためのアシストシステム、境界部への左右方向の接近を監視するためのアシストシステム、ブレーキアシストシステム、および/またはパーキングヘルプシステムが、車両から物体までの特定の距離に対応する運転者アシストシステムとして行われる本発明の実施形態が特別に好ましい。このようにして、車両と物体との特定の距離を車両の他のアシストシステムによっても利用することができ、このことは大きな追加利用を可能にするが、この追加利用は非常に少ない付加コストで実現可能である。
【0037】
車両が物体のそばにあり、判定された距離が事前設定された介入距離よりも短いとき、たとえば操舵や制動を通じての車両への介入によって、車両がインフラストラクチャー措置と接触しないように防護することができ、ないしは、重大さを緩和することができる。
【0038】
次に、添付の図面を参照しながら一例として本発明を詳しく説明する。図面は次のものを示している:
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の一実施例が適用された車両のブロック図である。
図2】自分の車両の前方で検出される照明領域の画像中の異なる輝度によって、構造的な分離物を認識するための別の実施例の原理図である。
図3】発光物体としての1組のヘッドライトを示す図であり、1組のヘッドライトが観察者に近づいていくときのそれぞれ異なる鮮明さと輝度が明示されている。
図4】本発明の方法としての実施例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の好ましい実施例についての以下の説明では、異なる図面に示されていて類似の作用をする部材には、同一または類似の符号が使われており、このような部材について繰返し説明することはしない。
【0041】
図1は、特に走行方向122でカメラ110の視野120の中の車両周辺115を監視するためにカメラ110を有する車両100のブロック図を示している。カメラ110はカメラ画像を生起し、これが評価ユニット125に伝送される。評価ユニット125では、あとでまた詳しく説明するように、物体127がカメラ画像から認識されて抽出される。さらに、車両100と(たとえば横方向すなわち左右方向にある)物体127との距離128、および/または車両長軸に対する物体の角度129が判定される。そして評価ユニット125で、判定された距離128が閾値よりも短いときには、たとえば自分の車両100が走っている走行車線と対向車線との間の構造的な分離物である物体を推定することができる。このケースでは、車両ヘッドライト140のコントロールを行うヘッドライト制御部130に信号を出力することができる。たとえば上で説明した取組みによって、両方の走行車線の間の物体127としての構造的な分離物が存在することが認識されると、ロービームからハイビームへの、一般的には異なる光放射特性の間の、自動的な切換の時間帯を延期することができる。たとえばそれにより、たとえば眩惑防止の板である物体127の列により、これらの防眩板のうちの1つを通過した直後に自分の車両100のヘッドライトによる光放射が再び変更され、そのために対向車両の運転者が眩惑されるという可能性を回避することができる。さらに、発光物体が検知されなくなったときにロービームからハイビームへの切換が即座に行われ、たとえば構造的な分離物127としての別の防眩板の後方に発光物体が再び現れると、このことは、たとえばロービームとハイビームの間の往復切換のような、光分布の非常に急速な適合調節を生じさせることになり、このことは自分の車両の運転者にとって非常に不快に、かつそれに伴って非常に邪魔に感じられることになる。
【0042】
以下において、車両から物体127までの距離の決定について、物体127で反射されるヘッドライト光の輝度を評価することで、車道に存在する構造的な分離物127を認識する例をとりあげて説明する。車両100に組み込まれたカメラ110が、走行方向122から画像を撮影する。カメラ制御装置または評価ユニット125がヘッドライトの光分布を認識し、その様子はたとえば図2に示されている。図2は、カメラ画像の異なる輝度によって構造的な分離物を認識するための原理図を示しており、図2の左側の図は、異なる走行方向のそれぞれの車線の間に構造的な分離物127が存在する場合における、自分の車両100の前方の照明領域200を示しており、右側の図は、構造的な分離物127が存在していない場合の照明領域200を示している。構造的な分離物127とみなすころができるのは、たとえばガードレールのような車道の隆起、コンクリート壁(建設現場のものも含む)などである。さらに、光については平方距離の法則が成り立ち、すなわち輝度は距離の2乗で減少していく。
【0043】
カメラ110は、車両100に対する1つまたは複数の関心対象の物体127(たとえばガードレール)の反射率(すなわち「色」および/または「輝度」)を見積り、ヘッドライト140から発信される光を通じて、測定されたグレー値に基づく反射率とあわせて、間隔すなわち距離128を決定することができる。このとき角度129も判定し、車両100に対する物体127の正確な位置を見積るために利用することができる。物体が大きいときには、車両を基準とする物体127の空間的な検出も行うことができる。このとき、たとえば物体127の部分領域のそれぞれ異なる複数の位置を前述した仕方で決定し、次いで、決定されたこれらの位置から、大きな物体127の広がりと位置を推定することができる。このように、車両100の前方の輝度値の「3Dマップ」を作成し、これによって車両100の前方または側方の物体127の広がりと位置を検出することを試みることができる。別案として、構造的な分離物270から車道への光の反射を車両100の前方の領域210で判定し、構造的な分離物127がない場合の記憶されている(すなわち予期される)輝度と比較することもできる。このようにして、物体127の反射特性を通じて、およびそれにより惹起される物体127のすぐ周辺における輝度上昇を通じて、間接的に物体127の位置を認識することができる。
【0044】
ガードレールのような隆起した物体127やコンクリート壁(または一般に側方の仕切)を、このような仕方で認識することができる。このような構造的な分離物には、場合により地面に当たらない光、もしくは非常に遠く離れたところでしか地面に当たらない光を当てることができるからである。
【0045】
見積られた光反射の距離を通じて構造的な分離物が認識されたときには、「アウトバーンライト」の機能をスイッチオンすることができ、および/またはデバウンスストラテジーのためのその他のパラメータを適合調節することができる(たとえば、車両を認識しにくいので明らかに長いデバウンス時間をセットすることができる)。
【0046】
その代替または追加として、ヘッドライト光の結像の輝度および/または鮮明さの利用も行うことができる(「ホットスポット」とも呼ばれ、これは特に垂直方向に延びる測定スクリーン上でヘッドライトのもっとも明るい領域を表す)。車両100を前後方向に案内するとき、あるいは物体127の距離を決定するとき、照射される物体の輝度に追加して、光分布が光学軸の領域でもっとも明るいことを利用することができる(これも「ホットスポット」効果と呼ばれる)。こうした「ホットスポット」は、物体が観察平面に近くなるほど、いっそう物体(たとえばカメラ画像中の壁)で鮮明に結像される。図3は、このような明るい領域の複数の図をそれぞれ異なる距離で示しており、これらの明るい領域は、車両100のヘッドライトの光が物体127で反射することによって生じるものである。上側の図300aは、遠く離れた物体127からの車両ヘッドライトの光の反射を表す1組のヘッドライト400を示しており、鮮明さは非常に低い。ここで鮮明さと呼ぶことができるのは、画像の明るい(車両のヘッドライトにより照射される)領域と、暗い領域との間の移行領域の広さ(もしくは幅)または構造であり、この移行領域が小さいほど鮮明さは高くなる。図3の上側の図300aの下に示す、1組のヘッドライト300の結像300bから300eは、1組のヘッドライト300を記録する観察者ないしカメラに1組のヘッドライトが近づいていくと、1組のヘッドライトの結像の鮮明さが増すことを示している。このように図3の図面に示すとおり、観察者との距離に依存して「ホットスポット」がそれぞれ異なる鮮明さで結像される。
【0047】
「ホットスポット」の結像の鮮明さおよび/または輝度を評価することで、照射される隆起した物体の距離を推定することができ、運転者は必要に応じて警告を受けることができ、これは、たとえば前方への単純なパーキングヘルプとの関連においてであり、あるいは、(半)自動式のパーキングヘルプや、たとえば(ビデオ)ACC(ACC=自動間隔維持)で停止までの目標減速を支援するためであり、あるいは、対向してくる車両との左右方向の間隔を決定するために距離を利用することができる。コーナリングライトシステムの場合に通常行われるように、1つまたは複数のヘッドライトを旋回させることで、「ホットスポット」の位置を変えることができ、このことは認識性能に好都合に作用する。このとき、旋回は認識のステップのための支援をするために実行されるが、これは、運転者のために光分布を適合調節する機能ではないのが好ましい。すなわち旋回は、構造的な分離物が認識された後に光分布を適合調節するステップの実施態様とは相違するものとして理解することができる。特に、旋回は認識のステップに属するものとして理解することができ、その結果、旋回は(認識された)構造的な分離物の存在には左右されない。それにより、2つの走行車線の間の構造的な分離物の存在を、同じく非常に容易に推定することができる。構造的な分離物の一定不変に想定される反射特性のほか、同じく、モデルをベースとして構造的な分離物の反射特性を見積ることもでき、それは、特に隆起した物体(壁、構造的な分離物)との間隔が変化する場合である。
【0048】
光分布の変更、特に少なくとも1つのヘッドライトの旋回は、距離の判定にとっていっそう好都合な位置へと「ホットスポット」を移すために利用することができる。そのようにして、特にたとえば構造的な分離物などの構造的なインフラストラクチャー措置が側方にある場合でも、少なくとも1つのヘッドライトの「ホットスポット」をインフラストラクチャー措置に投影することができる。そしてこのホットスポットの結像の鮮明さを参照して、反射物すなわち構造的なインフラストラクチャー措置までの距離を同じく判定することができる。
【0049】
光分布の変更、特に少なくとも1つのヘッドライトの旋回は、車両に向かう方向での光の輝度の変化を引き起こす。光の輝度の変化に伴って、反射される光の量もこれに比例して変化する。輝度変化にとって決定的なのは、反射される光の割合がどれくらい大きいかを表す反射率の大きさである。測光に関わる距離の法則は、光量が距離に対して2乗の依存性をもつことを表している。光分布が変化する前と後に反射される光量を比較することで、間隔の判定ならびに反射率を見積るときの精度を改善することができる。
【0050】
光分布の変化による、たとえば少なくとも1つのヘッドライトの旋回による、反射される光の増加は、距離の判定にプラスに作用する。反射される光の量が増えることで、測定精度への影響を減らすことができるからである。
【0051】
光分布の変化によって、特に少なくとも1つのヘッドライトの旋回によって、距離をいっそう正確に判定することができ、それにより全体として運転者をより良く支援することができる。
【0052】
さらに、距離を測定するために、複数のブレーキランプまたはただ1つのブレーキランプ(たとえば第3のブレーキランプ)の再帰反射特性を通じて、均一な壁でのバックアップカメラの画像を評価することによって、可能な拡張を行うこともできる。
【0053】
図4は、2つの車道の間の構造的な分離物の存在を判定する方法400としての、本発明の一実施例のフローチャートを示している。この方法は、光学センサの光信号を読み取るステップ410を有しており、光信号は輝度、車両のヘッドライトから放射された光の物体による反射の度合い、および/または、ヘッドライトからの光で照射された物体の境界線の鮮明さを表している。さらにこの方法は、車両の周辺区域にある物体の位置を決定するために光信号を利用して車両からの物体の距離を決定するステップ420を含んでいる。
【0054】
上で説明して図面に示した各実施例は、一例として選択されたものにすぎない。異なる実施例を全面的に、または個々の構成要件に関して、相互に組み合わせることができる。1つの実施例を他の実施例の構成要件によって補完することもできる。
【0055】
さらに、本発明による各方法ステップは反復して実施することができ、ならびに、説明した順序とは異なる順序で実施することができる。
【0056】
1つの実施例が第1の構成要件と第2の構成要件との間に「および/または」の結合を含んでいるとき、このことは、その実施例が1つの実施形態では第1の構成要件と第2の構成要件を両方とも有しており、別の実施形態では第1の構成要件か第2の実施形態のいずれかを有していると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0057】
100 車両
110 センサ
120 周辺区域
122 走行方向
125 装置
127 物体
128 距離
129 角度
140 ヘッドライト
210 物体
400 方法
410 読取のステップ
420 決定のステップ
図1
図2
図3
図4