【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、車両の周辺区域にある物体の位置を判定する方法を提供するものであり、前記方法は次の各ステップを含んでいる:
−光学センサの光信号を読み取り、この光信号は、
・輝度、
・車両のヘッドライトから放射された光の物体による反射の度合い、および/または、
・ヘッドライトからの光で照射された物体の境界線の鮮明さを表しており、
−車両の周辺区域にある物体の位置を決定するために光信号を利用して車両からの物体の距離を決定する。
【0011】
さらに本発明は、本発明による方法の各ステップを相応の器具で実施ないし具体化するために構成された装置を提供する。このような装置の形態での本発明の実施態様によっても、本発明に課せられた課題を迅速かつ効率的に解決することができる。
【0012】
特に本発明は、車両の周辺区域にある物体の位置を判定する装置を提供するものであり、前記装置は次の各構成要件を含んでいる:
−光学センサの光信号を読み取るためのインターフェースであって、この光信号は、
・輝度、
・車両のヘッドライトから放射された光の物体による反射の度合い、および/または、
・ヘッドライトからの光で照射された物体の境界線の鮮明さを表しており、および、
−車両の周辺区域にある物体の位置を決定するために光信号を利用して車両からの物体の距離を決定するためのユニットを有している。
【0013】
装置とは本件においては、センサ信号を処理し、それに依存して制御信号を出力する電気機器であると理解することができる。この装置は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアとして構成されていてよいインターフェースを有することができる。ハードウェアとしての構成では、インターフェースは、たとえば装置の種々の機能を含むいわゆるシステムASICの一部であってよい。しかしながら、インターフェースが独自の集積回路であり、または少なくとも部分的に離散したデバイスで構成されていることも可能である。ソフトウェアとしての構成では、インターフェースは、たとえばマイクロコントローラに他のソフトウェアモジュールと並んで存在するソフトウェアモジュールであってよい。
【0014】
半導体メモリ、ハードディスク、光学メモリのような機械で読取可能な担体に保存されていてよく、コンピュータまたは装置でプログラムが実行されたときに、上で説明した各実施形態に基づく方法を実施するために利用されるプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品も好ましい。
【0015】
車両の周辺区域にある物体の位置とは、車両を基準とする物体または物体の一部の(たとえば地理的な)位置であり、特に、車両を基準とする物体および/もしくは物体の一部の距離、ならびに/または車両を基準とする物体または物体の一部の方向であると理解することができる。光学センサとは、人間の目で見ることができる電磁領域の少なくとも一部を評価したうえで、画像を記録するためのユニットであると理解することができる。光学センサにより、人間の目には見ることができない電磁スペクトルの領域も検出することができる。このようなスペクトル成分は、本件で提案される装置の広範なコンポーネントを利用したうえで、または本件で提案される方法の各ステップを適用したうえで、同じく評価することができる。半導体は一般に赤外領域(IR領域)に感受性がある。IRフィルタを利用することでこの領域を取り除くことを試みることができるが、多くの場合において不可視領域全体を取り除くことはできず、したがってこれも一緒に評価される。ヘッドライトからの光で照射された物体の1つの領域の境界線の鮮明さとは、ヘッドライトからの光で照明された物体の明るい領域から、車両のヘッドライトの光によって照明されない暗い領域への移行部の幅および/または構造であると理解することができる。
【0016】
本発明が踏まえている知見は、特に、物体から車両までの距離の増加にともなう輝度やコントラストの低下に関わる光学の物理法則を利用することで、たとえばレーダセンサや超音波センサのような、そのために特別に設計されたセンサ類がなくても、この距離の判定を行うことができるというものである。むしろ、たとえばすでにシリーズ生産でしばしば車両に搭載されるカメラを利用して、物体または物体の一部の距離を決定することができる。このように本発明は、別の機能のためにすでに設けられているセンサ素子を追加機能のために利用することができ、それにより、たとえばこの追加機能の実装のために特別に設けられる別個のセンサを省略することができるという利点を有している。このことは、上に挙げた機能を提供するためのシステムの製造コストを削減する。
【0017】
さらに読取のステップで、車両の向きを基準として光信号が検出された角度が読み取られると特別に好ましく、さらに決定のステップで、この角度を利用して物体の位置が決定される。本発明のこのような実施形態は、物体または物体の一部の位置の非常に厳密で正確な決定という利点を提供する。
【0018】
車両を基準とする物体の位置の、特に良好な空間的推定を得るために、車両を基準とする物体の複数の部分領域の距離および/または方向を判定することができる。したがって本発明の1つの好都合な実施形態では、読取のステップで、光の輝度、反射の度合いを表す光学センサの別の光信号が読み取られ、この別の光信号は、輝度、車両のヘッドライトから放射された光の物体による反射の度合い、または車両のヘッドライトからの光で照射された物体の境界線の鮮明さを表しており、この
別の光信号は光信号とは別の物体の個所から検出され、決定のステップで、光信号と別の光信号とを利用して物体の空間的な結像が決定される。
【0019】
車両を走行させるときの走行安全性を向上させるために、本発明の好都合な実施形態では、(特に車両を走行させるときに)決定のステップで物体との距離が事前設定された安全距離よりも短いときに、構造的なインフラストラクチャー措置を認識するステップが意図されていてよい。構造的なインフラストラクチャー措置とは、たとえばアウトバーンなどの複数車線の道路にある(特に反対向きの走行方向を有する)2つの走行車線の間の分離壁やガードレールであると理解することができる。さらに構造的なインフラストラクチャー措置とは、ヘッドライトの光をはね返す車道縁部の(照明のない)境界標識、道路縁部の隆起した縁石、あるいは車両の近傍にある壁、たとえば車両の前、後、もしくは横にある壁などであり得る。本発明のこのような実施形態は、物体の位置の認識から、走行方向を基準とした物体の推移の推定が可能であり、それにより、こうした構造的な分離物の存在を車両のその他の機能のために引き続き利用することができるという利点を提供する。同様に、判定された物体との距離を、車両のその他の機能によって引き続き利用することができる。
【0020】
構造的なインフラストラクチャー措置の認識は、特別な光分布であるアウトバーンライトをスイッチオンするために利用することができる。さらに、ハイビームアシストについてのパラメータを適合調節することが可能である。
【0021】
ロービームとハイビームとの間で切換を行う従来式のハイビームアシストでは、構造的な分離物が認識されたときに、ハイビームへの増光時間を変更することができ、特に延期することができる。このことは、構造的な分離物によって認識するのが難しい他の車両を認識するための時間が長くなり、それにより、認識されていない他の交通関与者が存在していたときの増光が回避されるという利点がある。このシステムは、眩惑の回避に加えて落ち着いた挙動を有しており、このことは、運転者に不快を与える恐れがあるせわしない挙動よりも運転者にとって快適である。
【0022】
たとえば構造的なインフラストラクチャー措置の認識は、車線逸脱警告や車線維持アシストの機能で利用することができる。そのつどの物体との左右方向の距離が狭くなりすぎると、たとえば光学式、音響式、または触覚式に特徴づけられていてよい警告信号を生成することができる。その代替または追加として車両への介入を行うことができ、それにより、最低距離が守られることによって衝突が回避され、または少なくとも強度が緩和され、および/または衝突角が浅くなる。車線逸脱警告や車線維持アシストの機能は、通常、車線マーキングの情報に基づいている。車線マーキングが欠如しているときには、あるいは車線マーキングに由来する車線情報の補足として、構造的なインフラストラクチャー措置との衝突について運転者に警告または運転者を保護するために、本発明を好ましく適用することができる。たとえば走行車線が構造的なインフラストラクチャー措置によって部分的に分離されている建設現場などで、車線マーキングが欠如しているときでも、運転者が車両運転にあたって支援を受けることができる。
【0023】
市街地の領域では車道の縁部がしばしば縁石で区切られており、車線マーキングも部分的に省略されている。縁石との距離を認識することで、運転者はそうした状況でも車線逸脱警告や車線維持アシストによる支援を受けることができ、このことは、車線のみに基づくアシストの場合、車線マーキングが欠如しているときにはもはや不可能である。
【0024】
道路脇に車両を駐車して車線マーキングが隠れたとき、または車線マーキングが存在しないとき、それにもかかわらず運転者は本発明により支援を受けることができる。他の車両における光の輝度によって、これとの距離を判定することができ、そのようにして、運転者が自分の車両を動かすことができる走行可能な領域を推測することができる。車線逸脱警告や車線維持アシストの機能の警告と介入により、運転者は、本発明によってこのような状況でも支援を受けることができる。
【0025】
運転者が左右方向に制約を受ける駐車状況、たとえば建造物、生垣、他車両などで左右方向が区切られているガレージや駐車場では、障害物との距離を判定するために光信号を評価することができる。そのようにして運転者は、判定された距離に依存する警告と車両への介入によって駐車のときに支援を受けることができ、または車両が自律的に駐車をする。
【0026】
さらに別の機能では、物体との衝突について運転者に警告し、または車両に介入するために、走行方向での物体との距離を利用することができる。
【0027】
特に本発明により、運転者は駐車や操車にあたって支援を受けることができ、それにより、たとえば壁や他の車両のような物体との距離が事前設定された閾値よりも短くなると、運転者に警告が与えられる。警告の代替または追加として、判定された距離に依存して車両への介入を行うことができる。本発明は、運転者への支援のほか、特に低い速度領域での自律的な駐車や操車も可能にする。
【0028】
距離の判定は他の車両に関しても行うことができる。停止している車両に関する距離の判定のほか、その追加または代替として、他の車両との距離およびこれから導き出される距離変化も判定することができる。そのようにして、他の車両に一定の距離をおいて追随し、距離の変化および間隔変化として現れる、ほかの車両の速度変化に対応することが可能である。このような対応は、たとえば音響式、光学式、または触覚式の警告信号の生成を含むことができ、その追加または代替として、車両への介入を含むことができる。本発明の利用は、特に低い速度領域と短い距離のときに、交通の安全性に貢献することができる。たとえばパーキングビルで他の車両に追随することができ、あるいは、交差点、信号、渋滞などがあるときに、速度と距離を先行車両に合わせて適合調節することができる。
【0029】
物体とは、たとえば構造的なインフラストラクチャー措置、ガードレール、分離壁、コンクリート壁(または一般に左右方向の仕切)、壁、縁石、案内標識や境界標識、草や樹木の生垣、あるいは他の(特に駐車している)車両などであると理解することができる。
【0030】
認識のステップで、走行方向で見て車両の前方の領域が、構造的なインフラストラクチャー措置の存在がないときに予期されるよりも高い輝度を有しているときに、構造的なインフラストラクチャー措置が認識されると特別に好ましい。このような本発明の実施形態は、構造的なインフラストラクチャー措置の位置を特別に高い信頼度で検知するために、光放射と反射に関わる物理的な法則性が利用されるという利点を提供する。
【0031】
さらに、物体で光が反射されるときにこの光が光学センサにはね返されるだけでなく、物体のすぐ周囲へも、たとえばそこにある車道へもはね返されることを利用することができ、それによってこの車道は、物体の存在がないときに予期されるよりも高い輝度を有することになる。そのために本発明の1つの実施形態では認識のステップで、予期される輝度よりも高い輝度をもつ領域が認識された車両の側に、構造的な措置が配置されていると認識することができる。
【0032】
たとえばそのつどの道路状況に応じて、およびこれに伴って認識される構造的なインフラストラクチャー措置に依存して光を適合調節する、自動式のライトコントロールの適合調節を実行できるようにするために、本発明の1つの実施形態では、認識のステップで構造的なインフラストラクチャー措置が認識されたときに、車両のヘッドライトの光の光放射を適合調節するステップ、たとえば特別な光分布であるアウトバーンライトへの切換、および/または車両のヘッドライトの光の光放射に関する光放射パラメータを適合調節するステップ、たとえばロービームからハイビームへ増光をするための待機時間が意図されていてよい。
【0033】
本発明の特別に好都合な実施形態では、読取のステップの前に少なくとも1つのヘッドライトの動きを制御するステップを実行することができ、この制御は、車両のヘッドライトの光の光放射および/または車両のヘッドライトの光の光放射に関する光放射パラメータが変更されて、車両の走行方向に対して実質的に横向きに向く方向へ光放射が旋回するように実行される。制御のステップの前および後にそれぞれ読取のステップを実行することもでき、それにより、制御の前と後の光信号の評価によって、車両周辺の非常に厳密かつ簡単な分析が可能となる。ヘッドライトの旋回またはより一般的には光放射の旋回は、いっそう正確に測定を行えるようにするために行われる。この旋回は、物体を発見したり、より良く計測をするためのサーチライトと同様に理解することができる。たとえばヘッドライトの旋回は、構造的な分離物が認識されることを必要とすることなく、たとえば旋回が行われない構造的な分離物の存在のその他の予測に追加して、インターバルをおいて行うことができる。ヘッドライトの旋回は、構造的な分離物が認識されたとき、妥当性検査をするために利用することができる。たとえば構造的な分離物の蓋然性が高いときに、物体そのものを認識するために旋回を利用することができるのが好ましい。このことは、構造的なインフラストラクチャー措置がまだ認識される前に、ヘッドライトが旋回するのが好ましいことを意味することができる。それに対して上で説明した光放射の適合調節は、たとえば光分布「アウトバーンライト」への切換として理解することができるが、それに対してヘッドライトの旋回は、構造的な分離物の存在を判定するために行われる。すなわちヘッドライトは、測定のためのいっそう正確な測定データを得るために旋回する。このような本発明の実施形態は、光学センサの検出領域にある物体を検出するための、厳密かつ迅速に実行可能な手段という利点を提供する。
【0034】
たとえば運転者が車両を地下ガレージに駐車しようとするとき、車両ヘッドライトにより、地下ガレージの壁を認識して物体として評価することもできる。ここで提案される取組みをパーキングヘルプとしても利用できるようにするために、本発明の1つの実施形態では、特定の距離が警告距離よりも短くなったときに、警告信号を出力するステップが意図されていてよい。この警告信号は、距離、物体と車両の狭くなりつつある距離、または物体と車両の狭すぎる間隔に関する示唆を運転者に与える光学式、音響式、触覚式、またはその他の信号であってよい。その代替または追加として、たとえば壁のそばでの減速によって(半)自動式の駐車を行うことができる。
【0035】
介入は、事前設定された介入距離よりも距離が短くなったときに行われる。
【0036】
したがって、車両から物体までの特定の距離に対応して運転者アシストシステムが車両の制御に介入するステップが意図され、特に、車線維持アシストの介入、先行車両との間隔を守るためのアシストシステム、境界部への左右方向の接近を監視するためのアシストシステム、ブレーキアシストシステム、および/またはパーキングヘルプシステムが、車両から物体までの特定の距離に対応する運転者アシストシステムとして行われる本発明の実施形態が特別に好ましい。このようにして、車両と物体との特定の距離を車両の他のアシストシステムによっても利用することができ、このことは大きな追加利用を可能にするが、この追加利用は非常に少ない付加コストで実現可能である。
【0037】
車両が物体のそばにあり、判定された距離が事前設定された介入距離よりも短いとき、たとえば操舵や制動を通じての車両への介入によって、車両がインフラストラクチャー措置と接触しないように防護することができ、ないしは、重大さを緩和することができる。
【0038】
次に、添付の図面を参照しながら一例として本発明を詳しく説明する。図面は次のものを示している: