(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5886975
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】可動性電極を有するプラズマ発生システム
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20160303BHJP
H05H 1/48 20060101ALI20160303BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
H05H1/46 B
H05H1/48
H05H1/24
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-541435(P2014-541435)
(86)(22)【出願日】2012年11月16日
(65)【公表番号】特表2014-533426(P2014-533426A)
(43)【公表日】2014年12月11日
(86)【国際出願番号】US2012065391
(87)【国際公開番号】WO2013074856
(87)【国際公開日】20130523
【審査請求日】2014年5月13日
(31)【優先権主張番号】61/561,759
(32)【優先日】2011年11月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/677,330
(32)【優先日】2012年11月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514014827
【氏名又は名称】リカーボン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】リー サン フン
(72)【発明者】
【氏名】タニバタ トオル
(72)【発明者】
【氏名】ウェイエ オリオン
【審査官】
鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−035248(JP,A)
【文献】
特開2012−044023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00 −16/56
C23F 1/00 − 4/04
H01L 21/203 −21/205
H01L 21/302
H01L 21/3065
H01L 21/31
H01L 21/363 −21/365
H01L 21/461
H01L 21/469
H01L 21/86
H05H 1/00 − 1/54
H01J 37/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位末端を有する電極ペアと;
該電極ペアを保持する電極ホルダと;
表面を有するゲートであって、前記表面には、電極ホルダがスライド可能に搭載され、且つ前記表面上で電極ホルダをスライドさせることにより制御されるように電極ホルダが適合されており、ゲートペアが、電極ホルダのスライド方向に対し直角な方向に沿ってスライドするにつれて、前記ゲートの開口が拡がるゲートと;及び
該ゲートに固定され、且つ開口を閉じるための力を発生するよう適合された弾性部材と、
を有するプラズマ発生システムであって、
前記遠位末端は、前記電極ホルダが前記表面上である方向に沿ってスライドすると、前記ゲートの開口に入り、電気アークを発生するように適合され、それによりガス中のプラズマが点火される、
プラズマ発生システム。
【請求項2】
前記電極ホルダは前記ガスの通路を形成する孔を有し、
前記電気アークは前記ガス中のプラズマを点火させるように適合される、
請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項3】
マイクロ波エネルギーを伝送するための導波管であって、該導波管の表面には前記ゲートがスライド可能に搭載されている導波管;及び
前記導波管内に配置され、前記ゲートの開口から出ていくガスを受容するための入口を有するガスフロー管
をさらに有する、請求項2に記載のプラズマ発生システム。
【請求項4】
電極ホルダを制御するためのアクチュエータをさらに有する請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項5】
ワーキングガスを受容するためのガス入口を有する導波管であって、該導波管を通るマイクロ波エネルギーを伝送するように適合され、前記ゲートは前記導波管の表面にスライド可能に搭載される導波管;及び
該導波管内に配置され、該導波管のガス入口を通り過ぎるワーキングガスを受容するための入口を有するガスフロー管
をさらに有する請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項6】
前記電極ホルダは点火ガスの通路を形成する孔を有し、
前記電気アークは前記点火ガス中のプラズマを点火させるように適合される、
請求項5に記載のプラズマ発生システム。
【請求項7】
前記電極ホルダは誘電性材料からなる請求項1に記載のプラズマ発生システム。
【請求項8】
遠位末端を有する電極と、
壁を有する導波管であって、前記壁は、電極が通る孔、及び第1のガスを受容するための少なくとも1個の開口を有する導波管と、
前記電極に接続され、前記壁に対して電極を動かすように適合されるアクチュエータと、
を有するプラズマ発生システムであって、
前記遠位末端及び孔は、そこを通る第2のガスを受容するためのギャップを形成するように構成され、
前記遠位末端は、前記アクチュエータにより導波管内に入るように、及び電気アークを発生させるように適合され、それにより操作の間に第2のガスがプラズマへと点火される、
プラズマ発生システム。
【請求項9】
前記少なくとも1個の開口を開閉するためのガス制御機構をさらに有する請求項8に記載のプラズマ発生システム。
【請求項10】
前記導波管内に配置され、第1及び第2のガスを受容するための入口を有するガスフロー管をさらに有する請求項8に記載のプラズマ発生システム。
【請求項11】
前記ガスフロー管が出口を有し、当該プラズマ発生システムはさらに、
前記ガスフロー管の出口に配置され、前記導波管内のマイクロ波エネルギーの漏れをブロックするように構成されるメッシュ
を有する、請求項10に記載のプラズマ発生システム。
【請求項12】
前記第1のガスは点火ガスであり、前記第2のガスはワーキングガスである、請求項8に記載のプラズマ発生システム。
【請求項13】
前記孔を覆い、それにより前記電極から前記導波管の壁を電気絶縁するための誘電パッドをさらに有する、請求項8に記載のプラズマ発生システム。
【請求項14】
前記遠位末端は略円錐形状を有することにより、前記電極を導波管から後退させると、前記ギャップが閉じられる、請求項8に記載のプラズマ発生システム。
【請求項15】
前記孔の断面寸法は前記電極の動きの方向に沿って変化する、請求項8に記載のプラズマ発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明はプラズマ発生装置、及びより詳細には点火プラズマプルームを有するデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の考察
近年、マイクロ波エネルギーの使用によりプラズマ生成に関する進歩が増えてきている。典型的には、プラズマ発生システムは、マイクロ波エネルギー発生デバイス、及びノズルを通りプラズマ中へ流れ込むガスを励起するためのマイクロ波エネルギーを受容するノズルを有する。慣用のプラズマ発生システムを操作する際の困難の一つは、ノズル内のマイクロ波エネルギーと干渉しない点火システムを作製することである。例えば、慣用の点火システムは、点火後のノズル内に残存する先端(tip)を有する電極を有する。ノズル内でマイクロ波エネルギーにより加熱された先端は、その寿命の短縮を被るように侵食される。また、電極を保持するための機構は、ノズルからのマイクロ波エネルギーの漏れを起こし得る。よって、ノズル内のマイクロ波エネルギーの漏れ及び/又は干渉を減らすような、ノズル内でプラズマプルームを点火する点火システムが必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
慣用の点火システムは、点火後のノズル内に残存する先端(tip)を有する電極を有する。ノズル内でマイクロ波エネルギーにより加熱された先端は、その寿命の短縮を被るように侵食される。また、電極を保持するための機構は、ノズルからのマイクロ波エネルギーの漏れを起こし得る。よって、ノズル内のマイクロ波エネルギーの漏れ及び/又は干渉を減らすような、ノズル内でプラズマプルームを点火する点火システムが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の要約
本開示の一実施形態において、プラズマ発生システムは、
遠位末端を有する電極ペア;
電極ペアを保持する電極ホルダ;
表面(当該表面には、電極ホルダがスライド可能に搭載され、且つ当該表面上で電極ホルダをスライドさせることにより制御されるように電極ホルダが適合されている)を有するゲート;及び
ゲートに固定され、且つ開口を閉じるための力を発生するよう適合された弾性部材
を有する。遠位末端は、表面上のある方向に沿って電極ホルダがスライドすると、ゲートの開口に入るよう適合され、且つ電気アークを発生するように適合され、それによりガス中のプラズマを点火させる。
【0005】
本開示の別の実施形態において、プラズマ発生システムは、
遠位末端を有する電極;
壁を有する導波管(ここで壁は、電極が通る孔、及びそこを通る第1のガスを受容するための少なくとも1個の開口を有する);及び
電極に接続され、且つ壁に対して電極を動かすよう適合されるアクチュエータ
を有する。遠位末端及び孔は、そこを通る第2のガスを受容するためのギャップを形成するように構成される。また、遠位末端は、導波管内に入り、電気アークを発生させるように適合され、それにより操作の間に第2のガスを点火してプラズマに変える(into plasma)。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図面の簡単な説明
【
図1A】FIG.1Aは本発明の一実施態様によるプラズマ発生システムの模式図を表す。ここで点火システムはキャビティから後退させられる。
【
図1B】FIG.1BはFIG.1Aにおけるプラズマ発生システムの模式図を表す。ここで点火システムは、キャビティ内でプラズマを点火するため、キャビティ内に進入させられる。
【
図1C】FIG.1CはFIG.1Aにおける電極ホルダの上面図を表す。
【
図1D】FIG.1DはFIG.1Aにおけるゲートペアの上面図を表す。ここでゲートはそこを点火システムが通過させるように開いている。
【
図1E】FIG.1EはFIG.1Aにおけるゲートペアの上面図を表す。ここでゲートは操作の間そこを通るマイクロ波漏洩をブロックするため閉じてられる。
【
図2A】FIG.2Aは本発明の別の実施態様によるプラズマ発生システムの模式図を表す。ここで点火システムはキャビティから後退する。
【
図2B】FIG.2BはFIG.2Aの点火システムの拡大図である。
【
図2C】FIG.2CはFIG.2Aにおけるゲートペアの上面図を表す。
【
図2D】FIG.2DはFIG.2Aにおけるプラズマ発生システムの模式図を表す。ここで点火システムはキャビティ内に進入する。
【
図2E】FIG.2EはFIG.2Dの点火システムの拡大図である。
【
図3A】FIG.3Aは本発明の別の実施態様によるプラズマ発生システムの模式図を表す。ここで点火システムはキャビティから取り出される。
【
図3B】FIG.3BはFIG.3Aにおけるプラズマ発生システムの模式図を表す。ここで点火システムはキャビティ内に進入する。
【
図4A】FIG.4Aは本発明の別の実施態様によるプラズマ発生システムの模式図を表す。ここで点火システムはキャビティ内に進入する。
【
図4B】FIG.4BはFIG.4Aにおけるプラズマ発生システムの模式図を表す。ここで点火システムはキャビティから後退する。
【
図4C】FIG.4CはFIG.4Aにおけるキャビティ壁の一部の上面図を表す。
【
図4D】FIG.4DはFIG.4Aにおけるシールの上面図を表す。
【
図5A】FIG.5Aは本発明の別の実施態様によるプラズマ発生システムの模式図を表す。ここで点火システムはキャビティ内に進入する。
【
図5B】FIG.5BはFIG.5Aにおけるプラズマ発生システムの模式図を表す。ここで点火システムはキャビティから取り出される。
【
図6】FIG.6は本発明の別の実施態様によるプラズマ発生システムの模式図を表す。ここで点火システムはキャビティ内に進入する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
好ましい実施態様の詳細な説明
FIG.1Aは本発明の一実施態様によるプラズマ発生システム2の模式図を表す。記載されているように、プラズマ発生システム2は、プラズマ点火システム10;導波管9;及び導波管9内に配置され、マイクロ波透過性材料(例えば石英)からなるガスフロー管13を有する。マイクロ波源(例えば、FIG.1Aに示されないマグネトロン、)により発生されるマイクロ波エネルギーは、導波管9を通って伝送されてよい。ここで、ガスフロー管13はそこをガスが流れるノズルとして働くので、用語「ノズル」及び「ガスフロー管」が互換的に使用される。このような配置において、ガスフロー管は共振キャビティとして働き、よって用語「共振キャビティ」(もしくは短く「キャビティ」)及び「ガスフロー管」は互換的に使用される。ガスフロー管13の出口をメッシュ26によりブロックしてよい。ここでメッシュ26のコード間の空間は、そこを通るマイクロ波エネルギーの漏れをブロックするのに十分に小さい。
【0008】
プラズマ点火システム10は、電極ペア12a及び12b;ゲートペア18a及び18b;ゲート18a及び18bの傾斜表面上にスライド可能に搭載され、且つ誘電性材料からなる電極ホルダ14;弾性部材20a及び20b(例えば圧縮ばね);及び導波管9に固定された止め具ペア22a及び22b(止め具のそれぞれは、導波管9に対して適所に対応する弾性部材の一端を保持する)を有する。
【0009】
ゲートペア18a及び18bはマイクロ波不透過性材料(例えば金属)からなり、且つ導波管9の上面に対して平行に移動可能なように、導波管9にスライド可能に搭載される。FIG.1CはFIG.電極ホルダ14の上面図を表す。記載されているように、電極ペア12a及び12は電極ホルダ14に固定され、及び電極ホルダ14はスルーパス孔23を有する。誘電性材料からなる電極ホルダ14は、電気アーク28が電極ペアの遠位末端で発生するように、電極ペア12及び12bどうしを電気的に絶縁する。電極ホルダ14は、アクチュエータ17により矢印16で示されるように上向きもしくは下向きに動かされてよい。アクチュエータ17がいずれの適当なタイプのもの(例えば電動アクチュエータ)であってよいことは、当業者に明らかである。電極ホルダ14が下向きに動かされるとき、弾性部材20a及び20bが圧縮されている間に開口もしくはアパチャ27が拡大するよう、ゲート18a及び18bは導波管9に平行に動く。
【0010】
電極ホルダ14がさらに下がると、FIG.1Bに記載のように、電極12a及び12bの遠位末端はキャビティもしくはガスフロー管13内に進入する。FIG.1Bはプラズマ発生システム2の模式図を表し、ここでは点火システム10はガスフロー管13内に完全に進入している。次いで、ガスが電極ホルダ14内に形成されたスルーパス孔23を通って流れる間、オペレータは、電極の遠位末端において電気アーク28を形成するため、電極12a及び12bに高電圧を印加してよい。(簡潔のため、電極12a及び12bの近位末端に電気的に接続された高圧電源をFIG.1Aに示さない。)電気アークはガスフロー管13内にイオン化ガス粒子を発生させ、今度はガスフロー管13を通って流れるマイクロ波エネルギーと共同してプラズマプルーム29を点火する。任意に、電極ホルダ14を、電極ホルダ14が最も低い位置にあるときにのみ、電気アークをトリガするトリガ機構(FIG.1Bに図示せず)と組み合わせてもよい。
【0011】
プラズマプルーム29を確立する際、点火システム10を上向きに動かすことにより(即ち点火システム10はFIG.1Aにおける位置に戻される)、点火システム10の遠位末端をキャビティから後退させてよい。点火システム10が後退すると、弾性部材20a及び20bの復元力によりアパチャ27のサイズが減り、その結果アパチャ27を通るマイクロ波漏洩が減ずる。FIG.1DはFIG.1Aにおけるゲートペア18a及び18bの上面図を表し、ここでそこを通る電極12a及び12を通すためゲートは完全に開いている。FIG.1EはFIG.1Aにおけるゲートペア18a及び18bの上面図を表し、ここで電極12a及び12bを完全に取り出されたとき、そこを通るマイクロ波漏洩をブロックするためゲートは閉じられている。記載のように、ゲート18a及び18bのそれぞれは凹所29を有する。上で考察したように、点火システム10が完全に取り出されるとき、ゲート18a及び18bは弾性部材20a及び20bにより閉じられている。次いで、ゲート18a及び18における凹所29はアパチャ27を形成し、その結果孔23を通って流れるガスはそのアパチャ27を通過して、プラズマプルーム29に供給され、それによりガスフロー管13内のプラズマプルーム29を維持する。
【0012】
たいていの慣用のシステムと異なり、プラズマプルーム29が確立されるとき、電極12a及び12bは後退している。操作の間、電極12a及び12bの先端がガスフロー管13内に留まるべきであったならば、ガスフロー管13内のマイクロ波エネルギーは電極12a及び12bにより拾われる。また、電極12a及び12bの先端がキャビティ内部でプラズマと相互作用するが、そこでその相互作用は電極の先端を侵食することになる。よって、電極12a及び12bの先端を後退させることにより、点火システム10は電極先端の侵食を減らす。さらには、操作の間アパチャ27を減らすと、アパチャ27を通るマイクロ波漏洩は減らされる。点火システム10自体は、全システムの効率を高める。一実施形態において、アパチャ27の直径は、導波管9内のマイクロ波の波長よりも数桁小さく、その結果ゲート18a及び18bを通る漏洩はなく、さらにシステム効率を高めている。
【0013】
FIG.1D及び1Eにおいて、アパチャ27はゲート18a及び18b内の凹所ペア29により形成される。しかしながら、アパチャ27の直径を制御するのに他の適当なタイプのメカニズム(例えば複数の指を有する)を使用してよいことは、当業者には明らかである。
【0014】
FIG.2Aは、本発明の別の実施形態によるプラズマ発生システム30の模式図を表し、ここで点火システム31はガスフロー管50,導波管48,及び2つのメッシュ34及び36に囲まれたキャビティから後退している。FIG.2BFIG.2Aの点火システム31の拡大図である。FIG.2CはFIG.2Aにおけるゲートペア46a及び46bの上面図を表す。記載のように、導波管48,ガスフロー管50,電極ペア44a及び44b,電極ホルダ42,ゲートペア46a及び46b,及び弾性部材ペア40a及び40bの構造及び操作機構は、FIG.1Aにおけるプラズマ発生システム2の対応物と同様であり、その違いは、ガスが電極ホルダ42を通って提供されず、及びメッシュペア34及び36がマイクロ波漏洩をブロックするのに使用されることである。代わりに、ワーキングガスが導波管48の壁内に形成されたガス通路47を通ってガスフロー管50内に導入される。電極ホルダ42がアクチュエータ53により矢印32の方向に沿って動かされるとき、ゲートペア46a及び46bは矢印38の方向に沿ってスライドする。アクチュエータ53がいずれの適当なタイプのもの(例えば電動アクチュエータ)であってよいことは、当業者には明らかである。ゲートペア46a及び46bは、FIG.1Dの凹所29に類似のいかなる凹所を有しない。即ちガスはガス通路47を通って導入されるので、FIG.2Cに記載のように、ゲート46a及び46bが閉じられているとき、ゲート46a及び46bはいかなるアパチャを有しない。
【0015】
別の実施形態において、電極ホルダ42はFIG.1Aにおける電極ホルダ14としてスルーパス孔を有してよい。このような配置において、ワーキングガスがガス通路47を通過してよい間、点火ガスは電極ホルダに形成された孔を通過してよい。即ち、ワーキングガスとは異なってよい点火ガスは、初期点火プロセスの間、ガスフロー管50内に導入される。
【0016】
FIG.2DはFIG.2Aにおけるプラズマ発生システム30の模式図を表し、ここで点火システム31はキャビティもしくはガスフロー管50内に進入する。FIG.2EはFIG.2Dの点火システム31の拡大図である。記載のように、電気アーク43を発生させるため、高電圧が電極44a及び44bに印加される。電気アーク43は、今度はガスフロー管50内のガスをイオン化する。次いで、イオン化ガスは、導波管48内部のマイクロ波エネルギーと共同してプラズマプルーム49を発生する。プラズマプルーム49を確立する際、FIG.2Aに記載のように点火システム31はガスフロー管50から取り出される。
【0017】
FIG.3Aは本発明の別の実施態様によるプラズマ発生システム70の模式図を表し、ここで点火システム71は、ガスフロー管72,メッシュ76及び78,及び導波管73によって囲まれたキャビティから取り出される。FIG.3Bはプラズマ発生システム70の模式図を表し、ここで点火システム71はキャビティ内に進入する。プラズマ発生システム70の成分の構造及び操作機構は、プラズマ発生システム30の対応物と同様であり、その違いは、点火システム71はプラズマ発生システム70の底部に位置することである。すなわち点火システム71はガスフロー管72の下流に位置する一方で、点火システム31はガスフロー管50の上流に位置する。簡潔のため、アクチュエータ53と同様のアクチュエータをFIGS.3A及び3Bに図示しない。
【0018】
上に考察したように、プラズマ発生システム70の操作手順は、プラズマ発生システム30のそれと同様である。例えば、FIG.3Bに記載のように、プラズマプルーム74を確立するため点火システム71キャビティ内に進入させる。次いで、点火システム71はキャビティから取り出され、その結果ゲートが導波管73からのマイクロ波エネルギーの漏れをブロックする。
【0019】
FIG.4Aは本発明の別の実施態様によるプラズマ発生システム80の模式図を表し、ここで点火システム81は、導波管90,メッシュ87,及びマイクロ波透過性材料(例えば石英)からなるガスフロー管96に囲まれたキャビティ内に進入させられる。FIG.4Bはプラズマ発生システム80の模式図を表し、ここで点火システム81はキャビティから取り出される。FIG.4Cはスルーパス孔98の近くの導波管90の壁の一部の上面図を表す。FIG.4DはFIG.4Aにおけるシール88の上面図を表す。
【0020】
FIG.4A乃至4Dに記載のように、点火システム81は: 上向き及び下向きに可動性の電極85;電極85に固定された圧力板機能84;シール88;圧力板機能84及びシール88両方に接続された弾性機構86(例えばばね);導波管90の上で閉鎖空間を形成し、且つガス入口83を有するハウジング82(ここでハウジング82はマイクロ波不透過性材料(例えば金属)から形成されてよい)を有する。電極85は、絶縁部材93によりハウジング82から電気的に絶縁される。別の実施形態において、ハウジング82及び絶縁部材93は、誘電性材料の1個の一体型ボディの上に形成される。
【0021】
プラズマプルーム92を確立するため、電極85を下向きに動かし、その結果、電極の円錐型先端がキャビティ内部に存在する。また、孔98の内側リムと電極85の外側表面との間のギャップは、点火ガスフロー導管を形成する。即ち孔98及び電極85は、点火ガスを受容するためのゲートを形成する。次いで、高電圧が電極85の近位末端に印加され、その結果電気アーク91が電極85の遠位末端に形成される。ここで、電極85に対して予めセットされた電位を提供するため、導波管90の壁をアースしてよい。あるいは、電極ペア12a及び12b(FIG.1Aに図示)と同様の電極ペアを電極85の代わりに使用してよい。ここで電極は地面から絶縁される。誘電性パッドを導波管90の内側表面に取り付けてもよく、その結果アーク91を電極85の先端近傍領域に制限してよいことを明記する。また、誘電性パッド97は、導波管90の鋭い角を覆い、角近傍の電気アークの不慮の放電を予防する。
【0022】
電気アーク91は、孔98を通ってガスフロー管96内に導入される点火ガスをイオン化し得る。次いで、イオン化ガスはキャビティ内部のガスを点火し、導波管90内へ向けられたマイクロ波エネルギーと共同してプラズマプルーム92を形成する。このステージの間、圧力板機能84は、シール88に力を加え、その結果シールはFIG.4Aに記載のように導波管90内に形成された孔94をブロックする(もしくは孔を通るフローを減らす)。
【0023】
FIG.4A及び4Bにおいて、点火プロセスの間、ガスフロー通路として孔98は使用される一方、主要プラズマ操作の間、ガスフロー通路として孔94は使用される。しかしながら、操作条件に依存して、点火ステージの間、シール88は孔94を完全には閉じないかもしれない。例えば、高電圧アーク91が開始されるとき、ガスは孔98及び94の両方を通って同時に流れ得る。
【0024】
一旦プラズマプルーム92が確立されると、電極85は上向きに動かされ、その結果孔98は電極85の円錐形先端によりブロックされる。また、圧力板機能84は弾性部材86を上向きに動かし、その結果Fig.4Bに示すようにシール88は孔94をブロック解除する。孔94を通って流れるワーキングガスはプラズマプルーム92に供給され、その結果プラズマプルーはキャビティ内に維持される。孔98を通って導入される点火ガスは、孔94を通って導入されるワーキングガスと異なっても、同じであってもよいことを明記する。
【0025】
FIG.4Cに記載のように、導波管90の壁は、そこを通るワーキングガスを通すための複数の孔94、及び電極85を受容するための孔98を有する。一実施形態において、各孔94の直径は導波管90内のマイクロ波の波長よりも数桁小さく、その結果マイクロ波エネルギーは孔94を通って漏れない。FIG.4Cにおいて、8個の孔のみ図示されている。しかしながら、他の適当な数の孔を導波管90内に形成してよいことは、当業者にとって明らかである。
【0026】
FIG.4Dに記載のように、シール88は、実質的にリング状を有し、その結果圧力板84がシール88に力を加えるとき、シールは孔94をブロックもしくは制限可能である。シール88は、マイクロ波に対して不透過性の材料(例えば金属)により形成されてよい。別の実施形態において、シール88は多様なバルブ(例えばニードルバルブ)により置換されてよい。ここで各バルブは孔94の各々を通るフローを制御し得る。
【0027】
別の実施形態において、シール88は電極85に直接固定されていてよく、その結果これらは1個の剛体として移動可能である。この実施形態において、圧力板機能84及び弾性機構86はシステム80から除かれてもよい。
【0028】
電極85は、アクチュエータ99により上向きもしくは下向きに動かされる。アクチュエータ99がいずれの適当なタイプのもの(例えば電動アクチュエータ)であってよいことは、当業者に明らかである。アクチュエータ99はハウジング82内部に位置してよい。
【0029】
FIG.5Aは本発明の別の実施態様によるプラズマ発生システム100の模式図を表す。記載のように、電極101が動かされ、その結果円錐形先端部分が、導波管102,2つのメッシュ106及び108;及びガスフロー管104により形成されたキャビティ内に進入もしくはそこから取り出される。電極101,導波管102,メッシュ106及び108は、マイクロ波不透過性材料(例えば金属)により形成されてよい。FIG.5Bはプラズマ発生システム100の模式図を表し、ここで電極101の先端部分はキャビティから取り出される。
【0030】
キャビティ内のプラズマを点火するため、電極101をアクチュエータ160によりキャビティの方へ動かしてよく、その結果電極101の円錐型部分はキャビティ内部に存在する。次いで、電極101の先端において電気アーク110を発生させるため、高電圧を電極101に印加する。次いで、導波管102の壁内の孔103を通って注入されたガス(これはワーキングガスでよい)を、上に考察した点火に従い導波管102に向けられたマイクロ波エネルギーの使用によりプラズマプルーム111に変換する。孔114内部の電気アークを防止するため、孔114は導波管102の内側表面に固定された誘電性パッド116により囲まれる。
【0031】
プラズマプルーム111をガスフロー管104内部で確立するとき、電極101を動かして、電極101の円錐形先端がキャビティから取り出されるようにする。電極101の円錐形先端の寸法は、導波管102内に形成された孔114をブロックするように形成されており、その結果孔114を通ってマイクロ波エネルギーは漏れない。
【0032】
電極101をキャビティに向かって侵入させるとき、点火ガスは孔114のリムと電極101の外側表面との間のギャップを通って流れてよいことを明記する。あるいは、点火ガスは孔103を通って注入されてよい。
【0033】
FIG.5A乃至5Bに記載のように、誘電性パッド116は孔114を覆うが、キャビティを規定する導波管102の内側表面まで拡張しない。よって、電極101をアクチュエータ160によりキャビティから後退させるとき、FIG.5Bに図示のように、電極101の円錐形先端は導波管102と直接接触し、その結果電極101は導波管102を介してアースされる。電極101及び導波管102がアースされ、導電性材料により形成されるので、操作の間キャビティ内のマイクロ波エネルギーは孔114を通って漏れない。アクチュエータ160がいずれの適当なタイプのもの(例えば電動アクチュエータ)であってよいことは、当業者に明らかである。
【0034】
FIG.6は本発明の別の実施態様によるプラズマ発生システム140の模式図を表す。記載のように、システム140はシステム100と同様であり、違いは導波管142内に形成された孔144の断面寸法が電極141の縦方向に沿って変化することである。断面寸法を変化させることにより、電極141と導波管142とのインピーダンスもまた変化する。電極141の円錐形先端部分近傍でインピーダンスを最低にすることにより、アーク150の位置を電極141の円錐形先端部分近傍の領域に限定可能である。簡略のため、電極141を動かすためのアクチュエータはFig.6に図示しない。ここでアクチュエータはアクチュエータ160と同様であってよい。
【0035】
本発明はその具体的な実施形態を参照して記載されてきたが、当然のことながら、前述のものは本発明の好ましい実施形態に関するものであり、以下の請求項に明らかな本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り変更がなされてよい。