特許第5887073号(P5887073)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5887073-X線検査装置 図000002
  • 特許5887073-X線検査装置 図000003
  • 特許5887073-X線検査装置 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5887073
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】X線検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20060101AFI20160303BHJP
   G01N 23/18 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
   G01N23/04
   G01N23/18
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-126797(P2011-126797)
(22)【出願日】2011年6月6日
(65)【公開番号】特開2012-251957(P2012-251957A)
(43)【公開日】2012年12月20日
【審査請求日】2014年4月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(72)【発明者】
【氏名】杉本 一幸
(72)【発明者】
【氏名】栖原 一浩
【審査官】 比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−208305(JP,A)
【文献】 特開2000−065766(JP,A)
【文献】 特開2004−342360(JP,A)
【文献】 特開2007−124864(JP,A)
【文献】 特開2007−192605(JP,A)
【文献】 特開2002−272723(JP,A)
【文献】 特開2003−162787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00−23/227
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送中の物品がX線照射領域にない場合には、省エネモードに切り替わってX線発生装置への電力供給を低減させるX線検査装置であって、前記物品を前記X線照射領域に搬送する搬送コンベアと、該搬送コンベアの上流側に設置された物品検出センサと、前記物品検出センサから前記物品の検出信号が入力されると、前記物品が前記X線照射領域に到達するタイミングで前記X線発生装置に通常モードの電力を印加させるとともに、前記物品検出センサによる前記物品の検出時間に相当する時間が経過するまで前記通常モード状態を維持してその時間を計測し、前記物品が前記X線照射領域を通過して前記物品の搬送方向長さに相当する時間が経過すると、前記電力を通常モードから省エネモードに切り替えて省エネモード時間を計測する制御手段と、該制御手段で計測したそれらの計測結果を運転中の表示画面に省エネモードの表示とともに表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とするX線検査装置。
【請求項2】
前記表示手段が、省エネモード中であることのメッセージとともに、省エネモードでの運転時間と非省エネモードでの運転時間との割合をバーグラフ表示するものであることを特徴とする請求項1に記載のX線検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、搬送中の物品にX線を照射して、物品中の異物の有無や内容物の割れ欠け、梱包製品における欠品の有無等を検査するX線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工業用のX線検査装置は、物品中の異物の有無や袋詰商品の内容物の割れ欠け、梱包製品における欠品の有無等を検査するために、搬送ラインに組み込まれるが、この種の装置は、搬送中の物品に連続的にX線を照射する必要から、X線発生装置の劣化が、医療分野のものとは違って、格段に早いという問題がある。
そのため、下記特許文献1では、物品がX線検出領域に居ない場合には、X線発生装置への電力供給を低減させて、長寿命化を図る試みがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−192605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の装置では、電力供給を削減することはできても、それが可視化されていないために、それが省エネにどれだけ貢献しているかを知ることはできなかった。この発明は、こうした事情に鑑みて発明したもので、省エネ効果を可視化できる新たなX線検査装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、搬送中の物品がX線照射領域に居ない場合には、省エネモードに切り替わってX線発生装置への電力供給を低減させるX線検査装置であって、前記物品を前記X線照射領域に搬送する搬送コンベアと、該搬送コンベアの上流側に設置された物品検出センサと、前記物品検出センサから前記物品の検出信号が入力されると、前記物品が前記X線照射領域に到達するタイミングで前記X線発生装置に通常モードの電力を印加させるとともに、前記物品検出センサによる前記物品の検出時間に相当する時間が経過するまで前記通常モード状態を維持してその時間を計測し、前記物品が前記X線照射領域を通過して前記物品の搬送方向長さに相当する時間が経過すると、前記電力を通常モードから省エネモードに切り替えて省エネモード時間を計測する制御手段と、該制御手段で計測したそれらの計測結果を運転中の表示画面に省エネモードの表示とともに表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のX線検査装置であって、前記表示手段が、省エネモード中であることのメッセージとともに、省エネモードでの運転時間と非省エネモードでの運転時間との割合をバーグラフ表示するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、物品がX線照射領域に来なければ、X線検査装置が省エネモードに切り替わるとともに、省エネモード中であることを表示するので、物品の搬送状況やX線検査装置の稼動状況を監視する作業員にとっては、省エネモードへの切り替え表示を通して、物品の搬送状況やX線検査装置の運転状況とを同時に確認することができる。
【0008】
加えて、X線検査装置の省エネモードでの運転時間と非省エネモードでの運転時間とを知ることができるので、省エネモードの運転時間から、無駄なエネルギーの削減時間を知ることができる。また、非省エネモードの運転時間から、X線発生装置の寿命やX線の照射によって劣化するラインセンサ(X線検出センサ)の寿命を予測することもできる。
【0009】
請求項に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、省エネモードでの運転時間と非省エネモードでの運転時間との割合をバーグラフ表示するので、無駄なエネルギーの削減割合や装置の稼動状況等を知ることができる。加えて、これらの運転時間を集計することにより、日単位、月単位、年単位での削減割合や稼動状況等も知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の一実施形態に係るX線検査装置の主要部のブロック線図。
図2】前記実施形態に係るX線検査装置の動作を説明するタイミングチャート。
図3】表示手段による一表示形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の一実施形態を図1乃至図3に基づいて説明する。
【実施例】
【0012】
X線検査装置1は、搬送コンベア2と、X線発生装置3と、X線検出センサ4と、制御手段5と、表示手段6とを備える。
【0013】
X線発生装置3は、搬送コンベア2の上方に設置されて、搬送中の物品AにX線を照射するもので、その照射領域Sは、X線検出センサ4の幅と長さに制限されている。
X線検出センサ4は、搬送コンベア2の下方に設置されて、物品Aを透過してきたX線を検出して電気信号に変換する。
制御手段5は、X線検出センサ4の信号を入力し、これに基づいて2次元の検出画像に展開した後、それに画像処理を施して物品の割れ欠け、異物混入の有無、梱包製品における欠品の有無等を検出する。
表示手段6は、タッチパネルで構成され、運転操作に必要な種々の画面と操作キーが表示され、省エネモードに切り替わると、図3に示すようなメッセージMとバーグラフBとが表示されるようになっている。
また、物品検出センサ7は、搬送コンベア2の上流側に設置された発光器と受光器とから構成され、受光器が物品を検出すると、検出信号を制御手段5に出力する。
【0014】
X線発生装置3に電力を供給する電源回路8は、特に、通常モード(非省エネモード)から省エネモードへの切り替えを行うために、図示しない定電圧電流回路を備えて、X線発生装置3に対する印加電圧を一定としながら、印加電流のみを増減させるようになっている。例えば、図2に示すように、搬送中の物品AがX線照射領域Sに到達すると、X線発生装置3に対する印加電圧を50KV〜100KV、印加電流を1mA〜5mとする通常モードとし、物品AがX線照射領域Sから外れると、例えば、印加電圧を50KV〜100KV、印加電流を0.1mA〜0.5mAとする省エネモードに切り替えるようになっている。
【0015】
次に、X線検査装置1の特に制御手段の動作について説明する。
図2に示すように、物品検出センサ7によって搬送中の物品Aが検出されると、その検出信号が制御手段5に入力される。制御手段5は、その検出信号に基づいて、X線発生装置3のウオーミングアップ時間を考慮したタイミングで電源回路8に制御信号を送って、物品AがX線照射領域Sに到達するタイミングで通常モードの印加電圧と印加電流がX線発生装置3に印加されるように制御する。
次に、物品検出センサ7による物品Aの検出時間から物品Aの搬送方向長さが検出されると、その時間が経過するまで前記通常モードの状態を維持するとともに、通常モードの時間を制御手段5のソフトタイマで計測する。このときの表示手段6の表示は、通常運転の状態となっている。
そして、その時間が経過すると、物品AがX線照射領域Sから外れるので、そのタイミングで、印加電流を通常モードから省エネモードに切り替えるとともに、ソフトタイマによる通常モード時間の計測を終了する。同時に、ソフトタイマで省エネモードの時間を計測するとともに、表示手段6の通常運転の表示画面に、省エネモードに移行したことのメッセージ9を図3のように表示する。
こうして、間欠的に搬送されてくる物品Aを次々と検出しては、X線発生装置3に対する供給電力を増減し、その間の通常モード時間と省エネモード時間をそれぞれ計測して、その結果を図3に示すようなバーグラフ10でもって表示する。
【0016】
なお、図3のバーグラフ10では、バーの左側が省エネモードの割合を表し、バーの右側が通常モード(非省エネモード)の割合を表しているが、これは、ある瞬間の割合を表したもので、これは一例に過ぎない。また、こうした通常モード時間の計測と省エネモード時間の計測を集計することによって、日単位、月単位、年単位の集計データをバーグラフで表示することもできる。これにより、エネルギーの削減効果を可視化することができるし、省エネモードと通常モードの割合から、物品の供給効率も知ることができる。
【符号の説明】
【0017】
1 X線検査装置
2 搬送コンベア
3 X線発生装置
4 X線検出センサ
5 制御手段
6 表示手段
7 物品検出センサ
8 電源回路
9 メッセージ
10 バーグラフ


図1
図2
図3