特許第5887076号(P5887076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5887076-フルブリッジ切り換え回路 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5887076
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】フルブリッジ切り換え回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20160303BHJP
   H02M 3/335 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
   H02M3/28 W
   H02M3/28 P
   H02M3/335 E
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-150368(P2011-150368)
(22)【出願日】2011年7月6日
(65)【公開番号】特開2013-17364(P2013-17364A)
(43)【公開日】2013年1月24日
【審査請求日】2014年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】南 光佑
(72)【発明者】
【氏名】印 正男
(72)【発明者】
【氏名】崔 準▲徳▼
(72)【発明者】
【氏名】安 民基
【審査官】 神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−187662(JP,A)
【文献】 実開昭63−194585(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00〜3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次側コイルおよび2次側コイルを有する第1のトランスと、
1次側コイルおよび2次側コイルを有する第2のトランスと、
第1上側スイッチおよび第1下側スイッチを含み、前記第1上側スイッチと前記第1下側スイッチの接続ノードが、前記第1のトランスの前記1次側コイルの一端と接続される第1のスイッチ素子部と、
第2上側スイッチおよび第2下側スイッチを含み、前記第2上側スイッチと前記第2下側スイッチの接続ノードが、前記第1のトランスの前記1次側コイルの他端および前記第2のトランスの前記1次側コイルの一端と接続される第2のスイッチ素子部と、
第3上側スイッチおよび第3下側スイッチを含み、前記第3上側スイッチと前記第3下側スイッチの接続ノードが、前記第2のトランスの前記1次側コイルの他端と接続される第3のスイッチ素子部と、
前記第1上側スイッチ、前記第1下側スイッチ、前記第2上側スイッチ、前記第2下側スイッチ、前記第3上側スイッチ、前記第3下側スイッチ、それぞれを制御する第1スイッチ制御信号から第6スイッチ制御信号を生成するIC回路部と、
を備え、
前記IC回路部は、
三角波信号を生成する三角波発振部と、
前記第1のトランスの2次側コイルから得られる第1のフィードバック信号を前記三角波信号と比較し、第1の比較信号を生成する第1の比較器と、
前記第2のトランスの2次側コイルから得られる第2のフィードバック信号を前記三角波信号と比較し、第2の比較信号を生成する第2の比較器と、
前記第1の比較信号にもとづいて、前記第1スイッチ制御信号、前記第2スイッチ制御信号および第1中間制御信号、第2中間制御信号を生成する第1のドライバと、
前記第2の比較信号にもとづいて、前記第5スイッチ制御信号、前記第6スイッチ制御信号および第3中間制御信号、第4中間制御信号を生成する第2のドライバと、
前記第1中間制御信号から前記第4中間制御信号にもとづいて、前記第3スイッチ制御信号、前記第4スイッチ制御信号を生成する論理演算回路と、
を備え、
前記第1スイッチ制御信号は、前記第1の比較信号に含まれるパルスのうち、前記三角波信号の第1の隔周期に対応するパルスを含み、前記第2スイッチ制御信号は前記第1スイッチ制御信号の反転論理レベルを有し、
前記第5スイッチ制御信号は、前記第2の比較信号に含まれるパルスのうち、前記三角波信号の前記第1の隔周期に対応するパルスを含み、前記第6スイッチ制御信号は前記第5スイッチ制御信号の反転論理レベルを有し、
前記第1中間制御信号は、前記第1の比較信号に含まれるパルスのうち、前記三角波信号の第2の隔周期に対応するパルスを含み、前記第2中間制御信号は前記第1中間制御信号の反転論理レベルを有し、
前記第3中間制御信号は、前記第2の比較信号に含まれるパルスのうち、前記三角波信号の前記第2の隔周期に対応するパルスを含み、前記第4中間制御信号は前記第3中間制御信号の反転論理レベルを有し、
前記第3スイッチ制御信号は、前記第1中間制御信号と前記第3中間制御信号の論理和であり、
前記第4スイッチ制御信号は、前記第2中間制御信号と前記第4中間制御信号の論理積であることを特徴とするフルブリッジ切り換え回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルブリッジ切り換え回路に関し、より詳しくは、6つの切り換え素子で具現される2チャンネルフルブリッジ切り換え回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電源装置またはインバータ等のように大電力を出力する電子機器は、通常PWM回路の制御信号によって電力を増幅して負荷に伝達するコンバータ回路を備える。そのようなコンバータ回路は、PWM信号の制御に基づいて直流電圧信号を交流電圧信号に変換して出力する切り換え回路を組み込むことが通常である。直流電圧信号を交流電圧信号に変換して出力する切り換え回路としては、ハーフブリッジ(half-bridge)切り換え回路、フルブリッジ(full-bridge)切り換え回路、プッシュプル(push-pull)切り換え回路などが挙げられる。このうち、単極性電源及び4つの切り換え素子で具現されるフルブリッジ切り換え回路は、現在最も代表的な切り換え回路であって、出力容量が大きい場合や出力電圧が高い場合に広く用いられてきている。
【0003】
1つのチャンネルを有する単チャンネルフルブリッジ切り換え回路は、計4つの切り換え素子がトランスの1次側コイルを介してH字状に配設されるため、「Hブリッジ」とも呼ばれる。通常、フルブリッジ切り換え回路はH字状に配置された切り換え素子を交互に導通させると共に、各切り換え素子のオン(ON)パルス幅を可変することによって出力電圧を制御する。
【0004】
各種の電子機器の大規模化に伴って、切り換え回路は単チャンネル形態で用いられる場合より、2つのチャンネルを有する形で用いられる場合が多くなっている。従来2チャンネルフルブリッジ切り換え回路は、2つの単チャンネルフルブリッジ切り換え回路を単に共に配置する形態であって、計8つの切り換え素子を含むように構成されることが一般的である。2チャンネルフルブリッジ切り換え回路において、各チャンネルは個別に調整されなければならないため、ICはこれら計8つの切り換え素子の動作を各々制御しなければならない。しかし、このような2チャンネルフルブリッジ切り換え回路の場合、切り換え素子の数が多いため、回路構成が複雑で、費用及び大きさで不利な面がある。
【0005】
これと関連して、切り換え素子の数を減らそうとする努力によって、計6つの切り換え素子を有する2チャンネルフルブリッジ切り換え回路が研究された。このような切り換え回路は、2つのチャンネルのための各トランスの1次側コイルの一方の端子を互いに短絡させて共通ノードにし、その共通ノードに接続された2つの切り換え素子が両チャンネルに共通に用いられるように構成されている。このような構成を有する回路の場合、各チャンネルは個別に調整されなければならないため、回路駆動のためには共通ノードに接続された切り換え素子のオン/オフ時間及びそれによる共通ノードの電位によって残りの他の切り換え素子のオン/オフ時間を制御して所望の結果を得る、いわゆるフェーズシフト方式が採択されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−342485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、6つの切り換え素子を有する2チャンネルフルブリッジ切り換え回路として、フェーズシフト方式のような複雑な制御なしに簡単な方式でも各チャンネルの個別の調整を可能にした切り換え回路が必要である。
【0008】
本発明は、フェーズシフト方式のような複雑な制御なしに簡単な方式でも各チャンネルの個別の調整が可能な6つの切り換え素子を有する2チャンネルフルブリッジ切り換え回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一特徴によれば、フルブリッジ切り換え回路が提供される。本発明によるフルブリッジ切り換え回路は、第1のコンバータ回路及び第2のコンバータ回路を含むコンバータ回路部を含むことができる。第1及び第2のコンバータ回路は各々第1及び第2のトランスを含み、各々第1及び第2の切り換え信号に応答して第1及び第2のトランスを各々制御する第1及び第2の切り換え素子部を各々含み、第1及び第2のトランスは第1及び第2の切り換え素子部の制御によって、各々第1及び第2のフィードバック信号を出力できる。また、本発明によるフルブリッジ切り換え回路は、第3の切り換え入力を有し、第1及び第2のトランスに接続された第3の切り換え素子部と、第1のフィードバック信号に基づいて生成された第1の制御信号と第2のフィードバック信号に基づいて生成された第2の制御信号の論理和信号を生成するIC回路部を含むことができる。論理和信号は第3の切り換えの入力によりフィードバックされ得る。
【0010】
本発明の一実施例によれば、第3の切り換え素子部は、論理和信号に応答して第1及び第2のトランスをさらに制御できる。
【0011】
本発明の一実施例によれば、第3の切り換え素子部は互いに接続された第1及び第2のスイッチをさらに含むことができ、第1及び第2のトランスは各々1次コイルを含むことができる。また、1次コイルの一方の端子は互いに接続され得て、第1及び第2のスイッチの接点は1次コイルの接点に接続され得る。論理和信号は第1及び第2のスイッチのオンオフを制御することができ、第1及び第2のスイッチは1次コイルの電流の流れを制御することができる。
【0012】
本発明の一実施例によれば、第1のコンバータ回路は、第1のトランスの1次コイルの電流の流れを制御するための第3の及び第4スイッチを含むことができ、第2のコンバータ回路は、第2のトランスの1次コイルの電流の流れを制御するための第5及び第6スイッチをさらに含むことができ、IC回路部は第1のフィードバック信号に基づいて第3の及び第4スイッチのオンオフ制御のための第3の制御信号を生成でき、第2のフィードバック信号に基づいて第5及び第6スイッチのオンオフ制御のための第4制御信号を生成することができる。
【0013】
本発明の一実施例によれば、第1及び第2の制御信号は第1のスイッチのための制御信号と第2のスイッチのための制御信号をいずれも含むことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、構成が簡単で、制御が容易な2チャンネルフルブリッジ切り換え回路が得られる。また、2チャンネルフルブリッジ切り換え回路を構成するにおいて、切り換え素子数を減らし、構成を単純化できるようになり、費用及び空間節減の効果が得られるだけでなく、フェーズシフト方式のような複雑な制御なしでも回路構成により各チャンネルの個別の調整が可能になって使用上の利便性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施例によるコンバータ回路を概略的に示した図面である。
図2図1のIC回路の内部構成を示した図面である。
図3図2のIC回路に流れる各信号及びそれによるコンバータ回路のトランスの各1次側コイルに流れる電流の位相変化を示すタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態は図面を参考にして詳細に説明する。次に示される各実施の形態は当業者にとって本発明の思想が十分に伝達されることができるようにするために例として挙げられるものである。従って、本発明は以下示している各実施の形態に限定されることなく他の形態で具体化されることができる。
【0017】
図1は、本発明の一実施例によるコンバータ回路100を概略的に示した図面である。同図のように、コンバータ回路100はIC回路102、第1のスイッチ素子部SWa、第2のスイッチ素子部SWcom及び第3のスイッチ素子部SWbを含む。
【0018】
IC回路102は,6つのスイッチ制御信号SWa1、SWa2、SWc1、SWc2、SWb1、SWb2を出力する。IC回路102から出力されるこれらスイッチ制御信号SWa1、SWa2、SWc1、SWc2、SWb1、SWb2はPWM制御信号であって、これら信号のオン/オフ持続時間の組合わせによって各負荷に出力される電圧が定められることができる。IC回路102の内部構成については図2を参照して後述することにする。
【0019】
図1に示すように、第1のスイッチ素子部SWa、第2のスイッチ素子部SWcom及び第3のスイッチ素子部SWbは、各々電源部112a、112com、112bを含むことができる。これら電源部112a、112com、112bは所定の直流電圧源であってもよい。
【0020】
第1のスイッチ素子部SWaはスイッチ素子114a1、114a2を含むことができる。本発明の一実施例によれば、スイッチ素子114a1、114a2はMOSFETスイッチであってもよく、これに限定するものではない。図1に示すように、スイッチ素子114a1のソース端子が電源部112aに接続され、ゲート端子にはIC回路102から入力されたスイッチ制御信号SWa1が印加され得る。スイッチ素子114a1のドレイン端子はスイッチ素子114a2のソース端子と互いに接続され得る。スイッチ素子114a2のドレイン端子は接地され得る。
【0021】
第2のスイッチ素子部SWcomは、スイッチ素子114com1、114com2を含むことができる。本発明の一実施例によれば、スイッチ素子114com1、114com2はMOSFETスイッチであってもよいが、本発明がこれによって制限されるわけではない。図1に示すように、スイッチ素子114com1のソース端子が電源部112comに接続され、ゲート端子にはIC回路100から入力されたスイッチ制御信号SWc1が印加され得る。スイッチ素子114com1のドレイン端子はスイッチ素子114com2のソース端子と互いに接続され得る。スイッチ素子114com2のドレイン端子は接地され得る。
【0022】
第3のスイッチ素子部SWbはスイッチ素子114b1、114b2を含むことができる。本発明の一実施例によれば、スイッチ素子114b1、114b2はMOSFETスイッチであってもよいが、本発明がこれによって制限されるわけではない。図1に示すように、スイッチ素子114b1のソース端子が電源部112bに接続され、ゲート端子にはIC回路100から入力されたスイッチ制御信号SWb1が印加され得る。スイッチ素子114b1のドレイン端子はスイッチ素子114b2のソース端子と互いに接続され得る。スイッチ素子114b2のドレイン端子は接地され得る。
【0023】
図1に示すように、コンバータ回路100は、またトランス116aを含むことができる。トランス116aの1次側コイルの始端はスイッチ素子114a1、114a2の接点に接続され、トランス116aの1次側コイルの終端はスイッチ素子114com1、114com2の接点に接続される。トランス116aの1次側コイルにはスイッチ素子114a1、114a2及びスイッチ素子114com1、114com2のオン/オフ制御によって電源部112a、112comから印加された直流電圧信号が所定の交流電圧信号に変換されて印加され得る。トランス116aの1次側コイルに印加される交流電圧信号は2次側コイルに所定の電圧信号を生成でき、それにより一方の端子が2次側コイルに接続された負荷118aに所定の電圧信号が印加され得る。負荷118aの他端は接地され得る。
【0024】
図1に示すように、コンバータ回路100は、またトランス116bを含むことができる。トランス116bの1次側コイルの始端はスイッチ素子114b1、114b2の接点に接続され、トランス116bの1次側コイルの終端はスイッチ素子114com1、114com2の接点に接続される。トランス116bの1次側コイルにはスイッチ素子114b1、114b2及びスイッチ素子114com1、114com2のオン/オフ制御によって電源部112b、112comから印加された直流電圧信号が所定の交流電圧信号に変換されて印加され得る。トランス116bの1次側コイルに印加される交流電圧信号は2次側コイルに所定の電圧信号を生成でき、それにより一方の端子が2次側コイルに接続された負荷118bに所定の電圧信号が印加され得る。負荷118bの他端は接地され得る。
【0025】
図1に示すように、トランス116a、116bの2次側コイルの反対側の端子は、各々ダイオード120a、120bの各アノード端子に接続され得る。ダイオード120a、102bは交流電圧信号からマイナス成分を除去して直流電圧信号を得るためのものである。ダイオード120a、120bの各カソード端子は、またキャパシタ122a、122bの一方の端子に接続され得る。キャパシタ122a、122bは、ダイオード120a、120bを介して出力された直流電圧信号を平滑化できる。キャパシタ122a、122bの他方の端子は接地され得る。ダイオード120a、120bの各カソード端子とキャパシタ122a、122b間の接点各々は抵抗124a、124bの一方の端子に接続され得る。抵抗124a、124bは過電流防止のためのものである。抵抗124a、124bの他方の端子は各々フィードバック信号FB1、FB2を出力し、具体的に示されていないが、フィードバック信号FB1、FB2は各々IC回路102にフィードバック入力され得る。
【0026】
図1に示された第1のスイッチ素子部SWa、第2のスイッチ素子部SWcom、及びトランス116aがコンバータ回路100の第1のチャンネルを形成することができる。また、第2のスイッチ素子部SWcom、第3のスイッチ素子部SWb、及びトランス116bがコンバータ回路100の第2のチャンネルを形成することができる。
【0027】
図2は、図1のIC回路102の内部構成を示した図面である。
【0028】
図2に示すように、IC回路102は三角波発振部202を含むことができる。三角波発振部202は、所定の時間周期によって三角波発振信号を生成できる。三角波発振信号は、立ち上がりエッジと立ち下がりエッジが対称となる形態の三角波信号であってもよく、それとは異なり立ち下がりエッジがほぼ垂直に該当する実質的に直角三角形形状の三角波信号であってもよい。
【0029】
IC回路102は、また比較器204a、204bをさらに含むことができる。比較器204a、204bは各々一方の端子の入力として三角波発振部202から生成された三角波発振信号を受信することができる。比較器204a、204bは、また各々他の一方の端子の入力としてコンバータ回路100の各チャンネルからフィードバック入力されるフィードバック信号FB1及びフィードバック信号FB2を受信することができる。比較器204a、204bは、各々受信した三角波発振信号とフィードバック信号FB1、FB2を比較し、比較結果を出力することができる。
【0030】
IC回路102は、またドライバ206a、206bをさらに含むことができる。ドライバ206aは比較器204aの比較結果を受信することができ、受信された比較結果に基づいてコンバータ回路100の各スイッチ素子SWa1、SWa2のためのオン/オフ制御信号を生成できる。ドライバ206aは、また受信された比較結果に基づいて2つの追加の制御信号SW3、SW4を生成できるが、これら生成された信号SW3、SW4は、その後スイッチ素子SWc1、SWc2のためのオン/オフ制御信号の生成に用いられる。同様に、ドライバ206bは、比較器204bの比較結果を受信することができ、受信された比較結果に基づいてコンバータ回路100の各スイッチ素子SWb1、SWb2のためのオン/オフ制御信号を生成できる。ドライバ206bは、また受信された比較結果に基づいて2つの追加の制御信号SW7、SW8を生成できるが、これら生成された信号SW7、SW8はその後スイッチ素子SWc1、SWc2のためのオン/オフ制御信号の生成に用いられる。
【0031】
IC回路102は、また2つの論理ゲート208a、208bをさらに含むことができる。論理ゲート208aは、ドライバ206aから制御信号SW3とドライバ206bから制御信号SW7を受信することができ、これら受信された信号の論理和の結果を出力できる。論理ゲート208aから出力された論理和の結果は、スイッチ素子SWc1のためにオン/オフ制御信号として入力され得る。論理ゲート208bは、ドライバ206から制御信号SW4とドライバ206bから制御信号SW8を受信することができ、これら受信された信号の論理の結果を出力できる。論理ゲート208bから出力された論理の結果は、スイッチ素子SWc2のためにオン/オフ制御信号として入力され得る。
【0032】
図3は、図2のIC回路102に流れる各信号及びそれによるコンバータ回路100のトランス116a、116bの各1次側コイルに流れる電流の位相変化を示すタイミング図である。
【0033】
具体的には、図3(a)は、三角波発振信号とコンバータ回路100からIC回路102にフィードバック入力されたフィードバック信号FB1、FB2の関係を示したタイミング図である。図3(a)に示すように、三角波発振信号は立ち下がりエッジが垂直形状である鋸歯形状の信号である。図示によれば、フィードバック信号FB1はフィードバック信号FB2より若干大きい値を有する。
【0034】
図3(b)は、ドライバ206aから出力されるスイッチ制御信号SWa1、SWa2、SW3、SW4と、論理ゲート208a、208bから出力されるスイッチ制御信号SWc1、SWc2と、トランス116aの1次側コイルに流れる電流IL1の関係を示すタイミング図である。同図のように、スイッチ制御信号SWa1とスイッチ制御信号SWa2は各々所定の周期でオン/オフを繰り返す信号であり、両信号は互いに反対の論理レベルを有する。同図のように、スイッチ制御信号SWa1は、フィードバック信号FB1と三角波信号の比較結果のパルスのうち、三角波信号の第1の隔周期に対応するパルスを含んでおり、三角波信号がフィードバック信号FB1より大きい値になる地点で立ち下がりエッジを有し、オフ区間の長さがオン区間の長さより長い。図示によれば、制御信号SW3と制御信号SW4は各々所定の周期でオン/オフを繰り返す信号であって、両信号は互いに反対の論理レベルを有する。同図のように、制御信号SW3はフィードバック信号FB1と三角波信号の比較結果のパルスのうち、三角波信号の第2の隔周期に対応するパルスを含んでおり、三角波信号がリセットされる地点で立ち上がりエッジを有し、オフ区間の長さがオン区間の長さより長い。図示によれば、スイッチ制御信号SWc1、SWc2は制御信号SW3、SW4と同一の論理レベルを有する。
【0035】
図3(b)に示すように、トランス116aの1次側コイルに流れる電流IL1の位相はスイッチ制御信号SWa1、SWc2がオン状態になり、スイッチ制御信号SWa2、SWc1がオフ状態になる時、緩やかな傾斜の立ち上がりエッジを有し、三角波信号がフィードバック信号FB1より大きい値になる地点、即ちスイッチ制御信号SWa1の立ち下がりエッジからその立ち上がりエッジより急な傾斜の立ち下がりエッジを有する。トランス116aの1次側コイルに流れる電流IL1の位相は、また三角波信号がリセットされる地点、即ちスイッチ制御信号SWc1の立ち上がりエッジまで0に維持され、その地点から再度緩やかな傾斜で立ち下がり、マイナス電位を有する。その後、次の三角波信号がフィードバック信号FB1より大きい値になる地点、即ちスイッチ制御信号SWcの立ち下がりエッジから急な傾斜の立ち上がりエッジを有する。その後、トランス116aの1次側コイルに流れる電流IL1の位相は、また三角波信号がリセットされる地点、即ちスイッチ制御信号SW1の立ち上がりエッジまで再度0に維持される。
【0036】
図3(c)は、ドライバ206bから出力されるスイッチ制御信号SWb1、SWb2、SW7、SW8と、論理ゲート208a、208bから出力されるスイッチ制御信号SWc1、SWc2と、トランス116bの1次側コイルに流れる電流IL2の関係を示すタイミング図である。同図のように、スイッチ制御信号SWb1とスイッチ制御信号SWbは、各々所定の周期でオン/オフを繰り返す信号であって、両信号は互いに反対の論理レベルを有する。同図のように、スイッチ制御信号SWb1は、フィードバック信号FB2と三角波信号の比較結果のパルスのうち、三角波信号の第1の隔周期に対応するパルスを含んでおり、三角波信号がフィードバック信号FB2より大きい値になる地点で立ち下がりエッジを有し、オフ区間の長さがオン区間の長さより長い。同図のように、制御信号SW7と制御信号SW8は各々所定の周期でオン/オフを繰り返す信号であって、両信号は互いに反対の論理レベルを有する。また、制御信号SWc1と制御信号SWc2も各々所定の周期でオン/オフを繰り返す信号であって、両信号は互いに反対の論理レベルを有する。同図のように、制御信号SW7はフィードバック信号FB2と三角波信号の比較結果のパルスのうち、三角波信号の第2の隔周期に対応するパルスを含んでおり、三角波信号がリセットされる地点で立ち上がりエッジを有し、オフ区間の長さがオン区間の長さより長い。同図のように、スイッチ制御信号SWc1は図3(b)と同様に、制御信号SW7よりオン区間がさらに長い。スイッチ制御信号SWc2もやはり図3(b)と同様に、制御信号SW8よりオフ区間がさらに長い。
【0037】
図3(c)に示すように、トランス116bの1次側コイルに流れる電流IL2の位相は、スイッチ制御信号SWb1、SWc2がオン状態になり、スイッチ制御信号SWb2、SWc1がオフ状態になる時、緩やかな傾斜の立ち上がりエッジを有し、三角波信号がフィードバック信号FB2より大きい値になる地点、即ちスイッチ制御信号SW1の立ち下がりエッジからその立ち上がりエッジより急な傾斜の立ち下がりエッジを有する。トランス116bの1次側コイルに流れる電流IL2の位相は、また三角波信号がリセットされる地点、即ちスイッチ制御信号SWc1の立ち上がりエッジまで0に維持され、その地点から再度緩やかな傾斜で立ち下がり、マイナス電位を有する。その後、次の三角波信号がフィードバック信号FB2より大きい値になる地点、即ちスイッチ制御信号SWc2の立ち下がりエッジから急な傾斜の立ち上がりエッジを有する。その後、トランス116bの1次側コイルに流れる電流IL2の位相は、また三角波信号がリセットされる地点、即ちスイッチ制御信号SWc1の立ち上がりエッジまで再度0に維持される。
【0038】
図3から分かるように、トランス116a、116bの各1次側コイルに流れる電流は、各々異なる位相で制御され得る。当業者であれば、最終的に負荷に所望の値の電力を供給するためにこれら各1次側コイルに流れる電流の位相を適宜制御できる。
【0039】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0040】
100 コンバータ回路
102 IC回路
SWa、SWb、SWc スイッチ素子部
112a、112com、112b 電源部
116a、116b トランス
118a、118b 負荷
図1
図2
図3