【実施例】
【0010】
図1、
図2において、1は眼科装置である。この眼科装置1は、ベース部2と測定ヘッド3と、顎受け部4とから概略構成されている。その顎受け部4にはこれと一体に額当て5が設けられている。被検者は、顎受け部4に顎を置き、額当て5に額を当てた状態で検査を受ける。
【0011】
測定ヘッド3の内部には、
図1に破線で示すように公知の観察・撮影用の光学系6が設けられている。この光学系6は、被検眼に対して測定ヘッド3を上下左右前後方向にアライメントするアライメント光学系(図示を略す)を有する。この光学系6により、被検者の前眼部、被検眼の角膜、眼底等が観察・撮影可能である。
【0012】
測定ヘッド3の被検者に対面する側には、
図2に示すように、前眼部照明用の光源7が輪環状に配置されている。この光源7は、角膜形状を測定する測定光源としても用いられる。
【0013】
ベース部2には、
図1に破線で示すように測定ヘッド3を駆動する公知の駆動機構(駆動回路)8が設けられている。駆動機構8の駆動部には、例えば、図示を略すステッピングモータが用いられる。
【0014】
測定ヘッド3は、モニタ部10を有する。測定ヘッド3は、そのモニタ部10を操作することにより、被検眼に対して上下左右前後方向に駆動される。そのモニタ部10は、
図3に拡大して示すように、表示画面10aを有する。
【0015】
その表示画面10aには、前眼部像等の表示領域25cと操作ボタンの表示領域とが設けられている。表示領域25cには、その画面中央に矩形状の目標エリアマーク25gとアライメント開始許容マーク25hとが表示されている。
操作ボタンの表示領域は、表示領域25cを挟んでその左右両辺部と表示領域25cの下辺部とに設けられている。
【0016】
操作ボタンの表示領域には、表示画面10aに向かって左側の表示領域25dに操作ボタンとしてキーボードボタンB1、RボタンB2、顎受け上下動ボタンB3、測定モードボタンB4が配置されている。表示画面10aに向かって右側の表示領域25eに操作ボタンとしてセットアップボタンB5、LボタンB6、測定ヘッド3を前後動させる測定ヘッド前後ボタン(Z方向ボタン)B7、スタートボタンB8、マニュアル・オート切り替えボタンB9が配置されている。
【0017】
表示画面10aに向かって下辺部の表示領域25fに操作ボタンとして白内障ボタンB10、ターゲット像ボタンB11、角膜直径ボタンB12、プリントボタンB13、グラフィックプリントボタンB14、観察像表示ボタンB15、全測定値クリアボタンB16が配置されている。
【0018】
キーボードボタンB1は患者のIDを入力するのに用い、測定モードボタンB4は、レフ(眼屈折力)、ケラト(角膜形状)、レフ/ケラト、眼圧測定のいずれかの測定モードに切り替えるのに用い、RボタンB2は右眼を選択するのに用い、LボタンB6は左眼を選択するのに用い、スタートボタンB8はマニュアルアライメントモード時に測定を実行させるのに用い、セットアップボタンB5はセットアップ画面を表示するのに用いられる。
【0019】
白内障ボタンB10は白内障等があって測定エラーが生じやすいときに用いられ、ターゲット像ボタンB11は記憶している測定ターゲットを表示画面10aに表示させる際に用いられ、角膜直径ボタンB12は角膜の直径を測定するモードに切り替える際に用いる。
【0020】
プリントボタンB13は測定結果をプリントアウトするのと紙送りをするのとに用いられ、グラフィックプリントボタンB14は屈折状態示す図形をプリントアウトするのに用いられ、観察像表示ボタンB15は観察像を表示するのに用いられ、全測定値クリアボタンB16は全測定値をクリアするのに用いられる。
【0021】
顎受け上下動ボタンB3は、顎受け部4の高さを上下動させて、被検者の被検眼の高さを調整するのに用いられる。測定ヘッド前後ボタン(Z方向ボタン)B7は被検眼に対して測定ヘッド3を前後方向に駆動させる際に用いられる。
なお、アライメント開始許容マーク25hは、後述する角膜の輝点像P1を用いてXYZ方向のオートアライメントを行うのに用いる。
【0022】
表示領域25cには、観察中の前眼部像の他、測定結果やその他検査に関連する文字、記号、符号等の他、図形等の画像が適宜表示される。
その
図3には、ここでは、被検者の前眼部像Gfと測定結果S,C、Aが表示され、その
図3において、Gf’は虹彩像、Gf”は瞳孔像である。また、P1は角膜の輝点像、P2はアライメント指標像である。
【0023】
測定ヘッド3には、
図1に示すように、制御部24が設けられている。この制御部24は、例えば、
図4に示すように、前眼部像Gfの観察モードのときに、検者が指等でその表示領域25cをタッチすると、タッチ箇所tpに対応する画像部位が画面中心G0に位置するように、測定ヘッド3を上下左右に駆動する。これにより、前眼部像の瞳孔像Gf”が画面中央に位置するように制御される。
【0024】
制御部24は、例えば、画面中心G0からタッチ箇所tpまでの画面上での距離Lを演算し、この距離Lに基づいて左右方向ステッピングモータと上下方向ステッピングモータとを駆動制御することにより、被検眼に対して測定ヘッド3を上下左右に移動させる。
【0025】
制御部24は、距離Lが所定値以下になると、オートアライメントモードのときには、アライメント光学系により被検眼の角膜に投影された輝点像P1を用いて上下左右前後方向(XYZ方向)のアライメント制御を行う。すなわち、この制御部24の制御により、駆動機構8が制御され、輝点像P1が自動的に目標エリアマーク25g内に位置される。
【0026】
図3には輝点像P1が目標エリアマーク25g内に位置された状態が示されている。制御部24は、オートアライメントモードの場合、輝点像P1が表示されている箇所を測定中心箇所として測定ヘッド3に自動的に測定を実行させる。
【0027】
一方、マニュアルアライメントモードの場合、角膜の輝点像P1がアライメント開始許容マーク内に位置したか否かを判断し、この状態で表示画面領域25cをタッチすると、輝点像P1が目標エリアマーク25gに位置するように測定ヘッド3を制御する。
制御部24は、
図3に示す輝点像P1が目標エリアマーク25g内に位置されたときに前眼部像Gfを拡大して、スタートボタンB8が操作されるか又は表示領域25cがタッチされると、制御部24は、輝点像P1が映っている箇所を測定中心箇所として測定ヘッド3に測定を実行させる。
【0028】
制御部24は、マニュアルアライメントモードのとき、角膜が荒れていたり、歪んでいたりして、輝点像P1が角膜に映っていなくて、輝点像P1によるアライメントを行うことができないと判断したときには、
図5に示すように、表示画面10a上での瞳孔中心PDOの位置を演算することにより、表示画面25の目標エリアマーク25gの位置に瞳孔中心PDOが位置して停止するように駆動機構8の制御行う。なお、瞳孔中心PDOの求め方は、周知であるのでその詳細な説明は省略する。
【0029】
ついで、制御部24は、
図6に示すように、表示画面10aに前眼部像Gfを拡大して表示させる画像処理を行う。
制御部24は、
図6に示すように、表示画面10aに前眼部像Gfが拡大されて表示されている状態において、表示画面10aの拡大された前眼部像Gfの表示領域25cの特定領域tp’がタッチされると、タッチ箇所tp’が測定中心箇所として被検眼の測定が実行されるように、駆動機構8を制御する。なお、スタートボタンB8を操作して被検眼の測定が実行されるように、駆動機構8を制御する構成を併用しても良い。
【0030】
図7には、そのタッチ箇所tp’が目標エリアマーク25g内に位置されて、停止された状態が示されている。制御部24は、この
図7に示すタッチ箇所tp’が目標エリアマーク25g内に位置したときに、このタッチ箇所tp’を測定中心箇所と指定して測定が実行されるように、測定ヘッド3を制御する。
【0031】
以下、本発明の実施例に係る眼科装置の作用を
図8を参照しつつマニュアルアライメントモードの場合についてのみ説明する。
図8はこの眼科装置1のマニュアルアライメントモード時の作用を説明するためのフローチャートである。
【0032】
制御部24は、マニュアルアライメントモードの場合、
図3に示す輝点像P1が得られたか否かを判断する。すなわち、制御部24は、S.1において、角膜の頂点に映っている輝点像P1がアライメント開始許容マーク25h内に位置したか否かを判断する。
【0033】
制御部24は、S.1においてYESと判断されると、XYZ方向に測定ヘッド3を駆動して輝点像P1が目標エリアマーク25g内に位置するようにマニュアルアライメントを実行する(S.2)。 制御部24は、
図3に示すように、目標エリアマーク25g内に輝点像P1が位置した時点で、測定ヘッド3の上下左右前後方向の移動を停止させる。
【0034】
ついで、制御部23は、S.3に移行して、前眼部像Gfを拡大して表示画面10aに提示する(
図6参照)。
ついで、スタートボタンB8が押されたか否かを判断する(S.4)。スタートボタンB8が押されると、制御部24は測定ヘッド3に測定を実行させる(S.5)。そして、制御部24はS.1に戻る処理を行う。スタートボタンB8が押されなかったときには、S.8に移行して拡大して表示された前眼部像の表示領域25cがタッチされたか否かを判断する。S.8において、表示領域25cがタッチされなかったときには、制御部24はS.1に戻る処理を行う。
【0035】
制御部24は、S.1において、輝点像P1が得られないときには、S.6に移行して、表示画面10a上での瞳孔中心PDOの位置を演算する。そして、制御部24は、瞳孔中心PDOの位置が、
図5に示すように、目標エリアマーク25g内に位置して停止するように駆動機構8を制御する(S.7)。
【0036】
その後、制御部24は、
図6に示すように、前眼部像Gfを拡大して表示画面10aに提示する(S.3)。
ついで、制御部24は、S.4に移行してスタートボタンB8が押されたか否かを判断する。
S.4において、スタートボタンB8が押されたときには、この状態で測定を実行する。
S.4において、スタートボタンB8が押されなかったときには、S.8に移行して拡大して表示された前眼部像の表示領域25cがタッチされたか否かを判断する。S.8において、表示領域25cがタッチされなかったときには、制御部24はS.1に戻る処理を行う。
【0037】
S.8において、拡大した前眼部像Gfの表示領域25cがタッチされた場合、制御部24は、
図7に示すようにタッチ箇所tp’が目標エリア25g内に位置するように測定ヘッド3を移動させて、停止させた後(S.9)、測定を実行する(S.10)。そして、制御部24はS.1に戻る処理を行う。
【0038】
(眼圧を測定する場合の光学系6の構成)
光学系6は、
図9に示すように、被検眼Eの前眼部を観察する前眼部観察光学系100と、
図10に示すように、XY方向のアライメント検出と角膜変形検出を行う指標光を被検眼Eの角膜Cにその正面から投影するXYアライメント指標投影光学系200と、被検眼Eに固視標を提示する固視標投影光学系300とを備える。
【0039】
この光学系6は、更に、
図10に示す角膜Cに対する測定ヘッド3のXY方向の位置を検出するXYアライメント検出光学系400、角膜Cの変形量を検出する角膜変形検出光学系500、
図9に示す角膜Cに斜め方向から指標光を投影するZアライメント指標投影光学系600、この指標光による角膜Cからの反射光を検出して測定ヘッド3の角膜Cに対するZ方向の位置を検出するZアライメント検出光学系700を備えている。
【0040】
前眼部観察光学系100は、
図9に示すように、前眼部を照明する前眼部照明光源7、気流吹き付けノズル120、前眼部窓ガラス130、チャンバー140A(
図10参照)、チャンバー窓ガラス140、ハーフミラー150、対物レンズ160、ハーフミラー170、180及びCCDカメラ190を備える。気流吹き付けノズル120の軸は前眼部観察光学系の光軸と同軸である。
【0041】
前眼部照明光源7による照明光束は被検眼Eにより反射され、前眼部窓ガラス130、チャンバー窓ガラス140、ハーフミラー150を通過して対物レンズ160により集束され、ハーフミラー170、180を経由してCCDカメラ190に導かれ、このCCDカメラ190に前眼部像Gfとして結像される。
【0042】
XYアライメント指標投影光学系200は、
図10に示すように、赤外光を出射するXYアライメント光源210、集光レンズ220、開口絞り230、ピンホール板240、ダイクロイックミラー250、投影レンズ260を有する。
【0043】
その赤外光は、集光レンズ220により集束され、開口絞り230を通過した後、ピンホール板240に導かれる。このピンホール板240に導かれた赤外光は、ダイクロイックミラー250により反射され、投影レンズ260を通過して平行光束とされる。
【0044】
この赤外光は、ハーフミラー150により反射され、チャンバー窓ガラス140、気流吹き付けノズル120の内部を通過して被検眼Eの角膜Cに導かれる。その角膜Cに導かれた赤外光は、この角膜Cの表面で反射される。
【0045】
この角膜Cからの反射光は、前眼部窓ガラス130、気流吹き付けノズル120の内部を通じて、チャンバー窓ガラス140A、ハーフミラー150、対物レンズ160、ハーフミラー170を経てハーフミラー180に導かれ、このハーフミラー180により分割されて、CCDカメラ190とセンサ410とに導かれる。
【0046】
モニタ部10の表示画面10aには、
図3に示すように、前眼部照明光源7による照明光束の被検眼Eにおける反射により前眼部像Gfが表示されると共に、XYアライメント指標投影光学系200による赤外光の角膜Cにおける反射により輝点像P1が目標エリアマーク25gと共に表示される。
【0047】
固視標光学系300は、
図10に示すように可視光を発する固視標光源310、ピンホール板320を備えている。その固視標光源310からの可視光は、ピンホール板320を通過後、ダイクロイックミラー250を透過して投影レンズ260に導かれる。
【0048】
その可視光は、この投影レンズ260により平行光束とされて、ハーフミラー150により反射され、チャンバー窓ガラス140、気流吹き付けノズル120の内部を通して、被検眼Eの眼底に導かれる。被検者はこの固視標光源310を固視標として注視する。これにより、被検眼Eの視線が固定される。
【0049】
センサ410は、XYアライメント検出光学系400の一部を構成する。そのセンサ410には輝点像P1に対応する輝点像P1’が結像される。そのセンサ410はPSD等から構成され、そのセンサ410の出力はXYアライメント検出回路420に入力される。このXYアライメント検出回路420の出力は制御部24に入力される。
【0050】
角膜変形検出光学系500は、
図10に示すように、ピンホール板510、センサ520を有する。センサ52はフォトダイオード等の光量検出が可能な受光センサにより構成される。
【0051】
ハーフミラー170により反射された赤外光は、ピンホール板510を通過した後、センサ520に導かれる。このセンサ520の光量検出信号は
図9に示す制御部24に入力される。これにより、角膜Cの圧平が検出される。
【0052】
Zアライメント指標投影光学系600は、
図9に示すように、赤外光を出射するZアライメント光源610、集光レンズ620、開口絞り630、ピンホール板640、投影レンズ650を備える。
【0053】
Zアライメント光源610から発せられた赤外光は、集光レンズ620による集光後、開口絞り630を通過してピンホール板640に導かれ、投影レンズ650により平行光束として角膜Cに導かれる。この平行光束は、角膜Cの表面で反射される。
【0054】
Zアライメント検出光学系700は、
図9に示すように、結像レンズ710、センサ730を備えている。Zアライメント光源610からの赤外光は角膜Cの表面で反射されて、結像レンズ710により集束されてセンサ730に輝点像Q’を形成する。
【0055】
そのセンサ730は輝点像Q’の位置を検出可能な位置センサである。このセンサ730の出力はZアライメント検出回路74に入力される。このZアライメント検出回路74の出力は、制御部24に入力される。
【0056】
チャンバー140A内には、
図10に示すように、圧力センサ140Bが設けられている。圧力センサ140Bの出力も制御部24に入力される。なお、これらの光学系6の構成、角膜圧平検出による眼圧の測定値の演算による求め方は公知である。
【0057】
この光学系6を用いてマニュアルアライメントを行う場合も、前眼部像Gfを拡大して表示画面10aに表示し、拡大された前眼部像Gfの特定箇所を指定して、その特定箇所を測定中心箇所として眼圧測定を行うことが可能である。