(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
眼科情報処理システム、眼科情報処理サーバー及び眼科情報処理方法の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
[全体構成]
実施形態に係る眼科情報処理システムの構成例を
図1に示す。眼科情報処理システム1は、眼科情報処理サーバー200を有する。更に、眼科情報処理システム1は、ネットワークを介して眼科情報処理サーバー200と相互に通信可能に接続された、ユーザー端末100、100A及び140を含む。また、ユーザー端末100、100A及び140は、少なくとも眼科分野における情報、特に眼科検査装置により取得された被検眼の画像データを処理する。
【0014】
一般に、ネットワークを介して眼科情報処理サーバー200と通信可能なユーザー端末は、
図1に示したもの以外にも複数存在する。また、眼科検査装置は眼科情報処理システムに含まれている必要はなく、それにより得られた画像データがユーザー端末に記憶される構成であればよい。眼科検査装置は、当該医療機関H内に設置されていてもよいし、他の医療機関に設置されていてもよいし、可搬型であってもよい。
【0015】
ネットワークは、インターネット等の広域ネットワーク(WAN、Wide Area Network)Nを含んで構成される。この実施形態においては、医療機関H内に設置されたユーザー端末100は、LAN(Local Area Network)によって相互に通信可能に院内サーバー150を介して、広域ネットワークNに接続されている。ネットワークの一部又は全部は、有線通信回線であっても無線通信回線であってもよい。また、ネットワークの一部又は全部は、専用線回線であっても公衆回線であってもよい。なお、ネットワークはこのような形態に限定されるものではなく、各ユーザー端末と眼科情報処理サーバーとの間における双方向通信が可能であれば、その具体的構成は任意である。
【0016】
ユーザー端末100は、たとえば、ユーザーたる医師が各種医療情報を閲覧したり電子カルテを編集したりするために使用するコンピューターである。ユーザー端末100Aは、このユーザーが使用するコンピューターであり、たとえばモバイルコンピューターである。ユーザーは、ユーザー端末100に記憶されているデータをユーザー端末100Aに記憶させることができる。このデータの移動は任意の形態で行うことができる。たとえば、USBメモリー等の可搬記憶媒体を介してデータを移動させてもよいし、ユーザー端末100及び100Aの間に確立された通信回線を介してデータを移動させてもよいし、ユーザー端末100及び100Aを物理的に接続してデータを移動させてもよい。ユーザーは、ユーザー端末100Aを医療機関H外に持ち出して使用することができる。ユーザー端末140は、ユーザー端末100のユーザーとは異なるユーザーが使用するコンピューターである。
【0017】
院内サーバー150は、医療機関H内における各種情報処理を司るコンピューターである。院内サーバー150は、たとえば、病院情報システム(Hospital Information System、HIS)、電子カルテシステム、レセプトシステム(診療報酬システム)、放射線科情報システム(Radiology Information System、RIS)などの各種システムとして機能する。院内サーバー150は、たとえばDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicime)に準拠したフォーマット及び通信プロトコルで画像データを管理している。DICOMでは、画像データに付帯情報(タグ情報)を付帯して情報の管理を行なっている。
【0018】
眼科情報処理サーバー200は、データセンターDに設置されており、眼科情報処理システム1によるサービスを各ユーザー端末に提供する。眼科情報処理サーバーは、単一のデータセンター内に設置されていてもよいし、2以上のデータセンターに分散配置されていてもよい。後者の場合、2以上のデータセンターに設置された複数の眼科情報処理サーバーが、ネットワークを介して相互に通信可能に構成されていてもよい。その場合、複数の眼科情報処理サーバーを統合的に管理するサーバーを別途設けることができる。
【0019】
以下、眼科情報処理システム1を構成する各装置の構成を説明する。なお、院内サーバー150については、一般的なものを用いることができるので、その詳細な説明は省略する。また、ユーザー端末100、100A及び140については、その基本的な構成は同様であってよいので、ユーザー端末100についてのみ詳細に説明する。
【0020】
[ユーザー端末]
ユーザー端末100は、制御部101と、通信部102と、データ記憶部103と、表示部104と、表示制御部105と、操作部106と、処理種別指定部107と、電子カルテデータ記憶部108と、記録処理部109と、解析処理部110と、患者情報削除部111と、識別情報付与部112と、暗号化処理部113とを有する。患者情報削除部111、識別情報付与部112及び暗号化処理部113は、制御部101の制御の下に選択的に動作する。
【0021】
〔制御部〕
制御部101は、ユーザー端末100の各部を制御する。制御部101は、たとえばマイクロプロセッサーや記憶装置を含んで構成される。マイクロプロセッサーは、記憶装置に格納されているプログラムに基づいて、所定の制御処理や演算処理を実行する。制御部101が実行する処理については後述する。
【0022】
〔通信部〕
通信部102は、院内サーバー150との間でデータ通信を行う。このデータ通信には、院内サーバー150に向けてデータを送信する処理と、院内サーバー150から送信されたデータを受信する処理とが含まれる。通信部102は、医療機関H内に構築されたネットワークに準拠した構成を有し、たとえばLANアダプター等の通信機器を含む。通信部102は「ユーザー端末の送信部」として機能する。
【0023】
〔データ記憶部〕
データ記憶部103は、ユーザー端末100による処理に供される各種のデータが記憶される。このデータには、少なくとも、眼科検査装置により取得された被検眼の画像データが含まれる。記憶部103は、たとえばハードディスクドライブのように、データの書き込み及び読み出しが可能な記憶装置により構成される。データの書き込み処理及び読み出し処理は、制御部101により実行される。データ記憶部103は「記憶部」として機能する。なお、電子カルテデータについては電子カルテデータ記憶部108に記憶されるものとする。
【0024】
これら記憶部は、単一の記憶装置の異なる記憶領域により構成されていてもよいし、個別の記憶装置により構成されていてもよい。また、これら記憶部の少なくとも一部がユーザー端末100として機能するコンピューターに接続された記憶装置であってもよい。また、これら記憶部の少なくとも一部を院内サーバー150に設けるようにしてもよい。いずれにしても、これら記憶部は、記憶されている情報をユーザー端末100から任意のタイミングで読み出すことが可能であればよい。
【0025】
〔表示部〕
表示部104は、たとえばフラットパネルディスプレイやCRTディスプレイのような表示デバイスを含んで構成される。
【0026】
〔表示制御部〕
表示制御部105は、制御部101からの指示に基づいて、各種の情報を表示部104に表示させる。表示される情報としては、画像データに基づく画像や、電子カルテや、各種操作画面や入力画像等のユーザーインターフェイスなどがある。このユーザーインターフェイスを表示させるためのデータは、たとえば制御部101の記憶装置(前述)に記憶されている。
【0027】
〔操作部〕
操作部106は、指示入力や情報入力に用いられる。操作部106は、たとえばキーボード、マウス、トラックボール、ジョイスティック、操作パネルなどの任意の操作デバイスを含んで構成される。
【0028】
〔処理種別指定部〕
処理種別指定部107は、眼科検査装置により取得された画像データに対する画像解析処理の種別を指定する。画像解析処理とは、画像データを解析することで目的の処理結果を得るデータ処理を意味する。目的の処理結果には、生体組織の形態(位置、サイズ等)の特定、病変部の検出、病変の有無の判断など、眼科での診断に供される各種の情報が含まれる。処理種別指定部107は「指定部」として機能する。
【0029】
画像解析処理の種別の指定について説明する。処理種別の指定は、ユーザーが指示した内容を受けて処理種別指定部107が行うこともできるし、処理種別指定部107が自動で行うこともできる。
【0030】
前者の場合、ユーザーは、たとえば表示部104に表示された処理種別の選択肢のうちの所望のものを、操作部106を用いて指定する。また、ユーザーは、表示部104に表示された所定の入力欄に、操作部106を用いて所望の処理種別を入力する。処理種別指定部107は、この指定内容や入力内容に対応する処理種別を当該画像データに対する画像解析処理として指定する。
【0031】
後者の場合、たとえばデータ記憶部103には、処理種別を自動で指定するための情報があらかじめ記憶される。この情報としては、たとえば、画像データの種別(画像の撮影対象、つまり眼底、角膜等)と処理種別とが対応付けられた情報(データ種別/処理種別対応情報)、疾患名と処理種別とが対応付けられた情報(疾患名/処理種別対応情報)、当該被検眼の画像データに対して過去に施された画像解析処理を表す情報(処理履歴情報)などがある。データ種別/処理種別対応情報が用いられる場合、処理種別指定部107は、たとえば画像データの付帯情報に記録された当該画像データの種別情報に対応する処理種別を特定する。疾患名/処理種別対応情報が用いられる場合、処理種別指定部107は、当該患者の電子カルテデータ又は付帯情報に記録された当該被検眼の疾患名に対応する処理種別を特定する。処理履歴情報が用いられる場合、処理種別指定部107は、この処理履歴情報に含まれる過去の画像解析処理(たとえば前回のもの)に対応する処理種別を特定する。なお、処理履歴が複数存在する場合、当該画像データの種別や疾患名を併せて考慮することで、処理種別を一意に特定するようにしてもよい。また、いずれの対応情報が用いられる場合においても(2以上の対応情報を組み合わせて用いる場合も含む)、処理種別を一意に特定できない場合には、特定された2以上の処理種別や全ての処理種別を選択可能に表示部104に表示させ、ユーザーに選択させるようにしてもよい。
【0032】
〔電子カルテデータ記憶部〕
電子カルテデータ記憶部108は、各患者の電子カルテデータを記憶する。各患者の電子カルテデータは、当該患者の識別情報(患者ID、氏名等)を用いて個別に管理される。或るタイミングにおいて記憶されている電子カルテデータは、医療機関H(における当該診療科、つまり眼科)の全ての患者のものであってもよいし、現に診療対象となっている患者のものだけでもよいし、所定の期間(たとえば本日)に診療対象となっている患者のものだけでもよいし、ユーザーが任意に選択した患者のものだけであってもよい。なお、院内サーバー150の電子カルテシステムによって全ての患者の電子カルテデータを管理し、ユーザー端末100からの要求に応じた電子カルテデータを逐次にユーザー端末100で閲覧・編集できるように構成することもできる。
【0033】
〔記録処理部〕
記録処理部109は、眼科情報処理サーバー200から送信された解析結果データ(後述)を、当該患者の電子カルテデータに記録する処理を行う。この解析結果データには、識別情報が付与されている。この識別情報は、たとえば当該患者の識別情報や、当該画像データの識別情報である。後者の場合、画像データを眼科情報処理サーバー200に送信するときに、当該画像データの識別情報と当該患者の識別情報とを対応付けた情報を生成してたとえばデータ記憶部103に記憶させ、この情報を参照して解析結果データに対応する患者の識別情報を特定すればよい。記録処理部109は、解析結果データに対応する患者識別情報に基づいて当該患者の電子カルテデータを検索し、その電子カルテデータに解析結果データを記録する。
【0034】
〔解析処理部〕
解析処理部110は、眼科検査装置により取得された画像データに対して各種の画像解析処理を実行する。特に、解析処理部110は、眼科情報処理サーバー200により実行可能な画像解析処理のうちの少なくとも一部の画像解析処理を実行可能とされる。解析処理部110には、各画像解析処理を実行するためのプログラムが記憶されている。
【0035】
眼科検査装置により取得された画像データとしては、スリットランプにより取得された前眼部像や眼底像の画像データ、眼底カメラにより取得された眼底像や蛍光画像の画像データ、光干渉断層計により取得された前眼部や眼底の断層像や3次元画像の画像データ、スペキュラーマイクロスコープにより取得された角膜内皮画像の画像データ、ケラトメーターにより取得された角膜像の画像データ、超音波診断装置により取得された前眼部像や眼底像の画像データなどがある。また、解析処理部110が実行する画像解析処理には、これら画像データに対して施される公知のあらゆる画像処理が含まれる。
【0036】
〔患者情報削除部〕
患者情報削除部111は、画像データの付帯情報に記録された各種情報のうちから患者情報を削除する。患者情報には、患者の個人情報に関する情報、たとえば氏名、性別、年齢、住所等が含まれる。たとえばDICOMを用いる場合、DICOMタグにはデータ長や患者情報や検査条件や左右眼情報などが記録される。患者情報削除部111は、これら情報のうち少なくとも患者情報を検索して削除する。なお、検査条件には、眼科検査装置による検査(撮影)において適用された各種パラメーターが含まれる。また、左右眼情報とは、当該画像に描写された被検眼が左眼であるか右眼であるかを示す情報である。
【0037】
〔識別情報付与部〕
識別情報付与部112は、画像データに対して所定の識別情報(画像データ識別情報)を付与する。画像データ識別情報には患者情報は含まれない。画像データ識別情報は、患者情報とは無関係な情報に基づいて設定される。患者情報に無関係な情報としては、たとえば、ユーザー端末の識別情報(端末ID)、ユーザー端末毎に設定される通し番号、ユーザー(医師)識別情報(ユーザーID)、日時情報、乱数情報などがある。
【0038】
〔暗号化処理部〕
暗号化処理部113は、画像データに関連付けられた患者情報を暗号化する。この暗号化処理は、任意の情報を暗号化するための公知の手法でよい。暗号化処理部113は「第1暗号化処理部」として機能する。
【0039】
また、暗号化処理部113は、画像データを暗号化する。この暗号化処理は、画像データを暗号化するための公知の手法でよい。暗号化処理部113は「第2暗号化処理部」として機能する。
【0040】
[眼科情報処理サーバー]
眼科情報処理サーバー200は、制御部201と、通信部202と、アカウント管理部210と、解析処理部220と、処理結果比較部231と、配信プログラム記憶部241と、読出処理部242とを有する。
【0041】
〔制御部〕
制御部201は、眼科情報処理サーバー200の各部を制御する。制御部201は、たとえばマイクロプロセッサーや記憶装置を含んで構成される。マイクロプロセッサーは、記憶装置に格納されているプログラムに基づいて、所定の制御処理や演算処理を実行する。制御部201が実行する処理については後述する。
【0042】
〔通信部〕
通信部202は、ネットワークNを介して、ユーザー端末100、100A及び140(を含む複数のユーザー端末)のそれぞれとの間でデータ通信を行う。このデータ通信には、各ユーザー端末に向けてデータを送信する処理と、各ユーザー端末から送信されたデータを受信する処理とが含まれる。通信部202は、ネットワークNに準拠した構成を有し、たとえばモデム等の通信機器を含む。通信部102は「眼科情報処理サーバーの受信部」及び「眼科情報処理サーバーの送信部」として機能する。
【0043】
〔アカウント管理部〕
アカウント管理部210は、ユーザー毎にあらかじめ付与されたユーザー識別情報に基づいてユーザー毎のアカウントを管理する。ここにおける「ユーザー毎」には、ユーザーたる医師毎、及び、ユーザー端末毎の双方の意味が含まれる。
【0044】
なお、この実施形態ではアカウントを利用してユーザー毎に情報を管理する構成について説明するが、これには限定されない。たとえば、画像データの識別情報を用いて画像データ毎に情報を管理する構成や、医療機関ごとに情報を管理する構成や、複数ユーザーからなるユーザーグループ毎に情報を管理する構成など、任意の構成を適用することが可能である。
【0045】
アカウント管理部210は、情報記憶部211と、課金情報記憶部212と、情報管理部213とを有する。
【0046】
(情報記憶部)
情報記憶部211は、各アカウントにおいて管理される情報を記憶する。各アカウントにおいて管理される情報は、アカウント毎に付与された識別情報(アカウントID)に関連付けられて管理される。アカウントIDは、たとえば前述のユーザーIDである。各アカウントにおいて管理される情報には、画像データ、各種識別情報、課金額に関する情報などが含まれる。
【0047】
情報記憶部211への情報の書き込み処理、及び、情報記憶部211からの情報の読み出し処理は、情報管理部213により実行される。情報管理部213は、画像データに付与されている識別情報(たとえばユーザーID)に基づき当該ユーザーのアカウントを検索し、そのアカウントにおいて管理される情報の記憶領域に当該画像データを記憶させる。更に、情報管理部213は、同様の処理により、解析処理部220が画像データを解析して生成した解析結果データを当該ユーザーのアカウントの記憶領域に記憶させる。また、情報管理部213は、他の装置(ユーザー端末等)からの情報提供の要求に付された識別情報に基づいて、これに対応するアカウントを検索し、そのアカウントの記憶領域から情報を読み出す。
【0048】
(課金情報記憶部)
課金情報記憶部212には、画像解析処理の種別と課金額とを対応付けた課金情報があらかじめ記憶すされている。解析処理部220は、被検眼の様々な画像の画像データに対して、様々な種別の画像解析処理を実行する。課金情報は、たとえば、これら画像解析処理の種別(画像の種別を含んでいてもよい)のそれぞれに対して課金額が対応付けられたテーブル情報である。
【0049】
課金額は、たとえば、診療報酬が設定されている処理種別については診療報酬額に基づいて決定され、それ以外の処理種別については任意に決定される。また、ユーザーに応じて異なる課金額が適用されるようにしてもよい。たとえば、当該システムの使用頻度やユーザー又は医療機関の種別などに応じて課金額を変更することができる。また、眼科情報処理サーバー200に係る負荷やサービスの減額期間など、当該システムを利用するタイミングに応じて、課金額を変更することができる。また、適用の有無を任意に指定可能なオプション処理を有する画像解析処理については、各オプション処理に追加課金額が対応付けられていてもよい。このような課金額の変更や追加は、情報管理部213により実行される。
【0050】
(情報管理部)
情報管理部213は、各ユーザーのアカウントに関する各種の情報処理を実行する。この情報処理には、前述した各種処理が含まれる。これら以外の情報処理については後述する。
【0051】
情報管理部213は、解析処理部220による画像解析処理が実行されたことに対応して、当該画像解析処理に対応する課金額を課金情報に基づき取得する。更に、情報管理部213は、この課金額と当該ユーザーのユーザーIDとを関連付けて情報記憶部211に記憶する。それにより、ユーザー毎の課金額をアカウントで管理することができる。情報管理部213は「課金管理部」として機能する。
【0052】
〔解析処理部〕
解析処理部220は、各種の画像解析処理を画像データに施す。解析処理部220は、プログラム記憶部221と、プログラム選択部222と、標準データ記憶部223と、処理実行部224と、更新処理部225とを有する。
【0053】
(プログラム記憶部)
プログラム記憶部221には、各種の画像解析処理を行うためのプログラムがあらかじめ記憶されている。各プログラムには、それに対応する画像解析処理の種別を表す情報(処理種別情報)が関連付けられている。
【0054】
(プログラム選択部)
プログラム選択部222は、ユーザーが要求した画像解析処理の種別に対応するプログラムを、プログラム記憶部221に記憶されたプログラムのうちから選択する。この処理は、処理種別情報を参照して実行される。プログラム選択部222は「選択部」として機能する。
【0055】
(標準データ記憶部)
標準データ記憶部223には、所定の画像解析処理において参照される標準データがあらかじめ記憶されている。標準データは、眼科検査装置により複数の被検眼について得られた複数の画像データに画像解析処理を施して複数の解析結果データを取得し、これら解析結果データを統計的に処理することで生成される。標準データには、複数の解析結果データの代表値(平均値、中央値等)や、ばらつき情報(標準偏差、分散等)が含まれる。標準データの例として、正常眼の眼底の所定の層の厚さがある。各標準データには、処理種別情報が関連付けられている。
【0056】
(処理実行部)
処理実行部224は、プログラム選択部222により選択されたプログラムに基づいて、画像データに対する画像解析処理を実行する。また、処理実行部224は、実行対象の画像解析処理の処理種別情報に関連付けられた標準データが存在するか否か判断し、存在する場合にはその標準データを標準データ記憶部223から取得する。
【0057】
(更新処理部)
更新処理部225は、眼科検査装置により得られた新たな画像データに基づく解析結果データに基づいて、標準データ記憶部223に記憶されている標準データを更新する。
【0058】
標準データは、複数の解析結果データに基づくものであるから、一般に、サンプル数が増えれば信頼性も増す。また、眼科検査装置の性能の向上や解析処理の精度向上などにより、解析結果データの精度の向上も期待される。したがって、新たに得られた解析結果データを用いて標準データの更新を行うことには意味があると考えられる。更新処理部225は、このような背景に鑑み、標準データの更新を行うものである。
【0059】
新たな画像データ又は解析結果データは、たとえば、通信部202を介して、又は記録媒体に記録されたものをドライブ装置(図示せず)で読み取ることにより、眼科情報処理サーバー200に入力される。なお、新たな画像データが入力される場合、処理実行部224が、新たな画像データから解析結果データを生成する。一方、解析結果データが入力される場合、この解析結果データは他の装置(ユーザー端末、専用の解析装置等)により実行される。
【0060】
更新処理は、現在の標準データに新たな解析結果データを反映させるものよいし、現在の標準データを新たな標準データで置換するものであってもよい。
【0061】
〔処理結果比較部〕
ユーザー端末100の解析処理部110と、眼科情報処理サーバー200の解析処理部220とは、少なくとも1つの同じ種別の画像解析処理を実行するものとする。この場合において、双方の解析結果データが同じになるとは限らない。たとえば、双方の装置にインストールされているプログラムのバージョンが異なる場合がある。また、双方の装置のリソース(マイクロプロセッサー、メモリー等の能力)が大きく異なる場合もある。ユーザーに提供されるサービスを考慮すると、双方の装置による解析結果データが同じであるか、少なくともユーザー端末100による解析結果データが許容できるものである必要がある。処理結果比較部231は、このような状況を担保するためのものである。
【0062】
つまり、処理結果比較部231は、双方の装置で実行可能な画像解析処理について、ユーザー端末100により得られた解析結果データと、眼科情報処理サーバー200により得られた解析結果データとを比較する。解析結果データが数値の場合、処理結果比較部231は、双方の数値の大小関係を比較する。大小関係には、差や比などが含まれる。一方、解析結果データが数値でない場合には、所定の比較処理が実行される。たとえば解析結果データが病変部に相当する画像領域の特定結果である場合、双方の特定結果(画像領域)の位置、大きさ、形状などを比較する。この比較結果としては、数値(差、比など)、類似度合などがある。
【0063】
処理結果比較部231により得られた比較結果は、任意の目的に用いることができる。この使用目的の例として、プログラムのバージョンの比較、ユーザー端末100のリソースの評価、バグの有無などがある。この処理は、眼科情報処理サーバー200の制御部201や、ユーザー端末100の制御部101によって実行される。
【0064】
〔配信プログラム記憶部〕
配信プログラム記憶部241には、ユーザー端末100により実行不可能な画像解析処理に対応するプログラムがあらかじめ記憶されている。この画像解析処理には、ユーザー端末100により実行不可能な種別の画像解析処理だけでなく、バージョンの異なるプログラムによる画像解析処理や、異なる標準データを用いた画像解析処理も含まれる。また、ユーザー端末により実行不可能な画像処理とは、全てのユーザー端末により実行不可能なことを意味するのではなく、少なくとも1台のユーザー端末により実行不可能なものであればよい。配信プログラム記憶部241に記憶されている各プログラムには、プログラムの識別情報が関連付けられている。
【0065】
〔読出処理部〕
読出処理部242には、ユーザーにより選択された上記実行不可能な画像解析処理の種別の選択結果(バージョンや標準データが相違する場合も含む)を表す情報(選択内容情報)が入力される。選択内容情報には、ユーザー端末100の識別情報と、プログラムの識別情報とが含まれている。読出処理部242は、入力された選択内容情報に含まれる識別情報に関連付けられたプログラムを、配信プログラム記憶部242に記憶されているプログラムのうちから検索し、これを読み出す。読み出されたプログラムは、ユーザー端末100の識別情報に基づき、制御部201の制御の下、通信部202によってユーザー端末100に送られる。
【0066】
[動作]
眼科情報処理システム1の動作について説明する。以下、眼科情報処理システム1の各種動作についてそれぞれ説明する。なお、この発明に係る眼科情報処理システムは、以下の動作の全てを実行可能である必要はない。また、以下ではユーザー端末100が処理を行う場合について説明しているが、他の任意のユーザー端末も同様の処理を行うことが可能である。ユーザー端末100のデータ記憶部103には、画像データ及び付帯情報が既に記憶されているものとする。
【0067】
〔第1の動作例〕
まず、実施形態に係る眼科情報処理システム1の基本的な動作について説明する。
図1に示すフローチャートは、この基本動作の一例を表す。
【0068】
(S1:画像データの選択)
ユーザーが、眼科情報処理サーバー200に画像解析処理を依頼する画像データを選択する。そのために、表示制御部105は、所定のユーザーインターフェイスを表示部104に表示させる。このユーザーインターフェイスには、患者を指定するためのキー(又は入力スペース)が設けられている。ユーザーは、操作部106を用いて、キーを操作する(又は患者IDを入力する)ことにより、患者を指定する。制御部101は、指定された患者の患者IDに関連付けられた画像データをデータ記憶部103から検索する。表示制御部105は、検索された画像データのリスト又はサムネイルを表示部104に表示させる。ユーザーは、操作部106を用いて、所望の画像データを選択する。このとき、1つ以上の任意の個数の画像データを選択することができる。
【0069】
(S2:処理種別の指定)
処理種別指定部107は、ユーザーによる指定に基づき(又は前述の対応情報を参照して自動的に)、ステップ1で選択された画像データに対する画像解析処理の種別を指定する。
【0070】
(S3:画像データ等の送信)
制御部101は、ステップ1で選択された画像データと、ステップ2で指定された処理種別を表す処理種別情報とを関連付ける。更に、制御部101は、通信部102を制御して、この画像データと処理種別情報を端末IDとともに眼科情報処理サーバー200に送信させる。
【0071】
(S4:画像データ等の受信)
眼科情報処理サーバー200の通信部202は、ユーザー端末100から送信された画像データ、処理種別情報及び端末IDを受信する。
【0072】
(S5:画像解析処理の実行)
制御部201は、ステップ4で受信された画像データを処理実行部224に、処理種別情報をプログラム選択部222にそれぞれ送る。プログラム選択部222は、この処理種別情報に対応するプログラムをプログラム記憶部221から取得して処理実行部224に送る。処理実行部224は、このプログラムに基づいて、この画像データに対して画像解析処理を施す。処理実行部224は、この画像解析処理により得られた処理結果データを制御部201に送る。
【0073】
(S6:解析結果データの送信)
制御部201は、ステップ4で受信された端末IDに基づいてユーザー端末100のアドレス(IPアドレス等)を取得する。ここで、眼科情報処理サーバー200(たとえば情報記憶部211)には、端末IDとアドレスとを対応付けた情報があらかじめ記憶されており、制御部201はこの情報を参照して目的のアドレスを特定する。なお、端末IDを参照する代わりに、ステップ3、4の送受信処理で使用されたユーザー端末100のアドレスを返信先として用いるようにしてもよい。制御部201は、取得されたアドレスに解析結果データを送信する。
【0074】
(S7:解析結果データの受信)
ユーザー端末100の通信部102は、眼科情報処理サーバー200から送信された解析結果データを受信する。
【0075】
(S8:解析結果データの表示)
表示制御部105は、ステップ7で受信された解析結果データを表示部104に表示させる。
【0076】
〔第2の動作例〕
一般に医用画像には高いセキュリティが求められる。そのための動作例を説明する。前述のように、データ記憶部103に記憶されている画像データには付帯情報が対応付けられている。付帯情報には患者情報が含まれている。以下に説明するセキュリティ対策の例は、個人情報である患者情報や画像データ自体の漏洩等を防止するためのものである。
【0077】
なお、以下の例を任意に組み合わせて適用することが可能である。また、いずれの例の処理を実行するか選択可能に構成することができる。この選択は、たとえば、表示部104に表示されるユーザーインターフェイス及び操作部106を用いて行うことができる。
【0078】
第1の例を説明する。
図1のステップ1(画像データの選択)からステップ3(画像データ等の送信)までの間の任意のタイミングにおいて、患者情報削除部111は、選択された画像データの付帯情報から少なくとも患者情報を削除する。このとき、患者情報に代えてダミーのデータを付帯情報に記録させてもよい。ステップ3において、制御部101は、通信部102を制御して、患者情報が削除された付帯情報と画像データとを眼科情報処理サーバー200に向けて送信させる。
【0079】
第2の例を説明する。
図1のステップ1からステップ3までの間の任意のタイミングにおいて、識別情報付与部112は、選択された画像データに対し、患者情報以外の識別情報を付与する。ここで、識別情報を付与する態様は任意である。たとえば、付帯情報に記録された患者情報を削除し、その代わりに識別情報を記録するようにしてもよい。また、新たな付帯情報の記録領域(DICOMタグ)を生成し、この記録領域に識別情報を記録させてもよい。ステップ3において、制御部101は、通信部102を制御して、付与された識別情報と画像データとを眼科情報処理サーバー200に向けて送信させる。このとき、この画像データに元々付帯されていた患者情報は送信されない。
【0080】
第3の例を説明する。
図1のステップ1からステップ3までの間の任意のタイミングにおいて、暗号化処理部113は、選択された画像データの付帯情報に記録されている患者情報を暗号化する。ステップ3において、制御部101は、通信部102を制御して、暗号化された患者情報を含む付帯情報と画像データとを眼科情報処理サーバー200に向けて送信させる。このとき、暗号化された患者情報以外の付帯情報の全てを送信する必要はない。
【0081】
第4の例を説明する。
図1のステップ1からステップ3までの間の任意のタイミングにおいて、暗号化処理部113は、選択された画像データを暗号化する。ステップ3において、制御部101は、通信部102を制御して、暗号化された画像データとその他情報(付帯情報等)を眼科情報処理サーバー200に向けて送信させる。
【0082】
以上においては、ユーザー端末100から眼科情報処理サーバー200に画像データ等を送信する場合のセキュリティ対策について説明したが、ユーザー端末100から画像データ等を任意の形態で出力する場合にも同様の処理を行うことができる。この出力形態としては、ユーザー端末100から他のコンピューターに画像データ等を送信する場合、ユーザー端末100のドライブ装置(図示せず)を用いて記録媒体に画像データ等を記録する場合、プリンターを用いて画像データに基づく画像等を印刷する場合などがある。
【0083】
〔第3の動作例〕
ユーザー端末100によって実行不可能な画像解析処理を眼科情報処理サーバー200が実行可能である場合における動作例を説明する。このような画像解析処理を特定画像解析処理と呼ぶことにする。
【0084】
第1の例を説明する。表示制御部105は、所定のユーザーインターフェイスを表示部104に表示させる。このユーザーインターフェイスには、特定画像解析処理に関する情報として、少なくとも特定画像解析処理の種別を表す情報が提示される。ユーザーは、ユーザーインターフェイス及び操作部を用いて、特定画像解析処理に関する指示、少なくともその種別を指定する操作を行う。制御部101は、通信部102を制御して、この指示の内容を表す情報(指示内容情報)を端末IDとともに眼科情報処理サーバー200に向けて送信させる。このとき、ユーザーにより選択された画像データも送信することができる。その場合、特定画像解析処理に関する指示は、
図1に示すステップ3(画像データ等の送信)より前の任意のタイミングで行われる。また、過去に眼科情報処理サーバー200に送信された画像データに特定画像解析処理を施す場合には、この画像データの識別情報を指示内容情報とともに送信することができる。
【0085】
眼科情報処理サーバー200の解析処理部220は、第1の動作例と同様にして、この特定画像解析処理を当該画像データに施す。それにより得られた解析結果データは、端末IDに基づいてユーザー端末100に向けて送信される。ユーザー端末100は、この解析結果データを表示部104に表示する。
【0086】
第2の例を説明する。表示制御部105は、所定のユーザーインターフェイスを表示部104に表示させる。このユーザーインターフェイスには、特定画像解析処理の種別を選択可能に提示される。その提示態様としては、処理種別のリスト表示、プルダウンメニュー表示、アイコン表示などがある。ユーザーは、ユーザーインターフェイス及び操作部を用いて、処理種別を選択する操作を行う。この操作は任意のタイミングで行うことができる。制御部101は、通信部102を制御して、この選択の内容を表す情報(選択内容情報)を端末IDとともに眼科情報処理サーバー200に向けて送信させる。
【0087】
眼科情報処理サーバー200の読出制御部242は、ユーザー端末100から送信された選択内容情報に対応するプログラムを配信プログラム記憶部241から読み出す。読み出されたプログラムは、端末IDに基づいてユーザー端末100に向けて送信される。
【0088】
ユーザー端末100の制御部101は、通信部102が受信したプログラムを解析処理部110に記憶させる。このプログラムは、たとえばユーザーの指示に対応してユーザー端末100にインストールされる。それにより、ユーザー端末100によってこのプログラムに対応する特定画像解析処理の実行が可能になる。
【0089】
第3の例を説明する。この例において、ユーザー端末100は、眼科情報処理サーバー200が実行可能な画像解析処理のうちの少なくとも一部を実行可能であるとする。ユーザー端末100の解析処理部110は、ユーザーにより指示された画像解析処理を画像データに施して解析結果データを生成する。制御部101は、通信部102を制御して、この解析結果データを眼科情報処理サーバー200に向けて送信させる。このとき、当該画像データを解析結果データとともに送ることができる。なお、当該画像データが送信済みである場合にはその必要はない。また、被検眼を撮影して得られた画像データを用いる代わりに、所定のテスト用画像データを用いることも可能である。
【0090】
眼科情報処理サーバー200の制御部201は、通信部202が受信した解析結果データを処理結果比較部231に送る。また、制御部201は、当該画像データ(テスト用画像データでもよい)に基づく解析結果データを処理結果比較部231に送る。処理結果比較部231は、ユーザー端末100により得られた解析結果データと、眼科情報処理サーバー200により得られた解析結果データとを比較する。制御部201は、その比較結果に基づいて所定の処理を実行する。この所定の処理としては、比較結果のユーザー端末100への送信がある。また、比較結果に応じて配信プログラム記憶部241に記憶されたプログラムを読み出してユーザー端末100へ送信することもできる。
【0091】
〔第4の動作例〕
標準データを更新する処理について説明する。
【0092】
眼科情報処理サーバー200の管理者は、新たな画像データ又はこれに基づく解析結果データを、所望のタイミングで眼科情報処理サーバー200に入力する。画像データが入力された場合、制御部201は、解析処理部220を制御して、当該画像データに基づく解析結果データを生成させる。入力された解析結果データ又は生成された解析結果データは、更新処理部255に送られる。更新処理部255は、この解析結果データに基づいて、標準データ記憶部223に記憶されている標準データを更新する。
【0093】
〔第5の動作例〕
ユーザー毎のアカウントに関する動作例について説明する。そのための基本構成として、各ユーザー端末は、ネットワークNを介して相互に通信可能に眼科情報処理サーバー200と接続されており、かつ、眼科情報処理サーバー200(のアカウント管理部210)は、ユーザー毎にあらかじめ付与されたユーザー識別情報(ユーザーID)に基づいてユーザー毎のアカウントを管理するようになっている。以下、この基本構成により実現される処理の例を説明する。
【0094】
第1の例は、課金に関する処理である。前述のように、アカウント管理部210の課金情報記憶部212には、画像解析処理の種別と課金額とを対応付けた課金情報があらかじめ記憶されている。ユーザー端末100からの依頼に応じて眼科情報処理サーバー200の解析処理部220により画像解析処理が実行されると、制御部201は、実行された画像解析処理の処理種別を表す処理種別情報(及び当該ユーザーのユーザーID)を情報管理部213に送る。情報管理部213は、当該ユーザーIDに関連付けられたアカウントを検索する。更に、情報管理部213は、当該処理種別情報に示す処理種別に対応する課金額を課金情報を参照して特定する。そして、情報管理部213は、特定された課金額を当該ユーザーのアカウントに記録する。この記録処理では、たとえば処理種別、処理日時、適用されたパラメーターなど、当該画像解析処理に関する情報が課金額とともにともに記録される。これら情報を処理履歴と呼ぶ。
【0095】
ユーザーは、ユーザー端末100を操作して、眼科情報処理サーバー200から処理履歴を呼び出すことができる。ユーザー端末100は、処理履歴に基づく情報を表示する。このとき、処理履歴に含まれる課金額の合計額を算出して表示することができる。また、課金額を所定の支払アカウントから引き落とすこともできる。この支払アカウントとしては、銀行口座、クレジットカード、プリペイドカードなどがある。
【0096】
第2の例では、一人のユーザーが複数のユーザー端末を利用する場合における処理を説明する。ここでは、ユーザー端末100及び100Aが用いられる場合について説明する。なお、一人のユーザーが使用可能なユーザー端末の台数は2台には限定されず、2以上の任意の台数であってよい。当該ユーザーのアカウントには、ユーザー端末100及び100Aのそれぞれの端末IDが事前に登録されているものとする。つまり、当該ユーザーのユーザーIDには、双方の端末IDが関連付けられているものとする。情報記憶部211において当該ユーザーに割り当てられた記憶領域は、ユーザー端末単位であってもよいし、ユーザー単位であってもよい。
【0097】
ユーザーが医療機関Hの外部でユーザー端末100Aを使用して、画像データ並びにユーザーID及び/又は端末IDを眼科情報処理サーバー200に送信したとする。
【0098】
眼科情報処理サーバー200は、前述の要領で、当該画像データに対して画像解析処理を施す。得られた解析結果データは、制御部201によりユーザーID(及び/又は端末ID)とともに情報管理部213に送られ、情報管理部213により当該ユーザーID(又は端末ID)に対応する記憶領域に格納される。また、制御部201は、通信部202を制御して、この解析結果データをユーザー端末100Aに向けて送信させる。
【0099】
また、当該画像解析処理の依頼元であるユーザー端末100Aから任意の解析結果データ(ユーザー端末100から解析依頼があったものも含む)の送信指示がなされると、情報管理部213は、送信指示に含まれる端末ID(又はユーザーID)に対応付けられた解析結果データを当該ユーザーのアカウントから読み出し、制御部201に送る。制御部201は、通信部202を制御して、この解析結果データをユーザー端末100Aに向けて送信させる。
【0100】
同様に、ユーザー端末100から任意の解析結果データ(ユーザー端末100Aから解析依頼があったものも含む)の送信指示がなされると、情報管理部213は、送信指示に含まれる端末ID(又はユーザーID)に対応付けられた解析結果データを当該ユーザーのアカウントから読み出し、制御部201に送る。制御部201は、通信部202を制御して、この解析結果データをユーザー端末100に向けて送信させる。
【0101】
第3の例では、他のユーザーに対するデータの公開/非公開の設定及びそれに関する処理について説明する。他のユーザーは、
図1に示すユーザー端末140を使用する。
【0102】
情報記憶部211は、ユーザーIDに関連付けられて記憶されている情報、つまり当該ユーザーによりアカウントへの保存指示がなされた情報を、他のユーザーに開示可能な情報(開示可能情報)と、開示不可能な情報(開示不可能情報)とに分類して記憶している(アカウント単位で開示可能/開示不可能が設定されている場合も含む)。
【0103】
ここで、開示対象の他のユーザーは、全ユーザーでもよいし、特定のユーザーに限定されていてもよい。前者の場合、ユーザーはそのための設定操作を行う。後者の場合、ユーザーは開示対象の他のユーザーを指定する操作を行う。なお、複数のユーザーでグループを形成し、グループ単位で公開/非公開を設定するようにしてもよい。
【0104】
また、情報漏洩等のおそれを勘案すると、公開/非公開の設定におけるデフォルトは非公開設定であることが望ましいと考えられる。つまり、公開するためには所定の操作を行う必要があるようにシステムを構成することが望ましいと考えられる。
【0105】
当該ユーザー以外のユーザー(閲覧依頼ユーザー)のユーザー端末140から、当該ユーザーのアカウントに保存されている情報の閲覧要求がなされたとする。この閲覧要求には、閲覧依頼ユーザーのユーザーIDや、ユーザー端末140の端末ID(及びアドレス)や、閲覧を望む情報の種別を表す情報などが含まれている。
【0106】
情報管理部213は、当該情報(解析結果データ、画像データ等)が開示可能情報であるかを、上記分類に基づいて判断する。開示可能情報でない場合、つまり開示不可能情報である場合、情報管理部213はその旨の情報を制御部201に送る。制御部201は、この情報を受けて、閲覧が不可能である旨の情報をユーザー端末140に送る。
【0107】
ユーザー端末140は、閲覧が不可能である旨の情報(文字列メッセージ等)を表示する。他方、当該情報が開示可能情報である場合、情報管理部213は、閲覧依頼ユーザーのユーザーIDが、開示対象であるか否か判断する。開示対象である場合、この情報はユーザー端末140に送られる。開示対象でない場合には、開示不可能情報の場合と同様の処理が実行されて、ユーザー端末140に文字列メッセージ等が表示される。
【0108】
なお、情報を他のユーザーに開示した場合、その旨(開示履歴)を当該ユーザーのアカウントに記録することができる。この開示履歴には、開示したユーザーに関する情報(ユーザーID、氏名等)、開示日時、開示された情報の種別などが含まれる。当該ユーザーは、開示履歴を閲覧することができる。また、各ユーザーの閲覧要求の頻度等を監視することにより、情報漏洩等に対処するようにしてもよい。
【0109】
この第3の例において、アカウント管理部210が、他のユーザーのユーザー端末140から当該ユーザーのアカウントに向けて送信されたデータを、当該ユーザーのユーザーIDに関連付けて情報記憶部211に記憶させるようにしてもよい。
【0110】
具体例として、まず、他のユーザーは、ユーザー端末140を用いて、当該ユーザーを指定して所望のデータを眼科情報処理サーバー200に向けて送信する。この送信データには、たとえば当該ユーザーのユーザーIDが関連付けられている。
【0111】
眼科情報処理サーバー200の制御部201は、通信部202が受信した当該データ及びユーザーIDを情報管理部213に送る。情報管理部213は、このユーザーIDに基づいて当該ユーザーのアカウントを特定し、このアカウントに対応する情報記憶部211の記憶領域にこのデータを記憶させる。つまり、このデータは、当該ユーザーのユーザーIDに関連付けられて情報記憶部211に記憶される。
【0112】
これに加えて、次のような処理を実行できるように眼科情報処理システム1を構成することが可能である。まず、当該ユーザーは、ユーザー端末100を用いて、他のユーザーのコメントを依頼するための指示(依頼指示)を眼科情報処理サーバー200に向けて送信する。この依頼指示には、他のユーザーのユーザーID及び当該ユーザーのユーザーIDが関連付けられている。また、他のユーザーへの依頼内容(たとえば、画像データを読影してもらいたい旨の文字列情報)を依頼指示とともに送信することができる。更に、他のユーザーに閲覧させたい画像の画像データ及び/又は解析結果データを、依頼指示とともに送信することが可能である。また、過去に眼科情報処理サーバー200に送信された画像データに基づく画像を他のユーザーに閲覧させたい場合には、当該画像データの識別情報を依頼指示とともに送信することが可能である。
【0113】
眼科情報処理サーバー200の制御部201は、通信部202が受信した依頼指示及びユーザーIDを情報管理部213に送る。情報管理部213(又は制御部201)は、他のユーザーのユーザーIDと、情報記憶部211に記憶された他のユーザーの情報とに基づいて、他のユーザーのアドレスを特定する。また、画像データの識別情報を受信した場合、情報管理部213は、当該ユーザーのユーザーIDに基づいて当該ユーザーのアカウントを特定し、当該画像データの識別情報に基づいて当該画像データ及び/又はその解析結果データを情報記憶部211から読み出す。情報管理部213は、制御部201を介して通信部202を制御することで、当該画像データ及び/又は解析結果データを他のユーザーのユーザー端末140に向けて送信させる。このとき、当該ユーザーに関する情報(氏名、所属医療機関名、ユーザーID等)や上記依頼内容をともに送信することが可能である。
【0114】
このような依頼を受けた他のユーザーは、画像や解析結果データを閲覧し、ユーザー端末140を用いてコメントを作成する。このとき、他のユーザーが閲覧を行った旨や、閲覧が所定期間なされなかった旨を、眼科情報処理サーバー200経由でユーザー端末100に向けて送るようにしてもよい。作成されたコメントは、他のユーザーのユーザーIDや当該ユーザーのユーザーIDと関連付けられて、ユーザー端末140から眼科情報処理サーバー200に向けて送信される。
【0115】
眼科情報処理サーバー200の情報管理部213は、当該ユーザーのユーザーIDに基づいて、このコメント及び他のユーザーのユーザーIDを、当該ユーザーのアカウントに記憶する。このとき、情報管理部213は、このコメント又はこれが届いた旨をユーザー端末100に向けて送信させるようにしてもよい。後者の場合、当該ユーザーは、コメントの送信指示を眼科情報処理サーバー200に向けて送信し、これを受けた眼科情報処理サーバー200は当該コメントをユーザー端末100に送信する。
【0116】
〔第6の動作例〕
眼科情報処理サーバー200により得られた解析結果データをユーザー端末100で閲覧可能な電子カルテに記録する処理について説明する。なお、電子カルテデータを院内サーバー150が管理している場合には、院内サーバー150が当該処理を実行するように構成できる。その場合、ユーザー端末には院内サーバー150も含まれるものとする。
【0117】
たとえば第1の動作例で説明した要領で、ユーザー端末100が、眼科情報処理サーバー200により得られた解析結果データを受信する。この解析結果データには、記録処理部109の項で説明した識別情報が付されている。記録処理部109は、この識別情報に基づいて当該患者の患者識別情報を特定する。そして、記録処理部109は、この患者識別情報に基づいて当該患者の電子カルテデータを電子カルテデータ記憶部108から検索し、その電子カルテデータにこの解析結果データを記録する。
【0118】
[作用・効果]
この実施形態に係る眼科情報処理システム1の作用及び効果について説明する。
【0119】
眼科情報処理システム1は、ネットワークNを介して相互に通信可能に接続されたユーザー端末100(並びに100A及び140)と眼科情報処理サーバー200とを含んで構成される。
【0120】
ユーザー端末100は、データ記憶部103と、処理種別指定部107と、通信部102とを有する。データ記憶部103には、眼科検査装置により取得された被検眼の画像データが記憶される。処理種別指定部107は、画像データに対する画像解析処理の種別を指定する。通信部102は、指定された種別を表す処理種別情報と画像データとを、ネットワークNを介して眼科情報処理サーバー200に向けて送信する。
【0121】
眼科情報処理サーバーは、通信部202と、解析処理部220とを有する。通信部202は、ユーザー端末100から送信された処理種別情報及び前記画像データを受信する。解析処理部220は、この処理種別情報に対応する画像解析処理をこの画像データに施して解析結果データを生成する。通信部202は、この解析結果データをネットワークNを介してユーザー端末100に向けて送信する。
【0122】
このような眼科情報処理システム1によれば、医療機関H側のユーザー端末100から依頼を受けた画像解析処理を眼科情報処理サーバー200で実行し、その処理結果をユーザー端末100に提供することができる。したがって、ユーザー端末100では実行できない画像解析処理、たとえば、ユーザー端末100に搭載されていない画像解析処理や、ユーザー端末100のリソースでは実行が不可能又は困難な画像解析処理であっても、その処理結果をユーザーに提供することが可能である。
【0123】
また、ユーザー端末100で他の作業を行なっているときに、眼科情報処理サーバー200に画像解析処理を実行させることも可能である。また、ユーザー端末100が使用されていないときに、眼科情報処理サーバー200に画像解析処理を実行させることも可能である。
【0124】
このように、眼科情報処理システム1によれば、多くの医療機関において多種多様な眼科画像解析を実行することが可能である。また、ユーザー端末100の使用状態に関わらず、画像解析処理を行うことができるという利点もある。
【0125】
解析処理部220は、プログラム記憶部221と、プログラム選択部222と、処理実行部224とを含んで構成されていてもよい。プログラム記憶部221には、複数種別の画像解析処理に対応する複数のプログラムがあらかじめ記憶されている。プログラム選択部222は、ユーザー端末100から送信されて通信部202が受信した処理種別情報について、これに対応するプログラムをプログラム記憶部221に記憶された複数のプログラムのうちから選択する。処理実行部224は、この選択されたプログラムに基づいて、この処理種別情報に関連付けられた画像データに対する画像解析処理を実行する。
【0126】
ユーザー端末100は、次のように構成されていてもよい。データ記憶部103には、画像データと、これに付帯された当該患者の患者情報を含む付帯情報とが記憶されている。ユーザー端末100は、この付帯情報から患者情報を削除する患者情報削除部111を有する。そして、ユーザー端末100は、患者情報削除部111により患者情報が削除された付帯情報と画像データとを通信部102により眼科情報処理サーバー200に向けて送信する。
【0127】
このように構成することで、眼科情報処理サーバー200に向けて患者情報が送信されることがないので、患者情報の漏洩を防止することができる。
【0128】
また、ユーザー端末100は、次のように構成されていてもよい。上記と同様に、データ記憶部103には画像データと付帯情報とが記憶されている。ユーザー端末100は、画像データに対し、患者情報以外の識別情報を付与する識別情報付与部112を有する。そして、ユーザー端末100は、識別情報付与部112により付与された識別情報と画像データとを通信部102により眼科情報処理サーバー200に向けて送信する。
【0129】
このように構成することで、眼科情報処理サーバー200に向けて患者情報が送信されることがないので、患者情報の漏洩を防止することができる。
【0130】
また、ユーザー端末100は、次のように構成されていてもよい。データ記憶部103には、画像データと、当該患者の患者情報とが記憶されている。ユーザー端末100は、患者情報を暗号化する暗号化処理部113を有する。そして、ユーザー端末100は、暗号化処理部113により暗号化された患者情報と画像データとを通信部102により眼科情報処理サーバー200に向けて送信する。
【0131】
このように患者情報を暗号化して眼科情報処理サーバー200に向けて送信することで、患者情報の漏洩のおそれを低減させることができる。
【0132】
また、ユーザー端末100は、暗号化処理部113により画像データを暗号化し、この暗号化された画像データを通信部102よって眼科情報処理サーバー200に向けて送信するように構成されていてもよい。それにより、画像データの漏洩のおそれを低減させることができる。
【0133】
なお、これらと同様のセキュリティ向上機能を眼科情報処理サーバー200に設けることが可能である。つまり、情報記憶部211に記憶されている患者情報や画像データを出力するときに、患者情報を削除したり、患者情報以外の識別情報を付与したり、患者情報を暗号化したり、画像データを暗号化したりするように、眼科情報処理サーバー200を構成することが可能である。
【0134】
眼科情報処理システム1は、次のように構成されていてもよい。ユーザー端末100の解析処理部110が、1以上の種別の画像解析処理を実行可能であり、かつ、眼科情報処理サーバー200の解析処理部200が、ユーザー端末100によって実行不可能な画像解析処理を実行可能である。
【0135】
このように構成することで、ユーザー端末100は、自身で実行できない画像解析処理による解析結果データを取得することができる。
【0136】
眼科情報処理システム1は、次のように構成されていてもよい。ユーザー端末100は、表示部104と、表示制御部105と、操作部と106とを有する。表示制御部105は、ユーザー端末100により実行不可能な画像解析処理に関するユーザーインターフェイスを表示部104に表示させる。ユーザー端末100は、自身で実行不可能な画像解析処理に関する指示がユーザーインターフェイス及び操作部106を用いてなされたことに対応して、この指示の内容を表す指示内容情報を通信部102により眼科情報処理サーバー200に向けて送信する。
【0137】
眼科情報処理サーバー200は、この指示内容情報に基づく画像解析処理を解析処理部220により実行し、それにより得られた解析結果データを通信部202によりユーザー端末100に向けて送信する。ユーザー端末100の表示制御部105は、この解析結果データに基づく情報を表示部104に表示させる。
【0138】
このように構成することで、ユーザーが望む任意の指示内容を反映した画像解析処理を眼科情報処理サーバー200で実行することが可能となる。
【0139】
眼科情報処理システム1は、次のように構成されていてもよい。ユーザー端末100は、表示部104と、表示制御部105と、操作部と106とを有する。表示制御部105は、ユーザー端末100により実行不可能な画像解析処理の種別を選択可能に提示するユーザーインターフェイスを表示部104に表示させる。ユーザー端末100は、自身で実行不可能な画像解析処理の種別の選択がユーザーインターフェイス及び操作部106を用いてなされたことに対応して、この選択の内容を表す選択内容情報を通信部102により眼科情報処理サーバー200に向けて送信する。
【0140】
眼科情報処理サーバー200の配信プログラム記憶部241には、ユーザー端末100により実行不可能な画像解析処理に対応するプログラムがあらかじめ記憶されている。読出処理部242は、ユーザー端末100から送信された選択内容情報に対応するプログラムを配信プログラム記憶部241から読み出す。眼科情報処理サーバー200は、読出処理部242により読み出されたプログラムを通信部202によりユーザー端末100に向けて送信する。
【0141】
このように構成することで、ユーザーは、所望の画像解析処理に対応するプログラムを眼科情報処理サーバー200から取得し、この画像解析処理をユーザー端末100で行うことができる。
【0142】
眼科情報処理システム1は、次のように構成されていてもよい。ユーザー端末100は、眼科情報処理サーバー200の解析処理部220により実行可能な画像解析処理のうちの少なくとも一部の画像解析処理を画像データに施す解析処理部110を有する。ユーザー端末100は、解析処理部110により得られた解析結果データを通信部102により眼科情報処理サーバー200に向けて送信する。
【0143】
眼科情報処理サーバー200は、自身の解析処理部220により得られた解析結果データと、ユーザー端末100により得られた解析結果データとを比較する処理結果比較部231を有する。
【0144】
このように構成することで、ユーザー端末100により得られた解析結果データと、眼科情報処理サーバー200により得られた解析結果データとが同じであるか、また、どのように又はどの程度相違しているかを判断することができる。この判断結果は、たとえば、プログラムのバージョンの比較、ユーザー端末100のリソースの評価、バグの有無など、様々な目的に用いることが可能である。
【0145】
眼科情報処理サーバー200は、次のように構成されていてもよい。解析処理部220の標準データ記憶部223には、眼科検査装置により複数の被検眼について得られた複数の画像データに画像解析処理を施して得られた複数の解析結果データを統計的に処理することにより生成された標準データがあらかじめ記憶されている。更新処理部225は、眼科検査装置により得られた新たな画像データに基づく解析結果データに基づいて、標準データ記憶部223に記憶されている標準データを更新する。
【0146】
このように構成することで、標準データ記憶部223を適宜に更新することができ、標準データを用いた画像解析処理の精度や確度を担保することが可能になる。
【0147】
眼科情報処理システム1は、次のように構成されていてもよい。眼科情報処理サーバー200には、ネットワークNを介して相互に通信可能な複数のユーザー端末100、100A、140が接続されている。眼科情報処理サーバー200は、ユーザー毎にあらかじめ付与されたユーザー識別情報に基づいてユーザー毎のアカウントを管理するアカウント管理部210を有する。
【0148】
このように構成することで、各ユーザーに関わる情報を好適に管理することが可能である。
【0149】
アカウント管理部210は、次のように構成されていてもよい。アカウント管理部210は、課金情報記憶部212と、課金管理部213とを有する。課金情報記憶部212には、画像解析処理の種別と課金額とを対応付けた課金情報があらかじめ記憶されている。課金管理部213は、眼科情報処理サーバー200の解析処理部210による画像解析処理が実行されたことに対応して、この画像解析処理に対応する課金額を課金情報に基づき取得し、この課金額と当該ユーザーのユーザー識別情報とを関連付ける。関連付けられた課金額とユーザー識別情報は、情報記憶部211における当該ユーザーのアカウントに記憶される。
【0150】
このように構成することで、サービスの利用状況に応じた課金額をユーザー毎に管理することが可能となる。
【0151】
1のユーザーが、2以上のユーザー端末(ユーザー端末100、100Aを含む)を使用する場合において、アカウント管理部210を次のように構成することができる。第1のユーザー端末から送信された処理種別情報と画像データとに基づく画像解析処理が眼科情報処理サーバー200の解析処理部220により実行されたとする。このとき、アカウント管理部210は、この画像解析処理により得られた解析結果データを当該ユーザーの2以上のユーザー端末の全てに送信可能に通信部202を制御する。
【0152】
このように構成することで、各ユーザー端末で利用したサービスの結果を全ての端末で共有することが可能となる。なお、複数のユーザー端末のうちの一部のみで情報を共有するように設定することも可能である。
【0153】
眼科情報処理サーバー200は、次のように構成されていてもよい。アカウント管理部210の情報記憶部211には、ユーザー識別情報に関連付けられた当該ユーザーにより保存指示がなされた情報が、開示可能情報と開示不可能情報とに分類して記憶されている。眼科情報処理サーバー200の通信部202は、ユーザー端末100のユーザーにより保存指示がなされた情報のうち開示可能情報のみを、他のユーザーのユーザー端末140に送信可能とされる。
【0154】
このように構成することで、開示不可能情報の漏洩を防止することが可能になる。
【0155】
アカウント管理部210は、次のように構成されていてもよい。アカウント管理部210は、他のユーザーのユーザー端末140からユーザー端末100のユーザー(のアカウント)に向けて送信されたデータを、ユーザー端末100のユーザーのユーザー識別情報に関連付けて情報記憶部211に記憶させる。
【0156】
このように構成することで、他のユーザーから当該ユーザーに向けて送られたデータを、当該ユーザーに関わる情報として好適に管理することが可能となる。
【0157】
眼科情報処理システム1は、次のように構成されていてもよい。当該ユーザーのユーザー端末100は、他のユーザーのコメントを依頼するための依頼指示を通信部102により眼科情報処理サーバー200に向けて送信する。眼科情報処理サーバー200のアカウント管理部210は、制御部201を介して通信部202を制御することにより、対象の画像データ及び/又は解析結果データを、他のユーザーのユーザー端末140に向けて送信させる。
【0158】
このように構成することで、当該ユーザーは、他のユーザーに対して、画像や解析結果データに対するコメントを依頼することができる。
【0159】
ユーザー端末100は、次のように構成されていてもよい。ユーザー端末100は、電子カルテデータ記憶部108と、記録処理部109とを有する。電子カルテデータ記憶部108には、患者毎の電子カルテデータが記憶されている。記録処理部109は、眼科情報処理サーバー200から送信された解析結果データを、当該患者の電子カルテデータに記録する。
【0160】
このように構成することで、眼科情報処理サーバー200により得られた解析結果データを、対応する患者の電子カルテに自動的に記録することが可能となる。
【0161】
この実施形態に係る眼科情報処理サーバー200は、次のような構成を有する。眼科情報処理サーバー200は、ネットワークNを介して相互に通信可能にユーザー端末100等に接続されている。眼科情報処理サーバー200は、通信部202と、解析処理部220とを有する。通信部202は、ユーザー端末100等から送信された、眼科検査装置により取得された被検眼の画像データと、この画像データに対する画像解析処理の種別を表す処理種別情報とを受信する。解析処理部220は、この処理種別情報に対応する画像解析処理をこの画像データに施して解析結果データを生成する。通信部202は、この解析結果データをネットワークNを介してユーザー端末100等(この画像データ等の送信元のユーザー端末)に向けて送信する。
【0162】
このような眼科情報処理サーバー200によれば、ユーザー端末100等から依頼を受けた画像解析処理を実行し、その処理結果をユーザー端末100等に提供することができる。したがって、多くの医療機関において多種多様な眼科画像解析を実行することが可能となる。また、ユーザー端末100等の使用状態に関わらず、画像解析処理を行うことができるという利点もある。
【0163】
この実施形態に係る眼科情報処理方法は、ネットワークNを介して相互に通信可能に接続されたユーザー端末100等と眼科情報処理サーバー200とにより実行される。この眼科情報処理方法は、次のステップを含む:
(1)ユーザー端末100等が、眼科検査装置により取得された被検眼の画像データを記憶するステップ;
(2)ユーザー端末100等が、画像データに対する画像解析処理の種別を指定するステップ;
(3)ユーザー端末100等が、指定された種別を表す処理種別情報とこの画像データとを、ネットワークNを介して眼科情報処理サーバー200に向けて送信するステップ;
(4)眼科情報処理サーバー200が、ユーザー端末等から送信された処理種別情報及び画像データを受信するステップ;
(5)眼科情報処理サーバー200が、この処理種別情報に対応する画像解析処理をこの画像データに施すステップ;
(6)眼科情報処理サーバー200が、この画像データに対する画像解析処理により得られた解析結果データを、ネットワークNを介してユーザー端末100等(この画像データ等の送信元のユーザー端末)に向けて送信するステップ。
【0164】
このような眼科情報処理方法によれば、ユーザー端末100等から依頼を受けた画像解析処理を実行し、その処理結果をユーザー端末100等に提供することができる。したがって、多くの医療機関において多種多様な眼科画像解析を実行することが可能となる。また、ユーザー端末100等の使用状態に関わらず、画像解析処理を行うことができるという利点もある。
【0165】
以上で説明した実施形態は、この発明の一例に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内において、任意の変形、追加、省略を施すことが可能である。