特許第5887145号(P5887145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5887145
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】外観検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20160303BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
   G01N21/956 A
   G06T1/00 305A
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-6961(P2012-6961)
(22)【出願日】2012年1月17日
(65)【公開番号】特開2013-148363(P2013-148363A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2014年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】疋田 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】猿渡 健
【審査官】 田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−216963(JP,A)
【文献】 特開2003−141508(JP,A)
【文献】 特開2009−281898(JP,A)
【文献】 特開2008−071261(JP,A)
【文献】 特開2003−208627(JP,A)
【文献】 特開2005−158780(JP,A)
【文献】 橘俊宏 他,GPGPUを用いた組合せ最適化問題計算の高速化,電子情報通信学会技術研究報告,日本,社団法人電子情報通信学会 The Institute of Electronics,Information and Communication Engineers,2011年 6月,第111巻,pp.53-58
【文献】 田村陽介,驚異の1TFLOPSオーバーパワーを徹底活用 GPGPUによる並列処理,月刊アスキードットテクノロジーズ,日本,株式会社アスキー・メディアワークス,2009年12月,Vol.14, No.12,pp.26-31
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
G01B 11/00−11/30
G06F 9/46− 9/54
G06F 15/16−15/177
G06T 1/00− 9/40
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影部が撮影したパターンの形成された基板表面の画像に基づいて、前記パターンの欠陥を検出する外観検査装置において、
撮影部が基板上の検査対象の領域を撮影して画像保持メモリに保存した、前記検査対象の領域を分割して得られる複数の分割領域を含む画像データを、それぞれ同じ内容で複数の画像処理用メモリに転送する画像転送部と、
前記画像転送部によって前記画像処理用メモリに転送された転送済みの画像データに含まれる前記複数の分割領域の中から、それぞれの処理対象の領域に対応する一部の分割領域について、欠陥検出のための検査処理を実行する複数の画像処理部と、
前記画像転送部による画像転送とは独立して、前記一部の分割領域毎に検査内容を規定する検査タスクを取得するとともに、該検査タスクに従って処理すべき前記一部の分割領域に対応付けして前記画像処理部を制御する画像処理制御部と、
を備え
前記画像処理制御部は、複数の前記画像処理部とそれぞれ対応する複数の制御ブロックを有し、
前記制御ブロックは、前記検査タスクを記憶する検査タスク保持部に対して、他の前記制御ブロックと非同期かつ排他的にアクセスし、前記検査タスク保持部に記憶された複数の前記検査タスクのうちの1つを順番に取得する外観検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の外観検査装置において、
前記画像処理制御部は、
前記画像処理用メモリに転送された前記転送済みの画像データに、前記画像処理部が検査する前記一部の分割領域が含まれているかどうか判定し、含まれていない場合には、該画像処理部が検査する前記一部の分割領域を含む前記画像データが前記画像処理用メモリに転送されるまで該画像処理部を待機させる外観検査装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の外観検査装置において、
前記画像転送部は、
あらかじめ定められたデータ量の前記画像データが前記画像保持メモリに保存された場合に、該画像データを前記画像処理用メモリに転送する外観検査装置。
【請求項4】
請求項3に記載の外観検査装置において、
前記撮影部は、ラインセンサを含み、
前記画像転送部は、前記撮影部によって、あらかじめ定められたライン数の画像データが取得され、前記画像保持メモリに保存された場合に、該画像データを前記画像処理用メモリに転送する外観検査装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の外観検査装置において、
前記画像処理部がGPU(Graphics Processing Unit)を含む外観検査装置。
【請求項6】
撮影部が撮影したパターンの形成された基板表面の画像に基づいて、前記パターンの欠陥を検出する外観検査装置において、
各々が画像処理部及び画像処理用メモリを有する複数の画像処理ユニットと、
撮影部が基板上の検査対象の領域を撮影して画像保持メモリに保存した、前記検査対象の領域を分割して得られる複数の分割領域を含む画像データを、それぞれ同じ内容で複数の前記画像処理ユニットの前記画像処理用メモリに転送する画像転送部と、
前記画像転送部による画像転送とは独立して、前記一部の分割領域毎に検査内容を規定する検査タスクを取得するとともに、該検査タスクに従って処理すべき前記一部の分割領域に対応付けして前記画像処理ユニットの前記画像処理部を制御する画像処理制御部と、
を備え、
前記画像処理部は、前記画像転送部によって前記画像処理用メモリに転送された転送済みの画像データに含まれる前記複数の分割領域の中から、それぞれの処理対象の領域に対応する一部の分割領域について、欠陥検出のための検査処理を実行し、
前記画像処理制御部は、複数の前記画像処理部とそれぞれ対応する複数の制御ブロックを有し、
前記制御ブロックは、前記検査タスクを記憶する検査タスク保持部に対して、他の前記制御ブロックと非同期かつ排他的にアクセスし、前記検査タスク保持部に記憶された複数の前記検査タスクのうちの1つを順番に取得する外観検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に形成されたパターンの欠陥を検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハなどの基板上に形成された回路パターンの欠陥を検出する場合、回路パターンの画像を取得し、基準となる参照画像との比較に基づいて、欠陥箇所を抽出する外観検査が行われている。最近では、検査処理を高速に行うため、複数のプロセッサエレメントを備えた並列データ処理型の外観検査装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
具体的に、特許文献1に記載の外観検査装置では、ラインセンサでスキャン撮影した画像を分割する際、全体制御コンピュータが、複数のプロセッサエレメントの各々に分割された画像を分配する条件を設定する。そして画像分配処理部は、その分配条件に従って上記画像を分割し、それぞれをプロセッサエレメントに転送する。そして各プロセッサエレメントは、規定された検査処理を行って、回路パターンの欠陥を抽出する。
【0004】
また、特許文献1に記載の外観検査装置では、プロセッサエレメントの処理能力や、検査アルゴリズム毎の演算負荷に基づいて、切り出す画像の範囲を調整している。これにより、各プロセッサエレメントに負荷が均等にかかるようにして、プロセッサエレメントの処理能力を効率よく活用するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−028410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、パワーデバイス、有機ELまたはLEDなどの微小なダイ(チップ)が形成された基板を検査する要望が増えてきているが、特許文献1に記載の外観検査装置において、このような微小なダイが形成された基板を検査した場合、分割された画像のサイズが非常に小さくなってしまう場合がある。このような場合、従来の外観検査装置では、画像転送の回数が膨大になってしまうため、画像データの転送処理時に発生する通信などのためのオーバーヘッドの時間が、画像データ自体の転送時間に対して、相対的に大きくなってしまう。したがって、このオーバーヘッドの影響により、転送効率が大幅に悪化する虞があった。転送効率が低下すると、結果的に検査時間が延びてしまうため、検査を効率的に行うことが困難となる。
【0007】
そこで本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、画像の転送効率の低下を抑制して、欠陥検査を効率的に行う技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、第1の態様は、撮影部が撮影したパターンの形成された基板表面の画像に基づいて、前記パターンの欠陥を検出する外観検査装置において、撮影部が基板上の検査対象の領域を撮影して画像保持メモリに保存した、前記検査対象の領域を分割して得られる複数の分割領域を含む画像データを、それぞれ同じ内容で複数の画像処理用メモリに転送する画像転送部と、前記画像転送部によって前記画像処理用メモリに転送された転送済みの画像データに含まれる前記複数の分割領域の中から、それぞれの処理対象の領域に対応する一部の分割領域について、欠陥検出のための検査処理を実行する複数の画像処理部と、前記画像転送部による画像転送とは独立して、前記一部の分割領域毎に検査内容を規定する検査タスクを取得するとともに、該検査タスクに従って処理すべき前記一部の分割領域に対応付けして前記画像処理部を制御する画像処理制御部とを備え、前記画像処理制御部は、複数の前記画像処理部とそれぞれ対応する複数の制御ブロックを有し、前記制御ブロックは、前記検査タスクを記憶する検査タスク保持部に対して、他の前記制御ブロックと非同期かつ排他的にアクセスし、前記検査タスク保持部に記憶された複数の前記検査タスクのうちの1つを順番に取得する。
【0009】
また、第2の態様は、第1の態様に係る外観検査装置において、前記画像処理制御部は、前記画像処理用メモリに転送された前記転送済みの画像データに、前記画像処理部が検査する前記一部の分割領域が含まれているかどうか判定し、含まれていない場合には、該画像処理部が検査する前記一部の分割領域を含む前記画像データが前記画像処理用メモリに転送されるまで該画像処理部を待機させる。
【0010】
また、第3の態様は、第1または第2の態様に係る外観検査装置において、前記画像転送部は、あらかじめ定められたデータ量の前記画像データが前記画像保持メモリに保存された場合に、該画像データを前記画像処理用メモリに転送する。
【0011】
また、第4の態様は、第3の態様に係る外観検査装置において、前記撮影部は、ラインセンサを含み、前記画像転送部は、前記撮影部によって、あらかじめ定められたライン数の画像データが取得され、前記画像保持メモリに保存された場合に、該画像データを前記画像処理用メモリに転送する。
【0012】
また、第5の態様は、第1から第4までのいずれか1態様に係る外観検査装置において、前記画像処理部がGPU(GraphicsProcessingUnit)を含む。
また、第6の態様は、撮影部が撮影したパターンの形成された基板表面の画像に基づいて、前記パターンの欠陥を検出する外観検査装置において、各々が画像処理部及び画像処理用メモリを有する複数の画像処理ユニットと、撮影部が基板上の検査対象の領域を撮影して画像保持メモリに保存した、前記検査対象の領域を分割して得られる複数の分割領域を含む画像データを、それぞれ同じ内容で複数の前記画像処理ユニットの前記画像処理用メモリに転送する画像転送部と、前記画像転送部による画像転送とは独立して、前記一部の分割領域毎に検査内容を規定する検査タスクを取得するとともに、該検査タスクに従って処理すべき前記一部の分割領域に対応付けして前記画像処理ユニットの前記画像処理部を制御する画像処理制御部と、を備え、前記画像処理部は、前記画像転送部によって前記画像処理用メモリに転送された転送済みの画像データに含まれる前記複数の分割領域の中から、それぞれの処理対象の領域に対応する一部の分割領域について、欠陥検出のための検査処理を実行し、前記画像処理制御部は、複数の前記画像処理部とそれぞれ対応する複数の制御ブロックを有し、前記制御ブロックは、前記検査タスクを記憶する検査タスク保持部に対して、他の前記制御ブロックと非同期かつ排他的にアクセスし、前記検査タスク保持部に記憶された複数の前記検査タスクのうちの1つを順番に取得する。

【発明の効果】
【0013】
第1の態様に係る外観検査装置によると、撮影部が撮影した画像データの転送と、画像処理部が実行する検査処理とが、独立して行われるため、高い転送効率で、画像データを画像保持メモリから画像処理用メモリに転送することができる。したがって、画像転送に伴うオーバーヘッドによる転送効率の低下を抑制でき、検査の効率化を図ることができる。
【0014】
第2の態様に係る外観検査装置によると、画像処理部が検査する画像データが転送されるまで、画像処理部を待機させることができる。したがって、画像処理部が検査すべき画像データの検査処理を確実に実行させることができる。
【0015】
第3の態様に係る外観検査装置によると、比較的大きなデータ量の画像データを1度に転送することができるため、転送効率の低下が起きることを抑制できる。
【0016】
第4の態様に係る外観検査装置によると、ライセンサーが検出した回数(ライン数)に応じて、画像データの転送を行うことができる。
【0017】
第5の態様に係る外観検査装置によると、画像処理部としてGPUを利用することにより、欠陥検出に関する画像処理演算を高速に行うことができる。ここで、画像処理の演算速度が高速であるほど、画像転送の効率化が求められるため、画像転送時のオーバーヘッドの影響をできるだけ減らすことが望ましい。すなわち、画像処理部にCPUを適用する場合よりも、画像処理が高速であるGPUを適用する場合において、検査遅延の抑制効果が大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る外観検査装置の概略構成図である。
図2】実施形態に係る外観検査装置の機能ブロック図である。
図3】基板の一例を示す概略平面図である。
図4図3に示した1つのダイの概略平面図である。
図5】検査タスク生成時における、撮影領域の分割例を示す説明図である。
図6】バッファメモリから画像処理ユニットの備える画像処理用メモリへ異なるデータ量の画像データを転送したときの転送レートを示す図である。
図7】複数の画像処理ユニットの動作シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して実施形態を詳細に説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0020】
<1. 実施形態>
<1.1. 外観検査装置1の構成>
図1は、実施形態に係る外観検査装置1の概略構成図である。また図2は、実施形態に係る外観検査装置1の機能ブロック図である。なお、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている場合がある。また、図1および以降の各図においては、それぞれの位置関係の理解を容易にするため、Z軸方向を鉛直方向、XY平面を水平面とする左手系のXYZ直交座標系を適宜付している場合がある。
【0021】
外観検査装置1は、被検査物である半導体基板9(以下、単に「基板9」という。)に形成されたパターン(回路パターンなど)の欠陥を、撮影部3によって撮影された画像に基づいて検査する装置である。外観検査装置1は、基板9を保持するステージ2(基板保持部)、ステージ2を水平方向(X軸方向およびY軸方向)に移動させるステージ移動機構21、基板9の鉛直方向上側(+Z側)の主面(以下、「上面」という。)を撮影する撮影部3、ステージ2などの外観検査装置1の各構成の動作を制御する制御部4、撮影部3によって撮影された画像に基づいてパターンの欠陥検出を行う検査部5、および、検査部5によって取得された欠陥データを処理する欠陥データ処理部6とを備えている。
【0022】
ステージ移動機構21は、ステージ2を、Y軸方向に移動させるY方向移動機構22、X方向に移動するX方向移動機構23、および、ステージ2をZ軸方向に移動させてフォーカス調整を行うステージ昇降機構24を備えている。Y方向移動機構22はモータ221に接続されたボールねじ(図示せず。)と、X方向移動機構23に固定されたボールねじに螺合するナット部材(図示せず。)とを有している。モータ221が回転することにより、X方向移動機構23がガイドレール222に沿ってY軸方向に移動する。X方向移動機構23もY方向移動機構22と同様の構成を備えており、モータ231により図示しないボールねじを回転させることで、ステージ2を一対のガイドレール232に沿ってX方向に移動させる。なお、ステージ移動機構21には、本実施形態のようにボールねじを利用するものの他、リニアモータなどの直動機構を利用することも考えられる。
【0023】
基板9は、検査中、ステージ2の上面に吸着固定されている。このため、ステージ移動機構21によりステージ2をX方向またはY方向に移動させることで、撮影部3に対して基板9を相対的に移動させることができる。外観検査装置1においては、基板9をX軸方向またはY軸方向に移動させて、図示を省略するハロゲンランプやLEDなどの照射部から、可視光が基板9に面照射またはライン状に照射される。そして、そして、基板9にて反射した反射光が、撮影部3の備える検出器(ここでは、ラインセンサ31)によって検出される。なお、可視光に代えて、紫外光、赤外光を照射するようにしてもよい。また、光源として、電子線またはレーザ光を出射するものが利用されてもよい。
【0024】
なお、本実施形態では、ステージ移動機構21がステージ2を移動させることで、基板9を撮影部3に対し、XY平面内で相対的に移動させている。しかしながら、ステージ2を固定して、撮影部3を移動させてもよい。もちろん、ステージ2および撮影部3の双方を個別に移動させてもよい。つまり、撮影部3に対して基板9を相対的に移動させることができるのであれば、外観検査装置1はどのように構成されていてもよい。
【0025】
撮影部3は、ラインセンサ31を備えている。ラインセンサ31は、基板9に照射された電子線またはレーザ光などを検出する複数の検出素子が一列に配列されることで構成されている。ラインセンサ31によって検出された検出信号は、図示しないADコンバータによって適宜デジタルデータ化され、補正処理などの所定の処理を経て、画像信号として検査部5のバッファメモリ53に順次送信される。なお、ラインセンサ31の代わりに、CCDなどのエリアセンサを適用することも考えられる。
【0026】
制御部4は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)を備える一般的なコンピュータとして構成されている。図2に示される、検査レシピ作成部41、検査タスク生成部43およびステージ制御部45は、CPUがプログラムに従って動作することによりソフトウェア的に実現される機能ブロックである。なお、これらの機能の一部または全部が、専用の回路などによってハードウェア的に実現されてもよい。
【0027】
検査レシピ作成部41は、オペレータが外観検査装置1において実行する検査内容を決定するために、検査レシピを作成するGUIを提供するものである。検査レシピは、検査前にオペレータから与えられる検査条件である。オペレータは、操作部49を介して検査条件(例えば、検査範囲や、検査方法、検査に用いられるパラメータなど)の設定を行う。検査パラメータとしては、例えば、画像上におけるノイズ除去のためのフィルタの設定値、または、パターン欠陥を判断するための閾値となる設定値(例えば、画素の濃度値)などが含まれる。
【0028】
検査タスク生成部43は、検査レシピ作成部41によって作成された検査レシピに基づいて、検査タスクを生成する。検査タスクは、後述する画像処理ユニット59が実行する検査処理の単位である。検査タスクには、例えば、後述する各画像処理ユニット59が検査処理を行う部分の座標情報、検査タイプ(後述するダイ比較検査またはセル比較検査など。)、または、個々の検査処理に適用される検査パラメータなどが含まれる。
【0029】
ステージ制御部45は、モータ221,231の駆動を制御することにより、ステージ2のX軸方向またはY軸方向の移動量、移動速度などを制御する。ステージ制御部45は、検査レシピによって指定された基板9上の特定領域を撮影するように、ステージ2の移動を制御する。
【0030】
制御部4には、各種情報を表示する液晶モニタなどで構成される表示部47、および、制御部4に対してオペレータが各種情報を操作入力するためのマウスまたはキーボードなどで構成される操作部49が接続されている。なお、表示部47をタッチパネルで構成することにより、表示部47が操作部49の機能の一部または全部を兼ねることも考えられる。表示部47に表示される情報に基づいて、制御部4に対して、操作部49を介した各種指示入力を行うことができる。
【0031】
検査部5は、制御部4と同様に、CPUやRAMなどを備えた一般的なコンピュータとして構成されており、パターン欠陥検出に関する各種演算処理を行う。検査部5は、検査タスク保持部51、バッファメモリ53、画像転送部55を備えている。また、検査部5は、複数のGPU制御部57と、該複数のGPU制御部57の各々によって、その動作が制御される画像処理ユニット59を複数備えている。画像転送部55およびGPU制御部57は、CPUが図示しないプログラムに従って動作することによりソフトウェア的に実現される機能ブロックである。なお、制御部4および検査部5は、LANなどの通信回線で接続された2台のコンピュータで構成されるが、1台のコンピュータで構成されることも考えられる。
【0032】
検査タスク保持部51は、検査タスク生成部43が生成した検査タスクを保存するための記憶部(RAMなどの一時的に情報を記憶するものも含む。)で構成され、最初に入ったものを最初に取り出すデータ構造を有するものである。検査タスク保持部51に対しては、複数のGPU制御部57が非同期かつ排他的にアクセスすることによって、複数ある検査タスクのうちの1つが順番に取得される。
【0033】
バッファメモリ53は、上述したように、ラインセンサ31が順次検出する検出信号に基づいた、画像信号(画像データ)を逐次保存する記憶部である。バッファメモリ53に蓄積される画像信号は、ラインセンサ31が検出した回数(つまりライン数)に応じたデータ量の画像データとなる。バッファメモリ53は、画像データ保持部の一例である。
【0034】
画像転送部55は、バッファメモリ53に保存された画像データを、各画像処理ユニット59にそれぞれ転送する。画像転送部55は、バッファメモリ53に保存された画像データの容量が、あらかじめ定められたデータ量に到達すると、自動的に転送を実行するように構成されている。
【0035】
具体例として、例えばラインセンサ31が8192個の検出素子を備えており、各検出素子に対応する1画素当たりの情報量を1バイト(=8ビットもしくは256階調)とし、さらに、ラインセンサ31が1024ラインのスキャンを行うごとに、画像転送部55が画像転送を行うように設定したとする。すると、この場合、画像転送部55は、1度の転送処理で、データ量が約8メガバイト(=8192×1024)である画像データを転送することとなる。このような比較的大きい単位で画像データを転送するようにすることで、転送処理時に発生する間接的または付加的な処理(オーバーヘッド)の時間を相対的に小さくすることができる。したがって、転送効率の低下を抑制することができるので、検査効率の向上を図ることができる。
【0036】
GPU制御部57は、画像処理ユニット59が備えるGPU591を制御する機能を有する。GPU制御部57は、検査タスク保持部51にアクセスして検査タスクを取得し、該検査タスクに記述された指示に沿って、GPU591を動作させる。上述したように、検査タスクには、処理対象領域の座標位置、検査タイプ(ダイ比較検査またはセル比較検査など)、検査パラメータなどに関する情報が記述されているので、GPU制御部57は、該検査情報を解釈してその内容に沿った画像処理をGPU591に実行させる。
【0037】
画像処理ユニット59は、GPU591と画像処理用メモリ593とを備えている。画像処理ユニット59は、例えばビデオカード(グラフィックカード)で構成されており、PCI Express規格のシリアルバスなどを介して、画像処理ユニット59が画像転送部55またはGPU制御部57と通信可能に接続される。
【0038】
GPU591は、例えば、米国nVIDA社などが提供するGPGPU(General Purpose Computing on Graphics Processing Unit)などを利用することができる。GPU591は、複数のプログラマブルシェーダ(3Dグラフィックスにおいて定義された3Dモデルや光源の情報を元に、その見え方を計算するプログラムのコード(ソフトウェア)およびそれを実行するハードウェアであり、処理内容がプログラム可能なもの)を備えており、該プログラマブルシェーダが所定のプログラムに従って動作することにより、パターン欠陥検出に関わる並列性の高い演算処理を行う。プログラムシェーダを動作させるためのプログラム開発には、例えば、米国nVIDIA社が提供するCUDA(Compute Unified Device Architecture)、OpenCLなどの様々な開発環境を利用することができる。GPU591は、画像処理部の一例である。
【0039】
画像処理用メモリ593は、GPU591が作業を行う領域を供する記憶部である。画像処理用メモリ593は、例えば、一般的なビデオカードに搭載される、グラフィック処理に適したGDDR(Graphics Double Data Rate)規格のメモリが使用される。なお、本実施形態では、上述したように、画像処理用メモリ593には、GPU591が処理に供するものだけではなく、撮像部3が撮影して取得された画像データ全体が画像転送部55により転送される。したがって、画像処理用メモリ593は、数百メガバイト〜数ギガバイト程度の比較的大容量のメモリであることが望ましい。なお、近年市販されているビデオカードには、数ギガバイトのビデオメモリが搭載されているものが多数あり、画像処理用メモリ593としては十分な容量を備えている。
【0040】
図1に示した欠陥データ処理部6は、各画像処理ユニット59において検出された欠陥情報を収集して、検査結果を図示しない記憶部(RAMなどの一時的に情報を記憶するものも含む。)に保存する。欠陥情報としては、具体的には、パターン欠陥が検出された位置の座標情報、欠陥箇所の面積情報、または、欠陥画素の濃度値などが含まれる。もちろん、欠陥情報はこれらのようなものに限定されるものではない。なお、欠陥データ処理部6は、CPUおよびRAMを備えた1台のコンピュータで構成されてもよいが、制御部4または検査部5が欠陥データ処理部6の機能を兼ね備えるようにすることも考えられる。
【0041】
<1.2. パターン欠陥の検査処理>
外観検査装置1において検査処理が開始される場合、まず、オペレータの操作入力に基づいて、検査レシピ作成部41により検査レシピが生成される。この検査レシピ作成時には、オペレータは、検査範囲や、適用する検査方法などの各種検査条件の指定を行う。検査タスク生成部43は、この作成された検査レシピに基づいて、検査タスクを作成する。作成された検査タスクは、検査タスク保持部51に保存される。また、外観検査装置1は、ステージ制御部45によって、検査レシピに従ってステージ2を移動させるとともに、撮影部3により検査範囲の撮影を行う。
【0042】
図3は、基板9の一例を示す概略平面図である。図3に示した基板9は、円形状の半導体ウエハであり、その表面には、複数のダイ91が形成されている。図3に示した撮影領域300は、ラインセンサ31がY軸方向に沿ってスキャン撮影した領域を示している。
【0043】
図4は、図3に示した1つのダイ91の概略平面図である。図4に示したダイ91は、同一領域内で回路パターンの繰り返し性が低い領域(以下、非繰り返しパターン領域93という。)と、メモリセルなどのように同一領域内で回路パターンの繰り返し性がある領域(以下、繰り返しパターン領域95という。)とが混在している。
【0044】
図5は、検査タスク生成時における、撮影領域300の分割例を示す説明図である。なお、図5においては、特定のダイ91について、非繰り返しパターン領域93と繰り返しパターン領域95とに撮影領域300が跨がっている例を図示している。
【0045】
図5に示したように、検査タスク生成部43が検査タスクを生成する際、撮影領域300を複数の分割領域70a〜70dに分割する。具体的には、検査タスク生成部43は、まず、非繰り返しパターン領域93に対応する領域(ここでは、分割領域70a,70b,70c)と、繰り返しパターン領域95に対応する領域(ここでは、分割領域70d)とに分割する。そして、検査タスク生成部43は、分割したそれぞれ領域を、さらに矩形状の領域に分割する。これにより、矩形状の分割領域70a〜70dが個別の検査対象領域として設定される。ただし、撮影領域300を分割する方法は、上記のようなものに限定されるものではなく、様々な方法が考えられる。例えば、検査タスク生成部43が、撮影領域300を均等な大きさに分割してそれぞれを分割領域に設定することも考えられる。
【0046】
このようにして分割された各分割領域70a〜70dについての座標情報が、検査タスクに登録される。また、各分割領域70a〜70dのそれぞれに対して、適用すべき欠陥処理の検査タイプに関する情報も、検査タスクに登録される。
【0047】
例えば分割領域70a〜70cについては非繰り返しパターン領域93であるので、いわゆるダイ比較検査が適用される。ダイ比較検査とは、ラインセンサ31の長手方向と平行な方向に隣接する2つのダイ91,91を比較することによって、パターン欠陥を検出する検査方法である。
【0048】
また、分割領域70dについては、繰り返しパターン領域95であり、該分割領域70d内においても同じ回路パターンが繰り返し出現する。そこで、分割領域70dに対しては、いわゆるセル比較検査が適用される。セル比較検査とは、隣接する繰り返しパターン同士を比較して、パターン欠陥を検出する検査方法である。
【0049】
このように、分割された分割領70a〜70dが、非繰り返しパターン領域93か繰り返しパターン領域95のどちらに対応するかによって、検査タイプが決定され、検査タスクに登録される。
【0050】
なお、検査タスク生成部43は、生成した複数の検査タスクを、撮影部3のスキャン方向にあわせて並べ替えて、検査タスク保持部51に保存する。つまり、撮影部3によりスキャン撮影がより早く行われる領域が、優先して画像処理ユニット59にて処理されるように、複数の検査タスクの実行権が割り当てられる(キューイング)。これにより、撮影部3がスキャンした撮影領域300の検査処理を効率的に進めることができる。
【0051】
撮影部3は、撮影によって取得した画像データをバッファメモリ53に保存する。バッファメモリ53にあらかじめ定められた画像データが保存されると、画像転送部55は、複数の画像処理ユニット59が備える画像処理用メモリ593に対して、バッファメモリ53に保存された画像データの転送を行う。また、この画像転送部55による画像転送とは非同期に(独立して)、複数のGPU制御部57が検査タスク保持部51にそれぞれアクセスし、検査タスクを1つ取得する。
【0052】
各GPU制御部57は、取得した検査タスクを元に、まず、自身が制御する画像処理ユニット59の画像処理用メモリ593に転送済みの画像データ(ここでは、転送済みのライン数)に、該画像処理ユニット59が検査する領域(分割領域)の画像データが含まれるかどうか判定する(転送済みデータの判定)。転送済みの画像データ中に、画像処理ユニット59が検査する分割領域の画像データが含まれる場合は、GPU制御部57はGPU591に対して、検査パラメータを渡すとともに、検査タスクに登録されている検査タイプの検査を実行させる。一方、転送済みの画像データに画像処理ユニット59が検査する分割領域の画像データが含まれていない場合、GPU制御部57は、検査対象領域の画像データが転送されるまで、GPU591を待機させる。
【0053】
上記転送済み画像データの判定を行うため、画像転送部55が、各画像処理ユニット59に画像データの転送を行うたびに、各画像処理ユニット59に対して転送した画像データに関する情報を対応するGPU制御部57に通知するようにしてもよい。もしくは、GPU制御部57のそれぞれが、上記転送済み画像データの判定を行う際に、画像転送部55に対して、転送済みの画像データに関する情報を問い合わせるようにしてもよい。なお、後者の場合、転送済みの画像データに関する情報の管理が容易となる。したがって、画像処理ユニット59を追加することで、GPU制御部57の数が増えるような場合にも対応が容易となる。
【0054】
GPU591は、GPU制御部57から検査処理の指示を受けると、画像処理用メモリ593にアクセスして、検査する分割領域の画像データと、参照領域の画像データとを取り出す。そして、GPU591は、検査する分割領域と参照領域との画像データについて、ノイズの除去やコントラスト調整などの所定の画像処理を行った後、パターン欠陥検出のための比較処理を行う。この比較処理は、特に限定されるものではない。例えば、画素比較の濃度値の差をしきい値で2値化して、欠陥の有無を判定するようにしてもよい。また、2値化によりモノクロ化された画像間の画素比較に基づいて、相違部分(パターン欠陥)が抽出されるようにしてもよい。また、各画像に対してエッジ抽出を行い、抽出されたエッジの形状比較に基づいて、相違部分が抽出されるようにしてもよい。GPU591は、このような処理により取得される欠陥情報の結果を、画像処理用メモリ593に適宜書き込む。
【0055】
GPU591による検査処理が完了すると、GPU制御部57は、画像処理用メモリ593に保存された欠陥情報を欠陥データ処理部6へ転送する。そして、GPU制御部57は、再び検査タスク保持部51へアクセスし、別の検査タスクを取得する。このようにして、検査部5は、複数の画像処理ユニット59によって、検査タスク保持部51に保存された全検査タスクを並列的に実行する。
【0056】
欠陥データ処理部6は、複数の画像処理ユニット59が抽出したパターン欠陥の座標情報、欠陥箇所の面積情報、または、欠陥画素の濃度値などの欠陥情報を収集して、記憶部に保存する。このとき、欠陥のタイプ分け(例えば、異物の付着によるパターン異常、または、回路の欠けなどのパターン形成そのもの異常)が行われるようにしてもよい。また、複数の1つのパターン欠陥が、複数のスキャン画像に跨がって存在するような場合に、これらの複数のスキャン画像をつなぎ合わせて、欠陥箇所の全体が含まれる1つの画像を生成する処理(マージ処理)を欠陥データ処理部6が行うようにしてもよい。
【0057】
<1.3. 効果>
本実施形態に係る外観検査装置1によると、画像転送部55は、撮影部3が検査対象の領域を撮影してバッファメモリ53に保存された画像データを、複数の画像処理ユニット59に順次転送する。一方、GPU制御部57は、画像転送部55による画像データの転送とは独立して、検査タスクを取得するとともに、取得した検査タスクに基づく検査処理を、画像処理ユニット59に実行させる。したがって、画像転送部55が1度に転送する画像データのデータ量を、比較的大きく設定することができる。これにより、データ転送時に発生する通信のためのオーバーヘッドの時間を相対的に小さくすることができるため、検査の効率化を図ることができる。
【0058】
図6は、バッファメモリ53から画像処理ユニット59へ異なるデータ量の画像データを転送したときの転送レートを示す図である。図6中、横軸は、画像転送部55が1回のデータ転送で転送するデータの容量を示しており、縦軸は、転送レートを示している。図6に示した例においては、1回のデータ転送のデータ容量が1メガバイト以上の場合、転送レートの低下は起こりにくいが、1メガバイトよりも小さくなると、転送レートが著しく低下してしまう。したがって、画像転送部55が1回のデータ転送で転送するデータ量を1メガバイト(つまり、転送レートの低下が起こるデータ量)よりも大きくすることで、高効率のデータ転送を実現することができる。
【0059】
図7は、複数の画像処理ユニット59の動作シーケンスを示す図である。図7中、最も上段に示した複数のブロック81は、撮影部3がスキャンを行う時間を示している。なお、ブロック81に記入された01〜16の数字は、それぞれ、1つの検査タスクに規定された分割領域に相当するものである。つまり図示の例では、複数のブロック81は、16個の分割領域についてのスキャン撮影時間を示している。また、PE00〜PE03は、4つの画像処理ユニット59のそれぞれに対応している。
【0060】
また、図7中、斜線でハッチングされたブロック83は、画像転送部55による1回のデータ転送時に発生するオーバーヘッドの時間に相当し、白抜きのブロック85は、1回のデータ転送時における、画像データ自体の転送時間に相当する。また、ドット柄でハッチングされたブロック87は、1つの検査タスクに規定された検査処理をGPU591が実行するのに係る時間に相当する。なお、ブロック81に記入されている数字01〜16と、ブロック85,87に記入された数字とはそれぞれ対応するものとなっている。
【0061】
外観検査装置1においては、ブロック85(例えば、「01〜04」が記入されたブロック85)で示されるように、バッファメモリ53に蓄積された画像データ(例えば、01〜04の分割領域に対応する画像データ)が、全ての画像処理ユニット59(PE00〜PE03)に対して、同じタイミングで転送されている。そして、ブロック87に示したように、各画像処理ユニット59(PE00〜PE03)において、異なる分割領域についての検査処理が並列的に実施される。したがって、外観検査装置1においては、検査処理と画像データの転送処理とが独立して行われるため、検査処理と転送処理とが時間的にオーバーラップして実行することができる。したがって、画像処理ユニット59が検査する画像データの転送がすでに完了している場合には、画像処理ユニット59は即座に検査処理を実行することができるため、効率的に検査を行うことができる。
【0062】
<2. 変形例>
以上、実施の形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0063】
例えば、上記実施の形態では、複数のGPU591を用いて、検査処理を並列に行うようにしているが、例えば、これを複数のCPUに代行させることも考えられる。この場合、例えばCPUとRAMを備えた複数台のコンピュータを用意し、GPU591をCPUで代用し、また、画像処理用メモリ593をRAMで代用すればよい。1台のコンピュータに、複数のCPUを搭載するいわゆるマルチCPUで代用することも考えられる。ただし、GPU591を利用した方が、CPUを利用するよりも、一般的には、欠陥検出に関する画像処理演算を高速に行うことができる。ここで、画像処理の演算速度が高速であるほど、画像転送の効率化が求められるため、画像転送時のオーバーヘッドの影響をできるだけ減らすことが望まれる。すなわち、画像処理ユニット59にCPUを適用する場合よりも、画像処理が高速であるGPU591を適用する場合において、検査遅延の抑制効果が大きくなる。
【0064】
また、上記実施の形態では、画像処理ユニット59のいずれもが、画像処理用メモリ593を備えているが、複数のGPU591が、同じ画像処理用メモリ593にアクセスするようにすることも考えられる。
【0065】
また、上記実施の形態では、基板9を半導体基板としているが、本発明は、フォトマスク用ガラス基板、表示装置用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、プリント基板、または、太陽電池用基板などの各種基板の外観検査を行う場合にも有効である。
【0066】
さらに、上記実施形態および変形例で示した各構成は、矛盾が生じない限りにおいて相互に組み合わせたり、または、省略したりすることができることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0067】
1 外観検査装置
2 ステージ
21 ステージ移動機構
22 Y方向移動機構
221,231 モータ
222 ガイドレール
23 X方向移動機構
232 ガイドレール
24 ステージ昇降機構
3 撮影部
300 撮影領域
31 ラインセンサ
4 制御部
41 検査レシピ作成部
43 検査タスク生成部
5 検査部
51 検査タスク保持部
53 バッファメモリ
55 画像転送部
57 GPU制御部
59 画像処理ユニット
591 GPU
593 画像処理用メモリ
6 欠陥データ処理部
70a〜70d 分割領域
9 基板
91 ダイ
93 非繰り返しパターン領域
95 繰り返しパターン領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7