(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5887148
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】水素発生方法及び水素発生装置
(51)【国際特許分類】
C01B 3/06 20060101AFI20160303BHJP
【FI】
C01B3/06
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-8599(P2012-8599)
(22)【出願日】2012年1月19日
(65)【公開番号】特開2013-147374(P2013-147374A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2015年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】512129217
【氏名又は名称】株式会社TI
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】石川 泰男
【審査官】
森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/084790(WO,A1)
【文献】
特開平02−233502(JP,A)
【文献】
特開2011−213562(JP,A)
【文献】
特開2005−281716(JP,A)
【文献】
特開2011−184260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/00 − 3/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に酸化膜を形成する金属性の反応セルの一方端に開口を設け、反応セルの他方端内に反応剤を収納し、前記他方端を加熱して反応剤の表面から微細粒子を外気に露出して冷却される反応空間に充満せしめ、前記反応セル内の空気を除去するとともに反応セル内を常時減圧状態に維持し、前記反応セル内に所定量の水を供給するようにした水素発生方法。
【請求項2】
金属性の反応セルをステンレス鋼で形成した請求項1記載の水素発生方法。
【請求項3】
前記反応剤は加熱時に溶融塩を作る水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである請求項1記載の水素発生方法。
【請求項4】
前記反応セル内は、−0.5〜−1気圧に維持される請求項1記載の水素発生方法。
【請求項5】
表面に酸化膜を形成する単体金属又は合金からなり、一方端に開口を有する中空の反応セルと、前記反応セルの他方端を加熱する加熱装置と、
前記反応セル内の空気を除去するとともに、反応セル内を常時減圧状態に維持するため
の真空ポンプと、前記反応セル内に所定量の水を供給する水供給手段と、前記反応セルの
加熱される他方端側に設けられ、反応セル内の反応空間に微細粒子を充満せしめる反応剤
とからなり、前記反応セルの一方端は外気に露出して冷却される水素発生装置。
【請求項6】
前記反応セルの一方端の開口部分に取り外し可能に蓋体を設けた請求項5記載の水素発
生装置。
【請求項7】
前記反応セルはステンレス鋼からなる請求項5記載の水素発生装置。
【請求項8】
前記反応剤は、溶融塩を作る水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである請求項5記載
の水素発生装置。
【請求項9】
前記反応セル内は、−0.5〜−1気圧に保持される請求項5記載の水素発生装置。
【請求項10】
前記反応セルは、水槽内に設けた熱交換器に維持され、これにより水素と水蒸気とを分
離する請求項5記載の水素発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素発生装置に関し、特に簡単な構成で水素を発生させることができるとともに、発生した水素を効率よく捕集するための水素発生
方法及び水素発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステンレスの反応容器内にアルカリ金属溶融塩を収納せしめ、この反応容器を500℃前後に加熱し、前記溶融塩の液面から微細粒子を飛散せしめ、この微細粒子群に水蒸気を接触せしめて核変換を起こさせることにより水から水素を採集する技術に関して本件出願人はPCT出願を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】PCT/JP2011/66472
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記出願の技術においては、さらに簡易な構成で水素発生装置を構成したり、発生した水素を効率よく捕集することが望まれていた。
【0005】
本発明はより簡単な構成で水素を発生させることができるとともに、発生した水素を効率よく捕集することができる水素発生
方法及び水素発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る水素発生方法は、
表面に酸化膜を形成する金属性の反応セルの一方端に開口を設け、反応セルの他方端内に反応剤を収納し、前記他方端を加熱して反応剤の表面から微細粒子を外気に露出して冷却される反応空間に充満せしめ、前記反応セル内の空気を除去するとともに反応セル内を常時減圧状態に維持し、前記反応セル内に所定量の水を供給するようにした。
【0007】
更に、金属性の反応セルをステンレス鋼で形成することが好ましい。
【0008】
更にまた、前記反応剤は加熱時に溶融塩を作る水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムであることが好ましい。
【0009】
更にまた前記反応セル内は、−0.5〜−1気圧に維持されることが好ましい。
【0010】
本発明に係る水素発生装置は、
表面に酸化膜を形成する単体金属又は合金からなり、一方端に開口を有する中空の反応セルと、前記反応セルの他方端を加熱する加熱装置と、
前記反応セル内の空気を除去するとともに、反応セル内を常時減圧状態に維持するため
の真空ポンプと、前記反応セル内に所定量の水を供給する水供給手段と、前記反応セルの
加熱される他方端側に設けられ、反応セル内の反応空間に微細粒子を充満せしめる反応剤
とからなり、前記反応セルの一方端は外気に露出して冷却される。
【0011】
また、前記反応セルの一方端の開口部分に取り外し可能に蓋体を設けることが好ましい。
【0012】
更にまた、前記反応セルはステンレス鋼からなることが好ましい。
【0013】
更にまた、前記反応剤は、溶融塩を作る水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムであることが好ましい。
【0014】
更にまた、前記反応セル内は、−0.5〜−1気圧に保持されることが好ましい。
【0015】
更にまた、前記反応セルは、水槽内に設けた熱交換器に維持され、これにより水素と水蒸気とを分離することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る水素発生方法は、簡単な構成で大量の水素が得られる。また、本発明に係る水素発生装置は、反応セルと加熱装置と空気除去装置とを備えているので、より簡易な構成で水素発生装置を構成することが可能となる。
【0020】
また、本発明に係る水素発生装置は、反応セル内に水を供給する水供給手段を更に備えるので、より多くの水素を発生させることが可能となる。
【0021】
また、本発明に係る水素発生装置は、反応セル内に金属元素を供給せしめる反応剤が収納されているので、より多くの水素を発生させることが可能となる。
【0024】
また、本発明に係る水素発生装置は、水槽内に反応セル内で発生した水素を含む気体が導通する熱交換器を更に備えているので、
真空ポンプに例えば水蒸気などが混入することによる
真空ポンプの損傷を防止することが可能となる。
【0026】
また、本発明に係る水素発生装置は、反応セルが一方端に開口を有
しており、前記開口を閉塞する蓋
体を備えるので、反応セル内に収納される反応剤を容易に交換することができるとともに、反応セル内部の洗浄などのメンテナンスも容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る水素発生装置の概略図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態に係る水素発生装置の概略図である。
【
図3】本発明の第3の実施形態に係る水素発生装置の概略図である。
【
図4】本発明の第4の実施形態に係る水素発生装置の概略図である。
【
図5】第3の実施形態に係る水素発生装置で採集されたガスの質量分析結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る水素発生装置の基本態様を示すものである。
【0032】
図1において、密閉性の反応セル1は、加熱装置としての面状ヒータ2(水素バーナによる加熱でもよい)により350℃以上に加熱され、特に500℃程度の温度に加熱されるのが好ましい。
【0033】
反応セル1は、一方端に開口を有する有底筒状に形成された反応セル本体1aと、この開口を閉塞する蓋体1bとを備えており、反応セル本体1aと蓋体1bとは、留め金具1cによって係止され反応セル1内の密封性を保持している。なお、反応セル本体1aと蓋体1bとの間にパッキンを介在させ、反応セル1内の密封性を向上させることも可能である。
【0034】
反応セル本体1aは、金属材料を圧延して有底筒状に形成される。また、圧延の他、中実円柱状の金属材料を軸方向に切削して有底筒状に形成することもできる。
【0035】
また、蓋体1bは反応セル本体1aと同様の金属材料によって形成されており、空気除去手段としての真空ポンプ4が接続される排出管3が形成されている。
【0036】
また、反応セル本体1a及び蓋体1bは、表面に酸化被膜を作る金属材料で構成される。例えば、鉄(Fe)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)等の板状構造体となり得る単体金属、あるいは、ステンレス鋼(SUS304、430、316等)、ニッケル合金(インコネル)、チタン合金(航空機用)、アルミニウム合金(ジェラルミン)、銅合金(黄銅、青銅、白銅)等の合金、更には、鉄に亜鉛(Zn)、スズ(Sn)をメッキしたトタン、ブリキ等が含まれる。
【0037】
これらは、その表面に酸化鉄(Fe2O3、Fe3O4)、酸化銅(CuO)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化クロム(Cr2O3)、酸化チタン(TiO2)、酸化ニッケル(NiO)の酸化膜をそれぞれ形成する。
【0038】
また、合金としてのステンレス鋼は酸化クロムの不動態膜、ニッケル合金は酸化ニッケル(NiO)チタン合金は酸化チタン(TiO2)、アルミニウム合金は酸化アルミニウム(Al2O3)、銅合金又は酸化銅、トタンは酸化亜鉛(ZnO)、ブリキは酸化スズ(SnO2)の膜をそれぞれ形成する。
【0039】
このように構成された本実施形態に係る水素発生装置は、真空ポンプ4を駆動することで、反応セル1内からは操作開始前に完全に空気、特に真空ポンプ4からの作動により空気中の酸素が除去される。反応セル1内が無酸素状態ではあるが、水素が反応セル1内で発生すると、完全な真空ではなくなるので、真空ポンプ4を常時作動させておいて、反応セル1内を−0.5〜−1気圧の減圧状態に保つようにする。
【0040】
このように反応セル1内が無酸素状態で面状ヒータ2によって反応セル1を350℃以上、特に500℃前後に加熱されると、反応セル1の内壁から水素が発生してくる。このとき、反応セル1内に空気中の酸素が存在すると、この酸素が反応容器内壁に当初から存在した酸化膜とは別の新たな酸化膜を生じ、反応を短時間で停止させてしまう。また、反応セル1内が常圧だと発生した水素が内壁付近に滞溜して反応を妨げるが、真空ポンプ4により減圧すると、発生した水素がその内壁から除去され、反応が活性化する。
【0041】
図1の第1の実施形態に係る水素発生装置においては、反応セル1内に水は供給されていないが、
図2に示す第2の実施形態に係る水素発生装置においては、同様の材料で形成された反応セル1の蓋体1bに水又は水蒸気を供給する水供給手段である水供給パイプ5が取付けられている。ここから水を反応セル1内に供給すると、水は直ちに120℃程度の水蒸気となり、反応セル1内の水蒸気は、反応セル1の内壁に接触し電離して水素を放出する。したがって、発生する水素の量は第1の実施形態に係る水素発生装置の場合に比較して増大する。
【0042】
さらに、
図3に示す第3の実施形態に係る水素発生装置においては、同様の材料で形成された反応セル1内に水を供給するとともに、反応剤6を収納したものである。反応剤6としては、300℃以上で溶融塩を作る水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)が最も好ましい。固体反応剤としては、チタン酸カリウム(K2TiO3)、チタン酸ナトリウム(Na2TiO3)が好ましい。これらの反応剤は大きな親水性を示す。すなわち、反応剤はアルカリ金属と酸素を含むものであり、第1の実施形態に係る水素発生装置と比較して著しく水素発生量は増大し、第2の実施形態に係る水素発生装置よりも単位時間当りの水素発生量は多い。この場合反応剤6表面からは、ナノオーダーの目には見えない無数の微細粒子が飛散し、この微細粒子が反応セル1の内壁と反応して水素が発生する。
【0043】
反応剤6は、面状ヒータ2で加熱されることにより300℃以上で溶融塩となり、その液面から無数のナノオーダーの微細粒子が反応セル1の中間部分(反応空間)に充満している。また、反応剤としては、500℃程度では固体のチタン酸カリウム(K2TiO3)、チタン酸ナトリウム(Na2TiO3)でもよい。
【0044】
次に、
図4を参照して上述した第1〜第3の実施形態に係る水素発生装置を具体化した第4の実施形態に係る水素発生装置10について説明を行う。
【0045】
図4に示すように、本実施形態に係る水素発生装置10は、反応セル1を横置きに4本配列して構成されている。各反応セル1は、上述した第3の実施形態に係る水素発生装置と同様の構成をなしており、有底筒状の反応セル本体1aと、反応セル本体1aの一方端を閉塞する蓋体1bとを備え、内部に水酸化ナトリウム(NaOH)が反応剤6として収納されている。なお、反応セル1は、内部の反応剤6を適宜面状ヒータ4側に送り出すことができるように面状ヒータ4側が下となるように水平から若干傾いて配置されている。さらに、反応剤6は、蓋体1bを取り外すことで補充することができるように構成されている。
【0046】
反応セル1の水供給パイプ5は、水タンク11に其々接続されており、バルブ12の開閉によって反応セル1内に所定の量の水を供給することができるように構成されている。バルブ12は、手動式であっても自動式であっても構わないが、自動式である場合には、コントローラ(図示せず)による電子制御によって開閉することができる。
【0047】
また、反応セル1は、
他方端に其々面状ヒータ4が取り付けられており、各反応セル1及びその内部に収納された反応剤6を其々加熱している。また面状ヒータ4は、加熱炉14内に収納されている。面状ヒータ4の加熱温度は、加熱炉14に取り付けられたヒータコントローラ15によって所定の温度に制御されている。また、反応セル1の
一方端は、加熱炉14から露出しており外気によって冷却されている。この外部に露出した部分が冷却されることで、当該部位の内部で反応が盛んに行われる。
【0048】
排出管3は、其々1次タンク13に接続されており、反応セル1内で発生した水素を含む気体を一時的に貯蔵している。なお、反応セル1内で発生する気体は、水素や供給した水が蒸発して生じた水蒸気のほか、反応剤6として収納した水酸化ナトリウムの微粒子または気体状の水酸化ナトリウムが含まれている。
【0049】
排出管3は、反応セル1内から空気を除去するために真空ポンプ4が接続されているが、上述したように、反応セル1内で発生した気体は水蒸気を含むため、そのまま真空ポンプ4を駆動させると、真空ポンプ4内に水蒸気が混入し真空ポンプ4を損傷してしまう。このため、真空ポンプ4の保護のために、本実施形態に係る水素発生装置10は、排出管3は、分離手段16を介して真空ポンプ4と接続されている。
【0050】
分離手段16は、水を収納する水槽と該水槽内に水没される熱交換機17とを備えている。熱交換機17は、一次タンク13と接続された第1のチャンバ17aと、真空ポンプ4に接続される第2のチャンバ17bとを備えている。また、第1のチャンバ17aは第2のチャンバ17bの下側に位置するように配置されており、第1のチャンバ17aと第2のチャンバ17bとは冷却管17cによって互いに接続されている。
【0051】
このように構成された熱交換器17は、一次タンク13から排出された気体が第1のチャンバ17aから冷却管17cを介して第2のチャンバ17bに導通される。該気体は冷却管17cを通過する際、水槽16に満たされた水によって冷却され、気体内の水蒸気が水となる。第1のチャンバ17aは、第2のチャンバ17bの下側に配置されているので、冷却管17cで水となった水蒸気は第1のチャンバ17aに落下して捕集される。なお、第1のチャンバ17aにはドレン17dが形成されており、第1のチャンバ17aに溜まった水を適宜排出することができる。このように、冷却管17cを通過した気体は、水蒸気が除去されるので、真空ポンプ4の損傷を防止することができる。さらに、ドレン17dは水タンク11と接続するように構成しても構わない。この場合、一次タンク13から排出された気体には水酸化ナトリウムの微粒子または気体状の水酸化ナトリウムが含まれているが、これらは再度反応セル1内に導入することで反応剤6として用いることができるので、特にこれらを除去する装置を設ける必要はない。
【0052】
また、反応セル1内で発生した気体は、水酸化ナトリウムの微粒子又は気体状の水酸化ナトリウムが含まれるため、水素のみを取り出すためには、水素とこれらを分離する必要がある。本実施形態に係る水素発生装置10は、真空ポンプ4の後段に除去漕18を備えている。除去漕18は内部に水が満たされたタンクであり、真空ポンプ4によって引かれた気体を水に通している。このように真空ポンプ4によって引かれた気体を水に通すことで、気体内の水酸化ナトリウムを水に溶かし水素のみを取り出すことができる。なお、水素は乾燥機19を介して取り出される。
【0053】
次に、
図5を参照して具体的な実験データを開示しながら本実施形態に係る水素発生装置10について説明する。
【0054】
1.仕 様
1)反応セルの寸法
直径10cm 長さ40cm
2)材質
SUS304(18%Cr−8Ni残Fe)
内壁にSiO2、Fe2O3、Cr2O3、MnO2、CuOを均等に混合した塗
料を塗布した。
3)アルミナ(Al2O3)のるつぼに反応剤としてカセイソーダ(NaOH)を
1mol入れて反応炉の底部内に設置した。
4)温度
底部を500〜520℃に加熱した。
5)反応セルの内壁の塗料と反応剤を取り換えずに一連の実験を2度(A、B実験)行った。また、減圧にしないで正圧での実験(C実験)を1度行った。
【0055】
2.結 果
1)A実験
・1日目 注水量 699cc
ドレン回収量 653cc
実注水量 46cc
H2発生量 366l
・2日目 注水量 804cc
ドレン回収量 698cc
実注水量 106cc
H2発生量 701l
・3日目 注水量 787cc
ドレン回収量 736cc
実注水量 51cc
H2発生量 323l
A実験では、上述のように3日間行い(1〜3回)、その総計は以下の通りであり、A実験終了後NaOHの使用量と反応容器の増加した重量とを測定した。
・総計
総注水量 2,290cc
総ドレン回収量 2,087cc
総実注水量 203cc
NaOH使用量 27.7g
総H2発生量 1,417l
反応容器の増加重量 15g
2)B実験
・1日目 注水量 431cc
ドレン回収量 428cc
実注水量 3cc
H2発生量 49l
・2日目 注水量 372cc
ドレン回収量 342cc
実注水量 30cc
H2発生量 220l
・3日目 注水量 398cc
ドレン回収量 374cc
実注水量 24cc
H2発生量 204l
・4日目 注水量 451cc
ドレン回収量 418cc
実注水量 33cc
H2発生量 278l
・5日目 注水量 788cc
ドレン回収量 761cc
実注水量 27cc
H2発生量 237l
・6日目 注水量 360cc
ドレン回収量 344cc
実注水量 16cc
H2発生量 99l
・総計
総注水量 2,800cc
総ドレン回収量 2,667cc
総実注水量 133cc
総H2発生量 1,087l
NaOH使用量 16g
反応容器の増加重量 10g
3)C実験
反応容器内を常圧とし、水タンク11から0.1cc/min〜0.5cc/minの水を供給し、真空ポンプ4は停止したままとした。
・総計
実注水量 178cc
総ドレン回収量 163cc
実注水量 15cc
総H2発生量 8l
反応容器内を開けると、内壁が真っ赤に錆びていた。
【0056】
反応セル1内で発生した気体を質量分析器で分析したところ、
図5に示すような結果となり、水素が95%以上であり、酸素は0.14%と殆んど無視できる程であった。このように、本実施形態に係る水素発生装置10は、簡単な構成で大量の水素を得られることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の方法及び装置は水素ステーション用、船舶用、水素発電用又はエネファーム用の水素発生装置として利用され得る。
【符号の説明】
【0058】
1 反応セル,
1a 反応セル本体,
1b 蓋体,
2 面状ヒータ(加熱装置),
4 真空ポンプ(空気除去装置),
6 反応剤,
10 水素発生装置,
17 熱交換器。