特許第5887150号(P5887150)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5887150
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】バスバー
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20160303BHJP
   H05K 7/06 20060101ALI20160303BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20160303BHJP
【FI】
   H02G3/16
   H05K7/06 C
   H01R12/71
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-13883(P2012-13883)
(22)【出願日】2012年1月26日
(65)【公開番号】特開2013-153622(P2013-153622A)
(43)【公開日】2013年8月8日
【審査請求日】2014年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100137604
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 淳
(72)【発明者】
【氏名】松前 太郎
(72)【発明者】
【氏名】永井 勇冴
【審査官】 神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−035304(JP,A)
【文献】 特開平06−276648(JP,A)
【文献】 特開2003−079026(JP,A)
【文献】 特開2011−254647(JP,A)
【文献】 特表2006−514772(JP,A)
【文献】 特開2000−058165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
H01R 12/71
H05K 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に実装され、前記基板の外部と電気的に接続するバスバーであって、
ベース部と、
前記ベース部から突設する導電性のピン本体と、
を備え、
前記ベース部は、
前記基板と前記ベース部とを固定する固定部材が締結される固定部と、
前記固定部から延設され、前記基板に係合して前記バスバーの転倒を防止する係合部と、
を備え
前記係合部は、前記固定部から、前記ピン本体の突設方向とは逆側に延設されることを特徴とするバスバー。
【請求項2】
前記ピン本体から連通すると共に前記基板に電気的に接続されるピン足を備え、
前記係合部が前記基板に係合されたとき、前記ピン足が前記基板に密着することを特徴とする請求項1に記載のバスバー。
【請求項3】
前記ピン本体は、前記基板と平行に前記ベース部から突設すると共に前記ベース部の上方へと屈曲することを特徴とする請求項1又は2に記載のバスバー。
【請求項4】
前記ピン本体から連通すると共に前記基板に電気的に接続されるピン足を備え、
前記ベース部は、前記ピン本体と、前記ピン足とがクランク状に連結されるバスバーピンを、前記クランク部において所定の間隔で固定し、
前記固定部は、前記ベース部の長手方向の端部に一対形成され、
前記係合部は、一対の前記固定部からそれぞれ延設されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のバスバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に実装されて電気接続を行うバスバーに関する。
【背景技術】
【0002】
電子回路を搭載した基板において、基板と基板との間で電力や信号を授受するために、金属製のバスバーを基板間に実装することが行われている。このように基板間にバスバーを接続する方式として、基板の表面にバスバーの一端を半田付けする表面実装型のバスバーが知られている。バスバーは同時に複数実装されるため、複数のバスバーを絶縁性の樹脂等により一体化される(引用文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−35304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
樹脂モールドによって複数のバスバーが一体化されたモジュールを基板に実装するときに、バスバーの倒れを防止するための樹脂の足を設けることが一般に行われている。
【0005】
この場合、樹脂の足を基板上に配置するため、バスバーを基板に配置する場合の位置に制約が発生していた。また、樹脂の足を設けられない場合は、バスバーを基板上に実装する作業に別途治具が必要になり、作業性が低下していた。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、基板に実装する際の作業性を向上できるバスバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基板に実装されて基板の外部と電気的に接続するバスバーであって、ベース部と、ベース部から突設する導電性のピン本体と、を備え、ベース部は、基板とベース部とを固定する固定部材が締結される固定部と、固定部から延設され、基板に係合してバスバーの転倒を防止する係合部と、を備え、係合部は、固定部から、ピン本体の突設方向とは逆側に延設されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、基板とベース部とが固定される固定部と、基板に係合してバスバーの転倒を防止する係合部とを備え、これら固定部と係合部との二つでバスバーを支持することによって、ピン本体を備えるバスバーの転倒が防止され、バスバーを基板に実装する作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態のバスバーが実装される回路基板の説明図である。
図2】本発明の実施形態のバスバーの斜視図である。
図3】本発明の実施形態のバスバーの側面図である。
図4】本発明の実施形態のバスバーの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態のバスバー10が実装される回路基板50の説明図である。図1(A)は、回路基板50のバスバー10が実装されている側の斜視図であり、図1(B)は、回路基板50のバスバー10が実装されている側とは逆側の斜視図である。
【0012】
回路基板50は、基板40と、基板40上に実装される複数の回路部品41と、バスバー10とが実装される。
【0013】
バスバー10は、基板40に対して垂直方向の上方に延びる複数のバスバーピン11を備える。バスバーピン11は、基板40の上方に例えば他の基板や機能部品を配置するときに、配置された基板や機能部品に電気的に接続して、これらと基板40とで互いに信号や電力を送受信する目的で設けられる。
【0014】
バスバー10には、複数のバスバーピン11がベース部20に固定されて構成されている。ベース部20は、例えば非導電性の樹脂等によって構成される。樹脂製のベース部20によって複数のバスバーピン11が一体にモールドされて、バスバー10が構成される。
【0015】
バスバーピン11は、銅やニッケル等の導電性の金属により構成される。バスバーピン11には、半田付けを行うのに適した表面処理がなされている。
【0016】
バスバーピン11は、ベース部20から基板40の垂直方向上側に向かって延設されるピン本体14と、ベース部20から基板40側に延設されて基板40に半田付けによって接合されるピン足12と、を備える。
【0017】
基板40には、ピン足12に対応する位置に導電性のランド42が複数配設される。また、基板40には、バスバー10のベース部20の両端部に形成される固定部25に対応する位置に、固定穴45が貫通して形成されている。また、基板40には、ベース部20からピン足12の側に基板40と略平行方向に延設するスタンド部26の下方に突設する係合部27に対応する位置に、係合穴46が貫通して形成されている。
【0018】
基板40は、バスバー10を固定穴45及び係合穴46によって支持する。この詳細は後述する。
【0019】
図2は、本発明の実施形態のバスバー10の斜視図である。
【0020】
バスバー10は、複数のバスバーピン11が所定の間隔で並列に配置されている。ベース部20はこれらバスバーピン11を固定する。ベース部20は、横長の直方体形状を有し、その長手方向の両端側に固定部25、スタンド部26が形成される。
【0021】
バスバー10は、16本のバスバーピン11からなる第1グループ31と、12本のバスバーピン11からなる第2グループ32とを備える。第1グループ31又は第2グループ32は、各バスバーピン11を等間隔に配置する。これら第1グループ31と第2グループ32との間には中間部33が存在する。中間部33は、第1グループ31と第2グループ32とを、バスバーピン11の配列よりも大きな間隔を設けている。
【0022】
中間部33は、下方に延設されて基板40に接する中間足34を備える。中間足34は、バスバー10の中間部分でバスバー10を下側から支持することで、バスバー10が長手方向の下方に撓んだり、衝撃等によってベース部20が折損することを防止する。なお、中間部33には、折損を防止するためにベース部20の厚みを増した補強部33aが形成されている。
【0023】
バスバーピン11は、上方に突起すると共にその先端部が僅かに縮径されたピン本体14と、ピン本体14の下方から基板40に平行の方向に屈曲されて延設されと共に、所定の長さの後に基板40に向かって下方に屈曲されたクランク部13と、クランク部13の下側端部から基板40に略平行の面を有するピン足12とから構成される。
【0024】
ベース部20は樹脂等から構成されている。ベース部20は、バスバーピン11をクランク部13の部分で所定の間隔にモールドして固定する。ピン本体14とピン足12とは、クランク部13において、互いにベース部20を挟んで反対方向に突設される。
【0025】
バスバーピン11は、このような構成により次のような特性を有する。まずピン本体14は、ベース部20において基板40と水平方向にクランク部13が延びるので、クランク部13が弾性変形することによって、またピン本体14自体が弾性変形することによって、上下方向または前後方向の捩れが許容される。これにより、バスバーピン11を他の基板や機能部品に接合するときに、弾性によってピン本体14とピン穴等の位置のズレを許容する。また、回路基板50に振動や衝撃が加わったときには、弾性によって他の基板や機能部品との応力を緩衝できる。
【0026】
また、ピン足12は、ベース部20から基板40と水平方向にクランク部13が延びるのでこのクランク部13が弾性変形することにより、上下方向または前後方向の捩れが許容される。これによりランド42とピン足12とが弾性によって押し付けられ、ピン足12の位置に多少のずれがあったとしても、弾性によってランド42とピン足12とが密着する。
【0027】
ベース部20の長手方向の両端には、それぞれ固定部25が形成されている。固定部25にはネジ穴35が貫通する。固定部25には、前方(クランク部13からピン足12が延設する側)に延設されるスタンド部26が形成される。スタンド部26には、下方に係合部27が延設されている。係合部27の下端部には、前方に突設する突起部27aが突設される。
【0028】
図3は、本発明の実施形態のバスバー10の側面の説明図である。
【0029】
ベース部20には、前述のように、固定部25とスタンド部26とが形成されている。
【0030】
固定部25は、下方にネジ固定突部36が突設されている。ネジ固定突部36は、ベース部20の固定部25の底部から基板40側に向かって突設し、その内部にネジ穴35が貫通する。ネジ固定突部36は、バスバー10を基板40に実装するときに、基板40の固定穴45に挿入される。
【0031】
スタンド部26は、その下方に係合部27と突起部27aとが形成されている。係合部27は、バスバー10を基板40に実装するときに、基板40の係合穴46に挿入される。係合部27が係合穴46に挿入されているときに、突起部27aが係合穴46の底側の前方端部に係合する。
【0032】
図4は、本発明の実施形態のバスバー10を基板40に実装したときの側方断面図である。
【0033】
バスバー10を基板40に実装するときは、ネジ固定突部36と係合部27とが、それぞれ、基板40に形成されている固定穴45と係合穴46とに挿入される。
【0034】
このとき、まず係合部27の突起部27aを係合穴46に斜め方向に挿入して突起部27aを係合穴46の底部に係合させてから、バスバー10を基板に平行となるように押さえ付け、ネジ固定突部36を固定穴45に挿入する。
【0035】
このような構成によって、バスバー10は、ネジ固定突部36と係合部27とが、それぞれ固定穴45と係合穴46とに挿入されて基板40に対する位置が規定されるので、半田付け又はネジ止めを行うことなく、バスバー10が基板40に対して密着して固定される。
【0036】
これにより、バスバー10を基板40に設置したときに、バスバー10が転倒することなく自立するので、バスバーピン11を基板40に半田付けする作業や、バスバー10と基板40とをネジ固定部45でネジを介してネジ止めにより固定する作業における作業性が向上する。
【0037】
以上のように、本発明の実施形態のバスバーは、ベース部20に、ベース部20から突設する導電性のピン本体14と、固定部材としてのネジが締結される固定部25と、固定部25から延設され、基板40に係合してバスバー10の転倒を防止する係合部27とを備えている。
【0038】
このような構成によって、固定部25と、係合部27とによって、バスバー10の転倒が防止されるので、バスバー10を基板に実装するときにバスバー10が転倒することを防止するための処置が必要なくなり、半田付け作業やネジ止め作業が容易となるので、バスバー10を基板に実装するときの作業性が向上する。
【0039】
またバスバーピン11が金属製であり重量があることから、バスバー10の重心は図4に示す点A付近となり、この点Aから図4に示す点線のように下方に向かう重力が働く。このとき、突起部27aが係合穴46の底側端部に係合しているので、バスバー10において、突起部27aよりもピン本体14側で基板40に接する部分(ピン足12、固定部25)では、下向きバスバー10の重力が働く。
【0040】
この下向きの重力は、バスバー10を基板40に押さえ付ける力として働くので、バスバー10のピン足12が基板40のランド42を押さえ付ける。このため、ピン足12とランド42とが密着されて、半田付けの作業性や半田付けの確実性が向上し、半田不良を防止できる。
【0041】
また、バスバー10の固定部25が、基板40の固定穴45を押さえ付ける。このため、固定部25と固定穴45とが密着されて、固定穴45にネジ止めする作業性が向上する。
【0042】
また、本実施形態のバスバー10では、バスバー10と基板40と重力により密着する部位が、ピン本体14よりも手前側(ピン足12側)で、ピン本体14の直下には基板40が存在する必要がない。従って、基板40の辺の端部にバスバーピン11を配置することができる。また、バスバーピン11を配置する位置に制約がなくなり、基板40のレイアウトの自由度が向上する。
【0043】
なお、本実施形態では、バスバーピン11は、上方に向かうピン本体14と、クランク部13と、ピン足12とで構成される例を説明したが、このような構造に限られない。例えば、ピン本体14がベース部20から基板と平行方向に延設されていてもよい。また、ピン本体14の先端部は、接続先に合わせて任意の形状(例えば平板、円筒)に形成されていてもよい。
【0044】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0045】
10 バスバー
11 バスバーピン
12 ピン足
13 クランク部
14 ピン本体
20 ベース部
25 ネジ固定部
26 スタンド部
27 スタンド足
27a 突起部
35 ネジ穴
36 ネジ固定突部
40 基板
42 ランド
45 固定穴
46 係合穴
図1
図2
図3
図4