特許第5887173号(P5887173)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5887173球状化粒子製造装置及び球状化粒子製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5887173
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】球状化粒子製造装置及び球状化粒子製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 2/16 20060101AFI20160303BHJP
   B01J 2/00 20060101ALI20160303BHJP
   C03B 5/183 20060101ALI20160303BHJP
   C03B 19/10 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
   B01J2/16
   B01J2/00 A
   C03B5/183
   C03B19/10 D
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-68244(P2012-68244)
(22)【出願日】2012年3月23日
(65)【公開番号】特開2013-198856(P2013-198856A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2014年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231235
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】萩原 義之
(72)【発明者】
【氏名】飯野 公夫
(72)【発明者】
【氏名】星野 哲也
【審査官】 原 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−325532(JP,A)
【文献】 特開平11−071107(JP,A)
【文献】 特開昭54−029318(JP,A)
【文献】 特開2003−187947(JP,A)
【文献】 特開2010−036097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 2/00−2/30
C03B 5/00−5/44,19/10
B22F 9/00−9/04
F27B 1/00−21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料粉体を溶融させて、粉体表面を球状化することで球状化粒子を生成する球状化炉と、
前記球状化炉の上端に設けられ、該球状化炉に供給される前記原料粉体を該球状化炉内に分散させる複数の原料分散孔と、
前記球状化炉の上端と該球状化炉の底部との間に位置する該球状化炉の側壁の外側に設けられ、前記球状化炉の側壁の外面により内壁の一部が形成される燃焼室と、
前記燃焼室に設けられ、前記燃焼室内に火炎を形成するバーナと、
前記燃焼室と前記球状化炉とを連通させるように前記球状化炉の側壁を貫通しており、前記バーナにより生成された前記燃焼室内の燃焼ガスを前記球状化炉内に導く複数の燃焼ガス導入孔と、
を有することを特徴とする球状化粒子製造装置。
【請求項2】
前記複数の燃焼ガス導入孔は、前記火炎から離間した位置に配置することを特徴とする請求項1記載の球状化粒子製造装置。
【請求項3】
前記球状化炉は、円筒形状とされており、
前記燃焼室を、前記球状化炉の上端と該球状化炉の底部との間に位置する該球状化炉の側壁の外面全体を露出するように設け、
前記複数の燃焼ガス導入孔を、前記球状化炉の周方向及び該球状化炉の延在方向に配置したことを特徴とする請求項1または2記載の球状化粒子製造装置。
【請求項4】
前記バーナを複数有し、
前記球状化炉を介して、前記バーナを対向配置させたことを特徴とする請求項1ないし3のうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置。
【請求項5】
前記複数の燃焼ガス導入孔の延在方向は、前記球状化炉の法線方向と同じ方向であることを特徴とする請求項3または4記載の球状化粒子製造装置。
【請求項6】
前記複数の燃焼ガス導入孔の延在方向は、前記球状化炉の接線方向と同じ方向であることを特徴とする請求項3または4記載の球状化粒子製造装置。
【請求項7】
前記複数の燃焼ガス導入孔は、前記燃焼ガスを斜め下方に供給可能な構造であることを特徴とする請求項3または4記載の球状化粒子製造装置。
【請求項8】
前記球状化炉の側壁が、耐火物で構成されていることを特徴とする請求項1ないし7のうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置。
【請求項9】
前記球状化炉の側壁及び/または前記燃焼室が、水冷ジャケット構造を有することを特徴とする請求項1ないし8のうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置。
【請求項10】
記球状化炉の底部に位置する部分に設けられ、該球状化炉内に送風ガスを導入する送風ガス導入部と、
記球状化炉の底部に位置する部分に、前記送風ガス導入部と対向するように設けられ、前記球状化炉から前記球状化粒子を導出する球状化粒子導出部と、
前記球状化粒子導出部から導出された前記球状化粒子を捕集する球状化粒子捕集装置と、
を有することを特徴とする請求項1ないし9のうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置。
【請求項11】
前記球状化粒子捕集装置は、前記球状化粒子導出部と接続され、前記球状化粒子のうち、第1の粒子径とされた粒子を捕集するサイクロンと、
前記サイクロンの下流に配置され、前記球状化粒子のうち、前記第1の粒子径よりも小さい第2の粒子径とされた粒子を捕集するバグフィルターと、
前記サイクロンと前記バグフィルターとを接続し、かつ前記球状化粒子の一部を前記バグフィルターに輸送する球状化粒子輸送ラインと、
を有することを特徴とする請求項10記載の球状化粒子製造装置。
【請求項12】
前記球状化粒子輸送ラインに、冷却ガスを導入する冷却ガス導入口と、
前記冷却ガス導入口に設けられ、前記球状化粒子輸送ラインに導入される前記冷却ガスの導入量を調整する冷却ガス調整部と、
を有することを特徴とする請求項11記載の球状化粒子製造装置。
【請求項13】
請求項1ないし12のうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置を用いた球状化粒子製造方法であって、
前記バーナにより生成された前記燃焼室内に存在する前記燃焼ガスを前記球状化炉内に導く工程と、
複数の前記原料分散孔を介して、前記球状化炉内に前記原料粉体を分散させ、前記燃焼ガスにより、分散された前記原料粉体を溶融させることで、前記球状化粒子を生成する工程と、
を含むことを特徴とする球状化粒子製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球状化粒子を製造する球状化粒子製造装置及び球状化粒子製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無機酸化物の球状化粒子を製造する方法として、各種方法が知られているが、生産性や経済性の面から工業的には火炎法が広く採用されている。
火炎法は、燃料ガスと支燃性ガス(助燃ガス)とをバーナから噴出させて形成した火炎中に原料粉体を投入し、火炎の高温雰囲気内で原料粉体を溶融、或いは半溶融させて、表面張力により粉体表面を球状化させることで球状粒子を得る方法である(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0003】
図7は、特許文献3に記載された球状化粒子製造用バーナの先端部を拡大した断面図であり、図8は、図7に示す球状化粒子製造用バーナの先端の平面図である。
ここで、図7及び図8を参照して、従来の球状化粒子製造用バーナ100の構成について説明する。
従来の球状粒子製造用バーナ100は、キャリアガスに搬送された原料粉末を供給する原料粉末供給路101と、原料粉末供給路101の外側の円周上に配置された複数の供給路からなる燃料ガス供給路102と、燃料ガス供給路102の外側の円周上に配置された複数の供給路からなる旋回酸素供給路103と、旋回酸素供給路103の外側の円周上に配置された複数の供給路からなる直進酸素供給路104と、直進酸素供給路104の外側の円周上に配置された冷却水通路105a,105bと、先端側に拡径した燃焼室106と、を有する。
【0004】
原料粉末供給路101の先端には、燃焼室106の底部108に形成された複数の噴出口からなる原料粉末噴出口107が設けられている。また、燃料ガス供給路102の各供給路の先端には、燃料ガス噴出口109が設けられている。
旋回酸素供給路103の各供給路の先端には、旋回酸素噴出口110が設けられている。また、直進酸素供給路104の各供給路の先端には、直進酸素噴出口111が設けられている。
【0005】
図9は、特許文献3に開示された従来の球状化粒子製造装置の概略構成を示す図である。
ここで、図9を参照して、従来の球状化粒子製造装置120について説明する。
従来の球状化粒子製造装置120は、原料フィーダー121と、キャリアガス供給経路123と、バーナ124と、酸素供給設備126と、LPG供給設備127と、球状化炉128と、空気供給経路131と、サイクロン132と、バグフィルター133と、を有する。火炎を形成するバーナ124の先端は、球状化炉128内に収容されている。つまり、球状化炉128内に、火炎が形成される。
【0006】
上記構成とされた従来の球状化粒子製造装置120では、原料粉体が原料フィーダー121から切り出され、原料粉体がキャリアガス供給経路123から供給されるキャリアガスに同伴されてバーナ124に搬送される。
【0007】
バーナ124には、酸素供給設備126からの酸素が供給されると共に、LPG供給設備127から燃焼ガスが供給されており、球状化炉128内に形成される火炎中を原料粉体が通過することで、球状化粒子が生成される。
その後、球状化粒子は、空気供給経路131を介して球状化炉128の底部に導入された空気により温度希釈され、後段に配置されたサイクロン132及びバグフィルター133で回収される。
また、上記燃料ガスとしては、メタンやプロパンを主成分とするガスが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭58−145613号公報
【特許文献2】特許第3331491号公報
【特許文献3】特許第3312228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、メタンやプロパンを主成分とする燃料ガスの燃焼反応により形成される火炎のうち、高温雰囲気内で原料粉体を溶融する火炎法では、火炎中において原料粉体を球状化する過程において未燃の燃料が発生するため、燃料起因のカーボンが球状化粒子に付着してしまうという問題があった。
【0010】
例えば、半導体チップの封止樹脂に球状化粒子としてシリカ粒子を混合させる場合で、かつシリカ粒子にカーボンが付着している場合、カーボンが導電性を有するため、半導体チップに形成された配線間においてショートが発生してしまう。
【0011】
また、例えば、カーボンが付着した球状化粒子をLED等の封止材に用いる場合、カーボンが黒色異物として光学的な異物となるため望ましくない。
上記理由により、球状化粒子にカーボンが付着することは好ましくない。
【0012】
そこで、本発明は、燃焼ガスに起因するカーボンの球状化粒子への付着を抑制可能な球状化粒子製造装置及び球状化粒子製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明によれば、原料粉体を溶融させて、粉体表面を球状化することで球状化粒子を生成する球状化炉と、前記球状化炉の上端に設けられ、該球状化炉に供給される前記原料粉体を該球状化炉内に分散させる複数の原料分散孔と、前記球状化炉の上端と該球状化炉の底部との間に位置する該球状化炉の側壁の外側に設けられ、前記球状化炉の側壁の外面により内壁の一部が形成される燃焼室と、前記燃焼室に設けられ、前記燃焼室内に火炎を形成するバーナと、前記燃焼室と前記球状化炉とを連通させるように前記球状化炉の側壁を貫通しており、前記バーナにより生成された前記燃焼室内の燃焼ガスを前記球状化炉内に導く複数の燃焼ガス導入孔と、を有することを特徴とする球状化粒子製造装置が提供される。
【0014】
また、請求項2に係る発明によれば、前記複数の燃焼ガス導入孔は、前記火炎から離間した位置に配置することを特徴とする請求項1記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0015】
また、請求項3に係る発明によれば、前記球状化炉は、円筒形状とされており、前記燃焼室を、前記球状化炉の上端と該球状化炉の底部との間に位置する該球状化炉の側壁の外面全体を露出するように設け、前記複数の燃焼ガス導入孔を、前記球状化炉の周方向及び該球状化炉の延在方向に配置したことを特徴とする請求項1または2記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0016】
また、請求項4に係る発明によれば、前記バーナを複数有し、前記球状化炉を介して、前記バーナを対向配置させたことを特徴とする請求項1ないし3のうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0017】
また、請求項5に係る発明によれば、前記複数の燃焼ガス導入孔の延在方向は、前記球状化炉の法線方向と同じ方向であることを特徴とする請求項3または4記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0018】
また、請求項6に係る発明によれば、前記複数の燃焼ガス導入孔の延在方向は、前記球状化炉の接線方向と同じ方向であることを特徴とする請求項3または4記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0019】
また、請求項7に係る発明によれば、前記複数の燃焼ガス導入孔は、前記燃焼ガスを斜め下方に供給可能な構造であることを特徴とする請求項3または4記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0020】
また、請求項8に係る発明によれば、前記球状化炉の側壁が、耐火物で構成されていることを特徴とする請求項1ないし7のうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0021】
また、請求項9に係る発明によれば、前記球状化炉の側壁及び/または前記燃焼室が、水冷ジャケット構造を有することを特徴とする請求項1ないし8のうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0022】
また、請求項10に係る発明によれば、前記球状化炉の底部に位置する部分に設けられ、該球状化炉内に送風ガスを導入する送風ガス導入部と、前記球状化炉の底部に位置する部分に、前記送風ガス導入部と対向するように設けられ、前記球状化炉から前記球状化粒子を導出する球状化粒子導出部と、前記球状化粒子導出部から導出された前記球状化粒子を捕集する球状化粒子捕集装置と、を有することを特徴とする請求項1ないし9のうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0023】
また、請求項11に係る発明によれば、前記球状化粒子捕集装置は、前記球状化粒子導出部と接続され、前記球状化粒子のうち、第1の粒子径とされた粒子を捕集するサイクロンと、前記サイクロンの下流に配置され、前記球状化粒子のうち、前記第1の粒子径よりも小さい第2の粒子径とされた粒子を捕集するバグフィルターと、前記サイクロンと前記バグフィルターとを接続し、かつ前記球状化粒子の一部を前記バグフィルターに輸送する球状化粒子輸送ラインと、を有することを特徴とする請求項10記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0024】
また、請求項12に係る発明によれば、前記球状化粒子輸送ラインに、冷却ガスを導入する冷却ガス導入口と、前記球状化粒子輸送ラインに導入される前記冷却ガスの導入量を調整する冷却ガス調整部と、を有することを特徴とする請求項11記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0025】
また、請求項13に係る発明によれば、請求項1ないし12のうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置を用いた球状化粒子製造方法であって、前記バーナにより生成された前記燃焼室内に存在する前記燃焼ガスを前記球状化炉内に導く工程と、複数の前記原料分散孔を介して、前記球状化炉内に前記原料粉体を分散させ、前記燃焼ガスにより、分散された前記原料粉体を溶融させることで、前記球状化粒子を生成する工程と、を含むことを特徴とする球状化粒子製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0026】
本発明の球状化粒子製造装置によれば、球状化炉の側壁の外面を露出する燃焼室と、燃焼室に設けられ、燃焼室内に火炎を形成するバーナと、燃焼室が露出する球状化炉の側壁を貫通し、バーナにより生成された燃焼室内の燃焼ガスを球状化炉内に導く複数の燃焼ガス導入孔と、を有することにより、球状化炉の外側に設けられた燃焼室内においてバーナにより燃料ガスを十分に燃焼させて、未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを生成することが可能となる。
【0027】
これにより、複数の燃焼ガス導入孔を介して、球状化炉内に未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを供給し、未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスにより、球状化炉内に分散された原料粉体を溶融させて球状化粒子を生成することが可能となるので、従来よりも球状化粒子に付着するカーボンの量を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施の形態に係る球状化粒子製造装置の概略構成を示す模式図である。
図2図1に示す球状化炉、燃焼室、及び一対のバーナのA−A線方向の断面図である。
図3図2に示す球状化炉、燃焼室、及び一対のバーナのB−B線方向の断面図である。
図4】燃焼ガス導入孔の他の例を説明するための断面図である。
図5図2に示す構造体の変形例を説明するための断面図である。
図6図2に示す球状化炉及び燃焼室の他の例を示す断面図である。
図7】特許文献3に記載された球状化粒子製造用バーナの先端部を拡大した断面図である。
図8図7に示す球状化粒子製造用バーナの先端の平面図である。
図9】特許文献3に開示された従来の球状化粒子製造装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の球状化粒子製造装置の寸法関係とは異なる場合がある。
【0030】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る球状化粒子製造装置の概略構成を示す模式図である。図1において、Y方向は、球状化炉17の延在方向(鉛直方向)を示しており、X方向は、Y方向に対して直交する面方向を示している。
【0031】
図1を参照するに、本実施の形態の球状化粒子製造装置10は、キャリアガス供給源11と、支燃性ガス供給源12と、燃料ガス供給源13と、原料フィーダー15と、球状化炉17と、原料粉体供給路18と、複数の原料分散孔19と、燃焼室21と、一対のバーナ22−1,22−2(複数のバーナ)と、複数の燃焼ガス導入孔23と、送風ガス導入部25と、球状化粒子導出部26と、送風ブロア28と、冷却ガス導入口32と、フィルター(図示せず)と、冷却ガス調整部(図示せず)と、球状化粒子輸送ライン33と、球状化粒子捕集装置35と、を有する。
【0032】
キャリアガス供給源11は、キャリアガスを原料フィーダー15に供給可能な状態で原料フィーダー15と接続されている。キャリアガスとしては、例えば、酸素または酸素富化空気を用いることができる。
支燃性ガス供給源12は、バーナ22−1,22−2に、支燃性ガスを供給可能な状態で、バーナ22−1,22−2と接続されている。支燃性ガスとしては、例えば、酸素または酸素富化空気を用いることができる。
【0033】
燃料ガス供給源13は、燃料ガスを供給可能な状態で、バーナ22−1,22−2と接続されている。燃料ガスとしては、例えば、ブタン(CH−CH−CH−CH)やプロパン(C)等を主成分とするLPG(Liquefied petroleum gas)を用いることができる。
【0034】
原料フィーダー15は、原料粉体を供給するためのものである。原料フィーダー15から供給された原料粉体は、キャリアガス供給源11から供給されたキャリアガスにより、原料粉体供給路18を介して、球状化炉17の上端に輸送される。
【0035】
図2は、図1に示す球状化炉、燃焼室、及び一対のバーナのA−A線方向の断面図であり、図3は、図2に示す球状化炉、燃焼室、及び一対のバーナのB−B線方向の断面図である。
【0036】
図1図3を参照するに、球状化炉17は、Y方向(鉛直方向)に延在する竪型炉である。球状化炉17は、例えば、円筒形状とすることができる。本実施の形態では、球状化炉17が円筒形状の場合を例に挙げて、以下の説明を行う。
球状化炉17は、球状化炉17内に導入された燃焼ガスにより、球状化炉17の上端17Aから供給された原料粉体を球状化して球状化粒子を生成するための炉である。
【0037】
なお、球状化炉17の側壁17C及び/または燃焼室21は、耐火物(例えば、煉瓦や不定形キャスタブル等)で構成するとよい。これにより、バーナ22−1,22−2の火炎37−1,37−2に起因する球状化炉17の側壁17Cの損傷を抑制できる。
また、球状化炉17の側壁17C及び/または燃焼室21を耐火物で構成する場合、該耐火物の外面を外壁部材で覆うとよい。
【0038】
原料粉体供給路18は、原料フィーダー15及び球状化炉17の上端17A(頂部)と接続されている。原料粉体供給路18は、原料フィーダー15から供給された原料粉体を球状化炉17の上端17A側に供給するための経路である。
原料分散孔19は、球状化炉17の上端17Aに複数設けられている。複数の原料分散孔19は、原料粉体供給路18に露出されている。複数の原料分散孔19は、原料粉体供給路18から供給された原料粉体を球状化炉17内に分散させるための孔である。
【0039】
なお、本実施の形態では、球状化炉17の上端17Aに複数の原料分散孔19を設けた場合を例に挙げて説明したが、上端が開放端とされた球状化炉、及び板材に複数の原料分散孔19が形成された原料分散板(図示せず)を準備し、該球状化炉の上端に該原料分散板を配置してもよい。
【0040】
燃焼室21は、球状化炉17の上端17Aと球状化炉17の底部17Bとの間に位置する球状化炉17の側壁17Cの外側に設けられている。燃焼室21は、球状化炉17の上端17Aと底部17Bとの間に位置する球状化炉17の側壁17Cの外面17a全体を露出している。
【0041】
バーナ22−1は、火炎37−1を形成する先端が燃焼室21内に露出されるように、燃焼室21に設けられている。バーナ22−1は、燃料ガス供給源13から供給された燃料ガス(LPG)、及び支燃性ガス供給源12から供給された酸素または酸素富化空気を先端から噴出させることで燃焼室21内に火炎37−1を形成する。バーナ22−1が形成する火炎37−1は、球状化炉17の外側に位置する燃焼室21内に収容されている。
【0042】
バーナ22−2は、火炎37−2を形成する先端が燃焼室21内に露出されるように、燃焼室21に設けられている。バーナ22−2は、球状化炉17を介して、バーナ22−1と対向するように配置(対向位置)されている。
バーナ22−2は、燃料ガス供給源13から供給された燃料ガス(LPG)、及び支燃性ガス供給源12から供給された酸素または酸素富化空気を先端から噴出させることで燃焼室21内に火炎37−2を形成する。バーナ22−2が形成する火炎37−2は、球状化炉17の外側に位置する燃焼室21内に収容されている。
上記バーナ22−1,22−2としては、例えば、図7及び図8に示す球状粒子製造用バーナ100(従来のバーナ)を用いることができる。
【0043】
なお、バーナ22−1,22−2の火炎37−1,37−2が生成する燃焼ガスの量は、燃料ガス及び支燃性ガスの流量により調整する。また、支燃性ガスの流量は、燃料ガスが完全燃焼するために必要な量と同じか、或いはこれ以上とする。
【0044】
このように、球状化炉17の外側に燃焼室21を設けると共に、燃焼室21内に火炎37−1,37−2を形成可能な状態で燃焼室21にバーナ22−1,22−2を設けることにより、燃焼室21内において火炎37−1,37−2により燃料ガスを十分に燃焼させることができる。
【0045】
複数の燃焼ガス導入孔23は、燃焼室21が露出する球状化炉17の側壁17Cを貫通している。複数の燃焼ガス導入孔23の延在方向は、円筒形状とされた球状化炉17の法線方向と一致している。複数の燃焼ガス導入孔23は、燃焼室22内においてバーナ22−1,22−2の火炎37−1,37−2により生成された燃焼ガスを球状化炉17内に導くためのものである。
【0046】
このように、球状化炉17の外部で生成された燃焼ガスを球状化炉17内に導入させる複数の燃焼ガス導入孔23を設けることにより、球状化炉17内に未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを供給することが可能となる。
これにより、未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスにより、球状化炉17内に分散された原料粉体を溶融させて球状化粒子を生成することが可能となるので、従来よりも球状化粒子に付着するカーボンの量を低減できる。
【0047】
複数の燃焼ガス導入孔23は、火炎37−1,37−2から離間した位置に配置するとよい。このように、火炎37−1,37−2から離間した位置に複数の燃焼ガス導入孔23を設けることにより、未燃の燃料ガスが球状化炉17内に導入されにくくすることが可能となるので、球状化粒子に付着するカーボンの量をさらに低減できる。
【0048】
複数の燃焼ガス導入孔23は、球状化炉17の周方向に等間隔で配置されている。また、球状化炉17の周方向に配置された燃焼ガス導入孔23は、他の燃焼ガス導入孔23と対向するように配置されている。
このように、球状化炉17の周方向に複数の燃焼ガス導入孔23を設けることにより、球状化炉17に燃焼ガスを導入した際、球状化炉17内のX方向における温度ばらつきを小さくすることが可能となる。これにより、精度良く球状化粒子を生成することができる。
【0049】
なお、図2では、一例として、球状化炉17の周方向に4つの燃焼ガス導入孔23を設けた場合を例に挙げて説明したが、球状化炉17の周方向に配置する燃焼ガス導入孔23の数は、これに限定されない。
【0050】
また、複数の燃焼ガス導入孔23は、球状化炉17の延在方向(Y方向)に等間隔で配置されている。
このように、球状化炉17の延在方向に複数の燃焼ガス導入孔23を設けることにより、燃焼ガス中における滞留時間を長くすることが可能となる。
【0051】
なお、図3では、一例として、球状化炉17の延在方向に5つの燃焼ガス導入孔23を設けた場合を例に挙げて説明したが、球状化炉17の延在方向に配置する燃焼ガス導入孔23の数は、これに限定されない。
【0052】
送風ガス導入部25は、球状化炉17の底部17Bに設けられている。送風ガス導入部25は、送風ブロア28と接続されており、送風ブロア28から送られる空気を球状化炉17の底部17B内に導入する。
球状化粒子導出部26は、球状化炉17の側壁17Cのうち、球状化炉17の底部17Bに位置する部分に、送風ガス導入部25と対向するように設けられている。球状化粒子導出部26は、送風ブロア28から送られる空気により、球状化炉17から球状化粒子を導出する。送風ブロア28は、送風ガス導入部25に空気を供給するためのものである。
【0053】
冷却ガス導入口32は、サイクロン41の上端と接続されている。冷却ガス導入口32は、サイクロン41の上端を介して、球状化粒子輸送ライン33内に冷却ガス(例えば、空気)を導入するための導入口である。
また、バグフィルター42の後段には、ブロア(図示せず)が設けられており、該ブロアにより吸引することで、冷却ガスが冷却ガス導入口32から導入される。
【0054】
フィルター(図示せず)及び冷却ガス調整部(図示せず)は、冷却ガス導入口32に設けられている。冷却ガス調整部は、冷却ガスの導入量を調整するためのものである。冷却ガス調整部としては、例えば、ダンパーを用いることができる。
このように、冷却ガス調整部としてダンパーを用いることにより、ダンパーの角度を調整することで、球状化粒子輸送ライン33に導入される冷却ガスの導入量を調整できる。
【0055】
また、送風ブロア28からの送風量と冷却ガス導入口32からの冷却ガスの導入量とを調整してサイクロン41に導入される風量を変えると共に、送風ブロア28からの送風量を増やし、球状化粒子を輸送する気体の流速を大きくすると、サイクロン41で捕集される球状化粒子の粒径を小さくすることができる。
【0056】
球状化粒子輸送ライン33は、一端がサイクロン41の上端と接続され、他端がバグフィルター42と接続されている。
【0057】
球状化粒子捕集装置35は、球状化粒子導出部26から導出された球状化粒子を捕集する装置であり、サイクロン41と、バグフィルター42と、を有する。
サイクロン41は、球状化炉17の下流側に設けられており、球状化粒子導出部26を介して、球状化炉17の底部17Bと接続されている。サイクロン41は、球状化粒子導出部26を介して輸送された球状化粒子のうち、第1の粒子径とされた球状化粒子を捕集する。第1の粒子径とされた球状化粒子は、サイクロン41の下端から捕集される。第1の粒子径は、後述する第2の粒子径よりも大きい値とされている。
【0058】
バグフィルター42は、サイクロン41の下流側に設けられており、球状化粒子輸送ライン33を介して、サイクロン41の上端と接続されている。バグフィルター42は、第1の粒子径よりも小さい第2の粒子径とされた球状化粒子を捕集する。
【0059】
本実施の形態の球状化粒子製造装置によれば、球状化炉17の側壁17Cの外面17aを露出する燃焼室21と、燃焼室21に設けられ、燃焼室21内に火炎37−1,37−2を形成する一対のバーナ22−1,22−2と、燃焼室21が露出する球状化炉17の側壁17Cを貫通し、バーナ22−1,22−2により生成された燃焼室21内の燃焼ガスを球状化炉17内に導く複数の燃焼ガス導入孔23と、を有することにより、球状化炉17の外側に設けられた燃焼室21内においてバーナ22−1,22−2により燃料ガスを十分に燃焼させて、未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを生成することが可能となる。
【0060】
これにより、複数の燃焼ガス導入孔23を介して、球状化炉17内に導入された未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスにより、球状化炉17内に分散された原料粉体を溶融させて球状化粒子を生成することが可能となるので、従来よりも球状化粒子に付着するカーボンの量を低減できる。
【0061】
また、球状化炉17の延在方向(Y方向)に等間隔で複数の燃焼ガス導入孔23を配置させることにより、燃焼ガス中における原料粉体の滞留時間を長くすることができる。
【0062】
次に、上記構成とされた球状化粒子製造装置10を用いた球状化粒子製造方法について、以下の方法により、球状化粒子を生成する。
始めに、バーナ22−1,22−2に燃料ガス及び支燃性ガスを供給して、燃焼室21内に火炎37−1,37−2を形成し、未燃の燃料ガスをほとんど含んでいない燃焼ガスを生成し、球状化炉17内に該燃焼ガスを導入させる。
【0063】
次いで、複数の原料分散孔19を介して、球状化炉17の上端17Aから球状化炉17内に原料粉体を分散させることで、球状化炉17内を鉛直方向に移動する間に、原料粉体が溶融されて、球状化粒子が生成される。
生成された球状化粒子は、球状化粒子捕集装置35を構成するサイクロン41及びバグフィルター42により捕集される。
【0064】
このとき、サイクロン41では、球状化粒子のうち、第1の粒子径とされた球状化粒子が捕集され、バグフィルター42では、球状化粒子のうち、第1の粒子径よりも小さい第2の粒子径とされた球状化粒子が捕集される。
【0065】
本実施の形態の球状化粒子製造方法によれば、バーナ22−1,22−2により生成された燃焼室21内に存在する燃焼ガスを球状化炉17内に導き、その後、複数の原料分散孔22を介して、球状化炉17内に原料粉体を分散させ、燃焼ガスにより、分散された原料粉体を溶融させて球状化粒子を生成するため、球状化炉17の外側に設けられた燃焼室21内においてバーナ22−1,22−2により燃料ガスを十分に燃焼させることが可能となる。言い換えれば、未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを生成することが可能となる。
【0066】
これにより、未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスにより、球状化炉17内に分散された原料粉体を溶融させて球状化粒子を生成することが可能となるので、従来よりも球状化粒子に付着するカーボンの量を低減できる。
【0067】
また、球状化炉17の延在方向(Y方向)に等間隔で複数の燃焼ガス導入孔23が設けられているため、燃焼ガス中における原料粉体の滞留時間を長くすることができる。
【0068】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0069】
図4は、燃焼ガス導入孔の他の例を説明するための断面図である。図4において、図2に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
本実施の形態では、図2を参照して、複数の燃焼ガス導入孔の一例として、複数の燃焼ガス導入孔23の延在方向が球状化炉17の法線方向と同じ方向の場合を例に挙げて説明したが、図2に示す複数の燃焼ガス導入孔23に替えて、図4に示すように、球状化炉17の側壁17Cに延在方向が球状化炉17の接線方向と同じ方向とされた複数の燃焼ガス導入孔46を設けてもよい。
また、図示していないが、複数の燃焼ガス導入孔23は、燃焼ガスを斜め下方に供給可能な構造としてもよい。
【0070】
このように、球状化炉17内に燃焼ガスを供給する複数の燃焼ガス導入孔46の延在方向を球状化炉17の接線方向と同じ方向にするか、或いは燃焼ガスを斜め下方に供給可能な構造とされた複数の燃焼ガス導入孔を用いることにより、球状化炉17内に供給された燃焼ガスにより強い旋回流を発生させることが可能となるので、球状化炉17内の温度を均一にでき、かつ球状化炉17内において原料粉体を均一に分散させることができる。
【0071】
図5は、図2に示す構造体の変形例を説明するための断面図である。図5において、図2に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
本実施の形態では、図2を参照して、2つのバーナ(言い換えれば、一対のバーナ22−1,22−2)が配設可能な燃焼室22を用いた場合を例に挙げて説明したが、図5に示すように、4つのバーナ(言い換えれば、それぞれ2つのバーナ22−1,22−2)が配設可能な燃焼室49を準備し、該燃焼室49に4つのバーナを設けてもよい。
【0072】
この場合、燃焼ガスの温度を高温にすることが可能となるため、比較的融点の高い原料粉体を球状化させる際に有効である。なお、燃焼室に設けるバーナの数は、図2及び図5に限定されない。
【0073】
図6は、図2に示す球状化炉及び燃焼室の他の例を示す断面図である。図6において、図2に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0074】
図6に示すように、図2に示す球状化炉17及び燃焼室21の替わりに、水冷ジャケット構造(内部に冷却水を流すことの可能な水路を備えた構造)とされた球状化炉51及び燃焼室52を用いてもよい。
これにより、球状化炉51の側壁の内面51aに原料粉体が付着することを抑制できる。
(実施例1)
実施例1では、図1に示す球状化粒子製造装置10を用いて、球状化粒子を作成し、光学顕微鏡を用いて黒色異物(カーボン)の付着状態を評価した。
このとき、図4に示す構造体(言い換えれば、複数の燃焼ガス導入孔46が設けられた球状化炉17)を用い、球状化粒子製造装置10のバーナ22−1,22−2として図7及び図8に示す球状粒子製造用バーナ100を用いた。
また、球状化炉17の側壁17C及び燃焼室21を冷却する水冷ジャケット(図示せず)を用いた。
【0075】
以下、実施例1における球状化粒子の製造方法について説明する。
始めに、バーナ22−1,22−2に、燃料ガスとしてLPGを5Nm/hの供給量で供給すると共に、支燃性ガスとして酸素を25Nm/hの供給量で供給して、火炎37−1,37−2を形成して、燃焼ガスを生成した。
【0076】
次いで、キャリアガス(酸素)によりガラス粉末を20kg/hの供給量で球状化炉17の上端17Aに輸送し、複数の燃焼ガス導入孔46を介して、球状化炉17内に導入された燃焼ガスを用いて、ガラス粉体を溶融させることで球状化粒子を生成し、その後、球状化粒子を捕集した。
【0077】
次に、球状化粒子に付着したカーボン量の測定方法について説明する。
球状化粒子20gを40mm×60mmの大きさに薄く広げ、その後、光学顕微鏡を用いて、20倍の倍率で視野を変えて(観察場所を変えて)20回観察し、1つの視野における黒色異物の数をカウントし、20回の平均の黒色異物の数を求めた。
この結果、実施例1では、平均で3個の黒色異物が観察できた。
【0078】
(比較例1)
比較例1では、図9に示す球状化粒子製造装置120を用いて、実施例1と同様な評価を行った。球状化粒子製造装置120のバーナ124としては、図7及び図8に示す球状粒子製造用バーナ100を用いた。
【0079】
以下、球状化粒子の製造方法について説明する。
バーナ124に、燃料ガスとしてLPGを5Nm/hの供給量で供給すると共に、支燃性ガスとして酸素を25Nm/hの供給量で供給して、球状化炉128内に火炎を形成した。
【0080】
次いで、キャリアガス(酸素)によりガラス粉末を20kg/hの供給量で球状化炉128に輸送し、火炎中を通過させることで、ガラス粉体を溶融させて球状化粒子を生成させ、その後、球状化粒子を捕集した。
【0081】
その後、実施例1と同様な手法により、球状化粒子20gを40mm×60mmの大きさに薄く広げ、その後、光学顕微鏡を用いて、20倍の倍率で視野を変えて(観察場所を変えて)20回観察し、1つの視野における黒色異物の数をカウントし、20回の平均の黒色異物の数を求めた。
この結果、比較例1では、平均で11個の黒色異物が観察できた。
【0082】
(黒色異物の数の評価結果のまとめ)
実施例1及び比較例1の黒色異物の観察結果から、本発明の球状化粒子製造装置10を用いることで、従来の球状化粒子製造装置120を用いて球状化粒子を生成した場合と比較して、球状化粒子に付着するカーボンを低減できることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、カーボンが球状化粒子に付着することを抑制可能な球状化粒子製造装置及び球状化粒子製造方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0084】
10…球状化粒子製造装置、11…キャリアガス供給源、12…支燃性ガス供給源、13…燃料ガス供給源、15…原料フィーダー、17,51…球状化炉、17a…外面、17A…上端、17B…底面、17C…側壁、18…原料粉体供給路、19…原料分散孔、21,52…燃焼室、22−1,22−2…バーナ、23,46…燃焼ガス導入孔、25…送風ガス導入部、26…球状化粒子導出部、28…送風ブロア、32…冷却ガス導入口、33…球状化粒子輸送ライン、35…球状化粒子捕集装置、37−1,37−2…火炎、41…サイクロン、42…バグフィルター、51a…内面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9