特許第5887174号(P5887174)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5887174球状化粒子製造装置及び球状化粒子製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5887174
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】球状化粒子製造装置及び球状化粒子製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 2/16 20060101AFI20160303BHJP
   B01J 2/00 20060101ALI20160303BHJP
   C03B 19/10 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
   B01J2/16
   B01J2/00 A
   C03B19/10 D
【請求項の数】18
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2012-68245(P2012-68245)
(22)【出願日】2012年3月23日
(65)【公開番号】特開2013-198857(P2013-198857A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2014年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231235
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】萩原 義之
(72)【発明者】
【氏名】飯野 公夫
(72)【発明者】
【氏名】星野 哲也
【審査官】 原 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−325532(JP,A)
【文献】 特開平11−071107(JP,A)
【文献】 特開昭54−029318(JP,A)
【文献】 特開2003−187947(JP,A)
【文献】 特開2010−036097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 2/00−2/30
C03B 5/00−5/44,19/10
B22F 9/00−9/04
F27B 1/00−21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料粉体を溶融させて、粉体表面を球状化することで球状化粒子を生成し、かつ鉛直方向に延在する球状化炉と、
前記球状化炉の上端に設けられ、該球状化炉に供給される前記原料粉体を該球状化炉内に分散させる複数の原料分散孔と、
前記球状化炉の上端と該球状化炉の底部との間に位置する該球状化炉の側壁の外側に設けられ、前記球状化炉の側壁の外面により内壁の一部が形成され、かつ前記球状化炉の延在方向に対して複数配置された燃焼室と、
複数の前記燃焼室にそれぞれ設けられており、前記燃焼室内に火炎を形成するバーナと、
前記燃焼室と前記球状化炉とを連通させるように前記球状化炉の側壁を貫通しており、前記火炎により生成された前記燃焼室内の燃焼ガスを前記球状化炉内に導く複数の燃焼ガス導入孔と
を有することを特徴とする球状化粒子製造装置。
【請求項2】
前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナをそれぞれ独立して制御する制御部を有することを特徴とする請求項1記載の球状化粒子製造装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナの火炎が生成する前記燃焼ガスの量を調整することを特徴とする請求項記載の球状化粒子製造装置。
【請求項4】
前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナに燃料を供給する燃料供給源と、
前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナに支燃性ガスを供給する支燃性ガス供給源と、
前記球状化炉内に配置され、該球状化炉内の鉛直方向の温度を検出する複数の温度検出器と、
を有し、
前記制御部は、複数の温度検出器が検出する温度に基づいて、前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナに供給する前記燃料の量、及び前記支燃性ガスの量を調整することを特徴とする請求項2または3記載の球状化粒子製造装置。
【請求項5】
前記複数の燃焼ガス導入孔は、前記火炎から離間した位置に配置することを特徴とする請求項1ないし4のうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置。
【請求項6】
前記複数の燃焼ガス導入孔を、前記球状化炉の周方向及び該球状化炉の延在方向に配置したことを特徴とする請求項1ないしのうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置。
【請求項7】
複数の前記燃焼室には、それぞれ複数の前記バーナが設けられており、
前記球状化炉の中心軸を挟んで、複数の前記バーナを対向配置させたことを特徴とする請求項1ないしのうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置。
【請求項8】
前記複数の燃焼ガス導入孔の延在方向は、前記球状化炉の法線方向と同じ方向であることを特徴とする請求項1ないしのうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置。
【請求項9】
前記複数の燃焼ガス導入孔の延在方向は、前記球状化炉の接線方向と同じ方向であることを特徴とする請求項1ないしのうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置。
【請求項10】
前記複数の燃焼ガス導入孔は、前記燃焼ガスを斜め下方に供給可能な構造であることを特徴とする請求項1ないしのうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置。
【請求項11】
前記球状化炉の側壁が、耐火物で構成されていることを特徴とする請求項1ないし10のうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置。
【請求項12】
記球状化炉の底部に位置する部分に設けられ、該球状化炉内に送風ガスを導入する送風ガス導入部と、
記球状化炉の底部に位置する部分に、前記送風ガス導入部と対向配置され、かつ前記球状化炉から前記球状化粒子を導出する球状化粒子導出部と、
前記球状化粒子導出部から導出された前記球状化粒子を捕集する球状化粒子捕集装置と、
を有することを特徴とする請求項1ないし11のうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置。
【請求項13】
前記球状化粒子捕集装置は、前記球状化粒子導出部と接続され、前記球状化粒子のうち、第1の粒子径とされた粒子を捕集するサイクロンと、
前記サイクロンの下流に配置され、前記球状化粒子のうち、前記第1の粒子径よりも小さい第2の粒子径とされた粒子を捕集するバグフィルターと、
前記サイクロンと前記バグフィルターとを接続し、かつ前記球状化粒子の一部を前記バグフィルターに輸送する球状化粒子輸送ラインと、
を有することを特徴とする請求項12記載の球状化粒子製造装置。
【請求項14】
前記球状化粒子輸送ラインに、冷却ガスを導入する冷却ガス導入口と、
前記冷却ガス導入口に設けられ、前記球状化粒子輸送ラインに導入される前記冷却ガスの導入量を調整する冷却ガス調整部と、
を有することを特徴とする請求項13記載の球状化粒子製造装置。
【請求項15】
請求項1ないし14のうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置を用いた球状化粒子製造方法であって、
前記複数の燃焼室内に生成された前記燃焼ガスを前記球状化炉内に導入し、該燃焼ガスにより、前記原料粉体を溶融させて球状化粒子を生成することを特徴とする球状化粒子製造方法。
【請求項16】
前記燃焼ガスは、前記バーナにより燃料と支燃性ガスとを完全燃焼させることで生成することを特徴とする請求項15記載の球状化粒子製造方法。
【請求項17】
前記原料粉体を溶融させるのに適した温度分布が前記球状化炉内に形成されるように、前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナに供給される前記燃料の量及び前記支燃性ガスの量を独立して制御することを特徴とする請求項16記載の球状化粒子製造方法。
【請求項18】
前記球状化炉内の鉛直方向の温度が均一と成るように、前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナに供給する前記燃料の量及び前記支燃性ガスの量を独立して制御することを特徴とする請求項16記載の球状化粒子製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球状化粒子を製造する球状化粒子製造装置及び球状化粒子製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無機酸化物の球状化粒子を製造する方法として、各種方法が知られているが、生産性や経済性の面から工業的には火炎法が広く採用されている。
火炎法は、燃料ガスと支燃性ガス(助燃ガス)とをバーナから噴出させて形成した火炎中に原料粉体を投入し、火炎の高温雰囲気内で原料粉体を溶融、或いは半溶融させて、表面張力により粉体表面を球状化させることで球状粒子を得る方法である(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0003】
図7は、特許文献3に開示された球状化粒子製造用バーナの先端部を拡大した断面図であり、図8は、図7に示す球状化粒子製造用バーナの先端の平面図である。
【0004】
ここで、図7及び図8を参照して、従来の球状化粒子製造用バーナ100の構成について説明する。
従来の球状粒子製造用バーナ100は、キャリアガスに搬送された原料粉末を供給する原料粉末供給路101と、原料粉末供給路101の外側の円周上に配置された複数の供給路からなる燃料ガス供給路102と、燃料ガス供給路102の外側の円周上に配置された複数の供給路からなる旋回酸素供給路103と、旋回酸素供給路103の外側の円周上に配置された複数の供給路からなる直進酸素供給路104と、直進酸素供給路104の外側の円周上に配置された冷却水通路105a,105bと、先端側に拡径した燃焼室106と、を有する。
【0005】
原料粉末供給路101の先端には、燃焼室106の底部108に形成された複数の噴出口からなる原料粉末噴出口107が設けられている。また、燃料ガス供給路102の各供給路の先端には、燃料ガス噴出口109が設けられている。
旋回酸素供給路103の各供給路の先端には、旋回酸素噴出口110が設けられている。また、直進酸素供給路104の各供給路の先端には、直進酸素噴出口111が設けられている。
【0006】
図9は、特許文献3に開示された従来の球状化粒子製造装置の概略構成を示す図である。
ここで、図9を参照して、従来の球状化粒子製造装置120について説明する。
従来の球状化粒子製造装置120は、原料フィーダー121と、キャリアガス供給経路123と、バーナ124と、酸素供給設備126と、LPG供給設備127と、球状化炉128と、空気供給経路131と、サイクロン132と、バグフィルター133と、を有する。火炎を形成するバーナ124の先端は、球状化炉128内に収容されている。つまり、球状化炉128内に、火炎が形成される。
【0007】
上記構成とされた従来の球状化粒子製造装置120では、原料粉体が原料フィーダー121から切り出され、原料粉体がキャリアガス供給経路123から供給されるキャリアガスに同伴されてバーナ124に搬送される。
【0008】
バーナ124には、酸素供給設備126からの酸素が供給されると共に、LPG供給設備127から燃焼ガスが供給されており、球状化炉128内に形成される火炎中を原料粉体が通過することで、球状化粒子が生成される。
その後、球状化粒子は、空気供給経路131を介して球状化炉128の底部に導入された空気により温度希釈され、後段に配置されたサイクロン132及びバグフィルター133で回収される。
また、上記燃料ガスとしては、メタンやプロパンを主成分とするガスが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭58−145613号公報
【特許文献2】特許第3331491号公報
【特許文献3】特許第3312228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、メタンやプロパンを主成分とする燃料ガスの燃焼反応により形成される火炎のうち、高温雰囲気内で原料粉体を溶融する火炎法では、火炎中において原料粉体を球状化する過程において未燃の燃料が発生するため、燃料起因のカーボンが球状化粒子に付着或いは混入してしまうという問題があった。
【0011】
例えば、半導体チップの封止樹脂に球状化粒子としてシリカ粒子を混合させる場合で、かつシリカ粒子にカーボンが付着或いは混入している場合、カーボンが導電性を有するため、半導体チップに形成された配線間においてショートが発生してしまう。
【0012】
また、例えば、カーボンが付着或いは混入した球状化粒子をLED等の封止材に用いる場合、カーボンが黒色異物として光学的な異物となるため望ましくない。
上記理由により、球状化粒子にカーボンが付着及び混入することは好ましくない。
【0013】
本発明者らは、未燃の燃料ガスに含まれるカーボンが球状化粒子に付着或いは混入しにくくする手段として、球状化炉の外部でバーナの火炎を形成し、該火炎により生成される高温の燃焼ガス(未燃の燃料ガスをほとんど含まないガス)を球状化炉内に導入させ、球状化炉の上端側から分散させた原料粉体を供給させ、燃焼ガスにより原料粉体を溶融させて球状化粒子を生成するという考えに至った。
【0014】
図10は、本発明者らが事前検討に使用した球状化粒子製造装置の概略構成を示す図であり、図11は、図10に示す球状化炉、燃焼室、及びバーナの断面図である。図10及び図11において、Y方向は球状化炉147の延在方向(鉛直方向)、X方向はY方向と直交する面方向を示している。
【0015】
そこで、本発明者らは、図10に示す球状化粒子製造装置140を作成し、上記考えが正しいか否かを確認するための事前検討を行った。
ここで、図10及び図11を参照して、本発明者らが事前検討に使用した球状化粒子製造装置140の構成について説明する。
【0016】
球状化粒子製造装置140は、キャリアガス供給源141と、支燃性ガス供給源142と、燃料ガス供給源143と、原料フィーダー145と、鉛直方向に延在する球状化炉147と、原料粉体供給路148と、複数の原料分散孔149と、燃焼室151と、一対のバーナ152−1,152−2と、複数の燃焼ガス導入孔153と、送風ガス導入部155と、球状化粒子導出部156と、送風ブロア158と、空気導入口162と、球状化粒子輸送ライン163と、サイクロン171及びバグフィルター172よりなる球状化粒子捕集装置165と、冷却ガス導入部168と、冷却ガス調整部169と、を有する。
【0017】
燃焼室151は、球状化炉147の上端147Aと底部147Bとの間に位置する球状化炉147の側壁147Cの外側に設けられている。燃焼室151は、球状化炉147の上端147Aと底部147Bとの間に位置する球状化炉147の側壁147Cの外面147a全体を露出している。
【0018】
バーナ152−1,152−2は、火炎167−1,167−2を形成する先端が燃焼室151内に露出されるように、燃焼室151に設けられている。バーナ152−1,152−2は、燃料ガス供給源143から供給された燃料ガス(LPG)、及び支燃性ガス供給源142から供給された酸素または酸素富化空気を先端から噴出させることで燃焼室151内に火炎167−1,167−2を形成する。火炎167−1,167−2は、球状化炉147の外側に位置する燃焼室21内に収容されている。
【0019】
複数の燃焼ガス導入孔153は、球状化炉147の側壁147Cを貫通しており、球状化炉147の周方向及び球状化炉147の延在方向(Y方向)に配置されている。複数の燃焼ガス導入孔153は、燃焼室151に露出されている。
【0020】
本発明者らが、球状化粒子製造装置140を用いて、未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを球状化炉147内に導入させ、球状化炉147の上端147A側から分散させた原料粉体を溶融させて球状化粒子を生成したところ、図9に示す従来の球状化粒子製造装置120を用いた場合と比較して、球状化粒子に付着或いは混入するカーボンの量が低減できることが確認できた。
【0021】
しかしながら、球状化粒子製造装置140を用い、原料粉体に粒径の大きな粒子(例えば、10μmを超える粒子)が混ざっている場合、10μm以下の粒子は球状化されるが、10μm以上の粒子は球状化されないといった具合に、形状が安定した球状化粒子を得ることができないという新たな問題が発見された。
【0022】
これは、鉛直方向に延在する球状化炉147の上部側に比較的の温度の高い燃焼ガスが供給され、球状化炉147の下部側に球状化炉147の上部に供給された燃焼ガスよりも温度の低い燃焼ガスが供給されて、球状化炉147内に温度勾配が形成され、球状化炉147内の鉛直方向において温度ばらつきが生じたためと推測される。
【0023】
そこで、本発明は、球状化粒子へのカーボンの付着或いは混入を抑制可能であると共に、高融点の原料粉体を用いた場合でも安定した形状の球状化粒子を生成可能な球状化粒子製造装置及び球状化粒子製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明によれば、原料粉体を溶融させて、粉体表面を球状化することで球状化粒子を生成し、かつ鉛直方向に延在する球状化炉と、前記球状化炉の上端に設けられ、該球状化炉に供給される前記原料粉体を該球状化炉内に分散させる複数の原料分散孔と、前記球状化炉の上端と該球状化炉の底部との間に位置する該球状化炉の側壁の外側に設けられ、前記球状化炉の側壁の外面により内壁の一部が形成され、かつ前記球状化炉の延在方向に対して複数配置された燃焼室と、複数の前記燃焼室にそれぞれ設けられており、前記燃焼室内に火炎を形成するバーナと、前記燃焼室と前記球状化炉とを連通させるように前記球状化炉の側壁を貫通しており、前記火炎により生成された前記燃焼室内の燃焼ガスを前記球状化炉内に導く複数の燃焼ガス導入孔と、を有することを特徴とする球状化粒子製造装置が提供される。
【0025】
また、請求項2に係る発明によれば、前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナをそれぞれ独立して制御する制御部を有することを特徴とする請求項1記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0026】
また、請求項3に係る発明によれば、前記制御部は、前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナの火炎が生成する前記燃焼ガスの量を調整することを特徴とする請求項記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0027】
また、請求項4に係る発明によれば、前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナに燃料を供給する燃料供給源と、前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナに支燃性ガスを供給する支燃性ガス供給源と、前記球状化炉内に配置され、該球状化炉内の鉛直方向の温度を検出する複数の温度検出器と、を有し、前記制御部は、複数の温度検出器が検出する温度に基づいて、前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナに供給する前記燃料の量、及び前記支燃性ガスの量を調整することを特徴とする請求項2または3記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0028】
また、請求項5に係る発明によれば、前記複数の燃焼ガス導入孔は、前記火炎から離間した位置に配置することを特徴とする請求項1ないし4のうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0030】
また、請求項に係る発明によれば、前記複数の燃焼ガス導入孔を、前記球状化炉の周方向及び該球状化炉の延在方向に配置したことを特徴とする請求項1ないしのうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0031】
また、請求項に係る発明によれば、複数の前記燃焼室には、それぞれ複数の前記バーナが設けられており、前記球状化炉の中心軸を挟んで、複数の前記バーナを対向配置させたことを特徴とする請求項1ないしのうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0032】
また、請求項に係る発明によれば、前記複数の燃焼ガス導入孔の延在方向は、前記球状化炉の法線方向と同じ方向であることを特徴とする請求項1ないしのうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0033】
また、請求項に係る発明によれば、前記複数の燃焼ガス導入孔の延在方向は、前記球状化炉の接線方向と同じ方向であることを特徴とする請求項1ないしのうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0034】
また、請求項10に係る発明によれば、前記複数の燃焼ガス導入孔は、前記燃焼ガスを斜め下方に供給可能な構造であることを特徴とする請求項1ないしのうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0035】
また、請求項11に係る発明によれば、前記球状化炉の側壁が、耐火物で構成されていることを特徴とする請求項1ないし10のうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0037】
また、請求項12に係る発明によれば、前記球状化炉の底部に位置する部分に設けられ、該球状化炉内に送風ガスを導入する送風ガス導入部と、前記球状化炉の底部に位置する部分に、前記送風ガス導入部と対向配置され、かつ前記球状化炉から前記球状化粒子を導出する球状化粒子導出部と、前記球状化粒子導出部から導出された前記球状化粒子を捕集する球状化粒子捕集装置と、を有することを特徴とする請求項1ないし11のうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0038】
また、請求項13に係る発明によれば、前記球状化粒子捕集装置は、前記球状化粒子導出部と接続され、前記球状化粒子のうち、第1の粒子径とされた粒子を捕集するサイクロンと、前記サイクロンの下流に配置され、前記球状化粒子のうち、前記第1の粒子径よりも小さい第2の粒子径とされた粒子を捕集するバグフィルターと、前記サイクロンと前記バグフィルターとを接続し、かつ前記球状化粒子の一部を前記バグフィルターに輸送する球状化粒子輸送ラインと、を有することを特徴とする請求項12記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0039】
また、請求項14に係る発明によれば、前記球状化粒子輸送ラインに、冷却ガスを導入する冷却ガス導入口と、前記冷却ガス導入口に設けられ、前記球状化粒子輸送ラインに導入される前記冷却ガスの導入量を調整する冷却ガス調整部と、を有することを特徴とする請求項13記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0040】
また、請求項15に係る発明によれば、請求項1ないし14のうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置を用いた球状化粒子製造方法であって、
前記複数の燃焼室内に生成された前記燃焼ガスを前記球状化炉内に導入し、該燃焼ガスにより、前記原料粉体を溶融させて球状化粒子を生成することを特徴とする球状化粒子製造方法が提供される。
【0041】
また、請求項16に係る発明によれば、前記燃焼ガスは、前記バーナにより燃料と支燃性ガスとを完全燃焼させることで生成することを特徴とする請求項15記載の球状化粒子製造方法が提供される。
【0042】
また、請求項17に係る発明によれば、前記原料粉体を溶融させるのに適した温度分布が前記球状化炉内に形成されるように、前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナに供給される前記燃料の量及び前記支燃性ガスの量を独立して制御することを特徴とする請求項16記載の球状化粒子製造方法が提供される。
【0043】
また、請求項18に係る発明によれば、前記球状化炉内の鉛直方向の温度が均一と成るように、前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナに供給する前記燃料の量及び前記支燃性ガスの量を独立して制御することを特徴とする請求項16記載の球状化粒子製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、球状化炉の上端と球状化炉の底部との間に位置する球状化炉の側壁の外側に、球状化炉の側壁の外面を露出するように設けられ、かつ球状化炉の延在方向(鉛直方向)に対して複数配置された燃焼室と、複数の燃焼室にそれぞれ設けられ、かつ燃焼室内に火炎を形成するバーナと、燃焼室が露出する球状化炉の側壁を貫通し、火炎により生成された燃焼室内の燃焼ガスを前記球状化炉内に導く複数の燃焼ガス導入孔と、を有することにより、球状化炉の外側に設けられた燃焼室内においてバーナにより燃料ガスを十分に燃焼させて、未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを生成することが可能となる。
【0045】
これにより、複数の燃焼ガス導入孔を介して、球状化炉内に導入された未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスにより、球状化炉内に分散された原料粉体を溶融させて球状化粒子を生成することが可能となるので、従来よりも球状化粒子に付着或いは混入するカーボンの量を低減できる。
【0046】
また、球状化炉の側壁の外面を露出するように設けられ、かつ球状化炉の延在方向(鉛直方向)に対して複数配置された燃焼室と、複数の燃焼室にそれぞれ設けられ、かつ燃焼室内に火炎を形成するバーナと、を有することにより、鉛直方向における球状化炉内の温度ばらつきを低減することが可能となる。
これにより、原料粉体が高温の燃焼ガスに滞留する時間を長くすることが可能となるので、高融点の原料粉体を用いた場合でも安定した形状の球状化粒子を生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明の実施の形態に係る球状化粒子製造装置の概略構成を示す模式図である。
図2図1に示す球状化炉、燃焼室、及び該燃焼室に設けられたバーナのX線方向の断面図である。
図3図2に示す球状化炉、燃焼室、及び該燃焼室に設けられたバーナのA−A線方向の断面図である。
図4】燃焼ガス導入孔の他の例を説明するための断面図である。
図5図2に示す構造体の変形例を説明するための断面図である。
図6】実施例1及び参考例1の球状化炉内の鉛直方向の温度分布を示す図である。
図7】特許文献3に開示された球状化粒子製造用バーナの先端部を拡大した断面図である。
図8図7に示す球状化粒子製造用バーナの先端の平面図である。
図9】特許文献3に開示された従来の球状化粒子製造装置の概略構成を示す図である。
図10】本発明者らが事前検討に使用した球状化粒子製造装置の概略構成を示す図である。
図11図10に示す球状化炉、燃焼室、及びバーナの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の球状化粒子製造装置の寸法関係とは異なる場合がある。
【0049】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る球状化粒子製造装置の概略構成を示す模式図である。図1において、Y方向は、球状化炉18の延在方向(鉛直方向)を示しており、X方向は、Y方向に対して直交する面方向を示している。
【0050】
図1を参照するに、本実施の形態の球状化粒子製造装置10は、キャリアガス供給源11と、キャリアガス供給ライン11Aと、バルブ12,14,16と、支燃性ガス供給源13と、支燃性ガス供給ライン13Aと、燃料ガス供給源15(燃料供給源)と、燃料ガス供給ライン15Aと、原料フィーダー17と、球状化炉18と、原料粉体供給路19と、複数の原料分散孔20と、燃焼室21〜25と、バーナ31〜40と、燃焼ガス導入孔45〜49と、支燃性ガス流量調整弁51〜60(支燃性ガスの流量を調整するための弁)と、燃料ガス流量調整弁61〜70(燃料ガスの流量を調整するための弁)と、温度検出器75〜80と、制御部82と、送風ガス導入部84と、球状化粒子導出部85と、送風ブロア87と、冷却ガス導入口88と、球状化粒子輸送ライン89と、球状化粒子捕集装置91と、を有する。
【0051】
キャリアガス供給源11は、キャリアガス供給ライン11Aと接続されている。キャリアガス供給源11は、キャリアガス供給ライン11Aを介して、キャリアガスを原料フィーダー17に供給可能な状態で原料フィーダー17と接続されている。キャリアガスとしては、例えば、酸素または酸素富化空気を用いることができる。
バルブ12は、キャリアガス供給ライン11Aに設けられている。バルブ12を開けることで、原料フィーダー17にキャリアガスが供給される。
【0052】
支燃性ガス供給源13は、支燃性ガス供給ライン13Aと接続されている。支燃性ガス供給源13は、支燃性ガス供給ライン13Aから分岐した分岐ラインを介して、バーナ31〜40に支燃性ガスを供給する。支燃性ガスとしては、例えば、酸素または酸素富化空気を用いることができる。
バルブ14は、支燃性ガス供給ライン13Aに設けられている。バルブ14を開けることで、支燃性ガス供給ライン13Aから分岐ラインに支燃性ガスが供給される。
【0053】
燃料ガス供給源15は、燃料ガス供給ライン15Aと接続されている。燃料ガス供給源15は、燃料ガス供給ライン15Aから分岐した分岐ラインを介して、バーナ31〜40に燃料ガスを供給する。燃料ガスとしては、例えば、ブタン(CH−CH−CH−CH)やプロパン(C)等を主成分とするLPG(Liquefied petroleum gas)を用いることができる。
バルブ16は、燃料ガス供給ライン15Aに設けられている。バルブ16を開けることで、燃料ガス供給ライン15Aから分岐ラインに燃料ガスが供給される。
なお、本実施の形態では、燃料として燃料ガスを用いた場合を例に挙げて説明するが、燃料ガスに替えて液体の燃料を用いてもよい。
【0054】
原料フィーダー17は、原料粉体を供給するためのものである。原料フィーダー17から供給された原料粉体は、キャリアガス供給源11から供給されたキャリアガスにより、原料粉体供給路19を介して、球状化炉18の上端に輸送される。
原料粉体としては、例えば、シリカ(融点は1722℃)、アルミナ(融点は2053℃)、ジルコニア(融点は2680℃)等を例に挙げることができる。
【0055】
図2は、図1に示す球状化炉、燃焼室、及び該燃焼室に設けられたバーナのX線方向の断面図であり、図3は、図2に示す球状化炉、燃焼室、及び該燃焼室に設けられたバーナのA−A線方向の断面図である。
【0056】
図1図3を参照するに、球状化炉18は、Y方向(鉛直方向)に延在する竪型炉である。球状化炉18は、例えば、円筒形状とすることができる。本実施の形態では、球状化炉18が円筒形状の場合を例に挙げて、以下の説明を行う。
球状化炉18は、燃焼室21〜25内で生成され、球状化炉18内に導入された燃焼ガスにより、球状化炉18の上端18Aから供給された原料粉体を溶融させることで球状化粒子を生成する。
【0057】
球状化炉18の側壁18Cのうち、少なくとも燃焼室21〜25が露出する部分は、耐火物(例えば、煉瓦や不定形キャスタブル等)で構成するとよい。
これにより、バーナ31〜40が形成する火炎により球状化炉18の側壁18Cが損傷することを抑制できる。なお、球状化炉18の側壁18C全体を上記耐火物で構成してもよい。
【0058】
また、図示していないが、球状化炉18の側壁18Cを冷却する水冷ジャケットを設けてもよい。これにより、球状化炉18の側壁18Cの内面に原料粉体が付着することを抑制できる。
【0059】
原料粉体供給路19は、原料フィーダー17及び球状化炉18の上端18A(頂部)と接続されている。原料粉体供給路19は、原料フィーダー17から供給された原料粉体を球状化炉18の上端18A側に供給するための経路である。
原料分散孔20は、球状化炉18の上端18Aに複数設けられている。複数の原料分散孔20は、原料粉体供給路19に露出されている。複数の原料分散孔20は、原料粉体供給路19から供給された原料粉体を球状化炉18内に分散させるための孔である。
【0060】
なお、本実施の形態では、球状化炉18の上端18Aに複数の原料分散孔20を設けた場合を例に挙げて説明したが、上端が開放端とされた球状化炉、及び板材に複数の原料分散孔20が形成された原料分散板(図示せず)を準備し、該球状化炉の上端に該原料分散板を配置してもよい。
【0061】
燃焼室21〜25は、球状化炉18の上端18Aと球状化炉18の底部18Bとの間に位置する球状化炉18の側壁18Cの外側に設けられている。
燃焼室21は、球状化炉18の上端18A側に配置されている。燃焼室21は、燃焼室21〜25のうちで、最上層に配置された燃焼室である。
【0062】
燃焼室21は、バーナ31の火炎が収容される第1の火炎収容領域21Aと、バーナ32の火炎が収容し、かつ第1の火炎収容領域21Aと対向配置された第2の火炎収容領域21Bと、第1及び第2の火炎収容領域21Aと一体とされたドーナッツ状の空間21Cと、を有する。空間21Cは、球状化炉18の周方向において、球状化炉18の側壁18Cの外面18aを露出している。
【0063】
燃焼室22〜25は、燃焼室21と同様な構成とされている。つまり、燃焼室22〜25は、第1の火炎収容領域21A、第2の火炎収容領域21B、及び空間21Cを有する。燃焼室22〜25は、球状化炉18の周方向において、球状化炉18の側壁18Cの外面18aを露出している。
【0064】
燃焼室22は、燃焼室21の直下に配置されている。燃焼室23は、燃焼室22の直下に配置されている。燃焼室24は、燃焼室23の直下に配置されている。燃焼室25は、燃焼室24の直下に配置されている。燃焼室25は、燃焼室21〜25のうちで、最下層に配置された燃焼室である。
【0065】
なお、本実施の形態では、鉛直方向に5つの燃焼室21〜25を配置した場合を例に挙げて説明したが、燃焼室の数は、必要に応じて適宜選択することができ、これに限定されない。つまり、燃焼室の数は、2つ以上であればよい。
【0066】
バーナ31は、火炎を形成する先端が燃焼室21の第1の火炎収容領域21Aに露出されるように、燃焼室21に設けられている。バーナ31は、支燃性ガス供給ライン13Aから分岐し、かつ支燃性ガス流量調整弁51が設けられた分岐ラインを介して、支燃性ガス供給源13と接続されている。
また、バーナ31は、燃料ガス供給ライン15Aから分岐し、かつ燃料ガス流量調整弁61が設けられた分岐ラインを介して、燃料ガス供給源15と接続されている。
【0067】
バーナ32は、火炎を形成する先端が燃焼室21の第2の火炎収容領域21Bに露出されるように、燃焼室21に設けられている。これにより、バーナ31,32は、球状化炉18を介して、対向配置されている。バーナ32は、支燃性ガス供給ライン13Aから分岐し、かつ支燃性ガス流量調整弁52が設けられた分岐ラインを介して、支燃性ガス供給源13と接続されている。
【0068】
また、バーナ32は、燃料ガス供給ライン15Aから分岐し、かつ燃料ガス流量調整弁62が設けられた分岐ラインを介して、燃料ガス供給源15と接続されている。
上記バーナ31,32は、燃料ガス(燃料)と支燃性ガスとを完全燃焼させることで、燃料室21内に未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを生成する。
【0069】
バーナ33は、火炎を形成する先端が燃焼室22の第1の火炎収容領域21Aに露出されるように、燃焼室22に設けられている。バーナ33は、支燃性ガス供給ライン13Aから分岐し、かつ支燃性ガス流量調整弁53が設けられた分岐ラインを介して、支燃性ガス供給源13と接続されている。
また、バーナ33は、燃料ガス供給ライン15Aから分岐し、かつ燃料ガス流量調整弁63が設けられた分岐ラインを介して、燃料ガス供給源15と接続されている。
【0070】
バーナ34は、火炎を形成する先端が燃焼室22の第2の火炎収容領域22Bに露出されるように、燃焼室22に設けられている。これにより、バーナ33,34は、球状化炉18を介して、対向配置されている。バーナ34は、支燃性ガス供給ライン13Aから分岐し、かつ支燃性ガス流量調整弁54が設けられた分岐ラインを介して、支燃性ガス供給源13と接続されている。
【0071】
また、バーナ34は、燃料ガス供給ライン15Aから分岐し、かつ燃料ガス流量調整弁64が設けられた分岐ラインを介して、燃料ガス供給源15と接続されている。
上記バーナ33,34は、燃料ガス(燃料)と支燃性ガスとを完全燃焼させることで、燃料室22内に未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを生成する。
【0072】
バーナ35は、火炎を形成する先端が燃焼室23の第1の火炎収容領域21Aに露出されるように、燃焼室23に設けられている。バーナ35は、支燃性ガス供給ライン13Aから分岐し、かつ支燃性ガス流量調整弁55が設けられた分岐ラインを介して、支燃性ガス供給源13と接続されている。
また、バーナ35は、燃料ガス供給ライン15Aから分岐し、かつ燃料ガス流量調整弁65が設けられた分岐ラインを介して、燃料ガス供給源15と接続されている。
【0073】
バーナ36は、火炎を形成する先端が燃焼室23の第2の火炎収容領域22Bに露出されるように、燃焼室23に設けられている。これにより、バーナ35,36は、球状化炉18を介して、対向配置されている。バーナ36は、支燃性ガス供給ライン13Aから分岐し、かつ支燃性ガス流量調整弁56が設けられた分岐ラインを介して、支燃性ガス供給源13と接続されている。
【0074】
また、バーナ36は、燃料ガス供給ライン15Aから分岐し、かつ燃料ガス流量調整弁66が設けられた分岐ラインを介して、燃料ガス供給源15と接続されている。
上記バーナ35,36は、燃料ガス(燃料)と支燃性ガスとを完全燃焼させることで、燃料室23内に未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを生成する。
【0075】
バーナ37は、火炎を形成する先端が燃焼室24の第1の火炎収容領域21Aに露出されるように、燃焼室24に設けられている。バーナ37は、支燃性ガス供給ライン13Aから分岐し、かつ支燃性ガス流量調整弁57が設けられた分岐ラインを介して、支燃性ガス供給源13と接続されている。
また、バーナ37は、燃料ガス供給ライン15Aから分岐し、かつ燃料ガス流量調整弁67が設けられた分岐ラインを介して、燃料ガス供給源15と接続されている。
【0076】
バーナ38は、火炎を形成する先端が燃焼室24の第2の火炎収容領域22Bに露出されるように、燃焼室24に設けられている。これにより、バーナ37,38は、球状化炉18を介して、対向配置されている。バーナ38は、支燃性ガス供給ライン13Aから分岐し、かつ支燃性ガス流量調整弁58が設けられた分岐ラインを介して、支燃性ガス供給源13と接続されている。
【0077】
また、バーナ38は、燃料ガス供給ライン15Aから分岐し、かつ燃料ガス流量調整弁68が設けられた分岐ラインを介して、燃料ガス供給源15と接続されている。
上記バーナ37,38は、燃料ガス(燃料)と支燃性ガスとを完全燃焼させることで、燃料室24内に未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを生成する。
【0078】
バーナ39は、火炎を形成する先端が燃焼室25の第1の火炎収容領域21Aに露出されるように、燃焼室25に設けられている。バーナ39は、支燃性ガス供給ライン13Aから分岐し、かつ支燃性ガス流量調整弁59が設けられた分岐ラインを介して、支燃性ガス供給源13と接続されている。
また、バーナ39は、燃料ガス供給ライン15Aから分岐し、かつ燃料ガス流量調整弁69が設けられた分岐ラインを介して、燃料ガス供給源15と接続されている。
【0079】
バーナ40は、火炎を形成する先端が燃焼室25の第2の火炎収容領域22Bに露出されるように、燃焼室25に設けられている。これにより、バーナ39,40は、球状化炉18を介して、対向配置されている。バーナ40は、支燃性ガス供給ライン13Aから分岐し、かつ支燃性ガス流量調整弁60が設けられた分岐ラインを介して、支燃性ガス供給源13と接続されている。
【0080】
また、バーナ40は、燃料ガス供給ライン15Aから分岐し、かつ燃料ガス流量調整弁70が設けられた分岐ラインを介して、燃料ガス供給源15と接続されている。
上記バーナ39,40は、燃料ガス(燃料)と支燃性ガスとを完全燃焼させることで、燃料室25内に未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを生成する。
【0081】
バーナ31〜40は、例えば、同じ構成とする(言い換えれば、同じ構成とされたバーナを用いる)ことができる。この場合、バーナ31〜40としては、例えば、煤の混入を抑制するならば予混合型のバーナが望ましいが、逆火の危険性を回避したい場合には、拡散燃焼型のバーナを用いることも可能である。
なお、必要に応じて、様々な種類のバーナを組み合わせてもよい。
【0082】
また、バーナ31〜40の火炎が生成する燃焼ガスの量は、燃料ガスの流量及び支燃性ガスの流量により調整する。また、支燃性ガスの流量は、燃料ガスが完全燃焼するために必要な量と同じか、或いはこれ以上とする。
【0083】
燃焼ガス導入孔45は、燃焼室21の空間Cが露出する球状化炉18の外壁18Cを貫通するように複数(本実施の形態の場合、4つ)設けられている。燃焼ガス導入孔45は、燃焼室21内で生成された燃焼ガスを球状化炉18内に導入するため孔である。
【0084】
複数の燃焼ガス導入孔45は、球状化炉18の周方向に所定の間隔で配置されている。また、複数の燃焼ガス導入孔45は、バーナ31,32が形成する火炎から離間した位置に配置されている。
このように、バーナ31,32が形成する火炎から離間した位置に複数の燃焼ガス導入孔45を設けることにより、複数の燃焼ガス導入孔45をバーナ31,32が形成する火炎の近傍に設けた場合と比較して、球状化炉18内に未燃の燃料ガスが導入されることを抑制できる。
【0085】
燃焼ガス導入孔46は、燃焼室22の空間Cが露出する球状化炉18の外壁18Cを貫通するように複数(本実施の形態の場合、4つ)設けられている。燃焼ガス導入孔46は、燃焼室22内で生成された燃焼ガスを球状化炉18内に導入するため孔である。
【0086】
複数の燃焼ガス導入孔46は、球状化炉18の周方向に所定の間隔で配置されている。また、複数の燃焼ガス導入孔46は、バーナ33,34が形成する火炎から離間した位置に配置されている。
このように、バーナ33,34が形成する火炎から離間した位置に複数の燃焼ガス導入孔46を設けることにより、複数の燃焼ガス導入孔46をバーナ33,34が形成する火炎の近傍に設けた場合と比較して、球状化炉18内に未燃の燃料ガスが導入されることを抑制できる。
【0087】
燃焼ガス導入孔47は、燃焼室23の空間Cが露出する球状化炉18の外壁18Cを貫通するように複数(本実施の形態の場合、4つ)設けられている。燃焼ガス導入孔47は、燃焼室23内で生成された燃焼ガスを球状化炉18内に導入するため孔である。
【0088】
複数の燃焼ガス導入孔47は、球状化炉18の周方向に所定の間隔で配置されている。また、複数の燃焼ガス導入孔47は、バーナ35,36が形成する火炎から離間した位置に配置されている。
このように、バーナ35,36が形成する火炎から離間した位置に複数の燃焼ガス導入孔47を設けることにより、複数の燃焼ガス導入孔47をバーナ35,36が形成する火炎の近傍に設けた場合と比較して、球状化炉18内に未燃の燃料ガスが導入されることを抑制できる。
【0089】
燃焼ガス導入孔48は、燃焼室24の空間Cが露出する球状化炉18の外壁18Cを貫通するように複数(本実施の形態の場合、4つ)設けられている。燃焼ガス導入孔48は、燃焼室24内で生成された燃焼ガスを球状化炉18内に導入するため孔である。
【0090】
複数の燃焼ガス導入孔48は、球状化炉18の周方向に所定の間隔で配置されている。また、複数の燃焼ガス導入孔48は、バーナ37,38が形成する火炎から離間した位置に配置されている。
このように、バーナ37,38が形成する火炎から離間した位置に複数の燃焼ガス導入孔48を設けることにより、複数の燃焼ガス導入孔48をバーナ37,38が形成する火炎の近傍に設けた場合と比較して、球状化炉18内に未燃の燃料ガスが導入されることを抑制できる。
【0091】
燃焼ガス導入孔49は、燃焼室25の空間Cが露出する球状化炉18の外壁18Cを貫通するように複数(本実施の形態の場合、4つ)設けられている。燃焼ガス導入孔49は、燃焼室25内で生成された燃焼ガスを球状化炉18内に導入するため孔である。
【0092】
複数の燃焼ガス導入孔49は、球状化炉18の周方向に所定の間隔で配置されている。また、複数の燃焼ガス導入孔49は、バーナ39,40が形成する火炎から離間した位置に配置されている。
このように、バーナ39,40が形成する火炎から離間した位置に複数の燃焼ガス導入孔49を設けることにより、複数の燃焼ガス導入孔49をバーナ39,40が形成する火炎の近傍に設けた場合と比較して、球状化炉18内に未燃の燃料ガスが導入されることを抑制できる。
【0093】
上記説明した燃焼ガス導入孔45〜49は、燃焼ガス導入孔45〜49の延在方向が球状化炉18の法線方向と同じ方向となるように形成されている。
【0094】
なお、図3では、一例として、球状化炉18の周方向に4つの燃焼ガス導入孔45〜49を設けた場合を例に挙げて説明したが、球状化炉18の周方向に配置する燃焼ガス導入孔45〜49の数は、これに限定されない。
また、図3では、燃焼ガス導入孔45〜49の一例として、球状化炉18の周方向のみに各燃焼ガス導入孔45〜49を設けた場合を例に挙げて説明したが、燃焼ガス導入孔45〜49を、それぞれ球状化炉18の周方向及び球状化炉18の延在方向(鉛直方向)に設けてもよい。
【0095】
このように、球状化炉18の上端18Aと球状化炉18の底部18Bとの間に位置する球状化炉18の側壁18Cの外側に、球状化炉18の側壁18Cの外面18aを露出し、かつ球状化炉18の延在方向(鉛直方向)に対して配置された燃焼室21〜25と、燃焼室21〜25に設けられ、かつ燃焼室21〜25内に火炎を形成するバーナ31〜40と、燃焼室21〜25が露出する球状化炉18の側壁18Cを貫通し、火炎により生成された燃焼室21〜25内の燃焼ガスを球状化炉18内に導く燃焼ガス導入孔45〜49と、を有することにより、球状化炉18の外側に設けられた燃焼室21〜25内においてバーナ31〜40により燃料ガスを十分に燃焼させて、未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを生成することが可能となる。
【0096】
これにより、燃焼ガス導入孔45〜49を介して、球状化炉18内に導入された未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスにより、分散された原料粉体を溶融させて球状化粒子を生成することが可能となるので、球状化粒子に付着及び混入するカーボンの量を低減できる。
【0097】
また、球状化炉18の側壁18Cの外面18aを露出するように設けられ、かつ球状化炉18の延在方向(鉛直方向)に対して配置された燃焼室21〜25と、燃焼室21〜25に設けられ、かつ燃焼室21〜25内に火炎を形成するバーナ31〜40と、を有することにより、鉛直方向における球状化炉18内の温度ばらつきを低減することが可能となる。
これにより、原料粉体が高温の燃焼ガスに滞留する時間を長くすることが可能となるので、高融点の原料粉体(例えば、ジルコニウム)を用いた場合でも安定した形状の球状化粒子を生成できる。
【0098】
温度検出器75〜80は、球状化炉18内であって、球状化炉18の上端を構成する壁の内面18b(基準面)の下方の鉛直方向に、温度検出器75、温度検出器76、温度検出器77、温度検出器78、温度検出器79、温度検出器80の順で配置されている。
【0099】
具体的には、例えば、内面18bから100mmの位置に温度検出器75を配置し、内面18bから300mmの位置に温度検出器76を配置し、内面18bから600mmの位置に温度検出器77を配置し、内面18bから900mmの位置に温度検出器78を配置し、内面18bから1200mmの位置に温度検出器79を配置し、内面18bから1450mmの位置に温度検出器80を配置することができる。
【0100】
温度検出器75〜80は、それぞれ制御部82と電気的に接続されている。温度検出器75〜80は、それぞれ検出した球状化炉18内の温度を制御部82に送信する。温度検出器75〜80としては、例えば、R熱電対(1600℃程度の温度まで検出可能な高温用の熱電対)を用いることができる。
【0101】
なお、図3では、6つの温度検出器を設けた場合を例に挙げて説明したが、温度検出器の数は、これに限定されない。また、球状化炉18内における温度検出器75〜80の設置位置は、図3に示す温度検出器75〜80の位置に限定されないが、球状化粒子の生成の邪魔にならないような場所が好ましい。
【0102】
制御部82は、温度検出器75〜80が検出した球状化炉18内の温度に関するデータを受信可能な状態で、温度検出器75〜80と電気的に接続されている。
また、制御部82は、支燃性ガス流量調整弁51〜60及び燃料ガス流量調整弁61〜70を制御可能な状態で、支燃性ガス流量調整弁51〜60及び燃料ガス流量調整弁61〜70と電気的に接続されている。
【0103】
制御部82は、温度検出器75〜80が検出した温度に基づいて、球状化炉18内の温度分布が溶融させる原料粉体の特性に応じた温度分布(例えば、球状化炉18内の鉛直方向の温度が均一)となるように、支燃性ガス流量調整弁51〜60及び燃料ガス流量調整弁61〜70の開度を調整して、燃焼室21〜25から球状化炉18内に導入される燃焼ガスの量を調節する。
【0104】
このように、球状化炉18内の鉛直方向の温度を検出する温度検出器75〜80と、バーナ31〜40に供給する支燃性ガスの量を調整する支燃性ガス流量調整弁51〜60と、バーナ31〜40に供給する燃料ガスの量を調整する燃料ガス流量調整弁61〜70と、温度検出器75〜80、支燃性ガス流量調整弁51〜60、及び燃料ガス流量調整弁61〜70と電気的に接続された制御部82と、を有することにより、温度検出器75〜80が検出した温度に基づいて、制御部82により支燃性ガス流量調整弁51〜60及び燃料ガス流量調整弁61〜70を制御して燃焼室21〜25から球状化炉18内に導入される燃焼ガスの量を調節することが可能となるので、球状化炉18内の鉛直方向の温度ばらつきを極力小さくすることができる。
【0105】
これにより、高温の燃焼ガス中における原料粉体の滞留時間を長くすることが可能となるので、原料粉体として粒径の大きい原料粉体を用いて球状化粒子を生成した場合でも、形状が安定した球状化粒子を得ることができる。
【0106】
ところで、本実施の形態の球状化粒子製造装置10では、球状化炉18の鉛直方向に配置された燃焼室21〜25と、燃焼室21〜25に設けられたバーナ31〜40と、を有するので、図1及び図3に示す球状化粒子製造装置10に設けられた支燃性ガス流量調整弁51〜60、燃料ガス流量調整弁61〜70、温度検出器75〜80、及び制御部82を構成要素から除いた場合でも、球状化炉18内の下部の温度と球状化炉18の上部の温度の差を小さくすることが可能となる。
【0107】
したがって、高温の燃焼ガス中における原料粉体の滞留時間を長くすることが可能となるので、原料粉体として粒径の大きい原料粉体を用いて球状化粒子を生成した場合でも、形状が安定した球状化粒子を得ることができる。
【0108】
送風ガス導入部84は、球状化炉18の底部18Bに設けられている。送風ガス導入部84は、送風ブロア87と接続されており、送風ブロア87から送られるエアを球状化炉18の底部18B内に導入する。
球状化粒子導出部85は、球状化炉18の側壁18Cのうち、球状化炉18の底部18Bに位置する部分に、送風ガス導入部84と対向するように設けられている。球状化粒子導出部85は、送風ブロア87から送られるエアにより、球状化炉18から球状化粒子を導出する。送風ブロア87は、送風ガス導入部84にエアを供給するためのものである。
【0109】
冷却ガス導入口88は、サイクロン95の上端と接続されている。冷却ガス導入口88は、サイクロン95の上端を介して、球状化粒子輸送ライン89内に冷却ガス(例えば、空気)を導入するための導入口である。
また、バグフィルター96の後段には、ブロア(図示せず)が設けられており、該ブロアにより吸引することで、冷却ガスが冷却ガス導入口88から導入される。
【0110】
フィルター(図示せず)及び冷却ガス調整部(図示せず)は、冷却ガス導入口88に設けられている。冷却ガス調整部は、冷却ガスの導入量を調整するためのものである。冷却ガス調整部としては、例えば、ダンパーを用いることができる。
このように、冷却ガス調整部としてダンパーを用いることにより、ダンパーの角度を調整することで、球状化粒子輸送ライン89に導入される冷却ガスの導入量を調整できる。
【0111】
また、送風ブロア87からの送風量と冷却ガス導入口88からの冷却ガスの導入量とを調整してサイクロン95に導入される風量を変えることにより、サイクロン95及びバグフィルター96で捕集する球状化粒子の粒度分布を変化させることができる。
また、送風ブロア87からの送風量を増やし、球状化粒子を輸送する気体の流速を大きくすることで、サイクロン95で捕集される球状化粒子の粒径を小さくすることができる。
【0112】
球状化粒子輸送ライン89は、一端がサイクロン95の上端と接続され、他端がバグフィルター96と接続されている。
【0113】
球状化粒子捕集装置91は、球状化粒子導出部85から導出された球状化粒子を捕集する装置であり、サイクロン95と、バグフィルター96と、を有する。
サイクロン95は、球状化炉18の下流側に設けられており、球状化粒子導出部85を介して、球状化炉18の底部18Bと接続されている。サイクロン95は、球状化粒子導出部85を介して輸送された球状化粒子のうち、第1の粒子径とされた球状化粒子を捕集する。第1の粒子径とされた球状化粒子は、サイクロン95の下端から捕集される。第1の粒子径は、後述する第2の粒子径よりも大きい値となる。
【0114】
バグフィルター96は、サイクロン95の下流側に設けられており、球状化粒子輸送ライン89を介して、サイクロン95の上端と接続されている。バグフィルター96は、第1の粒子径よりも小さい第2の粒子径とされた球状化粒子を捕集する。
【0115】
本実施の形態の球状化粒子製造装置によれば、球状化炉18の上端18Aと球状化炉18の底部18Bとの間に位置する球状化炉18の側壁18Cの外側に、球状化炉18の側壁18Cの外面18aを露出し、かつ球状化炉18の延在方向(鉛直方向)に対して配置された燃焼室21〜25と、燃焼室21〜25に設けられ、かつ燃焼室21〜25内に火炎を形成するバーナ31〜40と、燃焼室21〜25が露出する球状化炉18の側壁18Cを貫通し、火炎により生成された燃焼室21〜25内の燃焼ガスを球状化炉18内に導く燃焼ガス導入孔45〜49と、を有することにより、球状化炉18の外側に設けられた燃焼室21〜25内においてバーナ31〜40により燃料ガスを十分に燃焼させて、未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを生成することが可能となる。
【0116】
これにより、燃焼ガス導入孔31〜40を介して、球状化炉18内に導入された未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスにより、分散された原料粉体を溶融させて球状化粒子を生成することが可能となるので、球状化粒子に付着及び混入するカーボンの量を低減できる。
【0117】
また、球状化炉18の側壁18Cの外面18aを露出するように設けられ、かつ球状化炉18の延在方向(鉛直方向)に対して配置された燃焼室21〜25と、燃焼室21〜25に設けられ、かつ燃焼室21〜25内に火炎を形成するバーナ31〜40と、を有することにより、鉛直方向に延在する球状化炉18内の温度ばらつきを低減することが可能となる。
【0118】
これにより、原料粉体が高温の燃焼ガスに滞留する時間を長くすることが可能となるので、高融点の原料粉体(例えば、ジルコニウム)を用いた場合でも安定した形状の球状化粒子を生成できる。
【0119】
次に、上記構成とされた球状化粒子製造装置10を用いた球状化粒子製造方法について、以下の方法により、球状化粒子を生成する。
始めに、バーナ31〜40に燃料ガス及び支燃性ガスを供給し、燃焼室21〜25内で燃料ガスを完全燃焼させて、未燃の燃料ガスがほとんど含まれていない燃焼ガスを生成し、燃焼ガス導入孔45〜49を介して、該燃焼ガスを球状化炉18内に導入させる。
【0120】
次いで、温度検出器75〜80により、球状化炉18内の鉛直方向の温度を検出し、検出した温度に基づいて、球状化炉18内の鉛直方向の温度が均一となるように、制御部82により、バーナ31〜40に供給する支燃性ガス及び燃料ガスの流量を調整する。
なお、バーナ31〜40に供給する支燃性ガス及び燃料ガスの流量の調整は、必要に応じて行えばよい。
【0121】
次いで、球状化炉18内の鉛直方向の温度が均一となった状態で、複数の原料分散孔20を介して、球状化炉18の上端18Aから球状化炉18内に原料粉体を分散させる。
【0122】
その後、球状化炉18内に導入され、かつ鉛直方向の温度が均一とされた燃焼ガスにより原料粉体が溶融されて、球状化粒子が生成される。
生成された球状化粒子は、球状化粒子捕集装置91を構成するサイクロン95及びバグフィルター96により捕集される。
【0123】
このとき、サイクロン95では、球状化粒子のうち、第1の粒子径とされた球状化粒子が捕集され、バグフィルター96では、球状化粒子のうち、第1の粒子径よりも小さい第2の粒子径とされた球状化粒子が捕集される。
【0124】
本実施の形態の球状化粒子製造方法によれば、バーナ31〜40の火炎により生成された燃焼室21〜25内に存在する燃焼ガスを球状化炉18内に導いて、該燃焼ガスにより原料粉体を溶融させて球状化粒子を生成することにより、未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを用いて球状化粒子を生成することが可能となるので、従来よりも球状化粒子に付着及び混入するカーボンの量を低減できる。
【0125】
また、球状化炉18内の鉛直方向の温度が均一となるように、バーナ31〜40に供する支燃性ガス及び燃料ガスの流量を調整し、燃焼室21〜25から球状化炉18内に導入される燃焼ガスの量を調節し、その後、複数の原料分散孔22を介して、球状化炉18内に原料粉体を分散させて、該燃焼ガスにより原料粉体を溶融させて球状化粒子を生成することにより、球状化炉18内の下部の温度と球状化炉18の上部の温度の差が極力小さくなるため、高温の燃焼ガス中における原料粉体の滞留時間を長くすることが可能となる。
よって、原料粉体として融点の高い材料(例えば、ジルコニア(融点は2680℃))を用いて球状化粒子を生成した場合でも、形状が安定した球状化粒子を得ることができる。
【0126】
なお、本実施の形態では、一例として、球状化炉18内の鉛直方向の温度が均一となるように、支燃性ガス流量調整弁51〜60及び燃料ガス流量調整弁61〜70を制御する場合を例に挙げて説明したが、原料粉体の特性によっては、該原料粉体を球状化させるのに最適な温度分布を球状化炉18内に形成してもよい。
【0127】
例えば、原料分散孔20付近を低い温度(例えば、原料粉体の融点以下の温度)とすることで、原料を予熱しつつも融着させることなく、球状化炉18内に原料を均一に分散させ、原料分散孔20からある程度離れた位置から原料粉体の融点以上の温度となるように調整することで、原料粉体が造粒により粗大化することを抑制可能となるので、原料粉体を効率良く球状化することができる。
【0128】
また、本発明は、原料粉体を溶融させるのに適した温度分布が球状化炉18内に形成されるように、燃焼室21〜25に設けられたバーナ31〜40を独立して制御して、燃焼室21〜25内に生成される燃焼ガスの量を異ならせる場合に適用可能である。
【0129】
なお、図1及び図3に示す球状化粒子製造装置10に設けられた支燃性ガス流量調整弁51〜60、燃料ガス流量調整弁61〜70、温度検出器75〜80、及び制御部82を構成要素から除いた球状化粒子製造装置を用いて球状化粒子を生成する場合は、制御部82によるバーナ31〜40に供給する支燃性ガス及び燃料ガスの流量を調整する工程を除くこと以外は、球状化粒子製造装置10を用い球状化粒子製造方法と同様な手法により球状化粒子を生成できる。
【0130】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0131】
図4は、燃焼ガス導入孔の他の例を説明するための断面図である。図4において、図2に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0132】
本実施の形態では、図2を参照して、複数の燃焼ガス導入孔45の延在方向が球状化炉18の法線方向と同じ方向の場合について説明したが、図2に示す複数の燃焼ガス導入孔45に替えて、図4に示すように、球状化炉18の側壁18Cに延在方向が球状化炉18の接線方向と同じ方向とされた複数の燃焼ガス導入孔97を設けてもよい。
【0133】
また、燃焼室22〜25に設けられた燃焼ガス導入孔46〜49に替えて、球状化炉18の側壁18Cに延在方向が球状化炉18の接線方向と同じ方向とされた複数の燃焼ガス導入孔97を設けてもよい。
また、図示していないが、燃焼ガス導入孔45〜49は、燃焼ガスを斜め下方に供給可能な構造としてもよい。
【0134】
このように、球状化炉18内に燃焼ガスを供給する複数の燃焼ガス導入孔45〜49の延在方向を球状化炉18の接線方向と同じ方向にするか、或いは燃焼ガス導入孔45〜49を、燃焼ガスを斜め下方に供給可能な形状とすることにより、球状化炉18内に供給された燃焼ガスにより強い旋回流を発生させることが可能となるので、球状化炉18内の温度を均一にでき、かつ球状化炉18内において原料粉体を均一に分散させることができる。
【0135】
図5は、図2に示す構造体の変形例を説明するための断面図である。図5において、図2に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0136】
本実施の形態では、図2を参照して、2つのバーナ(言い換えれば、一対のバーナ31,32)が配設可能な燃焼室21を用いた場合を例に挙げて説明したが、図5に示すように、4つのバーナ(言い換えれば、それぞれ2つのバーナ31,32)が配設可能な燃焼室98を準備し、該燃焼室98に4つのバーナを設けてもよい。
この場合、燃焼室22〜25に替えて、4つの燃焼室98を用い、かつ4つの燃焼室のそれぞれに対して4つのバーナを設けるとよい。
【0137】
これにより、燃焼ガスの温度をさらに高温にすることが可能となるため、融点の高い原料粉体を球状化させる際に特に有効となる。なお、本発明で使用する燃焼室に設けるバーナの数は、図2及び図5に限定されない。
【0138】
(実施例1)
実施例1では、図1図3、及び図4に示す構造とされた球状化粒子製造装置10を用いて、球状化炉18内の鉛直方向の温度を測定した。このとき、球状化炉18の上端18Aを構成する壁の内面18bから100mmの位置に温度検出器75を配置し、内面18bから300mmの位置に温度検出器76を配置し、内面18bから600mmの位置に温度検出器77を配置し、内面18bから900mmの位置に温度検出器78を配置し、内面18bから1200mmの位置に温度検出器79を配置し、内面18bから1450mmの位置に温度検出器80を配置した。
【0139】
また、バーナ31〜40には、燃料ガスとしてLPGを1Nm/h、及び支燃性ガスとして酸素5Nm/hを供給した。
このときの球状化炉18b内の鉛直方向の温度分布の結果を図6に示す。図6は、実施例1及び参考例1の球状化炉内の鉛直方向の温度分布を示す図である。
【0140】
(参考例1)
参考例1では、図10及び図11に示す構造とされた球状化粒子製造装置140を用いて、球状化炉18内の鉛直方向の温度を測定した。このとき、球状化炉147の上端147Aを構成する壁の内面147bから100mmの位置に温度検出器75を配置し、内面147bから300mmの位置に温度検出器76を配置し、内面147bから600mmの位置に温度検出器77を配置し、内面147bから900mmの位置に温度検出器78を配置し、内面147bから1200mmの位置に温度検出器79を配置し、内面147bから1450mmの位置に温度検出器80を配置した。
また、バーナ152−1,152−2には、燃料ガスとしてLPGを5Nm/h、及び支燃性ガスとして酸素25Nm/hを供給した。
このときの球状化炉147内の鉛直方向の温度分布の結果を図6に示す。
【0141】
(実施例1及び参考例1の球状化炉内の温度分布について)
図6を参照するに、参考例1では、球状化炉147の上端147Aから下方に向かうにつれて、球状化炉147内の温度が低下することが確認できた。
【0142】
参考例1において、LPGの流量及び酸素の流量を、これらの流量比を一定にしたまま増加させて、燃焼ガス量を増加させたところ、燃焼ガス量の増加に伴い、球状化炉147下部の温度低下が若干改善された。
しかしながら、球状化炉147内のガス流速が大きくなるため、原料粉体の炉内滞留時間が短くなるという欠点が生じた。
【0143】
また、球状化炉147の鉛直方向におけるバーナ152−1,152−2の設置位置を変え、球状化炉147の真中辺りとしたところ、球状化炉147内の下部における極端な温度低下は認められなかったが、バーナ152−1,152−2の設置位置付近において温度ピークが生じ、球状化炉147内の温度を均一にすることは困難であった。
【0144】
一方、図6に示すように、実施例1の場合、球状化炉18内の鉛直方向において、略均一な温度にできることが確認できた。
【0145】
(実施例2)
実施例2では、図1に示す球状化粒子製造装置10を用い、かつ原料粉体としてガラス粉末を用いて、球状化粒子を作成し、光学顕微鏡を用いて黒色異物(カーボン)の付着状態を評価した。
このとき、図4に示す構造体(言い換えれば、複数の燃焼ガス導入孔97が設けられた球状化炉18)を用いた。
【0146】
以下、実施例2における球状化粒子の製造方法について説明する。
始めに、バーナ31〜40に、燃料ガスとしてLPGを1Nm/hの供給量で供給すると共に、支燃性ガスとして酸素を5Nm/hの供給量で供給して、火炎を形成して、燃焼ガスを生成した。
【0147】
次いで、キャリアガス(酸素)によりガラス粉末を20kg/hの供給量で球状化炉18の上端18Aに輸送し、複数の燃焼ガス導入孔97を介して、球状化炉18内に導入された燃焼ガスを用いて、ガラス粉末を溶融させることで球状化粒子を生成し、その後、球状化粒子を捕集した。
【0148】
次に、球状化粒子に付着したカーボン量の測定方法について説明する。
球状化粒子20gを40mm×60mmの大きさに薄く広げ、その後、光学顕微鏡を用いて、20倍の倍率で視野を変えて(観察場所を変えて)20回観察し、1つの視野における黒色異物の数をカウントし、20回の平均の黒色異物の数を求めた。
この結果、実施例2では、平均で3個の黒色異物が観察できた。
【0149】
(比較例1)
比較例1では、図9に示す球状化粒子製造装置120を用いて、実施例2と同様な評価を行った。球状化粒子製造装置120のバーナ124としては、図7及び図8に示す球状粒子製造用バーナ100を用いた。
【0150】
以下、球状化粒子の製造方法について説明する。
バーナ124に、燃料ガスとしてLPGを1Nm/hの供給量で供給すると共に、支燃性ガスとして酸素を5Nm/hの供給量で供給して、球状化炉128内に火炎を形成した。
【0151】
次いで、キャリアガス(酸素)によりガラス粉末を20kg/hの供給量で球状化炉128に輸送し、火炎中を通過させることで、ガラス粉体を溶融させて球状化粒子を生成させ、その後、球状化粒子を捕集した。
【0152】
その後、実施例2と同様な手法により、球状化粒子20gを40mm×60mmの大きさに薄く広げ、その後、光学顕微鏡を用いて、20倍の倍率で視野を変えて(観察場所を変えて)20回観察し、1つの視野における黒色異物の数をカウントし、20回の平均の黒色異物の数を求めた。
この結果、比較例1では、平均で11個の黒色異物が観察できた。
【0153】
(黒色異物の数の評価結果のまとめ)
実施例2及び比較例1の黒色異物の観察結果から、本発明の球状化粒子製造装置10を用いることで、従来の球状化粒子製造装置120を用いて球状化粒子を生成した場合と比較して、球状化粒子に付着及び混入するカーボンを低減できることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明は、球状化粒子へのカーボンの付着及び混入を抑制可能であると共に、高融点の原料粉体を用いた場合でも安定した形状の球状化粒子を生成可能な球状化粒子製造装置及び球状化粒子製造方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0155】
10…球状化粒子製造装置、11…キャリアガス供給源、11A…キャリアガス供給ライン、12,14,16…バルブ、13…支燃性ガス供給源、13A…支燃性ガス供給ライン、15…燃料ガス供給源、15A…燃料ガス供給ライン、17…原料フィーダー、18…球状化炉、18a…外面、18b…内面、18A…上端、18B…底面、18C…側壁、19…原料粉体供給路、20…原料分散孔、21〜25,98…燃焼室、21A…第1の火炎収容領域、21B…第2の火炎収容領域、21C…空間、31〜40…バーナ、45〜49,97…燃焼ガス導入孔、51〜60…支燃性ガス流量調整弁、61〜70…燃料ガス流量調整弁、75〜80…温度検出器、82…制御部、84…送風ガス導入部、85…球状化粒子導出部、87…送風ブロア、88…空気導入口、89…球状化粒子輸送ライン、91…球状化粒子捕集装置、95…サイクロン、96…バグフィルター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11