特許第5887178号(P5887178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大陽日酸株式会社の特許一覧

特許5887178球状化粒子製造装置及び球状化粒子製造方法
<>
  • 特許5887178-球状化粒子製造装置及び球状化粒子製造方法 図000004
  • 特許5887178-球状化粒子製造装置及び球状化粒子製造方法 図000005
  • 特許5887178-球状化粒子製造装置及び球状化粒子製造方法 図000006
  • 特許5887178-球状化粒子製造装置及び球状化粒子製造方法 図000007
  • 特許5887178-球状化粒子製造装置及び球状化粒子製造方法 図000008
  • 特許5887178-球状化粒子製造装置及び球状化粒子製造方法 図000009
  • 特許5887178-球状化粒子製造装置及び球状化粒子製造方法 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5887178
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】球状化粒子製造装置及び球状化粒子製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 2/04 20060101AFI20160303BHJP
   C01B 13/34 20060101ALI20160303BHJP
   C01G 45/12 20060101ALI20160303BHJP
   C01B 13/18 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
   B01J2/04
   C01B13/34
   C01G45/12
   C01B13/18
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-78253(P2012-78253)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-202603(P2013-202603A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231235
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】萩原 義之
(72)【発明者】
【氏名】飯野 公夫
(72)【発明者】
【氏名】星野 哲也
【審査官】 原 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−325532(JP,A)
【文献】 特開平11−071107(JP,A)
【文献】 特開昭54−029318(JP,A)
【文献】 特開2003−187947(JP,A)
【文献】 特開2010−036097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 2/00−2/30
C01B 13/14−13/36
C01G 45/00−45/12
C03B 5/00−5/44,19/10
B22F 9/00−9/04
F27B 1/00−21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料溶液を熱分解することで、球状化粒子を生成する球状化炉と、
前記球状化炉の上端に設けられ、前記原料溶液を噴霧する噴霧ノズルと、
前記球状化炉の上端と該球状化炉の底部との間に位置する該球状化炉の側壁の外側に設けられ、前記球状化炉の側壁の外面により内壁の一部が形成される複数の外燃室と、
前記複数の外燃室にそれぞれ設けられ、内側に該外焼室内の空間と一体とされた空間を含み、当該空間に火炎を形成するバーナが設けられた燃焼室と、
記外燃室と前記球状化炉とを連通させるように前記球状化炉の側壁を貫通しており、前記バーナにより生成された燃焼ガスを前記球状化炉内に導く複数の燃焼ガス導入孔と、
を有することを特徴とする球状化粒子製造装置。
【請求項2】
複数の前記燃焼室に設けられた前記バーナをそれぞれ独立して制御する制御部を有することを特徴とする請求項1記載の球状化粒子製造装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナの火炎が生成する前記燃焼ガスの量を調整することを特徴とする請求項記載の球状化粒子製造装置。
【請求項4】
前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナに燃料を供給する燃料供給源と、
前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナに支燃性ガスを供給する支燃性ガス供給源と、
前記球状化炉内に配置され、該球状化炉内の鉛直方向の温度を検出する複数の温度検出器と、
を有し、
前記制御部は、複数の温度検出器が検出する温度に基づいて、前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナに供給する前記燃料の量、及び前記支燃性ガスの量を調整することを特徴とする請求項2または3記載の球状化粒子製造装置。
【請求項5】
前記複数の燃焼ガス導入孔は、前記火炎から離間した位置に配置することを特徴とする請求項1ないし4のうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置。
【請求項6】
前記複数の燃焼ガス導入孔を、前記球状化炉の周方向及び該球状化炉の延在方向に配置したことを特徴とする請求項1ないしのうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置。
【請求項7】
前記複数の燃焼ガス導入孔の延在方向は、前記球状化炉の接線方向と同じ方向であることを特徴とする請求項1ないしのうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置。
【請求項8】
前記複数の外燃室が設けられた前記球状化炉の側壁が、耐火物で構成されていることを特徴とする請求項1ないしのうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置。
【請求項9】
記球状化炉の底部に位置する部分に設けられ、該球状化炉内に送風ガスを導入する送風ガス導入部と、
記球状化炉の底部に位置する部分に、前記送風ガス導入部と対向配置され、かつ前記球状化炉から前記球状化粒子を導出する球状化粒子導出部と、
前記球状化粒子導出部から導出された前記球状化粒子を捕集する球状化粒子捕集装置と、
を有することを特徴とする請求項1ないしのうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置。
【請求項10】
前記球状化粒子捕集装置は、前記球状化粒子導出部と接続され、前記球状化粒子のうち、第1の粒子径とされた粒子を捕集するサイクロンと、
前記サイクロンの下流に配置され、前記球状化粒子のうち、前記第1の粒子径よりも小さい第2の粒子径とされた粒子を捕集するバグフィルターと、
前記サイクロンと前記バグフィルターとを接続し、かつ前記球状化粒子の一部を前記バグフィルターに輸送する球状化粒子輸送ラインと、
を有することを特徴とする請求項記載の球状化粒子製造装置。
【請求項11】
前記球状化粒子輸送ラインに、冷却ガスを導入する冷却ガス導入口と、
前記球状化粒子輸送ラインに導入される前記冷却ガスの導入量を調整する冷却ガス調整部と、
を有することを特徴とする請求項10記載の球状化粒子製造装置。
【請求項12】
請求項1ないし11のうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置を用いた球状化粒子製造方法であって、
前記複数の外燃室内に生成された前記燃焼ガスを前記球状化炉内に導入し、該燃焼ガスにより、前記原料溶液を熱分解して球状化粒子を生成することを特徴とする球状化粒子製造方法。
【請求項13】
前記燃焼ガスは、前記バーナにより燃料と支燃性ガスとを完全燃焼させることで生成することを特徴とする請求項12記載の球状化粒子製造方法。
【請求項14】
前記原料溶液を熱分解し、球状化粒子を生成させるのに適した温度分布が前記球状化炉内に形成されるように、前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナに供給される前記燃料の量及び前記支燃性ガスの量を独立して制御することを特徴とする請求項13記載の球状化粒子製造方法。
【請求項15】
前記球状化炉内の鉛直方向の温度が均一となるように、前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナに供給する前記燃料の量及び前記支燃性ガスの量を独立して制御することを特徴とする請求項14記載の球状化粒子製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球状化粒子を製造する球状化粒子製造装置及び球状化粒子製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無機酸化物の球状化粒子を製造する方法として、各種方法が知られているが、生産性や経済性の面から工業的には火炎法が広く採用されている。
火炎法は、燃料ガスと支燃性ガス(助燃ガス)とをバーナから噴出させて形成した火炎中に原料粉体を投入し、火炎の高温雰囲気内で原料粉体を溶融、或いは半溶融させて、表面張力により粉体表面を球状化させることで球状粒子を得る方法である(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0003】
図5は、特許文献3に開示された球状化粒子製造用バーナの先端部を拡大した断面図であり、図6は、図5に示す球状化粒子製造用バーナの先端の平面図である。
【0004】
ここで、図5及び図6を参照して、従来の球状化粒子製造用バーナ100の構成について説明する。
従来の球状粒子製造用バーナ100は、キャリアガスに搬送された原料粉末を供給する原料粉末供給路101と、原料粉末供給路101の外側の円周上に配置された複数の供給路からなる燃料ガス供給路102と、燃料ガス供給路102の外側の円周上に配置された複数の供給路からなる旋回酸素供給路103と、旋回酸素供給路103の外側の円周上に配置された複数の供給路からなる直進酸素供給路104と、直進酸素供給路104の外側の円周上に配置された冷却水通路105a,105bと、先端側に拡径した燃焼室106と、を有する。
【0005】
原料粉末供給路101の先端には、燃焼室106の底部108に形成された複数の噴出口からなる原料粉末噴出口107が設けられている。また、燃料ガス供給路102の各供給路の先端には、燃料ガス噴出口109が設けられている。
旋回酸素供給路103の各供給路の先端には、旋回酸素噴出口110が設けられている。また、直進酸素供給路104の各供給路の先端には、直進酸素噴出口111が設けられている。
【0006】
図7は、特許文献3に開示された従来の球状化粒子製造装置の概略構成を示す図である。
ここで、図7を参照して、従来の球状化粒子製造装置120について説明する。
従来の球状化粒子製造装置120は、原料フィーダー121と、キャリアガス供給経路123と、バーナ124と、酸素供給設備126と、LPG供給設備127と、球状化炉128と、空気供給経路131と、サイクロン132と、バグフィルター133と、を有する。火炎を形成するバーナ124の先端は、球状化炉128内に収容されている。つまり、球状化炉128内に、火炎が形成される。
【0007】
上記構成とされた従来の球状化粒子製造装置120では、原料粉体が原料フィーダー121から切り出され、原料粉体がキャリアガス供給経路123から供給されるキャリアガスに同伴されてバーナ124に搬送される。
【0008】
バーナ124には、酸素供給設備126からの酸素が供給されると共に、LPG供給設備127から燃焼ガスが供給されており、球状化炉128内に形成される火炎中を原料粉体が通過することで、球状化粒子が生成される。
その後、球状化粒子は、空気供給経路131を介して球状化炉128の底部に導入された空気により温度希釈され、後段に配置されたサイクロン132及びバグフィルター133で回収される。
また、上記燃料ガスとしては、メタンやプロパンを主成分とするガスが用いられる。
【0009】
この他にも、火炎を用いた球状粉末の製造技術として、生成粉末の成分を含む溶液を、高温加熱炉中にミストとして噴射し、熱分解する事で球状化粒子を生成する噴霧熱分解法がある(例えば、特許文献4,5参照。)。
上記噴霧熱分解法を用いると共に、原料溶液の組成を目的とする生成粉体の組成に合わせておくことで、目的とする金属粉末や複合酸化物粉末を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭58−145613号公報
【特許文献2】特許第3331491号公報
【特許文献3】特許第3312228号公報
【特許文献4】特許第4359667号公報
【特許文献5】特許第4619907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、特許文献1〜3に記載の方法は、シリカ(SiO)やアルミナ(Al)といった酸化物の微粒子を溶融・球状化する場合においては問題無いが、例えば、金属の原料粉末を球状化しようとすると、溶融の過程において、火炎中に存在する酸素、二酸化炭素、及び水蒸気により原料粉末が酸化されるため、酸化物の球状化粒子が生成されてしてしまうという問題があった。
【0012】
同じ酸化物の粉末でも、ガラス(BO−BaO−CaO−ZnO)やLiイオン電池に用いられる正極材活物質(例えば、LiCoOやLiMn等)のように、融点の異なる元素からなる複合酸化物を原料粉末に用いた場合においては、低沸点の元素が優先的に揮発してしまうため、原料粉末とは異なる組成の球状化粒子が生成されてしまうという問題があった。
【0013】
また、特許文献4、5に開示された噴霧熱分解法では、火炎が原料ミストや生成した粉体と直接接触する可能性がある。
この場合、前述の粉末を火炎中に投入した場合と同様に、生成した球状化粒子の酸化や、低沸点の元素が優先的に揮発するため、所定の組成が得られないといった問題があった。
また、火炎の形成にメタンやプロパンを主成分とする燃料ガスを用いる場合、これらの特許文献に記載のような火炎中に原料を直接投入する方法では、火炎中の未燃の燃料に起因するカーボンが、製品となる球状化粒子に付着、あるいは混入してしまうという問題があった。
【0014】
そこで、本発明は、火炎と原料溶液及び生成された球状化粒子とが接触することを抑制して、生成した球状化粒子の酸化、化合物における低沸点元素の揮発、及び該球状化粒子へのカーボンの付着や混入を抑制可能な球状化粒子製造装置及び球状化粒子製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明によれば、原料溶液を熱分解することで、球状化粒子を生成する球状化炉と、前記球状化炉の上端に設けられ、前記原料溶液を噴霧する噴霧ノズルと、前記球状化炉の上端と該球状化炉の底部との間に位置する該球状化炉の側壁の外側に設けられ、前記球状化炉の側壁の外面により内壁の一部が形成される複数の外燃室と、前記複数の外燃室にそれぞれ設けられ、内側に該外焼室内の空間と一体とされた空間を含み、当該空間に火炎を形成するバーナが設けられた燃焼室と、記外燃室と前記球状化炉とを連通させるように前記球状化炉の側壁を貫通しており、前記バーナにより生成された燃焼ガスを前記球状化炉内に導く複数の燃焼ガス導入孔と、を有することを特徴とする球状化粒子製造装置が提供される。
【0016】
また、請求項2に係る発明によれば、複数の前記燃焼室に設けられた前記バーナをそれぞれ独立して制御する制御部を有することを特徴とする請求項1記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0017】
また、請求項3に係る発明によれば、前記制御部は、前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナの火炎が生成する前記燃焼ガスの量を調整することを特徴とする請求項記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0018】
また、請求項4に係る発明によれば、前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナに燃料を供給する燃料供給源と、前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナに支燃性ガスを供給する支燃性ガス供給源と、前記球状化炉内に配置され、該球状化炉内の鉛直方向の温度を検出する複数の温度検出器と、を有し、前記制御部は、複数の温度検出器が検出する温度に基づいて、前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナに供給する前記燃料の量、及び前記支燃性ガスの量を調整することを特徴とする請求項2または3記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0019】
また、請求項5に係る発明によれば、前記複数の燃焼ガス導入孔は、前記火炎から離間した位置に配置することを特徴とする請求項1ないし4のうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0021】
また、請求項に係る発明によれば、前記複数の燃焼ガス導入孔を、前記球状化炉の周方向及び該球状化炉の延在方向に配置したことを特徴とする請求項1ないしのうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0022】
また、請求項に係る発明によれば、前記複数の燃焼ガス導入孔の延在方向は、前記球状化炉の接線方向と同じ方向であることを特徴とする請求項1ないしのうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0023】
また、請求項に係る発明によれば、前記複数の外燃室が設けられた前記球状化炉の側壁が、耐火物で構成されていることを特徴とする請求項1ないしのうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0025】
また、請求項に係る発明によれば、前記球状化炉の底部に位置する部分に設けられ、該球状化炉内に送風ガスを導入する送風ガス導入部と、前記球状化炉の底部に位置する部分に、前記送風ガス導入部と対向配置され、かつ前記球状化炉から前記球状化粒子を導出する球状化粒子導出部と、前記球状化粒子導出部から導出された前記球状化粒子を捕集する球状化粒子捕集装置と、を有することを特徴とする請求項1ないしのうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0026】
また、請求項10に係る発明によれば、前記球状化粒子捕集装置は、前記球状化粒子導出部と接続され、前記球状化粒子のうち、第1の粒子径とされた粒子を捕集するサイクロンと、前記サイクロンの下流に配置され、前記球状化粒子のうち、前記第1の粒子径よりも小さい第2の粒子径とされた粒子を捕集するバグフィルターと、前記サイクロンと前記バグフィルターとを接続し、かつ前記球状化粒子の一部を前記バグフィルターに輸送する球状化粒子輸送ラインと、を有することを特徴とする請求項記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0027】
また、請求項11に係る発明によれば、前記球状化粒子輸送ラインに、冷却ガスを導入する冷却ガス導入口と、前記球状化粒子輸送ラインに導入される前記冷却ガスの導入量を調整する冷却ガス調整部と、を有することを特徴とする請求項10記載の球状化粒子製造装置が提供される。
【0028】
また、請求項12に係る発明によれば、請求項1ないし11のうち、いずれか1項記載の球状化粒子製造装置を用いた球状化粒子製造方法であって、前記複数の外燃室内に生成された前記燃焼ガスを前記球状化炉内に導入し、該燃焼ガスにより、前記原料溶液を熱分解して球状化粒子を生成することを特徴とする球状化粒子製造方法が提供される。
【0029】
また、請求項13に係る発明によれば、前記燃焼ガスは、前記バーナにより燃料と支燃性ガスとを完全燃焼させることで生成することを特徴とする請求項12記載の球状化粒子製造方法が提供される。
【0030】
また、請求項14に係る発明によれば、前記原料溶液を熱分解し、球状化粒子を生成させるのに適した温度分布が前記球状化炉内に形成されるように、前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナに供給される前記燃料の量及び前記支燃性ガスの量を独立して制御することを特徴とする請求項13記載の球状化粒子製造方法が提供される。
【0031】
また、請求項15に係る発明によれば、前記球状化炉内の鉛直方向の温度が均一となるように、前記複数の燃焼室に設けられた前記バーナに供給する前記燃料の量及び前記支燃性ガスの量を独立して制御することを特徴とする請求項14記載の球状化粒子製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、原料溶液を熱分解することで、球状化粒子を生成する球状化炉と、球状化炉の上端に設けられ、原料溶液を噴霧する噴霧ノズルと、球状化炉の上端と球状化炉の底部との間に位置する球状化炉の側壁の外側に設けられ、球状化炉の側壁の外面を露出する複数の外燃室と、複数の外燃室にそれぞれ設けられ、内側に該外燃室内の空間と一体とされた空間を有する燃焼室と、燃焼室に設けられ、燃焼室内に火炎を形成するバーナと、外燃室が露出する球状化炉の側壁を貫通し、バーナにより生成された燃焼ガスを球状化炉内に導く複数の燃焼ガス導入孔と、を有することにより、球状化炉の外側に設けられた外燃室内の空間において、バーナにより燃料ガスを十分に燃焼させて、未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを生成することが可能となる。
【0033】
これにより、複数の燃焼ガス導入孔を介して、球状化炉内に未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを供給し、該燃焼ガスにより、球状化炉内にミスト状に分散された原料溶液を熱分解させて球状化粒子を生成することが可能となるので、従来よりも球状化粒子に付着するカーボンの量を低減できる。
また、原料溶液と火炎とを直接接触させないことにより、生成した球状化粒子が酸化されることを抑制できると共に、低沸点の元素が優先的に揮発することを抑制できる(所定の組成を得ることができる。)。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施の形態に係る球状化粒子製造装置の概略構成を示す模式図である。
図2図1に示す球状化炉、原料噴霧ノズル、外燃室、燃焼室、及び該燃焼室に設けられたバーナの断面図である。
図3図2に示す原料噴霧ノズルを拡大した断面図である。
図4図1に示す外燃室、燃焼室、及び該燃焼室に設けられたバーナのX方向の断面図である。
図5】特許文献3に開示された球状化粒子製造用バーナの先端部を拡大した断面図である。
図6図5に示す球状化粒子製造用バーナの先端の平面図である。
図7】特許文献3に開示された従来の球状化粒子製造装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の球状化粒子製造装置の寸法関係とは異なる場合がある。
【0036】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る球状化粒子製造装置の概略構成を示す模式図である。図1において、Y方向は、球状化炉18の延在方向(鉛直方向)を示しており、X方向は、Y方向に対して直交する面方向を示している。
【0037】
図1を参照するに、本実施の形態の球状化粒子製造装置10は、噴霧用ガス供給源11と、噴霧用ガス供給ライン11Aと、バルブ12,14,16と、支燃性ガス供給源13と、支燃性ガス供給ライン13Aと、燃料ガス供給源15(燃料供給源)と、燃料ガス供給ライン15Aと、原料溶液タンク17と、原料溶液供給ライン17A、球状化炉18と、原料噴霧ノズル19と、外燃室21〜25と、燃焼室21A,21Bと、バーナ31〜40と、燃焼ガス導入孔45〜49と、支燃性ガス流量調整弁51〜60(支燃性ガスの流量を調整するための弁)と、燃料ガス流量調整弁61〜70(燃料ガスの流量を調整するための弁)と、温度検出器75〜80と、制御部82と、送風ガス導入部84と、球状化粒子導出部85と、送風ブロア87と、空気導入口88と、球状化粒子輸送ライン89と、球状化粒子捕集装置91と、を有する。
【0038】
噴霧用ガス供給源11は、噴霧用ガス供給ライン11Aと接続されている。噴霧用ガス供給源11は、噴霧用ガス供給ライン11Aを介して、噴霧用ガスを原料噴霧ノズル19に供給可能な状態で原料噴霧ノズル19と接続されている。噴霧用ガスとしては、例えば、酸素または酸素富化空気を用いることができる。
バルブ12は、噴霧用ガス供給ライン11Aに設けられている。バルブ12を開けることで、原料噴霧ノズル19に噴霧用ガスが供給される。
【0039】
支燃性ガス供給源13は、支燃性ガス供給ライン13Aと接続されている。支燃性ガス供給源13は、支燃性ガス供給ライン13Aから分岐した分岐ラインを介して、バーナ31〜40に支燃性ガスを供給する。支燃性ガスとしては、例えば、酸素または酸素富化空気を用いることができる。
バルブ14は、支燃性ガス供給ライン13Aに設けられている。バルブ14を開けることで、支燃性ガス供給ライン13Aから分岐ラインに支燃性ガスが供給される。
【0040】
燃料ガス供給源15は、燃料ガス供給ライン15Aと接続されている。燃料ガス供給源15は、燃料ガス供給ライン15Aから分岐した分岐ラインを介して、バーナ31〜40に燃料ガスを供給する。燃料ガスとしては、例えば、ブタン(CH−CH−CH−CH)やプロパン(C)等を主成分とするLPG(Liquefied petroleum gas)を用いることができる。
バルブ16は、燃料ガス供給ライン15Aに設けられている。バルブ16を開けることで、燃料ガス供給ライン15Aから分岐ラインに燃料ガスが供給される。
なお、本実施の形態では、燃料として燃料ガスを用いた場合を例に挙げて説明するが、燃料ガスに替えて液体の燃料を用いてもよい。
【0041】
原料溶液タンク17は、原料溶液供給ライン17Aと接続されている。原料溶液タンク17には、原料溶液タンク17を加圧するための窒素ガスライン(図示せず)が接続されている。
窒素ガスで原料溶液タンク17を加圧することで、原料溶液供給ライン17Aを介して、原料溶液を原料噴霧ノズル19に供給する。
【0042】
図2は、図1に示す球状化炉、原料噴霧ノズル、外燃室、燃焼室、及び該燃焼室に設けられたバーナの断面図であり、図3は、図2に示す原料噴霧ノズルを拡大した断面図である。
【0043】
図1及び図2を参照するに、球状化炉18は、Y方向(鉛直方向)に延在する竪型炉である。球状化炉18は、例えば、円筒形状とすることができる。本実施の形態では、球状化炉18が円筒形状の場合を例に挙げて、以下の説明を行う。
球状化炉18は、燃焼室21〜25内で生成され、球状化炉18内に導入された燃焼ガスにより、原料噴霧ノズル19を介して、球状化炉18の上端18Aから供給された原料溶液を加熱分解させることで球状化粒子を生成する。
【0044】
球状化炉18の側壁18Cのうち、少なくとも外燃室21〜25が露出する部分は、耐火物(例えば、煉瓦や不定形キャスタブル等)で構成するとよい。
これにより、バーナ31〜40が形成する火炎により球状化炉18の側壁18Cが損傷することを抑制できる。なお、球状化炉18の側壁18C全体を上記耐火物で構成してもよい。
【0045】
また、図示していないが、球状化炉18の側壁18Cを冷却する水冷ジャケットを設けてもよい。これにより、球状化炉18の側壁18Cの内面に原料溶液が付着することを抑制できる。
【0046】
図3は、図2に示す原料噴霧ノズルを拡大した断面図である。
図1図3を参照するに、原料噴霧ノズル19は、噴霧用ガス供給ライン11A、原料溶液供給ライン17A、及び球状化炉18の上端18A(頂部)と接続されている。
原料噴霧ノズル19は、原料液体供給部19Aと、噴霧ガス供給部19Bと、冷却水供給部19Cと、噴霧原料噴出孔19Dと、を有する。
原料液体供給部19Aは、筒状とされており、球状化炉18と同じ方向に延在している。原料液体供給部19Aは、その上端に、原料溶液供給ライン17Aと接続された原料液体供給口19A−1を有する。
【0047】
噴霧ガス供給部19Bは、原料液体供給部19Aから離間した状態で、原料液体供給部19Aの外壁を囲むように配置されている。これにより、原料液体供給部19Aと噴霧ガス供給部19Bとの間に、噴霧ガスが供給可能な空間が形成されている。
噴霧ガス供給部19Bは、該空間、及び噴霧用ガス供給ライン11Aと接続された噴霧ガス供給口19B−1を有する。
【0048】
冷却水供給部19Cは、噴霧ガス供給部19Bから離間した状態で、噴霧ガス供給部19Bの下部外壁を囲むように配置されている。これにより、噴霧ガス供給部19Bと冷却水供給部19Cとの間に、冷却水が流動可能な空間が形成されている。
冷却水供給部19Cは、該空間と接続された冷却水入口19C−1及び冷却水出口19C−2を有する。冷却水入口19C−1は、図示していない冷却水供給源と接続されている。また、冷却水出口19C−2は、図示していない冷却水回収部と接続されている。
【0049】
噴霧原料噴出孔19Dは、原料液体供給部19Aの下端と対向する位置に配置されている。噴霧原料噴出孔19Dは、噴霧ガス供給部19Bの内壁により構成されている。
噴霧原料噴出孔19Dは、原料溶液供給ライン17Aを介して供給された原料溶液を球状化炉18の上端18A側に噴霧するための孔である。
【0050】
外燃室21〜25は、球状化炉18の上端18Aと球状化炉18の底部18Bとの間に位置する球状化炉18の側壁18Cの外側に設けられている。
外燃室21は、球状化炉18の上端18A側に配置されている。外燃室21は、外燃室21〜25のうちで、最上層に配置された外燃室である。外燃室21は、球状化炉18の周方向において、球状化炉18の側壁18Cの外面18aを露出するリング状の空間Cを有する。
【0051】
燃焼室21A,21Bは、外燃室21に設けられている。燃焼室21A,21Bは、外燃室21に設けられている。燃焼室21A,21Bは、その内側に外燃室21内の空間Cと一体とされた空間を有する。燃焼室21A内の空間には、バーナ31の火炎が収容され、燃焼室21B内の空間には、バーナ32の火炎が収容される。
上記構成とされた燃焼室21A,21Bは、外燃室22〜25にもそれぞれ設けられている。
【0052】
外燃室22〜25は、外燃室21と同様な構成とされている。つまり、外燃室22〜25は、球状化炉18の周方向において、球状化炉18の側壁18Cの外面18aを露出する空間Cを有する。
【0053】
外燃室22は、外燃室21の直下に配置されている。外燃室23は、外燃室22の直下に配置されている。外燃室24は、外燃室23の直下に配置されている。外燃室25は、外燃室24の直下に配置されている。外燃室25は、外燃室21〜25のうちで、最下層に配置された外燃室である。
【0054】
なお、本実施の形態では、鉛直方向に5つの外燃室21〜25を配置した場合を例に挙げて説明したが、外燃室の数は、必要に応じて適宜選択することができ、これに限定されない。つまり、外燃室の数は、2つ以上であればよい。
【0055】
図4は、図1に示す外燃室、燃焼室、及び該燃焼室に設けられたバーナのX方向の断面図である。
図2及び図4を参照するに、バーナ31は、火炎を形成する先端が外燃室21に設けられた燃焼室21A内に収容されるように、燃焼室21Aに設けられている。バーナ31は、支燃性ガス供給ライン13Aから分岐し、かつ支燃性ガス流量調整弁51が設けられた分岐ラインを介して、支燃性ガス供給源13と接続されている。
また、バーナ31は、燃料ガス供給ライン15Aから分岐し、かつ燃料ガス流量調整弁61が設けられた分岐ラインを介して、燃料ガス供給源15と接続されている。
【0056】
バーナ32は、火炎を形成する先端が外燃室21に設けられた燃焼室21B内に収容されるように、燃焼室21Bに設けられている。これにより、バーナ31,32は、球状化炉18を介して、対向配置されている。バーナ32は、支燃性ガス供給ライン13Aから分岐し、かつ支燃性ガス流量調整弁52が設けられた分岐ラインを介して、支燃性ガス供給源13と接続されている。
【0057】
また、バーナ32は、燃料ガス供給ライン15Aから分岐し、かつ燃料ガス流量調整弁62が設けられた分岐ラインを介して、燃料ガス供給源15と接続されている。
上記バーナ31,32は、燃料ガス(燃料)と支燃性ガスとを完全燃焼させることで、外燃室21内の空間Cに未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを生成する。
【0058】
図2を参照するに、バーナ33は、火炎を形成する先端が外燃室22に設けられた燃焼室21A内に収容されるように、燃焼室21Aに設けられている。バーナ33は、支燃性ガス供給ライン13Aから分岐し、かつ支燃性ガス流量調整弁53が設けられた分岐ラインを介して、支燃性ガス供給源13と接続されている。
また、バーナ33は、燃料ガス供給ライン15Aから分岐し、かつ燃料ガス流量調整弁63が設けられた分岐ラインを介して、燃料ガス供給源15と接続されている。
【0059】
バーナ34は、外燃室22に設けられた燃焼室21B内に収容されるように、燃焼室21Bに設けられている。これにより、バーナ33,34は、球状化炉18を介して、対向配置されている。バーナ34は、支燃性ガス供給ライン13Aから分岐し、かつ支燃性ガス流量調整弁54が設けられた分岐ラインを介して、支燃性ガス供給源13と接続されている。
【0060】
また、バーナ34は、燃料ガス供給ライン15Aから分岐し、かつ燃料ガス流量調整弁64が設けられた分岐ラインを介して、燃料ガス供給源15と接続されている。
上記バーナ33,34は、燃料ガス(燃料)と支燃性ガスとを完全燃焼させることで、外燃室22内の空間Cに未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを生成する。
【0061】
バーナ35は、外燃室23に設けられた燃焼室21A内に収容されるように、燃焼室21Aに設けられている。バーナ35は、支燃性ガス供給ライン13Aから分岐し、かつ支燃性ガス流量調整弁55が設けられた分岐ラインを介して、支燃性ガス供給源13と接続されている。
また、バーナ35は、燃料ガス供給ライン15Aから分岐し、かつ燃料ガス流量調整弁65が設けられた分岐ラインを介して、燃料ガス供給源15と接続されている。
【0062】
バーナ36は、外燃室23に設けられた燃焼室21B内に収容されるように、燃焼室21Bに設けられている。これにより、バーナ35,36は、球状化炉18を介して、対向配置されている。バーナ36は、支燃性ガス供給ライン13Aから分岐し、かつ支燃性ガス流量調整弁56が設けられた分岐ラインを介して、支燃性ガス供給源13と接続されている。
【0063】
また、バーナ36は、燃料ガス供給ライン15Aから分岐し、かつ燃料ガス流量調整弁66が設けられた分岐ラインを介して、燃料ガス供給源15と接続されている。
上記バーナ35,36は、燃料ガス(燃料)と支燃性ガスとを完全燃焼させることで、外燃室23内の空間Cに未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを生成する。
【0064】
バーナ37は、外燃室24に設けられた燃焼室21A内に収容されるように、燃焼室21Aに設けられている。バーナ37は、支燃性ガス供給ライン13Aから分岐し、かつ支燃性ガス流量調整弁57が設けられた分岐ラインを介して、支燃性ガス供給源13と接続されている。
また、バーナ37は、燃料ガス供給ライン15Aから分岐し、かつ燃料ガス流量調整弁67が設けられた分岐ラインを介して、燃料ガス供給源15と接続されている。
【0065】
バーナ38は、外燃室24に設けられた燃焼室21B内に収容されるように、燃焼室21Bに設けられている。これにより、バーナ37,38は、球状化炉18を介して、対向配置されている。バーナ38は、支燃性ガス供給ライン13Aから分岐し、かつ支燃性ガス流量調整弁58が設けられた分岐ラインを介して、支燃性ガス供給源13と接続されている。
【0066】
また、バーナ38は、燃料ガス供給ライン15Aから分岐し、かつ燃料ガス流量調整弁68が設けられた分岐ラインを介して、燃料ガス供給源15と接続されている。
上記バーナ37,38は、燃料ガス(燃料)と支燃性ガスとを完全燃焼させることで、外燃室24内の空間Cに未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを生成する。
【0067】
バーナ39は、外燃室25に設けられた燃焼室21A内に収容されるように、燃焼室21Aに設けられている。バーナ39は、支燃性ガス供給ライン13Aから分岐し、かつ支燃性ガス流量調整弁59が設けられた分岐ラインを介して、支燃性ガス供給源13と接続されている。
また、バーナ39は、燃料ガス供給ライン15Aから分岐し、かつ燃料ガス流量調整弁69が設けられた分岐ラインを介して、燃料ガス供給源15と接続されている。
【0068】
バーナ40は、外燃室25に設けられた燃焼室21B内に収容されるように、燃焼室21Bに設けられている。これにより、バーナ39,40は、球状化炉18を介して、対向配置されている。バーナ40は、支燃性ガス供給ライン13Aから分岐し、かつ支燃性ガス流量調整弁60が設けられた分岐ラインを介して、支燃性ガス供給源13と接続されている。
【0069】
また、バーナ40は、燃料ガス供給ライン15Aから分岐し、かつ燃料ガス流量調整弁70が設けられた分岐ラインを介して、燃料ガス供給源15と接続されている。
上記バーナ39,40は、燃料ガス(燃料)と支燃性ガスとを完全燃焼させることで、外燃室25内の空間Cに未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを生成する。
【0070】
バーナ31〜40は、例えば、同じ構成とする(言い換えれば、同じ構成とされたバーナを用いる)ことができる。この場合、バーナ31〜40としては、例えば、煤の混入を抑制するならば予混合型のバーナが望ましいが、逆火の危険性を回避したい場合には、拡散燃焼型のバーナを用いることも可能である。
なお、必要に応じて、様々な種類のバーナを組み合わせてもよい。
【0071】
また、バーナ31〜40の火炎が生成する燃焼ガスの量は、燃料ガスの流量及び支燃性ガスの流量により調整する。また、支燃性ガスの流量は、燃料ガスが完全燃焼するために必要な量と同じか、或いはこれ以上とする。
【0072】
図2及び図4を参照するに、燃焼ガス導入孔45は、外燃室21の空間Cが露出する球状化炉18の外壁18Cを貫通するように複数(本実施の形態の場合、4つ)設けられている。
燃焼ガス導入孔46は、外燃室22の空間Cが露出する球状化炉18の外壁18Cを貫通するように複数(本実施の形態の場合、4つ)設けられている。
燃焼ガス導入孔47は、外燃室23の空間Cが露出する球状化炉18の外壁18Cを貫通するように複数(本実施の形態の場合、4つ)設けられている。
【0073】
燃焼ガス導入孔48は、外燃室24の空間Cが露出する球状化炉18の外壁18Cを貫通するように複数(本実施の形態の場合、4つ)設けられている。
燃焼ガス導入孔49は、外燃室25の空間Cが露出する球状化炉18の外壁18Cを貫通するように複数(本実施の形態の場合、4つ)設けられている。
【0074】
燃焼ガス導入孔45〜49は、外燃室21内で生成された燃焼ガスを球状化炉18内に導入するため孔である。
燃焼ガス導入孔45〜49は、その延在方向が球状化炉18の接線方向と同じ方向となるように、球状化炉18の周方向に対して所定の間隔で配置されている。
【0075】
このように、球状化炉18内に燃焼ガスを供給する複数の燃焼ガス導入孔45〜49の延在方向を球状化炉18の接線方向と同じ方向にすることにより、球状化炉18内に供給された燃焼ガスにより強い旋回流を発生させることが可能となる。
これにより、原料噴霧ノズル19から噴霧した原料溶液を加熱分解した際に、生成した球状化粒子に燃焼ガスを効率良く吹き付けることができると共に、生成した球状化粒子が球状化炉18の内壁に付着することを抑制できる。
【0076】
また、複数の燃焼ガス導入孔45〜49は、バーナ31〜40が形成する火炎から離間した位置に配置されている。
このように、バーナ31〜40が形成する火炎から離間した位置に複数の燃焼ガス導入孔45〜49を設けることにより、複数の燃焼ガス導入孔45〜49をバーナ31〜40が形成する火炎の近傍に設けた場合と比較して、球状化炉18内に未燃の燃料ガスが導入されることを抑制できる。
【0077】
なお、図2及び図4では、一例として、球状化炉18の周方向に4つの燃焼ガス導入孔45〜49を設けた場合を例に挙げて説明したが、球状化炉18の周方向に配置する燃焼ガス導入孔45〜49の数は、これに限定されない。
また、図2では、燃焼ガス導入孔45〜49の一例として、球状化炉18の周方向のみに各燃焼ガス導入孔45〜49を設けた場合を例に挙げて説明したが、燃焼ガス導入孔45〜49を、それぞれ球状化炉18の周方向及び球状化炉18の延在方向(鉛直方向)に設けてもよい。
【0078】
このように、球状化炉18の上端18Aと球状化炉18の底部18Bとの間に位置する球状化炉18の側壁18Cの外側に、球状化炉18の側壁18Cの外面18aを露出し、かつ球状化炉18の延在方向(鉛直方向)に対して配置された外燃室21〜25と、外燃室21〜25に設けられ、かつ内側に該外燃室21〜25の空間Cと一体とされた空間を有する燃焼室21A,21Bと、燃焼室21A,21Bに設けられ、燃焼室21A,21B内に火炎を形成するバーナ31〜40と、外燃室21〜25が露出する球状化炉18の側壁18Cを貫通し、バーナ31〜40により生成された燃焼ガスを球状化炉18内に導く燃焼ガス導入孔45〜49と、を有することにより、球状化炉18の外側に設けられた外燃室21〜25の空間Cにおいてバーナ31〜40により燃料ガスを十分に燃焼させて、未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを生成することが可能となる。
【0079】
これにより、燃焼ガス導入孔45〜49を介して、球状化炉18内に導入された未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスにより、噴霧された原料溶液を加熱分解させて、球状化粒子を生成することが可能となるので、球状化粒子に付着及び混入するカーボンの量を低減できる。
【0080】
図2を参照するに、温度検出器75〜80は、球状化炉18内であって、球状化炉18の上端を構成する壁の内面18b(基準面)の下方の鉛直方向に、温度検出器75、温度検出器76、温度検出器77、温度検出器78、温度検出器79、温度検出器80の順で配置されている。
【0081】
具体的には、例えば、内面18bから100mmの位置に温度検出器75を配置し、内面18bから300mmの位置に温度検出器76を配置し、内面18bから600mmの位置に温度検出器77を配置し、内面18bから900mmの位置に温度検出器78を配置し、内面18bから1200mmの位置に温度検出器79を配置し、内面18bから1450mmの位置に温度検出器80を配置することができる。
【0082】
温度検出器75〜80は、それぞれ制御部82と電気的に接続されている。温度検出器75〜80は、それぞれ検出した球状化炉18内の温度を制御部82に送信する。温度検出器75〜80としては、例えば、R熱電対(1600℃程度の温度まで検出可能な高温用の熱電対)を用いることができる。
【0083】
なお、図2では、6つの温度検出器を設けた場合を例に挙げて説明したが、温度検出器の数は、これに限定されない。また、球状化炉18内における温度検出器75〜80の設置位置は、図2に示す温度検出器75〜80の位置に限定されないが、球状化粒子の生成の邪魔にならないような場所が好ましい。
【0084】
図1を参照するに、制御部82は、温度検出器75〜80が検出した球状化炉18内の温度に関するデータを受信可能な状態で、温度検出器75〜80と電気的に接続されている。
また、制御部82は、支燃性ガス流量調整弁51〜60及び燃料ガス流量調整弁61〜70を制御可能な状態で、支燃性ガス流量調整弁51〜60及び燃料ガス流量調整弁61〜70と電気的に接続されている。
【0085】
制御部82は、温度検出器75〜80が検出した温度に基づいて、球状化炉18内の温度分布が溶融させる原料粉体の特性に応じた温度分布(例えば、球状化炉18内の鉛直方向の温度が均一)となるように、支燃性ガス流量調整弁51〜60及び燃料ガス流量調整弁61〜70の開度を調整して、外燃室21〜25から球状化炉18内に導入される燃焼ガスの量を調節する。
【0086】
このように、球状化炉18内の鉛直方向の温度を検出する温度検出器75〜80と、バーナ31〜40に供給する支燃性ガスの量を調整する支燃性ガス流量調整弁51〜60と、バーナ31〜40に供給する燃料ガスの量を調整する燃料ガス流量調整弁61〜70と、温度検出器75〜80、支燃性ガス流量調整弁51〜60、及び燃料ガス流量調整弁61〜70と電気的に接続された制御部82と、を有することにより、温度検出器75〜80が検出した温度に基づいて、制御部82により支燃性ガス流量調整弁51〜60及び燃料ガス流量調整弁61〜70を制御して外燃室21〜25から球状化炉18内に導入される燃焼ガスの量を調節することが可能となるので、球状化炉18内の鉛直方向の温度ばらつきを極力小さくすることができる。
【0087】
ところで、本実施の形態の球状化粒子製造装置10では、球状化炉18の鉛直方向に配置された外燃室21〜25と、外燃室21〜25に設けられた燃焼室21A,21Bに配置されたバーナ31〜40と、を有するので、図1及び図2に示す球状化粒子製造装置10に設けられた支燃性ガス流量調整弁51〜60、燃料ガス流量調整弁61〜70、温度検出器75〜80、及び制御部82を構成要素から除いた場合でも、球状化炉18内の下部の温度と球状化炉18の上部の温度の差を小さくすることが可能となる。
【0088】
送風ガス導入部84は、球状化炉18の底部18Bに設けられている。送風ガス導入部84は、送風ブロア87と接続されており、送風ブロア87から送られるエアを球状化炉18の底部18B内に導入する。
球状化粒子導出部85は、球状化炉18の側壁18Cのうち、球状化炉18の底部18Bに位置する部分に、送風ガス導入部84と対向するように設けられている。球状化粒子導出部85は、送風ブロア87から送られるエアにより、球状化炉18から球状化粒子を導出する。送風ブロア87は、送風ガス導入部84にエアを供給するためのものである。
【0089】
冷却ガス導入口88は、サイクロン95の上端と接続されている。冷却ガス導入口88は、サイクロン95の上端を介して、球状化粒子輸送ライン89内に冷却ガス(例えば、空気)を導入するための導入口である。
また、バグフィルター96の後段には、ブロア(図示せず)が設けられており、該ブロアにより吸引することで、冷却ガスが冷却ガス導入口88から導入される。
【0090】
フィルター(図示せず)及び冷却ガス調整部(図示せず)は、冷却ガス導入口88に設けられている。冷却ガス調整部は、球状化粒子輸送ライン89に導入される冷却ガスの導入量を調整するためのものである。冷却ガス調整部としては、例えば、ダンパーを用いることができる。
このように、冷却ガス調整部としてダンパーを用いることにより、ダンパーの角度を調整することで、球状化粒子輸送ライン89に導入される冷却ガスの導入量を調整できる。
【0091】
また、送風ブロア87からの送風量と冷却ガス導入口88からの冷却ガスの導入量とを調整してサイクロン95に導入される風量を変えることにより、サイクロン95及びバグフィルター96で捕集する球状化粒子の粒度分布を変化させることができる。
また、送風ブロア87からの送風量を増やし、球状化粒子を輸送する気体の流速を大きくすることで、サイクロン95で捕集される球状化粒子の粒径を小さくすることができる。
【0092】
球状化粒子輸送ライン89は、一端がサイクロン95の上端と接続され、他端がバグフィルター96と接続されている。
【0093】
球状化粒子捕集装置91は、球状化粒子導出部85から導出された球状化粒子を捕集する装置であり、サイクロン95と、バグフィルター96と、を有する。
サイクロン95は、球状化炉18の下流側に設けられており、球状化粒子導出部85を介して、球状化炉18の底部18Bと接続されている。サイクロン95は、球状化粒子導出部85を介して輸送された球状化粒子のうち、第1の粒子径とされた球状化粒子を捕集する。第1の粒子径とされた球状化粒子は、サイクロン95の下端から捕集される。第1の粒子径は、後述する第2の粒子径よりも大きい値となる。
【0094】
バグフィルター96は、サイクロン95の下流側に設けられており、球状化粒子輸送ライン89を介して、サイクロン95の上端と接続されている。バグフィルター96は、第1の粒子径よりも小さい第2の粒子径とされた球状化粒子を捕集する。
【0095】
本実施の形態の球状化粒子製造装置によれば、原料溶液を熱分解することで、球状化粒子を生成する球状化炉18と、球状化炉18の上端18Aに設けられ、原料溶液を噴霧する噴霧ノズル19と、球状化炉18の上端18Aと球状化炉18の底部との間に位置する球状化炉18の側壁18Cの外側に設けられ、球状化炉18の側壁18Cの外面18aを露出する外燃室21〜25と、外燃室21〜25設けられ、内側に外燃室21〜25内の空間Cと一体とされた空間を有する燃焼室21A,21Bと、燃焼室21A,21Bに設けられ、燃焼室21A,21B内に火炎を形成するバーナ31〜40と、外燃室21〜25が露出する球状化炉18の側壁18Cを貫通し、バーナ31〜40により生成された燃焼ガスを球状化炉18内に導く燃焼ガス導入孔45〜49と、を有することにより、球状化炉18の外側に設けられた外燃室21〜25内の空間Cにおいて、バーナ31〜40により燃料ガスを十分に燃焼させて、未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを生成することが可能となる。
【0096】
これにより、燃焼ガス導入孔45〜49を介して、球状化炉18内に未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを供給し、該燃焼ガスにより、球状化炉18内にミスト状に分散された原料溶液を熱分解させて球状化粒子を生成することが可能となるので、従来よりも球状化粒子に付着するカーボンの量を低減できる。
また、原料溶液と火炎とを直接接触させないことにより、生成した球状化粒子が酸化されることを抑制できると共に、低沸点の元素が優先的に揮発することを抑制できる(所定の組成を得ることができる。)
【0097】
次に、上記構成とされた球状化粒子製造装置10を用いた球状化粒子製造方法について、以下の方法により、球状化粒子を生成する。
始めに、バーナ31〜40に燃料ガス及び支燃性ガスを供給し、外燃室21〜25内で燃料ガスを完全燃焼させて、未燃の燃料ガスがほとんど含まれていない燃焼ガスを生成し、燃焼ガス導入孔45〜49を介して、該燃焼ガスを球状化炉18内に導入させる。
【0098】
次いで、温度検出器75〜80により、球状化炉18内の鉛直方向の温度を検出し、検出した温度に基づいて、球状化炉18内の鉛直方向の温度が均一となるように、制御部82により、バーナ31〜40に供給する支燃性ガス及び燃料ガスの流量を調整する。
なお、バーナ31〜40に供給する支燃性ガス及び燃料ガスの流量の調整は、必要に応じて行えばよい。
【0099】
次いで、球状化炉18内の鉛直方向の温度が均一となった状態で、原料噴霧ノズル19を介して、球状化炉18の上端18Aから球状化炉18内に原料溶液を分散させる。
【0100】
その後、球状化炉18内に導入され、かつ鉛直方向の温度が均一とされた燃焼ガスにより原料溶液を熱分解することで、球状化粒子が生成される。
生成された球状化粒子は、球状化粒子捕集装置91を構成するサイクロン95及びバグフィルター96により捕集される。
【0101】
このとき、サイクロン95では、球状化粒子のうち、第1の粒子径とされた球状化粒子が捕集され、バグフィルター96では、球状化粒子のうち、第1の粒子径よりも小さい第2の粒子径とされた球状化粒子が捕集される。
【0102】
本実施の形態の球状化粒子製造方法によれば、バーナ31〜40の火炎により生成された外燃室21〜25内に存在する燃焼ガスを球状化炉18内に導いて、該燃焼ガスにより原料溶液を熱分解して、球状化粒子を生成することにより、未燃の燃料ガスをほとんど含まない燃焼ガスを用いて球状化粒子を生成することが可能となるので、従来よりも球状化粒子に付着及び混入するカーボンの量を低減できる。
【0103】
また、原料溶液と火炎とを直接接触させないことにより、生成した粉体が酸化されることを抑制できると共に、低沸点の元素が優先的に揮発することを抑制できる(所定の組成を得ることができる。)。
【0104】
さらに、球状化炉18内の鉛直方向の温度が均一となるように、バーナ31〜40に供する支燃性ガス及び燃料ガスの流量を調整し、外燃室21〜25から球状化炉18内に導入される燃焼ガスの量を調節することで、球状化炉18内の下部の温度と球状化炉18の上部の温度の差が極力小さくなるため、高温の燃焼ガス中における原料溶液の滞留時間を長くすることが可能となる。
【0105】
なお、本実施の形態では、一例として、球状化炉18内の鉛直方向の温度が均一となるように、支燃性ガス流量調整弁51〜60及び燃料ガス流量調整弁61〜70を制御する場合を例に挙げて説明したが、原料溶液の特性によっては、該原料溶液を熱分解するのに最適な温度分布を球状化炉18内に形成してもよい。
【0106】
また、本発明は、原料溶液を加熱分解させるのに適した温度分布が球状化炉18内に形成されるように、バーナ31〜40を独立して制御して、外燃室21〜25内に生成される燃焼ガスの量を異ならせる場合に適用可能である。
【0107】
なお、図1及び図2に示す球状化粒子製造装置10に設けられた支燃性ガス流量調整弁51〜60、燃料ガス流量調整弁61〜70、温度検出器75〜80、及び制御部82を構成要素から除いた球状化粒子製造装置を用いて球状化粒子を生成する場合は、制御部82によるバーナ31〜40に供給する支燃性ガス及び燃料ガスの流量を調整する工程を除くこと以外は、本実施の形態の球状化粒子製造方法と同様な手法により球状化粒子を生成できる。
【0108】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0109】
例えば、本実施の形態では、1つの外燃室21に対して2つのバーナ(言い換えれば、一対のバーナ31,32)及び燃焼室21A,21Bを配置した用いた場合を例に挙げて説明したが、1つの外燃室21に対して4つのバーナ(言い換えれば、それぞれ2つのバーナ31,32)及び2つの燃焼室21A,21Bを設けてもよい。
【0110】
これにより、燃焼ガスの温度をさらに高温にすることが可能となるため、融点の高い球状化粒子を生成する際に、特に有効となる。なお、本発明で使用するバーナの数は、図2及び図4に限定されない。
【0111】
(実施例)
図1に示す無機質球状化粒子製造装置10を用い、マンガン酸リチウム粉体(LiMn)の製造を行った。原料溶液として、硝酸リチウム及び硝酸マンガンを用い、かつLi/Mnのモル比が0.56となるように1Mの原料溶液を調整した。
【0112】
原料溶液は、原料溶液タンク17に貯留し、原料溶液タンク17を窒素ガスで加圧することで、原料溶液タンク17と原料噴霧ノズル19を接続する原料溶液供給ライン17に原料溶液を供給した。原料溶液供給ライン17には、流量計及び流量調節弁(共に図示せず)を設けることで、原料溶液の供給量を調整した。また、噴霧ガスとして、酸素ガスを用いた。燃料には、LPGを用い、支燃性ガスには、酸素を用いた。
【0113】
表1に各流体の供給量を示す。なお、表1において、噴霧ガス、燃料、及び支燃性ガスは、標準状態(0℃、1気圧)に換算した場合の流量を示している。また、燃料及び支燃性ガスは、1つのバーナに供給する供給量と、全てのバーナに供給する総量の供給量と、を併記した。
【0114】
【表1】
【0115】
上記条件を用いて、マンガン酸リチウムの粒子を製造し、マンガン酸リチウム粒子のLi/Mnを測定し、所望する組成の粒子が得られているかどうかを確認した。この結果を表2に示す。
【0116】
【表2】
【0117】
(比較例)
比較例として、図7に示す従来の球状化粒子製造装置を用いて、球状化炉に直接バーナを設置し、火炎で直接炉内の加熱を行ってマンガン酸リチウムの球状粒子を製造した。各流体の供給量は、表1と同じ条件を用いた。
比較例の製造方法により得られたマンガン酸リチウム粒子のLi/Mnを測定し、所望する組成の粒子が得られているかどうかを確認した。この結果を表2に示す。
【0118】
(評価結果のまとめ)
表2を参照するに、比較例の製造方法では、原料溶液のLi/Mnの組成と同じマンガン酸リチウム球状化粒子を製造できなかった。
一方、実施例の製造方法では、原料溶液のLi/Mnの組成と同じマンガン酸リチウム球状化粒子を製造できることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、原料溶液を用いた球状化粒子製造装置及び球状化粒子製造方法に適用可能である。
【符号の説明】
【0120】
10…球状化粒子製造装置、11…噴霧用ガス供給源、11A…噴霧用ガス供給ライン、12,14,16…バルブ、13…支燃性ガス供給源、13A…支燃性ガス供給ライン、15…燃料ガス供給源、15A…燃料ガス供給ライン、17…原料溶液タンク、17A…原料溶液供給ライン、18…球状化炉、18a…外面、18b…内面、18A…上端、18B…底面、18C…側壁、19…原料噴霧ノズル、19A…原料液体供給部、19A−1…原料液体供給口、19B…噴霧ガス供給部、19B−1…噴霧ガス供給口、19C…冷却水供給部、19C−1…冷却水入口、19C−2…冷却水出口、19D…噴霧原料噴出孔、21〜25,98…外燃室、21A…燃焼室、21B…燃焼室、21C…空間、31〜40…バーナ、45〜49…燃焼ガス導入孔、51〜60…支燃性ガス流量調整弁、61〜70…燃料ガス流量調整弁、75〜80…温度検出器、82…制御部、84…送風ガス導入部、85…球状化粒子導出部、87…送風ブロア、88…空気導入口、89…球状化粒子輸送ライン、91…球状化粒子捕集装置、95…サイクロン、96…バグフィルター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7