(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記駆動連結手段は、前記吸気弁が前記吸気口を閉鎖かつ前記送風路を開放した第一の位置と、前記吸気口を開放かつ前記送風路を閉鎖した第二の位置との間を往復動作する範囲において、前記送風路に設けられた開口である前記吸気口の開口の範囲を経由して前記駆動手段から前記吸気弁を駆動することを特徴とする請求項1に記載の洗濯乾燥機。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施例を図面により説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施例に係るもので、洗濯乾燥機の斜視図を示す。ベース1の上部には鋼板と樹脂成形品で組合わされて構成された外枠2が載せられている。外枠2の正面には洗濯物30を出し入れするドア3と前面カバー22及び背面には背面カバー23が設けられている。
【0015】
図2は、本発明の実施例に係るもので、乾燥工程中盤の洗濯乾燥機の断面図を示す。
図3は、本発明の実施例に係るもので、乾燥工程後半の洗濯乾燥機の断面図を示す。
図4は乾燥工程終了時の洗濯乾燥機の断面図を示す。
図2から
図4においては後述するファンからヒータに至る部分については説明のために簡素化した模式図として示している。
【0016】
外枠2の内側には外槽20が備えられる。外槽20は下部の複数個のサスペンション21により支持されている。外槽20の内側にある回転ドラム29にはドア3を開けて投入された洗濯物30があり、回転ドラム29の開口部の外周には脱水時の洗濯物30のアンバランスによる振動を低減するための流体バランサー31が設けられている。回転ドラム29は外槽20の背面に設けられたドラム駆動用モータ36に直結されている。外槽20の開口部には弾性体からなるゴム系のパッキン38が取付けられている。このパッキン38は外槽20内とドア3との水密性を維持する役割をしている。これにより、洗い、すすぎ及び脱水時の水漏れの防止が図られている。回転ドラム29は、側壁に遠心脱水および通風用の多数の小孔(図示せず)を有する。外槽20の底壁に開口した排水口37は、排水弁8を介して排水ホース9に接続する。
【0017】
回転ドラム29内の洗濯物30を乾燥させる除湿ダクト5と送風手段たるファン61と加熱手段たるヒータ62を含む乾燥装置6は、外槽20から離して外枠2に固定(図示せず)されている。除湿ダクト5と通風口32は柔軟構造のベローズ4で略水平に接続し、除湿ダクト5の上端と洗濯乾燥機の前面に設けられた糸くずであるリントを捕集する乾燥フィルタ19とは略水平に接続され、さらに乾燥フィルタ19の出口とファン61の入口とは接続され、さらにヒータ62に接続される。ヒータ62の出口と吹出しノズル11は外槽20の最上面から中心までの間に且つ外槽20の中心より前面の位置に柔軟構造のベローズ7で外槽20に対し略垂直に接続して外槽20の振動を吸収している。排水口37、ファン61の吸気口及び吐出口には温度センサ(図示せず)が設けてある。
【0018】
このように構成したドラム式洗濯乾燥機は、洗濯工程においては、回転ドラム29内に洗濯物を投入し、排水弁8を閉じた状態で給水して外槽20に洗濯水を溜め、回転ドラム29を回転させて洗濯物30を洗濯する。また、脱水工程においては、排水弁8を開いて外槽20内の洗濯水を排水し、回転ドラム29を回転させて遠心脱水する。そして、乾燥工程前半から中盤では、排水弁8を開いた状態で回転ドラム29を回転させると共に、ファン61を運転して外槽20内の空気を通風口32から吸出して水冷除湿ダクト5内を通過させて水冷除湿した後にヒータ62で加熱して吹出しノズル11から回転ドラム29内の洗濯物30に向けて吹込む循環空気12を生成する。回転ドラム29内で洗濯物30から水分を奪って湿潤した循環空気12の除湿は、冷却水弁(図示せず)を開き冷却水供給管51から水冷除湿ダクト5内の壁面に流れ出た冷却水52を流下させ、循環空気12と触れさせることにより実現する。水冷除湿ダクト5内の壁面に流れ出た冷却水52は排水口37を通って排水ホース9により排出される。
【0019】
乾燥工程後半では、
図3に示すようにヒータ62をOFFにして冷却水52を止める。
そして、吸気弁13を開くことによりベース1下部の隙間から吸込まれた外部空気16は、外槽20の側面を流れながら外槽20、ドラム駆動用モータ36、ファン61の排熱を受けながら温められ、乾燥中盤までに外槽20の上面と外枠2の空間に溜められた高温の筐体内部空気15とともにファン61へ吸込まれる。すなわち、洗濯機の筐体内部の空気はモータ等の発熱によって外気よりも高温になっているために、その高温の空気を吸気口から吸引して洗濯物に吹付けることで効率的に乾燥を促進し、消費電力の低減を図っている。吸込まれた筐体内部空気15は、洗濯物30に吹付けられ洗濯物30から水分を奪い、湿潤して排水口37より排水ホース9を通り、排水トラップ10の水封じを破って排水口39に排出される。一般的な排水トラップの場合、水封じ高さは50〜80mm程度あるため、水封じを破るには排水ホース9側の圧力は約1000Pa以上必要となる。また、排水口39からの臭気を抑えるため、水封じを破った後も高い圧力(所定以上の圧力)を確保する必要があり、排水ホースによる排気式乾燥中は、ファン61から外槽20、排水ホース9に至るまでの空気が高い圧力を保つようにファン61を制御する。
【0020】
乾燥終了後は、
図4に示すように排水口39側の圧力より排水ホース9側の圧力を高く保ちながら水封じを破らない圧力レベルまでファン61の回転数を下げて冷却水52を流し、排水トラップ10の水封じを回復させて乾燥工程終了となる。このように、乾燥終了後に、排水ホース9側の圧力を所定以上に保ちながら排水ホースを経由して排水口39に水を供給することにより、排水口39からの臭気を抑えながら排水トラップ10の水封じを回復させることができる。なお、この排水トラップの回復は、排水ホース9側の圧力を高く保っていれば、(排水ホース排気の)乾燥運転の最後又は乾燥運転の終了後のいずれでも良い。
【0021】
次に、本実施例における吸気弁13の構成について詳細に説明する。
図2から
図4に示すように、吸気弁13は下方から上方に延伸する除湿ダクト5からファン62に向かって前方に屈曲した屈曲部24の下流側の下面側に設けられている。吸気弁13によって開閉される吸気口42も屈曲部24の下流側の下面側に設けられている。
【0022】
図5から
図8は吸気弁13近傍の縦断面を示す断面図、
図10はその斜視断面図であって、
図9は
図8におけるA−A断面であって、吸気口42が開放された状態の吸気弁13と減速ギヤの配列とを示す断面図である。
【0023】
図11は、詳細は後述するが吸気弁13を駆動する連結棒であるコンロッド59の構成を示す縦断面図である。
【0024】
図5から
図11を用いて吸気弁13の構成についてさらに詳細に説明する。吸気口42は長方形形状の開口であり、弁体53はその全周に継目なく密閉シール部材である柔軟なパッキン54が設けられていて吸気口42を密閉できるように吸気口42よりも一回り大きい長方形形状としている。このパッキン54は例えばシリコンゴムやEPDMゴムなどにより形成され、さらにその周囲には柔軟な薄いヒレ54aが突出していて吸気口42の周囲に圧接されて密閉する。
【0025】
弁体53は弁体支点66によって揺動自在に軸支されている。
【0026】
モータと弁体53とを連結して駆動する連結駆動部70の構成について説明すると、クランク55は軸部56のまわりに揺動自在に軸支され、クランク55には軸部56から偏心した位置にクランクピン57が設けられており、コンロッド59の一端である大端部60と回転自在に接続されている。
【0027】
軸部56の他端には駆動ギヤ71が一体として設けられ、例えばステッピングモータ58などのモータからの回転トルクを減速ギヤであるアイドラギヤ72を介して減速して駆動される。コンロッド59の他端には小端部63が突出されており、弁体53に設けられた受け穴64に揺動自在に嵌合されている。
【0028】
ステッピングモータ58を回転させるとモータ軸に設けられたピニオンギヤ73はアイドラギヤ72を介して駆動ギヤ71を回転し、軸部56とともにクランク55が回転し、クランクピン57が軸部56のまわりに回転する。コンロッド59の大端部60はクランクピン57とともに軸部56のまわりに回転し、小端部63を移動させる。小端部63は弁体53の受け穴64に嵌合されているので、小端部63が移動すると弁体53は弁体支点66のまわりに揺動する構成である。
【0029】
<コンロッド構成>
次に、連結棒であるコンロッド59の構成について、
図11を用いて、また適宜
図5から
図10を参照して説明する。
【0030】
コンロッド59は、大端部60を備えた略円筒状をなす下ケース74と、小端部63を備えた略円筒状をなす上ケース75とを備え、下ケース74の内径は下ケース74の外径より大として、上ケース75が下ケース74の内側に摺動自在に嵌合する構成である。下ケース74と上ケース75の内側には押しバネ76が設けられ、下ケース74と上ケース75との間を所定の力Fで互いに離反する方向に付勢される。上ケース75の外周からは止めピン77が突き出して形成され、下ケース74には円筒外形の軸方向に沿って止め穴78が設けられており、止めピン77は止め穴78と嵌合した構成である。
【0031】
図11(A)においては、大端部60と小端部63には力が加えられていない状況を示し、上ケース75と下ケース74とは押しバネ76による反力Fで互いに離反する方向に移動し、止めピン77が止め穴78の上端部79と当接して、コンロッド59の全長は最大値Lmaxとなる。
【0032】
図11(B)は、コンロッド59が力F以上の力F1で押し縮められた場合を示す。押しバネ76は押し縮められて上ケース75と下ケース74とは互いに近接してコンロッド59の全長は縮んでL(<Lmax)となり、止めピン77は止め穴78の範囲内で移動して隙間82が生じ、コンロッド59は延伸しようとする力F1を生じる状態である。
【0033】
<開閉動作>
図5は弁体53を弁体支点66のまわりに矢印40方向に一杯に回転してパッキン54を吸気口42の周囲の当接面68に押しつけて密閉し吸気口42を閉鎖した第一の位置(下死点)、
図8は弁体53を反対の矢印41方向に一杯に回転して吸気口42を開放し、パッキン54を除湿ダクト5と連通した風路80に設けられた段差部である当接部67に押しつけて密閉し、除湿ダクト5を密閉した第二の位置(上死点)を示している。ここで、乾燥空気は図示左側から図示右側に流れる。
【0034】
図6、
図7はともに上死点と下死点との間を移動途中の状態を示した図である。
【0035】
図5に示した下死点において、駆動ギヤ71とともにクランク55を矢印43方向に回動した状態であり、コンロッド59は
図11(A)に示す最大長さLmaxの状態であり、大端部60の受ける力を小端部63に伝達して弁体53を矢印40方向に作用して吸気口42を閉鎖する。このため、密閉性よく吸気口42が閉止されて、筺体内部の空気を風路内に吸引しないようにできる。
【0036】
図6は
図5の位置から駆動ギヤ71を図示時計方向に回転することで弁体53を図示反時計方向に回転し、吸気口42を開放し、かつ風路80は閉鎖されていない動作途中の状態を示す。この状態では、コンロッド59には力が加わらない状態なので、最大長さLmaxの状態を保つ。
【0037】
図7は、さらに駆動ギヤ71を図示時計方向に回転して弁体53を図示反時計方向に回転して、パッキン54が風路80内側に設けられた段差である当接部67にちょうど当接した状態を示す。この状態ではパッキン54は当接部67から反力を受けるには至らないので、コンロッド59は
図11(A)に示す最大長さLmaxの状態である。小端部63と大端部60と軸部56とは一直線上にはなく、所謂上死点よりも手前の状態である。
【0038】
図8は、さらに駆動ギヤ71を図示時計方向に回転して、コンロッド59の小端部63、大端部60、およびクランク55の軸部56が略一直線となった、所謂上死点にある状態を示す。
【0039】
図7に示した上死点よりも手前の時点ですでにパッキン54は風路80内側に設けられた段差である当接部67に当接した状態なので、
図7から
図8にいたる動作においてコンロッド59の小端部63と大端部60とは近接し、結果としてコンロッド59内部の押しバネ76は押し縮められ、長さが
図11(B)で説明したLになるものとすれば、押しバネ76はパッキン54を力F1で当接部67に押し付けて、風路80を密閉する。
【0040】
図8における上死点の位置においては、停止時にクランク55とコンロッド59の位置を安定化するために、コンロッド59の小端部63、大端部60、およびクランク55の軸部56が一直線になった位置よりもさらに余計にクランク55を回転させることは一般的である。この場合には、クランク55の軸部56とコンロッド59の小端部63との距離は上死点の状態よりも小さくなる。ここで、コンロッド59の長さが一定の構成の場合には、上死点位置においてパッキン54を当接部67に対して押し付けすぎるとモータ58の駆動負荷が過大となって駆動できないので、上死点位置であってもパッキン54が押し付けすぎにならないように、コンロッド59の長さを定める必要がある。
【0041】
一方、停止時に上死点の位置よりもさらにクランク55を回転させるとパッキン54は当接部67から離れる方向に移動するので、パッキン54の押圧が低下する。すなわちコンロッド59の長さが一定の場合にはクランク55を安定化させるとパッキン54の押圧を低下させるので密閉性が低下する、という問題がある。
【0042】
本実施例の構成においては、コンロッド59を上ケース75と下ケース74により構成し、上ケース75と下ケース74との間の押しバネ76によって長さをLmaxからLまで変化できる構成とし、さらに
図7に示す上死点よりも手前の位置からパッキン54を当接部67に当接して後、上死点にいたるまで押しバネ76を押し縮めることでバネ力を利用してパッキン54を当接部に押し付ける構成としたので、クランク55を上死点の位置よりもさらに余計に回転させた場合でも、パッキン54は押しバネ76の力Fによって当接部67に押し付けられた状態を保つので、風路80を確実に密閉できる。
【0043】
さらに、吸気口42の周囲を例えば鉄板を曲げて加工した補強板81によって補強すれば、押しバネ76の反力によって風路80のダクトが変形したり、クランク55の軸部56の位置が移動することがなく、動作が安定するので好適である。
【0044】
先に説明したように
図8の状態は吸気口42を開放して排水ホースによる排気式乾燥を行うものであって、排水トラップ10の水封じを破るために除湿ダクト5側には矢印12aで示すように約1000Pa以上の圧力が加わって弁体53を押し開こうとする。ここで、一例として弁体53の面積を50mm×150mmとすれば、その時に弁体53に作用する力は面積×圧力であるから7.5Nとなり、その圧力に抗って風路80を密閉するためには、例えば30N程度の押し力を要する。
【0045】
したがって、押しバネ76の反力Fを必要な押し力以上とし、さらにバネ定数を適切に選択することによって、風路80を確実に閉鎖できる。モータ58の出力トルク、およびピニオンギヤ73、アイドラギヤ72、駆動ギヤ71による減速比は、押しバネ76の反力に対して余裕をもつように適宜に選択すればよい。
【0046】
すなわちステッピングモータ58によりクランク55の軸部56を
図5から
図8に示した範囲で回動させることにより、弁体53を回動して吸気口42を閉鎖した下死点から、吸気口42を開放して除湿ダクト5を密閉した上死点との間を揺動でき、上死点においてパッキン54は押しバネ76の反力Fによって風路80に設けられた段差である当接部67に対して強力に押し付けるので密閉性が高い。
【0047】
また、
図5から
図8に示す上死点から下死点に至るまでの動作の全範囲において、弁体53を駆動する際のクランク55とコンロッド59は吸気口42の開口範囲の内側のみから出入りするものであり、弁体53の周囲に設けられたパッキン54以外には駆動系のための特段の気密パッキン、例えば回転駆動軸の周囲をシールするためのパッキンなどを設けなくとも気密を保てるので構造が簡単で好適である。
【0048】
パッキン54は例えば柔軟な弁体53の全周にわたって継目なく一体で設けられているので、上死点ないし下死点位置における密閉性が良好であり、空気の漏れがなく好適である。
【0049】
循環空気には乾燥中の洗濯物から離脱した繊維くずであるリントが含まれる。そのリントは屈曲部24においては遠心力によって外周側の壁面に沿って通過するので、外周側の壁面にはリントがひっかかって付着し易い。一方、本実施例における吸気弁13は風路80のうち屈曲部24の内周側に沿って設けたので、吸気弁13ないしその周囲にはリントが付着しにくいので好適である。
【0050】
さらに、
図5に示すようにパッキン54で吸気口42を閉鎖して循環空気を循環させる際には、クランク55やコンロッド59は吸気口42の外側で風路の外部にあるために、リントがクランク55やコンロッド59の支点などの回動部に付着することがないので好適である。
【0051】
図14は、洗濯乾燥機の制御装置138のブロック図である。150はマイクロコンピュータで、図示しない各スイッチに接続される操作ボタン入力回路151や水位センサ134、温度センサ152と接続され、使用者のボタン操作や洗濯工程、乾燥工程での各種情報信号を受ける。マイクロコンピュータ150からの出力は、駆動回路154に接続され、給水電磁弁116、排水弁8、モータ36、ファン61、ヒータ62、吸気弁13、冷却水弁19などに接続され、これらの開閉や回転、通電を制御する。また、使用者に洗濯機の動作状態を知らせるための例えば7セグメント発光ダイオードのような表示器114や発光ダイオード156、ブザー157に接続される。
【0052】
前記マイクロコンピュータ150は、電源スイッチ139が押されて電源が投入されると起動し、
図13に示すような洗濯および乾燥の基本的な制御処理プログラムを実行する。
【0053】
ステップS101
洗濯乾燥機の状態確認及び初期設定を行う。
【0054】
ステップS102
操作パネル106の表示器114を点灯し、図示しない操作ボタンスイッチからの指示入力にしたがって洗濯/乾燥コースを設定する。指示入力がない状態では、標準の洗濯/乾燥コースまたは前回実施の洗濯/乾燥コースを自動的に設定する。例えば、操作ボタンスイッチを指示入力された場合は、乾燥の高仕上げコースを設定する。
【0055】
ステップS103
操作パネル106の図示しないスタートスイッチからの指示入力を監視して処理を分岐する。
【0056】
ステップS104
洗濯を実行する。洗濯は洗い、中間脱水、すすぎ、最終脱水を順次実行するが、通常のドラム式洗濯乾燥機と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0057】
ステップS105
洗濯乾燥コースが設定されているかどうかを確認して処理を分岐する。洗濯コースのみが設定されている場合は、運転を終了する。
【0058】
ステップS106
外槽20の下部にある排水口37とファン吸気口の初期温度を測定する。
【0059】
ステップS107
洗濯乾燥コースが設定されている場合は、温風脱水を実行する。温風脱水は、ファン61を低速回転で運転し、ヒータ62に通電して温風を回転ドラム29内に吹込み衣類の温度を上昇させる。同時に、回転ドラム29を高速で回転させ温まった衣類から効果的に水分を脱水する(温度が上がると水の粘性が低下するため効率よく脱水できる)。本実施の形態例では、ファン61の回転数を毎分11000回転程度に設定している。これは、許容電流値(15A)を超えないようにするためである。
【0060】
ステップS108
乾燥運転1を実行する。ファン61は低速回転、ヒータ62は通電し、回転ドラム29の正逆回転を繰り返し、回転ドラム29内の衣類の位置を入れ替えながら、高温の温風を衣類に吹付ける。衣類全体の温度が上昇し衣類から水分が蒸発する。
【0061】
ステップS109
乾燥開始からの経過時間が規定の時間になったかどうかを確認して処理を分岐する。
【0062】
ステップS110
冷却水弁19を開き冷却水52を流し水冷除湿を行う。
【0063】
ステップS111
外槽20の下部にある排水口37とファン吸気口の中間温度を測定する。
【0064】
ステップS112
乾燥開始からの経過時間が規定の時間になったかどうかを確認して処理を分岐する。
【0065】
ステップS113
中間温度と初期温度の差が規定の温度になったかどうかを確認して処理を分岐する。
【0066】
ステップS114
乾燥開始から規定の時間が経過した場合、もしくは中間温度と初期温度の差が規定の温度より大きくなった場合、洗濯物の乾燥度が(=乾布の質量/湿布の質量)が0.90〜0.95と判断し、ヒータ62の通電をOFF、吸気弁13を開き、冷却水弁19を閉じ、ファン61を高速回転して洗濯物30の水分を排水ホース9から排水口39に排出する。
【0067】
ここで、吸気弁13を開くには、ステッピングモータ58に所定量の動作パルスを加えればよい。所定量の動作パルスとしては、
図5から
図8に図示した範囲の下死点から上死点に至るまでの動作量に加えて、上死点において確実にパッキン54を押し付けるまでの動作パルスを余計に印加するのが望ましい。
【0068】
ステップS115
外槽20の下部にある排水口37とファン吸気口の終了温度を測定する。
【0069】
ステップS116
排気開始からの経過時間が規定の時間になったかどうかを確認して処理を分岐する。
【0070】
ステップS117
中間温度と終了温度の差が規定の温度になったかどうかを確認して処理を分岐する。
【0071】
ステップS118
排気開始から規定の時間が経過した場合、もしくは中間温度と終了温度の差が規定の温度より大きくなった場合、洗濯物の乾燥度が(=乾布の質量/湿布の質量)が1.0以上となり乾燥が終了したと判断し、排水口39側の圧力より排水ホース9側の圧力を高く保ちながら水封じを破らない圧力レベルまでファン61の回転数を下げて冷却水弁19を開いて冷却水52を流し、排水トラップ10の水封じを回復させる。
【0072】
ステップS119
冷却水弁19を開いてからの経過時間が規定の時間になったかどうかを確認して処理を分岐する。
【0073】
ステップS120
水位センサ134の圧力が規定の圧力になったかどうかを確認して処理を分岐する。
【0074】
ステップS121
冷却水弁19を開いてから規定の時間が経過した場合、もしくは水位センサ134の圧力が規定の圧力より大きくなった場合、排水トラップ10の水封じが回復したと判断し、ファン61を停止、モータ36を停止、吸気弁13を閉じ、冷却水弁19を閉じて乾燥工程が終了する。
【0075】
ここで、吸気弁13を閉じるには、ステッピングモータ58に所定量の動作パルスを加えればよい。所定量の動作パルスとしては、
図8から
図5に図示した範囲の上死点から下死点に至るまでの動作量に加えて、さらに下死点において確実にパッキン54を押し付けるまでの動作パルスを余計に印加するのが望ましい。
【0076】
このように構成した洗濯乾燥機は、乾燥工程中盤までに洗濯物30、回転ドラム29、外槽20や外槽20の上面と外枠2の空間に溜められた筐体内部空気15などが蓄えた熱と乾いた外部空気16を用いた余熱乾燥により、乾燥工程の後半のヒータ62の消費電力量を削減できる。
【0077】
ここで、衣類6kg、ヒータ入力約600W、風量約1.5m
3/min、冷却水量0.3〜0.5L/minの条件において、乾燥後半でヒータをOFFにして外部空気を吹付ける余熱乾燥は、余熱乾燥を行わない場合と比較して乾燥工程の消費電力量全体の約10〜20%を削減できる。
【0078】
さらに、ファン61へ吸込まれる筐体内部空気14が外槽20、モータ36、ファン61などの排熱により温められた場合、直接外部空気16を吸込んだ場合と比較して乾燥工程の消費電力量全体の約5%を削減できる。
【0079】
また、外部空気16を吸込んでも排水ホース9より洗濯物30の水分を排水口39に排出するため室内の環境を悪化させずに消費電力を削減することができる。さらに、乾燥終了時に排水ホース9側の内圧を保ちながら排水トラップ10の水封じを回復させるため排水口39からの臭気が室内に漏れて環境を悪化させることはない。
【0080】
本発明の第1の実施例においては、乾燥工程の中盤に冷却水弁を開いて水冷除湿を行っているが乾燥工程の中盤の後半のみ冷却水弁を開く場合や、乾燥工程に冷却水を使用しない場合には循環空気12の温度が上昇して洗濯物30の温度が上がるため余熱乾燥時に用いられる熱容量が増加して、乾燥工程の消費電力量をさらに削減できる。なお、冷却水を使用しない場合、空冷によって除湿ダクト5や外槽20などの内壁面が除湿部となる。
【0081】
本実施例における吸気弁は、屈曲部24とファン61との間の循環空気12の流路である風路80に沿って設けたが、そのような配置に限定されるものではなく、除湿ダクト5の壁面に設けてもよく、あるいはまた屈曲部24の内周側に設けてもよい。
【0082】
また、本実施例によれば、クランク55と弁体53とを駆動連結する連結棒であるコンロッド59を上ケース75と下ケース74により構成し、上ケース75と下ケース74との間の押しバネ76によって長さをLmaxからLまで変化できる構成とし、さらに
図7に示す上死点よりも手前の位置からパッキン54を当接部67に当接して後、上死点にいたるまで押しバネ76を押し縮めることでバネ力を利用してパッキン54を当接部に押し付ける構成としたので、クランク55を上死点の位置よりもさらに余計に回転させた場合でも、パッキン54は押しバネ76の力Fによって当接部67に押し付けられた状態を保つので、風路80を確実に密閉できる、という効果がある。
【0083】
更に、本実施例によれば、パッキン54で吸気口42を閉鎖して循環空気を循環させる際には、クランク55やコンロッド59は吸気口42の外側で風路の外部にあるために、リントがクランク55やコンロッド59の支点などの回動部に付着することがない、という効果がある。
【0084】
また、本実施例によれば、乾燥運転中に筐体内の空気を吸気口から吸引して、回転ドラム又は内槽から出た空気を排気して乾燥運転が可能なため、消費電力を低減することができる、という効果がある。
【0085】
本発明の第2の実施例について、
図14を用いて説明する。
図14は本発明の第2の実施例に係る洗濯乾燥機の断面図であり、第一の実施例と異なるところは、除湿ダクト5の一部に外部と連通した排気口83を設けたことである。
【0086】
図3に示す乾燥工程後半と異なるところは、排水トラップ10には水があって排水ホース39からは排気を排出せずに、外槽20からの湿った排気は除湿ダクト5を経由して排気口83から外部に排気される。第2の実施例において、吸気弁13によって風路80の閉止が不十分だと排気口83から排気されるべき湿った排気84が外部に排出されずに再びファン61から吸引されて吹出しノズル11から外槽20内部に吹出されるので、乾燥終了までに要する消費電力が増大する。したがって、吸気弁13の密閉性を向上させることで、湿った排気84を確実に排気口83から排出させて消費電力を低減できる、という効果がある。