特許第5887213号(P5887213)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5887213
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】キャップ操作具
(51)【国際特許分類】
   B67B 3/20 20060101AFI20160303BHJP
   B67B 7/18 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
   B67B3/20
   B67B7/18
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-125082(P2012-125082)
(22)【出願日】2012年5月31日
(65)【公開番号】特開2013-249095(P2013-249095A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2014年12月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】阿部 孝之
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 明彦
【審査官】 佐野 健治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−137393(JP,A)
【文献】 特開2004−155461(JP,A)
【文献】 実開昭56−094790(JP,U)
【文献】 特開2011−098749(JP,A)
【文献】 特開2005−255187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67B 3/20
B67B 7/18
B67B 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル筒と、該ハンドル筒内に配設され、ねじキャップを径方向の外側から締め付ける締め付け帯体と、を備え、
前記ハンドル筒は、ハンドル周壁部と、前記ハンドル周壁部における径方向の内側に配置されるとともに、径方向に貫通する切欠きが形成された内側周壁部と、を備え、
前記締め付け帯体は、前記切欠きに係合された係止突片と、前記内側周壁部における径方向の内側に配置されるとともに、一端が前記係止突片に連結された帯本体と、を備え、
前記帯本体は、一端が前記係止突片を介して前記ハンドル筒に固定され、他端が前記一端よりも前記径方向の内側に位置するように、前記ねじキャップの軸線回りに湾曲していて、前記ハンドル筒を前記軸線回りに回転させたときに、該帯本体が、前記ねじキャップを巻き込んで締め付ける構成とされていることを特徴とするキャップ操作具。
【請求項2】
前記締め付け帯体の一端側部分と他端側部分とが、前記径方向で対向又は重なっていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ操作具。
【請求項3】
前記締め付け帯体の軸方向の大きさは、前記ねじキャップの軸方向の大きさより小さいことを特徴とする請求項1または2に記載のキャップ操作具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップ操作具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に記載されるような、把持部、噛合い部、及び両者をつなぐ支持部からなるキャップ開閉具が知られている。このキャップ開閉具は、噛合い部が支持部から環状に延出する帯体で構成され、把持部を回転させることで、噛合い部でねじキャップを巻き込んで締め付けて、ねじキャップを開閉させることができる。
【0003】
また、下記特許文献2に記載されるような、リング状のキャップ開放具も知られている。このキャップ開放具では、その内側にねじキャップを挿入する穴部が形成され、この内周面にねじキャップを嵌合させ、外周面を把持して回転させることで、ねじキャップを開放させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3619227号公報
【特許文献2】特許第4583497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のキャップ開閉具では、ねじキャップへの装着が容易となる反面、把持部が外側に大きく延出する構成のため、コンパクト化に改善の余地がある。
また、特許文献2にかかるキャップ開放具では、全体がリング状に構成されることでコンパクトではあるものの、ねじキャップへの装着が煩雑となるおそれ、例えば内周面にねじキャップをスムーズに入れづらい等のおそれがある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、ねじキャップへの装着が容易となり、かつコンパクト化が図れるキャップ操作具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の解決手段として、本発明は、ハンドル筒と、該ハンドル筒内に配設され、ねじキャップを径方向の外側から締め付ける締め付け帯体と、を備え、前記ハンドル筒は、ハンドル周壁部と、前記ハンドル周壁部における径方向の内側に配置されるとともに、径方向に貫通する切欠きが形成された内側周壁部と、を備え、前記締め付け帯体は、前記切欠きに係合された係止突片と、前記内側周壁部における径方向の内側に配置されるとともに、一端が前記係止突片に連結された帯本体と、を備え、前記帯本体は、一端が前記係止突片を介して前記ハンドル筒に固定され、他端が前記一端よりも前記径方向の内側に位置するように、前記ねじキャップの軸線回りに湾曲していて、前記ハンドル筒を前記軸線回りに回転させたときに、該帯本体が、前記ねじキャップを巻き込んで締め付ける構成とされていることを特徴とするキャップ操作具を提供する。
【0008】
この発明では、締め付け帯体がハンドル筒内に配設されることで、全体のコンパクト化が図れる。また、締め付け帯体がハンドル筒の回転にともなって、ねじキャップを巻き込んで締め付ける構成のため、初期状態では締め付け帯体の内径がねじキャップの外径より大きくなっており、ねじキャップへの装着を容易に行うことができる。
【0009】
また、上記キャップ操作具では、前記締め付け帯体の一端側部分と他端側部分とが、前記径方向で対向又は重なっているのが好ましい。
この場合、ねじキャップの巻き込みの際に、締め付け帯体がねじキャップの全周を締め付け、一端側部分が他端側部分に接して、他端側部分をねじキャップの径方向の内側に押し込むように作動することで、ねじキャップが締め付け帯体に強固に締め付けられるため、操作性を向上させることができる。
また、上記キャップ操作具では、前記締め付け帯体の軸方向の大きさは、前記ねじキャップの軸方向の大きさより小さくするのが好ましい。
この場合、ねじキャップの天板と、ハンドル筒の頂壁裏面とを当接させ易くすることができ、安定した操作が可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、キャップ操作具をねじキャップに容易に装着でき、かつコンパクト化が図れる。また、ねじキャップのサイズにばらつきがあった場合でも柔軟に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係るキャップ操作具の縦断面図である。
図2】第1の実施形態に係るキャップ操作具の下面図である。
図3】第1の実施形態に係るキャップ操作具を構成するハンドル筒の下面図である。
図4】第1の実施形態に係るキャップ操作具を構成する締め付け帯体の下面図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係るキャップ操作具の縦断面図である。
図6】第2の実施形態に係るキャップ操作具の下面図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係るキャップ操作具の斜視図である。
図8】第3の実施形態に係るキャップ操作具の締め付け帯体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0013】
<第1の実施形態>
図1図2は、本発明の第1の実施形態に係るキャップ操作具1の縦断面図及び下面図を示し、このキャップ操作具1は、扁平な有頂筒状のハンドル筒2と、このハンドル筒2内に配設された締め付け帯体3と、を備えている。
【0014】
以下では、ハンドル筒2の横断面で中央を通る軸線を中央軸Oといい、中央軸Oに沿ってハンドル筒2の頂部4が位置する側を上側といい、その反対側を下側という。また、中央軸Oに直交する方向を径方向といい、中央軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0015】
図3図4には、ハンドル筒2及び締め付け帯体3の各下面図が示されている。
ハンドル筒2は、例えばPP(ポリプロピレン)等で形成され、上記頂部4と、この頂部4の外周縁部から下方に延びるハンドル周壁部5と、を備えている。頂部4の下面においてハンドル周壁部5の径方向の内側に位置する部位には、略環状の内側周壁部6が下方に延びるように形成されている。
【0016】
ハンドル周壁部5は、内側周壁部6よりも上下方向で高く形成され、内側周壁部6は側面視で、ハンドル周壁部5によって覆われた状態になっている。また、内側周壁部6は、一部に径方向で貫通する切欠き7が形成されている。なお、ハンドル筒2は、頂部4、ハンドル周壁部5及び内側周壁部6が一体となるように、例えばインジェクション成形等で形成されている。
【0017】
締め付け帯体3は、例えばPOM(ポリアセタール)等で形成され、環状の保持周壁8と、保持周壁8の内周面から径方向の内側に突出する薄板状の係止突片9と、係止突片9の先端に一端が接続され、他端が当該一端よりも径方向の内側に位置するように周方向に湾曲した帯本体10と、を備えている。なお、詳しくは、帯本体10は渦巻軌道に沿って湾曲している。これら保持周壁8、係止突片9及び帯本体10は、側面視で、ハンドル周壁部5に覆われている。また、締め付け帯体3は、保持周壁8、係止突片9及び帯本体10が一体となるように、例えばインジェクション成形等で形成されている。
【0018】
図2に示されるように、保持周壁8は、ハンドル筒2のハンドル周壁部5と内側周壁部6との間に配置され、保持周壁8の外周面は、ハンドル周壁部5の内周面と当接又は近接した状態とされている。また、係止突片9は、内側周壁部6を周方向に分断する切欠き7に係合され、また、内側周壁部6の径方向の内側に、帯本体10が配置された状態となっている。
【0019】
ここで、切欠き7は係止突片9を周方向の両方向から係止しており、これにより、締め付け帯体3の周方向の移動が規制されている。また、内側周壁部6において切欠き7を挟んで両側に位置する周端部6A,6Bの外周面は、保持周壁8の内周面に近接又は当接しており、これにより、締め付け帯体3の径方向の移動が規制されている。
【0020】
なお、内側周壁部6の周端部6A,6Bのうち、係止突片9から帯本体10が延出する側に位置する一方の周端部6Aは、他方の周端部6Bより周方向に長く保持周壁8の内周面に近接又は当接している。また、図示の例では、周端部6Aは、キャップ操作具1の平面視で、中央軸Oを中心とする約45度の角度範囲で、保持周壁8の内周面に近接又は当接している。
一方で、内側周壁部6のうち、周端部6Aと周端部6Bとの間に位置する中間部6Cは、保持周壁8の内周面から径方向に離間している。そして、周端部6Aと周端部6Bのうちの、周端部6Bは、中間部6Cから径方向の外側に突出して、保持周壁8の内周面に近接又は当接している。
このように、内側周壁部6において保持周壁8と離間する中間部6Cを形成する場合、例えば、成形誤差によらず、ハンドル筒2に対して締め付け帯体3をスムーズに組付けることが可能となる。
【0021】
そして、帯本体10は、一重の環状に形成され、拡径及び縮径可能に弾性をもって形成され、少なくともねじキャップCをその内側に挿入可能な大きさに形成されている。そして、本実施形態では、この帯本体10の係止突片9に接続される一端側部分10Aと、先端側である他端側部分10Bと、が、径方向で対向又は重なって隣接し、一重の環状が形成されている。
ここで、一端側部分10Aと他端側部分10Bとが径方向で重なる範囲としては、例えば中央軸Oを中心とする約90度以下の角度範囲としてもよい。
【0022】
また、帯本体10の径方向の内周面には間隔を空けて複数の歯部11が形成されている。これら歯部11は、ねじキャップCの外周面に噛み合わせるために設けられている。なお、本実施形態では、帯本体10において他端側部分10Bと重なる一端側部分10Aには、歯部11が形成されていない。
また、図4に示されるように、帯本体10における他端と、帯本体10において、当該他端の径方向の外側に位置する部位との間は、破断可能な間欠片12を介して連結されている。
【0023】
以下、キャップ操作具1の使用方法について詳述すると、図1に示されるように、先ず、ボトルBの口部に装着されたねじキャップCを帯本体10の内側に挿入する。ここで、ねじキャップCを締め付け帯体3の内側に挿入する際は、ボトルBの横断面で中央を通るボトル軸線に同軸に配置されたねじキャップCの軸線と、キャップ操作具1の中央軸Oとが、同軸の状態となるようにする。また、図1から明らかなように、少なくとも帯本体10の軸方向の大きさは、ねじキャップCの軸方向の大きさより小さくなっている。
【0024】
そして、ハンドル筒2のハンドル周壁部5を把持して、周方向のうち、帯本体10が係止突片9から延びる方向(以下、延出方向という)と反対の図2に示される操作方向Rに、ハンドル筒2を回転させる。
すると、帯本体10のうち、ねじキャップCの外周面に歯部11を介して噛み合っている部位に対して、ねじキャップCの外周面に噛み合っていない部位がねじキャップCの外周面に操作方向Rに沿って巻き込まれ、帯本体10が強固にねじキャップCを締め付ける。
そして、ねじキャップCを帯本体10が強固に締め付けた状態で、ハンドル筒2の回転を進めることで、ねじキャップCがボトルBに対して回転する。これにより、ねじキャップCをボトルBから取り外すことが可能となる。
なお、帯本体10を上下逆向き(帯の延在方向が逆回転方向)に配置した場合は、ねじキャップCをボトルBに取り付ける操作具として使用することもできる。
【0025】
ここで、本実施形態では、上述したように帯本体10の一端側部分10Aと他端側部分10Bとが、径方向で対向又は重なっているので、ねじキャップCの巻き込みの際に、帯本体10がねじキャップCの全周を締め付け、回転を進めてまもなく、一端側部分10Aが他端側部分10Bに接して、他端側部分10Bを径方向の内側に押し込むように作動することで、ねじキャップCが帯本体10に強固に締め付けられる。これにより、操作性を向上させることができる。
【0026】
なお、この帯本体10によるねじキャップCの締め付けの際は、帯本体10が巻き込まれるように動くため、上述した間欠片12は破断されるが、このような間欠片12を設けた場合は、締め付け帯本体10の成形直後の状態における収縮変形を抑え、帯本体10の形状を所期するものに維持させることが可能となる。
【0027】
以上に記載したように、この第1の実施形態のキャップ操作具1は、ハンドル筒2と、ハンドル筒2内に配設され、ねじキャップCをこの径方向の外側から締め付ける締め付け帯体3と、を備え、締め付け帯体3は、一端がハンドル筒2に固定され、他端が前記一端よりもねじキャップCの径方向の内側に位置するように、ねじキャップCの軸線回りに湾曲していて、ハンドル筒2をねじキャップCの軸線回りに回転させたときに、ねじキャップCを巻き込んで締め付ける構成とされている。
【0028】
このような構成では、締め付け帯体3がハンドル筒2内に配設されることで、全体のコンパクト化が図れる。また、締め付け帯体3がハンドル筒2の回転にともなって、ねじキャップCを巻き込んで締め付ける構成のため、ねじキャップCへの装着が容易となる。
【0029】
<第2の実施形態>
次に本発明の第2の実施形態について図5及び図6を参照し説明する。本実施形態において第1の実施形態と同様の構成要素については同一符号で示し、説明は省略する。
【0030】
本実施形態では、ハンドル筒2のハンドル周壁部5の外周面に径方向の内側にへこむ凹部15が形成されている。凹部15は、径方向の内側に突の弧状に形成され、周方向全周わたり等間隔を空けて複数形成されている。
【0031】
また、本実施形態では、締め付け帯体3において、第1の実施形態における保持周壁8に相当する部位がなく、係止突片9の径方向の外側の端部に、周方向に延びて、ハンドル周壁部5の内周面及び内側周壁部6の外周面に当接又は近接する位置決め片16が形成されている。またさらに、本実施形態では、歯部11が帯本体10の内周面において連続して複数形成されている。
【0032】
この第2の実施形態では、凹部15によってハンドル筒2のグリップ性が良好となる。
【0033】
<第3の実施形態>
次に本発明の第3の実施形態について図7及び図8を参照し説明する。本実施形態において第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の構成要素については同一符号で示し、説明は省略する。
【0034】
本実施形態では、ハンドル筒2の頂部4に開口17が形成され、この開口17から締め付け帯体3の上端縁に突設されたスライド片18が突出している。開口17は径方向に沿って延びる矩形状に形成されており、図8に示すように、スライド片18は、先端が上方に向けて突の弧状の板体であり、帯本体10の他端側部分10Bから上方に突出して形成されている。また、スライド片18の両側面には、ガイド片19が突出して形成されている。
そして、スライド片18は、ガイド片19が頂部4の上面における開口17の周縁部に上方から当接するように、開口17に挿入されている。
【0035】
この第3の実施形態では、帯本体10によるねじキャップCの締め付けの際に、まずスライド片18を径方向に押し込み、強制的に歯部11をねじキャップの外周面に係合させることができるため、ねじキャップCの開閉操作をより迅速に行うことができる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、実施形態で例示した材質等は特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0037】
1 キャップ操作具
2 ハンドル筒
3 締め付け帯体
10 帯本体(締め付け帯体)
10A 一端側部分
10B 他端側部分
C ねじキャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8