(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
磁気浮上式鉄道の軌道に沿って配設された複数の地上コイルにそれぞれ設けられ、該地上コイルの温度を測定する温度測定部と、該温度測定部と接続され前記温度に関する温度情報をアナログ値として取得する回路を備えたICタグとを有する温度測定装置と、
前記軌道に沿って走行する車両に設けられ、前記ICタグそれぞれを識別する識別情報に対応した前記地上コイルの温度の閾値である閾値情報が予め記憶された情報記録部と、前記ICタグとの間において前記識別情報及び前記閾値情報の送受信を制御する情報制御部とを有する車載装置とを備え、
該情報制御部は、前記ICタグの前記識別情報を受信し、該識別情報に対応した前記閾値情報を送信し、
前記ICタグは、前記温度情報と前記閾値情報とを比較した判定結果をデジタル値として出力し、
前記情報制御部は、前記判定結果を受信し、
前記情報記録部は、前記情報制御部から出力された前記識別情報と前記判定結果とを記録するように構成され、
前記情報制御部は、
前記車両の走行方向の前側に設けられ、前記ICタグから前記識別情報を受信する情報受信部と、
前記車両の走行方向の後側に、前記情報受信部と所定の間隔離間して設けられ、前記ICタグに前記閾値情報を送信し、前記判定結果を受信する情報送受信部とを有し、
前記所定の間隔は、前記情報受信部が前記識別情報を受信する受信範囲及び前記情報送受信部が前記閾値情報を送信するとともに前記判定結果を受信する送受信範囲よりも広く、且つ、隣り合う前記複数の前記ICタグの配設間隔よりも狭く設定されていることを特徴とする温度情報管理システム。
【背景技術】
【0002】
近年、磁力による反発力又は吸引力を利用して、車両を軌道から浮上させて推進させる磁気浮上式鉄道の開発が進められている。この磁気浮上式鉄道では、車両に搭載される超電導磁石と軌道に沿って複数配置される地上コイルとの相互作用により、車両を軌道から浮上させる浮上力、車両の移動方向を案内する案内力及び車両を走行させる推進力が生じる。これにより、車両が軌道に沿って走行することが可能とされている。
【0003】
ここで、地上コイルの保守管理を容易且つ確実に行うことを目的として、本出願人は保守情報を読み書き可能なICタグを備えた地上コイルを従来提唱している(例えば特許文献1参照)。このICタグを備えた地上コイルを用いれば、ある地上コイルについて保守作業が完了した後に、作業者が携帯端末等を用いてICタグに保守情報を書き込んでおけば、次回にその地上コイルについて保守作業を行う際にICタグから保守情報を読み取ることにより、過去の履歴情報を容易に取得することができる。
【0004】
また、出願人は、地上コイルに設けられたICタグと、該ICタグとアンテナを介して情報の送受信が可能な車両とを備え、ICタグと車両との間で保守情報を送受信するシステムを提案している(下記特許文献2参照)。このシステムによれば、車両を走行させれば該車両において、複数の地上コイルの保守情報を一括で収集することができる。
【0005】
一方、地上コイルは導体と該導体を覆うモールド樹脂とによって構成されており、導体の通電等によりモールド樹脂の温度が上昇することで地上コイルの機械強度や絶縁性能が低下するため、複数の地上コイルの温度を測定して効率的に監視して温度管理をすることが望まれている。しかし、特許文献1及び2に記載の技術では、地上コイルの温度を測定することができない。
【0006】
ここで、一般的に、物品の温度を測定して効率的に監視する装置として、サーモラベルや放射温度計が採用されている。
【0007】
サーモラベルでは、裏面側には貼着剤が塗布されており、表面側は裏面側が貼着される測定対象物の温度に応じて予め定められた閾値に応じた色に変化する構成とされている。このサーモラベルによれば、表面側の変色から、測定対象物の温度を段階的に把握することができる。
【0008】
また、放射温度計では、測定対象物から放射される赤外線や可視光線の強度を測定して、該測定対象物の温度の測定が可能とされている。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態に係る温度情報管理システム1について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る温度情報管理システム1は、磁気浮上式鉄道の軌道X(以下、単に「軌道X」と称する。)に沿って配設される複数の地上コイル10の温度を管理するためのものである。この地上コイル10と磁気浮上式鉄道を構成する走行車両(不図示。以下同じ。)に搭載された超電導磁石(不図示。以下同じ。)との相互作用により、該走行車両は走行可能とされている。
【0024】
まず、軌道Xについて説明する。
軌道Xは、走行車両や後述する保守用車両(車両)40が走行する軌道あり、この軌道Xの延在方向(以下、「走行方向」と称する。)に向かって左右方向(以下、単に「左右方向」と称する。)両側には、それぞれ左側壁L1と右側壁R1とが対向して立設されている。
この左側壁L1及び右側壁R1の内側には、走行方向に沿って複数の地上コイル10が配設されている。
【0025】
図2に示すように、地上コイル10は、走行車両に搭載された超電導磁石との相互作用により、該走行車両を浮上させる浮上力、該走行車両の移動方向を案内するための案内力及び走行車両を走行させる推進力を、該走行車両に供給するためのものである。
【0026】
この地上コイル10は、本実施形態では左側壁L1及び右側壁R1の側面に配設され、上記の推進力を供給する推進コイル21と、該推進コイル21の左右方向中央側に配設され、上記の浮上力及び案内力を供給する浮上案内コイル22とで構成されている。
【0027】
また、推進コイル21は、側面視でループ状に巻回されたコイル導体13と、このコイル導体13を覆うモールド樹脂とを有している。
一方、浮上案内コイル22は、
図3に示すように、側面視でループ状に巻回された上部導体11と下部導体12とを結合することで8の字型に形成されたコイル導体13と、このコイル導体13を覆うモールド樹脂とを有している。
なお、コイル導体13の側面視形状は、適宜設計変更が可能である。
【0028】
図1に戻り、このように構成された地上コイル10は、左側壁L1及び右側壁R1の内側にそれぞれ設置される。そして、複数の地上コイル10は、走行方向に沿って一定のピッチPaで連続的に設置されている。本実施形態では、ピッチPaは例えば0.9m程度に設定されている。
【0029】
(温度情報管理システム)
次に、温度情報管理システム1について、詳細に説明する。
図1に示すように、温度情報管理システム1は、複数の地上コイル10にそれぞれ設けられ該地上コイル10の温度を測定する温度測定装置30と、軌道Xに沿って走行する保守用車両40と、該保守用車両40に設けられ温度情報等を管理する車載装置50とを備えている。
【0030】
(温度測定装置)
図2及び
図4に示すように、温度測定装置30は、地上コイル10にそれぞれ設けられており、地上コイル10の温度を測定する温度測定部31と、該温度測定部31と接続され温度情報をアナログ値で表されたアナログ情報として取得して、デジタル情報に変換して送信するICタグ32とを有している。
【0031】
温度測定部31は、例えば温度変化に対して電気抵抗の変化の大きい抵抗材料で構成されたサーミスタが採用され、ICタグ32とコード35で接続されている。この温度測定部31は所望の位置に設置可能とされ、設置されると電気抵抗の変化を利用して該設置箇所における温度の測定をすることができる。
【0032】
温度測定部31は、地上コイル10における軌道Xの幅方向(左右方向)外側の面に設けることができる。具体的な設置箇所としては、例えば
図2(a)に示す浮上案内コイル22の左右方向外側すなわち浮上案内コイル22における推進コイル21と対向する側が挙げられる。また、
図2(b)に示す推進コイル21の左右方向外側すなわち推進コイル21における左側壁L1及び右側壁R1と対向する側等、地上コイル10の絶縁性能に影響を及ぼさない箇所であればどこでも設置可能である。
【0033】
図4に示すように、ICタグ32は、ICタグ32それぞれを識別する識別情報等を車載装置50との間で送受信するものである。このICタグ32は、識別情報が予め記録されるとともに温度情報をデジタル情報に変換するICチップ(回路)33と、識別情報を車載装置50に送信するループアンテナ34とを有している。
【0034】
このループアンテナ34は、浮上案内コイル22の左右方向内側に配設され、識別情報を車載装置50に対して送信する。また、ループアンテナ34は、後述する車載装置50から閾値情報を受信する。
【0035】
そして、ICチップ33は、温度情報と閾値情報とを比較した判定結果をデジタル値として出力し、ループアンテナ34は判定結果を車載装置50に送信する。
【0036】
(保守用車両)
図1に示すように、保守用車両40は、例えば四輪トラック等が採用されて、車載装置50を軌道Xに沿って移動させて地上コイル10の温度管理をするものである。
【0037】
(車載装置)
図1及び
図5に示すように、車載装置50は、識別情報に対応した地上コイル10の温度の閾値である閾値情報が予め記憶された情報記録部52と、アンテナ60を介してICタグ32との間で識別情報、閾値情報及び判定結果の送受信を制御する情報制御部51とを有している。
【0038】
アンテナ60は、保守用車両40の両側面、すなわち保守用車両40における浮上案内コイル22と対向する両側面に配設されている。
【0039】
情報制御部51は、ループアンテナ34(
図4参照)及びアンテナ60を介して識別情報を受信すると、地上コイル10の温度の閾値である閾値情報をICタグ32に送信する。
【0040】
情報記録部52には、ICタグ32の識別情報、該ICタグ32の設置位置及び閾値情報を関連付けた情報等が記録されている。この情報記録部52は、情報制御部51から識別情報に対応する信号が入力されると、該識別情報に対応した閾値情報の信号を情報制御部51に出力する。
【0041】
情報制御部51は、上記の信号に基づきループアンテナ34(
図4参照)及びアンテナ60を介して、閾値情報をICタグ32に送信する。また、情報制御部51は、ループアンテナ34(
図4参照)及びアンテナ60を介して、ICタグ32から判定結果を受信して、情報記録部52に出力する。
情報記録部52は、情報制御部51から出力された判定結果を記録する。
【0042】
次に、上記のように構成された温度情報管理システム1における処理を、
図6を用いて説明する。
まず、下準備として、情報制御部51をICタグ32からの識別情報を受信できる状態にしておく。これにより、保守用車両40が軌道Xを走行して、測定対象となる地上コイル10に設けられたICタグ32の識別情報が受信可能な領域内に進入することで、該識別情報等の交信が可能となる。
【0043】
〔ステップ01(S01)〕
まず、保守用車両40が走行し、該保守用車両40に設けられたアンテナ60がICタグ32のループアンテナ34と送受信可能な領域に進入してくると、車載装置50の情報制御部51は、ループアンテナ34及びアンテナ60を介して、ICチップ33に記録されたICタグ32それぞれの識別情報を受信する。
【0044】
〔ステップ02(S02)〕
次に、情報制御部51は、情報記録部52から識別情報に対応した閾値情報を取得し、ループアンテナ34及びアンテナ60を介して該閾値情報を温度測定装置30に送信する。
【0045】
〔ステップ03(S03)〕
次に、温度測定装置30は、ループアンテナ34を介して閾値情報を受信すると、ICチップ33が該閾値情報と温度測定部31が測定した温度情報とを比較する。そして、温度測定装置30は、判定結果をループアンテナ34及びアンテナ60を介して車載装置50に送信する。
【0046】
具体的には、
図7に示すように、温度測定装置30は、温度測定部31の温度情報に対応する抵抗値を電圧値に変換した第一アナログ値をコンパレータ36に入力する。一方、D/Aコンバータ37は、閾値情報を受信すると第二アナログ値に変換してコンパレータ36に入力する。コンパレータ36は、第一アナログ値と第二アナログ値とを比較した結果を、デジタル値(Hight又はLow)として出力する。
【0047】
ここで、例えば、第一アナログ値と第二アナログ値とを比較して、第一アナログ値が第二アナログ値以上であれば異常と判定し、第一アナログ値が第二アナログ値未満であれば正常と判定する。つまり、温度情報が閾値情報以上であれば異常と判定し、温度情報が閾値情報未満であれば正常と判定する。
【0048】
そして、車載装置50の情報制御部51は、ループアンテナ34及びアンテナ60を介して上記のデジタル値に変換された判定結果を受信する。
【0049】
〔ステップ04(S04)〕
次に、車載装置50の情報記録部52は、上記の識別情報と判定結果を画面表示するとともに記録する。
【0050】
ここで、情報記録部52に表示される判定結果について、
図8を一例に挙げて説明する。
列M1には、順番の数字が羅列され、列M2には識別情報に対応した識別番号(A,B,C・・・)が配列されている。
列M3には判定結果が表示され、判定結果が正常な場合には「L(Low)」と表示され、異常な場合には「H(High)」と表示される。
列M4には、当該識別番号における判定結果の受信回数が表示される。
列M5には、情報制御部51が上記の判定結果を受信した時刻が表示される。
列M6には、当該判定結果を受信した時刻と、その前に判定結果を受信した時刻との差(例えば、識別番号Aと識別番号Bとの受信間隔)が表示される。
【0051】
例えば、識別番号Aの判定結果は「L」と表示されているため判定が正常であり、当該受信領域内における判定結果の受信回数は1回であり、受信時刻は6時00分29.81秒であることが示されている。
【0052】
このように構成された温度情報管理システム1では、温度測定部31により、例えば地上コイル10の所望の位置の温度を測定して効率的に監視することができる。また、地上コイル10に温度分布がある場合でも、温度測定部31の所望の位置に設置することにより、当該位置における地上コイル10の温度を測定することができる。
【0053】
具体的には、
図2(a)に示されるような浮上案内コイル22における推進コイル21と対向する部分や、
図2(b)に示されるような推進コイル21における左側壁L1と対向する部分の温度を測定して効率的に監視することができる。つまり、地上コイル10における軌道Xの左右方向中心側からは目視できない部分であっても、温度測定部31を挿入配置することで、浮上案内コイル22、推進コイル21の温度を測定して、効率的に監視することができる。
【0054】
また、ICチップ33において、測定した温度が閾値以上であるか、また閾値未満であるかを判定することができる。さらに、情報記録部52において、判定結果を記録することができるとともに、該情報記録部52に表示することができる。よって、情報記録部52を見れば、複数の地上コイル10の温度が閾値以上であるか否かを知ることができるため、該地上コイル10の温度監視が容易になる。
【0055】
また、保守用車両40を軌道Xに沿って走行させながら判定結果を得ることができるため、たとえ地上コイル10の数が膨大な場合でも、地上コイル10の温度管理を効率的に行うことができる。
【0056】
さらに、地上コイル10に対して温度情報と閾値情報とを一対一で比較するだけで判定結果を得ることができるため、迅速に判定結果を出力することができる。
【0057】
(第二実施形態)
以下、本発明の第二実施形態に係る温度情報管理システム201について、
図9及び
図10を用いて説明する。
この実施形態において、前述した第一実施形態で用いた部材と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0058】
第二実施形態における温度情報管理システム201では、温度測定装置230が受熱した熱量を蓄積可能な蓄熱部260と、放熱を抑えるための断熱部261とを有している。
【0059】
蓄熱部260は、蓄熱性の材料でシート状又は固形状等に形成されている。また、蓄熱部260は地上コイル10から生ずる熱量と同等の熱量を受けるように地上コイル10に当接して設けられ、断熱部261は該蓄熱部260を覆うようにして設けられている。
【0060】
また、温度測定部31は、蓄熱部260の内部に設けられ、蓄熱部260の温度を測定する。
【0061】
このように構成された温度情報管理システム201では、温度情報を入手したい地上コイル10の通電時から所定時間経過した後であっても、蓄熱部260が該地上コイル10の通電時に受熱した熱量を蓄積している。よって、蓄熱部260の温度を測定することにより、測定時刻よりも所定時間前の地上コイル10の通電時の温度を推定することができる。
【0062】
具体的には、走行車両の走行を停止した後の時間帯(例えば、深夜時間帯)において保守用車両40を走行させることにより、該走行車両の走行時における地上コイル10の温度を推定することができる。
【0063】
つまり、地上コイル10の通電時と測定時刻との間の経過時間と蓄熱部260の温度変化との関係から、時間経過に対応した閾値情報を温度測定装置30に送信して、判定結果を受信することにより、地上コイル10の通電時における温度を推定することができる。
【0064】
(第三実施形態)
以下、本発明の第三実施形態に係る温度情報管理システム301について、
図11及び
図12を用いて説明する。
この実施形態において、前述した第一実施形態で用いた部材と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0065】
本実施形態における温度情報管理システム301の情報制御部351は、ICタグ32からの識別情報を受信する情報受信部352と、ICタグ32に閾値情報を送信するとともに判定結果を受信する情報送受信部353とを有している。
【0066】
情報受信部352は、保守用車両40の走行方向の前側の左右両側面に設けられている。情報送受信部353は、保守用車両40の走行方向の後側の左右両側面に設けられている。
【0067】
また、情報受信部352には第一アンテナ361が設けられ、情報送受信部353には第一アンテナ361と間隔Y離間して第二アンテナ362が設けられている。
【0068】
また、本実施形態では、第一アンテナ361と第二アンテナ362との配設間隔Yは、受信範囲A及び送受信範囲Bよりも広く、且つ、ICタグ32の配設ピッチPcよりも狭く設定されている。
【0069】
次に、上記のように構成された温度情報管理システム301における処理を、
図13及び
図14を用いて説明する。
【0070】
〔ステップ101(S101)〕
まず、
図13(A),(B)に示すように、保守用車両40(
図11参照。以下同じ。)が走行し、該保守用車両40に設けられた第一アンテナ361の受信範囲Aに、識別番号No.1のICタグ32が進入する。この時、車載装置350(
図11参照。以下同じ。)の情報受信部352は、ループアンテナ34及び第一アンテナ361を介して、ICチップ33(
図4参照。以下同じ。)に記録されたICタグ32それぞれの識別情報を受信する。
【0071】
図13(C)に示すように、識別番号No.1のICタグ32が第一アンテナ361の受信範囲Aから外れると、情報受信部352は識別情報の受信を行わない。
【0072】
〔ステップ102(S102)〕
次に、
図13(D)に示すように、情報送受信部353は、情報記録部52から識別情報に対応した閾値情報を取得し、ループアンテナ34及び第二アンテナ362を介して該閾値情報を温度測定装置30(
図11参照。以下同じ。)に送信する。
【0073】
具体的には、情報記録部52は、上記の識別情報に対応した地上コイル10(
図11参照。以下同じ。)の閾値情報を検索する。そして、識別番号(NO.1)のICタグ32が受信範囲Aから完全に外れていることを確認してから、該当する閾値情報を情報送受信部353に出力する。
【0074】
後側の情報送受信部353は、情報記録部52から識別番号(NO.1)に対応した閾値情報を受け取った後、常に該閾値情報を送信する状態にしておく。そして、保守用車両40(
図11参照)の走行にともない、ICタグ32が送受信範囲Bに入ると、第二アンテナ362を介して該ICタグ32に閾値情報を送信する。
【0075】
〔ステップ103(S103)〕
次に、温度測定装置30は、ループアンテナ34を介して閾値情報を受信すると、ICチップ33が該閾値情報と温度測定部31が測定した温度情報とを比較して、判定結果をデジタル値(Hight又はLow)として出力する。そして、車載装置350は、ループアンテナ34及び第二アンテナ362を介して、温度測定装置30の判定結果を受信する。
【0076】
〔ステップ104(S104)〕
次に、車載装置350の情報送受信部353が上記の判定結果を受信すると、情報記録部52が識別情報と判定結果を表示するとともに記録する。
なお、情報送受信部353は、判定結果の受信が終了したら動作を停止させる。
【0077】
このとき、情報受信部352は常にICタグ32の識別番号を受信できる状態にしてある。
【0078】
よって、
図13(E),(F)に示すように、走行方向の前方に配設されたICタグ32が受信範囲Aに入ると識別番号(NO.2)を受信し、上記のステップ101〜104を順次行う。
【0079】
このように構成された温度情報管理システム301では、ICタグ32からの識別情報の受信を前側の情報受信部352で行い、ICタグ32への閾値情報の送信及びICタグ32からの判定結果の受信を後側の情報送受信部353で行うことができる。
【0080】
また、第一アンテナ361と第二アンテナ362との間隔Yは、受信範囲A及び送受信範囲Bよりも広く、且つ、ICタグ32の配設ピッチPcよりも狭く設定されている。よって、同一アンテナで2つ以上のICタグ32に対する受信及び送信処理を同時に行わないため、当該処理が他のICタグ32に影響を与えることがなく、該ICタグ32に対する識別情報、閾値情報及び判定結果の受信及び送信を確実かつ高速に行うことが可能となる。
【0081】
また、ICタグ32からの識別情報及び判定結果の受信及ICタグ32への閾値情報の送信を、車両の前後に搭載された一対の情報受信部352及び情報送受信部353により行なうようにした。よって、識別情報、閾値情報及び判定結果が多量であってもこれに対応することができる。
【0082】
また、保守用車両40を走行させながら、ICタグ32から識別情報を高速で受信し、ICタグ32に対して閾値情報を高速で送信し、ICタグ32から判定結果を高速で受信することができる。よって、判定結果を高速で記録、保存することができる。
【0083】
また、上述した実施の形態において示した動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0084】
例えば、地上コイル10を構成する浮上力及び案内力を供給する浮上案内コイル22は必須の構成ではなく、推進力を供給する推進コイル21だけで構成しても良い。この場合、温度測定装置30は推進コイル21に設けられる。
【0085】
また、第三実施形態の変形例として、情報受信部352の後方に配設され閾値情報をICタグ32に送信する情報送信部と、該情報送信部の後方に配設されICタグ32から判定結果を受信する後側情報受信部とを有していても良い。すなわち、車両の前方から順番に、ICタグ32の識別情報を受信する情報受信部352、閾値情報をICタグ32に送信する情報送信部、ICタグ32から判定結果を受信する情報受信部を有していても良い。この場合にも、ICタグ32に送信する情報が多量であってもこれに対応することができ、判定結果を高速で記録、保存することができる。