(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、一実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
まず
図1を用いて一実施の形態の半導体装置の構成について説明する。
【0017】
図1を参照して、一実施の形態の半導体装置はたとえばLDMOSトランジスタ(横型の絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)を有している。この半導体装置は、半導体基板SUBと、p
-エピタキシャル領域(第1領域)EPと、p
+埋め込み領域(埋め込み領域)PBLと、n
-エピタキシャル領域(第2領域)ENと、n型オフセット領域(第3領域)NOと、p型ボディ領域(第4領域)BOと、n型ウェル領域NWRと、分離用溝TRSと、溝側壁n型領域(溝側壁高濃度領域)NRと、n
+ドレイン領域DRAと、ドレイン電極DEと、n
+ソース領域SOと、p
+不純物領域IRと、ソース電極SEと、ゲート絶縁膜GIと、ゲート電極層GEと、埋め込み絶縁膜BIとを主に有している。
【0018】
半導体基板SUBはたとえばシリコンよりなっている。この半導体基板SUBは、主表面(図中の半導体基板SUBの最上部の面)を有している。この半導体基板SUBの内部には、第1導電型としてのp型不純物を有するp
-エピタキシャル領域EPが形成されている。
【0019】
半導体基板SUB内であってp
-エピタキシャル領域EPの、半導体基板SUBの主表面側(図の上側)には、第2導電型としてのn型不純物を有するn
-エピタキシャル領域ENが形成されている。半導体基板SUB内であってn
-エピタキシャル領域ENの、半導体基板SUBの主表面側には、n型不純物を有するn型オフセット領域NOが形成されている。
【0020】
n型ウェル領域NWRは、n型オフセット領域NOと接するように半導体基板SUBの主表面に形成され、かつn型オフセット領域NOよりも高いn型不純物濃度を有している。n
+ドレイン領域DRAは、n型ウェル領域NWRと接するように半導体基板SUBの主表面に形成され、かつn型ウェル領域NWRよりも高いn型不純物濃度を有している。n
+ドレイン領域DRAに電気的に接続するように半導体基板SUBの主表面上にはドレイン電極DEが形成されている。
【0021】
半導体基板SUB内であってn
-エピタキシャル領域ENの、半導体基板SUBの主表面側(図の上側)には、p型不純物を有するp型ボディ領域BOが形成されている。p型ボディ領域BOは、n
-エピタキシャル領域ENの、半導体基板SUBの主表面側において、n型オフセット領域NOと隣り合いpn接合を構成するように形成されている。
【0022】
n
+ソース領域SOは、p型ボディ領域BOとpn接合を構成するように半導体基板SUBの主表面に形成されている。さらに半導体基板SUBの主表面には、n
+ソース領域SOと接し、かつp型ボディ領域BOよりも高いp型不純物濃度を有するp
+不純物領域IRが形成されている。このn
+ソース領域SOおよびp
+不純物領域IRの双方に電気的に接続するように半導体基板SUBの主表面上にはソース電極SEが形成されている。このp
+不純物領域IRは、p型ボディ領域BOの電位がソース電極SEの電位とほぼ等しくなるよう固定するための不純物領域である。
【0023】
このn
+ソース領域SOおよびp
+不純物領域IRは、半導体基板SUB内に埋め込まれるように半導体基板SUBの主表面(ほぼn型オフセット領域NOの真上)に形成された埋め込み絶縁膜BIを基準にしてn型ウェル領域NWRとは反対側に位置している。n
+ソース領域SOはp
+不純物領域IRよりもドレイン電極DE側に形成されている。
【0024】
半導体基板SUB内であってp
-エピタキシャル領域EPとn
-エピタキシャル領域ENとの間には、p型不純物を有するp
+埋め込み領域PBLが形成されている。このp
+埋め込み領域PBLは、n
-エピタキシャル領域ENとpn接合を構成するように、半導体基板SUBの主表面に沿う層状となるように形成されている。すなわちp
+埋め込み領域PBLは、半導体基板SUB内において半導体基板SUBの主表面に沿う方向に、半導体基板SUBの主表面の大部分と平面的に重なるように形成され、少なくとも分離用溝TRSと接するように、分離用溝TRSと平面的に重なる領域にまで広がっていることが好ましい。
【0025】
またp
+埋め込み領域PBLは、p
-エピタキシャル領域EPよりも高いp型不純物濃度を有しており、一例として5×10
17cm
-3以上のp型不純物領域を有している。
【0026】
埋め込み絶縁膜BIは、n型オフセット領域NOとn型ウェル領域NWRとの一部の領域の上面に接するように配置されている。また分離用溝TRSを上方から覆うように、上記の埋め込み絶縁膜BIとは別の埋め込み絶縁膜BIが配置されている。そしてゲート電極層GEは、n
+ドレイン領域DRAとn
+ソース領域SOとに挟まれたp型ボディ領域BO上およびn型オフセット領域NO上に形成されている。このゲート電極層GEの一部は埋め込み絶縁膜BI上に乗り上げており、埋め込み絶縁膜BI上に乗り上げないゲート電極層GEは、p型ボディ領域BO上およびn型オフセット領域NO上にゲート絶縁膜GIを介在して形成されている。
【0027】
図1のLDMOSのいわゆるオフ耐圧は、n
-エピタキシャル領域ENとp型ボディ領域BOとのpn接合における電界強度に依存する。特にp型ボディ領域BOのエッジ近傍に局所的な電界集中が発生した場合には上記pn接合における電界強度が極度に高くなり、
図1のLDMOSのオフ耐圧が低下する可能性がある。しかしp
+埋め込み領域PBLが配置されてn
-エピタキシャル領域ENとの間にもpn接合が形成されることにより、n
-エピタキシャル領域ENとp型ボディ領域BOとのpn接合における電界強度が低下する。これはn
-エピタキシャル領域ENとp型ボディ領域BOとのpn接合のみを有する場合のpn接合における電界強度が、n
-エピタキシャル領域ENとp型ボディ領域BOとのpn接合の電界強度と、n
-エピタキシャル領域ENとp
+埋め込み領域PBLとのpn接合の電界強度とに分配されるためである。
【0028】
したがって、たとえ
図1のLDMOSの素子ピッチが小さくなったとしても、p
+埋め込み領域PBLの存在により、LDMOSのオフ耐圧を高くすることができ、その結果、LDMOSのいわゆるオン抵抗を低減することができる。
【0029】
分離用溝TRSは、上記のn型オフセット領域NOなどを含む素子領域(LDMOSが形成される領域)の周囲を平面視において取り囲むことにより、当該LDMOSを、LDMOSの外側に配置される他の素子から電気的に分離するために形成されている。分離用溝TRSは、半導体基板SUBの主表面から、主表面に交差する方向(
図1の上下方向)に延在し、少なくともp
+埋め込み領域PBLに達するように形成されている。ただし
図1の分離用溝TRSのように、半導体基板SUBの主表面からp
+埋め込み領域PBLを貫通してp
-エピタキシャル領域EP内に達するように形成されていてもよい。
【0030】
分離用溝TRSの内部には充填絶縁層BISが形成されており、充填絶縁層BISは分離用溝TRS内を充填するように形成されている。充填絶縁層BISはたとえばシリコン酸化膜により形成されており、この分離用溝TRS内の充填絶縁層BISにより、分離用溝TRSがその内部に配置されるLDMOSをその外部に配置される他の素子から電気的に分離することができる。
【0031】
分離用溝TRSの側壁のうち、LDMOSが配置される側(素子領域側)の側壁の少なくとも一部には、n型不純物を有する溝側壁n型領域NRが形成されている。
図1においては分離用溝TRSの、LDMOS側の側壁のうち、p型ボディ領域BOが形成される領域以外(p型ボディ領域BOの下側)の領域に形成されている。ただし
図1に示すように、溝側壁n型領域NRは、LDMOSが配置される側以外、たとえばLDMOSが配置される側と反対側(
図1における分離用溝TRSの右側)の側壁を覆うように形成されてもよい。
【0032】
溝側壁n型領域NRにおけるn型不純物の濃度は、n
-エピタキシャル領域ENにおけるn型不純物の濃度よりも高い。また少なくともLDMOSが配置される側の側壁に形成された溝側壁n型領域NRは、p
+埋め込み領域PBLに達するように分離用溝TRSの側壁に沿って延在する。
【0033】
さらに、溝側壁n型領域NRにおけるn型不純物の濃度は、p
+埋め込み領域PBLにおけるp型不純物の濃度よりも低い。ここでは特に、溝側壁n型領域NRにおけるn型不純物の濃度は、p
+埋め込み領域PBLのうち最小不純物濃度を有する箇所におけるp型不純物の濃度よりも低いことが好ましい。
【0034】
次に、
図1の半導体装置の平面視における配置について、
図2(A)、(B)を用いて説明する。
【0035】
図1および
図2(A)、(B)を参照して、
図1は
図2(B)に示すLDMOSの右側半分のみを切り取ったものであり、実際にはLDMOSは
図1のn
+ドレイン領域DRAあたりを図の上下方向に延びる対称軸を中心とした左右対称の構成を有している。また
図2(B)は
図2(A)のIIB−IIB線に沿う部分の断面構成を示している。ただし
図2(B)においては
図2(A)との整合を取る観点から、n
+ソース領域SOの構成において、
図1と若干の相違がある。
【0036】
図2(A)の平面図から明らかなように、
図2(B)において左右対称に1対配置されるように見えるゲート、ソースなどは、実際には単一のドレインの周りを取り囲むように形成されていてもよい。たとえば
図2(A)、(B)に示す左右方向のピッチPの範囲を単位部分とし、この単位部分が左右方向に繰り返される構成であってもよい。
【0037】
次に、
図1の半導体装置の各領域における不純物濃度分布について、
図3(A)、(B)を用いて説明する。
【0038】
図3(A)、(B)を参照して、
図3(B)は
図3(A)のIIIB−IIIB線に沿う領域、すなわちn
-エピタキシャル領域ENおよび溝側壁n型領域NRの形成領域を通る半導体基板SUBの主表面に平行な方向の不純物密度分布を示している。すなわち
図3(B)の横軸は
図3(A)のIIIB−IIIB線上の各位置の座標(X座標)を示し、より具体的には
図3(A)のIIIB−IIIB線上の各位置と
図3(B)の対応するX座標とを点線で結ぶことにより、
図3(A)のIIIB−IIIB線上の各位置の座標(X座標)を示している。また
図3(B)の縦軸は
図3(A)のIIIB−IIIB線上の各位置におけるn型不純物濃度を示している。また
図3(B)には、溝側壁n型領域NRを形成するためのn型不純物(リン)のドーズ量(イオン注入により不純物を導入する量)を1×10
13/cm
2、3×10
13/cm
2、5×10
13/cm
2、7×10
13/cm
2および9×10
13/cm
2の5通りに変化させた各場合の、IIIB−IIIB線上の各位置におけるn型不純物濃度を示している。
【0039】
図3(B)のX座標がおよそ3μm以下の領域は、溝側壁n型領域NRの外側のn
-エピタキシャル領域ENに相当する。X座標の値がおよそ3μmより大きく(特におよそ3.5μm以上)かつ4.5μm以下の領域は、X座標の値が大きくなるにつれて不純物濃度が大きくなり、この領域が溝側壁n型領域NRに相当する。X座標がおよそ4.5μmより大きくなると不純物濃度がほとんど0となるように急落する。この領域は分離用溝TRSの内部に相当する。したがって分離用溝TRSは側壁に交差する方向(図の左右方向)に関しておよそ1〜1.5μmの厚みを有する。
【0040】
したがってn
-エピタキシャル領域ENにおけるn型不純物濃度は、X座標がおよそ3μm以下の領域の
図3(B)が示すように、およそ3×10
15cm
-3であり、n
-エピタキシャル領域ENにおけるn型不純物濃度はほぼ一定の値となっている。
【0041】
また溝側壁n型領域NRにおけるn型不純物濃度はn
-エピタキシャル領域EN内のn型不純物濃度よりも高くなっている。ここでは溝側壁n型領域NRとは、分離用溝TRSの側壁において、濃度がほぼ一定に保たれるn
-エピタキシャル領域ENに対してn型不純物の濃度が高い任意の領域を指すものとし、X座標がおよそ4.5μmの位置からX座標がおよそ3μmの、n
-エピタキシャル領域ENの濃度に達するまでの領域を指すものとする。
【0042】
なお後述するように、溝側壁n型領域NRの、図の上下方向における任意の位置における濃度はほぼ一定である。したがって
図3においては溝側壁n型領域NRの、図の上下方向における中央よりやや下方の位置の濃度分布を一例として示しているが、たとえば図の上下方向における中央よりも上方など、溝側壁n型領域NR内の他の領域を通って図の左右方向に延びる直線上での不純物濃度分布も、おおむね
図3(B)と同様になる。溝側壁n型領域NRは、X座標が等しければ深さ方向の位置が異なってもn型不純物濃度はほぼ同じになる。
【0043】
次に、
図4〜
図19を参照して、一実施の形態の半導体装置の製造方法について説明する。
【0044】
図4を参照して、まずエピタキシャル成長により、半導体基板にp
-エピタキシャル領域EPが形成されることにより、p
-エピタキシャル領域EPを有する半導体基板SUBが準備される。
【0045】
次に、そのp
-エピタキシャル領域EPの表面にイオン注入法によってp型イオンが注入される。その後アニールが施され、p
-エピタキシャル領域EPの表面に注入されたp型イオンが拡散されることにより、p
-エピタキシャル領域EPの表面上にp
+埋め込み領域PBLが形成される。すなわち半導体基板SUB内のp
-エピタキシャル領域EPの、半導体基板SUBの主表面側(すなわち図の上側)にp
+埋め込み領域PBLが形成される。このp
+埋め込み領域PBLのp型不純物濃度は、p
-エピタキシャル領域EPのp型不純物濃度よりも高くなるように形成され、具体的には一例とし5×10
17cm
-3以上のp型不純物領域を有するように形成される。
【0046】
なお、p
-エピタキシャル領域EPの表面上の大部分にp
+埋め込み領域PBLが形成されることが好ましいが、p
+埋め込み領域PBLはp
-エピタキシャル領域EPの表面上の全面に形成されなくてもよい。ただし後述する分離用溝TRSが形成される領域の真下を含むように形成されることが好ましい。
【0047】
図5を参照して、p
-エピタキシャル領域EPおよびp
+埋め込み領域PBLの上にn
-エピタキシャル領域ENが形成される。すなわち半導体基板SUB内のp
-エピタキシャル領域EPおよびp
+埋め込み領域PBLの、半導体基板SUBの主表面側にn
-エピタキシャル領域ENが形成される。ここではたとえばn型不純物濃度が約5×10
15cm
-3(1×10
15cm
-3以上5×10
15cm
-3以下)となるように、n
-エピタキシャル領域ENが形成される。
【0048】
次に、通常の写真製版技術によりn
-エピタキシャル領域ENの表面上にはフォトレジストパターンPHRが形成される。次にフォトレジストパターンPHRをマスクとして用いて、n
-エピタキシャル領域ENの表面にイオン注入法によってn型イオンが注入される。このときフォトレジストパターンPHRによりn
-エピタキシャル領域ENの表面に対して選択的にn型イオンが注入される。この後、フォトレジストパターンPHRは、たとえばアッシングなどによって除去される。
【0049】
図6を参照して、上記のn型イオンが注入される処理により、半導体基板SUB内のn
-エピタキシャル領域ENの、半導体基板SUBの主表面側にはn型オフセット領域NOが形成される。
【0050】
図7を参照して、次に、半導体基板SUB(n
-エピタキシャル領域EN)の表面上にシリコン酸化膜OX、シリコン窒化膜NFがこの順に積層された後、通常の写真製版技術およびエッチングにより、シリコン窒化膜NFの一部が除去される。シリコン窒化膜NFが除去された領域においてはその真下のシリコン酸化膜OXも少しエッチングされて厚みが他の領域より薄くなってもよい。
【0051】
図8を参照して、
図7において露出されるシリコン酸化膜OXが酸化により厚くなることにより、埋め込み絶縁膜BIが形成される。ここではたとえばウェット酸化が用いられることにより酸化が促進されることが好ましい。酸化プロセスの後、
図7のフォトレジストパターンPHRが除去され、さらに酸化されなかったシリコン酸化膜OXおよびその真上のシリコン窒化膜NFが除去される。
【0052】
図9を参照して、分離用溝TRSを形成するために、半導体基板SUBの表面(n
-エピタキシャル領域ENおよび埋め込み絶縁膜BIの表面)を覆うように、シリコン窒化膜NFおよびシリコン酸化膜OXがこの順に積層される。
【0053】
次に、通常の写真製版技術およびエッチングにより、たとえば埋め込み酸化膜BIの一部と重なる領域に溝を形成ように、シリコン窒化膜NFおよびシリコン酸化膜OX、ならびにその真下の埋め込み絶縁膜BIが除去される。このようにして、シリコン窒化膜NF、シリコン酸化膜OXおよび埋め込み絶縁膜BIのマスクパターンが形成される。
【0054】
図10を参照して、上記のシリコン窒化膜NF、シリコン酸化膜OXおよび埋め込み絶縁膜BIのマスクパターンを用いて、半導体基板SUB内のn
-エピタキシャル領域ENなどがエッチングされる。上記のn型オフセット領域NOを含む、最終的に素子領域となる領域の周囲を取り囲む態様を有し、かつ半導体基板SUBの主表面からp
+埋め込み領域PBLに達するようにその側壁に沿って延在する分離用溝TRSが形成される。
【0055】
分離用溝TRSは、
図10に示すように、半導体基板SUBの主表面からp
+埋め込み領域PBLを貫通してp
-エピタキシャル領域EP内に達するように形成されてもよいが、
図11を参照して、分離用溝TRSは、少なくともp
+埋め込み領域PBLに達するように形成されてもよい。
【0056】
図12および
図13を参照して、イオン注入法により、分離用溝TRSの側壁に、n型の溝側壁n型領域NRが形成される。ここでは分離用溝TRSがp
+埋め込み領域PBLに達するように形成されるが、溝側壁n型領域NRはp
+埋め込み領域PBLに達するように形成される。実際には分離用溝TRSの側壁の少なくとも一部に、特に素子領域側(
図12の左側:LDMOSが形成される側)の側壁の少なくとも一部に、p
+埋め込み領域PBLに達するように、溝側壁n型領域NRが形成されればよい。
【0057】
特に
図13を参照して、溝側壁n型領域NRが形成される工程においては、半導体基板SUBの主表面に対して斜め方向からn型イオンが照射される。具体的には、たとえば半導体基板SUBの主表面に対して約7°の方向からn型イオン(リン)が照射されることが好ましい。以上を言い換えれば、溝側壁n型領域NRが形成される工程においては、分離用溝TRSの側壁に対して斜め方向からn型イオン(第2導電型の不純物)がイオン注入されることが好ましい。
【0058】
ここでは溝側壁n型領域NRにおけるn型不純物濃度が、n
-エピタキシャル領域ENにおけるn型不純物濃度よりも高く、p
+埋め込み領域PBL(のうち最小不純物濃度を有する箇所)におけるp型不純物濃度よりも低いことが好ましい。なお上記のように溝側壁n型領域NRとはn
-エピタキシャル領域ENとして不純物濃度が飽和している領域に対して濃度が高い領域としてその範囲を定義しているものの、ここでは溝側壁n型領域NRにおけるn型不純物濃度とは、
図3(B)のX座標がおよそ4.5μmの位置に現れる、最もn型不純物濃度の高い領域におけるn型不純物濃度と考えることが好ましい。
【0059】
たとえばn
-エピタキシャル領域ENのn型不純物濃度が約5×10
15cm
-3であり、p
+埋め込み領域PBLのp型不純物濃度が約5×10
17cm
-3である場合、溝側壁n型領域NRにおけるn型不純物濃度はおよそ1×10
16cm
-3以上1×10
17cm
-3以下であることが好ましい。このことから、リンのドーズ量は3×10
13/cm
2以上9×10
13/cm
2以下とすることが好ましい。ただし後述するように、実際にはここでのリンのドーズ量を3×10
13/cm
2以上7×10
13/cm
2以下とすることが好ましい。
【0060】
図13に示す斜め方向(主表面に対して約7°の方向)から、主表面方向の幅が約1μmの分離用溝TRSの側壁へのイオン注入を行なった場合、半導体基板SUBの主表面から図の上下方向に約10μmの深さまでの領域においては、深さに関係なくほぼ均一な濃度分布となるようにn型イオンが注入される。ここでn
-エピタキシャル領域ENの、
図3(A)の上下方向の厚みは約5μmである。このため溝側壁n型領域NRは、図の上下方向の位置に関わらず、ほぼ一定の不純物濃度分布を示す。したがって
図3(B)のグラフは、
図3(A)に示すように溝側壁n型領域NRの、図の上下方向における中央よりやや下方の位置の濃度分布を一例として示しているが、たとえば図の上下方向における中央よりも上方など、溝側壁n型領域NR内の他の領域を通って図の左右方向に延びる直線上での不純物濃度分布も、X座標が同一であればおおむね
図3(B)と同様になる。
【0061】
さらに
図13の処理においては、たとえばリンのイオン注入が常に分離用溝TRSの側壁の同じ方向(
図13の左側)向きになされる。この場合、少なくとも
図13の左側のように、LDMOSが形成される側の側壁に溝側壁n型領域NRが形成されるようにイオン注入がなされることが好ましい。
【0062】
ただし、分離用溝TRSの側壁の全面(たとえば
図13の右側を含む)にイオン注入したい場合には、半導体基板SUBを分離用溝TRSの延在する方向(図の上下方向)に延びる中心軸を中心に回転させながらイオン注入がなされることが好ましい。このようにすれば、分離用溝TRSの側壁の全面にイオン注入することができる。
【0063】
図14を参照して、
図9の工程において形成されたシリコン窒化膜NFおよびシリコン酸化膜OXが除去された後、半導体基板SUBの主表面を覆うようにシリコン酸化膜が形成され、これによって分離用溝TRSの内部がシリコン酸化膜からなる充填絶縁層BISにより充填される。この処理により、分離用溝TRSの真上に形成された埋め込み絶縁膜BIの溝もシリコン酸化膜で充填される。
【0064】
図15を参照して、たとえば
図5の工程と同様の通常の写真製版技術およびイオン注入法を用いた処理により、半導体基板SUB内の、半導体基板SUBの主表面側の所望の位置にn型ウェル領域NWRが形成される。
【0065】
図16を参照して、たとえば
図5の工程と同様の通常の写真製版技術およびイオン注入法を用いた処理により、半導体基板SUB内の、半導体基板SUBの主表面側の所望の位置にp型ボディ領域BOが形成される。p型ボディ領域BOは、n型オフセット領域NOと隣り合いpn接合を構成するように形成される。
【0066】
なおp型ボディ領域BOのp型不純物濃度は、通常、溝側壁n型領域NRのn型不純物濃度よりも高い。このため、p型ボディ領域BOの形成により、特に半導体基板SUBの主表面に近い領域の溝側壁n型領域NRがp型ボディ領域BOに代わる場合がある。すなわち、溝側壁n型領域NRは、上記のように分離用溝TRSの側壁の全面に形成されなくてもよく、側壁の少なくとも一部に(少なくともp
+埋め込み領域PBLに達するように)形成されればよい。
【0067】
図17を参照して、これまでと同様の通常の写真製版技術およびイオン注入法を用いた処理により、n
+ドレイン領域DRA、n
+ソース領域SOおよびp
+不純物領域IRが形成される。n
+ドレイン領域DRAはn型ウェル領域NWRよりも高いn型不純物濃度を有し、n
+ソース領域SOおよびp
+不純物領域IRはp型ボディ領域BOよりも高いn型(p型)不純物濃度を有するように形成される。
【0068】
図18を参照して、半導体基板SUBの主表面が熱酸化され、続いて熱酸化された半導体基板SUBの主表面を覆うように、たとえばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により多結晶シリコン膜が形成される。次にイオン注入法により、多結晶シリコン膜内にリンなどのn型イオンが注入される。その後、通常の写真製版技術およびエッチングにより、上記の多結晶シリコン膜の一部が埋め込み絶縁膜BI上の一部に乗り上げ、かつp+不純物領域IR上およびn
+ソース領域SO上に熱酸化膜としてのゲート絶縁膜GIが介在するように、ゲート電極層GEが形成される。
【0069】
図19を参照して、半導体基板SUBの主表面を覆うように、たとえばCVD(Chemical Vapor Deposition)法によりシリコン酸化膜の層間絶縁膜IIが形成される。その後、n
+ドレイン領域DRAの真上およびn
-ソース領域SOとp
+不純物領域IRとのpn接合部の真上の層間絶縁膜IIが通常の写真製版技術およびエッチングにより除去されコンタクトCTが形成される。そしてコンタクトCTの内部がたとえばタングステンにより充填される。さらにコンタクトCTの上面に接するように、たとえばスパッタリングおよび通常の写真製版技術、エッチングにより、チタンアルミニウム(TiN)およびアルミニウム銅(AlCu)のパターンが形成され、このパターンによりドレイン電極DEおよびソース電極SEが形成される。
【0070】
以上により
図1に示すような半導体装置(LDMOS)が形成される。なお
図19の層間絶縁膜IIおよびコンタクトCTは、
図1においては図示が省略されている。
【0071】
次に、比較例を参照しながら、一実施の形態の作用効果について説明する。
図20を参照して、比較例の半導体装置においては
図1の一実施の形態と基本的に同様の構成を有するが、p
-エピタキシャル領域EPとn
-エピタキシャル領域ENとの間の半導体基板SUB内にはn型不純物を有するn
+埋め込み領域NBLが形成されている。n
+埋め込み領域NBLにおけるn型不純物濃度は、n
-エピタキシャル領域ENにおけるn型不純物濃度よりも高い。
【0072】
LDMOSが電源回路に電力を供給するいわゆるドライバ回路として用いられるためには、LDMOS自身が高耐圧であることが要求される。しかしn
-エピタキシャル領域ENとn
+埋め込み領域NBLとの間にはpn接合が構成されない。このため
図20のLDMOSは高耐圧の要求を満足しにくい。
【0073】
そこで
図20のLDMOSが高耐圧の要求を満足するために、たとえばソース電極(n
+ソース領域SO)とドレイン電極(n
+ドレイン領域DRA)との距離を大きくすることが考えられるが、この場合LDMOSのいわゆるオン抵抗が増加する可能性がある。そもそも
図20のLDMOSは、いわゆるローサイドドライバとして用いられる場合、電力損失を低減するために、オン抵抗の低減が求められる。しかしオン抵抗を低くしようとすれば今度は耐圧が低くなるため、オン抵抗と耐圧とはいわゆるトレードオフの関係になる。
【0074】
図21を参照して、この回路図にはハイサイド素子としてのハイサイドドライバTR
Hのソース領域とローサイド素子としてのローサイドドライバTR
Lのドレイン領域とが接続され、この接続される箇所には負荷が接続される。ハイサイドドライバTR
Hのドレイン領域には電圧Vdd(たとえば45V)が印加され、ローサイドドライバTR
Lのソース領域および上記の負荷は接地されている(言い換えれば0Vの電圧が印加されている)。
【0075】
そこで
図22を参照して、一実施の形態(
図1)と同様に、n
+埋め込み領域NBLの代わりに(p
-エピタキシャル領域EPよりも不純物濃度が高い)p
+埋め込み領域PBLが形成される。このようにすれば、n
-エピタキシャル領域ENとp
+埋め込み領域PBLとのpn接合に空乏層が延びるため、n型オフセット領域NOとp型ボディ領域BOとのpn接合における急激な電界の上昇が抑えられる。電界の上昇が緩和されることにより耐圧が上昇するため、LDMOSのサイズを縮小しても耐圧を高めることができ、オン抵抗の低下と耐圧の増加との双方を同時に実現することができる。
【0076】
図23を参照して、これは
図2(B)と基本的に同様の構成であり、
図22の構成が適用されているが、溝側壁n型領域NRが形成されていない点において
図2(B)と異なっている。
【0077】
図23の半導体装置は、n型不純物濃度がたとえば約1×10
15cm
-3以上5×10
15cm
-3以下と比較的低くなるようにn
-エピタキシャル領域ENが形成される。このため、特にプロセスの最中にn
-エピタキシャル領域ENが露出した場合に、露出したn
-エピタキシャル領域ENから不純物などが侵入する不具合が発生し得る。したがって
図23の構成は汚染を誘発する要因となり得る。このことについて以下にさらに詳しく説明する。
【0078】
図24を参照して、たとえば
図9の工程のように、分離用溝TRSを形成するためのマスクパターン(埋め込み絶縁膜BI、シリコン窒化膜NFおよびシリコン酸化膜OX)が形成された際、マスクパターンの端部としての(最終的に分離用溝TRSとなる)溝が形成される領域において、n
-エピタキシャル領域ENの表面が露出する。
【0079】
ここで、たとえばこのn
-エピタキシャル領域ENの露出した表面に異物FRNが付着した場合を考える。異物FRNは、たとえばクリーンルーム内の雰囲気中に含まれるボロンなどのp型不純物である。
【0080】
図25を参照して、上記の異物FRNが存在する状態で
図12の工程に示すような分離用溝TRSが形成されれば、分離用溝TRSの側壁に異物FRN(p型不純物)が叩き込まれ、側壁およびその近傍にp型不純物領域PRが形成されてしまう場合がある。
【0081】
図26を参照して、
図25の状態で後工程が行なわれ、
図16の工程と同様にp型ボディ領域BOが形成されれば、このp型ボディ領域BOとp型不純物領域PRとp
+埋め込み領域PBLとが互いに電気的に接続されて短絡を起こす可能性がある。
【0082】
そこで一実施の形態のように、p型不純物領域PRが形成される恐れのある分離用溝TRSの側壁に、n
-エピタキシャル領域ENよりもn型不純物濃度の高い溝側壁n型領域NRが形成されることにより、溝側壁n型領域NRが形成されない場合に比べて溝側壁n型領域NRにp型不純物領域PRが形成される不具合の発生が抑制される。その結果、p型ボディ領域BOとp
+埋め込み領域PBLとの短絡を抑制することができる。
【0083】
分離用溝TRSが主表面からp
+埋め込み領域PBLに達するように延在するため、溝側壁n型領域NRをp
+埋め込み領域PBLに達するように側壁に沿って延在させることができる。このためより確実に、p型ボディ領域BOとp
+埋め込み領域PBLとの短絡を抑制することができる。
【0084】
以上をまとめると、一実施の形態のLDMOSは、オン抵抗の低下と耐圧の増加との双方を同時に実現するとともに、p型ボディ領域BOとp
+埋め込み領域PBLとの短絡を抑制することができる。
【0085】
ただし溝側壁n型領域NRのn型不純物濃度がp
+埋め込み領域PBLのp型不純物濃度を上回れば、p
+埋め込み領域PBLのp型不純物が溝側壁n型領域NRのn型不純物に打ち消されてp+埋め込み領域PBLが消滅する恐れがある。溝側壁n型領域NRのn型不純物濃度をp
+埋め込み領域PBLのp型不純物濃度より低くすることにより、このような不具合の発生を抑制することができる。
【0086】
たとえば
図10のように分離用溝TRSがp
+埋め込み領域PBLに達し、さらにp
+埋め込み領域PBLを貫通するように形成されることにより、分離用溝TRSの内部の半導体素子と分離用溝TRSの外部の半導体素子とがより確実に電気的に分離される。このため半導体装置全体の耐圧をより上昇させることができる。
【0087】
なおp
+埋め込み領域PBLと分離用溝TRSとが接続するように形成されることにより、LDMOSのRESURF効果を最大限に発揮することができる。
【0088】
さらにたとえば
図13に示すように、側壁に対して斜め方向からn型イオン(リン)が注入されるため、側壁の深さに関わらず一定の濃度となるようにイオン注入することができ、注入量を精密に制御することができる。
【0089】
(実施の形態2)
図27を参照して、この平面図の分離用溝TRSに囲まれた領域にLDMOSなどの半導体装置が形成されている。そして
図27においては分離用溝TRSのLDMOSが配置される側(分離用溝TRSの内側)の側壁、およびLDMOSと反対側(分離用溝TRSの外側)の側壁に溝側壁n型領域NRが形成されている。
【0090】
これに対して
図28を参照して、溝側壁n型領域NRは、少なくとも分離用溝TRSのLDMOS側のみに形成されていてもよく、LDMOSと反対側(分離用溝TRSの外側)の側壁には溝側壁n型領域NRが形成されていなくてもよい。
【0091】
溝側壁n型領域NRは、上記のようにLDMOSを構成するp型ボディ領域BOとp
+埋め込み領域PBLとの間にp型不純物領域PR(
図25参照)が形成される不具合を抑制する目的で形成される。このため溝側壁n型領域NRは、p型ボディ領域BOが形成される側、すなわちLDMOS側のみに形成されていてもよい。
【0092】
なお
図27のように分離用溝TRSのLDMOS側とLDMOSと反対側との双方に溝側壁n型領域NRが形成される場合には、上記のように半導体基板SUBを回転させながらイオン注入法の処理を行なうことが好ましい。しかし
図28のように分離用溝TRSのLDMOS側のみに溝側壁n型領域NRが形成された態様は、たとえばLDMOSと反対側の側壁にはイオン注入がなされないようなマスクパターンを形成することにより形成することができる。
【0093】
また
図27および
図28のように矩形の平面形状を有する溝側壁n型領域NRは、矩形の各面ごとにイオン注入を行なう、すなわち同様の処理を各面ごとに4回繰り返すことにより形成される。
【0094】
(実施の形態3)
まず
図29を用いて本実施の形態の半導体装置の構成について説明する。
【0095】
図29を参照して、本実施の形態の半導体装置は
図1の一実施の形態の半導体装置と基本的に同様の構成を有しているが、
図29においてはp
+埋め込み領域PBLの代わりにn
+埋め込み領域NBLが、n
-エピタキシャル領域ENの代わりにp
-エピタキシャル領域EPが、それぞれ形成されている。また分離用溝TRSの側壁には溝側壁n型領域NRが形成されていない。以上の各点において、
図29は
図1と異なっているが、その他の各点においては、
図29は
図1と同様の構成を有している。
【0096】
図29のLDMOSは、n
+埋め込み領域NBLとp
-エピタキシャル領域EPとがpn接合を構成し、このpn接合の部分において空乏層が延びるため、n型オフセット領域NOとp型ボディ領域BOとのpn接合における急激な電界の上昇が抑えられ、LDMOSの高い耐圧が確保できる。
【0097】
また
図29のLDMOSは、比較的高いn型不純物濃度を有するn
+埋め込み領域NBLの存在により、p型ボディ領域BOとn
+埋め込み領域NBLとが短絡する不具合が抑制される。またp型ボディ領域BOとn
+埋め込み領域NBLとの間にはもともとp型のエピタキシャル領域EPが形成されている。このため
図29のLDMOSにおいては、分離用溝TRSからのp型不純物の異物による汚染の可能性が低減される。
【0098】
図20のLDMOSは、いわゆるローサイドドライバとしての使用も可能であるが、ハイサイドドライバとしての使用も可能である。たとえば単一の半導体基板SUBに
図1のp
+埋め込み領域PBLおよびn
-エピタキシャル領域ENを有するLDMOSと、
図20のn
+埋め込み領域NBLおよびn
-エピタキシャル領域ENを有するLDMOSとの双方が形成され、前者がローサイドドライバとして、後者がハイサイドドライバとして用いられる半導体装置を形成することができる。以下、
図30を参照しながら、
図1のローサイドドライバと
図20のハイサイドドライバとの双方を有する半導体装置におけるドライバ間のリークの特性について説明する。
【0099】
図30を参照して、このグラフの横軸は、
図20のLDMOSがハイサイドドライバとして用いられた場合に、ソース−ドレイン間に印加される電圧の値VCの相対値を示し、このグラフの縦軸は
図20のハイサイドドライバと
図1のローサイドドライバとの間を流れるリーク電流ICの相対値を示している。また当該LDMOSがハイサイドドライバとして用いられた場合に要求されるVCの規格の値、すなわち不具合なく使用できるよう要求される電圧の値が図中に示される。またグラフ中のn型不純物(リン)のドーズ量は、半導体基板SUBに
図20のハイサイドドライバとしての(n
+埋め込み領域NBLを有する)LDMOSと一緒に組み込まれる
図1のローサイドドライバとしての(p
+埋め込み領域PBLを有する)LDMOSの溝側壁n型領域NRを形成するためのドーズ量を示している。
【0100】
図30より、
図20のLDMOSとともに同一の半導体基板SUBに組み込まれる
図1のLDMOSの溝側壁n型領域NRを形成するためのドーズ量が9×10
13/cm
2になると、溝側壁n型領域NRを介在した、ハイサイドドライバとローサイドドライバとの間の電流のリークが増加する。このため、ドーズ量が9×10
13/cm
2の条件下において(
図3(B)よりこのときのリンの最大不純物濃度は約4×10
16cm
-3)、ソース−ドレイン間に印加される電圧VCの規格値未満の電圧においてもハイサイドドライバとローサイドドライバとの間のリーク電流値が上昇する。
【0101】
したがってこのような電流のリークを抑制する観点から、上記ドーズ量は9×10
13/cm
2未満とすることが好ましい。以上より、上記のように、溝側壁n型領域NRを形成するためのリンのドーズ量を3×10
13/cm
2以上7×10
13/cm
2以下とすることが好ましい。
【0102】
最後に、
図31を用いて、一実施の形態の要点を抽出したものを説明する。
図31を参照して、一実施の形態のたとえばLDMOSなどの半導体装置は、主表面を有する半導体基板SUB内に形成されたp
-エピタキシャル領域EPと、半導体基板SUB内であってp
-エピタキシャル領域EPの、半導体基板SUBの主表面側に形成されたn
-エピタキシャル領域ENとを有している。また当該半導体装置は、半導体基板SUB内であってn
-エピタキシャル領域ENの、半導体基板SUBの主表面側に形成されたn型オフセット領域NOと、n
-エピタキシャル領域ENの、半導体基板SUBの主表面側において、n型オフセット領域NOと隣り合いpn接合を構成するように半導体基板SUB内に形成されるp型ボディ領域BOとを有している。当該半導体装置は、p
-エピタキシャル領域EPとn
-エピタキシャル領域ENとの間の半導体基板SUB内に形成され、かつp
-エピタキシャル領域EPよりも高いp型不純物濃度を有するp
+埋め込み領域PBLと、n型オフセット領域NOを含むLDMOSの周囲を取り囲むように、半導体基板SUBの主表面からp
+埋め込み領域PBLに達するように延在する分離用溝TRSを有している。当該半導体装置は、分離用溝TRSの側壁のうち、LDMOSが形成される側の側壁の少なくとも一部(たとえば
図31の下側)に形成された溝側壁n型領域NRを有している。溝側壁n型領域NRにおけるn型不純物濃度はn
-エピタキシャル領域ENにおけるn型不純物濃度よりも高い。溝側壁n型領域NRはp
+埋め込み領域PBLに達するように分離用溝TRSの側壁に沿って延在する。
【0103】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。