(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、実施形態に係る自動貸金庫装置について説明する。
【0026】
<1.全体構成>
まず、自動貸金庫装置の全体構成について説明する。
図1は自動貸金庫装置10を示す概略斜視図であり、
図2は同自動貸金庫装置10を示す概略側面図であり、
図3は同自動貸金庫装置10を示す概略平面図である。
【0027】
この自動貸金庫装置10は、一対の格納棚12と、棚側搬送機構部40と、位置変更用支持部56と、移載ユニット60と、ブース側入出ユニット300とを備える。この自動貸金庫装置10では、上記一対の格納棚12に格納された金庫ボックス90が、移載ユニット60、他棚側搬送機構部40を介してブース側入出ユニット300に搬送される。ブース側入出ユニット300に搬送された金庫ボックス90は、当該ブース側入出ユニット300を経由してブース台上に移動する。これにより、利用者は、当該ブース台308において金庫ボックス90に対する物品(通常は、貴重品)等の出し入れを行う。また、利用者による金庫ボックス90の利用終了後、ブース台308上に位置する金庫ボックス90は、ブース側入出ユニット300を経由して格納棚12側に移動し、上記移載ユニット60に移載される。そして、金庫ボックス90は、棚側搬送機構部40及び移載ユニット60を介して一対の格納棚12に格納される。
【0028】
各格納棚12には、金庫ボックス90を格納可能な格納部13が複数設けられている。ここでは、格納棚12は、間隔を有して立設された複数の棚支柱に、複数の棚板が水平面に沿った姿勢で鉛直方向に間隔をあけて多段に配設固定された構成とされている。これにより、棚支柱及び棚段によって画される直方体空間が、金庫ボックス90を格納可能な格納部13として、縦横に並ぶようにして複数構成されている。もっとも、格納棚は、上記構成に限られず、複数の棒状部材を組合わせた骨組状のフレーム構造によって構成されていてもよい。要するに、格納棚は、金庫ボックスを格納可能な格納部を複数有していればよい。かかる格納棚12は、平面視において所定方向に長い長尺状、より具体的には、所定方向に長い長方形状を呈している。
【0029】
一対の格納棚12は、その長手方向を一方向に揃えた姿勢で、間隔をあけて対向配置されている。換言すれば、一対の格納棚12は、間隔をあけて並列状に配設されている。一対の格納棚12間には、棚側搬送機構部40及び移載ユニット60を配設可能な幅の隙間が形成されている。
【0030】
この一対の格納棚12は、通常、立入りを管理された管理エリア、より具体的には、周囲が金庫壁によって取囲まれた金庫室18内に設置される。
【0031】
自動貸金庫装置が一対の格納棚12を備えることは必ずしも必須ではなく、1つの格納棚12のみ備えていてもよい。もっとも、一対の格納棚12があれば、金庫ボックス90を大量に収納できる。
【0032】
また、金庫室18の近傍、ここでは、金庫室18に隣接して利用ブース28が設けられており、この利用ブース28内にブース台308が設けられている。ここで、利用ブース28は、通常、立入りを管理された管理エリアであり、より具体的には、周囲がブース壁によって囲まれると共に施錠可能な扉29を通じて入退室可能なエリアである。この利用ブース28と金庫室18との間も、仕切壁19によって仕切られている。
【0033】
ブース台308は、利用作業面310fと、フロントパネル328とを備える。ブース台308は、一方側の格納棚12の外側一側であって、中継機構部200の隣の位置に設けられている。
【0034】
フロントパネル328は、利用ブース28側で、金庫室18と利用ブース28との間の仕切壁19に沿って配設されており、その上部は利用作業面310fより上方に突出している。
【0035】
利用作業面310fは、フロントパネル328から利用ブース28側に向けて延在する上向き水平面に形成されており、脚部等によって支持されている。利用作業面310fの上向き水平面の高さは、利用者が座って利用するのに適した程度にすることが好ましい。
【0036】
利用作業面310fは、金庫室18側から利用ブース28側に向けて延在している。この利用作業面310fに、金庫室18側から金庫ボックス90を引込可能な金庫ボックス用の入出用凹部312が形成されている。また、ブース台308のうち入出用凹部312の金庫室18側部分には、金庫ボックス90の入出用開口322が形成されている。この入出用開口322には、後述する入出操作部330が設けられている。なお、上記仕切壁19のうち入出用開口322に対向する位置にも、金庫ボックス90を出し入れするための開口が形成されている。この開口は、金庫ボックス90を出し入れする際以外には、電動扉等によって閉じられていることが好ましい。
【0037】
金庫室18内の金庫ボックス90が、入出用開口322を介して入出用凹部312に搬送され、当該入出用凹部312を通って利用作業面310fの手前側(利用者側)へ移動することで、金庫の利用者は金庫ボックス90に対して物品の出し入れを行えるようになる。また、利用終了後には、上記とは逆に、金庫ボックス90は、入出用凹部312を通って利用作業面310fの奥(仕切壁19)側に移動し、入出用開口322を通って金庫室18内に収容される。
【0038】
また、移載ユニット60は、一対の格納棚12の双方に対して金庫ボックス90を移動可能に構成されている。そして、移載ユニット60が各格納棚12のいずれかの格納部13と対向する位置に配設された状態で、移載ユニット60は、昇降機構部50の動作と連携して、当該対向する格納部13に格納された金庫ボックス90を自己に取込むように移動させて載置状に支持し、或は、自己に載置状に支持した金庫ボックス90を対向する格納部13に送込むように移動させて当該格納部13に載置状に格納する。この移載ユニット60については、後で詳述する。
【0039】
棚側搬送機構部40は、上記移載ユニット60を、一対の格納棚12の任意の格納部13に対向させる位置と、ブース側入出ユニットに対向させる位置との間で移動させるように構成されている。
【0040】
より具体的には、棚側搬送機構部40は、走行機構部42と、昇降機構部50とを備えている。
【0041】
走行機構部42は、一対の格納棚12間の隙間の延在方向に沿って、当該一対の格納棚12の各格納部13に対向する位置とブース側入出ユニット300に対向する位置との間で往復移動可能に構成されている。ここでは、走行機構部42に、位置変更用支持部56が設けられている。この位置変更用支持部56については、後述する。
【0042】
昇降機構部50は、移載ユニット60を、格納棚12の最下段の格納部13と最上段の格納部13との間で昇降移動させ、当該移載ユニット60を、各段の格納部13及びブース側入出ユニット300に対向する各位置に昇降移動させるように構成されている。
【0043】
ブース側入出ユニット300は、上記一対の格納棚12の一方側、即ち、利用ブース28側の格納棚12に設けられている。このブース側入出ユニット300は、移載ユニット60とブース台308との間で、金庫ボックス90を移動させるためのユニットである。
【0044】
ここでは、ブース側入出ユニット300は、中継機構部200と、入出操作部330とを備える。
【0045】
中継機構部200は、上記移載ユニット60との間で金庫ボックス90を移載可能に構成されると共に、上記入出操作部330に対して金庫ボックス90を送込み及び引込可能に構成されている。すなわち、中継機構部200は、一方の格納棚12において平面視で各格納部13と同列に並ぶ位置であって入出用開口322に対応する位置に設けられている。そして、移載ユニット60から移載された金庫ボックス90を入出用開口322に位置する入出操作部330に送込むと共に、入出用開口322に位置する入出操作部330の金庫室18側に位置する金庫ボックス90を移載ユニット60に向けて移動させて当該移載ユニット60に移載するように構成されている。
【0046】
この中継機構部200は、移載ユニット60による力を受けて、上記金庫ボックス90を送込み及び引込む動作を行う。この構成については、後述する。
【0047】
入出操作部330は、金庫ボックス90の出し入れを行わない通常状態では、入出用開口322に位置している。ここでは、入出操作部330は、当該入出用開口322を塞ぐ蓋の役割を有している。
【0048】
また、入出操作部330は、入出用凹部312に沿って格納棚12に近い操作部待機位置と、格納棚12から離れブース台308の手前側(利用者側)に移動した引出位置との間で移動可能に配設されている。また、入出操作部330は、上記中継機構部200によって送込まれた上記金庫ボックス90に対して直接又は間接的(ここでは、可動載置部を介して間接的)に合体及び分離可能に構成されている。
【0049】
そして、入出操作部330と金庫ボックス90とが合体した状態で、入出操作部330を入出用凹部312に沿って引出位置に引出すことで、金庫ボックス90が利用作業面310f上であって利用者によって利用可能な位置に引出される。また、この状態で、入出操作部330を操作部待機位置に向けて押込むと、金庫ボックス90が中継機構部200に近い位置に押込まれる。そして、入出操作部330と金庫ボックス90とを分離させると、金庫ボックス90が中継機構部200により引込まれ、移載ユニット60に移載されるようになる。
【0050】
また、この自動貸金庫装置10は、制御ユニット96と入力部98とを備えている。入力部98は、キーボード、タッチパネル等、本自動貸金庫装置10に対する諸指示を受付け可能に構成されており、受付けた諸指示を制御ユニット96に入力可能なように当該制御ユニット96に接続されている。入力部98は、利用ブース28内、より具体的には、フロントパネル328に設けられており、利用者による入力を受付可能に構成されている。入力部98は、その他の場所に設けられていてもよい。
【0051】
制御ユニット96は、CPU、ROMおよびRAM等を備える一般的なマイクロコンピュータによって構成されており、棚側搬送機構部40、上記移載ユニット60、ブース側入出ユニット300の中継機構部200及び入出操作部330に対して諸動作指令を付与可能に接続されている。そして、この制御ユニット96は、予め格納されたソフトウエアプログラム及び入力部98を通じて入力された諸指示に従って、後述するように、本自動貸金庫装置10の全体動作を制御する。もっとも、制御ユニット96は、棚側搬送機構部40、上記移載ユニット60、ブース側入出ユニット300との制御を司る制御ユニットと、金庫ボックス90の出し入れ指令等に係る諸指示を受付ける制御ユニット等、物理的に複数の制御ユニットの連携処理によって実現されていてもよい。
【0052】
この自動貸金庫装置10による金庫ボックス90の出し入れ動作について説明する。
【0053】
まず、一対の格納棚12の各格納部13にそれぞれ金庫ボックス90が格納されている。なお、金庫ボックス90を各格納棚12に格納するに際して、各格納部13の位置と金庫ボックス90の特定情報とを対応づけた格納位置情報が作成され、当該格納位置情報が制御ユニット96の記憶部又は当該制御ユニット96からアクセス可能な記憶部に記憶されている。
【0054】
この状態で、入力部98に対して所定の金庫ボックス90の特定情報及び当該金庫ボックス90を利用したい旨の指示を入力する。入力部98に対する入力は、本自動貸金庫装置10の利用者が行ってもよいし、別途存在する係員等が行ってもよい。すると、制御ユニット96は、格納位置情報を参照して特定された金庫ボックス90が存在する格納部13の位置を特定し、当該特定された格納部13に対向する位置に移載ユニット60を移動させるように、棚側搬送機構部40に動作指令を与える。これにより、移載ユニット60は当該特定された格納部13に対向する位置に移動する。この状態で、制御ユニット96から棚側搬送機構部40及び移載ユニット60に金庫ボックス90の取込み指令が与えられ、棚側搬送機構部40及び移載ユニット60は特定された格納部13から金庫ボックス90を取込むようにして移載動作を行う(
図3の矢符P1参照)。
【0055】
なお、本実施形態では、棚側搬送機構部40の昇降機構部50と移載ユニット60との連係動作によって、金庫ボックス90の移載動作を行う。この動作については、後述する。
【0056】
上記動作が終了すると、制御ユニット96は、移載ユニット60をブース側入出ユニット300の中継機構部200と対向する位置に移動させるように、棚側搬送機構部40に動作指令を与える。これにより、移載ユニット60は、中継機構部200と対向する位置に配設される(
図3の矢符P2参照)。この状態で、制御ユニット96から棚側搬送機構部40及び移載ユニット60に金庫ボックス90の移載指令が与えられ、棚側搬送機構部40及び移載ユニット60は、自己に載置された金庫ボックス90を中継機構部200に送込むようにして移載動作を行う(
図3の矢符P3参照)。
【0057】
上記移載動作が完了すると、制御ユニット96から棚側搬送機構部40の昇降機構部50と移載ユニット60に向けて、中継機構部200による金庫ボックス90の送込み動作を行わせる旨の指令が与えられる。これにより、中継機構部200は、移載ユニット60の力を受けて金庫ボックス90を入出操作部330に向けて送込む(
図3の矢符P4参照)。
【0058】
上記送込み動作が完了すると、制御ユニット96から入出操作部330に向けて、金庫ボックス90と合体動作を行う旨の指令が与えられる。すると、入出操作部330は金庫ボックス90と合体する。これにより、利用者は、入出用開口322を持って引出すことで、金庫ボックス90を利用作業面310f上の利用者に近い位置に移動させることができる(矢符P5参照)。そして、利用者は、当該金庫ボックス90を、自己に貸与された鍵等を用いて解錠し、蓋を開いて利用することができる。
【0059】
金庫ボックス90を格納部13に格納する場合には、上記とは逆の動作が行われる。
【0060】
すなわち、利用者が金庫ボックス90の利用終了後、蓋を閉じて施錠した後、利用者は入出用開口322を押込んで、金庫ボックス90を中継機構部200に近い位置に移動させる(矢符P5参照)。
【0061】
すると、制御ユニット96から棚側搬送機構部40の昇降機構部50と移載ユニット60に向けて、中継機構部200による金庫ボックス90の引込動作を行わせる旨の指令が与えられる。これにより、中継機構部200は、移載ユニット60の力を受けて金庫ボックス90を移載ユニット60側に向けて引込む(
図3の矢符P4参照)。
【0062】
この後、制御ユニット96による制御下、棚側搬送機構部40及び移載ユニット60は中継機構部200上の金庫ボックス90を取込むように移載する動作を行う。続いて、棚側搬送機構部40は、移載ユニット60を、金庫ボックス90を格納すべき格納部13と対向する位置に移動させる。金庫ボックス90を格納すべき格納部13の位置は、取出し前に格納されていた位置であってもよいし、他の空き位置であってもよい。後者の場合、格納位置情報を当該格納位置に合わせて更新するとよい。そして、棚側搬送機構部40及び移載ユニット60は、金庫ボックス90を格納すべき格納部13と対向する位置に移動した状態で、自己に載置された金庫ボックス90を当該格納部13に送込むようにして移載する。これにより、金庫ボックス90が格納部13に格納され、動作を終了する。
【0063】
<2.金庫ボックス>
図4は金庫ボックス90を示す平面図であり、
図5は金庫ボックス90を示す側面図である。
【0064】
金庫ボックス90は、ボックス本体部92と、一対の押出引込片94と、一対の側片95とを備えている。
【0065】
ボックス本体部92は、金属等によって筺状、ここでは、平たい筺状に形成されている。ボックス本体部92の天井板には、開口92hが形成されている。ここでは、開口92hは、ボックス本体部92の天井部より一端側(
図4及び
図5では左端側)に偏った位置に開口92hが形成されている。従って、ボックス本体部92の天井部のうち他端側(
図4及び
図5では右端側)の部分には、開放不能な固定天井領域92aが設けられている。開口92hは、蓋部93によって閉じられている。蓋部93は、上記開口92hの固定天井領域92a側の縁部にヒンジ部を介して開閉可能に連結されている。また、蓋部93には、ロック及びアンロック可能な錠部93bが設けられている。ここでは、錠部93bは、鍵によってロック及びアンロック可能に構成されているが、その他、ダイアル式の錠等を用いてもよい。そして、錠部93bをロック状態にすることで、蓋部93が開口92hを閉じた状態が維持され、金庫ボックス90に対して物品を出し入れできないようになる。また、錠部93bをアンロック状態にすることで、蓋部93を固定天井領域92a側に開くことができる。これにより、利用者は、開口92hを通じて金庫ボックス90に対して物品を出し入れできるようになる。
【0066】
一対の押出引込片94は、ボックス本体部92の各端面より離れた位置で下方に延出する垂片94aを含む。ここでは、押出引込片94は、板状部材の両端部を逆方向に略L字状に折曲げた形状に形成されている。押出引込片94の一端部がボックス本体部92の端面に接合され、押出引込片94の他端部がボックス本体部92の端面から離れた位置で下方に延設され、この部分が上記垂片94aとされている。垂片94aの下端部は、ボックス本体部92の底面と同じ又は上側の位置に配設されている。
【0067】
一対の側片95は、ボックス本体部92の両側面から水平方向に沿って延出している。ここでは、側片95は、細長い板状部材をその長手方向に沿ったラインでL字状に折曲げた形状に形成されている。そして、側片95の一側部がボックス本体部92の側面の上下方向中間部に対して、ボックス本体部92の側面の延在方向に沿った姿勢で接合されている。これにより側片95の他側部が、ボックス本体部92の側面の上下方向中間部から、ボックス本体部92の側面の延在方向に沿った姿勢で水平方向外向きに延出している。
【0068】
上記金庫ボックス90は、いずれか一方の押出引込片94を、一対の格納棚12間に向けた姿勢で、各格納部13に格納されている。そして、後に詳述するように、一対の格納棚12を移動する移載ユニット60によって、上記押出引込片94を引込むことで、金庫ボックス90が移載ユニット60に移動する。また、当該移載ユニット60によって、上記押出引込片94を押込むことで、金庫ボックス90が格納棚12に移動する。同様にして、移載ユニット60と中継機構部200との間で、金庫ボックス90が移動される。
【0069】
<3.棚側搬送機構部及び移載ユニット>
<3.1.棚側搬送機構部>
図6に示すように、棚側搬送機構部40は、走行機構部42と、昇降機構部50とを備える。
【0070】
走行機構部42は、走行台車43と、車輪等の転動体44と、回転駆動部45とを備える。
【0071】
走行台車43は、一対の格納棚12間に配設可能な形状、例えば、扁平な箱形状に形成されている。走行台車43は、その他、複数の金属製の棒状部材が枠状に組合わされた構成であってもよい。すなわち、走行台車43は、回転駆動部45、昇降機構部55等を支持した状態で、転動体44によって走行可能な構成であればよい。
【0072】
転動体44は、走行台車43の底部に取付けられており、一対の格納棚12間の床を走行可能に構成されている。転動体44は、一対の格納棚12間に敷設されたレール等を走行可能に構成されていてもよい。
【0073】
回転駆動部45は、サーボモータ等によって構成されており、上記走行台車43に取付けられている。回転駆動部45の回転駆動力は、チェーン、ベルト、ギヤ等の伝達機構を介して転動体44の少なくとも1つに伝達される。そして、回転駆動部45の駆動によって転動体44の少なくとも1つが回転駆動され、これにより、走行機構部42が一対の格納棚12の双方向に走行可能とされている。また、回転駆動部45の回転位置信号は、上記制御ユニット96に与えられ、制御ユニット96は、走行台車43を所望の位置に向けて移動及び停止させるように、回転駆動部45を制御する。走行台車43の位置制御は、走行台車43又は一対の格納棚12等に設けられた位置センサの出力に基づいて行われてもよい。
【0074】
この走行台車43には、上方に突出するようにして、位置変更支持部56が設けられている。ここでは、位置変更用支持部56は、一対の位置変更用当接部58を含む。一対の位置変更用当接部58は、走行機構部42の走行方向において間隔をあけて設けられている。各位置変更用当接部58は、ここでは、板状に形成されており、走行機構部42の走行方向に直交する方向に延在している。位置変更用当接部58は、例えば、走行台車43の上面に溶接或はネジ締め等により取付固定されている。この位置変更用当接部58の配設位置等については、移載ユニット60との関係でさらに詳述する。
【0075】
昇降機構部50は、支柱部52と、昇降用チェーン53と、昇降駆動部54とを備える。
【0076】
支柱部52は、格納棚12の高さ寸法程度の棒状に形成されている。ここでは、一対の支柱部52が、走行台車43のうちその走行方向に沿った方向における両端部に立設状に固定されている。この一対の支柱部52に沿って移載ユニット60が昇降可能に支持されている。もっとも、移載ユニット60は、1本の支柱部によって方持ち状に昇降可能に支持される構成であってもよい。
【0077】
昇降用チェーン53は、一方の支柱部52の上下端側に設けられた図示省略の歯車に循環回転走行可能に巻掛けられている。
【0078】
昇降駆動部54は、サーボモータ等によって構成されており、上記走行台車43に取付けられている。回転駆動部54の回転駆動力は、チェーン、ベルト、ギヤ等の伝達機構を介して一方の歯車に伝達される。そして、回転駆動部54の駆動によって当該一方側の歯車が回転駆動され、これにより、昇降用チェーン53が支柱部52に沿った上下方向に循環回転走行可能とされている。また、昇降駆動部54の回転位置信号は、上記制御ユニット96に与えられ、制御ユニット96は、移載ユニット60を所望の上下位置に向けて移動及び停止させるように、昇降駆動部54を制御する。移載ユニット60の移動位置制御は、走行台車43、支柱部52、移載ユニット60等に設けられた位置センサの出力に基づいて行われてもよい。
【0079】
<3.2.移載ユニット>
図7は移載ユニット60を示す概略平面図であり、
図8は移載ユニット60を示す概略正面図であり、
図9は押引作用部70と押引作用部移動機構部80との関係を示す説明図である。
【0080】
移載ユニット60は、載置部としての一対のスライド載置部63と、押引作用部70と、押引作用部移動機構部80とを備える。
【0081】
概略的には、本移載ユニット60の基台となるベース部材62に上記一対のスライド載置部63が組込まれている。また、このベース部材62に対して、押引作用部70が一対の格納棚12間を結ぶ方向(つまり、金庫ボックス90を移載する際に移動させる移載方向)で移動可能に支持されている。さらに、ベース部材62に押引作用部移動機構部80が組込まれている。そして、押引作用部移動機構部80の駆動によって押引作用部70が各格納部13に向けて進退移動することで、押引作用部70が格納部13等に格納された金庫ボックス90をベース部材62の一対のスライド載置部63上に取込み、或は、押引作用部70が一対のスライド載置部63上に載置された金庫ボックス90を格納部13側等に押込むようにして、金庫ボックス90の移載動作を行う。
【0082】
ベース部材62は、金庫ボックス90を載置可能な載置部として一対のスライド載置部63を含む。一対のスライド載置部63は、金庫ボックス90を各格納部13又はブース側入出ユニット300に対してスライド移動可能に支持可能に構成されている。すなわち、スライド載置部63は、一対の格納棚12を結ぶ方向(移載方向)に延びる長尺部材に形成されている。スライド載置部63は、金庫ボックス90の一側部底面部分を載置状かつスライド可能に支持する底面支持面63aと金庫ボックス90の側面をガイド支持する側面ガイド面63bとを含む。一対のスライド載置部63は、それぞれの側面ガイド面63bを対向させると共にそれらの間に間隔をあけた平行姿勢で、一対の横フレーム64を介して連結固定されている。一対のスライド載置部63の対向する底面支持面63aの内側縁部間の間隔は、金庫ボックス90の幅よりも小さく、かつ、対向する側面ガイド面63b間の間隔は金庫ボックス90の幅よりも大きい。なお、一対の側面ガイド面63bの両端部は、外方に向けて外向き傾斜する傾斜面に形成されている。
【0083】
そして、一対のスライド載置部63間のいずれかの外方にある金庫ボックス90が、一対の側面ガイド面63bによって幅方向の位置を規制されつつ、一対の底面支持面63a上を滑るようにして移動して、一対のスライド載置部63間で載置状に支持される。また、逆に、一対のスライド載置部63間で載置状に支持された金庫ボックス90が、一対の側面ガイド面63bによって幅方向の位置を規制されつつ、一対の底面支持面63a上を滑るようにして移動して、一対のスライド載置部63間のいずれかの外方に移動される。
【0084】
押引作用部70は、金庫ボックス90を一対のスライド載置部63と外方との間で引込み又は押出し可能に構成されている。
【0085】
すなわち、押引作用部70は、移載ベース部72と、一対の移動力作用片73とを含む。移載ベース部72は、水平方向に沿って延在する方形板状に形成されており、そのうちの一方側の格納棚12側の端部及び他方側の格納棚12側の端部のそれぞれに移動力作用片73が形成されている。各移動力作用片73は、移載ベース部72の端部から上方に向うと共にスライド載置部63の延在方向に対して略直交する方向に延びる長尺板状に形成されている。上記一対の移動力作用片73は、スライド載置部63の底面支持面63aよりも上方に突出している。そして、各移動力作用片73が金庫ボックス90のボックス本体部92の一対の外面に形成された押出引込片94の内面に当接することで当該金庫ボックス90を引出し、或は、移動力作用片73が金庫ボックス90のボックス本体部92の外面或は押出引込片94の外面に当接することで当該金庫ボックス90を押出して、金庫ボックス90を移動させる(詳細は後述する)。つまり、移動力作用片73は、金庫ボックス90に対して移動力を作用させる。
【0086】
上記押引作用部70は、一対の格納棚12の一方側又はブース側入出ユニット300側に向けて延出した一方側延出位置(
図9の左側位置参照)と、一対の格納棚12の他方側に向けて延出した他方側延出位置(
図9の右側位置参照)との間で移動可能に支持されている。
【0087】
ここでは、押引作用部70は、次の水平可動支持機構部74によって移動可能に支持されている。
【0088】
すなわち、上記一対のスライド載置部63間において上記一対の横フレーム64間に掛渡すようにして中間ベース部材65が取付けられている。
【0089】
中間ベース部材65は、底部65aの両側部に側壁部65bが立設された構成とされ、その上方及び両端側が開口している。また、中間ベース部材65の長さ寸法は、上記一対のスライド載置部63の長さ寸法と同程度とされている。さらに、中間ベース部材65の幅寸法は、一対のスライド載置部63の間隔よりも小さく、従って、一対のスライド載置部63と中間ベース部材65の両側各間に隙間が設けられている。また、上記側壁部65bの上縁部には、水平方向に沿った長尺支持部65cが設けられている。ここでは、側壁部65bの上側部分を中間ベース部材65の内側に折曲げることで、長尺支持部65cが設けられている。長尺支持部65cの一端側部(ブース側入出ユニット300に対向して配置される側の端部)は下方に向けて傾斜する傾斜部65dに形成されている。後述する中継機構部200の車輪262が、この長尺支持部65c上を転がって移動するようになっている(詳細は後述)。
【0090】
この中間ベース部材65にベース側水平可動支持部75が組付けられている。
【0091】
水平可動支持機構部74は、ベース側水平可動支持部75と、中間可動体76と、作用部側水平可動支持部77とを備える。ベース側水平可動支持部75は、上記中間ベース部材65の底部65a上でスライド載置部63の延在方向に沿って設けられている。このベース側水平可動支持部75は、レールと当該レールを直線状に移動する走行部材(例えば、リニアガイド)等によって構成されており、上記中間可動体76を中間ベース部材65の一対の側壁部65b間で移動可能に支持している。なお、一対の側壁部65b間において、水平可動支持機構部74は一方の側壁部65bに偏った位置に設けられており、従って、ベース側水平可動支持部75と他方の側壁部65bとの間には、押引作用部移動機構部80を配設可能なスペースが設けられている。
【0092】
また、中間可動体76は、一方の側壁部65b間の上部近くに配設される天井面76aを有しており、この天井面76aに作用部側水平可動支持部77がスライド載置部63の延在方向に沿って設けられている。作用部側水平可動支持部77は、レールと当該レールを直線状に移動する走行部材(例えば、リニアガイド)等によって構成されており、上記押引作用部70を一対のスライド載置部63間で直線状に移動可能に支持している。
【0093】
そして、一対のスライド載置部63間で、中間ベース部材65に対して中間可動体76をその移動方向一方側に移動させると共に、中間可動体76に対して押引作用部70をその移動方向一方側に移動させることで、押引作用部70が上記一方側延出位置に移動する。また、一対のスライド載置部63間で、中間ベース部材65に対して中間可動体76をその移動方向他方側に移動させると共に、中間可動体76に対して押引作用部70をその移動方向他方側に移動させることで、押引作用部70が上記他方側延出位置に移動する。
【0094】
押引作用部移動機構部80は、上記のように移動可能に支持された押引作用部70を、一方側延出位置と他方側延出位置との間で移動駆動させるように構成されている。
【0095】
すなわち、押引作用部移動機構部80は、水平駆動用モータ81と、一対の歯車83と、一対の環状チェーン84とを備える。
【0096】
一対の歯車83は、中間ベース部材65内の両端部位置に回転可能に支持されている。環状チェーン84は、当該一対の歯車83に循環回転可能に巻掛けられている。この環状チェーン84のうち上方を走行する直線状部分の1箇所が上記押引作用部70に連結されている。
【0097】
水平駆動用モータ81は、回転駆動力を発生させるサーボモータ等によって構成されており、平面視において一対のスライド載置部63間に位置するように、ここでは、一方側の横フレーム64の下方位置に支持されている。そして、この水平駆動用モータ81の回転駆動力が伝達用チェーン又はベルト等の中継用無端環状部材82を介して一方側の歯車83に伝達される。
【0098】
そして、水平駆動用モータ81の正逆両方向の回転駆動力が中継用無端環状部材82を介して一方の歯車83に伝達され、これにより、環状チェーン84が正逆いずれかの方向に回転する。環状チェーン84の回転に伴って、当該環状チェーン84に連結された押引作用部70が上記一方側延出位置と他方側延出位置との間で両方向に移動駆動される。
【0099】
なお、制御ユニット96は、水平駆動用モータ81からの回転位置信号又は押引作用部70の位置を検出すべく、押引作用部70の移動経路又は押引作用部70による移動対象の移動経路等に設けられた位置センサの検出信号等に基づいて、押引作用部70が所定の位置に向けて移動して停止するように、水平駆動用モータ81の回転方向、回転量等を制御する。
【0100】
この移載ユニット60では、平面視において、一対のスライド載置部63と、押引作用部70の移動軌跡(押引作用部70、水平可動支持機構部74、押引作用部移動機構部80等を組込んだ中間ベース部材65)の両側との間に隙間が存在している。平面視において、上記一対の位置変更用支持当接部58は、平面視において、その2つの隙間であって上記横フレーム64の間に設けられている。
【0101】
従って、移載ユニット60を下降させると、一対の位置変更用支持当接部58は、押引作用部70と一対のスライド載置部63の各間で、一対のスライド載置部63より上方に突出可能となる。一対のスライド載置部63の高さ寸法は、移載ユニット60を最下段の格納部13よりも下方に下降させた状態で、一対の位置変更用支持当接部58が一対のスライド載置部63よりも上方に突出する程度に設定されていることが好ましい。
【0102】
<3.3.移載動作>
上記移載ユニット60は、制御ユニット96による制御下、昇降機構部50の動作と連携して金庫ボックス90の移載動作を行う。
【0103】
図10〜
図13は金庫ボックス90の移載動作を示す説明図である。なお、
図10〜
図13では説明の便宜上、各構成部分を簡略化或は誇張して描いている。
【0104】
まず、
図10に示すように、格納棚12の格納部13に金庫ボックス90が載置状に格納されているとする。金庫ボックス90は、一方側の押出引込片94の垂片94aを一対の格納棚12間に向けた姿勢で、格納部13に載置されている。
【0105】
そして、棚側搬送機構部40及び昇降機構部50の駆動により移載ユニット60が格納部13に対向する位置に移動される。なお、対向初期状態では、一対のスライド載置部63の底面支持面63aは、格納部13の載置支持面よりも下方(底面支持面63aからの一対の移動力作用片73の突出寸法よりも大きい寸法分程度下方)の位置にある。
【0106】
上記状態で、
図11に示すように、押引作用部移動機構部80の駆動により押引作用部70が格納部13側の他方側延出位置に向けて移動する。そして、他方側の移動力作用片73が垂片94aを越えてボックス本体部92側に移動する。
【0107】
この後、
図12に示すように、昇降機構部50の駆動により、移載ユニット60全体が上昇する。すると、他方側の移動力作用片73が垂片94aとボックス本体部92内に配設される。
【0108】
この後、
図13に示すように、押引作用部移動機構部80の駆動により押引作用部70が反対側の格納部13側(一方側延出位置と他方側延出位置との間であって一方側延出位置に近い位置)に向けて移動する。すると、他方側の移動力作用片74と垂片94aとの当接により、金庫ボックス90が一対のスライド載置部63上を滑るようにして一対のスライド載置部63上に引込まれ、格納部13から移載ユニット60への移載動作が終了する。
【0109】
一方、移載ユニット60上にある金庫ボックス90を格納部13に向けて移載する場合には、押引作用部70の他方側の移動力作用片74を垂片94aとボックス本体部92間に配設した状態で、上記と逆に、押引作用部移動機構部80の駆動により押引作用部70を格納対象となる側に向けて移動させる。すると、他方側の移動力作用片74がボックス本体部92の外面に当接して金庫ボックス90を押すように移動させる。すると、金庫ボックス90が一対のスライド載置部63上を滑るようにして移動して、格納部13側に所定位置まで押込まれる。これにより、移載ユニット60から格納部13への移載動作が終了する。
【0110】
なお、一方側の格納棚12又はブース側入出ユニット300と移載ユニット60との間でも、押引作用部70を一方側延出位置に移動させることで、上記と同様に、金庫ボックス90の移載動作を行う。
【0111】
<3.4.押引作用部の位置変更動作>
ところで、上記移載ユニット60では、移載ユニット60に対して同じ側に存在する格納部13又はブース側入出ユニット300に対して金庫ボックス90を引込んでまた押込む動作を行う場合には、押引作用部70は金庫ボックス90に対して同じ側で当該金庫ボックス90を押し引きすればよい。
【0112】
ところが、移載ユニット60を挟んで対向する格納棚12、ブース側入出ユニット300の間で、金庫ボックス90を搬送するためには、押引作用部70を金庫ボックス90の反対側に移動させる必要がある。
【0113】
図10〜
図13に示す例において、金庫ボックス90を他方側(右側)の格納部13から移載ユニット60に移載した後、当該金庫ボックス90を移載ユニット60から一方側の格納部13と同列に並ぶブース側入出ユニット300に移載する場合には、押引作用部70を金庫ボックス90の左側から右側へ移動させる必要がある。
【0114】
また、これとは逆に、一方側の格納部13と同列に設けられた中継機構部200から金庫ボックス90を移載ユニット60に取込んで、他方側の格納部13に格納すべく送込む場合には、押引作用部70を金庫ボックス90の右側から左側へ移動させる必要がある。
【0115】
しかしながら、上記押引作用部70は、スライド載置部63の底面支持面63aより上方に突出しているため、底面支持面63a上に金庫ボックス90を載置したままでは、押引作用部70を上記のように移動させることができない。
【0116】
そこで、移載ユニット60は、位置変更用支持部56を利用して、押引作用部70の位置変更動作を行う。
図14〜
図17は、押引作用部70の位置変更動作を示す説明図である。
【0117】
すなわち、
図14に示すように、位置変更動作前に、移載ユニット60が、他方の格納棚12の格納部13から金庫ボックス90を取込んだ状態であるとする。この状態では、一対のスライド載置部63の延在方向中間部に金庫ボックス90が載置され、押引作用部70は、金庫ボックス90に対して上記他方の格納棚12の反対側の位置にある。
【0118】
上記状態で、
図15に示すように、昇降機構部50の駆動により、位置変更用支持部56がスライド載置部63の底面支持面63aより上方に突出するように(より具体的には、位置変更用支持部56の一対の位置変更用当接部58の上面が押引作用部70の上縁部を越えるまで)、移載ユニット60が下降する。すると、一対の位置変更用当接部58によって金庫ボックス90が一対のスライド載置部63より上方に持上げられるように支持された状態となる。この状態では、金庫ボックス90の底面は、押引作用部70の上縁部より上方に位置する。
【0119】
なお、一対の位置変更用当接部58は、押引作用部70と一対のスライド載置部63との各間で、一対のスライド載置部63の延在方向に沿って延在する板状部材に形成され、それぞれの上縁部が水平方向にそって延びる線状部分に形成されている。このため、金庫ボックス90を、平行な2本の線状の接触部で安定して支えることができる。
【0120】
この状態で、
図16に示すように、押引作用部移動機構部80の駆動により、金庫ボックス90の下方を通って、押引作用部70を一方側延出位置に近い位置(
図14及び
図15の左側位置)から他方側延出位置に近い位置(
図16及び
図17の右側位置)に向けて移動させる。
【0121】
この後、
図17に示すように、昇降機構部50の駆動により、移載ユニット60を上昇させ、一対のスライド載置部63が一対の位置変更用当接部58の上縁部位置を越えると、金庫ボックス90が一対の位置変更用当接部58から一対のスライド載置部63に移し替えられる。また、押引作用部70の他方側の移動力作用片73が、垂片94aの外面近くに配設された状態となる。
【0122】
この後、棚側搬送機構部40及び昇降機構部50の駆動により、移載ユニット60をブース側入出ユニット300に対向する位置に移動させて、押引作用部70をブース側入出ユニット300に向けて移動させることにより、金庫ボックス90がブース側入出ユニット300に移載される。
【0123】
なお、
図16に示す状態で、押引作用部70を、押出引込片94の垂片94aとボックス本体部92間に移動させて、押引作用部70がボックス本体部92の外面を押すことにより、金庫ボックス90を移動させるようにしてもよい。
【0124】
なお、移載ユニットに押引作用部を昇降又は起伏させる機構を組込み、金庫ボックス90との干渉を避けるように押引作用部を下降又は倒した状態で、押引作用部70を一方側延出位置と他方側延出位置との間で移動させてもよい。
【0125】
<4.中継機構部>
<4.1.中継機構部の構成>
図18は中継機構部200を示す概略平面図であり、
図19は中継機構部200を示す概略側面図である。
図18及び
図19の左側位置にブース台308が配設されており、移載ユニット60から中継機構部200に金庫ボックス90が移載される際には、
図18及び
図19の右側位置に移載ユニット60が配設される。
図20は中継機構部200を移載ユニット60側から視た概略図である。
【0126】
中継機構部200は、移動可能に支持された可動載置部280と、一対の回転支持部230と、無端環状部材240と、可動載置部側伝達部246と、押引作用部側伝達部250とを備える。
【0127】
中継機構部200は、概略的には、可動載置部280を、ブース台308に近いブース台側位置と、一方の格納棚12側に退避した格納棚側位置との間で移動可能に支持している。そして、可動載置部280がブース台側位置にある状態で、金庫ボックス90が移載ユニット60から可動載置部280側に移載されると、中継機構部200は、移載ユニット60の押引作用部70の移動動作を受けて、可動載置部280をブース台側位置に移動させる。そして、後述する入出操作部330を利用して、可動載置部280及び金庫ボックス90をブース台308側に引出し、これにより、利用者がブース台308上で金庫ボックス90を利用できる。
【0128】
ここで、可動載置部280について説明しておく。
図21は可動載置部280を示す概略平面図であり、
図22は可動載置部280を示す概略側面図であり、
図23は可動載置部280をブース台308側から視た概略図であり、
図24は可動載置部280を移載ユニット60側から視た概略図である。
【0129】
可動載置部280は、金属板を折曲げ、溶接等することにより形成された部材であり、周囲4側面のうちの一方と上方とが開口する箱状に形成されている。
【0130】
可動載置部280の内部幅及び前後長は、内部に金庫ボックス90を配設可能な程度に設定されている。また、可動載置部280の内部の高さ寸法は、その内部に、高さ寸法が異なる金庫ボックス90を配設可能なように、高さが高い方の金庫ボックス90を配設可能な程度に設定されている。すなわち、可動載置部280は、第1の高さ寸法の金庫ボックス90(
図4及び
図5参照)と、第2の高さ寸法の金庫ボックス90B(
図24参照)とを収容可能に構成されている。第2の高さ寸法は、第1の高さ寸法よりも大きく、金庫ボックス90と金庫ボックス90Bとは高さ寸法を除いて同構成とされている。また、第2の高さ寸法の金庫ボックス90Bの側面には、金庫ボックス90と同様に一対の側片95が設けられている。金庫ボックス90Bの上面と一対の側片95間の寸法は、金庫ボックス90の上面と一対の側片95間の寸法と同じに設定されている。可動載置部280の内部の高さ寸法は、大きい方の第2の高さ寸法と同じかこれよりも大きく設定されている。なお、本実施形態において、特に説明の必要性がない場合には、金庫ボックス90を取扱う例で説明する。
【0131】
可動載置部280の上方開口は、金庫ボックス90の開口92h及び蓋部93と同じ程度又はそれらよりも大きく設定されている。そして、可動載置部280内に金庫ボックス90を配設した状態で、可動載置部280の上方開口を通じて、蓋部93を開閉できる。
【0132】
可動載置部280の周囲4側面のうちの一方の開口は、当該可動載置部280の背面側全体に開口している。この背面側の開口を通じて、可動載置部280内に金庫ボックス90及び90Bを出し入れできる。
【0133】
また、可動載置部280の底部の幅方向中央部は、内部に向けて突出しており、可動載置部280の底部を下方から観察すると、当該底部の幅方向中央部にその前後方向に沿って凹む凹部282が形成されている。この凹部282により、一対の回転支持部及び無端環状部材240と、可動載置部280との干渉が抑制されている。
【0134】
また、凹部282の長手方向の途中位置、ここでは、凹部282の長手方向中央部よりも背部側よりの位置に、下方(無端環状部材240側)に向けて突出する可動載置部側受部283が設けられている。本可動載置部280は、後に詳述するように、本可動載置部側受部283を介して無端環状部材240の走行移動を受けて移動する。
【0135】
また、可動載置部280の両側部内面であって、上下方向中間位置には、その前後方向に沿って延在する一対の受部284が設けられている。この受部284は、第1の高さ寸法の金庫ボックス90の上面を可動載置部280の上方開口周縁部に合わせた状態で、一対の側片95をスライド可能に支持可能な位置に設けられている(
図24参照)。
【0136】
そして、第1の高さ寸法の金庫ボックス90を本可動載置部280に移載する際には、一対の側片95を一対の受部284上で支持するように、金庫ボックス90を可動載置部280に向けて押込む。これにより、第1の高さ寸法の金庫ボックス90の上面を可動載置部280の上方開口周縁部に合わせた状態で、当該金庫ボックス90を可動載置部280内に収容することができる(
図24参照)。
【0137】
また、第2の高さ寸法の金庫ボックス90Bを本可動載置部280に移載する際にも、上記と同様に、一対の側片95を一対の受部284上で支持するように、金庫ボックス90Bを可動載置部280に向けて押込む。これにより、第2の高さ寸法の金庫ボックス90Bの上面も、可動載置部280の上方開口周縁部に合わせた状態で、当該金庫ボックス90Bを可動載置部280内に収容することができる(
図24参照)。
【0138】
これにより、異なる高さ寸法の金庫ボックス90、90Bを、その上面を可動載置部280の上方開口周縁部に合わせた状態で、可動載置部280内に収容することができる。
【0139】
なお、第2の高さ寸法の金庫ボックス90Bを収容する場合には、可動載置部280の深さ寸法と第2の高さ寸法とを同じに設定し、金庫ボックス90Bの底面を可動載置部280の底面上で支持するように、金庫ボックス90Bを可動載置部280に向けて押込んで、収容するようにしてもよい。
【0140】
また、一対の受部284の両端部には上方に突出する段部284a、284bが形成されている。そして、金庫ボックス90の一対の側片95のそれぞれが一対の受部284上で支持された状態で、段部284a、284bが側片95の両端部に対向して配設される。これにより、各側片95が各受部284上でその長手方向における一定位置で支持される。なお、移載ユニット60によって金庫ボックス90を可動載置部280から取出す際には、側片95の端部が段部284aを上方に越えるまで、金庫ボックス90の外側の押出引込片94を持上げた状態で、当該押出引込片94を介して金庫ボックス90を取出せばよい。
【0141】
また、上記のように一対の側片95が一対の受部284上で位置決め支持されることによって、可動載置部280内に金庫ボックス90が収容された状態では、フロントパネル286と金庫ボックス90の当該フロントパネル286に対向する側の面との間に、隙間が生じ、従って、フロントパネル286の上縁部と金庫ボックス90との間にも外方に連通する開口が形成される。後述するように、可動載置部280と金庫ボックス90とが合体した状態では、当該開口は、後述するように、入出操作部330によって閉塞される。
【0142】
また、可動載置部280のうちフロントパネル286には、係止用開口287が形成されている。ここでは、フロントパネル286に、幅方向に間隔をあけて一対の係止用開口287が形成されている。ここでは、各係止用開口287は、方形状に形成されている。可動載置部280のうち当該一対の係止用開口287の内側位置に、可動載置部280の一対の側面間に掛渡すようにして係止用棒状部材288が設けられている。入出操作部330は、後述するように、本係止用開口287を通じて係止用棒状部材288と係合することで、可動載置部280と合体し、この合体状態で、入出操作部330を引出又は押込むことで、可動載置部280及び金庫ボックス90をブース台308に向けて引出したりブース台308から押込収納できる。
【0143】
また、可動載置部280のうちフロントパネル286の下側の2つの角部には、開口289が形成されている。後述するように、可動載置部280と入出操作部330とが合体した状態で、当該開口289に入出操作部330の車輪支持部335が配設される。
【0144】
図18〜
図20に戻って、中継機構部200は、次の構成によって可動載置部280を移動可能に支持している。
【0145】
すなわち、一方の格納棚12のうち利用者がブース台308の後方に間隔をあけて立設された支柱に、水平姿勢でベース板210が支持されている。ベース板210の高さ位置は、ブース台308の高さと同じ程度に設定されている。
【0146】
ベース板210の両側部に、当該格納棚12の前後方向(一対の格納棚12とブース台308とを結ぶ方向)に沿って一対の中継支持レール211が支持されている。一対の中継支持レール211の上側内向き部分には、凹状溝212が形成されている。凹状溝212のうち移載ユニット60側の端部は段部によって閉塞されており、凹状溝212のうちブース台308側は開放されている。そして、可動載置部280の底部両側部が、一対の中継支持レール211の凹状溝212に載置状に支持されることで、可動載置部280が中継支持レール211の延在方向に沿って移動可能に支持される。可動載置部280の底部が凹状溝212のうち移載ユニット60側の段部に当接した位置が、可動載置部280が格納棚側位置(
図18及び
図19で示される位置)に位置する状態である。可動載置部280が格納棚側位置に位置する状態で、可動載置部280と移載ユニット60との間で金庫ボックス90が両方向に移載可能とされる。また、可動載置部280の底部の一部が凹状溝212からブース台308側に延出した位置(後述する入出操作部330に対して授受される位置)が、可動載置部280がブース側位置に位置する状態である。
【0147】
一対の回転支持部230は、ブース台308に近い位置とブース台308から離れた位置(一対の格納棚12間に近い位置)とのそれぞれに間隔をあけて設けられている。一対の回転支持部230は、無端環状部材240を巻掛け可能な部材(ここでは、歯車)である。ここでは、上記ベース板210の前後端部のそれぞれの幅方向中央部に凹部が形成されており、一対の凹部のそれぞれの位置で回転支持部230が回転可能に支持されている。一対の回転支持部230の上部は、ベース板210の上方に突出しており、一対の回転支持部230の下部はベース板210の下方に突出している。
【0148】
無端環状部材240は、上記一対の回転支持部230に巻掛けられている。ここでは、無端環状部材240として、複数のコマ部材を環状に連結したチェーン状の部材が用いられている。
【0149】
この無端環状部材240は、一対の回転支持部230間の一方(上方)側では、ベース板210の上方位置を走行し、一対の回転支持部230間の他方(下方)側では、ベース板210の下方位置を走行する。
【0150】
無端環状部材240のうち一対の回転支持部230間の一方(上方)側を走行する部分には、可動載置部側伝達部246が連結されている。可動載置部側伝達部246は、無端環状部材240のうち一対の回転支持部230間の一方(上方)側の走行する部分の移動動作を可動載置部280に伝達するように構成されている。
【0151】
ここでは、可動載置部側伝達部246は、無端環状部材240に間隔をあけて固定された一対の押動部246a、246bを含む。一対の押動部246a、246bのうち移載ユニット60側に近い押動部246aは、可動載置部280をブース側位置に向けて移動させる際に、可動載置部側受部283を押す役割を果す。一対の押動部246a、246bのうちブース台308側に近い押動部246bは、可動載置部280を格納棚側位置に向けて移動させる際に、可動載置部側受部283を押す役割を果す。なお、一対の押動部246a、246bが間隔をあけて設けられているのは、可動載置部280がブース側位置に位置するまで、押動部246aが可動載置部側受部283を押した状態で、他方の押動部246bが、回転支持部230の外周に沿って下方に下がり、可動載置部側受部283との干渉を回避するようにするためである。これらの動作については、後にもさらに説明する。
【0152】
図25は押引作用部側伝達部250を示す概略平面図であり、
図26は押引作用部側伝達部250を示す概略側面図である。
図18〜
図20、
図25及び
図26に示すように、押引作用部側伝達部250は、無端環状部材240のうち一対の回転支持部230間の他方(下方)側を走行する部分に設けられており、移載ユニット60の押引作用部70が上記延出位置側と、当該延出位置から退避した退避位置(一方側延出位置と他方側延出位置との間)側との間で移動する動作を、無端環状部材240のうち一対の回転支持部230間の他方(下方)側を走行する部分に伝達するように構成されている。
【0153】
すなわち、上記ベース板210の下面であって無端環状部材240を挟む位置に一対の支持レール部216が設けられている。各支持レール部216は、格納棚12の前後方向(一対の格納棚12とブース台308とを結ぶ方向)に沿って延びる長尺形状に形成されている。
【0154】
また、各支持レール部216は、外側片と、外側片の上側縁部に水平姿勢で連設された天井片と、外側片の下側縁部に水平姿勢で連設された底片とを含み、内向きに向けて開口する縦断面U字状の形状に形成されている。そして、押引作用部側伝達部250の両側に設けられた転動体としての車輪255が各支持レール部216の天井片と底片との間を走行することで、押引作用部側伝達部250が格納棚12の前後方向(一対の格納棚12とブース台308とを結ぶ方向)に沿って走行ガイドされる。
【0155】
なお、一対の支持レール部216のうち移載ユニット60側(一対の格納棚12間側)の端部の下方位置には、両側外方の一対の側方支持部217を介して受支持板218が設けられている(
図19及び
図20参照)。この受支持板218は、後述する引出部材252が中継用退避位置に移動した状態で、当該引出部材252の移載ユニット60側(一対の格納棚12間側)端部の下方位置に配設される。これにより、中継用退避位置に位置する引出部材252の移載ユニット走行用の車輪262を支持する。また、受支持板218には、引出部材位置決用孔部219が形成されており、この引出部材位置決用孔部219のうち移載ユニット60側(一対の格納棚12間側)の縁部が、引出部材252が中継用退避位置に位置する状態で格納棚12側から引出部材252に当接可能な引出部材位置決用当接部219aとして機能する(
図18及び
図19参照)。そして、引出部材252が中継用退避位置に位置する状態で、引出部材252に設けられた位置決用突出部264が当該引出部材位置決用孔部219に嵌り込む。これにより、位置決用突出部264が当該引出部材位置決用孔部219の引出部材位置決用当接部219aに当接可能な状態となり、引出部材252が延出方向に移動することが規制される。
【0156】
押引作用部側伝達部250は、引出部材252と、移動力受用係合部266とを備える。
【0157】
引出部材252は、上記一対の支持レール部216の間で、ベース板210に対して格納棚12側(移載ユニット60側)に延出した中継用延出位置とベース板210側に退避した中継用退避位置との間で移動可能に支持されている。
【0158】
また、引出部材252は、無端環状部材240のうち一対の回転支持部230間の他方(下方)側を走行する部分に連結されている。従って、引出部材252が中継用退避位置から中継用延出位置に向けて移動すると、無端環状部材240のうち一対の回転支持部230間の他方(下方)側を走行する部分が移載ユニット60(格納棚12間)側に向けて移動すると共に、無端環状部材240のうち一対の回転支持部230間の一方(上方)側を走行する部分が上記とは逆にブース台308側に向けて移動する。また、引出部材252が中継用延出位置から中継用退避位置に向けて移動すると、無端環状部材240のうち一対の回転支持部230間の他方(下方)側を走行する部分がブース台308側に向けて移動すると共に、無端環状部材240のうち一対の回転支持部230間の一方(上方)側を走行する部分が上記とは逆に移載ユニット60(格納棚12間)に向けて移動する。
【0159】
より具体的には、引出部材252は、引出本体部254と、引出可動部260とを備える。
【0160】
引出本体部254は、金属板をプレス加工等することにより形成された部材であり、底部254aの両側部に一対の側部254bが立設された構成とされている。一対の側部254bは、上記一対の支持レール部216の内側に配設可能な位置に設けられている。また、上記一対の側部254bの上縁部の長手方向中間部から内側に向けて延設片254cが設けられている。
【0161】
一対の側部254bの両端部の外側面に車輪255が回転可能に設けられている。そして、一対の側部254bの両端の車輪255が上記支持レール部216内を走行することで、押引作用部側伝達部250が走行ガイドされる。
【0162】
引出可動部260は、一端部を引出本体部254の一端から延出させた状態で、当該引出本体部254内に配設されている。
【0163】
引出可動部260は、金属板をプレス加工等することにより形成された部材であり、底部260aの両側部に一対の側部260bが立設された構成とされている。一対の側部260bは、上記一対の側部254bの内面に移動可能な状態で重ね合されている。また、一対の側部260bのうち移動力受用係合部266の反対側の端部は、一対の側部254bに回転可能に連結されている。ここでは、車輪255を回転可能に支持する支軸部に一対の側部260bの上記端部が連結されている。これにより、引出可動部260は、当該連結軸を中心として、移動力受用係合部266側の端部を上方に持上げるように傾くように変位可能とされている。また、引出部材252が中継用延出位置と中継用退避位置との間で移動する方向においては、引出部材252と引出可動部260とは一体となって移動する。
【0164】
また、引出可動部260と上記延設片254cとの間に付勢部材としてのコイルバネ256が圧縮状態で介在配置されている。これにより、引出可動部260の底部260aが引出本体部254の底部254aに重ね合される方向に付勢されている。
【0165】
また、上記引出可動部260の一対の側部260bの端部に、転動体としての車輪262が設けられている。この左右の車輪262の間隔は、移載ユニット60の一対の長尺支持部65cの間隔と同程度に設定されている。そして、本引出部材252が移載ユニット60側に引出された際に、当該車輪262が長尺支持部65c上を転がって移動できる。
【0166】
また、引出可動部260のうち引出部材252から延出する部分の底部に、下方に向けて突出する位置決用突出部264が設けられている。位置決用突出部264は、引出可動部260の引出側部分(移載ユニット60側部分)では、引出部材252の移動方向に対して直交する面を呈している。そして、引出部材252が中継用退避位置にある状態では、位置決用突出部264が当該引出部材位置決用孔部219に嵌り込んで、その引出部材位置決用当接部219aに当接可能な状態となり、引出部材252が延出方向に移動することが規制された状態となる。この状態で、引出可動部260のうち引出部材252から延出する部分を持上げると、位置決用突出部264が当該引出部材位置決用孔部219から上方に脱出する。このまま引出部材252を引張ることで、引出部材252を延出方向に移動させることができるようになる。
【0167】
移動力受用係合部266は、上記引出部材252と共に中継用延出位置と中継用退避位置との間で一体的に移動可能に設けられている。
【0168】
ここでは、引出可動部260の一端部(引出される側の端部)に、ブラケット265を介して移動力受用係合部266が連結されている。
【0169】
また、移動力受用係合部266は、押引作用部70に対して係脱可能に構成されている。ここでは、移動力受用係合部266は、側方から視て下方に開口するU字状の部材に形成されている。
【0170】
そして、押引作用部70の一方側の移動力作用片73を移動力受用係合部266の下方に配設した状態で、押引作用部70を上昇させると、当該一方側の移動力作用片73が移動力受用係合部266内に入り込む。この状態で、押引作用部70を退避位置側に移動させると、当該一方側の移動力作用片73が移動力受用係合部266の先端側の片266aに当接するように係合して、移動力受用係合部266を引出部材252と共に中継用延出位置に向けて引出すことができる。
【0171】
逆に、一方側の移動力作用片73を移動力受用係合部266内に入り込ませた状態で、押引作用部70を延出位置側に移動させると、当該一方側の移動力作用片73が移動力受用係合部266の奥側の片に当接するように係合して、移動力受用係合部266を引出部材252と共に中継用退避位置に向けて押込むことができる。
【0172】
なお、移動力受用係合部266のうち先端側の片266aの両側部には、下方に向けて突出する一対の幅方向位置決部266bが突設されている(
図20参照)。一対の幅方向位置決部266bの間隔寸法は、押引作用部70の幅と同じか僅かに大きい程度に設定されている。そして、一方側の移動力作用片73が移動力受用係合部266内に入り込んだ状態で、移動力受用係合部266の先端側の片266aの幅方向中間部が移載ベース部72の上面に当接して、一対の幅方向位置決部266bが押引作用部70の幅方向両側に当接可能となり、これにより、移動力受用係合部266が押引作用部70の幅方向において一定位置に保たれる。
【0173】
<4.2.中継機構部の動作>
中継機構部200は、制御ユニット96による制御下、昇降機構部50及び移載ユニット60の動作と連携して、金庫ボックス90を、中継機構部200を介してブース台308側に又はその逆に搬送する次の動作を行う。
【0174】
中継動作について
図27〜
図34を参照して説明する。なお、
図27〜
図34では説明の便宜上、各構成部分を簡略化或は誇張して描いている。
【0175】
図27に示すように、金庫ボックス90が移載ユニット60から中継機構部200に対して移載される前の待機状態では、可動載置部280は、一対の中継支持レール211において一方の格納棚12側に退避した格納棚側位置に位置している。この状態では、押引作用部側伝達部250は、中継用退避位置に位置している。中継用退避位置は、押引作用部側伝達部250の移動範囲のうちブース台308側に近い位置であり、ここでは、平面視において、押引作用部側伝達部250が一対の中継支持レール211間にある状態が中継用延出位置である。また、この状態では、可動載置部側伝達部246の一対の押動部246a、246bのうちブース台308側に近い押動部246bが、可動載置部280の可動載置部側受部283に対してブース台308側から当接した状態となる。
【0176】
なお、中継機構部200に対して、一対の格納棚12の間の反対側(一方の格納棚12の外方位置)には、仕切壁19を挟んでブース台308が設けられている。ブース台308の入出用開口322には入出操作部330が設けられており、当該入出操作部330は、仕切壁19の開口を介して、中継機構部200に対向している。そして、可動載置部280を、ブース台308側に移動させると、当該可動載置部280は、仕切壁19の開口を通じて入出操作部330の背面側に近接する位置に配設される。ブース台308及び入出操作部330等の構成については、後に詳述する。
【0177】
上記状態で、格納棚12に格納された金庫ボックス90を移載ユニット60に移載し、金庫ボックス90を搭載した移載ユニット60を、中継機構部200に対向し、かつ、金庫ボックス90を可動載置部280に移載可能な位置に移動させる。より具体的には、搭載した金庫ボックス90の一対の側片95の下面と、可動載置部280の一対の受部284の上面とが一致する位置に、移載ユニット60を移動させる。
【0178】
なお、この移動前に、押引作用部70は、金庫ボックス90に対して中継機構部200とは反対側に位置するように動作制御される。すなわち、中継機構部200が設けられた一方の格納棚12から金庫ボックス90を引出して移載ユニット60上に移載した場合には、移載ユニット60は、そのままの状態で中継機構部200に対向する位置に移動させればよい。一方、他方の格納棚12から金庫ボックス90を引出した場合には、
図14〜
図17を参照して説明したように、押引作用部70の位置変更動作を行った後、移載ユニット60を中継機構部200に対向する位置に移動させる。
【0179】
移載ユニット60を上記位置に移動させた状態で、
図28に示すように、押引作用部70を一方側延出位置に向けて(中継機構部200に向けて)移動させる。すると、押引作用部70が金庫ボックス90を可動載置部280に向けて押込む。これにより、金庫ボックス90の一対の側片95が可動載置部280の一対の受部284上をスライド移動して、金庫ボックス90が可動載置部280内に収容された状態となる。
【0180】
この後、
図29に示すように、押引作用部70を一方側延出位置と他方延出位置との中間位置に退避移動させる。これにより、押引作用部70を、金庫ボックス90の押出引込片94又は移動力受用係合部266に干渉させることなく、移載ユニット60を昇降移動させることができるようになる。
【0181】
次に、
図30に示すように、移載ユニット60を下降させると共に、押引作用部70を一方側延出位置に向けて(中継機構部200に向けて)移動させる。すると、押引作用部70が移動力受用係合部266の下方位置に配設される。
【0182】
この後、
図31に示すように、移載ユニット60を上昇させて、押引作用部70の一方側の移動力作用片73を移動力受用係合部266内に入り込ませる。この際、押引作用部70と移動力作用片73とを上下方向に当接させて、押引作用部70により移動力作用片を持上げるようにして、引出可動部260の移動力受用係合部266側の端部を上方に持上げるように傾くように変位させる。すると、引出可動部260の位置決用突出部264が引出部材位置決用孔部219から上方に脱し、位置決用突出部264と引出部材位置決用当接部219aとによる規制状態が解除され(
図19参照)、押引作用部側伝達部250を格納棚12側に延出させた中継用延出位置に向けて引出すことができるようになる。
【0183】
次に、
図32に示すように、押引作用部70を一方側延出位置から他方延出位置に向けて(移載ユニット60側に向けて)移動させる。すると、押引作用部70と移動力受用係合部266との係合により、押引作用部側伝達部250が移載ユニット60側に引出される。すると、無端環状部材240のうち下方部分が移載ユニット60側に向けて走行すると共に、無端環状部材240のうち上方部分がブース台308側に向けて走行する。これにより、可動載置部側伝達部246の一対の押動部246a、246bのうち移載ユニット60側に近い押動部246aが可動載置部280の可動載置部側受部283に対して移載ユニット60側から当接する。
【0184】
なお、押引作用部側伝達部250が移載ユニット60側に引出された状態では、引出可動部260の車輪262(
図18、
図19、
図25、
図26参照)は、移載ユニット60に設けられた長尺支持部65c上を転がって移動する(
図7、
図8参照)。このため、押引作用部側伝達部250を安定して引き出すことができる。
【0185】
図33に示すように、押引作用部70を一方側延出位置から他方延出位置に向けて(移載ユニット60側に向けて)続けて移動させる。すると、押引作用部側伝達部250が移載ユニット60側にさらに引出されると共に、無端環状部材240の回転走行により、当該無端環状部材240に連結された押動部246aが可動載置部280の可動載置部側受部283をブース台308側に押す。そして、可動載置部280がブース台308側に移動し、入出操作部330の背面側に達した時点で、押引作用部70を停止させる。
【0186】
この状態では、可動載置部側伝達部246の一対の押動部246a、246bのうち移載ユニット60側に近い押動部246aは可動載置部280の可動載置部側受部283に対して移載ユニット60側から当接したままの状態となる。一方、一対の押動部246a、246bのうちブース台308側に近い押動部246bは回転支持部230の外周に沿って下方に退避する。この状態では、押動部246bの上端部は、可動載置部側受部283の下端部より下方に位置し、可動載置部280がブース台308側に移動する際に、押動部246bと可動載置部側受部283との干渉が避けられるようになっている。
【0187】
後に詳述するように、上記状態で、入出操作部330と可動載置部280とが合体する。この合体状態で、入出操作部330をブース台308側に引き出すと、当該入出操作部330と共に可動載置部280がブース台308側に引き出される。この状態で、利用者は、ブース台308で可動載置部280に載置された金庫ボックス90を利用できるようになる。また、金庫ボックス90の利用終了後は、利用者が入出操作部330を押戻すことで、
図33に示す状態に戻る。
【0188】
この後、
図34に示すように、押引作用部70を中継機構部200に向けて(一方側延出位置に向けて)移動させる。すると、押引作用部70が移動力受用係合部266を介して押引作用部側伝達部250を中継用退避位置に向けて押す。押引作用部側伝達部250の移動により、無端環状部材240が上記とは逆方向に回転走行し、当該無端環状部材240に連結された一対の押動部246a、246bのうちブース台308側に近い押動部246bがブース台308側から可動載置部側受部283に当接するようになる。
【0189】
押引作用部70を中継機構部200に向けて(一方側延出位置に向けて)さらに移動させると、押引作用部側伝達部250が中継用退避位置に移動すると共に、可動載置部280が格納棚側位置に移動し、
図31に示す状態に復帰する。
【0190】
この後、上記と逆にして、可動載置部280内の金庫ボックス90を移載ユニット60に移載し、移載ユニット60を格納棚12における格納すべき位置に移動させて、移載ユニット60の金庫ボックス90を格納棚12に格納する。
【0191】
<5.ブース台及び入出操作部>
<5.1.ブース台>
図35はブース台308を示す概略正面図であり、
図36はブース台308を示す概略平面図であり、
図37及び
図38はブース台308を示す概略側面図である。
図37は入出操作部330が入出用開口322内に収容された状態を示しており、
図38は入出操作部330が入出用開口322から引き出された状態を示している。
【0192】
上記したように、ブース台308は、金庫室18に隣接して設けられた利用ブース28内に設置されている(
図1及び
図3参照)。ブース台308の背面は、金庫室18と利用ブース28との間の仕切壁19に近接して対向配置されている。
【0193】
ブース台308は、作業領域台部309と、ブース側引出支持部320と、フロントパネル328とを備える。
【0194】
作業領域台部309は、天板309aが脚部309bによって所定高さ位置に支持された構成とされている。
【0195】
ブース側引出支持部320は、上記作業領域台部309に隣接して設けられている。
【0196】
ブース側引出支持部320は、上記天板309aと同じ高さの支持本体部323と、支持本体部323の奥側部分から上方に突出する方形状の突出部326とを備える。
【0197】
支持本体部323は、作業領域台部309の天板309aの隣に配設される。これにより、天板309aの上面と支持本体部323の上面とが同一高さ位置で連続して配設されて、ブース台308の利用作業面310fが構成されている。
【0198】
支持本体部323の幅方向中間部には、ブース台308の手前側からブース台308の奥側に向けて延在する入出用凹部312が形成されている。入出用凹部312は、ブース台308の手前側及び上方に開口している。入出用凹部312の幅は、可動載置部280の幅寸法と同程度に設定されている。そして、当該可動載置部280を幅方向に位置決め規制した状態で、入出用開口322の延在方向に沿って移動させることができるようになっている。また、入出用凹部312の深さ寸法は、可動載置部280の高さ寸法と同程度に設定されている。そして、入出用凹部312内に可動載置部280を配設した状態で、可動載置部280及び当該可動載置部280に支持された金庫ボックス90の上面が利用作業面310fと同一高さ位置に配設されるようになっている。
【0199】
また、入出用凹部312は、支持本体部323の奥側にも開口しており、当該開口が入出用開口322とされている。入出用開口322は、仕切壁19に形成された開口を通じて中継機構部200に載置状に支持された可動載置部280に対向する位置に配設されている。従って、中継機構部200に載置状に支持された可動載置部280を、仕切壁19に形成された開口を通じて、入出用開口322内に導き、入出用凹部312内に搬送できるようになっている。
【0200】
また、入出用開口322の底面は、入出用凹部312及び中継機構部200により支持される可動載置部280の底面の延長上に延びる平坦な面に形成されている。また、入出用開口322の底面から金庫室18側に向けて下向き傾斜するガイド板321が設けられており、中継機構部200から送出される可動載置部280が入出用開口322の底面上に円滑に移載されるようになっている。また、入出用開口322の幅寸法は、入出用凹部312の幅寸法と同程度に設定されている。
【0201】
入出用開口322の上面のうち金庫室18側(ブース台308の奥側)部分322aは、可動載置部280及び該可動載置部280に支持された金庫ボックス90の上面と同程度の高さ位置に形成されている。従って、可動載置部280に支持された金庫ボックス90の蓋部93を開いたまま又は錠部93b(
図4参照)に鍵を差込んだままでは、開かれた蓋部93又は錠部93bが入出用開口322の前記部分322aに干渉するようになっている。
【0202】
また、入出用開口322のブース台308の手前側部分には、上方に大きく開口するように開口凹部322bが形成されている。この開口凹部322bに、後述する入出操作部330の上方突出部分333aが嵌め込まれる。
【0203】
また、入出用開口322の上方位置の突出部326には、入出用開口322を閉じるように配設された入出操作部330を、その位置にロック及びアンロックするためのロック部314が設けられている。このロック部314が入出操作部330をロックするための構成については、入出操作部330との関係で後述する。
【0204】
また、支持本体部323のうち入出用凹部312の底面側には、支持本体部323側からの配線(電源線及び信号線)を入出操作部330に接続するための配線部材380が組込まれている(
図37及び
図38参照)。この配線部材380についても、入出操作部330との関係で後述する。
【0205】
<5.2.入出操作部の構成>
上記ブース台308の入出用凹部312及び入出用開口322に設けられる入出操作部330について説明する。
【0206】
図39は入出操作部330を示す概略側面図であり、
図40は入出操作部330を示す概略平面図であり、
図41は入出操作部330を示す平面図である。
【0207】
入出操作部330は、入出操作本体部332と、取っ手部340と、転動体としての車輪346と、合体機構350とを備える。
【0208】
入出操作本体部332は、金属板をプレス加工等することにより形成された部材であり、第1本体部333と、第2本体部334と、一対の車輪支持部335とを備える。
【0209】
第1本体部333は背面側の中間部から下方が背面側に開口する平たい箱状に形成されている。第2本体部334は、第1本体部333の背面側開口の後方に連設された方形枠状の部分に形成されている。第1本体部333の内部空間と第2本体部の内部空間とは、第1本体部333の背面側開口及び第2本体部334の前側開口を通じて連通しており、入出操作本体部332を全体として視ると後方側に開口している。また、第1本体部333の上部は、第2本体部334の上方より突出する上方突出部分333aとされている。
【0210】
また、第1本体部333と第2本体部334との下部の両側部に一対の車輪支持部335が設けられている。一対の車輪支持部335は、第1本体部333と第2本体部334との一体化部分の下部の両側部から下方に突出すると共に、入出操作本体部332の背面側にも突出している。一対の車輪支持部335のうち入出操作本体部332の背面側に突出する部分は、可動載置部280のうちフロントパネル286の下側の2つの角部に形成された開口289に挿入配置可能な程度の大きさ、形状に構成されている。
【0211】
なお、第1本体部333の前方下縁部は、一対の車輪支持部335及びそれらの間の部分も外部から覆うようにパネル延出片333bが形成されている。
【0212】
また、第2本体部334の後方上縁部には、後方に向けて延びる庇状の延出部336が延設されている。入出操作部330と可動載置部280とが合体した状態で、延出部336が可動載置部280の上方部分であって、そのフロントパネル286の上縁部と可動載置部280内の金庫ボックス90との間の開口を塞げるようになっている。
【0213】
また、入出操作本体部332のうち第2本体部334と延出部336との上面には、ロック用孔337が形成されている(
図41参照)。そして、本入出操作部330が入出用開口322内に配設された状態で、その上部に設けられたロック部314のロック用可動部材314aがロック用孔337内に上方から嵌め込まれることによって、入出操作部330が入出用開口322を塞いだ状態が維持されるようになっている(
図39参照)。
【0214】
ここで、ロック部314としては、入出用開口322の上部からその内側である下方に向けて進退駆動可能なロック用可動部材314aを備えた構成のものを用いることができる。ロック用可動部材314aを進退駆動させる構成としては、電磁アクチュエータ、モータとウオームギヤとの組合わせ構造等を用いることができ、制御ユニット96の制御により、ロック部314の動作制御がなされる。
【0215】
また、一対の車輪支持部335の前端及び後端の外側に車輪346が回転可能に支持されている。これにより、入出操作本体部332は、一対の車輪支持部335の両端に支持された4つの車輪346によって走行可能とされている。特に、一対の車輪支持部335の後端を入出操作本体部332の背面側から延出させる構成とすることで、前側の車輪346の軸と後ろ側の車輪346の軸との距離を長くすることができ、入出操作本体部を安定して走行させることができるようになっている。
【0216】
また、取っ手部340は、入出操作本体部332の前面に取付けられている。より具体的には、取っ手部340は、入出操作本体部332の前面の両端に突設された取付片341と、当該取付片341間に掛渡すように支持された棒状部材342とを備える。そして、利用者が棒状部材342を掴むことで、入出操作部330を容易に引出せるようになっている。
【0217】
そして、この入出操作本体部332の背面側に可動載置部280を近接対向配置すると、そのフロントパネル286の前面が第2本体部334の背面側開口を塞ぎ、一対の車輪支持部335が可動載置部280の開口289に挿入配置され、さらに、延出部336が可動載置部280のフロントパネル286の上縁部と金庫ボックス90との間の開口を塞ぐ状態となる。
【0218】
合体機構350は、合体用爪部351と、爪駆動機構部360とを備える。
【0219】
合体用爪部351は、入出操作本体部332に、入出操作部330の背面側に配設された可動載置部280に対して係合及び係合解除可能に設けられており、ここでは、可動載置部280の一対の係止用開口287に対応して一対設けられている。
【0220】
ここでは、合体用爪部351は、基端部352に対して側面視L字状の爪部353が突設された構成とされている。すなわち、入出操作本体部332内で、一対の支持ブラケット368を介して、支軸部361が水平方向に回転可能に支持されている。この支軸部361は、可動載置部280の係止用棒状部材288と同高さ位置に配設されている。
【0221】
この支軸部361に対して、可動載置部280の一対の係止用開口287に対応する間隔で、上記一対の合体用爪部351の基端部352が回転不能に支持されている。そして、支軸部361を正逆両方向に回転させることで、合体用爪部351が、可動載置部280の係止用棒状部材288に対して係止可能な係止位置(
図39の2点鎖線参照)と、係止用棒状部材288に対して係止解除可能な係止解除位置(
図39の実線参照)との間で姿勢変更するようになっている。
【0222】
爪部353は、基端部352から上記支軸部361の外周側に向けて延出する爪基部354と、当該爪基部354から突出する爪先端部355とを備える。
【0223】
爪基部354は、支軸部361の軸心から外れた位置(下方に外れた位置)で支軸部361の外周側に延出するように、基端部352から延出している。
【0224】
爪先端部355は、爪基部354の先端部から支軸部361側に略直角姿勢で延出するように形成されており、支軸部361に対してその径方向に沿って間隔をあけた位置に配設されている。
【0225】
係止解除位置では、上記爪部353は、支軸部361を通る水平線に対して、その先端部を下方に傾けた姿勢となっている。そして、可動載置部280を入出操作部330に向けて近接させると、合体用爪部351が係止用開口287を通って可動載置部280内に入り込み、爪部353が係止用棒状部材288の下方位置に配設されるようになっている。
【0226】
また、上記状態から支軸部361を回転させると、爪部353は係止位置に姿勢変更する。係止位置では、爪部353は、支軸部361を通る水平線に沿って配設される。より具体的には、爪基部354が係止用棒状部材288の下方位置で水平方向に沿って配設され、爪先端部355が係止用棒状部材288に対して可動載置部280内側に配設される。これにより、入出操作部330と可動載置部280とが合体した状態となり、入出操作部330を引き出すと、爪部353が係止用棒状部材288に係止して、可動載置部280が入出操作部330と共に引き出されるようになっている。
【0227】
合体用爪部351についてより詳細に説明する。
図42は合体用爪部351を示す概略側面図である。
【0228】
爪部353の爪先端部355には、引込用ガイド面355aと、弧状面355bとが形成されている。
【0229】
引込用ガイド面355aは、爪先端部355の内面側の先端部に、その先端側に向けて順次外方に広がる面状に形成されている。ここでは、引込用ガイド面355aは、平面であるが、湾曲する面であってもよい。
【0230】
通常、可動載置部280を入出操作部330の背面部分に対して接する程度まで対向配置された状態で、爪先端部355の内向き面と係止用棒状部材288のうち可動載置部280の内向き部分とが一致するように設定される。ところが、中継機構部200による可動載置部280の移動位置精度等によっては、入出操作部330の背面部分に対して可動載置部280が僅かに離れた位置に配設される場合があり得る。
【0231】
このような場合に、合体用爪部351を係止解除位置から係止位置に向けて姿勢変更すると、
図43に示すように、上記引込用ガイド面355aが係止用棒状部材288のうちの可動載置部280の内向き部分に接触し、係止用棒状部材288を入出操作部330側に引込み、可動載置部280を入出操作部330に近づけるように移動させる。これにより、入出操作部330と可動載置部280とがより密に近接した状態で合体する。
【0232】
弧状面355bは、爪先端部355の内面側であって上記引込用ガイド面355aよりも内側の部分に形成されている。弧状面355bは、支軸部361を曲率中心とする曲率半径rの弧状の面に形成されている。曲率半径rは、支軸部361と係止用棒状部材288の外周部のうち遠い部分との距離に設定されている。そして、合体用爪部351が、係止解除位置から係止位置に向けて、引込用ガイド面355aが係止用棒状部材288を越えるまで移動すると、合体用爪部351の姿勢に拘らず、弧状面355bが係止用棒状部材288の外周部に接触する。すなわち、
図44に示すように、爪基部354が係止用棒状部材288に接触するまで、合体用爪部351を姿勢変更させなくても、弧状面355bは係止用棒状部材288に引っ掛かった状態となる。勿論、
図45に示すように、爪基部354が係止用棒状部材288に接触するまで、合体用爪部351を姿勢変更させた場合にも、弧状面355bは係止用棒状部材288に引っ掛かった状態となる。このため、合体用爪部351を係止位置に向けて姿勢変更する際の停止位置精度が悪かったとしても、爪先端部355が係止用棒状部材288に係止した状態が成立し、合体用爪部351によって可動載置部280を円滑に引き出すことができる。また、合体用爪部351が係止解除位置から係止位置に向けて姿勢変更する際に、その途中から弧状面355bが係止用棒状部材288に接触しつつ姿勢変更することになるため、合体用爪部351と係止用棒状部材288との打音等を抑制できる。なお、
図44及び
図45では、弧状面355bを誇張して描いている。
【0233】
図39〜
図41に戻って、この入出操作部330は、合体用爪部351が係止位置に姿勢変更した状態で、係止用棒状部材288と対向して配設される対向爪部358を備える。
【0234】
ここでは、対向爪部358は、支軸部361を回転可能に支持する一対の支軸部361の先端部を、入出操作部330の背面側に向けて延出することで、対向爪部358を設けている。
【0235】
対向爪部358は、一対の合体用爪部351の近く(ここでは、支軸部361の延在方向に沿って合体用爪部351の外側に隣接する位置)で、入出操作部330の背面側に突出している。対向爪部358は、係止用開口287内に挿入可能な位置であって、支軸部361、即ち、係止用棒状部材288の上方位置で突出している。そして、入出操作部330の背面側部分に可動載置部280を近接対向配置すると、対向爪部358が係止用開口287を通って可動載置部280内に挿入され、係止用棒状部材288の上方位置に配設されるようになっている。
【0236】
そして、上記状態で、合体用爪部351が係止位置に姿勢変更することで、係止用棒状部材288が合体用爪部351及び爪部353で囲まれた状態となる。これにより、合体用爪部351が係止位置に姿勢変更した状態で、合体用爪部351と係止用棒状部材288との係止解除がより確実に抑制される。
【0237】
爪駆動機構部360は、サーボモータ等、正逆両方向に回転駆動可能な回転駆動部362と、爪駆動中継軸部366とを備える。
【0238】
回転駆動部362は、回転軸部362aを支軸部361と平行にした姿勢で、入出操作本体部332内に取付固定されている。ここでは、回転駆動部362は、支軸部361の上方位置に取付固定されている。
【0239】
また、爪駆動中継軸部366は、回転軸部362aの一端部と支軸部361の一端部との間に、それらの軸心に対して直交する姿勢で回転可能に支持されている。
【0240】
上記回転軸部362aの端部には傘歯車362bが固着され、爪駆動中継軸部366一端部(上端部)には傘歯車362bと噛合可能な傘歯車366aが固着されている。
【0241】
また、爪駆動中継軸部366の他端部(下端部)には、ネジ歯車366bが固着され、支軸部361の一端部にはネジ歯車366bと噛合可能なはすば歯車361aが固着されている。
【0242】
そして、回転駆動部362の回転軸部362aの回転駆動力が傘歯車362b、366aを介して爪駆動中継軸部366に伝達され、さらに、ネジ歯車366b及びはすば歯車361aを介して支軸部361に伝達されるようになっている。そして、制御ユニット96による制御下、回転駆動部362の駆動により、回転軸部362aを所定方向に回転させることで、支軸部361が所定方向に回転して、合体用爪部351が係止解除位置から係止位置に向けて姿勢変更し、回転軸部362aを逆方向に回転させることで、支軸部361が逆方向に回転して、合体用爪部351が係止位置から係止解除位置に向けて姿勢変更するようになっている。
【0243】
また、入出操作本体部332には、当該入出操作本体部332に搭載された回転駆動部362、その他の電気部品と、ブース側引出支持部320とを電気的に接続する電源線、信号線等を含む配線部材380が接続されている。
【0244】
配線部材380は、入出操作本体部332に搭載された回転駆動部362等の電気部品に接続された電線382と、電線382の曲げ方向を規制する曲げ規制部材384とを含む。
【0245】
電線382の一端部は、入出操作本体部332内で回転駆動部362等に接続された、電線382の他端部は、他の配線等を介して電線、制御ユニット96等に接続されている。
【0246】
曲げ規制部材384は、電線382が所定の平面内で屈曲するように規制する部材である。かかる曲げ規制部材384としては、複数のコマ部材が同一方向に揃う支軸部を介して屈曲可能に連結され、各コマ部材が当該支軸部周りにのみ屈曲可能に連結された構成のもの、例えば、ケーブルベヤ(商標)を用いることができる。
【0247】
曲げ規制部材384は、入出操作本体部332の下端部に固定され、入出操作本体部332の下端部と入出用開口322又は入出用凹部312の底面上を通って入出操作本体部332の背面側に延出されている。また、曲げ規制部材384の中間部及び他端部は、入出用開口322の背面部分を通って支持本体部323内に導かれている。支持本体部323内で、曲げ規制部材384の他端部は、入出用開口322の背面側部分よりも、可動載置部280の引出方向前方側部分に連結されている。電線382は、曲げ規制部材384を通って配設されている。
【0248】
そして、入出操作部330が入出用開口322を閉塞している状態では、支持本体部323内で、曲げ規制部材384の中間部がU字状に垂下がっている(
図37参照)。この状態から入出操作部330を入出操作部330から入出用凹部312を通って前方に引き出すと、曲げ規制部材384は、前記U字状の垂下がり部分を小さくしつつ、支持本体部323から入出用開口322の底面及び入出用凹部312の底面上に引き出され、入出用凹部312の底面上を通って入出操作部330に導かれている。なお、曲げ規制部材384は、可動載置部280に対応する部分では、凹部282内を通る。このため、入出操作部330及び可動載置部280を引き出した状態で、曲げ規制部材384及び電線382は、入出操作部330及び可動載置部280の下方を通って配設されており、外部から見えないようになっている。
【0249】
<5.3.入出操作部の動作>
入出操作部330の動作について説明する。
【0250】
すなわち、初期状態では、入出操作部330は入出用開口322内に位置し、当該入出用開口322を閉塞している。また、ロック部314のロック用可動部材314aは、入出操作部330のロック用孔337内に上方から嵌め込まれており、入出操作部330を引き出そうとしても引出せないようになっている。また、合体用爪部351は、係止解除位置に位置している。
【0251】
そして、中継機構部200の可動載置部280に金庫ボックス90が搭載されると、中継機構部200及び移載ユニット60の連携動作により、可動載置部280が入出操作部330の背面側に近接対向配置される。
【0252】
この後、制御ユニット96の制御下、爪駆動機構部360の駆動により、合体用爪部351を係止解除位置から係止位置に姿勢変更させると、合体用爪部351が可動載置部280の係止用棒状部材288に係止して、入出操作部330と可動載置部280とが合体した状態となる。また、制御ユニット96の制御下、ロック部314のロック用可動部材314aが、入出操作部330のロック用孔337内から上方に退避移動する。これにより、入出用開口322内での入出操作部330のロック状態が解除される。
【0253】
この後、利用者が取っ手部340を持って入出操作部330を引き出すと、入出操作部330は、可動載置部280と合体した状態のままで、入出用凹部312内の手前側に引き出される。なお、入出用凹部312の前端部には入出操作部330の車輪346又は入出操作本体部332の手前側への移動を規制するストッパが設けられている。
【0254】
入出操作部330を入出用凹部312の手前の停止位置まで引き出した状態では、金庫ボックス90の蓋部93の全体は入出用開口322の前方に露出した状態となる。このため、利用者は、金庫ボックス90の蓋部93を大きく開いて利用できる。
【0255】
また、可動載置部280のうち入出操作部330とは反対側の部分及び金庫ボックス90の固定天井領域92a(
図4参照)は、入出用開口322内に位置している。このため、入出操作部330及び可動載置部280を引き出した状態でも、外部からは入出用開口322の奥側を視認できないし、また、可動載置部280から金庫ボックス90を取外せないようになっている。
【0256】
そして、利用者が金庫ボックス90を利用した後、蓋部93を閉じ、入出操作部330を押して、入出操作部330を入出用開口322内に向けて移動させる。
【0257】
入出操作部330が入出用開口322内に配設された状態が図示省略のセンサ等により検知されると、制御ユニット96の制御下、ロック部314のロック用可動部材314aが、入出操作部330のロック用孔337内に向けて進出移動し、入出用開口322内で入出操作部330がロックされる。また、制御ユニット96の制御下、爪駆動機構部360の駆動により、合体用爪部351を係止位置から係止解除位置に姿勢変更させる。すると、入出操作部330と可動載置部280との合体状態が解除される。
【0258】
この後、中継機構部200及び移載ユニット60の連結動作によって、可動載置部280が中継機構部200内に引戻され、中継機構部200上の可動載置部280内の金庫ボックス90が、移載ユニット60によって移載ユニット60上に取込まれる。
【0259】
<6.全体動作>
本自動貸金庫装置の全体動作について説明する。
【0260】
まず、利用者が利用ブース28内に入室し、入力部98を操作して、自己用の金庫ボックス90の指定情報を入力する。なお、自動貸金庫装置では、通常、利用者の利用権限等を認証する処理が行われる。
【0261】
すると、制御ユニット96は、指定された金庫ボックス90に対向する位置に移載ユニット60を移動させ、移載ユニット60上に指定された金庫ボックス90を取込む。
【0262】
ここで、金庫ボックス90が格納されていた格納棚12が、中継機構部200が格納されていた側と同じ側のものである場合、制御ユニット96は、移載ユニット60をブース側入出ユニット300の中継機構部200と対向する位置に移動させるように、棚側搬送機構部40に動作指令を与える。
【0263】
一方、金庫ボックス90が格納されていた格納棚12が、中継機構部200が設けられた側とは反対側のものである場合、制御ユニット96は、
図14〜
図17を参照して説明したように、押引作用部70の位置変更動作を行う。これにより、移載ユニット60は、中継機構部200に向けて金庫ボックス90を移載できるようになる。この後、制御ユニット96は、移載ユニット60をブース側入出ユニット300の中継機構部200と対向する位置に移動させる。
【0264】
移載ユニット60が中継機構部200に対向する位置に移動すると、制御ユニット96は、移載ユニット60及び昇降機構部50により、移載ユニット60上の金庫ボックス90を、中継機構部200上の可動載置部280内に送込ませる(
図27〜
図29参照)。
【0265】
続いて、制御ユニット96は、移載ユニット60を下降させ、移載ユニット60及び昇降機構部50により、押引作用部側伝達部250を引き出す動作を行わせる(
図30〜
図34参照)。すると、中継機構部200上の可動載置部280が金庫ボックス90と共に入出操作部330の背面側に向けて送込まれる。
【0266】
移載ユニット60による送込み動作が終了すると、制御ユニット96は、爪駆動機構部360の駆動により、合体用爪部351を係止解除位置から係止位置に姿勢変更させて、入出操作部330と可動載置部280とを合体させると共に、ロック部314のロック用可動部材314aを退避移動させて、入出操作部330をアンロック状態にする。
【0267】
これにより、利用者は取っ手部340を持って入出操作部330を引き出すことができる。
【0268】
利用者が利用終了した後、入出操作部330を押して、入出操作部330を入出用開口322内に向けて移動させると、制御ユニット96は、ロック部314のロック用可動部材314aを、入出操作部330のロック用孔337内に向けて進出移動させて、入出操作部330をロック状態にすると共に、合体用爪部351を係止位置から係止解除位置に姿勢変更させて、入出操作部330と可動載置部280とを分離可能な状態にする。
【0269】
この後、制御ユニット96は、移載ユニット60及び昇降機構部50により、押引作用部側伝達部250を押戻す動作を行わせる。すると、中継機構部200上の可動載置部280が中継機構部200上に戻される。そして、制御ユニット96は、移載ユニット60及び昇降機構部50により、中継機構部200上の可動載置部280内の金庫ボックス90を、移載ユニット60内に取込む。
【0270】
ここで、金庫ボックス90を、中継機構部200が格納されていた側と同じ側の格納棚12に格納する場合には、制御ユニット96は、移載ユニット60を当該格納棚12の所定の格納部13の位置に移載ユニット60を移動させ、当該移載ユニット60から金庫ボックス90を格納棚12に戻す。
【0271】
一方、金庫ボックス90を、中継機構部200が設けられた側とは反対側の格納棚12に戻す場合には、制御ユニット96は、
図14〜
図17を参照して説明したように、押引作用部70の位置変更動作を行う。そして、制御ユニット96は、移載ユニット60を当該格納棚12の所定の格納部13の位置に移載ユニット60を移動させ、当該移載ユニット60から金庫ボックス90を格納棚12に戻す。
【0272】
以上のように構成された自動貸金庫装置によると、移載ユニット60は、押引作用部70を延出位置側に移動させることで、一対のスライド載置部63と格納棚12又は中継機構部200との間で金庫ボックス90を移動させるように構成されている。また、中継機構部200は、ブース側位置と格納棚側位置との間で移動可能に支持され、格納棚側位置で移載ユニット60との間で金庫ボックス90が移載される可動載置部280を備えると共に、一対の回転支持部230と、一対の回転支持部230に巻掛けられた無端環状部材240とを備えている。そして、無端環状部材240のうち一対の回転支持部230間の一方である上方を走行する部分に、その部分の移動動作を可動載置部280に伝達する可動載置部側伝達部246が設けられ、無端環状部材240のうち一対の回転支持部230間の他方である下方を走行する部分に押引作用部側伝達部250が設けられている。そして、延出位置側と退避位置側との間の押引作用部70の移動動作によって押引作用部側伝達部250を移動させると共に、この移動動作を無端環状部材240のうち一対の回転支持部230間の他方側を走行する部分に伝達することで、可動載置部280を格納棚側位置からブース側位置に移動させている。このため、金庫ボックス90を移載するための押引作用部70の移動動作を利用して、金庫ボックス90を支持した可動載置部280をブース側位置と前記格納棚側位置との間で移動させることができ、移載ユニット60とブース台308との間で金庫ボックス90を移動させる際の駆動源を減らすことを目的とする。
【0273】
また、搬送機構部40の昇降機構部50による移載ユニット60の昇降動作によって、押引作用部70が一対のスライド載置部63と可動載置部280との間で金庫ボックス90を移動させる上方の位置と、押引作用部70の移動動作を押引作用部側伝達部250に伝達する下方の位置とを異ならせて、両動作を切替えて行うことができるようにしているため、構成の簡易化を図ることができる。
【0274】
さらに、搬送機構部40の昇降機構部50による移載ユニット60の昇降動作によって、押引作用部70を昇降させることにより、押引作用部70と移動力受用係合部266との係合及び係合解除状態とを切替えているため、この点からも、構成の簡易化を図ることができる。
【0275】
また、押引作用部側伝達部250は、無端環状部材240のうち一対の回転支持部230間の他方側である下側を走行する部分に連結され、格納棚12側に延出した中継用延出位置とベース板210側に退避した中継用退避位置との間で移動可能に支持された引出部材252と、中継用延出位置と中継用退避位置との間で引出部材252と共に移動可能に設けられ、押引作用部70に対して係脱可能な移動力受用係合部266とを備えており、押引作用部70が延出位置側に位置すると共に引出部材252が中継用退避位置に位置する状態で、押引作用部70が移動力受用係合部266に係合し、この状態で、押引作用部70が延出位置側と退避位置側との間を移動することで、引出部材252が中継用退避位置と前記中継用延出位置との間を移動して、可動載置部280が格納棚側位置とブース側位置との間を移動する構成とされている。このため、押引作用部70を移載ユニット60側に引込んで、引出部材252を引出す寸法に応じて、可動載置部280を移動させることができる。これにより、押引作用部70を中継機構部200に向けて延出させる寸法を小さくしても、可動載置部280を十分な距離で移動させることができる。これにより、移載ユニット60からの押引作用部70の延出量を小さくしてもよくなり、その移動機構の単純化が可能となる。
【0276】
また、引出部材252が中継用退避位置に位置する状態で格納棚12側から引出部材252の位置決用突出部264に当接可能な引出部材位置決用当接部219aが設けられ、押引作用部70は、移動力受用係合部266に対して下方から係合して移動力受用係合部266を持上げて、引出部材位置決用当接部219aと位置決用突出部264との当接を解除した状態で、引出部材252を格納棚12側に移動させる。このため、位置決用突出部264と引出部材位置決用当接部219aとの当接により、引出部材252の非引出時には引出部材252を中継用退避位置により確実に留めることができる。また、引出部材252を引出する際には、押引作用部70は、移動力受用係合部266に対して下方から係合して当該移動力受用係合部266を持上げて、引出部材位置決用当接部219aと引出部材252の位置決用突出部264との当接を解除することで、引出部材252を容易に格納棚12側に移動させることができる。
【0277】
しかも、押引作用部70は、引出部材252を持上げながら引張るため、押引作用部70と移動力受用係合部266との間でのがたつきも抑制される。
【0278】
また、引出部材252が中継用延出位置に向けて引出された状態で、引出部材252の車輪262が、移載ユニット60の長尺支持部65c上を転がって移動するため、がたつきを抑制しつつ引出部材252を円滑に引出すことができる。
【0279】
また、上記可動載置部側伝達部246は、一対の押動部246a、246bを含み、可動載置部側伝達部246が可動載置部280を格納棚側位置から前記ブース側位置に移動させる際には、一方の押動部246aが可動載置部側受部283を押して可動載置部280をブース側位置に移動させると共に、可動載置部280がブース側位置に達した状態では、他方の押動部246bが可動載置部側受部との干渉を避けるように一方の回転支持部230側に退避し、可動載置部側伝達部246が可動載置部280をブース側位置から格納棚側位置に移動させる際には、他方の押動部246bが一方の回転支持部230側から可動載置部側受部283と当接可能な位置に復帰移動して可動載置部側受部283を押して可動載置部280を格納棚側位置に移動させる。このため、可動載置部280をブース側位置に移動させた状態で、他方の押動部246bが可動載置部側受部283との干渉を避けるように一方の回転支持部230側に退避させた状態で、可動載置部280をさらにブース台208側、即ち、入出操作部330に向けて容易に移動させることができる。
【0280】
また、移動力受用係合部266には、押引作用部70の幅方向両側に当接する一対の幅方向位置決部266bが設けられているため、押引作用部70が移動力受用係合部266と係合した状態で、両者の位置関係を一定に保ちやすくなり、移動力受用係合部266と押引作用部70とは幅方向にずれ難くなる。これにより、押引作用部70から移動力受用係合部266への移動力の伝達を円滑に行える。
【0281】
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。