(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5887281
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】マルチビームX線システム
(51)【国際特許分類】
G21K 1/06 20060101AFI20160303BHJP
G21K 1/00 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
G21K1/06 K
G21K1/00 X
【請求項の数】14
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-552006(P2012-552006)
(86)(22)【出願日】2011年1月27日
(65)【公表番号】特表2013-519090(P2013-519090A)
(43)【公表日】2013年5月23日
(86)【国際出願番号】US2011022724
(87)【国際公開番号】WO2011097115
(87)【国際公開日】20110811
【審査請求日】2013年12月11日
(31)【優先権主張番号】12/699,493
(32)【優先日】2010年2月3日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509241889
【氏名又は名称】リガク イノベイティブ テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルマン、 ボリス
(72)【発明者】
【氏名】ヤング、 マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ジアン、 リカイ
【審査官】
鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−025800(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/052002(WO,A1)
【文献】
特開2002−195961(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/088934(WO,A1)
【文献】
特表2002−504692(JP,A)
【文献】
米国特許第04941163(US,A)
【文献】
特表2010−507810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00 −23/08
G01N 23/09 −23/227
G21K 1/00 − 3/00
G21K 5/00 − 7/00
H01L 21/027
H01L 21/30
H01L 21/46
H05G 1/00 − 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なるスペクトルを有するX線源と、
第1の部分と第2の部分をもったハウジングであって、第2の部分は静的な第1の部分に対して移動可能であり、第2の部分はX線ビームの軸と垂直な2つの方向でビームを条件付けする複数の2次元多層X線光学系を含み、光学系がX線源からのX線を受け取り、異なる性能特性のX線を望ましい位置に向かせるように、各光学系が第1の部分に対する第2の部分の動きを通して作動位置に配置されているものと、を含む、マルチビームX線ビームシステム。
【請求項2】
光学系がその作動位置に配置された時に各光学系が揃えられるように、第2の部分がアラインメント機構を含み、光学系は、意図されたビーム方向とビーム位置をもって望ましいソース焦点スポットに揃えられており、アラインメント機構は、少なくともいくつかのX線が光学系を通して反射されるであろうように各光学系を揃える、請求項1のマルチビームX線ビームシステム。
【請求項3】
光学系が、意図されたビーム方向とビーム位置をもって望ましいソース焦点スポットに揃えられて、少なくともいくつかのX線が光学系を通して反射されるように、各光学系が予め揃えられている、請求項1のマルチビームX線ビームシステム。
【請求項4】
第1の部分が、光学系がその作動位置に配置された時に各光学系を揃えるためのアラインメント機構を含み、光学系は、意図されたビーム方向とビーム位置をもって望ましいソース焦点スポットに揃えられている、請求項1のマルチビームX線ビームシステム。
【請求項5】
第2の部分が、光学系がその作動位置に配置された時に各光学系を揃えるためのアラインメント機構を含み、光学系は、意図されたビーム方向とビーム位置をもって望ましいソース焦点スポットに揃えられている、請求項1のマルチビームX線ビームシステム。
【請求項6】
光学系ハウジングは、外側シェルと内側シェルをもった回転式ハウジングであり、内側シェルが第2の部分であって外側シェルが第1の部分であり、内側シェル中の複数の光学系は、円形の幾何学的配置にあって外側シェルに対して回転可能であり、各光学系は、外側シェルに対して内側シェルを回転することによってその望ましい作動位置に配置されている、請求項1のマルチビームX線ビームシステム。
【請求項7】
光学系ハウジングは、第1の部分である外側シェルと、線形アレイまたはマトリクス構造を有し、外側シェルに対して移動可能である複数の光学系をもった第2の部分をもったハウジングであり、各光学系は、外側シェルに対して第2の部分を平行移動することによってその作動位置に配置されている、請求項1のマルチビームX線ビームシステム。
【請求項8】
X線源は、異なる標的材料をもった陽極と、異なるスペクトルを放射する異なるソース焦点スポットを形成するように電子ビームを異なる材料に配送する陰極を含み、ソース焦点スポットは、そこからX線が放射されるX線源上のスポットである、請求項1のマルチビームX線ビームシステム。
【請求項9】
陰極は、電子ビームを異なる標的材料に操るための電磁気的偏向機構をもった電子銃である、請求項8のマルチビームX線ビームシステム。
【請求項10】
X線源は、異なるスペクトルをもったX線を生成するために異なる材料が電子ビームの下に配置されるように、異なる標的材料をもち再配置可能である陽極を含む、請求項1のマルチビームX線ビームシステム。
【請求項11】
2次元多層X線光学系は、段階的なd間隔の多層光学系である、請求項1のマルチビームX線ビームシステム。
【請求項12】
段階的な多層光学系は、発散、焦点距離、作動エネルギーおよびエネルギーバンド幅を含んだ性能属性の異なる組み合わせをもった、コリメーティング光学系とフォーカシング光学系のあらゆる組み合わせである、請求項11のマルチビームX線ビームシステム。
【請求項13】
2次元多層光学系の各々は、サイドバイサイドの幾何学的配置かまたはシーケンシャルなKirkpatrick-Baezの幾何学的配置のいずれかにある2つの1次元光学系から作られている、請求項11のマルチビームX線ビームシステム。
【請求項14】
2次元光学系は、X線ビームをコリメートするための放物面状幾何学的配置かまたはX線ビームをフォーカスするための楕円体状幾何学的配置を有する、請求項11のマルチビームX線ビームシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
典型的なX線分析機器は、X線源と、X線プローブビームを提供するX線光学システムを含む。プローブビームの特性が、機器の特性と能力を決定する。プローブビームの性能パラメータは、空間的定義についての発散、エネルギー定義についてのバンド幅、および与えられた断面についての強度を含む。これらのパラメータは、しかし、1つのパラメータを向上することがしばしばその他のパラメータの性能を低減するので、独立して最適化されることができない。多くのX線プローブビームは、標的原子と加速された電子の間の相互作用から結果としてなる特性的輝線を使用する。光学システムが配送することができるスペクトルは、特定の標的からの利用可能なスペクトルによって制限される。
【0002】
X線源とX線光学系における現行の技術は、絶対的平行性、非常に狭いエネルギーバンド幅、可変波長、および非常に高い強度の属性を有する理想的なプローブビームを配送することができない。代りに、異なる特性をもったビームを配送するために異なる光学システムが構築され配列される。異なるX線源デザインとの組み合わせで、光学システムは、異なる機器能力、機能および応用のために要求されるビームを配送する。このアプローチは通常、複数の光学システムと、複数のX線管または複数の標的さえもが関与し、よって管理するのに不便でありコストがかかる。
【0003】
いくつかのシステムは、異なる波長について多層光学系の曲率を変化させる屈曲機構を含む多層光学系を採用する。そのようなシステムは異なるソースの使用を可能とするが、特定の波長にマッチした曲率を信頼性をもって正確に形成することができる機械的システムは作製することが難しい。加えて、複数の波長で作動するように設計された多層光学系は、各特定の波長について最適化されることができない。
【0004】
これらの多層光学系システムはまた、各セクションが特定の波長のために設計されている光学系の複数のセクションを含んでいても良い。光学系のセクションは、特定の作動波長が必要となった時に作動位置まで機械的に移動される。しかしながら、これらのシステムは、2次元の場合と関連付けられた問題に対処していない。
【0005】
そのような多層光学系システムは更に、各構造が特定の波長のために設計されている構造のスタックとしての複数の多層被膜配置を含む。これらのシステムは利便性と低コストを供するが、全ての特定の波長についてのより低い反射性と、異なる多層被膜構造からの異なるエネルギーにおけるブラッグ反射による高い背景ノイズのために、それらの性能は妥協されたものである。
【0006】
対面配置にある2つの2次元光学系を含む2次元システムとしてその他のシステムが採用されてきた。各光学系は、異なるエネルギーまたは波長のために設計される。しかしながら、そのような配置は、性能のために最適である理想的なテイクオフからはるかに離れたソーステイクオフ角において1つまたは両方の光学系を有する。
【0007】
同じエネルギーのために設計された光学系の時でさえ、平行ビームおよびフォーカシングビーム構成のような様々なビーム構成の中から構成を素早く変更することの必要があり得る。
【0008】
従って、異なる特性のビームを配送することができるプローブビームシステムが必要である。
【発明の概要】
【0009】
1つの形では、マルチビームX線光学システムは、X線を放射するX線源と、第1の部分と第2の部分をもったハウジングを含む。第2の部分は第1の部分に対して移動可能であり、異なる性能特性の複数の光学系を含む。光学系がX線源からのX線を受け取り、X線を望ましい位置に向かせるように、各光学系が第1の部分に対する第2の部分の動きを通して作動位置に配置される。
【0010】
X線光学システムの恩恵は、向上した機能性、向上した性能、可能とされた機器能力、利便性および低コストを含む。
【0011】
この発明の更なる特徴および利点は、図面を参照して以下の記載と、この明細書の一部を形成する添付された請求項を精査した後に、当業者には容易に明らかとなるであろう。
【0012】
明細書に組み込まれその一部を形成している付随する図面は、本発明のいくつかの側面を描写し、記載と共に、発明の原理を説明する役目を果たす。図中のコンポーネンツは、必ずしも実物大ではなく、代りに発明の原理を描写することに強調が置かれている。しかも、図中で、同様の参照番号は図面全体を通して対応する部分を指し示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】
図1Aは、発明に従ったマルチビームX線システムの分解斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、マルチビームX線システムの別の実施形態の原理を描写している概略図である。
【
図3B】
図3Bは、マルチビームX線システムの別の実施形態の原理を描写している概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
異なる特性をもったビームを配送することが可能なX線光学システムがここに記載される。光学システムは複数の光学系を含み、各光学系は異なる応用の必要に見合うために固有の性能特性を有する。ビーム特性は、平行ビーム光学系やフォーカシング光学系のような空間的定義の変動、CuKα、MoKα、AgKαおよびその他の波長のようなスペクトル差、発散との間の異なるトレードオフ、サンプル上のフラックス、または上記の全てを含んでいても良い。光学システムは、対応する光学系が望ましい光学的経路に機械的に配置された時に特定のビームを配送する。
【0015】
ここで
図1Aと1Bを参照すると、本発明の原理を体現しているマルチビームX線システムがそこに描かれており、10で指し示されている。その主要なコンポーネンツとして、X線システム10は、ハウジング14とカバー16内に囲み込まれた光学システム12を含む。
【0016】
マルチビームX線システム10は、特定の光学系を望ましい作動位置に配置するための機構を採用し、それはそこにおいて各光学系が、或る制約内で、その最適化されたテイクオフ角と、設計されたソース−光学系距離と、マッチしたソース焦点スポットおよび光学系焦点と、正しいブラッグ角を有する作動位置として定義される。制約は、全てのビームの設計された遮断ポイントと、意図されたビーム向きおよび位置と、あらゆるその他の望ましい制約を含んでいても良い。
図2Aと2Bに示された配置では、光学システム12は、光学系20と22のペアをもった光学エレメント18を望ましい作動位置に配置するための回転式機構を含み、そこで光学系20と22は円形の幾何学的配置に配置され、各光学系20と22が作動位置の内外に配置されるように、光学システム12がその軸の周りを回転させられる。
【0017】
光学エレメント18は、システム10がその作動位置にある光学系のために配置された時に、光学系20または22がソース24の意図されたソース焦点スポット26または28とシステム10に粗く揃えられるようなやり方で光学系が揃えられるように、各光学系20と22のための粗いアラインメント機構を有していても良い。代替的にまたは追加的に、光学システム12および光学系20と22は、光学システム12がその作動位置にある望ましい光学系のために配置された時に、光学系が意図されたソース焦点スポットに粗いアラインメントの正確さと精度で予め揃えられているように、作製されている。
【0018】
使用時には、ソース24は、それぞれの光学系22、20においてソース焦点スポット26または28のどちらかからX線を放射し、それは一方でビームを焦点30、検出器、サンプル、またはあらゆるその他の好適な位置においてフォーカスする。特に、
図2Aと2Bに示された配置では、回転式ハウジングと呼ばれているハウジング14が、2つのシェル15と17をもった構造を有する(
図1B)。内側シェル15は、異なる特性をもった光学系20、22のための複数の位置を提供する。内側シェル15は、光学系20、22のどちらかが予め規定された作動位置に配置されることができるように、外側シェル17に対して矢印19で指し示されたように光学機器12の軸の周りをどちらの方向にも回転されることができる。上に示された通り、各光学系20、22は、それが作動位置に動かされた時に、それぞれのソース焦点スポット28、26と意図された方向または位置に予め揃えられているかまたは粗く揃えられる。各光学系20、22は、それ自体の粗いアラインメント機構を有していても良く、あるいはそれは粗いアラインメント機構の精度で光学システム12中に工場にて設置されることができる。静的な外側シェルは、主要ビーム方向に跨った横方向の平行移動、ブラッグ角アラインメント、およびオプションの主要ビームに沿った平行移動を含み得る、微小なアラインメントのために必要とされるアラインメント運動の全てを提供するアラインメント機構を装備していても良い。
【0019】
代替的に、光学システム12が、主要ビーム方向に跨った横方向の平行移動、ブラッグ角アラインメント、およびオプションの主要ビームに沿った平行移動を含み得る、微小なアラインメントのために必要とされるアラインメント運動の全てを提供するアラインメント機構を装備していることができる。
【0020】
図3Aと3Bに示された別の配置は、その全てがハウジング14(
図1A)と同様のハウジング中に取り囲まれた、光学系120と122のペアをもった光学エレメント18を矢印132で示されたように前後に外側シェル117に対して望ましい作動位置まで配置するための平行移動機構をもった光学システム112を描いている。光学系120と122は、線形アレイ、あるいはもしより多くの光学系がシステム中に含まれていれば2次元マトリクス、に配列され、特定の光学系が作動位置まで平行移動される。同様に、ソース24は、それぞれの光学系122、120においてソース焦点スポット26または28のどちらかからX線を放射し、それは一方でビームを焦点30、検出器、サンプル、またはあらゆるその他の好適な位置においてフォーカスする。
【0021】
光学系120、122は、異なる空間的定義または異なるエネルギーのような異なる性質を有する。異なるエネルギーの場合については、光学系120、122は、異なるスペクトルのために採用されることができ、異なるソース焦点スポットに揃えられることができる。各光学系120、122は、光学系がその望ましい作動位置に配置された時に、それぞれのソース焦点スポット28、26と意図された方向または位置に予め揃えられているかまたは粗く揃えられても良い。各光学系120、122は、それ自体の粗いアラインメント機構を有していても良く、あるいはそれは定義された粗いアラインメント機構の精度で工場にて設置されていても良い。ハウジング117は、主要ビーム方向に跨った横方向の平行移動、ブラッグ角アラインメント、およびオプションの主要ビームに沿った平行移動を含み得る、微小なアラインメントのための望ましいアラインメント自由度の全てを提供するアラインメント機構を装備していることができる。
【0022】
代替的に、光学システム112が、主要ビーム方向に跨った横方向の平行移動、ブラッグ角アラインメント、およびオプションの主要ビームに沿った平行移動を含み得る、微小なアラインメントのための望ましいアラインメント自由度の全てを提供するそれ自体のアラインメント構造を装備していることができる。
【0023】
上述した光学的配置は、異なる放射特性をもった2つ以上のソース焦点スポットを形成するために異なる標的材料と共に採用されることができる。各光学系は、特定の標的材料上の特定の焦点スポットに揃えられる。異なる波長をもったビームが、異なる標的焦点スポットを稼動し、ビームを選択するためにスリットを使用することによって配送される。
【0024】
光学システムは、平行ビームとフォーカスビームのような、同じエネルギーだが異なる空間的特性をもったビームを提供するように設計されても良い。この場合の配置は、同じ標的材料と同じソーススポットを使用する。
【0025】
光学システムは、いくつかのビームが異なるエネルギーを有し、いくつかのビームが異なる空間的定義のみを有するように、混合された特性をもった複数のビームを配送することができる。この場合には、複数の標的材料とソース放射スポットが採用されることができ、複数の光学系が単一のソーススポットに揃えられることができる。
【0026】
前述した配置のいずれにおいても、X線源24は、単一の標的材料または複数の標的材料を有したポイント状ソースである。複数の標的材料をもったX線源(密封されたチューブと回転する陽極の両方)は、各ストリップが異なる標的材料である複数のストリップをもった標的を含むことができる。異なる標的材料と関連付けられたソース焦点スポットは、異なる位置を有することができる。従って、X線光学系は、標的上に異なる焦点スポットをもった、異なる標的材料のために設計されることができる。代替的に、標的は、全ての元素からの特性線の全てを含んだスペクトルを放射する、異なる元素の混合物であることができる。光学系は、作動波長と関係無く同じ焦点スポットを有することができる。
【0027】
X線源24が、ストリップ構造を有する異なる標的材料と共に使われる時には、電子ビームが標的と相互作用するところの望ましい焦点スポットに異なる標的材料が配置されることができるように、ソース24は陰極を含んでも良く、標的は機械的に移動可能であっても良い。電子ビームは、異なる焦点スポットにおいて異なるスペクトルが生成できるように、異なる標的材料に電子的に操られることができる。
【0028】
特定の配置では、X線源24はポイント状投影を提供し、システム10は、
図2Aと2Bに示されたような複数の2次元光学系をもった回転式ハウジングを含む。X線源は、単一の標的を有し、KαやKβのような異なる特性的輝線を配送する。光学系は、平行ビーム、異なる焦点距離をもったフォーカシングビーム、および異なる作動波長(Kα、Kβ、Lα、...)と異なるバンド幅のような異なるスペクトル定義をもったビームのような、異なる空間的定義をもったビームを配送することができる。各光学系は、設計されたビーム特性を配送するために作動位置まで回転されることができる。
【0029】
別の配置では、X線源24は、CrKα/Kβ、CuKα/Kβ、MoKα/Kβおよびその他のような1つまたは複数の標的材料からの放射スペクトルを配送し、システム10は、複数の2次元光学系をもった回転式ハウジングを含む。各光学系は、特定の波長のために採用されるおよび/または特定の特性のセットを有する。単一の標的または異なる標的のX線は、もしそれが単一の標的材料であるかまたは標的が混ぜられた混合物で作られていれば同じソーススポット、あるいはもしソース標的が異なる材料のストラップからなっていれば異なるソースポイント、から放射されることができる。各光学系は、その焦点が意図されたソース焦点スポットに揃えられているように構成されて粗く揃えられており、設計された方向と位置に従ってビームを配送する。回転機構は、円形構造中のあらゆる光学系を作動位置に配置することができる。微小なアラインメント構造は、最適な性能のために光学系を微小に揃えるように、作動位置にある光学系と係合する。
【0030】
更に別の配置では、X線源24は、CrKα、CuKα/Kβ、MoKα/Kβおよびその他のような1つまたは複数の標的材料からの放射スペクトルを配送し、光学システム10は、線形アレイまたは複数の2次元光学系をもったマトリクスハウジングを含む(例えば、
図3Aと3Bを参照)。各光学系は、特定の波長のために構成されるおよび/または特定の特性のセットを有する。単一の標的または異なる標的からのX線は、もしそれが単一の標的であるかまたは標的が混ぜられた混合物から作られていれば同じソーススポット、あるいは複数のソースポイント、から放射されることができる。各光学系は、その焦点が意図されたソース焦点スポットに揃えられているように構成されて粗く揃えられており、望ましい方向と位置に従ってビームを配送する。平行移動機構は、アレイまたはマトリクス中の光学系のいずれかを作動位置に配置する。微小なアラインメント構造は、最適な性能のために光学系を微小に揃えるように、作動位置にある光学系と係合する。
【0031】
X線源24は、異なる材料をもった陽極と、異なるスペクトルを放射する異なるソース焦点スポットを形成するために異なる材料に電子ビームを配送する陰極を含んでいても良い。陰極は、電子ビームを異なる標的材料に操るための電磁気的偏向機構をもった電子銃であることができる。代替的に、陽極は、異なるスペクトルをもったX線を生成するために異なる材料が電子ビームの下に配置されることができるように、再配置可能であることができる。
【0032】
光学系は、多層光学系であることができる。多層光学系は、段階的な多層光学系であり、異なる焦点距離をもったコリメーティング光学系とフォーカシング光学系のあらゆる組み合わせであることができる。
【0033】
或る実装では、各2次元光学系は、Kirkpatrick-Baez方式におけるようなシーケンシャルな幾何学的配置か、あるいはその両方の全体が引用によってここに組み込まれる米国特許第6,042,099号と第6,014,423号に記載されたような「サイドバイサイド」の配置のいずれかにある2つの1次元光学系から作られている。2次元光学系は、コリメーティング光学系のための放物面状幾何学的配置かまたはフォーカシング光学系のための楕円体状幾何学的配置を有する、単一反射光学系であることができる。
【0034】
前述したものおよびその他の実施形態は、以下の請求項の範囲内である。