特許第5887329号(P5887329)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5887329ポリオレフィンコポリマーを含む電子装置モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5887329
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】ポリオレフィンコポリマーを含む電子装置モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/048 20140101AFI20160303BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20160303BHJP
   C08K 5/14 20060101ALI20160303BHJP
   C08L 51/06 20060101ALI20160303BHJP
   C08K 5/5425 20060101ALI20160303BHJP
   C08J 3/24 20060101ALI20160303BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
   H01L31/04 560
   C08L23/00
   C08K5/14
   C08L51/06
   C08K5/5425
   C08J3/24 ACES
   B32B27/32 Z
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-266928(P2013-266928)
(22)【出願日】2013年12月25日
(62)【分割の表示】特願2009-529355(P2009-529355)の分割
【原出願日】2007年9月19日
(65)【公開番号】特開2014-99629(P2014-99629A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2014年1月23日
(31)【優先権主張番号】60/826,328
(32)【優先日】2006年9月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/865,965
(32)【優先日】2006年11月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】パテル,ラジェン,エム.
(72)【発明者】
【氏名】ウー,シャオフー
(72)【発明者】
【氏名】ベルニウス,マーク,ティー.
(72)【発明者】
【氏名】エセグヒル,モハメッド
(72)【発明者】
【氏名】マクギー,ロバート,エル.
(72)【発明者】
【氏名】マゾール,ミッチェル,エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ナウモビッズ,ジョン.
【審査官】 井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−515574(JP,A)
【文献】 Engage,DuPont Dow elastomers Product Information,DuPont Dow elastomers,2001年 9月,P.1-6
【文献】 J. Wohlgemuth and S. Shea,PVMaT Improvements in the BP Solar Photovoltaic Module Manufacturing Technology,NREL/SR,2002年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/078、31/18−31/20、
51/42−51/48
H02S 10/00−50/15
B32B 27/32
C08J 3/24
C08K 5/14
C08K 5/5425
C08L 23/00
C08L 51/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
A.少なくとも1つの電子装置、および
B.電子装置の少なくとも1つの面に密接に接触しているポリマー材料を含む封入フィルム
を含む電子装置モジュールであって、前記ポリマー材料が、
(1)(a)0.85g/ccより大きく0.90g/cc未満の密度、
(b)ASTM D−882−02により測定して150メガパスカル(MPa)未満の2%割線係数、
(c)95℃未満の融点、
(d)ポリマーの重量に基づいて少なくとも15および50重量%未満のα−オレフィン含量、
(e)−35℃未満のTg、および
(f)少なくとも50%のSCBDI(短鎖分枝分布指数)
を有し
前記ポリマー材料は、少なくとも1つのエチレン性不飽和と少なくとも1つのカルボニル基を含む不飽和有機化合物でグラフトされたポリオレフィンポリマーをさらに含む、エチレン/1−オクテンコポリマー
(2)所望により、前記コポリマーの重量に基づいて少なくとも0.05重量%の量のフリーラジカル開始剤または光開始剤、および
(3)所望により、前記コポリマーの重量に基づいて少なくとも0.05重量%の量の助剤(co-agent)を含む、電子装置モジュール。
【請求項2】
不飽和有機化合物が、無水マレイン酸である、請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
電子装置がソーラーセルである、請求項1に記載のモジュール。
【請求項4】
フリーラジカル開始剤が存在する、請求項1に記載のモジュール。
【請求項5】
助剤が存在する、請求項4に記載のモジュール。
【請求項6】
フリーラジカル開始剤が過酸化物である、請求項5に記載のモジュール。
【請求項7】
ポリマー材料が、電子装置の少なくとも1つの面に密接に接触している単層フィルムの形態である、請求項1に記載のモジュール。
【請求項8】
ポリマー材料が、0.01から1.7重量%の量でスコーチ防止剤をさらに含む、請求項1に記載のモジュール。
【請求項9】
少なくとも1枚のガラスカバーシートをさらに含む、請求項1に記載のモジュール。
【請求項10】
フリーラジカル開始剤が光開始剤である、請求項4に記載のモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2006年9月20日に出願された米国仮特許出願第60/826,328号
および2006年11月15日に出願された米国仮特許出願第60/865,965号の
利益を主張する。
【0002】
技術分野
本発明は、電子装置モジュールに関する。一態様では、本発明は電子装置、例えばソー
ラーセルあるいは光起電力(PV)セル、および保護ポリマー材料を含む電子装置モジュ
ールに関し、一方、別の態様では、本発明は、保護ポリマー材料が、(a)1立方センチ
メートル当たり約0.90グラム(g/cc)未満の密度、(b)低い弾性率、(c)約
95℃未満の融点、(d)コポリマーの重量に基づいて約15から50重量パーセント(
重量%)の間のα−オレフィン含量、(e)約−35℃未満のガラス転移温度(Tg)、
および(f)50またはそれ以上の短鎖分枝分布指数(SCBDIまたはCDBI)のう
ちの少なくとも1つをもつポリオレフィンポリマーである電子装置モジュールに関する。
さらに別の態様では、本発明は電子装置モジュールを作成する方法に関する。
【0003】
発明の背景
ポリマー材料は、一般に、限定されるものではないが、ソーラーセル(光起電力セルと
しても公知)、液晶パネル、電子発光装置、ならびにプラズマディスプレイユニットを含
む1又はそれ以上の電子装置を含むモジュールの製造に用いられる。モジュールは、電子
装置を1又はそれ以上の基板、例えば1又はそれ以上のガラスカバーシートと一緒に含む
場合が多く、電子装置は、基板の一方または両方がガラス、金属、プラスチック、ゴム、
または別の材料を含む、2枚の基板の間に位置する場合が多い。ポリマー材料は、典型的
に、モジュール用の封入剤またはシーラントとして、あるいは、モジュールのデザインに
依存して、モジュールのスキン層構成材料、例えばソーラーセルモジュール中のバックス
キンとして用いられる。これらの目的のための典型的なポリマー材料としては、シリコン
樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、酢酸セルロース、エチレン酢酸ビニル
コポリマー(EVA)、およびアイオノマーが挙げられる。
【0004】
米国特許出願公開第2001/0045229 A1号により、電子装置モジュールの
構造における使用を目的とする任意のポリマー材料における多数の望ましい特性が識別さ
れる。これらの特性には、(i)特に長時間にわたる、外部環境、例えば湿度と外気への
暴露から装置を保護すること、(ii)機械的衝撃から保護すること、(iii)電子装
置および基板への強力な接着性、(iv)封止を含む易加工性、(v)特に光あるいは他
の電磁放射線が重要な用途、例えばソーラーセルモジュールにおける優れた透明性、(v
i)硬化の間のポリマーの収縮に起因する機械的応力から電子装置を保護する短い硬化時
間、(vii)あるとしてもごくわずかな電気伝導度しかない高い電気抵抗、ならびに、
(viii)低コスト、が含まれる。いかなるポリマー材料も、任意の特定の用途におい
て、これらの特性すべてに最大の性能をもたらすとは限らず、通常、特定の用途に対して
最も重要な特性(例えば、透明度および環境からの保護)のパフォーマンスを最大限にす
るために、その用途に対して2番目に重要な特性(例えば、硬化時間およびコスト)を犠
牲にするトレードオフがなされている。ポリマー材料の組み合わせは、ブレンドとして、
またはモジュールの別個の構成材料としてのいずれかでも用いられる。
【0005】
高含量(28から35重量%)の酢酸ビニルモノマー由来のユニットを含むEVAコポ
リマーは、一般に、光起電力(PV)モジュールに用いるための封入膜を作成するために
用いられる。例えば、国際公開公報第95/22844号、同第99/04971号、同
第99/05206号および同第2004/055908号を参照。EVA樹脂は、典型
的に紫外(UV)線添加物により安定し、それらは過酸化物を用いるソーラーセルの積層
加工の間に典型的に架橋されて、耐熱性および約80から90℃の間の温度に対する耐ク
リープ性を改善する。しかし、EVA樹脂は、いくつかの理由から、決して理想的なPV
セル封入膜材料ではない。例えば、EVA膜は、UV光の影響下で化学分解するEVA樹
脂に起因して、強烈な日光の下で次第に黒くなる。この変色は、環境への暴露後わずか4
年程度で、30%を上回るソーラーセルモジュールの出力の損失をもたらし得る。EVA
樹脂はまた、湿度を吸収し、分解を起こしやすい。
【0006】
さらに、また上記のとおり、EVA樹脂は、典型的にUV添加剤により安定化され、ソ
ーラーセルの積層加工および/または封入加工の間に過酸化物を用いて架橋されて、耐熱
性および高温、例えば、80から90℃での耐クリープ性を改善する。しかし、UV放射
線を吸収するEVA分子構造中にC=O結合があり、かつ硬化後にその系の中に残りの過
酸化物架橋剤が存在するため、UVに誘導される分解に対してEVAを安定させるために
添加剤パッケージが使用される。残りの過酸化物は、発色団の生成に関与する主要な酸化
剤であると見られている(例えば、米国特許第6,093,757号)。添加剤、例えば
、抗酸化剤、UV安定剤、UV吸収剤、およびその他などは、EVAを安定させることが
できるが、同時に添加剤パッケージは、360ナノメートル(nm)以下のUV波長も阻
止し得る。
【0007】
光起電力モジュールの効率は、光起電力セルの効率および封入剤を通過する日光の波長
に依存する。ソーラーセルの効率への最も基本的な制限の一つは、その半導体材料のバン
ドギャップ、すなわち、束縛された(bound)価電子帯から可動性の伝導帯へ電子を押し上
げるために必要なエネルギーである。バンドギャップよりもエネルギーの少ない光子は、
吸収されることなくモジュールを通過する。バンドギャップよりもエネルギーの多い光子
は吸収されるが、その過剰なエネルギーは消費される(熱として消散する)。光起電力セ
ル効率を増大させるためには、「タンデム」セル、すなわち多接合セルを用いてエネルギ
ー変換のための波長帯を広げる。その上、薄膜技術、例えばアモルファスシリコン、テル
ル化カドミウム、またはセレン化銅インジウムガリウムなどの多くにおいて、半導体材料
のバンドギャップは、単結晶シリコンのバンドギャップとは異なる。これらの光起電力セ
ルは、360nm以下の波長の光を電気に変換する。これらの光起電力セルにとって、3
60nm以下の波長を吸収することのできる封入剤は、PVモジュール効率を維持するた
めに必要である。
【0008】
米国特許第6,320,116号および同第6,586,271号は、こうしたポリマ
ー材料、特にソーラーセルモジュールの構造中に用いられる材料のもう1つの重要な特性
を教示する。この特性は、耐熱クリープ性、すなわち、温度の結果としてのある期間にわ
たるポリマーの恒久的な変形に対する耐性である。通常、耐熱クリープ性は、ポリマーの
溶融温度に正比例する。建築用途における使用のために設計されたソーラーセルモジュー
ルは、90℃又はそれ以上の温度にて熱クリープに対する優れた耐性を示す必要のある場
合が多い。溶融温度の低い材料、例えばEVAに関して、ポリマー材料を架橋することは
、より大きい耐熱クリープ性をそれに与えるために必要である場合が多い。
【0009】
架橋、特に化学架橋は、一つの問題、例えば熱クリープに対処している間に、他の問題
をもたらし得る。例えば、EVAは、ソーラーセルモジュールの構成に用いられる一般的
なポリマー材料であり、幾分低い融点を有するが、有機過酸化物開始剤を用いて架橋され
る場合が多い。これが熱クリープ問題に対処する一方で、腐食問題がもたらされる、すな
わち、全体的な架橋が達成されることはめったになく、これによりEVA中に残余過酸化
物が残される。この残った過酸化物は、例えば、電子装置モジュールの寿命の間の酢酸の
放出によって、EVAポリマーおよび/または電子装置の酸化と分解を促進し得る。さら
に、有機過酸化物のEVAへの添加は、早期の架橋を避けるために注意深い温度管理を必
要とする。
【0010】
過酸化物により開始される架橋に関するもう一つの起こり得る問題は、加工機器の金属
表面上への架橋された材料の蓄積である。押出稼働中、全ての金属の流れの表面において
、滞留時間が長くなる。より長い押出時間にわたって、架橋された材料は、金属の表面で
形成され、機器の洗浄を必要とし得る。ゲル形成を最小化するための現在の習慣、すなわ
ち、この加工機器の金属表面でのポリマーの架橋は、低い加工温度を用いることであり、
これは順に、押出された製品の生産速度を低下させる。
【0011】
電子装置モジュールの製造に用いるポリマー材料の選択において重要であり得る他の一
つの特性は、熱可塑性、すなわち、軟化、成形、および形成される能力である。例えば、
ポリマー材料が、フレームなしのモジュール中でバックスキン層として使用される場合、
米国特許第5,741,370号に記載されるように、その材料は積層の間に熱可塑性を
示すべきである。しかし、この熱可塑性は、効率的な熱耐クリープ性を犠牲にして得られ
るものであってはならない。
【発明の概要】
【0012】
一実施形態では、本発明は、
A.少なくとも1つの電子装置、および、
B.電子装置の少なくとも1つの面に密接に接触しているポリマー材料を含む電子装置モ
ジュールであり、前記ポリマー材料が、(1)(a)約0.90g/cc未満の密度、(
b)ASTM D−882−02により測定して約150メガパスカル(mPa)未満の
2%割線係数、(c)約95℃未満の融点、(d)ポリマーの重量に基づいて少なくとも
約15および約50重量%未満のα−オレフィン含量、(e)約−35℃未満のTg、な
らびに(f)少なくとも約50のSCBDI、の少なくとも1つを有するポリオレフィン
コポリマー、(2)所望により、コポリマーの重量に基づいて少なくとも約0.05重量
%の量のフリーラジカル開始剤、例えば過酸化物もしくはアゾ化合物、または光開始剤、
例えばベンゾフェノン、および(3)所望により、コポリマーの重量に基づいて少なくと
も約0.05重量%の量の助剤(co-agent)を含む。
【0013】
別の実施形態では、本発明は、
A.少なくとも1つの電子装置、および、
B.電子装置の少なくとも1つの面に密接に接触しているポリマー材料を含む電子装置モ
ジュールであり、前記ポリマー材料が、(1)(a)約0.90g/cc未満の密度、(
b)ASTM D−882−02により測定して約150メガパスカル(mPa)未満の
2%割線係数、(c)約95℃未満の融点、(d)ポリマーの重量に基づいて少なくとも
約15および約50重量%未満のα−オレフィン含量、(e)約−35℃未満のTg、な
らびに(f)少なくとも約50のSCBDI、の少なくとも1つを有するポリオレフィン
コポリマー、(2)コポリマーの重量に基づいて少なくとも約0.1重量%の量のビニル
シラン、例えばビニルトリ−エトキシシランもしくはビニルトリ−メトキシシラン、(3
)コポリマーの重量に基づいて少なくとも約0.05重量%の量のフリーラジカル開始剤
、例えば過酸化物もしくはアゾ化合物、または光開始剤、例えばベンゾフェノン、ならび
に(4)所望により、コポリマーの重量に基づいて少なくとも約0.05重量%の量の助
剤を含む。
【0014】
「密接に接触している」および同種の用語は、被膜が基板と接触しているのと同様の様
式で、ポリマー材料が装置またはその他の物品の少なくとも1つの面に接触していること
を意味し、例えば、ポリマー材料と装置の面の間に隙間または空間がたとえあるとしても
わずかしかなく、その材料が装置の面に良好ないし優れた接着を示す。押出、または電子
装置の少なくとも1面にポリマー材料を適用するその他の方法の後、材料は典型的に、透
明かまたは不透明のいずれかであってよく、かつ軟質または硬質のいずれかであってよい
フィルムを形成し、かつ/または硬化させる。電子装置が、日光へのアクセスを遮断され
ないかまたは最小限にしか遮断されないことを必要とするか、あるいは、ユーザーがそれ
から情報を読みとることのできる、ソーラーセルまたはその他の装置である場合(例えば
、プラズマディスプレイユニット)、装置の有効な面または「機能」面を覆う材料のその
部分は透明性が高い。
【0015】
モジュールは、1又はそれ以上のその他の構成材料、例えば1又はそれ以上のガラスカ
バーシートなどをさらに含んでよく、これらの実施形態では、ポリマー材料は通例電子装
置とガラスカバーシートとの間にサンドイッチ構造で配置される。ポリマー材料が、電子
装置の反対側のガラスカバーシートの面へ膜として適用される場合、ガラスカバーシート
の面に接触する膜の面は、滑らかであってもでこぼこしていてもよい(例えば、エンボス
加工または表面模様加工)。
【0016】
典型的に、ポリオレフィンコポリマーは、エチレン/α−オレフィンコポリマーである
。ポリマー材料は、電子装置を完全に封入することができるか、または、その一部のみに
密接に接触していることができ、例えば、装置の1つのフェイス面へ積層される。所望に
より、ポリマー材料はスコーチ防止剤をさらに含んでよく、モジュールが目的とする用途
、コポリマーの化学組成、およびその他の要素に依存して、コポリマーは、架橋されない
ままであっても架橋されてもよい。架橋される場合、それはASTM 2765−95で
測定して約70%未満の抽出可能なキシレン可溶物を含有するように架橋される。
【0017】
別の実施形態では、本発明は、少なくとも1枚の外側のスキン層が、(i)架橋のため
の過酸化物を含まず、かつ(ii)モジュールと密接に接触する状態になる面である電子
装置の少なくとも1つの面に密接に接触しているポリマー材料が同時押出された材料であ
ることを除いて、上記の2つの実施形態に記載されるような電子装置モジュールである。
典型的に、この外側のスキン層は、ガラスへの良好な接着を示す。同時押出材料のこの外
側のスキンは、多数の異なるポリマーの内の任意の1種類を含んでいてよく、しかし、典
型的には、過酸化物含有ポリマーと同じポリマーであるが過酸化物を含まない。本発明の
この実施形態は、より高い加工温度での使用を可能にするものであり、それは次に、加工
機器の金属面との長期にわたる接触が原因で、ポリマーの封入の際に不要なゲルが形成さ
れることなく生産速度をより速くすることを可能にするものである。別の実施形態では、
押出製品は、少なくとも3層を含み、その電子モジュールに接触しているスキン層は過酸
化物を含まず、かつ、その過酸化物含有層はコア層である。
【0018】
別の実施形態では、本発明は、電子装置モジュールを製造する方法であり、前記方法は

A.少なくとも1つの電子装置を供給する段階、および、
B.(1)(a)約0.90g/cc未満の密度、(b)ASTM D−882−02に
より測定して約150メガパスカル(mPa)未満の2%割線係数、(c)約95℃未満
の融点、(d)ポリマーの重量に基づいて少なくとも約15および約50重量%未満のα
−オレフィン含量、(e)約−35℃未満のTg、ならびに(f)少なくとも約50のS
CBDI、の少なくとも1つを有するポリオレフィンコポリマー、(2)所望により、コ
ポリマーの重量に基づいて少なくとも約0.05重量%の量のフリーラジカル開始剤、例
えば過酸化物もしくはアゾ化合物、または光開始剤、例えばベンゾフェノン、および(3
)所望により、コポリマーの重量に基づいて少なくとも約0.05重量%の量の助剤を含
むポリマー材料と電子装置の少なくとも1つの面を接触させる段階を含む。
【0019】
別の実施形態では、本発明は、電子装置を製造する方法であり、前記方法は、
A.少なくとも1つの電子装置を供給する段階、および、
B.(1)(a)約0.90g/cc未満の密度、(b)ASTM D−882−02に
より測定して約150メガパスカル(mPa)未満の2%割線係数、(c)約95℃未満
の融点、(d)ポリマーの重量に基づいて少なくとも約15および約50重量%未満のα
−オレフィン含量、(e)約−35℃未満のTg、ならびに(f)少なくとも約50のS
CBDI、の少なくとも1つを有するポリオレフィンコポリマー、(2)コポリマーの重
量に基づいて少なくとも約0.1重量%の量のビニルシラン、例えば、ビニルトリ−エト
キシシランもしくはビニルトリ−メトキシシラン、(3)コポリマーの重量に基づいて少
なくとも約0.05重量%の量のフリーラジカル開始剤、例えば、過酸化物もしくはアゾ
化合物、または光開始剤、例えば、ベンゾフェノン、および(4)所望により、コポリマ
ーの重量に基づいて少なくとも約0.05重量%の量の助剤を含むポリマー材料と電子装
置の少なくとも1つの面を接触させる段階を含む。
【0020】
これらの二方法の実施形態の両方に対する一変形形態では、モジュールは、装置の1つ
のフェイス面から離れて配置された少なくとも1つの半透明のカバー層をさらに含み、ポ
リマー材料は、電子装置とカバー層との間を密封する関係で挿入される。「密封する関係
で」および同種の用語は、ポリマー材料がカバー層と電子装置の両方に、典型的に互いの
少なくとも1つのフェイス面に十分に接着すること、ならびに、2つのモジュール構成材
料間に、(ポリマー材料がエンボス加工または表面模様加工されたフィルムの形態でカバ
ー層へ適用された結果、あるいはカバー層自体がエンボス加工さもなければ表面模様加工
された結果として、ポリマー材料とカバー層との間に存在し得るあらゆる任意の隙間また
は空間以外の)隙間または空間がたとえあるとしてもごくわずかしかない状態で、ポリマ
ー材料が2つを結び付けることを意味する。
【0021】
さらに、これらの方法の実施形態の両方において、ポリマー材料は、スコーチ防止剤を
さらに含むことができ、前記方法は、所望により、例えば架橋条件下で電子装置および/
またはガラスカバーシートをポリマー材料と接触させるか、またはASTM 2765−
95で測定してポリオレフィンコポリマーが約70%未満の抽出可能なキシレン可溶物を
含有するようにモジュールを形成した後にモジュールを架橋条件に暴露するかのいずれか
で、コポリマーが架橋される段階を含んでよい。架橋条件には、熱(例えば、少なくとも
約160℃の温度)、放射線(例えば、電子ビームでは少なくとも約15メガラド、また
はUV光では少なくとも約0.05ジュール/cm)、湿度(例えば、少なくとも約5
0%の相対湿度)、などが含まれる。
【0022】
これらの方法の実施形態のもう一つの変形形態では、電子装置は、ポリマー材料の内部
に封入される、すなわち、完全に包み込まれるか、または取り囲まれる。これらの実施形
態のもう一つの変形形態では、ガラスカバーシートは、シランカップリング剤、例えば、
γ−アミノプロピルトリ−エトキシシランで処理される。これらの実施形態のさらにもう
一つの変形形態では、ポリマー材料は、電子装置とガラスカバーシートのいずれかまたは
両方に対してその接着特性を強化するためのグラフトポリマーをさらに含む。典型的に、
グラフトポリマーは、ポリオレフィンコポリマーにカルボニル基、例えば無水マレイン酸
を含む不飽和有機化合物を原位置で単にグラフトすることにより作成される。
【0023】
別の実施形態では、本発明は、そのフィルムが(i)400から1100ナノメートル
(nm)の波長範囲にわたる透過率が92%以上(≧)、および(ii)38℃および1
00%相対湿度(RH)にて1日あたり1平方メートルあたりのグラム数(g/m−日
)である、水蒸気透過率(WVTR)が約50未満(<)、好ましくは約15未満(<)
、であることを特徴とする、エチレン/非極性α−オレフィンポリマーフィルムである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の電子装置モジュールの一実施形態、すなわち、硬質光起電力(PV)モジュールを示す図である。
図2】本発明の電子装置モジュールの別の実施形態、すなわち、軟質PVモジュールを示す図である。
図3】実施例4に報告される実験用フィルムおよび市販のフィルムのUVスペクトルを表す図である。
図4】実施例6において調製および報告される試料のUVスペクトルを表す図である。
【0025】
好ましい態様の説明
本発明の実践に有用なポリオレフィンコポリマーは、約0.90g/cc未満、好まし
くは約0.89g/cc未満、より好ましくは約0.885g/cc未満、さらにより好
ましくは約0.88g/cc未満、そしてさらにより好ましくは約0.875g/cc未
満の密度を有する。ポリオレフィンコポリマーは、典型的に約0.85より大きい、そし
てより好ましくは約0.86g/ccより大きい密度を有する。密度は、ASTM D−
792の手順で測定される。低密度ポリオレフィンコポリマーは、典型的非晶質で、軟質
であり、かつ良好な光学的特性を有している(例えば、可視光とUV光の透過率が高く、
曇りが少ない)として通常特徴づけられる。
【0026】
本発明の実践に有用なポリオレフィンコポリマーは、ASTM D−882−02の手
順により測定して、約150Pa未満、好ましくは約140Pa未満、より好ましくは約
120Pa未満、およびさらにより好ましくは約100mPa未満の2%割線係数を有す
る。ポリオレフィンコポリマーは、典型的に0より大きい2%割線係数を有するが、係数
が低くなればなるほど、コポリマーはそれだけより良好に本発明での使用へ適応する。割
線係数(the secant modulus)は、対象となる点で前記曲線と交差している、応力−歪み曲
線の原点からの線の勾配であって、図の非弾性領域における材料の固さを記述するために
用いられる。係数の低いポリオレフィンコポリマーは、それらは応力下での安定性(例え
ば、応力または収縮によって亀裂しにくいこと)をもたらすため、本発明での使用に特に
良好に適応する。
【0027】
本発明の実践に有用であり、シングルサイト触媒、例えばメタロセン触媒または拘束幾
何触媒などで作成されたポリオレフィンコポリマーは、典型的に、約95℃未満、好まし
くは約90℃未満、より好ましくは約85℃未満、さらにより好ましくは約80℃未満、
そしてなおより好ましくは約75℃未満の融点を有する。マルチサイト触媒、例えば、チ
ーグラー・ナッタ触媒およびフィリップス触媒で作成されたポリオレフィンコポリマーに
関して、融点は典型的に、約125℃未満、好ましくは約120℃未満、より好ましくは
約115℃未満、そしてさらにより好ましくは約110℃未満である。融点は、例えば、
米国特許第5,783,638号に記載されるように示差走査熱量測定(DSC)により
測定される。低い融点を有するポリオレフィンコポリマーは、本発明のモジュールの加工
に有用な、望ましい柔軟性および熱可塑性を示す場合が多い。
【0028】
本発明の実践に有用なポリオレフィンコポリマーとしては、インターポリマーの重量に
基づいて、約15重量%、好ましくは少なくとも約20重量%、そしてさらにより好まし
くは少なくとも約25重量%の間のα−オレフィン含量を有するエチレン/α−オレフィ
ンインターポリマーが挙げられる。これらのインターポリマーは、典型的に、インターポ
リマーの重量に基づいて約50重量%未満、好ましくは約45重量%未満、より好ましく
は約40重量%未満、そしてさらにより好ましくは約35重量%未満のα−オレフィン含
量を有する。α−オレフィン含量は、ランドール(Rev. Macromol Chem. Phys., C29 (2
&3) )に記載される手順を用いて、13C核磁気共鳴(NMR)分光分析法により測定さ
れる。一般に、インターポリマーのα−オレフィン含量が大きくなるほど、密度は低くイ
ンターポリマーはより非晶質となり、これは、モジュールの保護ポリマー成分に望ましい
物理的および化学的特性となる。
【0029】
α−オレフィンは、好ましくは、C3−20直鎖、分枝鎖または環状のα−オレフィン
である。インターポリマーという用語は、少なくとも2つのモノマーから作成されたポリ
マーをさす。それには、例えば、コポリマー、ターポリマーおよびテトラポリマーが含ま
れる。C3−20α−オレフィンの例としては、プロペン、1−ブテン、4−メチル−1
−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセ
ン、1−ヘキサデセン、および1−オクタデセンが挙げられる。α−オレフィンはまた、
環状構造、例えばシクロヘキサンまたはシクロペンタンなども含むことができ、その結果
、α−オレフィン、例えば3−シクロヘキシル−1−プロペン(アリルシクロヘキサン)
およびビニルシクロヘキサンも含まれる。古典的な用語の意味ではα−オレフィンではな
いが、本発明の目的において、特定の環状オレフィン類、例えばノルボルネンおよび関連
オレフィン類などは、α−オレフィンであり、上記の一部または全てのα−オレフィンの
代わりに使用することができる。同様に、スチレンおよびその関連オレフィン類(例えば
、α−メチルスチレンなど)は、本発明の目的においてα−オレフィンである。しかし、
アクリル酸およびメタクリル酸ならびにそれらのそれぞれのアイオノマー、ならびにアク
リレートおよびメタクリレート類は、本発明の目的においてα−オレフィンではない。例
となるポリオレフィンコポリマーとしては、エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン、
エチレン/1−ヘキセン、エチレン/1−オクテン、エチレン/スチレン、などが挙げら
れる。エチレン/アクリル酸(EAA)、エチレン/メタクリル酸(EMA)、エチレン
/アクリレートもしくはメタクリレート、エチレン/酢酸ビニルなどは、本発明のポリオ
レフィンコポリマーではない。例となるターポリマーとしては、エチレン/プロピレン/
1−オクテン、エチレン/プロピレン/ブテン、エチレン/ブテン/1−オクテン、およ
びエチレン/ブテン/スチレンが挙げられる。コポリマーはランダムコポリマーであって
もブロックコポリマーであってもよい。
【0030】
本発明において有用なオレフィン系インターポリマーのより具体的な例としては、超低
密度ポリエチレン(VLDPE)(例えば、The Dow Chemical Com
pany製のFLEXOMER(登録商標)エチレン/1−ヘキセンポリエチレン)、均
一に分枝した、線状エチレン/α−オレフィンコポリマー(例えば、Mitsui Pe
trochemicals Company Limited製のTAFMER(登録商
標)およびExxon Chemical Company製のEXACT(登録商標)
)、ならびに均一に分枝した、実質的に線状のエチレン/α−オレフィンポリマー(例え
ば、The Dow Chemical Companyより入手可能なAFFINIT
Y(登録商標)およびENGAGE(登録商標)ポリエチレン)が挙げられる。より好ま
しいポリオレフィンコポリマーは、均一に分枝した線状および実質的に線状のエチレンコ
ポリマーである。実質的に線状のエチレンコポリマーが特に好ましく、米国特許第5,2
72,236号、同第5,278,272号および同第5,986,028号により詳細
に記載されている。
【0031】
また、本発明の実践に有用なポリオレフィンコポリマーとしては、プロピレン、ブテン
およびその他のアルケン系コポリマー、例えば、大部分のプロピレン由来単位と、少数の
別のα−オレフィン(エチレンを含む)由来単位を含むコポリマーが挙げられる。本発明
の実践に有用な例示的なポリプロピレンとしては、The Dow Chemical
Companyより入手可能なVERSIFY(登録商標)ポリマー、およびExxon
Mobil Chemical Companyより入手可能なVISTAMAXX(登
録商標)ポリマーが挙げられる。
【0032】
上記のオレフィン系インターポリマーのいずれかのブレンドも本発明に用いることがで
き、ポリオレフィンコポリマーは、ポリマーが、(i)相互に混和性である、(ii)そ
の他のポリマーが、もしあるとしても、ポリオレフィンコポリマーの望ましい特性、例え
ば光学特性および低い弾性率、にほとんど影響を与えない、かつ(iii)本発明のポリ
オレフィンコポリマーがブレンドの少なくとも約70重量%、好ましくは少なくとも約7
5重量%、そしてより好ましくは少なくとも約80重量%を構成する、程度まで1又はそ
れ以上のその他のポリマーとブレンドするか、または1又はそれ以上のその他のポリマー
に希釈することができる。好ましくはないが、EVAコポリマーは希釈ポリマーの1つで
あり得る。
【0033】
本発明の実践に有用なポリオレフィンコポリマーは、ASTM D−3418−03の
手順を用いて示差走査熱量測定(DSC)により測定して約−35℃未満、好ましくは約
−40℃未満、より好ましくは約−45℃未満、そしてさらにより好ましくは約−50℃
未満のTgを有する。さらに、典型的に、本発明の実践に用いられるポリオレフィンコポ
リマーは、約100g/10分未満、好ましくは約75g/10分未満、より好ましくは
約50g/10分未満、そしてさらにより好ましくは約35g/10分未満のメルトイン
デックス(ASTM D−1238(190℃/2.16kg)の手順により測定される
MI)も有する。典型的な最小MIは約1であり、より典型的にそれは約5である。
【0034】
本発明の実践に有用なポリオレフィンコポリマーは、SCBDI(短鎖分枝分布指数)
を有するか、またはCDBI(組成分布分枝指数)がメジアン全モルコモノマー含量の5
0パーセント以内のコモノマー含量を有するポリマー分子の重量パーセントとして定義さ
れる。ポリマーのCDBIは、当分野で公知の技法、例えば、Wildら、「Journal of
Polymer Science, Poly. Phys. Ed., Vol. 20, p. 441 (1982)」に記載される、または
米国特許第4,798,081号および同第5,008,204号に記載される、昇温溶
離分別(本明細書において「TREF」と略される)などから得たデータから容易に計算
される。本発明の実践に用いられるポリオレフィンコポリマーのSCBDIまたはCDB
Iは、典型的に約50パーセントより大きい、好ましくは約60パーセントより大きい、
より好ましくは約70パーセントより大きい、さらにより好ましくは約80パーセントよ
り大きい、そして最も好ましくは約90パーセントより大きい。
【0035】
本発明の実践に用いられるポリマー材料は、次の特性の中の少なくとも1つ、好ましく
は少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、さらにより好ましくは少なくとも4
つ、そして一層より好ましくは少なくとも5つを有する。a)約0.90g/cc未満の
密度、(b)ASTM D−882−02により測定して約150メガパスカル(mPa
)未満の2%割線係数、(c)約95℃未満の融点、(d)ポリマーの重量に基づいて少
なくとも約15重量%および約50重量%未満のα−オレフィン含量、(e)約−35℃
未満のTg、ならびに(f)少なくとも約50のSCBDI。好ましくは、本発明の実践
に用いられるポリオレフィンコポリマーは、少なくとも(a)および(b)の特性、より
好ましくは少なくとも(a)、(b)および(c)の特性、さらにより好ましくは少なく
とも(a)、(b)、(c)および(d)の特性、そして一層より好ましくは、少なくと
も(a)、(b)、(c)、(d)および(e)の特性を有する。好ましいポリオレフィ
ンポリマーは、The Dow Chemical CompanyのAffinity
(登録商標)およびEngage(登録商標)ポリエチレンである。
【0036】
本発明の実践に用いられるポリオレフィンコポリマーの低い密度および弾性率に起因し
て、これらのコポリマーは、接触の時点で、もしくはモジュールが構築された後、通例は
直後に、典型的に硬化または架橋される。架橋は、電子装置を環境から保護するためのそ
の機能におけるコポリマーの性能にとって重要である。具体的には、架橋は、コポリマー
の耐熱クリープ性、ならびに、熱、衝撃、および耐溶剤性に関してモジュールの耐久性を
強化する。架橋は、多数の異なる方法の任意の一方法により、例えば、熱により開始され
る開始剤、例えば、過酸化物およびアゾ化合物;光開始剤、例えば、ベンゾフェノン;日
光、紫外光、電子ビームおよびX線を含む放射線手法;ビニルシラン、例えば、ビニルト
リエトキシまたはビニルトリメトキシシラン;ならびに湿気硬化の使用により、達成する
ことができる。
【0037】
本発明の実践に用いられるフリーラジカル開始剤には、比較的不安定で少なくとも2つ
のラジカルに容易に割り込む、任意の熱により活性化される化合物が含まれる。このクラ
スの化合物の代表は、過酸化物、特に有機過酸化物、およびアゾ開始剤である。架橋剤と
して用いられるフリーラジカル開始剤の中では、ジアルキルペルオキシド開始剤およびジ
ペルオキシケタール開始剤が好ましい。これらの化合物は、「Encyclopedia of Chemical
Technology, 3rd edition, Vol. 17, pp 27-90. (1982)」に記載されている。
【0038】
ジアルキルペルオキシドの群の中で好ましい開始剤は、ジクミルペルオキシド、ジ−t
−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(t−ブチルペルオキシ)−ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−アミルペル
オキシ)−ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン
−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−アミルペルオキシ)ヘキシン−3、α,α−
ジ[(t−ブチルペルオキシ)−イソプロピル]−ベンゼン、ジ−t−アミルペルオキシ
ド、1,3,5−トリ−[(t−ブチルペルオキシ)−イソプロピル]ベンゼン、1,3
−ジメチル−3−(t−ブチルペルオキシ)ブタノール、1,3−ジメチル−3−(t−
アミルペルオキシ)ブタノール、およびこれら開始剤の2又はそれ以上の混合物である。
【0039】
ジペルオキシケタール開始剤の群の中で好ましい開始剤は、1,1−ジ(t−ブチルペ
ルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキ
シ)シクロヘキサンn−ブチル、4,4−ジ(t−アミルペルオキシ)吉草酸、エチル3
,3−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブチラート、2,2−ジ(t−アミルペルオキシ)プ
ロパン、3,6,6,9,9−ペンタメチル−3−エトキシカルボニルメチル−1,2,
4,5−テトラオキサシクロノナン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ
)吉草酸、エチル−3,3−ジ(t−アミルペルオキシ)−ブチラート、およびこれら開
始剤の2又はそれ以上の混合物である。
【0040】
その他の過酸化物開始剤、例えば、00−t−ブチル−0−水素−モノペルオキシスク
シナート;00−t−アミル−0−水素−モノペルオキシスクシナートおよび/またはア
ゾ開始剤、例えば、2,2’−アゾビス−(2−アセトキシプロパン)も、架橋されたポ
リマーマトリックスをもたらすために用いることができる。その他の適したアゾ化合物と
しては、米国特許第3,862,107号および第4,129,531号に記載のものが
挙げられる。2又はそれ以上のフリーラジカル開始剤の混合物も、本発明の範囲内の開始
剤として、共に使用してよい。その上、フリーラジカルは、剪断エネルギー、熱または放
射線から形成され得る。
【0041】
本発明の架橋可能な組成物中に存在する過酸化物またはアゾ開始剤の量は、大きく変動
する可能性があるが、その最少量は望まれる架橋の程度をもたらすために十分な量である
。開始剤の最少量は、典型的に、架橋される1又は複数のポリマーの重量に基づいて、少
なくとも約0.05重量%、好ましくは少なくとも約0.1重量%、およびより好ましく
は少なくとも約0.25重量%である。これらの組成物中に用いられる開始剤の最大量は
、大きく変動する可能性があるが、典型的に、コスト、効率、および所望する架橋の所望
の程度などの要因により決定される。その最大量は、架橋される1又は複数のポリマーの
重量に基づいて、約10重量%未満、好ましくは約5重量%未満、およびより好ましくは
約3重量%未満である。
【0042】
電磁放射線、例えば、日光、紫外(UV)光、赤外(IR)線、電子ビーム、β線、γ
線、X線、および中性子線などによるフリーラジカル架橋の開始を用いてもよい。放射線
は、結合および架橋してよいポリマーラジカルを発生させることにより、架橋に作用する
と考えられている。「The Handbook of Polymer Foams and Technology、前掲、198か
ら204頁」により、さらなる教示が提供される。硫黄元素は、ジエン含有ポリマー、例
えば、EPDMおよびポリブタジエンなどの架橋剤として用いられ得る。コポリマーを硬
化させるために用いられる放射線の量は、コポリマーの化学組成、もしあれば開始剤の組
成および量、放射線の種類、などに伴い変化するが、UV光の典型的な量は少なくとも約
0.05ジュール/cm、より典型的には約0.1ジュール/cm、およびさらによ
り典型的には少なくとも約0.5ジュール/cmであり、電子ビーム放射線の典型的な
量は、少なくとも約0.5メガラド、より典型的には少なくとも約1メガラド、およびさ
らにより典型的には少なくとも約1.5メガラドである。
【0043】
日光またはUV光が、硬化または架橋をもたらすために用いられる場合、典型的に、か
つ好ましくは、1又はそれ以上の光開始剤が使用される。かかる光開始剤としては、有機
カルボニル化合物、例えば、ベンゾフェノン、ベンズアントロン、ベンゾインとそのアル
キルエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ、2フェニルア
セトフェノン、p−フェノキシジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシシクロヘキシル
フェノン、2−ヒドロキシイソプロピルフェノン、および1−フェニルプロパンジオン−
2−(エトキシカルボキシル)オキシムなどが挙げられる。これらの開始剤は、公知の様
式および公知の量、例えば、コポリマーの重量に基づいて、典型的には少なくとも約0.
05重量%、より典型的には少なくとも約0.1重量%、およびさらにより典型的には約
0.5重量%で用いられる。
【0044】
水分、すなわち水を用いて硬化または架橋をもたらす場合、典型的に、かつ好ましくは
、1又はそれ以上の加水分解/縮合触媒が使用される。かかる触媒としては、ルイス酸、
例えばジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、第一錫オクトノエート(sta
nnous octonoate)など、およびスルホン酸水素、例えばスルホン酸などが挙げられる。
【0045】
フリーラジカル架橋助剤、すなわち促進剤または共開始剤としては、多官能性ビニルモ
ノマーおよびポリマー、トリアリルシアヌレートおよびトリメチロールプロパントリメタ
クリレート、ジビニルベンゼン、ポリオールのアクリレートおよびメタクリレート、アリ
ルアルコール誘導体、および低分子量ポリブタジエンが挙げられる。硫黄架橋促進剤とし
ては、ベンゾチアジルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾール、銅ジメチルジチ
オカーバメート、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、テトラブチルチウラムジ
スルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドおよびテトラメチルチウラムモノスルフ
ィドが挙げられる。
【0046】
これらの助剤は公知量および公知の方法で用いられる。助剤の最小量は、典型的に、架
橋される1又は複数のポリマーの重量に基づいて、少なくとも約0.05重量%、好まし
くは少なくとも約0.1重量%、より好ましくは少なくとも約0.5重量%である。これ
らの組成物中に用いられる助剤の最大量は大きく変動する可能性があり、それは典型的に
、コスト、効率および所望する架橋の所望の程度などの要因により決定される。最大量は
、典型的に、架橋される1又は複数のポリマーの重量に基づいて、約10重量%未満、好
ましくは約5重量%未満、より好ましくは約3重量%未満である。
【0047】
架橋、すなわち熱可塑性材料の硬化を促進するために熱により活性化されるフリーラジ
カル開始剤を用いる際の困難の1つは、硬化が望まれる全体的なプロセス中の実際の相よ
りも前に配合および/または加工する間に、それらが未熟な架橋、すなわちスコーチを開
始させ得ることである。配合、例えば粉砕、バンバリー、または押出などの従来法を用い
ると、その時間−温度の関係の結果、フリーラジカル開始剤が熱分解を受け、次に、それ
が配合されたポリマーの塊中にゲル粒子を作り出し得る架橋反応を開始させる条件をもた
らす場合に、スコーチが生じる。これらのゲル粒子は、最終生成物の均質性に悪影響を及
ぼし得る。さらに、過剰なスコーチは、材料の可塑性を低下させる可能性があり、従って
、効率的に加工できず、バッチ全体が失われる可能性が高い。
【0048】
スコーチを最小化させる一方法は、スコーチ防止剤を組成物に組み込むことである。例
えば、英国特許第1,535,039号は、有機ヒドロ過酸化物の過酸化物硬化エチレン
ポリマー組成物のためのスコーチ防止剤としての使用を開示している。米国特許第3,7
51,378号は、様々なコポリマー処方物に長いムーニースコーチ時間をもたらすため
の、N−ニトロソジフェニルアミンまたはN,N’−ジニトロソ−パラ−フェニルアミン
の、多官能性アクリレート架橋モノマーに組み込まれたスコーチ遅延剤としての使用を開
示している。米国特許第3,202,648号は、ポリエチレンのスコーチ防止剤として
の、亜硝酸塩、例えば亜硝酸イソアミル、亜硝酸tert−デシルおよびその他のものな
どの使用を開示している。米国特許第3,954,907号は、スコーチに対する保護物
としての単量体ビニル化合物の使用を開示している。米国特許第3,335,124号に
は、芳香族アミン、フェノール化合物、メルカプトチアゾール化合物、ビス(N,N−ジ
置換チオカルバモイル)スルフィド、ヒドロキノンおよびジアルキルジチオカーバメート
化合物の使用が記載されている。米国特許第4,632,950号は、一方の金属塩が銅
に基づく、ジ置換ジチオカルバミン酸の2つの金属塩の混合物の使用を開示している。
【0049】
フリーラジカル、特に過酸化物、開始剤含有組成物で用いるための1種類の慣用される
スコーチ防止剤は、ニトロキシル2、またはNR1または4−オキシピペリドール、また
はタノール(tanol)、またはテンポール(tempol)、またはtmpn、または恐らく最も一
般的には、4−ヒドロキシ−TEMPOあるいはさらにより簡単に、h−TEMPOとし
ても公知の、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル
である。4−ヒドロキシ−TEMPOを添加することによって、溶融加工温度で架橋可能
なポリマーのフリーラジカル架橋を「クエンチする」ことによりスコーチが最低限に抑え
られる。
【0050】
本発明の組成物中に用いられるスコーチ防止剤の好ましい量は、組成物のその他の成分
、特にフリーラジカル開始剤の量および性質と共に変動するが、典型的に、1.7重量パ
ーセント(wt%)の過酸化物を含むポリオレフィンコポリマーの系で用いられるスコー
チ防止剤の最小量は、ポリマーの重量に基づいて少なくとも約0.01重量%、好ましく
は少なくとも約0.05重量%、より好ましくは少なくとも約0.1重量%、最も好まし
くは少なくとも約0.15重量%である。スコーチ防止剤の最大量は大きく変動する可能
性があり、ほかの何よりもコストと効率の関数である。1.7重量%の過酸化物を含むポ
リオレフィンコポリマーの系で用いられるスコーチ防止剤の典型的な最大量は、コポリマ
ーの重量に基づいて約2重量%を超えない、好ましくは約1.5重量%を超えない、より
好ましくは約1重量%を超えない。
【0051】
効果的にグラフトされてポリオレフィンコポリマーを架橋する任意のシランを本発明の
実践に使用してよい。適したシランとしては、エチレン性不飽和ヒドロカルビル基、例え
ばビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、シクロヘキセニルまたはγ−(メタ)ア
クリロキシアリル基など、および加水分解性基、例えば、ヒドロカルビルオキシ、ヒドロ
カルボニルオキシ、またはヒドロカルビルアミノ基などを含む不飽和シランが挙げられる
。加水分解性基の例としては、メトキシ、エトキシ、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロ
プリオニルオキシ、およびアルキルまたはアリールアミノ基が挙げられる。好ましいシラ
ンは、ポリマーにグラフトすることのできる不飽和アルコキシシランである。これらのシ
ラン類およびそれらの調製方法は米国特許第5,266,627号により詳細に記載され
ている。ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロ
キシプロピルトリメトキシシランおよびこれらのシランの混合物は、本発明における使用
のための好ましいシラン架橋剤である。増量剤が存在するならば、架橋剤にはビニルトリ
エトキシシランが含まれることが好ましい。
【0052】
本発明の実践に用いられるシラン架橋剤の量は、ポリオレフィンコポリマーの性質、シ
ラン、加工条件、グラフト効率、最終的な適用、および同様の因子によって大きく変動し
得るが、典型的に、コポリマーの重量に基づいて少なくとも100分の0.5、好ましく
は少なくとも0.7部の樹脂重量%が使用される。利便性と経済を検討することは、通常
本発明の実践に用いられるシラン架橋剤の最大量の2つの主な制限であり、典型的に、シ
ラン架橋剤の最大量は、コポリマーの重量に基づいて、5重量%を超えない、好ましくは
2重量%を超えない。
【0053】
シラン架橋剤は、任意の従来法、典型的に、フリーラジカル開始剤、例えば過酸化物お
よびアゾ化合物の存在下で、または電離放射線などによりポリオレフィンコポリマーにグ
ラフトされる。有機開始剤、例えば上に記載されるものなど、例えば、過酸化物およびア
ゾ開始剤が好ましい。開始剤の量は変動し得るが、典型的に、ポリオレフィンコポリマー
の架橋について上に記載される量で存在する。
【0054】
任意の従来法を用いてシラン架橋剤をポリオレフィンコポリマーにグラフトすることが
できるが、好ましい一方法は、反応押出機、例えばBussニーダーの最初の段階で、2
種類を開始剤とともにブレンドすることである。グラフト条件は変動し得るが、溶融温度
は、開始剤の滞留時間および半減期にもよるが、典型的に160から260℃、好ましく
は190から230℃の間である。
【0055】
本発明の別の実施形態では、ポリマー材料は、1又はそれ以上のガラスカバーシートの
接着を、これらのシートが電子装置モジュールの構成材料である程度に促進するためのグ
ラフトポリマーをさらに含む。グラフトポリマーは、ポリマー材料のポリオレフィンコポ
リマーに適合し、モジュールの構成材料としてのポリオレフィンコポリマーの性能を有意
に損なわない、任意のグラフトポリマーであってよいが、典型的に、グラフトポリマーは
、グラフトポリオレフィンポリマー、より典型的に、ポリマー材料のポリオレフィンコポ
リマーと同じ組成物のものであるグラフトポリオレフィンコポリマーである。このグラフ
ト添加剤は、典型的に、ポリオレフィンコポリマーの少なくとも一部分がグラフト材料で
グラフトされるように、ポリオレフィンコポリマーをグラフト試薬およびグラフト条件に
単に付すことにより、原位置で作成される。
【0056】
少なくとも1つのエチレン不飽和(例えば、少なくとも1つの二重結合)、少なくとも
1つのカルボニル基(−C=O)を含み、ポリマー、特にポリオレフィンポリマー、およ
びより特にポリオレフィンコポリマーにグラフトされる任意の不飽和有機化合物は、本発
明のこの実施形態においてグラフト材料として用いることができる。少なくとも1つのカ
ルボニル基を含む化合物の代表は、カルボン酸、無水物、エステルおよびそれらの塩(金
属塩および非金属塩の両方)である。好ましくは、有機化合物は、カルボニル基と共役し
たエチレン不飽和を含む。代表的な化合物としては、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸
、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、α−メチルクロトン酸、および桂皮酸ならび
に存在する場合それらの無水物、エステルおよび塩誘導体が挙げられる。無水マレイン酸
は、少なくとも1つのエチレン不飽和と少なくとも1つのカルボニル基を含む好ましい不
飽和有機化合物である。
【0057】
グラフトポリマーの不飽和有機化合物含量は、ポリマーと有機化合物を合わせた重量に
基づいて、少なくとも約0.01重量%、好ましくは、少なくとも約0.05重量%であ
る。不飽和有機化合物含量の最大量は便宜に変動し得るが、典型的にそれは約10重量%
を超えない、好ましくは、それは約5重量%を超えない、より好ましくは、それは約2重
量%を超えない。
【0058】
不飽和有機化合物は、任意の公知の技法、例えば米国特許第3,236,917号およ
び同第5,194,509号に教示されるものによりポリマーにグラフトすることができ
る。例えば、米国特許第3,236,917号において、ポリマーは2ロールミキサーに
導入され、60℃の温度で混合される。不飽和有機化合物は、次に、フリーラジカル開始
剤、例えば、過酸化ベンゾイルなどと共に加えられ、成分はグラフトが完了するまで30
℃にて混合される。米国特許第5,194,509号において、反応温度が高い、例えば
、210から300℃であることと、フリーラジカル開始剤が使用されないかまたは低い
濃度で使用されることを除いて、手順は類似している。
【0059】
代わりとなる好ましいグラフトの方法は、米国特許第4,950,541号に、2軸ス
クリュー脱蔵押出機(a twin-screw devolatilizing extruder)を混合装置として用いる
ことにより教示されている。ポリマーおよび不飽和有機化合物を混合し、反応物質が溶融
する温度にてフリーラジカル開始剤の存在下で押出機の中で反応させる。好ましくは、不
飽和有機化合物は、押出機内部で圧力下で維持される区域に注入される。
【0060】
本発明のポリマー材料は、その他の添加剤も同様に含むことができる。例えば、かかる
その他の添加剤としては、UV安定剤および加工安定剤、例えば三価のリン化合物などが
挙げられる。UV安定剤は、PVモジュール(例えば、360nm未満まで)により吸収
されることのできる電磁放射の波長を低下させる際に有用であり、ヒンダードフェノール
類、例えばCyasorb UV2908など、およびヒンダードアミン類、例えばCy
asorb UV3529など、Hostavin N30、Univil 4050、
Univin 5050、Chimassorb UV119、Chimassorb
944 LD、Tinuvin 622 LDなどが挙げられる。リン化合物としては、
ホスホニット類(PEPQ)およびホスフィット類(Weston 399、TNPP、
P−168およびDoverphos 9228)が挙げられる。UV安定剤の量は、典
型的に約0.1から0.8%、好ましくは約0.2から0.5%である。加工安定剤の量
は、典型的に約0.02から0.5%、好ましくは約0.05から0.15%である。
【0061】
さらにその他の添加剤としては、限定されるものではないが、抗酸化剤(例えば、ヒン
ダードフェノール類(例えば、Ciba Geigy Corp.製Irganox(登
録商標)1010)、粘着添加剤(cling additives)、例えば、PIB、粘着防止剤、抗
スリップ剤、色素および増量剤(透明性が適用に重要である場合透明なもの)が挙げられ
る。工程内の添加剤、例えばステアリン酸カルシウム、水、その他も用いてよい。これら
およびその他の可能性のある添加剤は、当分野で一般に公知の方法および量で用いられる
【0062】
本発明のポリマー材料は、当分野で公知の封入材料、例えば、米国特許第6,586,
271号、米国特許出願公開US2001/0045229 A1号、国際公開公報第9
9/05206号および国際公開公報第99/04971号に教示されるものなどと同じ
方法で、同じ量を使用して電子装置モジュールを構築するために使用される。これらの材
料は、電子装置の「スキン」として、すなわち装置の一方または両方のフェイス面に適用
されて、あるいは装置が全体的にその材料の中に封入される封入剤として使用してよい。
典型的に、ポリマー材料は、ポリマー材料由来のフィルムの層が最初に装置の1つのフェ
イス面に適用され、次にその装置のもう一方のフェイス面に適用される、1又はそれ以上
の積層技法により装置に適用される。代替実施形態では、ポリマー材料を溶融形態で装置
の上に押出し、装置の上で凝結させることができる。本発明のポリマー材料は装置のフェ
イス面に対して良好な接着を示す。
【0063】
一実施形態では、電子装置モジュールは、(i)少なくとも1つの電子装置、典型的に
直線または平面パターンに整列した複数のかかる装置、(ii)少なくとも1枚のガラス
カバーシート、典型的に装置の両フェイス面を覆うガラスカバーシート、および(iii
)少なくとも1つのポリマー材料を含む。ポリマー材料は、典型的にガラスカバーシート
と装置の間に配置され、ポリマー材料は装置とシートの両方に良好な接着を示す。装置が
特定の形態の電磁放射、例えば、日光、赤外線、紫外線などへの接近を必要とする場合、
ポリマー材料は、その放射線に対して、良好な、典型的に優れた、透明度、例えば、UV
−vis分光分析法(約250から1200ナノメートルの波長範囲での吸光度を測定す
る)により測定して90パーセントを超える、好ましくは95パーセントを超える、さら
により好ましくは97パーセントを超える透過率を示す。代わりとなる透明度の尺度は、
ASTM D1003−00の内部曇り法(the internal haze method)である。透明度が
電子装置の作動のための要件でない場合、ポリマー材料は不透明な増量剤および/または
色素を含んでよい。
【0064】
図1において、硬質PVモジュール10は、本発明の実践に用いられるポリオレフィン
コポリマーを含む透明な保護層または封入剤12により包囲されているかまたは封入され
ている光起電力セル11を含む。ガラスカバーシート13は、PVセル11を覆って配置
された透明な保護層の一部分のフロント面を覆う。バックスキンまたはバックシート14
は、例えば、第2のガラスカバーシートまたは任意の種類の別の基材であり、PVセル1
1の裏面に配置された透明な保護層12の一部分の裏面を支持する。バックスキン層14
は、その向かい合っているPVセルの面が日光に反応性でない場合、透明である必要はな
い。この実施形態では、保護層12はPVセル11を封入する。これらの層の厚さは絶対
的状況および相互比較の両方において本発明にとって絶対不可欠ではなく、それ自体はモ
ジュールの全体的な設計および目的に応じて大きく変動し得る。保護層12に対する典型
的な厚さは、約0.125から約2ミリメートル(mm)の範囲内であり、ガラスカバー
シートおよびバックスキン層に対しては約0.125から約1.25mmの範囲内である
。電子装置の厚さも大きく変動し得る。
【0065】
図2において、軟質PVモジュール20は、本発明の実践に用いられるポリオレフィン
コポリマーを含む透明な保護層または封入剤22が上に載っている薄膜光起電力セル21
を含む。光沢/最上層23は、薄膜PV21の上に配置された透明な保護層の一部分の前
面を覆う。軟質バックスキンまたはバックシート24は、例えば、第2の保護層または任
意の種類の別の軟質基材であって、薄膜PV21の底面を支持する。バックスキン層24
は、その支持している薄膜セルの面が日光に反応性でない場合、透明である必要はない。
この実施形態では、保護層21は薄膜PV21を封入しない。典型的な硬質または軟質P
Vセルモジュールの全体的な厚さは、典型的に、約5から約50mmの範囲内となる。
【0066】
図1および2に説明されるモジュールは、多数の異なる方法、典型的にフィルムまたは
シートの同時押出法、例えばインフレートフィルム、改変されたインフレートフィルム、
カレンダリングおよびキャスティングなどのいずれか1つにより構築することができる。
一方法において、かつ図1を参照すると、保護層14は、最初にポリオレフィンコポリマ
ーをPVセルの上面の上一面に押出し、この最初の押出と同時にまたはこの最初の押出に
続いて、同じまたは異なるポリオレフィンコポリマーをセルの裏面の上一面に押出するこ
とにより形成される。保護フィルムがPVセルに接着した時点で、ガラスカバーシートお
よびバックスキン層を任意の便宜な方法、例えば、押出、積層、などで接着剤を用いてま
たは用いずに保護層に接着させてよい。保護層の一方または両方の外面、すなわちPVセ
ルと接触している面の反対の面は、エンボス加工または別の方法で処理してガラスおよび
バックスキン層との接着性を高めることができる。図2のモジュールは、保護層をPVセ
ルに取り付ける前かまたは取り付けた後のいずれかに、接着剤を用いてまたは用いずに、
バックスキン層がPVセルに直接接着していることを除いて、同様の方法で構築すること
ができる。
【0067】
以下の予言的な実施例は、本発明をさらに説明する。特に断りのない限り、全ての部お
よびパーセンテージは重量による。
(具体的な実施形態)
【実施例1】
【0068】
単層15ミル厚の保護フィルムを、80重量%のENGAGE(登録商標)8400ポ
リエチレン(エチレン/1−オクテン、30MI、0.87g/cc)、20重量%の無
水マレイン酸(MAH)改質エチレン/1−オクテンコポリマー(約1重量%MAHのレ
ベルでグラフトされ、改質後MIが約1.25g/10分であり、密度が約0.87g/
ccであるENGAGE(登録商標)8400ポリエチレン)、1.5重量%のLupe
rsol(登録商標)101、0.8重量%のトリアリルシアヌレート、0.1重量%の
Chimassorb(登録商標)944、0.2重量%のNaugard(登録商標)
P、および0.3重量%のCyasorb(登録商標)UV 531を含むブレンドから
作成する。フィルム形成の間の溶融温度を約120℃より低く維持して、押出の間にフィ
ルムが未熟な架橋をするのを回避する。次に、このフィルムを用いてソーラーセルモジュ
ールを調製する。約150℃の温度にて、フィルムをスーパーストレート(superstrate)
、例えばガラスカバーシート、およびソーラーセルの前面に積層し、次に、ソーラーセル
の背面およびバックスキン材料、例えば別のガラスカバーシートまたは任意のその他の基
材に積層する。次に、保護フィルムを、フィルムが実質的に架橋されることを確実にする
条件に付す。
【実施例2】
【0069】
ブレンドが、90重量%ENGAGE(登録商標)8400(エチレン/1−オクテン
、30Mi、0.87g/cc)および10重量%の無水マレイン酸(MAH)改質エチ
レン/1−オクテン(約1重量%MAHのレベルでグラフトされ、改質後MIが約1.2
5g/10分であり、密度が約0.87g/ccであるENGAGE(登録商標)840
0ポリエチレン)を含むことを除いて、実施例1の手順を繰り返し、フィルム形成の間の
溶融温度を約120℃より低く維持して、押出の間にフィルムが未熟な架橋をするのを回
避する。
【実施例3】
【0070】
ブレンドが97重量%ENGAGE(登録商標)8400(エチレン/1−オクテン、
30Mi、0.87g/cc)および3重量%のビニルシラン(無水マレイン酸改質EN
GAGE(登録商標)8400ポリエチレンでない)を含むことを除いて実施例1の手順
を繰り返し、フィルム形成の間の溶融温度を約120℃より低く維持して、押出の間にフ
ィルムが未熟な架橋をするのを回避する。
【0071】
処方および加工手順、
段階1:ZSK−30押出機をAdhere Screwとともに用いて樹脂と、Am
plifyを含むまたは含まない添加剤パッケージを配合する。
【0072】
段階2:段階2の材料を最大100°Fにて4時間乾燥させる(W&Cキャニスター乾
燥機を使用)。
【0073】
段階3:乾燥機から取り出した熱い材料を用いて、溶融したDiCup+シラン+TA
Cを加え、15分間タンブルブレンドし、4時間浸漬させる。
【表1】
【0074】
試験方法および結果、
ガラスへの接着力は、シラン処理ガラスを用いて測定する。ガラス処理の手順は、Ge
lest社「Silanes and Silicones, Catalog 3000 A」中の手順からそれを適合させる
【0075】
およそ10mLの酢酸を、200mLの95%エタノールに加えてわずかに酸性の溶液
を作成する。次に、4mLの3−アミノプロピルトリメトキシシランを攪拌しながら添加
し、シランの約2%溶液を作成する。溶液を5分間置いて加水分解を開始させ、次にそれ
をガラス皿に移す。緩やかにかき混ぜながら各プレートをこの溶液に2分間浸漬させ、取
り出し、95%エタノールで手短にすすいで過剰なシランを除去し、排水させる。プレー
トを110℃のオーブン中で15分間硬化させる。次に、それらを重炭酸ナトリウムの5
%溶液に2分間浸してアミンの酢酸塩を遊離アミンに変換させる。それらを水ですすぎ、
ペーパータオルで拭きとり、室温にて一晩風乾させる。
【0076】
ポリマーとガラスとの間の接着強さを試験する方法は、180剥離試験である。これは
ASTM標準試験ではないが、PVモジュール用のガラスへの接着力を検査するために用
いられる。試験試料は、未硬化のフィルムをガラスの上部に置き、次にそのフィルムを圧
縮成形機の中で圧力下で硬化させることにより調製される。成形された試料は実験室条件
下で試験の前の2日間維持される。接着強さはInstron機で測定される。負荷速度
は2インチ/分であり、試験は周囲条件下で行われる。試験は安定な剥離範囲(約2イン
チ)が観察された後に停止される。剥離負荷のフィルム幅に対する比を接着強さとして報
告する。
【0077】
硬化したフィルムのいくつかの重要な機械的特性は、引張および動的機械的分析(DM
A)法を用いて評価する。引張試験は周囲条件下で負荷速度2インチ/分で行われる。D
MA法は−100℃から120℃で実施される。
【0078】
光学特性は次のように測定される。光線透過率のパーセントをUV−vis分光分析法
により測定する。それにより250nmから1200nmの波長の吸光度が測定される。
内部曇りは、ASTM D1003−61を用いて測定される。
【0079】
結果を表2に報告する。EVAは、Etimexより入手可能な完全に処方されたフィ
ルムである。
【表2】
【0080】
表2のデータから分かるように、ポリオレフィンコポリマーは、EVAポリマーと比較
して非常に優れた破断点伸び、引張強さおよび85℃での破断点伸びをもたらし、ガラス
強度および光学が少し減少した。
【0081】
ガラスへの接着力は、シラン処理ガラスを用いて測定する。ガラス処理の手順は、Ge
lest社「Silanes and Silicones, Catalog 3000 A」中の手順からそれを適合させる
【0082】
およそ10mLの酢酸を、200mLの95%エタノールに加えてわずかに酸性の溶液
を作成する。次に、4mLの3−アミノプロピルトリメトキシシランを攪拌しながら添加
し、シランの約2%溶液を作成する。溶液を5分間置いて加水分解を開始させ、次にそれ
をガラス皿に移す。緩やかにかき混ぜながら各プレートをこの溶液に2分間浸漬させ、取
り出し、95%エタノールで手短にすすいで過剰なシランを除去し、排水させる。プレー
トを110℃のオーブン中で15分間硬化させる。次に、それらを重炭酸ナトリウムの5
%溶液に2分間浸してアミンの酢酸塩を遊離アミンに変換させる。それらを水ですすぎ、
ペーパータオルで拭きとり、室温にて一晩風乾させる。
【0083】
光学特性は次のように測定される。光線透過率のパーセントをUV−vis分光分析法
により測定する。それにより250nmから1200nmの波長の吸光度が測定される。
内部曇りは、ASTM D1003−61を用いて測定される。
【実施例4】
【0084】
ランダムコポリマーポリエチレン系封入フィルム
ENGAGE(商標)8200 エチレン/1−オクテンランダムコポリマー(The
Dow Chemical Company製)をこの実施例に使用する。その密度は
0.87g/cmであり、メルトインデックスは5g/10分(標準的なASTM D
1238、条件190℃/2.16kgに基づき測定)。この樹脂中には100ppmの
抗酸化剤Irganox1076が存在する。官能価を加えるため、または樹脂の長期安
定性を改良するために数種類の添加剤を選択する。それらはUV吸収剤Cyasorb
UV531、UV安定剤Chimassorb 944 LD、抗酸化剤Tinuvin
622 LD、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)、および過酸化物Lupero
x−101である。処方(重量%)は表3に記載される。
【表3】
【0085】
試料の調製
ENGAGE 8200ペレットを、乾燥機中で40℃にて一晩乾燥させる。ペレット
および添加剤を乾燥混合し、ドラムの中に入れて30分間タンブルする。次に、シランお
よび過酸化物をドラムに注入し、さらに15分間タンブルする。十分混合した材料を、フ
ィルムキャスティング用のフィルム押出機に供給する。
【0086】
フィルムをフィルムラインにキャスティングする(単軸スクリュー押出機、24インチ
幅シートダイ)、加工条件を表4にまとめる。
【表4】
【0087】
18から19ミル厚のフィルムを5.3フィート/分にて保存する。フィルム試料は、
UV照射および湿度を避けるためにアルミニウムバッグに封入する。
【0088】
試験方法および結果
1.光学特性:
フィルムの光線透過率は、UV−可視スペクトロメーター(走査型ダブルモノクロメー
ターおよび積分球(integrating sphere)アクセサリーを備えたPerkin Elmer
UV−Vis950)により調査される。この分析に用いた試料の厚さは15ミルであ
る。図3は、フィルムおよび比較フィルム、すなわち、同じ用途用の、エチレン酢酸ビニ
ル(VA含量約33重量%)から作られている、市販の現在使われている(incumbent)フ
ィルムである、ETIMEX 485のUV−可視スペクトルを示す。両方のフィルムは
、400nmから1100nmの波長範囲の間に90%を上回る透過率を示す。
【0089】
2.ガラスへの接着:
接着試験に用いた方法は、180°剥離試験である。これはASTM標準試験ではない
が、光起電力モジュールおよび自動車用ラミネートガラス用途のためのガラスへの接着力
を検査するために用いられる。試験試料は、圧縮成形機中、圧力下でフィルムをガラスの
上部に置くことにより調製される。所望の接着幅は1.0インチである。試料を保持する
ために用いるフレームは5インチ×5インチである。テフロン(登録商標)シートを、試
験準備の目的でガラスと材料の間に入れてガラスとポリマーを分離する。ガラス/フィル
ム試料調製の条件は下に記載される。
1)80ポンド/平方インチ(psi)(2000ポンド)で3分間160℃
2)320psi(8000ポンド)で30分間160℃
3)320psi(8000ポンド)で室温まで冷却
4)試料を型枠から取り出し、接着試験の前に材料を48時間室温に状態調整する。
【0090】
接着強さは材料試験システムで測定する(Instron5581)。負荷速度は2イ
ンチ/分であり、試験は周囲条件で実施される(24℃およびRH50%)。ガラスへの
接着を評価するために安定な剥離領域が必要である(約2インチ)。安定な剥離領域にお
ける剥離負荷のフィルム幅に対する比を接着強さとして報告した。
【0091】
温度および湿度の接着強さへの効果を、温水(80℃)中で1週間老化させた試料を用
いて調べる。これらの試料をガラス上で成形し、次に温水に1週間浸漬する。次に、これ
らの試料を、接着試験の前に実験室条件下で2日間乾燥させる。比較として、上記の市販
のEVAフィルムの接着強さも同じ条件下で評価する。実験用フィルムおよび市販の試料
の接着強さを表5に示す。
【表5】
【0092】
3.水蒸気透過率(WVTR):
水蒸気透過率は、透過分析機器(Mocon社製Permatran W型101K)
を用いて測定される。全てのWVTR単位は、38℃および50℃ならびに100%RH
にて測定された1日あたり1平方メートルあたりのグラム(g/(m−日)であり、2
つの検体の平均である。上記の市販のEVAフィルムも試験して防湿層特性を比較する。
本発明のフィルムおよび市販のフィルムの厚さは15ミルであり、両方のフィルムは16
0℃にて30分間硬化される。WVTRの結果は表6に報告される。
【表6】
【実施例5】
【0093】
2つの樹脂を用いて、電子装置を封入するための同時押出フィルムである3層、A−B
−Aを調製する。フィルムの合計厚さは18ミルである。外側のA層はダイの表面に接触
する。コア(B)層はシートの80容積パーセント(容積%)を構成し、各外層はシート
の10容積%を構成する。A層の組成は乾燥を必要としない。コア層、すなわちB層の組
成は、実施例に記載される組成物と同じ成分を含み、同じ様式で調製される。スキン層に
おいて、ENGAGE(商標)8400樹脂は、(i)メルトインデックス(MI)が5
であり密度が0.868g/ccであるポリオレフィンポリマーと、(ii)AMPLI
FY GR 216樹脂(約1重量%MAHのレベルでグラフトされ、改質後MIが約1
.25g/10分であり、密度が約0.87g/ccであるMAH改質エチレン/1−オ
クテン樹脂)のブレンドで置き換えられている。両方の組成は表7に報告される。
【表7】
【0094】
A−B−Aフィルムは、電子装置の上に同時押出され、前記フィルムはいずれの組成の
単層と比較して、透過率および内部曇りの点で改善された光学特性を示す。
【実施例6】
【0095】
2組の試料を調製して、異なるUV安定剤を用いることによりUV吸収をシフトさせる
ことができることを実証する。Engage 8100ポリオレフィンエラストマー(密
度0.87g/cc、メルトインデックス1)を使用し、異なるUV安定剤を用いる処方
を表8に報告する(量は全て重量パーセント)。ミキサーを190℃の温度にて5分間用
いて試料を作成する。圧縮成形機を用いて厚さ16ミルの薄いフィルムを作成する。成形
条件は、160℃で10分、その後30分で24℃までの冷却である。UVスペクトルは
、UV/Visスペクトロメーター、例えば、Lambda 950などを用いて測定す
る。これらのフィルムのUVスペクトルを図4に示す。この結果は、異なる種類(および
/または組み合わせ)のUV安定剤は、360nmより低い波長での紫外線の吸収を可能
にすることができることを示す。
【表8】
【0096】
もう1つの組の試料を調製してUV安定性を調べる。ここでも、ポリオレフィンエラス
トマーである、Engage 8100(密度0.87g/cc、メルトインデックス1
)がこの研究に選択される。表9は、異なるUV安定剤、シランおよび過酸化物、ならび
に抗酸化剤を含む光起電力モジュールのための封入剤ポリマーに対してデザインされた処
方を報告する。これらの処方は、UV吸光度を下げると同時に維持するようにデザインさ
れ、かつ長期のUV安定性が改善されている。
【表9】
【0097】
本発明は、先行する説明および実施例によって相当詳細に記載されたが、この詳細は例証目的のものであって、添付される特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を制限すると解釈されるものではない。上記に特定される全ての米国特許、公開特許出願および許可された特許出願は、参照により本明細書に援用される。
本願発明は以下の態様により解決される。
(1) A.少なくとも1つの電子装置、および
B.電子装置の少なくとも1つの面に密接に接触しているポリマー材料を含む電子装置モジュールであって、前記ポリマー材料が、(1)(a)約0.90g/cc未満の密度、(b)ASTM D−882−02により測定して約150メガパスカル(mPa)未満の2%割線係数、(c)約95℃未満の融点、(d)ポリマーの重量に基づいて少なくとも約15および約50重量%未満のα−オレフィン含量、(e)約−35℃未満のTg、ならびに(f)少なくとも約50%のSCBDIのうちの少なくとも1つの特性をもつポリオレフィンコポリマー、(2)所望により、コポリマーの重量に基づいて少なくとも約0.05重量%の量のフリーラジカル開始剤または光開始剤、および(3)所望により、コポリマーの重量に基づいて少なくとも約0.05重量%の量の助剤(co-agent)を含む、電子装置モジュール。
(2) 電子装置がソーラーセルである、(1)に記載のモジュール。
(3) フリーラジカル開始剤が存在する、(1)に記載のモジュール。
(4) 助剤が存在する、(3)に記載のモジュール。
(5) フリーラジカル開始剤が過酸化物である、(4)に記載のモジュール。

(6) ポリマー材料が、電子装置の少なくとも1つの面に密接に接触している単層フィルムの形態である、(1)に記載のモジュール。
(7) ポリマー材料が、約0.01から約1.7重量%の量でスコーチ防止剤をさらに含む、(1)に記載のモジュール。
(8) 少なくとも1枚のガラスカバーシートをさらに含む、(1)に記載のモジュール。
(9) フリーラジカル開始剤が光開始剤である、(3)に記載のモジュール。
(10) ポリマー材料が、少なくとも1つのエチレン性不飽和と少なくとも1つのカルボニル基を含む不飽和有機化合物でグラフトされたポリオレフィンポリマーをさらに含む、(1)に記載のモジュール。
(11) 不飽和有機化合物が、無水マレイン酸である、(10)に記載のモジュール。
(12) A.少なくとも1つの電子装置、および
B.電子装置の少なくとも1つの面に密接に接触しているポリマー材料を含む電子装置モジュールであって、前記ポリマー材料が、(1)(a)約0.90g/cc未満の密度、(b)ASTM D−882−02により測定して約150メガパスカル(mPa)未満の2%割線係数、(c)約95℃未満の融点、(d)ポリマーの重量に基づいて少なくとも約15および約50重量%未満のα−オレフィン含量、(e)約−35℃未満のTg、ならびに(f)少なくとも約50%のSCBDI、のうちの少なくとも1つの特性をもつポリオレフィンコポリマー、(2)コポリマーの重量に基づいて少なくとも約0.1重量%の量のビニルシラン、(3)コポリマーの重量に基づいて少なくとも約0.05重量%の量のフリーラジカル開始剤、および(4)所望により、コポリマーの重量に基づいて少なくとも約0.05重量%の量の助剤を含む、電子装置モジュール。
(13) 電子装置がソーラーセルである、(12)に記載のモジュール。
(14) フリーラジカル開始剤が存在する、(12)に記載のモジュール。
(15) 助剤が存在する、(14)に記載のモジュール。
(16) フリーラジカル開始剤が過酸化物である、(15)に記載のモジュール。
(17) ビニルシランが、ビニルトリエトキシシランおよびビニルトリメトキシシランのうちの少なくとも1つである、(12)に記載のモジュール。
(18) フリーラジカル開始剤が過酸化物である、(17)に記載のモジュール。
(19) 助剤が存在する、(18)に記載のモジュール。
(20) ポリオレフィンコポリマーが、ASTM 2765−95により測定して約70パーセント未満のキシレン可溶性抽出可能物を含むように、ポリオレフィンコポリマーが架橋されている、(12)に記載のモジュール。
(21) ポリマー材料が、電子装置の少なくとも1つの面に密接に接触している単層フィルムの形態である、(12)に記載のモジュール。
(22) ポリマー材料が、約0.01から約1.7重量%の量のスコーチ防止剤をさらに含む、(12)に記載のモジュール。
(23) 少なくとも1枚のガラスカバーシートをさらに含む、(12)に記載のモジュール。
(24) ポリマー材料が、少なくとも1つのエチレン性不飽和と少なくとも1つのカルボニル基を含む不飽和有機化合物でグラフトされたポリオレフィンポリマーをさらに含む、(12)に記載のモジュール。
(25) 不飽和有機化合物が、無水マレイン酸である、(24)に記載のモジュール。
図1
図2
図3
図4