(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
共重合体の基本骨格に結合する少なくとも1つのポリシロキサン基を含み、前記骨格は少なくとも1つのアミンと少なくとも1つのエポキシドの付加物であり、前記ポリシロキサン基はモノイソシアネート官能性ポリシロキサン(C)によって前記共重合体に導入されている前記共重合体は任意に塩化または四級化されることを特徴とする共重合体(i)。
請求項10に記載の式(II)の少なくとも1つのポリシロキサン非含有アミン(D)は、前記共重合体の基本骨格を構成するために使用され、前記ポリシロキサン非含有アミン(D)は、他の官能基を少なくとも1つ有し、前記官能基は、ヒドロキシル基、第三アミノ基または二重結合であることを特徴とする請求項10に記載の共重合体(i)。
前記共重合体(i)の基本骨格は、少なくとも1つのエポキシドと少なくとも1つのアミンとを反応させることによって構成され、少なくとも1つのポリシロキサン基が前記基本骨格に結合され、
前記ポリシロキサン基は、エポキシ/アミン共重合体とモノイソシアネート官能性ポリシロキサン(C)との反応によって導入されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の共重合体(i)の製造方法。
請求項1〜10のいずれか1項に記載の共重合体(i)および/または請求項12に記載の方法によって調製される共重合体(i)の使用であって、コーティング材、プラスチック、化粧品、または顔料および充填剤の均一分散液において、湿潤剤、分散剤、均染剤、消泡剤、安定化剤または耐汚染剤および撥油剤の添加剤としての使用。
前記共重合体(i)の部分は、コーティング材またはプラスチック中で、コーティング材またはプラスチックの組成物の総量に対していずれの場合にも0.01〜5重量%であり、あるいは均一分散体組成物の総量に対していずれの場合にも、0.01〜90重量%であることを特徴とする請求項13に記載の使用。
前記共重合体(i)の部分は、コーティング材またはプラスチック中で、コーティング材またはプラスチックの組成物の総量に対していずれの場合にも0.02〜2重量%であり、あるいは均一分散体組成物の総量に対していずれの場合にも、1〜50重量%であることを特徴とする請求項13に記載の使用。
請求項1〜11のいずれか1項に記載の少なくとも1つの共重合体(i)および/または請求項12に記載の方法によって調製される共重合体(i)を含む均一分散体(a)を生成する方法であって、請求項1〜11のいずれか1項に記載の少なくとも1つの共重合体(i)および/または請求項12に記載の方法によって調製される共重合体(i)を用い、少なくとも1つのシリコーン油からなる群から選択される展色剤に少なくとも1つの顔料および/または充填剤を混合することを含むことを特徴とする均一分散体(a)を生成する方法。
前記共重合体(i)の部分は、コーティング材またはプラスチック中で、コーティング材またはプラスチックの組成物の総量に対していずれの場合にも0.01〜5重量%であることを特徴とする請求項19に記載のコーティング材、プラスチックまたは均一分散体(a)。
前記共重合体(i)の部分は、コーティング材またはプラスチック中で、コーティング材またはプラスチックの組成物の総量に対していずれの場合にも0.02〜2重量%であることを特徴とする請求項19に記載のコーティング材、プラスチックまたは均一分散体(a)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の成分(A)、(B)、(C)および(D)に関してさらに詳細に説明する。
成分(A):単官能性または多官能性エポキシド
成分(A)として、芳香族および/または脂肪族および/またはポリアルキレンオキシド含有エポキシドを使用することが可能である。エポキシドは、1分子あたりエポキシ基の数が1または複数、好ましくは2であってよく、炭素原子数が少なくとも6であるのが好ましい。さらに、さまざまなエポキシドの混合物を使用してもよい。
本発明の好ましい一実施形態では、使用したエポキシドはエポキシド(A)であり、以下の一般式(I)
【0014】
で表してもよい。
式中、R
1はすべて互いに独立して−CH
2−O−、−O−CH
2−または−CH
2−であり、R
2はすべて互いに独立してアルキレンラジカル、シクロアルキレンラジカル、アリーレンラジカルまたはアラルキレンラジカルであり、pは1〜8である。
さらに、ポリオールのグリシジルエーテルを使用するのが好ましく、一般にエポキシ樹脂という名で知られており、従来市販されているエポキシ樹脂などのさまざまなエポキシ樹脂が挙げられる。本発明の好ましい一実施形態では、成分(A)は一般式(I’)
【0016】
のジエポキシドである。
R
3はすべて互いに独立してアルキレンラジカル、シクロアルキレンラジカル、アリーレンラジカルまたはアラルキレンラジカルであり、R
4はすべて互いに独立してOまたはアルキレンラジカルであり、pは0〜8である。
【0017】
芳香族ポリエポキシド類の好ましい例は、ジフェニロールプロパン(ビスフェノールA)とエピクロルヒドリンとの反応生成物およびそのさらに高次の同族体であり、たとえばD.E.R.またはエピコート(Dow Chemical Company社またはHexion Specialty Chemicals社製)の商品名で市販されている。脂肪族ポリエポキシドの例は、ヘキサン1,6−ジグリシジルエーテルおよびブタン1,4−ジグリシジルエーテルである。これらの脂肪族ポリエポキシドは、たとえばGrilonit(EMS−Chemie社製)の商品名で市販されている。
【0018】
さらに、脂肪族ポリエポキシドは、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルまたはポリテトラヒドロフランジグリシジルエーテルなどのように鎖に酸素を含んでもよい。ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルは、たとえばEpiol E−400またはEpiol 1000E(NOF Corporation社製)の商品名で市販されている。
ジフェニロールプロパン(ビスフェノールA)とエピクロルヒドリンとの反応生成物およびそのさらに高次の同族体、さらにはヘキサン1,6−ジグリシジルエーテルを使用するのが特に好ましい。
【0019】
ポリシロキサン基を含む成分:モノアミノ官能性ポリシロキサン(B)およびモノイソシアネート官能性ポリシロキサン(C)
本発明の共重合体は、骨格に結合する少なくとも1つのポリシロキサン基を含むことが本発明にとって必須である。ポリシロキサン基を含む基は、モノアミノ官能性ポリシロキサン(B)および/またはモノイソシアネート官能性ポリシロキサン(C)に由来するのが好ましい。ポリシロキサン基は、モノアミノ官能性ポリシロキサン(B)および/またはモノイソシアネート官能性ポリシロキサン(C)によって共重合体に導入されるのが好ましい。以下に、成分(B)および(C)に関してさらに詳細に説明する。
【0020】
成分(B):モノアミノ官能性ポリシロキサン
成分(B)として、以下の式
【0022】
のモノアミノ官能性ポリシロキサンを使用するのが好ましい。
式中、R
5は、炭素原子数が1〜30のハロゲン化アルキルラジカル、炭素原子数が1〜30の飽和直鎖アルキルラジカル、炭素原子数が3〜30の飽和分枝アルキルラジカルもしくは飽和環式アルキルラジカルまたは炭素原子数が6〜30のアリールラジカル、アルキルアリールラジカルもしくはアリールアルキルラジカルであり、好ましくはメチルラジカルまたはブチルラジカルであり、
R
6およびR
7はすべて互いに独立して炭素原子数が1〜6の飽和直鎖アルキルラジカル、炭素原子数が3〜6の飽和分枝アルキルラジカルもしくは飽和環式アルキルラジカル、炭素原子数が2〜6の不飽和アルキルラジカルまたは炭素原子数が6〜12のアリールラジカル、アルキルアリールラジカルもしくはアリールアルキルラジカルであり、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチルであり、あるいは炭素原子数が1〜30のフッ素化アルキルラジカルまたはフェニルラジカルもしくは置換フェニルラジカルであり、さらに好ましくはメチルラジカルであり、
R
8およびR
9はすべて互いに独立してR
5[SiR
6R
7O]
Sであり、R
5、R
6およびR
7は上に定義される通りであり、それらから独立して選択され、炭素原子数が1〜6の飽和直鎖アルキルラジカル、炭素原子数が3〜6の飽和分枝アルキルラジカルもしくは飽和環式アルキルラジカル、炭素原子数が2〜6のアルケンラジカルまたは炭素原子数が6〜12のアリールラジカル、アルキルアリールラジカルもしくはアリールアルキルラジカルであり、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチルであり、あるいはフッ素化アルキルラジカルまたはフェニルラジカルもしくは置換フェニルラジカルであり、さらに好ましくはメチルラジカルであり、
sは1〜400であり、tは2〜30であり、
R
10は(CH
2)
u、O、SまたはC
6R
144であり、uは0または1であり、
R
14はすべて互いに独立して水素または炭素原子数が1〜6のアルキルラジカルであり、
R
11は(CH
2)
vまたは(CH
2CHR
15O)
wであり、vは0〜30であり、wは0〜50であり、R
15はすべて互いに独立して水素、炭素原子数が1〜6の飽和直鎖アルキルラジカル、炭素原子数が3〜6の飽和分枝アルキルラジカルまたは炭素原子数が4〜6の環式アルキルラジカルであり、
R
12は(CH
2)
xであり、xは0〜3であり、
R
13は、水素、炭素原子数が1〜6の飽和直鎖アルキルラジカル、炭素原子数が3〜6の飽和分鎖アルキルラジカルまたは炭素原子数が6〜9のアリールラジカル、アルキルアリールラジカルもしくはアリールアルキルラジカルである。R
13は水素であるのが好ましく、当該の基は一級アミン基である。
【0023】
[CH
2]
tR
10R
11R
12NHR
13は、2−アミノエチルラジカル、3−アミノプロピルラジカル、3−アミノプロピルエチルエーテルラジカルまたは6−アミノヘキシルラジカルで表すのが好ましい。ポリシロキサン鎖で末端アミノ基を含む官能性ラジカル[CH
2]
tR
10R
11R
12NHR
13は、3−アミノプロピルラジカルであるのが好ましい。
【0024】
成分(B)のオルガノポリシロキサンラジカルR
5[SiR
6R
7O]
sSiR
8R
9は、直鎖構造または分枝構造を有するのが好ましく、数平均分子量が好ましくは200〜30000g/モル、さらに好ましくは500〜10000g/モル、さらにまた好ましくは500〜5000g/モルである。
後に、モノアミノ官能性ポリシロキサンの合成に関して記載する。
【0025】
成分(C):モノイソシアネート官能性ポリシロキサン
成分(C)として、以下の式
【0027】
のモノイソシアネート官能性ポリシロキサン(C)を使用するのが好ましい。
式中、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、sおよびtは、成分(B)で定義される通りであり、
R
16はO、SまたはNHであり、wが少なくとも1の場合、R
16は省略され、
R
17は、炭素原子数が1〜30の飽和直鎖アルキルラジカル、炭素原子数が3〜30の飽和分枝アルキルラジカルもしくは飽和環式アルキルラジカルまたは炭素原子数が6〜30のアリーレンラジカル、アルキルアリーレンラジカルもしくはアリールアルキレンラジカルである。R
17はNCO基がないジイソシアネートラジカルであるのが好ましい。
【0028】
イソシアネートとして、脂肪族、脂環族または芳香脂肪族のイソシアネートを使用するのが好ましい。たとえば、アリール置換脂肪族ジイソシアネートは、「Houben−Weyl,Methoden der Organischen Chemie」14/2巻、61〜70頁、W.Siefkenによる論文、「Justus Liebig’s Annalen der Chemie 562」の75〜136頁に記載されるように使用される。好ましい例は、エチレン1,2−ジイソシアネート、テトラメチレン1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)、2,2,4−(2,4,4)−トリメチルヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(TMDI)、1,9−ジイソシアナート−5−メチルノナン、1,8−ジイソ−シアナート−2,4−ジメチルオクタン、ドデカン1,12−ジイソシアネート、ω,ω’−ジイソシアナートジプロピルエーテル、シクロブテン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,3−および1,4−ジイソシアネート、3−イソシアナートメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4−ジイソシアナートメチル−2,3,5,6−テトラメチルシクロヘキサン、デカヒドロ−8−メチル(1,4−メタノール−ナフタレン−2(または3)、5−イレンジメチレンジイソシアネート、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−1(または2)、5(または6)イレンジメチレンジイソシアネート、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン−1(または2)、5(または6)イレンジイソシアネート、ヘキサヒドロトリレン2,4−および/または2,6−ジイソシアネート(H6−TDI)、トルエン2,4−および/または2,6−ジイソシアネート、ペルヒドロ−2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ペルヒドロ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(H
12MDI)、4,4’−ジイソシアナート−3,3’−5,5’−テトラメチルシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナート−2,2’,3,3’,5,5’,6,6’−オクタメチルジシクロヘキシルメタン、ω,ω’−ジイソシアナート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−ジイソシアナートメチル−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2−メチル−1,5−ジイソシアナートペンタン(MPDI)、2−エチル−1,4−ジイソシアナートブタン、1,10−ジイソシアナートデカン、1,5−ジイソシアナートヘキサン、1,3−ジイソシアナートメチルシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナートメチルシクロヘキサンならびにこれらの化合物のあらゆる混合物である。さらに好適なイソシアネートは、上に記載したSiefkenによる論文の122頁以降に記載されている。2,5(2,6)−ビス(イソシアナートメチル)−ビシクロ−[2.2.1]ヘプタン(NBDI)の純粋物質で、あるいは混合物の一部として存在するのが好ましい。工業的に容易く得られるそれらの脂肪族および脂環族のイソシアネートならびにこれらの異性体混合物が特に好ましい。
【0029】
R
17は、トルエン2,4−ジイソシアネート、トルエン2,6−ジイソシアネートのラジカルもしくはこれらのラジカルの組み合わせまたはイソホロンジイソシアネート(IPDI)のラジカルのいずれの場合もNCO基がないのが特にきわめて好ましい。
【0030】
成分(C)のオルガノポリシロキサンラジカルR
5[SiR
6R
7O]
sSiR
8R
9は、直鎖構造または分枝構造を有することが好ましく、数平均分子量が好ましくは200〜30000g/モル、さらに好ましくは500〜10000g/モル、さらにまた好ましくは500〜5000g/モルである。
【0031】
後に、モノイソシアナート官能性ポリシロキサン(C)の合成に関して記載する。
単官能性直鎖ポリシロキサンを調製する選択肢の1つは、環状開鎖ポリジアルキルシロキサンをたとえば末端−SiHまたは末端−NH
2二官能性ポリジアルキルシロキサンなどの末端二官能性ポリシロキサンと、あるいはNoll(Chemie und Technologie der Silicone,VCH,Weinhelm,1984)およびYigoer,I.ならびにMcGrath,J.E.(Polysiloxane Containing Polymers:A Survey of Recent Development;Advances in Polymer Science;Springer−Verlag:New York,1988;86巻)に記載される官能性阻害剤と呼ばれるものとの平衡を維持することである。統計的理由により、反応生成物は環式、二官能基性、単官能性および非官能性のポリシロキサンの混合物からなる。反応混合物中の直鎖ポリシロキサン分は、さらに低次の環式構造を留去することによって増加させることができる。直鎖ポリシロキサンでは、平衡反応生成物中の単官能性ポリシロキサン分は可能な限り高くする必要がある。共重合体の合成時の反応物の割合によっては、二官能基性ポリシロキサンは望ましくない架橋を招き、用途によって、非官能性ポリシロキサンは曇りおよび非相溶性の事例を引き起こす可能性がある。
【0032】
厳密にはモノSiH官能性ポリシロキサン、つまりシラン水素基が1つのみ有するものの使用が好ましい。これらの単官能性直鎖ポリシロキサンはたとえば、環式ポリシロキサン、たとえばヘキサメチレンシクロトリシロキサンをアニオンリビング重合することによって合成することができる。この方法は、特にPolymer,30(1989)333のT.Suzukiに記載されている。反応は、以下の反応スキーム
【0034】
で一例として示す。
末端基であるSiHMe
2の官能基化は、ジメチルクロロシランなどの官能性クロロシランを使用し、以下の反応スキーム
【0036】
に類似し、当業者に知られている方法に従って行うことができる。
分枝SiH官能性ポリシロキサンが望ましい場合、モノメチルジクロロシランまたはトリクロロシランを使用して末端基をSiH官能基化することが可能である。
SiH官能性ポリシロキサンは、アリルアミンまたはビニルアミンなどの(末端)エチレン性不飽和アミンとのヒドロシリル化反応で反応させてモノアミノ官能性ポリシロキサンを生成する。以下に、アリルアミンに関して例を示す。
【0038】
ヒドロシリル化は通常、以下の条件で行われる。室温でSiH官能性ポリシロキサンを導入する。次に、窒素雰囲気下で反応器内をたとえば85℃から140℃に加熱する。ヒドロシリル化触媒、たとえば一般に使用されるSpeier触媒またはKarstedt触媒を添加する。反応の予測される発熱特性に応じて、アリル化合物の一部または全部を添加する。温度は、進行する発熱反応によって上昇する。温度は通常、90〜120℃に維持される。アリル化合物の一部を計量する場合、温度が90〜120℃となるように添加する。添加終了後、しばらく温度を90〜120℃に維持する。反応の進行は、残存するSiH基のガス容量測定または赤外分析(2150cm−1の水素化珪素吸収バンド)によって監視することができる。
【0039】
モノイソシアナート官能性ポリシロキサンは、独国特許出願公開第19919482号明細書に記載されるような方法によって調製することができる。そのためには、モノヒドロキシ官能性ポリシロキサン化合物は、過剰量のジイソシアネート、好ましくはトルエン2,4−ジイソシアネート、トルエン2,6−ジイソシアネートもしくはトルエン2,4−ジイソシアネートとトルエン2,6−ジイソシアネートの異性体混合物またはイソホロンジイソシアネートと反応することができ、ジイソシアネートの未反応部分は反応混合物から再度除去するのが好ましい。過剰量のジイソシアネートは、ウレタン結合の数が2の生成物(ジ付加体)の結合を防ぐ。そのような種類の非NCO機能性ジ付加体はそれ以上反応できず、反応時に続けて導入することができない。用途にもよるが、非官能性ポリシロキサンは曇りおよび非相溶性の事例を引き起こす可能性がある。
【0040】
残存するジイソシアネート分が低くなると、生成物の合成時に架橋を招く可能性がある。しかし、反応混合物の精製、好ましくは薄膜蒸発器によって、シアネート分はきわめて低く維持される。したがって、モノイソシアナート官能性ポリシロキサン(C)分は、好ましくはほとんどなく(1重量%未満)、さらに好ましくはジイソシアネート分が残存しない。
【0041】
成分(D):ポリシロキサン非含有アミン
成分(D)として、以下の式(II)
【0043】
のポリシロキサン非含有アミン(D)を使用して共重合体の基本骨格を構成するのが好ましい。
式中、R
18は、水素、アルキルラジカル、シクロアルキルラジカル、アリールラジカルまたはアラルキルラジカルであり、
R
19はアルキルラジカル、シクロアルキルラジカル、アリールラジカル、アラルキルラジカル、R
20−ZまたはCHR
21CH
2(OCH
2CH
2)
q(OCHR
22CH
2)
r−O−R
23であり、
R
20はアルキレンラジカルであり、
Zは複素環ラジカルであり、
R
21は水素、炭素原子が1〜4のアルキルラジカルまたはアリールラジカルであり、
R
22はすべて炭素原子数が1〜4のアルキルラジカルまたはアリールラジカルであり、
R
23は、炭素原子が1〜12のアルキルラジカル、炭素原子が3〜12のシクロアルキルラジカルまたは炭素原子が6〜12のアリールラジカルであり、
qおよびrは互いに独立して0〜100の整数であり、ただし、qおよびrの少なくとも1つは0でない。
【0044】
R
18はHであるのが好ましい。成分(D)の脂肪族、脂環族、芳香族または芳香脂肪族のアミンは、炭素原子数が3〜28であるのが好ましい。典型例は、プロピルアミン、ブチルアミンおよびベンジルアミンである。
【0045】
好ましい一実施形態では、式(II)のポリシロキサン非含有アミン(D)は他の官能基を有する。他の官能基を有するアミンは、他の官能基がない上記のポリシロキサン非含有アミンに加えて、あるいはその代わりに使用することができる。式(II)の少なくとも1つのポリシロキサン非含有アミン(D)は共重合体を構成するために使用されるのが好ましく、ポリシロキサン非含有アミン(D)は、他の官能基を少なくとも1つ、好ましくは1つ有する。他の官能基は、用いた反応条件下でエポキシドと反応しないものが特に好ましい。好適な官能基は、ヒドロキシル基、三級アミノ基または二重結合である。他の官能基を有する好適なアミンはたとえば、エタノールアミン、ブタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−(ジメチルアミノ)−1−プロピルアミンおよびオレイルアミンである。1つ以上の他の官能基を有する好適なアミンはたとえば、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールまたは2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオールである。エタノールアミン、ブタノールアミン、3−(ジメチルアミノ)−1−プロピルアミンおよびオレイルアミンが特に好ましい。
【0046】
成分(D)としては、R
20がアルキレンラジカル、Zが複素環ラジカルのアミンを使用することも可能である。この種類のアミンは、好ましくはヘテロ原子として窒素および/または酸素を含む5員環または6員環の複素環式化合物、たとえばN−(3−アミノプロピル)イミダゾールまたはN−(2−アミノエチル)モルホリンなどであるのが好ましい。
また、成分(D)として、ポリオキシアルキレンアミンを使用することが可能であり、R
18は、Hまたは炭素原子数が1〜12のアルキル基であり、R
19はCHR
21CH
2(OCH
2CH
2)
q(OCHR
22CH
2)
r−O−R
23である。好適なポリオキシアルキレンアミンはたとえば、国際公開第96/20971号パンフレットの7頁、22行から10頁、17行に、一方では一級アミノ基および/または二級アミノ基を有し、他方では構成単位としてアルキレンオキシドの反応生成物を含む化合物として開示されている。一例として使用できるアルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドまたはその混合物である。ポリオキシアルキレンの数平均分子量は100〜12000g/モルであってよい。好適なポリオキシアルキレンアミンは、数平均分子量が約1000〜3000g/モルである。これらのポリオキシアルキレンアミンは、たとえばHuntsman社(テキサス州ヒューストン)からJeffamineおよびSurfamineの商品名で市販されている。
一級モノアミノ官能性アミンは、成分Dとして使用するのが好ましい。
【0047】
本発明の特に好ましい一実施形態は、ポリシロキサン基を含む共重合体を含み、その骨格はジエポキシドとモノアミノ官能性アミンの付加物である。使用されるアミンは、一級であるのが好ましく、基本骨格がアミノ官能性末端共重合体に対応する場合にさらに有利である。
【0048】
<共重合体を調製する方法>
さらに本発明は、本発明の共重合体を調製する方法に関し、共重合体の基本骨格は、少なくとも1つのエポキシドと少なくとも1つのアミンとを反応させることによって構成され、少なくとも1つのポリシロキサン基がその骨格に結合される。
ポリシロキサン基は、
(a)エポキシドとモノアミノ官能性ポリシロキサン(B)との反応によって、さらに/あるいは
(b)エポキシ/アミン共重合体とモノイソシアネート官能性ポリシロキサン(C)との反応によってエポキシ/アミン共重合体に導入されるのが好ましい。
このためには2つの方法が利用可能であり、これらの方法によって少なくとも1つのポリシロキサン基を含む共重合体を調製するのが好ましい。
【0049】
<方法1)>
方法1)によれば、少なくとも1つのエポキシド(A)を少なくとも1つのモノアミノ官能性ポリシロキサン(B)と反応させるか、あるいは少なくとも1つのポリシロキサン非含有アミン(D)および少なくとも1つのモノアミノ官能性ポリシロキサン(B)と反応させる。言い換えれば、少なくとも1つのエポキシド(A)を少なくとも1つのモノアミノ官能性ポリシロキサン(B)と反応させるか、あるいはモノアミノ官能性ポリシロキサン(B)とポリシロキサン非含有アミン(D)の混合物と反応させる。
さらに、ポリシロキサン基を含むこれらのエポキシ/アミン共重合体は、モノイソシアネート官能性ポリシロキサン(C)と次の反応で反応させることができる。
【0050】
本発明の一実施形態では、成分(A)および(B)または成分(A)、(B)および(D)の混合物を化学量論的に過剰量の成分(A)で互いに反応させてエポキシド末端共重合体を生成させ、あるいは化学量論的に過剰量の成分(B)または(B)と(D)の化学量論的に過剰量の混合物でアミノ官能性末端共重合体を生成させる。さらに、成分(A)および(B)または成分(A)、(B)および(D)の混合物は、互いに化学量論的に反応させてもよい。
好ましい一実施形態は、化学量論的過剰量の成分(B)または成分(B)と(D)の化学量論的過剰量の混合物を使用してアミノ官能性末端共重合体を得る。
【0051】
<方法2)>
少なくとも1つのエポキシド(A)を少なくとも1つのポリシロキサン非含有アミン(D)と反応させ、その生成物を少なくとも1つのモノイソシアネート官能性ポリシロキサン(C)と続けて反応させる。方法1)で既に記載した通り、過剰量の成分(A)または成分(D)を使用して、エポキシド官能性またはアミノ官能性の末端共重合体を生成させる。本発明の好ましい一実施形態では、アミノ官能性末端共重合体が得られる。(A)と(D)との間の反応が終了後、少なくとも1つのモノイソシアネート官能性ポリシロキサン(C)を続けて添加して分子にポリシロキサン基を導入する。モノイソシアネート官能性ポリシロキサン(C)が主鎖(基本骨格)を形成するエポキシ/アミン付加物のヒドロキシル基と反応する場合はウレタン結合が形成される。モノイソシアネート官能性ポリシロキサン(C)がたとえばエポキシ/アミンポリマー骨格の末端アミノ基に結合する場合は尿素結合が形成される。この反応は統計的に起こるため、通常はウレタン基および尿素基を有する生成物の混合物となり、これによりポリシロキサンが主鎖に結合される。
【0052】
好ましい一実施形態では、共重合体はアミノ官能性末端共重合体であり、上記の方法の1つによって得られるのが好ましい。そのようなアミノ官能性末端共重合体は、保存可能期間がさらに改善されている。
【0053】
単官能性アミンの使用に加えて、1分子あたりのアミノ基の数が2以上のアミンを比較的少量で使用することも可能である。そのような化合物は、本発明の付加化合物の分子量を増大させるために使用することもあり、これは、ポリマー構造または相溶性を制御するための利点となる。
【0054】
共重合体を調製するための反応は溶剤系で行うことができる。しかしその反応は、当業者に知られている方法によって大量に行われるのが好ましい。反応温度は、反応物の反応性に依存して選択される。多くのエポキシドは室温でもアミンと反応する。しかし、反応性がさらに低いエポキシドに対しては、反応温度は最大160℃必要となりうる。エポキシドとアミンとの反応を行うための特に好ましい反応温度は約50〜150℃である。必要に応じて、当業者に知られている触媒も使用して反応を加速してもよい。共重合体の数平均分子量は、500〜200000g/モルであるのが好ましい。その数平均分子量は、さらに好ましくは500〜50000g/モル、きわめて好ましくは1000〜20000g/モルである。
【0055】
<変性に関する説明>
(A)および(B)または(A)、(B)および(D)または(A)、(C)および(D)または(A)、(B)および(C)または(A)、(B)、(C)および(D)の反応によって得られる共重合体は、コーティング材組成物、粉末組成物およびポリマー成形材料に対して相溶性の範囲が広い重要な添加剤である。これらは、得られた形態で使用することができる。しかし共重合体は、ポリマー類似反応によって続けて変性させることができる。個々の目的の特定要件にポリマーの特性を適合させるためには、場合によっては生成物をさらに変性させることが望ましい。本発明のエポキシ/アミン付加化合物中に存在するエポキシド基、アミン基またはヒドロキシル基との反応により好適に変性される。変性時には、これらの基の全部またはほんの一部を反応させてもよい。
【0056】
以下の変性反応を組み合わせて、たとえば複数回変性した付加化合物を生成させてもよい。変性反応が2回以上連続して行われる場合、1または複数の逐次反応のために十分な数の反応基を分子中に確保するようにする必要がある。この変性は、本発明の有利な実施形態を構成し、たとえば以下によって実現することができる。
【0057】
1.末端アミノ基とイソシアネート、ラクトン、環状カーボネート、無水物またはアクリレートとの反応。
2.アミノ基の塩化、アルキル化または酸化によって第四級アンモニウム塩または窒素酸化物を生成。
3.末端エポキシ基とアミンまたは酸との反応。
4.残存するヒドロキシル基とカルボン酸、ラクトン、無水物および/またはイソシアネートとの反応。
末端アミノ基および残存するヒドロキシル基は、上の1.および4.に記載したようにイソシアネートと反応することができる。尿素またはウレタンの生成は、当業者に知られている方法で行われる。
【0058】
ヒドロキシル基が塗装系で消失する場合、ヒドロキシル基をウレタン基に変換することができる。一例として、国際公開第2008/092687号パンフレットに記載されるように、モノイソシアナートポリエーテル、モノイソシアナートポリエステルおよび/またはモノイソシアナートポリエーテル/エステル化合物を使用すれば、たとえばコーティング材料系での添加剤の相溶性が確実にさらに広くなる。別の例として、パーフルオロ基含有モノアルコールおよびジイソシアネートのモノイソシアナート官能性付加物を使用して、コーティングの表面エネルギーを大幅に減少させる。
【0059】
本発明の付加化合物中の残存する遊離ヒドロキシル基はたとえば、上の4.に記載したようにエステル化してもよい。エステル化反応は、当業者に知られている方法で行われる。また、本発明の付加物の遊離アミノ基は、エステル化前に塩に変換して十分な反応速度を確実に得ることが望ましい。部分エステル交換反応の場合では、ヒドロキシル基が保持され、さらに精製してもよく、あるいは遊離した状態で残存させてもよい。遊離ヒドロキシル基はコーティング系と反応することができる。たとえば、共重合体の主鎖のヒドロキシ官能性単位またはアミノ官能性単位を無水マレイン酸と反応させることによって反応性二重結合または酸官能基を導入することも可能である。酸官能基を導入するための他の好適な無水物の例は、無水コハク酸、無水フタル酸および無水トリメリット酸である。他にも、共重合体のヒドロキシ官能性単位と構造的にさまざまな無水物とのエステル化が可能である。また、水溶性をさらに良好にするために、たとえば酸官能基は、たとえばアルカノールアミンを使用して塩に変換させることができる。
【0060】
さらに、ヒドロキシル基のアクリル化および/またはメタクリル化を続けることによって、塗装系、さらに具体的には、たとえばUV硬化または電子線硬化などの放射線硬化を対象とした塗装系に確実に導入できる生成物を得ることができる。また、末端アミノ基は、上の1.に記載したようにアクリレートと反応させてもよい。このようにして、たとえば多官能性アクリレートが使用される場合、反応性二重結合を反応生成物に導入でき、これらの二重結合は放射線硬化処理で利用することができる。
【0061】
アミノ基の変性は、上の2.に記載したように当業者に知られている方法によって行われる。アミノ基の窒素原子の四級化は、たとえば、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキル、ハロカルボン酸エステルまたはハロカルボン酸エポキシドを使用して行ってもよい。
【0062】
<添加剤の使用に関する説明>
さらに本発明は、コーティング材、プラスチックまたは化粧品の添加剤としての共重合体の使用を提供する。
【0063】
表面変性添加剤
<添加剤としての共重合体の使用>
本発明の共重合体は、コーティング材、プラスチック、化粧品または顔料および充填剤の調製剤などの均一分散体の湿潤剤、分散剤、均染剤、消泡剤、安定化剤または耐汚染剤および撥油剤などの添加剤として使用することができる。プラスチックとは、ポリマー成形材料および熱可塑性プラスチックを意味する。
【0064】
共重合体は、たとえばコーティング材の均染剤として使用し、たとえば得られるコーティングの光学的品質を改善することができる。均染剤してこれらの共重合体を使用することによって、たとえばコーティング材、コーティングまたはプラスチックの光沢および/または乳白光を改善することも可能である。
また、共重合体はたとえば、コーティング材、ポリマー成形材料および熱可塑性プラスチックの表面特性を変性するために使用することができる。共重合体の添加によって、コーティング材、ポリマー成形材料および熱可塑性プラスチックの表面エネルギーに影響を与えることが可能である。表面をさらに親水性にしたり、あるいはさらに疎水性にしたりしてもよく、これにより、表面への付着性を改善したり、あるいは減少させたりして耐汚染性および易洗浄性の表面を得ることが可能となる。概して、表面エネルギーが増大すると、表面はさらに親水性になってさらに容易に湿潤し、さらに良好な付着性が得られる。概して、対照的に表面エネルギーが減少すると、表面はさらに疎水性になってさらに湿潤しにくくなり、耐汚染性および付着防止性が得られる。
【0065】
<耐汚染性および付着防止性の表面を形成するための添加剤>
コーティング材、ポリマー成形材料および熱可塑性プラスチックに本発明の共重合体を添加することによって、耐汚染性、易洗浄性、付着防止性の表面を形成することが可能である。対応する共重合体では、疎水性シリコーン分は目標とする特性をもたらす一方、主鎖とさらに親水性となりうる基は相溶性をもたらすものの、疎水基の割合が多いため耐汚染効果をもたらす。このポリシロキサン基の存在のほかに、たとえば共重合体は、たとえばパーフルオロ基などの比較的さらに疎水性のある基を含むことも可能である。また、そのような共重合体は通常、表面エネルギーを大幅に減少させる。
【0066】
そのような共重合体が付加されるコーティング材、ポリマー成形材料および熱可塑性プラスチックは、優れた付着防止性および耐汚染性を示す。そのようなコーティング材組成物は、落書予防コーティング、剥離剤、自浄ファサードコーティング、航空機などに用いる防氷コーティング、自動車ホイールコーティング、耐汚染機械/器具コーティング、船舶用コーティング(防汚コーティング)および耐汚染家具コーティングまたは剥離紙コーティングを生成するための組成物であるのが好ましい。
【0067】
本発明のコーティング材組成物のきわめて高い付着防止効果を考慮すると、たとえば鉱物油、植物油または油調整剤などの油性物質もはじくことができるため、これらの流体からコーティングされた容器を完全に取り出すことができる。したがって、本発明の添加剤を混合したコーティング材組成物は内部用塗料に適しており、表面仕上げまたは内部表面仕上げを可能にする。さらに共重合体の相溶性がきわめて広いため、このような組成物は透明コーティング材の生成にも適している。
【0068】
共重合体は、たとえばコーティング材、コーティング、ポリマー成形材料または熱可塑性プラスチックの耐候性または機械抵抗性などの他の特性に悪影響を及ぼさない。本発明の共重合体は、コーティング材、ポリマー成形材料および熱可塑性プラスチックに比較的少量(添加量)で添加することができる。ポリマー成形材料および熱可塑性プラスチックなどの特にコーティング材およびプラスチックでは、共重合体は、コーティング材の組成物またはプラスチックの総量に対していずれの場合にも好ましくは0.01〜5重量%、好ましくは0.02〜2重量%、さらに好ましくは0.03〜1重量%の比較的少量で使用してもよい。
【0069】
元となるコーティング材またはコーティング、ポリマー成形材料および熱可塑性プラスチックの物理的特性は、たとえば防食性、光沢保持性および耐候性の点では、低濃度の添加剤によって損なわれないか、あるいは実質的に損なわれない。一般に、共重合体を含むコーティング材またはコーティング、ポリマー成形材料および熱可塑性プラスチックは、数年もの期間にわたって所望の特性を示し、複数の洗浄周期を繰り返してもこれらの特性を保持する。
【0070】
共重合体が遊離ヒドロキシル基を含む場合、共重合体のヒドロキシル基がバインダーの反応基と架橋することから、共重合体による耐久効果が確保されることが特に有利であることがわかっている。
【0071】
<湿潤性表面を容易に形成するための添加剤>
共重合体はコーティング材、ポリマー成形材料および熱可塑性プラスチックに添加でき、これにより、共重合体の添加によって、コーティング材、ポリマー成形材料および熱塑性プラスチックの表面エネルギーを増大してこれらの表面の湿潤性を改善する。対応する共重合体では親水基の割合は疎水基より多い。共重合体の総合特性は親水性である。これらの共重合体では、少量の疎水性ポリシロキサン基は、共重合体に親水性媒体の表面との親和性をもたらし、親水基の割合が多いと表面エネルギーを増大させることができる。したがって、表面エネルギーを増大させるのに好適な共重合体は、存在するポリシロキサン基のほかにたとえばアルコキシル化化合物による比較的親水性のある基も含む。
【0072】
そのような共重合体が添加されるコーティング、ポリマー成形材料および熱可塑性プラスチックは、優れた湿潤性表面を有する。湿潤性は、表面の水に対する接触角を測定する従来技術を使用することによって確認することができる。親水性表面に関しては接触角は60°未満となる。共重合体は、コーティング材もしくはコーティング、ポリマー成形材料または熱可塑性プラスチックのたとえば耐候性または機械抵抗などの他の特性を実質的に損なわない。これらの共重合体は、コーティング材、ポリマー成形材料または熱塑性プラスチックに、たとえばコーティング材の組成物またはプラスチックの総量に対していずれの場合にも好ましくは0.01〜5重量%、好ましくは0.02〜2重量%、さらに好ましくは0.03〜1重量%の比較的少量(添加量)添加することができる。
【0073】
元となるコーティング材コーティング、ポリマー成形材料および熱可塑性プラスチックの物理的特性は、たとえば防食性、光沢保持性および耐候性の点では、低濃度の添加剤によって悪影響を受けないか、あるいはわずかに悪影響を受けるのみである。一般に、共重合体を含むコーティング材またはコーティング、ポリマー成形材料および熱可塑性プラスチックは、数年もの期間にわたって所望の特性を示し、複数の洗浄周期を繰り返してもこれらの特性を保持する。
【0074】
共重合体中にヒドロキシル基が残存している場合、共重合体のヒドロキシル基がバインダーの反応基と架橋できることから、耐久効果が確保されることが特に有利であることがわかっている。
【0075】
コーティング材、ポリマー成形材料または熱可塑性プラスチックの添加剤として共重合体を使用することによって、帯電防止性または防曇性の表面を得ることも可能である。したがって、添加された表面はきわめて良好に湿潤でき、必要に応じて、再度コーティングした際の付着促進性を示すことも可能である。
【0076】
<湿潤剤および分散剤>
また、共重合体は、特に従来技術から知られている分散剤使用の分野で分散剤として使用することができ、その場合、本発明の共重合体は従来の分散剤の代わりに、あるいは一緒に用いる分散剤として使用される。したがって共重合体は、塗料、皮革および布地用の着色剤、ペースト、顔料濃厚物または化粧料、特にこれらの生成物が顔料および/または充填剤などの固体を含む場合の製造または加工に使用してもよい。
【0077】
本発明の一態様では、均一分散体を生成する方法に関し、本発明の少なくとも1つの共重合体を用い、少なくとも1つのシリコーン油からなる群から選択される分散媒に少なくとも1つの顔料および/または充填剤を混合することを含む。これらの分散体は顔料調整剤および/または充填調整剤であるのが好ましく、コーティング系に使用されるのが好ましい。本文中の「均一」とは、相分離も不均一性も肉眼で認識できないことを意味する。さまざまな成分が均一分散体中で均一に分散される。
【0078】
本発明の他の態様は、上に記載した均一分散体を含むシリコーン架橋物またはコーティング材と、上に記載した均一分散体と反応性シリコーンを混合し、混合物を硬化して着色/充填されたシリコーン架橋物またはコーティングをもたらしてコーティングする方法とに関する。
【0079】
反応性のシリコーンまたはバインダーは、たとえばシリコーン油、固形分の高いシリコーン、水系シリコーン、シリコンアルキド、シリコン化ポリエステルまたはシリコン化アクリル樹脂などのさまざまな形態および化合物で存在してもよい。架橋は、湿気硬化、ヒドロシリル化硬化、放射線硬化または放射線硬化と熱硬化の組み合わせ(二重硬化)によって行なってもよい。
【0080】
顔料
顔料は、粉末状または薄片状の着色剤であり、染料と異なり周囲の媒体に不溶性である(これに関しては、DIN 55943:2001−10,Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben,Georg Thieme Verlag 1998、項目:Colorants,Dyes,Pigmentsを参照)。
【0081】
本発明の目的の顔料はたとえば、有機顔料および無機顔料、カーボンブラック顔料、真珠光沢顔料および/または金属効果顔料などの効果顔料、たとえば輝性顔料ならびにこれらの混合物である。
【0082】
好適な有機顔料には、たとえばニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン、フタロシアニン、金属複合体、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタンおよびキノフタロンの化合物が挙げられる。有機顔料はたとえば、カーマイン、カーボンブラック、アニリンブラック、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルーからさらに選択してもよい。これらの例は、D&C Red 21(CI45380)、D&C Orange 5(CI45370)、D&C Red 27(CI45410)、D&C Orange 10(CI45425)、D&C Red 3(CI45430)、D&C Red 7(CI15850)、D&C Red 4(CI15510)、D&C Red 33(CI17200)、D&C Red 34(CI15880)、D&C Yellow 5(CI19140)、D&C Yellow 6(CI15985)、D&C Green(CI61570)、D&C Yellow 10(CI77002)、D&C Green 3(CI42053)および/またはD&C Blue 1(CI42090)である。
【0083】
好適な無機顔料としては、たとえば、低溶解性、あるいは少なくとも実質的に非水溶性である金属酸化物と他の金属化合物が挙げられ、さらに具体的には、たとえば二酸化チタン(CI77891)などのチタニウム酸化物、亜鉛酸化物、たとえば赤色酸化鉄および黒色酸化鉄〔CI77491(赤)、77499(黒)〕または水和酸化鉄(CI77492、黄色)などの鉄酸化物、ジルコニウム酸化物、シリコン酸化物、マンガン酸化物、アルミニウム酸化物、セリウム酸化物およびクロム酸化物、さらに規定元素の混合酸化物ならびにこれらの混合物が挙げられる。さらに好適な顔料は、硫酸バリウム顔料、硫化亜鉛顔料、マンガンバイオレット顔料、ウルトラマリンブルー顔料およびプルシアンブルー顔料である。顔料は表面変性してもよく、この場合、変性によってたとえば親水性、両親媒性もしくは疎水性の化合物および/または基を特徴付けることが可能である。表面処理は、当業者で知られている方法によって、親水被膜および/または疎水被膜、有機被膜および/または無機被膜で得られる顔料を取り込んでもよい。
【0084】
真珠光沢顔料に関しては、以下に列挙する真珠光沢顔料の種別または種類で生成されたものを使用してもよい。
・パールエッセンス(魚片からのグアニン/ヒポキサンチン結晶を混合)および真珠貝(粉砕したイガイの殻)などの天然真珠光沢顔料
・オキシ塩化ビスマス(BiOCl)または板状晶形の二酸化チタンなどの単結晶真珠光沢顔料
・真珠層基質光沢顔料
【0085】
真珠層基質光沢顔料のコーティング用の好適な板状晶形の透明基質は、非金属、天然由来または合成の板状晶形の基質である。基質は、好ましくは実質的に透明であり、さらに好ましくは透明であり、つまり、可視光で少なくとも部分的に透過性である。
【0086】
これらの板状晶形の透明基質は、天然雲母、合成雲母、ガラス片、板状晶形のSiO
2、板状晶形のAl
2O
3、セリサイト、カオリン、グラファイト、タルク、板状晶形のポリマー、板状晶形のオキシ塩化ビスマス、無機−有機ハイブリッド層を含む板状晶形の基質およびこれらの混合物の群から選択してもよい。
【0087】
ガラス片または合成雲母などの合成基質は、たとえば表面が滑らかであり、個々の基質粒子内で厚さも均一である。したがって、表面は、入射光および/または反射光の散乱中心をほんのわずか示すことから、コーティング後に基質として天然雲母より光沢がある真珠光沢顔料が可能となる。使用されるガラス片は、EP公開第0289240号パンフレット、国際公開第2004/056716号パンフレットおよび国際公開第2005/063637号明細書に記載されている方法によって生成することができるもの、さらに/あるいはEP特許第1980594号明細書から知られているガラス組成を有するものが好ましい。
【0088】
また、真珠光沢顔料は、板状晶形の透明基質、たとえばガラス片を有してもよく、特に両側が半透明金属層でコーティングされている。半透明金属層の金属は、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、金、白金、パラジウム、銅、亜鉛、チタニウム、さらにこれらの混合物および合金の群から選択されるのが好ましい。
【0089】
板状晶形の透明基質は、少なくとも1つの光学活性層またはコーティングを備え、層は、金属酸化物、金属酸化水和物、金属水酸化物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属酸ハロゲン化物、金属カルコゲン化物、金属窒化物、金属酸窒化物、金属硫化物、金属炭化物およびこれらの混合物を含むのが好ましい。本発明の好ましい一実施形態によれば、光学活性層またはコーティングは上に記載の物質からなる。
【0090】
屈折率が高い層またはコーティングが板状晶形の透明基質に塗布される場合、屈折率はさらに具体的にはn≧1.8、好ましくはn≧1.9、さらに好ましくはn≧2.0である。屈折率が低いコーティングまたは層の場合、屈折率はさらに具体的にはn<1.8、好ましくはn<1.7、さらに好ましくはn<1.6である。
【0091】
好適な屈折率が高い層またはコーティングの例には、TiO
2、Fe
2O
3、Fe
3O
4、TiFe
2O
5、FeTiO
3、ZnO、SnO
2、CoO、Co
3O
4、ZrO
2、Cr
2O
3、VO
2、V
2O
3、Sb
2O
3、SnO
2、SbO
2およびこれらの組み合わせが挙げられる。TiO
2および/またはFe
2O
3の使用が好ましい。好適な屈折率が低い層またはコーティングの例は、SiO
2、Al
2O
3、MgF
2およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0092】
真珠光沢顔料の板状晶形の透明基質は、金属酸化物、金属水酸化物、金属亜酸化物および/または金属酸化水和物で構成される単層構成または多層構成でコーティングしてもよく、層順序は可変であってよい。また、金属酸化物、金属水酸化物、金属亜酸化物および/または金属酸化水和物は、同一の層に互いに並んで存在してもよい。
【0093】
板状晶形の透明基質が1つの金属酸化物層のみでコーティングされる場合、この層は屈折率が高い。金属酸化物層の幾何学的厚さに応じて、これらの種類の真珠光沢顔料はさまざまな色彩効果をもたらすことが可能である。たとえば、TiO
2を被覆させた銀白真珠光沢顔料は、TiO
2層の幾何学的厚さが40〜60nmであれば銀色となり、TiO
2を被覆させた干渉顔料は、TiO
2層の幾何学的厚さが60〜80nmであれば黄色となり、80〜100nmであれば赤色となり、100〜140nmであれば青色となり、120〜160nmであれば緑色となり、280〜320nmであれば緑色(三次色)となり、Fe
2O
3を被覆させた光沢顔料は、Fe
2O
3層の幾何学的厚さが35〜45nmであれば青銅色となり、45〜55nmであれば銅色となり、55〜65nmであれば赤色となり、65〜75nmであれば赤紫色となり、75〜85nmであれば赤緑色となり、Fe
3O
4を被覆させると黒色となり、TiO
2/Fe
2O
3の混合顔料は金色調となり、TiO
2/Cr
2O
3では緑色となり、TiO
2/プルシアンブルーでは藍色となる。
【0094】
板状晶形の透明基質は、金属酸化物、金属水酸化物、金属亜酸化物および/または金属酸化水和物を含んだり、あるいはこれらからなる多層構成でコーティングしたりしてもよく、層順序は可変であってもよい。ここで、少なくとも1つの高屈折層と少なくとも1つの低屈折層が基質上に交互で配置される層順序が好ましい。この交互の構成では、1または複数の高屈折層を互いのすぐ上に配置することも可能であり、これに続き、1または複数の低屈折層を互いのすぐ上に配置することも可能である。ただし、高屈折層と低屈折層が層構造内に現れることが重要である。基質から開始し、少なくとも1つの高屈折層、低屈折層、再び高屈折層を配置するのが好ましく、それによって特に色調が強い干渉色の真珠光沢顔料が得られる。
【0095】
TiO
2および/または酸化鉄で被覆された板状晶形の天然雲母系の真珠光沢顔料は、たとえばEckart社からPrestigeという商品名で市販されている。板状晶形の透明基質が合成雲母で構成される場合、たとえばこの種類の真珠光沢顔料はEckart社からSynCrystalという商品名で市販されている。TiO
2および/またはFe
2O
3で被覆されたAl
2O
3薄片および対応するSiO
2被覆薄片は、たとえばMerck社からXironaという商品名で市販されている。TiO
2および/または酸化鉄で被覆されたガラス片は、たとえばEckart社からMirageという商品名で、BASF Catalysts社からReflecksという商品名で、Merck社からRonstarという商品名で市販されている。多層干渉顔料はたとえば、独国特許出願公開第19618569号明細書に記載されている種類のものと、屈折率が高い金属酸化物および屈折率が低い金属酸化物の交互層で被覆された支持材からなるものとを本発明の目的に使用することができる。
【0096】
さらに、干渉作用はあるが基質がない顔料、たとえばLCP Technology社から市販されているHeliconesなどの液晶、あるいはドメインが最密充填され、規則的配列を特徴とする三次元構造の単分散ビーズからなり、たとえば国際公開第2001/88044号パンフレットに記載されている種類の乳白光を発する効果がある粒子を使用することが可能である。さらに、Spectratek社製の幾何学顔料などのホログラフィ輝性顔料、たとえば蛍光顔料、発光顔料、フォトクロミック顔料、示温顔料、さらには、たとえばQuantum Dots社から市販されている「量子ドット」と呼ばれるものも使用可能である。
【0097】
また、輝性顔料として知られている効果顔料が使用可能であり、たとえばFloratech社からさまざまな色彩(黄色、赤色、緑色、青色)の効果顔料がMetasomes Standard/Glitterという商品名で市販されている。この場合の輝性粒子は、さまざまな助剤と染料〔たとえば、色指数(CI)が19140、77007、77289、77491の染料〕の混合物中に存在してもよい。
【0098】
真珠光沢顔料以外には、本発明では特に、さらに、金属効果顔料を使用してもよい。
【0099】
この場合の板状晶形の金属基質は、特に純金属および/または金属合金からなってもよい。金属基質は、好ましくは銀、アルミニウム、鉄、クロム、ニッケル、モリブデン、金、銅、亜鉛、スズ、ステンレス、マグネシウム、鉄鋼、青銅、黄銅、チタニウムならびにこれらの合金および/または混合物の群から選択してもよい。しかし金属基質は、アルミニウム(アルミニウムの含有率は金属基質に対して99重量%超が好ましい)、銅(銅の含有率は金属基質に対して99重量%超が好ましい)および金青銅(たとえば、銅の含有率は70〜95重量%、亜鉛の含有率は5〜30重量%であり、いずれも金属基質に対する含有率)で構成されるのが好ましい。金属基質に存在する不純物は、基質に対してきわめて少量、好ましくは1重量%未満にする必要がある。
【0100】
板状晶形の金属基質には、少なくとも1つのアフターコーティング材を与えてもよい。たとえば、このアフターコーティング材は、たとえば二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化セリウム、酸化クロムおよび酸化ケイ素またはこれらの混合物などの金属酸化物、金属水酸化物または金属酸化水和物からなってもよい。アフターコーティング材は少なくとも1つの層の二酸化ケイ素からなるのが好ましい。
【0101】
このようにして安定した金属効果顔料は、欧州特許第1532213号明細書、さらには欧州特許出願公開第1758550号明細書に記載されるように、たとえばEckart社からVisionaireの商品名で市販されている。
【0102】
金属効果用の拡張着色剤パレットは、以下を有する金属効果有色顔料によってさらに提供される。
a)アルミニウムコアと、湿式化学酸化によって得られ、酸化アルミニウムおよび/または水酸化アルミニウムおよび/または酸化アルミニウム水和物で構成される着色層。
b)コアと、少なくとも1つの着色顔料を含む少なくとも1つの金属酸化物層。
【0103】
さらに、金属効果有色顔料は、従来の金色および銀色の色調とともに、たとえばVisionaire Bright Red 7やVisionaire Bright Red 34などの赤色の色調、たとえばVisionaire Bright Blueなどの青色の色調、さらには、たとえばVisionaire Bright Champagneなどの暖かい黄褐色の色調を可能にする。そのような顔料は、たとえば独国特許出願公開第19501307号明細書、独国特許出願公開第19520312号明細書、独国特許出願公開第10361436号明細書および独国特許出願公開第102006006716号明細書から知られており、Eckart社から市販されている。
【0104】
さらに、国際公開第2007/076967号明細書に記載されている赤外線を反射する金属効果顔料を使用することも可能であり、たとえば赤外線を反射するコアを有する。赤外線反射コアは、赤外線に対して透明なコーティング被覆を備えている。赤外線を反射する顔料は実質的に白色である。
【0105】
これらのほかに、たとえば不動態化防止層または防食層を使用して安定化していると思われる板状晶形の鉄顔料などの磁性金属効果顔料を使用することが可能である。このような種類の顔料はたとえば、欧州特許第1251152号明細書に記載されている。
【0106】
顔料はたとえば、化粧品規則の対応するポジティブリストから選択してもよい〔規則(EC)第1223/2009、付録IV〕。
他の実施形態では、記載した顔料は少なくとも1つの有機アフターコーティング材でコーティングしてもよく、当業者に知られている方法で塗布される。
好適なアフターコーティング技術はたとえば、以下が挙げられる。
【0107】
・LCW社から利用可能な「AQ」変性などのPEGシリコーンコーティング。
・LCW社から利用可能な「CTS」変性などのキトサンコーティング。
・LCW社から利用可能な「AS」変性などのトリエトキシカプリリルシランコーティング。
・LCW社から利用可能な「SI」変性などのメチコンコーティング。
・LCW社から利用可能な「Covasil 3.05」変性などのジメチコンコーティング。
・LCW社から利用可能な「Covasil 4.05」変性などのジメチコン/トリメチルシロキシシリケートコーティング。
・LCW社から利用可能な「LL」変性などのラウリルリシンコーティング。
・LCW社から利用可能な「LL/SI」変性などのラウリルリシン/メチコンコーティング。
・LCW社から利用可能な「MM」変性などのミリスチン酸マグネシウムコーティング。
・Miyoshi社から利用可能な「MI」変性などのジミリスチン酸アルミニウムコーティング。
・LCW社から利用可能な「FHC」変性などのパーフルオロポリメチルイソプロピルエーテルコーティング。
・Miyoshi社から利用可能な「NAI」変性などのステアリルグルタミン酸ニナトリウムコーティング。
・Daito社から利用可能な「PF」変性などのリン酸パーフルオロアルキル処理。
・Daito社から利用可能な「FSA」変性などのアクリレート/ジメチコンおよびリン酸パーフルオロアルキル処理。
・Daito社から利用可能な「FS01」変性などのポリメチルハイドロジェンシロキサン/リン酸パーフルオロアルキル処理。
・Daito社から利用可能な「LL−StAl」変性などのラウリルリシン/トリステアリン酸アルミニウム処理。
・Daito社から利用可能な「OTS」変性などのオクチルトリエチルシランコーティング。
・Daito社から利用可能な「FOTS」変性などのオクチルトリエチルシラン/リン酸パーフルオロアルキルコーティング。
・Daito社から利用可能な「ASC」変性などのアクリレート−ジメチコン共重合体コーティング。
・Daito社から利用可能な「ITT」変性などのトリイソステアリル酸イソプロピルチタンコーティング。
・Daito社から利用可能な「AC」変性などの微結晶性セルロースおよびカルボキシメチルセルロースコーティング。
・Daito社から利用可能な「APD」変性などのアクリレート共重合体コーティング。
・Daito社から利用可能な「PF+ITT」変性などのリン酸パーフルオロアルキル/トリイソステアリル酸イソプロピルチタンコーティング。
【0108】
顔料は、個別に存在してもよく、混合物で存在してもよく、さらに互いに相互コーティングしてもよい。
特定の色彩効果を得るために、本発明では、記載した顔料とともに他の顔料および/または効果顔料および/またはこれらを組み合わせて可変比率で使用することが可能である。
【0109】
シリコーン油
シリコーン油の例は以下の構造
【0111】
のものが挙げられる。
式中、R
24は水素、ヒドロキシル基、炭素原子数が2〜20のアルキル基またはフッ化アルキル基、アリール基、アミノアルキル基、C
6-22アルコキシ基および式(CH
3)
3SiO[(CH
3)
2SiO]
ySi(CH
3)
2CH
2CH
2−の基からなる群から選択され、yは0〜500の整数である。R
25はC
1-20アルキル基である。式(III)では、hは0〜1000の整数であり、iは0〜1000の整数であり、ただし、h+iは1〜2000であり、jおよびkはそれぞれ互いに独立して0、1、2または3である。式(IV)では、lおよびmは0〜8の整数であり、l+mは3〜8の範囲にあり、式(V)では、zは1〜4の整数である。ラジカルR
24の例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、トリフルオロプロピル、ノナフルオロヘキシル、ヘプタデシルフルオロデシル、フェニル、アミノプロピル、ジメチルアミノプロピル、アミノエチルアミノプロピル、ステアロキシ、ブトキシ、エトキシ、プロポキシ、セチルオキシ、ミリスチルオキシ、スチリルおよびα−メチルスチリルが挙げられ、このなかで、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、トリフルオロプロピル、フェニル、アミノプロピルおよびアミノエチルアミノプロピルが好ましい。シリコーン油の例には、たとえばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合体などの高粘性のオルガノポリシロキサンまたは低粘性のオルガノポリシロキサンと、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン(H4)、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサンなどのシクロシロキサンと、トリストリメチルシロキシシラン(M3T)、テトラキストリメチルシロキシシラン(M4Q)と、たとえばトリストリメチルシロキシプロピルシラン、トリストリメチルシロキシブチルシラン、トリストリメチルシロキシヘキシルシラン、トリストリメチルシロキシフェニルシランなどの分枝シロキサンと、ステアロキシシリコーンなどのさらに高級アルコール変性シリコーンと、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーンおよびフルオロ変性シリコーンとが挙げられる。
【0112】
<応用>
本発明によるシリコーン油中の顔料および/または充填剤である分散体は、樹脂、油、グリース、潤滑油、ゴム材、シール材、接着剤、ワックスまたはコーティング材組成物などのさまざまな組成物に使用される。分散体は、ボディーケア産業、エレクトロニクス産業での電気的応用、水産業、医学的用途、建設産業、自動車産業で生成される組成物に使用される。例には、化粧品、たとえば電子書籍の表示などの電子ペーパー、超小型電子チップのカプセル化、たとえば防汚コーティングなどの潜水艦の表面コーティング、シリコーンチューブ、あるいはブレーキ部品用の潤滑添加剤が挙げられる。
【0113】
共重合体は、均一分散体中の均一分散体組成物の総量に対していずれの場合にも0.01〜90重量%、好ましくは1〜50重量%、きわめて好ましくは2〜40重量%の比較的広い範囲で使用してもよい。均一分散体は、顔料および充填剤の調剤であるのが好ましい。
【0114】
さらに本発明は、塗料、ペーストおよび成形材料を提供し、本発明の共重合体、1または複数の顔料、有機溶媒および/または水を含み、さらに必要に応じてバインダーおよび従来のコーティング助剤を含む。
【0115】
さらに本発明は、コーティング材、プラスチックまたは均一分散体を提供し、本発明の少なくとも1つの共重合体を含む。この場合、共重合体分は、コーティング材またはプラスチック中で、コーティング材またはプラスチックの組成物の総量に対していずれの場合にも好ましくは0.01〜5重量%、さらに好ましくは0.02〜2重量%、きわめて好ましくは0.03〜1重量%であり、あるいは均一分散体組成物の総量に対していずれの場合にも、好ましくは0.01〜90重量%、さらに好ましくは1〜50重量%、きわめて好ましくは2〜40重量%である。
【実施例】
【0116】
略語、商品名
IPDI=イソホロンジイソシアネート
TDI=トルエン2,4−ジイソシアネート
DBTL=ジブチル錫ジラウレート
PMI=多分子性指数
Grilonit RV 1812=EMS−CHEMIE社製ヘキサン1,6−グリシジルエーテル
D.E.R.332 エポキシ樹脂=Dow Chemical社製ビスフェノールAジグリシジルエーテル
【0117】
測定方法
<ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)>
ゲル浸透クロマトグラフィーは、高圧液体クロマトグラフィーポンプ(Bischoff HPLC2200)および屈折率検出器(Waters 419)を用いて40℃で行った。使用した溶離剤はテトラヒドロフランであり、溶離速度は1ml/分であった。較正はポリスチレン標準を使用して行った。数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwおよび多分子性指数PMI=Mw/Mnは、NTeqGPCプログラムを使用して算出した。
【0118】
<NMR分光法>
NMR測定は、NMR装置(Bruker DPX300)を使用して300MHz(
1H)または75MHz(
13C)で行った。使用した溶媒は、重水素化クロロホルムと重水素化ジメチルスルホン酸であった。
【0119】
<NCO含有率の定量>
NCO量は、イソシアネートのNCO基と過剰量のジブチルアミンと反応させて尿素誘導体を生成し、次にHClで過剰量のアミンを逆滴定することによって定量する。NCO含有率は、イソシアネートの量を重量%で表す。
【0120】
<ヒドロキシル価>
アルコールヒドロキシル基は、過剰量の無水酢酸でアセチル化することによって反応させる。次に、過剰量の無水酢酸を分解し、水を添加することによって酢酸を生成し、KOHエタノール溶液を使用して逆滴定する。ヒドロキシル価はKOH量をmgで表したものであり、物質1gをアセチル化する際に結合する酢酸の量に相当する。
【0121】
<アミン価>
アミン含有物質をHClで滴定する。アミン価は、物質1gのアミン分に対応するKOH量をmgで表したものである。
【0122】
<合成例>
本発明は以下の実施例によって説明する。明記しない限り、部および割合はそれぞれ、重量部と重量パーセントとして理解する必要がある。分子が均一でない物質を使用する場合、記載する分子量は数平均分子量である。
文献〔T.Suzuki、Polymer、30(1989)333〕に記載されている方法に従ってモノSiH官能性ポリシロキサンを調製する。
【0123】
<実施例1>
モノアミノ官能性ポリシロキサン(B)の合成
撹拌機、温度計、滴下漏斗、還流冷却器および窒素導入管を取り付けた四つ口フラスコに、モノSiH官能性ポリシロキサン(250g、Mn≒2000g/モル)とKarstedt触媒(4.38g、キシレンで0.2%希釈)とを入れて十分に混合し、100℃に加熱する。アリルアミン(9.29g)を30分間滴下する。モノSiH官能性ポリシロキサンの反応はガス容量測定によって監視する。反応終了後、過剰量のアリルアミンを留去する。測定した生成物のアミン価は24.1mg KOH/gである。
【0124】
<実施例2>
モノアミノ官能性ポリシロキサン(B)の合成
撹拌機、温度計、滴下漏斗、還流冷却器および窒素導入管を取り付けた四つ口フラスコに、モノSiH官能性ポリシロキサン(1500g、Mn≒4500g/モル)とKarstedt触媒(6.56g、キシレンで0.8%希釈)とを入れて十分に混合し、100℃に加熱する。アリルアミン(39.8g)を30分間滴下する。モノSiH官能性ポリシロキサンの反応はガス容量測定によって監視する。反応終了後、過剰量のアリルアミンを留去する。測定した生成物のアミン価は10.1mg KOH/gである。
【0125】
<実施例3>
モノヒドロキシ官能性ポリシロキサンの合成
撹拌機、温度計、滴下漏斗、還流冷却器および窒素導入管を取り付けた四つ口フラスコに、モノSiH官能性ポリシロキサン(300g、Mn≒2000g/モル)とKarstedt触媒(0.75g、キシレンで0.2%希釈)とを入れて十分に混合し、55℃に加熱する。アリルグリコール(19.9g)は75℃を超えないような速度となるように計量する。モノSiH官能性ポリシロキサンの反応はガス容量測定によって監視する。反応終了後、過剰量のアリルグリコールを留去する。測定した生成物のヒドロキシル価は25.2mg KOH/gである。
【0126】
<実施例4>
モノイソシアナート官能性ポリシロキサン(C)の合成
撹拌機、温度計、滴下漏斗、還流冷却器および窒素導入管を取り付けた4つ口フラスコに、IPDI(114.8g)、キシレン(20.8g)、DBTL(キシレン7.5g中0.83g)および塩化ベンゾイル(0.2g)を入れる。実施例3(300g)からのヒドロキシ官能性ポリシロキサンは、30℃を超えないような室温および速度で滴下する。反応変換は、イソシアネート分の滴定によって確認する。ヒドロキシ官能性ポリシロキサンの反応終了後、残存するIPDIを薄膜蒸発器で留去する。測定した生成物のNCO含有率は1.63重量%である。
【0127】
<実施例5>
モノイソシアナート官能性ポリエーテルの合成
撹拌機、温度計、滴下漏斗、還流冷却器および窒素導入管を取り付けた4つ口のフラスコにTDI(114.4g)を入れる。メトキシポリエチレングリコール350(70g)は、55℃を超えないような速度となるように50℃で滴下する。次に、さらに3時間55℃で撹拌する。ヒドロキシ官能性メトキシポリエチレングリコールの反応終了後、残存するTDIを薄膜蒸発器で留去する。測定した生成物のNCO含有率は8重量%である。
【0128】
<実施例6>
ポリシロキサン基を含む共重合体の合成
撹拌機、温度計、滴下漏斗、還流冷却器および窒素導入管を取り付けた4つ口のフラスコに実施例1からのモノアミノ官能性ポリシロキサン(376.3g)とGrilonit RV 1812(22.8g)とを入れ、窒素下で140℃に加熱する。エポキシド変換は
1H NMRによって監視する。エポキシ基の定量変換後に反応を停止する。GPCは、Mn=5500g/モルおよびPMI=2.0を示す。
【0129】
<実施例7>
ポリシロキサン基を含む共重合体の合成
撹拌機、温度計、滴下漏斗、還流冷却器および窒素導入管を取り付けた4つ口のフラスコに実施例1からのモノアミノ官能性ポリシロキサン(48.4g)とGrilonit RV 1812(32.8g)とを入れ、窒素下で140℃に加熱する。2時間反応後、ヘキシルアミンを撹拌しながらゆっくり滴下する。エポキシド変換は
1H NMRによって監視する。エポキシ基の定量変換後に反応を停止する。GPCは、Mn=3100g/モルおよびPMI=3.2を示す。
【0130】
<実施例8>
ポリシロキサン基を含む共重合体の合成
撹拌機、温度計、滴下漏斗、還流冷却器および窒素導入管を取り付けた4つ口のフラスコに実施例1からのモノアミノ官能性ポリシロキサン(25.1g)とGrilonit RV 1812(34.0g)とを入れ、窒素下で140℃に加熱する。2時間反応後、オレイルアミンを撹拌しながらゆっくり滴下する。エポキシド変換は
1H NMRによって監視する。エポキシ基の定量変換後に反応を停止する。GPCは、Mn=2700g/モルおよびPMI=2.3を示す。
【0131】
<実施例9>
ポリシロキサン基を含む共重合体の合成
撹拌機、温度計、滴下漏斗、還流冷却器および窒素導入管を取り付けた4つ口のフラスコに実施例2からのモノアミノ官能性ポリシロキサン(53.5g)、Grilonit RV 1812(27.6g)およびキシレン(26.3g)を入れ、窒素下で140℃に加熱する。2時間反応後、エタノールアミン(6.5g)を撹拌しながらゆっくり滴下する。エポキシド変換は
1H NMRによって監視する。エポキシ基の定量変換後に反応を停止する。
【0132】
<実施例10>
ポリシロキサン基を含む共重合体の合成
撹拌機、温度計、滴下漏斗、還流冷却器および窒素導入管を取り付けた4つ口のフラスコに実施例2からのモノアミノ官能性ポリシロキサン(48.4g)、Grilonit RV 1812(12.5g)およびキシレン(14.5g)を入れ、窒素下で140℃に加熱する。2時間反応後、オレイルアミン(キシレン7.3gの溶液中11.6g)を撹拌しながらゆっくり滴下する。エポキシド変換は
1H NMRによって監視する。エポキシ基の定量変換後に反応を停止する。測定した生成物のヒドロキシル価は58.3mg KOH/gである。GPCは、Mn=3000g/モルおよびPMI=5.7を示す。
【0133】
<実施例11>
ポリシロキサン基を含む共重合体の合成
撹拌機、温度計、滴下漏斗、還流冷却器および窒素導入管を取り付けた4つ口のフラスコに実施例2からのモノアミノ官能性ポリシロキサン(55.0g)、Grilonit RV 1812(14.2g)およびキシレン(14.8g)を入れ、窒素下で140℃に加熱する。3時間反応後、へキシルアミン(キシレン7.4gの溶液中5.0g)を撹拌しながらゆっくり滴下する。エポキシド変換は
1H NMRによって監視する。エポキシ基の定量変換後に反応を停止する。GPCは、Mn=2600g/モルおよびPMI=7.6を示す。
【0134】
<実施例12>
ポリシロキサン基を含む共重合体の合成
撹拌機、温度計、滴下漏斗、還流冷却器および窒素導入管を取り付けた4つ口のフラスコにオレイルアミン(17.0g)とGrilonit RV 1812(14.9g)とを入れ、窒素下で140℃に加熱する。3時間反応後、DBTL(10mg)を添加し、実施例4(11.8g)からのモノイソシアネート官能性ポリシロキサンを撹拌しながらゆっくり計量する。GPCは、Mn=3800g/モルおよびPMI=2.1を示す。
【0135】
<実施例13>
ポリシロキサン基を含む変性共重合体の合成
撹拌機、温度計、滴下漏斗、還流冷却器および窒素導入管を取り付けた4つ口のフラスコに実施例8からのポリシロキサン共重合体(53.5g)、実施例5からのモノシアナート官能性ポリエーテル(6.83g)およびDBTL(0.06mg)を入れ、窒素下で120℃に加熱する。5時間反応後、反応を停止する。測定した生成物のヒドロキシル価は45.5mg KOH/gである。GPCは、Mn=3800g/モルおよびPMI=5.6を示す。
【0136】
<実施例14>
ポリシロキサン基を含む共重合体の合成
撹拌機、温度計、滴下漏斗、還流冷却器および窒素導入管を取り付けた4つ口のフラスコに実施例1からのモノアミノ官能性ポリシロキサン(60g)とD.E.R.332エポキシ樹脂(7.2g)とを入れ、窒素下で140℃に加熱する。エポキシド変換は
1H NMRによって監視する。エポキシ基の定量変換後に反応を停止する。GPCは、Mn=15800g/モルおよびPMI=5.4を示す。
【0137】
応用例
a)耐汚染性表面での試験
添加剤は、2つの異なる系で試験し、以下の基準に従って塵および油の防止効果を評価した。
【0138】
コーティング面の視覚的評価コーティング面は、膜の曇り、均染性ならびに発泡、へこみ、ゲル斑点および非相溶性などの表面欠陥を検査した。
評価:1〜5
1=コーティング面に曇りがなく、表面欠陥もない。
5=コーティング面に曇りがあり、多数の表面欠陥がある。
【0139】
<Edding試験>
コーティング面は、Edding 400マジックインキを使用して書き、書き込み可能であったかどうかを確認する検査を行なった。インクが表面に広がるかどうか、縮むかどうかを評価した。インクが乾燥した後、乾燥した布で拭くことによってインクの除去を試みた。
評価:1〜5
1=インクが縮み、ペーパータオルを用いて残留物がないように除去することができる。
5=インクがきわめて大きく広がり、実質的に除去することができない。
【0140】
<耐鉱物油試験>
コーティング面に市販の鉱物油を1滴添加した。コーティング面は、添加した鉱物油が約10cm動くまで傾けた。1分後に検査を実施し、鉱物油の流跡または再形成を評価した。
評価:1〜5
1=鉱油の流跡は個々の滴に変形する。
5=鉱油の流跡は変形せず、場合により拡大する。
【0141】
<Bayferrox粉末による染色>
コーティング面に、噴霧ボトルからBayer社から市販されているBayferrox 130Mという商品名の酸化鉄顔料をティースプーン3杯分(約15g)噴霧し、蒸留水で5回噴霧して再び洗い流した。コーティング面は、可能なかぎり残留物がない状態で検査した。
評価:1〜5
1=Bayferrox粉末は水で洗い落とすことができ、残留物が残らない。
5=水で洗っても洗浄効果はなく、赤色の大きな染みが残る。
【0142】
1)試験系:2C PU上塗り組成物(重量部)
成分A
Desmophen NH1520(アミノ官能性バインダー、Bayer MaterialScience社) 32.1
Desmophen NH1420(アミノ官能性バインダー、Bayer MaterialScience社) 48.5
酢酸ブチル 13.4
MPA 2.5
DBTL溶液(酢酸ブチル中1%) 3.4
添加剤 0.5
成分B
Desmodur N3600(脂肪族ポリイソシアネート、Bayer MaterialScience社) 57.3
【0143】
実施例7、8および13からの添加剤ならびにBYK Silclean 3700(固形分に対する初期質量)を最初に手動で撹拌して成分Aに添加し、次にScandex振盪器を使用して10分間混合する。振盪してから1日後、100μmの4方向バーアプリケータを使用して、添加したコーティング材を成分Bとともにガラス板に塗布する。追加したコーティング材それぞれに対して2つのガラス板を調製する。
得られた結果を以下の表に示す。
【0144】
【表1】
【0145】
*BYK Silclean 3700は、洗浄性を改善するための表面添加剤であり、BYK−Chemie社製であり、MPA中の固形分が25重量%である。
【0146】
実施例7、8および13からのポリマーを使用した場合、添加剤のない系と比較して、固体薄膜に発泡性、曇り、均染性およびへこみに対する悪影響はみられないか、あるいは、ほとんどみられない。一方、BYK Silclean3700は、均染性を損ない、固体薄膜で気泡を形成する。発泡性、曇り、均染性およびへこみに対する良好な結果に加えて、本発明の実施例7、8および13は、市販製品と同様の品質の耐汚染性および撥油性に改善がみられる。エディング試験では特に、本発明の実施例7、8および13は、添加剤のない系と比較して値が改善したことを示している。その結果、本発明の実施例はさまざまな特性の間できわめて有利に釣り合いがとれ、この釣り合いは特に、良好な均染性と低い気泡形成レベルとの間、さらに良好な耐汚染効果と撥油効果との間で注目に値する。
【0147】
2)試験系:アクリレート−メラミン焼付けワニス、クリア
組成物(重量部)Setalux1756 VV−65(アクリレート焼成樹脂、Nuplex Resins社) 60
Setamine US 138 BB−70(アミノ焼成樹脂、Nuplex Resins社) 24
Shellsol A 8
キシレン 8
添加剤 0.05
【0148】
実施例9、10および11からの添加剤ならびにBYK Silclean 3700(固形分に対する初期質量)を最初に手動で撹拌し、次にScandex振盪器を使用して10分間混合する。振盪してから1日後、100μmの4方向バーアプリケータを使用して、添加したコーティング材をガラス板に塗布する。10分間洗い流した後、ガラス板を140℃で25分間焼成した。添加したコーティング材それぞれに対して2つのガラス板を調製する。
得られた結果を以下の表に示す。
【0149】
【表2】
【0150】
*BYK Silclean 3700は、洗浄性を改善するための表面添加剤であり、BYK−Chemie社製であり、MPA中の固形分が25重量%である
【0151】
結果は、添加剤として実施例9、10および11からの共重合体を使用した場合、得られた耐汚染性表面および撥油性表面が、市販製品によって得られたものと同程度に良好か、あるいはさらに良好であることを示す。
【0152】
b)顔料の分散
<顔料調剤の製造例>
表1に従って、いずれの場合も最初の項目は100gのバッチサイズで、他の項目は個別に計量して撹拌しながら250mlねじ口式グラスに入れた。同じ量の1mmガラスビーズを加えた後、冷却設定を2にした振盪器(LAU Disperser)によって2時間分散した。分散後、目開きが240μmの篩(F4000折り畳み式の篩)でガラスビーズを取り除いた。
【0153】
従来技術に対する比較例として、シリコーンアクリレート系の分散添加剤を用いた例と用いなかった例、さらにはポリエーテル変性ポリシロキサン系の市販製品を用いて顔料調剤を生成した。
表2は顔料調剤の粘性を示す。
【0154】
【表3】
【0155】
本発明の共重合体または比較化合物の固形分は、顔料に対して9重量%である。
【0156】
【表4】
【0157】
本発明の共重合体または比較化合物の固形分は、顔料に対して5重量%である。
【0158】
【表5】
【0159】
本発明の共重合体または比較化合物の固形分は、顔料に対して15重量%である。
【0160】
【表6】
【0161】
本発明の共重合体または比較化合物の固形分は、顔料に対して15重量%である。
【0162】
【表7】
【0163】
本発明の共重合体または比較化合物の固形分は、顔料に対して15重量%である。
【0164】
【表8】
【0165】
本発明の共重合体または比較化合物の固形分は、顔料に対して55重量%である。
【0166】
生成および保存後の剪断速度[1/秒]に対する顔料調剤および比較例の粘性(EN ISO2884−1:2006)[Pasで表す]
【0167】
【表9】
【0168】
本発明(実施例2および5)の共重合体を使用して生成した表2.1による顔料調剤は、一貫して粘性が最小であることを示している。
【0169】
【表10】
【0170】
【表11】
【0171】
顔料調剤の粘性は、記載した剪断速度でRheologica製のCP25−1コーン測定システム(測定スロット0.093mm)を備えるStresstechレオメータを使用して23℃で測定した。試料を塗布する前に、顔料調剤を均一にするためにヘラで全体を撹拌した。測定システムを統合した後、最初に10 1/秒で10秒剪断して次に10秒静止した後に測定した。
【0172】
本発明(実施例8、12、16および20)の共重合体で生成した顔料調剤は、粘性が最小であったことを示している。
【0173】
実施例1〜6による顔料調剤の相溶性を評価するためのシリコーン樹脂系の配合
【0174】
【表12】
【0175】
最初に、成分Aの項目を撹拌して均一に混合する。他の成分を個別に撹拌しながら添加した後、実施例1〜6による対応する顔料調剤を以下の通りに添加する。
【0176】
顔料調剤に対するシリコーン樹脂系対の重量比
シリコーン樹脂系9部:顔料調剤1部(顔料調剤1〜3)
シリコーン樹脂系1部:顔料調剤1部(顔料調剤4〜6)
【0177】
顔料調剤を均一分散して20分予備反応させた後、100μmワイヤードクターを使用して、コーティング系をコントラストカードに塗布する。
【0178】
顔料調剤と表3によるシリコーン樹脂系との相溶性
【0179】
【表13】
【0180】
顔料調剤と表3によるシリコーン樹脂系との相溶性
【0181】
【表14】
【0182】
相溶性を評価するために、顔料調剤を適切に格納した後、上に記載したような比率でシリコーン樹脂系に使用し、特に色彩領域および流動性に関してコーティングを評価した。
1=顔料は流動性がなく、均一に分散され、フロックはない。
5=顔料は流動性が高く、きわめて不均一であり、多数のフロックがある。
【0183】
本発明の共重合体で生成した実施例2の顔料調剤を含むコーティング材の場合、均一分散され、顔料は実質的に流動性がない。それに引き換え、色彩領域は赤色調の有利な領域からいくぶん離れたところに位置している。
本発明の共重合体で生成した実施例5の顔料調剤を含むコーティング材は、比較的光沢度が高いことを示し、それに引き換え色彩領域は、さらに明るい有利な領域内にある。
【0184】
本発明の双方の系は、色彩領域が1日および7日保存した後に同じ状態で維持されるため、きわめて良好な色忠実性および色彩安定性を示す。特に、実施例5は、実施例6による本発明の共重合体により、分散添加剤を使用していない比較例4とDow Corning 5562を使用した比較例6との比較によって色彩安定性が改善したことを示す。
したがって、使用したシリコーン樹脂系では、本発明の共重合体で生成した顔料調剤は、比較例との比較によってきわめて良好な色調形成および相溶性を示す。