特許第5887352号(P5887352)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5887352
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】側方流体供給を伴う熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20160303BHJP
【FI】
   F28F3/08 301Z
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-534340(P2013-534340)
(86)(22)【出願日】2011年10月21日
(65)【公表番号】特表2013-540252(P2013-540252A)
(43)【公表日】2013年10月31日
(86)【国際出願番号】EP2011068472
(87)【国際公開番号】WO2012055790
(87)【国際公開日】20120503
【審査請求日】2014年9月1日
(31)【優先権主張番号】1004183
(32)【優先日】2010年10月25日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100146123
【弁理士】
【氏名又は名称】木本 大介
(72)【発明者】
【氏名】シルバン、モロー
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ、ビュッソン
(72)【発明者】
【氏名】モハメッド、イブラヒム
【審査官】 柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−275951(JP,A)
【文献】 特開平06−331297(JP,A)
【文献】 特開2005−164226(JP,A)
【文献】 特開2001−116485(JP,A)
【文献】 特開2005−249331(JP,A)
【文献】 特開2003−307399(JP,A)
【文献】 特開平10−288475(JP,A)
【文献】 実公平06−024675(JP,Y2)
【文献】 特開2010−019504(JP,A)
【文献】 特開平09−033187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流体を循環させて第2の流体と熱交換するように構成された熱交換器本体(14)を形成するために長手積層方向(x)に積層される内部パイプのアセンブリを備え、前記熱交換器本体(14)は該熱交換器本体(14)の長手積層方向(x)の一方の末端に配置される接続装置(19)を備える、熱交換器(10)であって、
前記接続装置(19)は、エンドプレート(20)およびカバー(22)を含み、該エンドプレート(20)およびカバー(22)は、前記熱交換器本体(14)内への前記第1の流体の流入を許容し、かつ、前記熱交換器本体(14)から前記第1の流体を排出するために、入口ダクト(24)および出口ダクト(26)をそれぞれ連帯的に画定するべく互いに組み付け可能であり、
前記エンドプレート(20)は、プレス加工部分(30)を有し、該プレス加工部分(30)は、第1の入口凹部(32)と、第1の出口凹部(34)とを含み、該第1の入口凹部(32)および該第1の出口凹部(34)の有限深さ(P1,P2)は、1mm未満である、ことを特徴とする、熱交換器(10)。
【請求項2】
前記入口ダクト(24)および前記出口ダクト(26)は、前記長手積層方向(x)に対して略垂直な横方向(y)で開口することを特徴とする、請求項1に記載の熱交換器(10)。
【請求項3】
前記入口ダクト(24)および前記出口ダクト(26)は、略エルボ形状を成すことを特徴とする、請求項1または2に記載の熱交換器(10)。
【請求項4】
前記カバー(22)は、第2の入口凹部(46)と、第2の出口凹部(48)とを含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の熱交換器(10)。
【請求項5】
前記第1の入口凹部(32)は、前記入口ダクト(24)を画定するために前記第2の入口凹部(46)と協働し、また、前記第1の出口凹部(34)は、前記出口ダクト(26)を画定するために前記第2の出口凹部(48)と協働することを特徴とする、請求項4に記載の熱交換器(10)。
【請求項6】
前記入口ダクト(24)および前記出口ダクト(26)は、それぞれ、前記カバー(22)の前記第2の入口凹部(46)および前記第2の出口凹部(48)によって画定される断面を有することを特徴とする、請求項5に記載の熱交換器(10)。
【請求項7】
前記第2の入口凹部(46)および前記第2の出口凹部(48)の十分な深さ(P3,P4)は、10mm未満であることを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載の熱交換器(10)。
【請求項8】
前記出口ダクト(26)は、前記熱交換器本体(14)内へ開口する第1の末端(74)と、前記熱交換器本体(14)の外側に開口する第2の末端(76)とを有し、前記出口ダクト(26)は、前記第1の末端(74)と前記第2の末端(76)との間の中間部位の全体にわたって、前記出口ダクト(26)の前記第1の末端(74)の第1の水力直径値(Dh1)と前記出口ダクト(26)の前記第2の末端(76)の第2の水力直径値(Dh2)との間の水力直径(Dh)を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の熱交換器(10)。
【請求項9】
前記出口ダクト(26)の前記水力直径値(Dh)は、前記出口ダクト(26)の前記第1の末端(74)の前記第1の水力直径値(Dh1)から前記出口ダクト(26)の前記第2の末端(76)の前記第2の水力直径値(Dh2)まで増大することを特徴とする、請求項8に記載の熱交換器(10)。
【請求項10】
前記第1の水力直径値(Dh1)は、10.5〜11mmであることを特徴とする、請求項9に記載の熱交換器(10)。
【請求項11】
前記第2の水力直径値(Dh2)は、15〜16mmであることを特徴とする、請求項9または10に記載の熱交換器(10)。
【請求項12】
前記エンドプレート(20)および前記カバー(22)の組み付け面内で考慮される前記出口経路(26)の内幅(Ls)は、同じ組み付け面内で考慮される前記入口ダクト(24)の内幅(Le)よりも大きいことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の熱交換器(10)。
【請求項13】
前記出口ダクト(26)の前記内幅(Ls)は、14.5〜16.8mmであることを特徴とする、請求項12に記載の熱交換器(10)。
【請求項14】
前記内部パイプはプレート(12)のアセンブリを備えることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の熱交換器(10)。
【請求項15】
プレス加工されるリザーバ(40)が、前記入口ダクト(24)および前記出口ダクト(26)と流体連通を行なうために、前記カバー(22)の反対側で、前記エンドプレート(20)と前記熱交換器本体(14)の隣接するプレート(12)との間に配置されることを特徴とする、請求項14に記載の熱交換器(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車用の熱交換器の分野に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、流体を循環させるように構成された熱交換器本体を形成するために、長手積層方向に積層されるパイプのアセンブリを備える熱交換器、例えば、対を成して積層されるプレートのアセンブリを備えるプレート熱交換器に関する。
【背景技術】
【0003】
プレート熱交換器は、対象流体の循環回路の一部を形成する入口パイプおよび排出パイプを有し、該パイプにおいては、少なくとも1つの接続部分が長手積層方向に延びる。そのような構成は非常に嵩張る。
【0004】
本発明は、特に空調設備用に設計される蒸発器に適用されるが、この場合、熱交換器本体内を流れる流体は冷却剤であり、該冷却剤は、液相状態で流入するとともに、熱交換器本体を通り過ぎる空気流との熱交換後に、気相状態で流出し、前記熱交換により、例えば自動車の車室内に拡散される前に、空気流を冷却することができる。
【0005】
また、既知の熱交換器は、特にサイズに関して最適化されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特に、既知の熱交換器の前述した欠点を克服するようになっている。
【0007】
本発明は、特に、パイプの長手積層方向で更に小型化した前述したタイプの熱交換器に関する。
【0008】
また、本発明は、最適化された圧力降下を有し、かつ、自動車空調設備用の蒸発器として使用するのに特に適した熱交換器に関する。
【0009】
この目的のため、本発明は、第1の流体を循環させるように構成された熱交換器本体を形成するために長手積層方向に積層されるパイプのアセンブリを備え、例えばプレートのアセンブリから形成され、前記熱交換器本体が、該熱交換器本体の長手積層方向の一方の末端に配置される接続装置を備える、熱交換器を提案する。接続装置は、熱交換器本体内への流体の流入を許容し、かつ、熱交換器本体から流体を排出するために、入口ダクトおよび出口ダクトをそれぞれ連帯的に画定するべく互いに組み付け可能なエンドプレートおよびカバーを含む。
【課題を解決するための手段】
【0010】
特に、入口ダクトおよび出口ダクトは、長手積層方向に対して略垂直な横方向で開口する。
【0011】
好適には、入口ダクトおよび出口ダクトは、略エルボ形状を成す。
【0012】
本発明によれば、エンドプレートは、プレス加工部分を含み、該プレス加工部分は、第1の入口凹部と、第1の出口凹部とを備える。
【0013】
また、カバーは、第2の入口凹部および第2の出口凹部を含む。
【0014】
このように配置されて、エンドプレートのプレス加工部分とカバーとを組み付けた後、第1の入口凹部は、入口ダクトを画定するために第2の入口凹部と協働し、また、第1の出口凹部は、出口ダクトを画定するために第2の出口凹部と協働する。
【0015】
好適には、入口ダクトおよび出口ダクトはそれぞれ、カバーの第2の入口凹部および第2の出口凹部によって本質的に画定される断面を有する。
【0016】
具体的には、第1の入口凹部および第1の出口凹部は、第2の入口凹部および第2の出口凹部の十分な深さよりも浅い有限深さを有する。
【0017】
特に、第1の入口凹部および第1の出口凹部の有限深さは、1mm未満、好ましくは0.5mm未満であり、また、第2の入口凹部および第2の出口凹部の十分な深さは、10mm未満、好ましくは8mm未満である。
【0018】
また、別の実施形態によれば、出口ダクトは、熱交換器本体内へ開口する第1の末端と、熱交換器本体の外側に開口する第2の末端とを有する。また、出口ダクトは、第1の末端と第2の末端との間の中間部位の全体にわたって、出口ダクトの第1の末端の第1の水力直径値と出口ダクトの第2の末端の第2の水力直径値との間の水力直径を有する。
【0019】
特に、出口ダクトの水力直径値は、出口ダクトの第1の末端の第1の水力直径値から出口ダクトの第2の末端の第2の水力直径値まで増大する。
【0020】
好ましくは、第1の水力直径値は、10.5〜11mm、好ましくは10.8mmであり、および/または、第2の水力直径値は、15〜16mm、好ましくは15.6mmである。
【0021】
本発明によれば、エンドプレートおよびカバーの組み付け面内で考慮される出口ダクトの内幅は、同じ組み付け面内で考慮される入口ダクトの内幅よりも大きい。
【0022】
特に、出口ダクトの内幅は、14.5〜16.8mm、好ましくは16mmに近い。
【0023】
最後に、また、更に、プレス加工されるリザーバが、入口ダクトおよび出口ダクトと流体連通を行なうために、カバーの反対側で、エンドプレートと熱交換器本体の隣接するプレートとの間に配置される。
【0024】
これにより、積層方向で考慮される入口ダクトおよび出口ダクトのサイズが減少する。そのようなサイズ減少は、特に、熱交換器本体の厚さにほぼ対応するプレートの幅が40mm以下である自動車用の空調蒸発器において求められる。
【0025】
これにより、エンドプレートおよびカバーは、既知の熱交換器本体にも組み付け可能な2つの特定の構成要素を形成する。
【0026】
これは、側方供給または端部供給のいずれかを伴う熱交換器を形成するために単一の熱交換器本体を使用できるため、有用性を高める。
【0027】
本発明の他の特徴および利点は、本発明およびその実施形態の理解に役立つように、かつ、必要に応じて本発明を規定するのに役立つように、非限定的な例として設けられる添付図面に関連して以下に与えられる説明に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係る熱交換器の斜視図。
図2】本発明に係る熱交換器のエンドプレートの斜視図。
図3図2のエンドプレートの分解斜視図。
図4図2のエンドプレートの側面図。
図5図4の線V−Vに沿う断面図。
図6図4の線VI−VIに沿う断面図。
図7図4の線VII−VIIに沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
最初に、熱交換器10の斜視図である図1を参照すると、この例において、熱交換器10は、自動車空調設備のための蒸発器を備える。
【0030】
熱交換器10は、例えば、流体、好適には冷却剤の循環のための内部パイプを画定する熱交換器本体14を形成するために、長手積層方向または第1の方向xに対を成して積層されるプレート12のアセンブリを備える。
【0031】
あらためて表明するが、プレート12は、それぞれ、プレス加工された金属シート、例えばアルミニウム合金シートから形成され、該金属シートは、第1の流体の第1の循環ダクトを画定するために、特に蝋付けによって互いに結合されるように形成されるそれぞれのアセンブリエッジを有する。第1の流体、特に冷却剤の第1の循環ダクトは、図1に矢印Aにより示されるように、熱交換器本体14の外側を通り過ぎる第2の流体、好ましくは空気のための循環通路と交互になっている。
【0032】
プレート12は、第1のエンドボス16と、第2のエンドボス18とを含む。プレート12の第1のエンドボス16のそれぞれは、特に蝋付けによって、隣接するプレート12の第1のエンドボス16と組み付けられるようになっている。同様に、プレート12の第2のエンドボス18のそれぞれは、特に蝋付けによって、隣接するプレート12の第2のエンドボス18と組み付けられるようになっている。
【0033】
本実施形態に係る図1の上端に見出される第1のエンドボス16には、それぞれ、プレート12の長手積層方向に平行に延びる(図1では見えない)2つの内部循環ダクトの画定を可能にする2つの開口(図1では見えない)も設けられる。
【0034】
第2のエンドボス18は、同様の態様で形成されるとともに、更なる2つの内部循環ダクトを画定可能にする。
【0035】
第1のエンドボス16および第2のエンドボス18の開口によって形成される循環ダクトは、1つ以上の通路内での循環のため、流体連通をプレート12間で確立できるようにする。
【0036】
そのような蒸発器構造は、本発明の規定を補完する情報を含む文献である仏国特許出願公開第2929388号明細書に記載されている。
【0037】
また、第1の流体、好ましくは冷却剤と、第2の流体、好ましくは空気との間の熱交換表面を増大するために、熱交換フィンを形成する波形挿入体が、第2の流体のための循環通路内において、プレート12の対のそれぞれの第1のエンドボス16と第2のエンドボス18との間の空間内で、隣接するプレート12の2対の間に配置される。
【0038】
熱交換器本体14には、長手積層方向のその末端の一方に接続装置19が設けられ、該接続装置19は、エンドプレート20または入口/出口プレート20を備える。
【0039】
エンドプレート20は特定のプレートであり、その構造は、熱交換器本体14を形成するために対を成して積層されるプレート12のアセンブリを形成するプレート12とは異なる。
【0040】
エンドプレート20は、熱交換器本体14の長手積層方向の末端に位置するプレート12に対して組み付けられる。
【0041】
接続装置19は、入口ダクト24および出口ダクト26をエンドプレート20と協働して画定するために、好適にはプレス加工によって得られるカバー22も含む。
【0042】
本発明によれば、入口ダクト24および出口ダクト26は略エルボ形状を成す。
【0043】
入口ダクト24および出口ダクト26は、内部が熱交換器本体14内に開口し、かつ、矢印F1および矢印F2によってそれぞれ示されるように、第1の流体の流入を許容するとともに第1の流体を排出するために、外部が熱交換器本体14の同じ側で開口する。その結果、入口ダクト24および出口ダクト26は、長手積層方向xに対して、略垂直な横方向yで開口する。
【0044】
入口および出口ダクト24,26は、空気流の方向と平行な方向で開口することにより、熱交換器10と膨張弁(図示せず)との間の連結パイプの経路を簡略化するのに役立つ。エンジンルームと車室との間の境界にある上記膨張弁の配置と、その熱交換面が空気流の方向に対して垂直になるように方向付けられる車室内の蒸発器の配置とを更に考慮すると、ダクト24,26の上記配向は、これらのダクトが膨張弁と略一直線になる傾向にある。したがって、このように熱交換器を膨張弁に連結可能にする連結手段がより真っ直ぐとなり、前記連結手段の各パイプ内の圧力降下を減少させるのにも役立つ。
【0045】
長手積層方向xは、横方向yおよび垂直方向zとの直接二面角を形成する。
【0046】
入口ダクト24および出口ダクト26は、第1のエンドボス16の開口によって熱交換器本体14内に画定される2つの循環ダクトとそれぞれ連通する。
【0047】
図2図4は、エンドプレート20の組み付け斜視図、分解図、および、平面図をそれぞれ示している。つまり、図2図4は、エンドプレート20およびカバー22の構造を示している。
【0048】
好適には、エンドプレート20は、金属シート、例えばアルミニウム合金のシートをプレス加工することによって形成される。
【0049】
エンドプレート20は、第2のエンドボス18のそれぞれの開口によって画定される循環ダクトを閉じるために、隣接するプレート12の第2のエンドボス18を押し付ける突出部29を成す一方の末端で(図2の下端で)終端する、好適にはリブ付き構造を有する略長方形の壁28を有する。
【0050】
反対側の末端において(図2の上端において)、エンドプレート20は、カバー22と協働して入口ダクト24および出口ダクト26を画定可能なプレス加工部分30を有する。
【0051】
プレス加工部分30は、入口ダクト24を画定するのに役立つ第1の入口凹部32と、出口ダクト26を画定するのに役立つ第1の出口凹部34とを含む。
【0052】
エンドプレート20は、図3に示されるように、熱交換器本体14内に画定される第1のエンドボス16および第2のエンドボス18の開口によって形成される循環ダクトとの流体連通を可能にするために、プレス加工部分30に形成される入口開口36および出口開口38も含む。
【0053】
図示の非限定的な例によれば、第1の入口凹部32および第1の出口凹部34は、それぞれ略円弧形状を成す。特に、第1の入口凹部32は、図2図4に示されるように、略四分円にわたって第1の出口凹部34を外側から取り囲む。
【0054】
また、接続装置19は、好適にはプレス加工されるリザーバ40も含む。別の実施形態によれば、リザーバ40は、プレート12の第1のエンドボス16とほぼ同じ形状を有する。
【0055】
リザーバ40は、エンドプレート20と熱交換器本体14の長手積層方向の末端に位置されるプレート12との間に配置される。リザーバ40は、接続装置19のエンドプレート20の壁28に対してカバー22と反対側に配置される。リザーバ40は、熱交換器本体14と入口ダクト24および出口ダクト26との間の流体連通を行なうようになっている。
【0056】
リザーバ40は、入口開口42および出口開口44を有する。入口開口42および出口開口44は、図3に示されるように、エンドプレート20の入口開口36および出口開口38とそれぞれ位置合わせされる。
【0057】
カバー22は、好適には十分な深さの第2の入口凹部46および第2の出口凹部48を有する。第2の入口凹部46および第2の出口凹部48は、入口ダクト24および出口ダクト26を画定するために第1の入口凹部32および第1の出口凹部34とそれぞれ対向するようになっている。
【0058】
図示の非限定的な例によれば、第2の入口凹部46および第2の出口凹部48もそれぞれ略円弧形状を成す。特に、第2の入口凹部46は、略四分円にわたって第2の出口凹部48を外側から取り囲む。その結果、入口ダクト24および出口ダクト26は、それぞれ、図2図4に示されるように、略円弧形状を成す。
【0059】
図示の実施形態に係るこの構成により、入口ダクト24は、図1図4に示されるように、略四分円にわたって出口ダクト26を外側から取り囲む。
【0060】
円弧のカーブを有する経路を画定する任意の入口凹部または出口凹部は、好適には、接続装置19内を流れる流体の圧力降下を減らすのに役立つ。
【0061】
熱交換器を通過する空気の流れ方向で平行な入口および出口ダクト24,26の配向を補完して、接続装置の凹部のそのような円弧形状は、好適には、流体の流れ方向に関して、熱交換器10の本体14の上流側および下流側の圧力降下を大きく減少させるのに役立つ。
【0062】
したがって、接続装置19は、少なくともエンドプレート20およびカバー22を含む。また、接続装置19は、熱交換器本体14との連通のためのリザーバ40を含んでもよい。
【0063】
このように、一方では、第1の入口凹部32および第1の出口凹部34が、また、他方では、第2の入口凹部46および第2の出口凹部48が、エンドプレート20のプレス加工部分30とカバー22、あるいは、リザーバ40との組み付け後に入口ダクト24および出口ダクト26を画定するのに役立つ。
【0064】
好適には、第2の入口凹部46および第2の出口凹部48は、有限深さを有する第1の入口凹部32および第1の出口凹部34に対して十分な深さを有する。したがって、第1の入口凹部32および第1の出口凹部34のプレス加工深さは、第2の入口凹部46および第2の出口凹部48のプレス加工深さよりも浅い。
【0065】
このことは、入口ダクト24および出口ダクト26の内部断面が、カバー22の第2の入口凹部46および第2の出口凹部48によって本質的に画定されることを意味する。その結果、エンドプレート20は、長手積層方向ではカバー22よりも小さくなる。
【0066】
また、「有限深さ」という表現は、プレス加工深さが少なくとも局所的に殆どゼロであってもよいことも意味するようになっており、この場合、入口ダクト24および出口ダクト26は、主に、カバー22の第2の入口凹部46および第2の出口凹部48によって画定される。結果として、接続装置19は、第1の入口凹部32および第1の出口凹部34の有限深さに起因して、熱交換器本体14を通過する第2の流体のための循環通路により形成される流れ領域を侵害しない。
【0067】
入口ダクト24および出口ダクト26の内部断面は、図4の線V−V、線VI−VI、および、線VII−VIIにそれぞれ沿う断面である、図5図7に示されるように先細っている。
【0068】
図6に示されるように、エンドプレート20のプレス加工部分30の第1の入口凹部32および第1の出口凹部34は、それぞれ、第1の入口後壁50および第1の出口後壁52によって画定され、これらの後壁は、略平坦な形状を有するとともに、エンドプレート20の壁28を形成する第1の略平坦な接合壁54に接続される。第1の入口凹部32および第1の出口凹部34の深さは、それぞれ、P,Pであり、P,Pは同じであってもよいし、異なってもよい。
【0069】
カバー22の第2の入口凹部46および第2の出口凹部48は、それぞれ、第2の入口後壁56および第2の出口後壁58によって画定される。好適には、第2の入口後壁56および第2の出口後壁58は、略半円形状を成すとともに、カバー22を形成する第2の接合壁60に接続される。第2の入口凹部46および第2の出口凹部48の深さは、それぞれ、P,Pであり、P,Pは同じであってもよいし、異なってもよい。
【0070】
第1の接合壁54および第2の接合壁60は、組み付けのための接合面に沿って、特に蝋付けにより互いに結合可能である。
【0071】
図示の例では、第1の入口凹部32および第1の出口凹部34のそれぞれの深さP1,P2は、特に約35〜40mmの横方向yの幅Lを有するプレートの場合は、一般に1mm未満であり、好ましくは0.5mm未満である。
【0072】
図示の例では、第2の入口凹部46および第2の出口凹部48のそれぞれの深さP,Pは、約35〜40mmの幅Lを有するプレートの場合は、一般に10mm未満であり、好ましくは8mmである。
【0073】
幅Lは、熱交換器本体14の厚さに対応する。
【0074】
図5の断面は、入口ダクト24および出口ダクト26が熱交換器本体14内へ開口する領域に形成される。なお、一例として、この領域における第1の入口凹部32および第1の出口凹部34のそれぞれの深さP,Pはゼロである。したがって、このラインに沿って、入口ダクト24および出口ダクト26の断面は、本質的に、カバー22の第2の入口凹部46および第2の出口凹部48によって形成される。
【0075】
図3に示されるように、エンドプレート20の第1の入口凹部32および第1の出口凹部34は、それぞれ、第1の入口ハーフカラー62および第1の出口ハーフカラー64で終端する。同様に、カバー22の第2の入口凹部46および第2の出口凹部48は、それぞれ、第2の入口ハーフカラー66および第2の出口ハーフカラー68で終端する。
【0076】
第1の入口ハーフカラー62および第2の入口ハーフカラー66は、入口ダクト24のための好ましくは円形のカラーを連帯的に画定する。同様に、第1の出口ハーフカラー64および第2の出口ハーフカラー68は、出口ダクト26のための好ましくは円形のカラーを連帯的に画定する。
【0077】
図1図3に示される別の実施形態によれば、入口ダクト24および出口ダクト26のためのカラーは、それぞれ、入口チップ70および出口チップ72に囲まれる。具体的には、入口チップ70および出口チップ72は、段付きスリーブの形態で設けられる。入口チップ70および出口チップ72は、熱交換器10を第1の流体の循環回路(図示せず)に接続可能にする。
【0078】
入口および出口チップ70,72は、略管状のリングである。各リングの外径は、第2の管状部によって延在される第1の管状部を含む。第2の管状部の外径は、第1の管状部の外径よりも大きく、それにより、肩部が形成される。第2の管状部の自由端はフランジである。フランジおよび第2の管状部は、関連するダクト上に各チップ70または72を取り付けて該チップの回転を防止するための手段を含む。そのような取り付け・回転防止手段は、第2の管状部の一部およびフランジの全体の厚さにわたって延びる2つの切り欠きを備える。各切り欠きは、ダクト70,72を画定するカバーおよびプレート上に形成される接合壁54,60の組と形状の補完によって協働するように形成される。切り欠きは、チップ70,72の中央平面内で延びる。
【0079】
チップ70,72のそれぞれを既に組み付けられたプレートおよびカバー上に嵌め付けることにより、プレートおよびカバーによりもたらされる入口ダクトおよび出口ダクトのそれぞれを完全に位置決めすることができる。この目的のため、このようにして嵌め付けられるチップは、プレートおよびカバーの接触および圧縮を保証し、それにより、これらの2つの部品の蝋付けが容易になる。また、そのような構造は、接続装置19の構成要素の剛性および封止を改善するのに役立つ。更に、プレート20およびカバー22に組み付けられるそのようなチップの使用は、組み立ておよび製造の公差および遊びを減少させることにより、既知の解決策と比べて建造品質を向上させる。
【0080】
蒸発器の特定のケースでは、熱交換器10を通じて流れる第1の流体が相変化する冷却剤であり、入口ダクト24は、液相状態の第1の流体の流入を許容するために使用され、出口ダクト26は、気相状態の第1の流体を排出するために使用される。
【0081】
本発明は、特に出口ダクト26内の内部圧力降下を最適化するようになっている。前述した接続装置19の構造は、具体的には、熱交換器本体14と出口チップ72との間の出口ダクト26の水力直径の寸法を決めることにより、そのような最適化を可能にする。
【0082】
あらためて表明するが、パイプの水力直径Dhは4A/Pであり、ここで、
Aはパイプの空気流面積であり、
Pはパイプの流れ領域の湿潤周長である。
【0083】
出口ダクト26は、熱交換器本体14内へ開口する第1の末端74と、出口チップ72により熱交換器本体14の外側に開口する第2の末端76とを有する。
【0084】
出口ダクト26は、第1の末端74と第2の末端76との間の中間部位の全体にわたって、第1の末端74の第1の水力直径値Dhと第2の末端76の第2の水力直径値Dhとの間の水力直径Dhを有する。出口ダクト26の水力直径値Dhは、第1の水力直径値Dhから第2の水力直径値Dhまで増大することが好ましい。
【0085】
図4に示されるように、出口ダクト26は、エンドプレート20およびカバー22の組み付け面内で考慮される内幅Lsを有する。本発明によれば、内幅Lsは、エンドプレート20およびカバー22の組み付け面内で考慮される入口ダクト24の内幅Leよりも大きい。
【0086】
一例として、出口ダクト26の内幅Lsは、14.5〜16.8mmであり、16mmに近いことが好ましい。同様に、好適には、出口ダクト26の水力直径値Dhは、第1の末端74における10〜11mm、特に10.8mmの第1の第1値Dhから、第2の末端76における15〜16mm、特に15.6mmの第2の第1値Dhまで漸進的に増大する
【0087】
一実施形態では、熱交換器本体14の横方向yの厚さに対応するプレート12の幅Lが38mmであり、出口ダクト26の幅Lsが16mmであり、入口ダクト24の幅Leが10mmである。そのような設定は、それぞれ、熱交換器10の厚さの42%および26%に対応する。この例では、深さP,Pが0.4mmである。
【0088】
したがって、本発明は、側方供給自動車空調設備における蒸発器にとって特に重要な熱交換器10の長手積層方向xのサイズを最適化可能にする。確かに、そのような蒸発器に割り当てられる空間は制限されており、このサイズを制限することは有益である。これは、40mm以下の厚さの蒸発器に特に適用できる。
【0089】
また、本発明は、前述したように、出口ダクト26の水力直径を最適化可能にする。
【0090】
本発明の他の更なる利点は、エンドプレート20およびカバー22を標準的な熱交換器本体14に組み付け可能であるという点である。
【0091】
したがって、熱交換器本体14は、本発明に係る側方供給熱交換器、および、端部供給熱交換器の両方において使用することができる。
【0092】
いかなる場合でも、同じ組み付け方法および同じ工具を使用できる。このとき、熱交換器10の構成要素は、単一の工程で互いに蝋付けされる。
【0093】
勿論、本発明は、単なる一例として与えられる前述した実施形態に限定されない。本発明は、本発明の範囲内で当業者が想起し得る任意の他の改変形態、代替形態、または、他の変形、および、特に前述した異なる実施形態の全ての組み合わせを包含する。
【0094】
確かに、本発明は、曲げあるいは任意の他の方法によって熱交換器がプレートのアセンブリから形成されるか否かにかかわらず、熱交換器本体がパイプから成る熱交換器と共に使用することもできる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7