(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5887355
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】吸入器用の薬用モジュール
(51)【国際特許分類】
A61M 11/00 20060101AFI20160303BHJP
【FI】
A61M11/00 F
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-540393(P2013-540393)
(86)(22)【出願日】2011年11月28日
(65)【公表番号】特表2013-544156(P2013-544156A)
(43)【公表日】2013年12月12日
(86)【国際出願番号】EP2011071118
(87)【国際公開番号】WO2012072542
(87)【国際公開日】20120607
【審査請求日】2014年10月10日
(31)【優先権主張番号】10192975.0
(32)【優先日】2010年11月29日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/433,696
(32)【優先日】2011年1月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】アラスデア・ジョージ・ヤング
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・トマス・デ・ソースマレズ・リンテル
【審査官】
姫島 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】
特表2005−533585(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0240712(US,A1)
【文献】
特表2007−533363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 11/00
A61M 13/00
A61M 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物吸入器(2)とともに使用するために構成される薬用モジュールであって、薬用モジュールは:
遠位端及び近位端を有し、薬物吸入器(2)への取り外し可能な取り付けのために構成されるハウジング(5);
取り外し可能キャップ(4);
第1のシール(21)及び第2のシール(7)を有し、薬剤の用量を含有するリザーバ(20);
を含んでなり:
ここで第1のシール(21)は薬物吸入器(2)への薬用モジュールの取り付けによって開かれるように構成され;そして
キャップ(4)は、キャップの取り外しがリザーバ(20)から第2のシールを取り去るように、第2のシール(7)に機能的に連結される、上記薬用モジュール。
【請求項2】
ハウジング(5)の近位端に取り付けられ、薬物吸入器(2)への薬用モジュールの取り付けによって第1のシール(21)を穿孔するように構成される、カニューレ(24)を更に含んでなる、請求項1に記載の薬用モジュール。
【請求項3】
ハウジング(5)の遠位端にマウスピース(11)を更に含んでなる、請求項1又は2に記載の薬用モジュール。
【請求項4】
リザーバ(20)が、カニューレによって画成される軸に対して測定して約60から120度までの範囲の角度でハウジング内に位置付けられ、リザーバ(20)からの薬剤がリザーバチャンバ(32)に引き入れられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬用モジュール。
【請求項5】
リザーバ(20)がベンチュリインジェクタとして構成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の薬用モジュール。
【請求項6】
スライダが遠位方向に移動したとき、リザーバ(20)に連結された第3のシールを開けるためのスライダ(30)を更に含んでなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の薬用モジュール。
【請求項7】
リザーバ起動機構(23)を更に含んでなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の薬用モジュールであって、リザーバ起動機構(23)は、薬用モジュールが取り付け状況にないときの第1の位置から、薬用モジュールが取り付け状況にあるときの第2の位置までハウジング(5)に対して可動である、上記薬用モジュール。
【請求項8】
リザーバ起動機構(23)は、取り付け状況にあるとき、薬物吸入器(2)のチャンネル(27)と係合し、密閉流路を形成するように構成される、請求項7に記載の薬用モジュール。
【請求項9】
リザーバ起動機構(23)は、流路(24)、付勢エレメント(22)、及びガスケット(25)を含む請求項7又は8に記載の薬用モジュールであって、流路(24)は、薬用モジュールが取り付け状況にあるとき、リザーバ(20)と薬物吸入器のチャンネル(27)間の流体連通を確立するように構成される、上記薬用モジュール。
【請求項10】
流路(24)はカニューレを含み、付勢エレメント(22)はばねを含み、そして薬用モジュールが取り付け状況にあるとき、リザーバ起動機構(23)は、ばね(22)によってもたらされる力に抗して第2の位置にあり、シール(21)はカニューレ(24)によって穿孔され、そしてガスケット(25)は圧縮されて薬物吸入器(2)のチャンネル(27)とシールを形成する、請求項9に記載の薬用モジュール。
【請求項11】
組み合わせて、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の薬用モジュール;及び
圧縮流体のリザーバ(10)を含んでなる加圧式定量ハウジング(2)を含んでなる、吸入器薬物送達システム。
【請求項12】
圧縮流体のリザーバが更に薬剤を含む、請求項11に記載の吸入器薬物送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、吸入器デバイスを用いて1つ又はそれ以上の薬物を送達するための医療デバイスに関する。特に、本出願は、少なくとも2つの薬物作用物質(drug agent)を、単一起動機構、ボタン又はトリガー及び単回投薬インターフェース(即ち、マウスピース)だけを有する吸入器デバイスを用いて、別々のリザーバから送達する医療デバイス及び方法に関する。使用者によって開始される送達手順は、第1の薬物作用物質の設定用量と合わせた第2の薬物作用物質の非使用者設定可能用量(即ち、固定用量)を、患者に送達されるようにさせる。薬物作用物質は、2つ又はそれ以上のリザーバ、容器、又は包装にて利用可能で、各々は独立の(単一薬物化合物)又はプレミックスされた(共製剤化多剤薬物化合物(co-formulated multiple drug compounds))薬物作用物質を含有する。
【背景技術】
【0002】
ある疾患は薬剤の同じ又は類似用量により多くの患者の処置を必要とする。薬剤又は薬物化合物は、迅速、確実及び費用効率が高く送達される必要がある。本発明は、治療が薬剤の経口適用を必要とする場合に特に有利である。
【0003】
本発明は、特に無菌薬剤が単一吸入器デバイスにより一人又はそれ以上の患者に投与される予定であるとき、1つ又はそれ以上の薬物は吸入用に送達される必要がある場合に有利である。
【0004】
ある疾患は1つ又はそれ以上の異なる薬剤を用いる処置を必要とする。幾つかの薬物化合物は、最適治療用量を送達するために、互いに特定の関連において送達される必要がある。本発明は、併用療法が望ましいが、限定されるものではなく、安定性、不十分な治療効果、及び/又は毒性などの理由で単一製剤では可能でない場合に特に有利である。
【0005】
例えば、ある場合には、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)と合わせた長時間作用型インスリンの組み合わせで糖尿病に罹っている患者を処置することは有利であり得る。このGLP−1はプログルカゴン遺伝子の転写産物から由来する。GLP−1は体内に見出され、そして消化管ホルモンとして腸管L細胞により分泌される。GLP−1は、それ(及びそのアナログ)を糖尿病の可能な処置法として広範囲な検討の対象とする幾つかの生理学的性質を有する。あるいは、喘息を処置するような薬物、例えばLABA(長時間作用型βアゴニスト)及びコルチコステロイドの他の組み合わせが本発明において使用し得る。
【0006】
本明細書で使用される用語「薬物」又は「薬剤」は、例えば、喘息又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような閉塞性気道又は肺疾患、アレルギー、糖尿病の処置のための、少なくとも1つの薬学的活性化合物を含有する医薬製剤を意味する。
【0007】
活性医薬品化合物は好ましくは、吸入に好適な活性医薬品化合物、好ましくは抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、鎮咳薬、気管支拡張薬、抗コリン作動薬、及びその組み合わせから成る群から選択される。
【0008】
活性医薬品化合物は例えば以下から選ばれ得る;
・ヒトインスリンのようなインスリン、例えば組換えヒトインスリン、又はヒトインスリンアナログ若しくは誘導体、グリカゴン様ペプチド(GLP−1)又はそのアナログ若しくはその誘導体、又はエキセンジン−3若しくはエキセンジン−4又はエキセンジン−3若しくはエキセンジン−4のアナログ若しくは誘導体;
・短時間作用型β2アゴニスト(例えばサルブタモール、アルブテロール、レボサルブタモール、フェノテロール、テルブタリン、ピルブテロール、プロカテロール、ビトルテロール、リミテロール、カルブテロール、ツロブテロール、レプロテロール)、長時間作用型β2アゴニスト(LABA、例えばアルホルモテロール、バンブテロール、クレンブテロール、ホルモテロール、サルメテロール)、超LABA(例えばインダカテロール)などのアドレナリン作動薬、又は別のアドレナリン作動薬(例えばエピネフリン、ヘキソプレナリン、イソプレナリン(イソプロテレノール)、オルシプレナリン、(メタプロテレノール));
・グルココルチコイド(例えばベクロメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、フルチカゾン、モメタゾン、フルニソリド、ベタメタゾン、トリアムシノロン);
・抗コリン作動薬又はムスカリンアンタゴニスト(例えば臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、臭化チオトロピウム);
・肥満細胞安定剤(例えばクロモグリク酸、ネドクロミル);
・キサンチン誘導体(例えばドキソフィリン、エンプロフィリン、テオブロミン、テオフィリン、アミノフィリン、コリンテオフィリナート);
・ロイコトリエンアンタゴニスト(例えばモンテルカスト、プランルカスト、ザフィルルカスト)のようなエイコサノイド阻害剤、リポキシゲナーゼ阻害剤(例えばジロイトン)、又はトロンボキサン受容体アンタゴニスト(例えばラマトロバン、セラトロダスト);
・又はいずれか2つ、3つ又はそれ以上の上記化合物種又は化合物の組み合わせ(ブデソニド/ホルモテロール、フルチカゾン/サルメテロール、臭化イプラトロピウム/サルブタモール、モメタゾン/ホルモテロール);
・又は上記指定化合物のいずれかの薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物若しくはエステル。
【0009】
薬学的に許容される塩は、例えば、酸付加塩及び塩基性塩である。酸付加塩は、例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、硫酸メチル、リン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、フマル酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、エデト酸塩、メシル酸塩、パモ酸塩、パントテン酸塩又はヒドロキシナフトエ酸塩である。塩基性塩は、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、Na
+、又は、K
+、又は、Ca
2+から選択されるカチオン、又は、アンモニウムイオンN
+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩であり、ここで、R1〜R4は互いに独立に、水素、場合により置換されるC1〜C6アルキル基、場合により置換されるC2〜C6アルケニル基、場合により置換されるC6〜C10アリール基、又は場合により置換されるC6〜C10ヘテロアリール基である。薬学的に許容される塩の更なる例は、“Remington's Pharmaceutical Sciences”17編、Alfonso R.Gennaro(編集),Mark Publishing社,Easton, Pa., U.S.A., 1985 及び Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。薬学的に許容されるエステルは、例えば、酢酸塩、プロピオン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩又はエタボナート(etabonates)であってよい。
【0010】
薬学的に許容される溶媒和物は、例えば、水和物である。
【0011】
2つの薬剤又は「作用物質(agents)」を同時に送達するとき、多くの潜在的な問題が発生し得る。ほんの1つの例として、単一容器にあるとき2つの活性剤(active agents)は、製剤の長期、貯蔵期間保存中に互いに相互作用し得る。従って、活性成分を別々に保存すること、及び次いで送達、例えば注射、無針注射、ポンプ、又は吸入の時点でそれらをただ単に組み合わせることは有利である。しかしながら、2つ又はそれ以上の作用物質を組み合わせるいずれかの可能な方法は、使用者が確実に反復してそして安全に実施できるように単純かつ簡便である必要がある。
【0012】
1つの更なる懸念は、可能な組み合わせ用量及び療法を構成する各活性剤の量及び/又は割合は、各使用者で又はそれらの療法の異なる段階で変更される必要があり得ることである。また一方、ほんの1例として、1つ又はそれ以上の活性剤は、患者を「維持」用量まで徐々に導くのに調節期間(titration period)を必要とし得る。更なる例は、1つの活性剤が無調整固定用量を必要とする一方で、他の作用物質は患者の症状又は身体状況に応じて変わる場合である。この潜在的懸念は、これらのプレミックス製剤が、医療関係者又は使用者により変動し得ない活性成分の固定比率を有する可能性があることから、複数の活性剤のプレミックス製剤は好適ではない可能性があることを意味し得る。
【0013】
更なる懸念は、ある使用者は1つの薬物送達システムより多く使用しなければならず、又は所要用量組み合わせの必要な正確な計算をする必要があるのに対処し得ないために、多剤化合物療法が必要な場合に生じ得る。これは器用さ又は計算困難な使用者に特に当てはまる。
【0014】
従って、使用者が行うのに簡単かつ安全な、そしてまた薬剤の反復用量を摂取することによる患者の不安を低減する傾向にある加圧式定量噴霧式吸入器のような、吸入器型薬物送達デバイスの単回起動において、2つ又はそれ以上の薬剤の送達のためのデバイス及び方法を提供する強い必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本出願は吸入器デバイスへ取り付け可能な薬用モジュール、好ましくは多回用量噴霧剤の加圧式キャニスタを含有するもの、例えばいわゆる加圧式定量噴霧式吸入器(pMDI)デバイスを開示する。本発明の1つの態様によれば、加圧式キャニスタは一次又は第1の薬剤の多回用量を含有し得る。本発明の薬用モジュールは、使用者が一次デバイスの単回起動から2つの薬剤の用量を受けることができる手段を提供し、それ故にそれらの保存時の負担及び操作の複雑さを低減する。薬用モジュールは、薬用モジュールのマウスピースに対する出口オリフィスの幾何形状が標準pMDIと同じであることを確実にすることにより、一次デバイスのプルーム幾何形状プロファイルを維持することを企図する。そのような設計幾何形状の維持は、分離して使用されるとき、並びにそれが薬用モジュールと組み合わされるとき、一次デバイスから第1の薬剤の薬剤送達間の優れた比較可能性を確実にするのに資する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の別の態様によれば、本発明の薬用モジュールは、使用者が滅菌容器から薬剤の単回用量を受けることができる手段を提供する。吸入器デバイスは噴霧剤を含有する加圧式キャニスタを有してよい。薬用モジュールは薬剤の単回用量を含んでよい。各用量は薬剤の薬用モジュール中に別々に含有され、そして投与の時点まで無菌である。それ故に、薬剤は吸入器デバイスよりもむしろモジュールによって提供される。そのような薬用モジュールにより、幾人かの使用者は同じ吸入器デバイスを用いて無菌薬剤から恩恵を受け得る。例えば、吸入器マウスピースは薬用モジュールを含んでよい。各患者に新しいマウスピースを備えることで、介護者が各患者に安全で無菌の経口薬剤を提供するのに資することができる。使用し易さに加えて、当業者には当然のことながら、この解決策はまた質の高い医療水準を維持しつつ費用効率が高い。
【0017】
使用即ち、吸入器の取り付けに先立って、薬用モジュールは密閉された薬物キャビティ又はリザーバ内に薬剤を含有する手段を備える。第2の薬剤を保持する薬物キャビティを形成するように使用され得る可能な材料は;アセタール(ポリオキシメチレン、ポリアセタール又はポリホルムアルデヒド)、COC(シクロオレフィン共重合体)、COP(シクロオレフィン重合体)及びPBT(ポリブチレンテレフタレート)を含んでよい(しかしこれに限定されるものではない)。薬用モジュールにおけるリザーバの密閉は、ホイルシール(単層又は多層)、止め具栓、セプタムの組み合わせ又は当技術分野で公知の類似手段を通して実現され得る。
【0018】
一次又は吸入器デバイスへの組み立て時に、薬用モジュール中のリザーバは、自動的に係合され、それ故に薬用モジュールの遠位端において出口スプレーオリフィス、即ち、マウスピースへの流路を確立する。好ましくは、流路中の継手は、最小の漏れ又は漏れなしが投薬中に起こることを確実にするのに資するように、ゴム又はTPEなどの準拠材料を用いて確立し得て、そしてそれ故に送達用量効率が維持される。リザーバの流路を吸入器中のキャニスタの流路と係合する動作は、組み立て中にデバイスとの使用者相互作用を自動的に単純化する。
【0019】
システムは、薬用モジュールだけが使用者により一度だけ使用されることができることを確実にするのに資する。これは、デバイスを通して使用者による吸入後にだけ起動される(閉鎖される)機械弁(又は類似の気流制限手段)の一体化を通して実現され得る。いずれのそのような機構又は機能の目的は、薬用モジュールを通してその後の更なる気流を阻止し/著しく制限することであり得て、それによりこの状況を使用者に警告する。代わりに及び/又は加えて本発明は下記の機能を含み得る;
1.既使用薬用モジュールの一次薬物送達又は吸入器デバイスへの再取り付けを阻止する。
2.使用及び交換後に薬用モジュールの交換可能マウスピースキャップの取り外れを阻止する。
3.一次又は吸入器デバイス中のキャニスタの軸方向運動の物理的ブロッキング
4.一度投薬が生じた時点の視覚的警告(例えばモジュール上の表示窓内の警告文/インディシア)。
【0020】
本発明の1つの実施態様では、薬物吸入器とともに使用するための薬用モジュールは、吸入器のマウスピースへの取り外し可能な取り付けのために構成されるハウジングを含み、ここではハウジングは遠位端及び近位端を有する。薬剤の少なくとも1つの用量を有するハウジング内に含有される少なくとも1つのリザーバがあり、ここではリザーバは第1のシール及び第2のシールを有する。カニューレ又は他のタイプの流路は、モジュールが吸入器のマウスピースに、好ましくはマウスピースへの挿入によって取り付けられるとき、第1のシールが一次リザーバ又は吸入器のキャニスタからの排出と流体連通を確立するためにカニューレによって穿孔されるように、ハウジングの近位端に取り付けられる。
【0021】
あるいは、流路は第1のシールとして機能するチェックバルブにより可逆的に密閉される。モジュールのハウジングの近位端における突出部は、モジュールが取り付けられるときシールを開くように構成され得る。例えば、第1のシールは密閉位置においてばねにより付勢されるボールを含んでよい。モジュールが取り付けられるとき、突出部はボールと係合し、そして付勢力に抗してそれを動かし、それ故に流路を開く。シールは開口位置にある。モジュールを吸入器から取り外す時に、ボールは付勢力に因りその第1の位置に戻り、そしてシールは再び閉鎖される。他のタイプの逆止弁及び逆流弁もまた実行可能である。更なる代替物として、第1のシールはモジュールのハウジングの近位端に突出するシヤーピンを含んでよい。シヤーピンはリザーバへの流路をシール密閉し得る。モジュールが吸入器デバイスに取り付けられるとき、シヤーピンは吸入器の内側部材と係合し得て、そしてその構成に因り離脱し得て、そして第1のシールは開いている。
【0022】
更なる実施態様では、薬用モジュールは遠位端に連結される取り外し可能キャップを有する。キャップの取り外しがリザーバから第2のシールを取り去るように、好ましくは、キャップは第2のシールに機能的に連結される。キャップはまた、使用の直前まで薬用モジュールの内側チャンバを無菌に維持する。
【0023】
薬用モジュールのリザーバは多くの構成及び配向で設計されることができるが、2つの好ましい構成はマウスピースの軸(又はカニューレの軸)とインラインであるもの、及びマウスピースの軸にほぼ90度で配列している他のものを含む。この後者の構成はベンチュリ設計であり、それにより第1の薬剤の流れ又は吸入器中の一次リザーバ若しくはキャニスタからの流れは、薬用モジュールリザーバ中の第2の薬剤が第1の薬剤又は流体の流れ流に引き込まれるようにさせる。幾つかの例では、使用者がリザーバと関連する内部シールを取り外すことができるように、薬用モジュール上のスライダ又は他の可動部品を含むことが望ましいといえる。
【0024】
更なる実施態様では、薬用モジュールは更にリザーバ起動機構を含んでよく、ここでリザーバ起動機構は、薬用モジュールが取り付け状況にないときの第1の状態から、薬用モジュールが取り付け状況にあるときの第2の状態まで可動である。リザーバ起動機構が第1の状態にあるとき、薬用モジュールのリザーバは吸入器デバイスの流路と流体連通していない。リザーバ起動機構が第2の状態にあるとき、薬用モジュールのリザーバは吸入器デバイスの流路と流体連通している。
【0025】
更なる実施態様では、薬用モジュールは更にリザーバ起動機構を含んでよく、ここでリザーバ起動機構は、薬用モジュールが取り付け状況にないときの第1の位置から、薬用モジュールが取り付け状況にあるときの第2の位置までハウジングに対して可動である。
【0026】
更なる実施態様では、薬用モジュールは、取り付け状況にあるとき、薬物吸入器上にチャンネルを備える密閉流路を係合しそして形成するように構成されるリザーバ起動機構を含んでよい。
【0027】
更なる実施態様では、リザーバ起動機構は流路、付勢エレメント、及びガスケットを含んでよく、ここで流路は、薬用モジュールが取り付け状況にあるとき、薬用モジュールのリザーバと薬物吸入器上のチャンネル間で流体連通を確立するように構成される。
【0028】
更なる実施態様では、薬用モジュールはリザーバ起動機構を含んでよく、ここで流路はカニューレを含み、付勢エレメントはばねを含み、そして薬用モジュールが取り付け状況にあるとき、リザーバ起動機構はばねによってもたらされる力に抗して第2の位置にあり、シールはカニューレによって穿孔され、そしてガスケットは薬物吸入器上のチャンネルでシールを形成するように圧縮される。
【0029】
本発明の別の態様は、噴霧剤を含んでなる吸入器と組み合わせた1つ又はそれ以上の既述薬用モジュールのシステムに関する。実施態様によれば、吸入器は加圧式定量噴霧式吸入器(pMDI)を含んでよい。更なる実施態様では、吸入器は噴霧剤及び少なくとも1つの薬剤を含んでよい。
【0030】
尚別の実施態様では、本発明は、一次薬剤を含有する吸入器、好ましくは加圧式定量噴霧式吸入器(pMDI)と組み合わせた1つ又はそれ以上の既述薬用モジュールのシステムを含む。
【0031】
好ましい実施態様では、多回用量、使用者選択可能デバイス内に含有されるインスリンのような基本薬物化合物は、GLP−1及び単回投薬インターフェースのような二次薬剤の単回用量を含有する単回使用、使用者交換可能モジュールで使用することが可能である。薬物送達デバイスに連結されたとき、二次化合物は一次化合物の投薬時に起動/送達される。本出願は具体的にインスリンを記載するが、2つの可能な薬物組み合わせとして、インスリンアナログ又はインスリン誘導体、及びGLP−1又はGLP−1アナログ、鎮痛薬、ホルモン、βアゴニスト又はコルチコステロイドなどの他の薬物若しくは薬物組み合わせ、又はいずれかの上記薬物の組み合わせが、本発明で使用し得る。
【0032】
我々の発明の目的のために、用語「インスリン」は、ヒトインスリン又はヒトインスリンアナログ若しくは誘導体を含む、インスリン、インスリンアナログ、インスリン誘導体又はその混合物を意味するものとする。インスリンアナログの例は、限定されるものではなく、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリン、ここでB28位置のプロリンはAsp、Lys、Leu、Val又はAlaによって置換されてよく、そしてここでB29位置においてLysはProによって置換されてよい;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン又はDes(B30)ヒトインスリンである。インスリン誘導体の例は、限定されるものではなく、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイル−ヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0033】
本明細書で使用される用語「GLP−1」は、限定されるものではなく、エキセナチド(エキセンジン−4(1−39)、配列H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH
2)のペプチド、エキセンジン−3、リラグルチド、又はAVE0010(H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Ser−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−NH
2)を含む、GLP−1、GLP−1アナログ、又はその混合物を意味するものとする。
【0034】
βアゴニストの例は、限定されるものではなく、サルブタモール、レボサルブタモール、テルブタリン、ピルブテロール、プロカテロール、メタプロテレノール、フェノテロール、メシル酸ビトルテロール、サルメテロール、ホルモテロール、バンブテロール、クレンブテロール、インダカテロールである。
【0035】
ホルモンは、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン (ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、例えば脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は調節活性ペプチド及びそれらのアンタゴニストである。
【0036】
これら並びに本発明の種々態様の他の利点は、添付図面を適切に参照して下記の詳細な説明を読むことにより当業者に明らかになるものである。
【0037】
例示的な実施態様は以下において図面を参照して本明細書に記載される:
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の薬用モジュールが吸入器のマウスピースに挿入されていることが示されている、本発明の1つの可能な薬物送達システムの透視図を図示する。
【
図2】吸入器に取り付けられた薬用モジュールの1つの配置の断面図を図示する。
【
図3】吸入器のマウスピースに取り付け前で
図2に図示される薬用モジュールの断面図を図示する。
【
図4】吸入器のマウスピースに取り付け後で
図2に図示される薬用モジュールの断面図を図示する。
【
図5】吸入器に取り付けられた本発明の薬用モジュールの別の実施態様の断面図を図示する。
【
図6】吸入器のマウスピースに取り付け後で
図5に図示される薬用モジュールの断面図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本提案薬用モジュールは、
図1に図示される吸入器2のような吸入型薬物送達デバイスで使用され得る。1つの配置では、本提案薬用モジュールは、第2の薬剤の1つ又はそれ以上の単回用量を、吸入器内の多回用量リザーバからの第1の薬剤の固定用量と合わせて同時に、モジュールマウスピース11のような単回排出又は薬物投薬インターフェースを通して投与する。例えば容器10を垂直方向50に押し下げることにより吸入器2の単回起動は、第1及び第2の薬剤の両方を使用者に送達されるようにさせ得る。第2の薬剤の用量の容量及びサイズは、薬用モジュールのリザーバの設計及び製作により独立に制御され、そしてそれ故に起動時に吸入器によって生成される用量のサイズに影響されない。薬用モジュール内に含有される第2の薬剤のこの固定用量は単回用量であってよい。
【0040】
別の配置では、本提案薬用モジュールは、薬用モジュールからの薬剤の1つの単回用量を、吸入器2内の多回用量リザーバ又はキャニスタ又は容器から噴霧剤と合わせて同時に、モジュールマウスピース11のような単回排出又は薬物投薬インターフェースを通して投与する。例えば容器10を垂直方向50に押し下げることにより吸入器2の単回起動は、薬剤と合わせて噴霧剤を使用者に送達されるようにさせ得る。薬剤の用量の容量及びサイズは、薬用モジュールのリザーバの設計及び製作により独立に制御され、そしてそれ故に起動時に吸入器によって生成される用量のサイズに影響されない。薬用モジュール内に含有される薬剤のこの固定用量は単回用量であってよい。
【0041】
本発明の薬用モジュール1の構成及び設計、並びに使用及び操作方法は、吸入器デバイス2が第1の薬剤又は単に噴霧剤を含むかの事実に無関係である。それ故に、構成及び設計、並びに使用及び操作方法に関する詳細は両方の実施態様に当てはまる。簡便さ及び理解し易さのために、もしあるとすればわずかな相違が描述される。しかしながら、当業者は、1つの実施態様に関連して記載されるある機能が変更なしに、他の実施態様と同じ手法を適用し得ると疑問の余地なく記述の要点を即座に理解し把握し得る。
【0042】
好ましい配置では、薬物投薬インターフェースは、
図2、5及び6に示されるマウスピース11のようなモジュールマウスピースを含むが、しかしながら、スプレー又はエアロゾルを通すことができるいずれのチャンネル又は流路も使用し得る。
図1に示されるように、薬用モジュール1は、好ましくは方向6で標準吸入器2に取り外し可能に取り付けられるように設計されそして構成されるハウジング5を含む。好ましい配置は、薬用モジュール1のハウジング5が吸入器2のマウスピース3に挿入されることができる場合のものである。ハウジング5は当技術分野で公知のいずれかの可逆的連結手段、例えば、ねじ山、スナップロック、スナップフィット、戻り止め、ルアーロック、バヨネット、スナップリング、キー付きスロット、及びそのような継手の組み合わせを用いて定位置に保持される。好ましくは、薬用モジュールと吸入器間の取り付け機構は、使用者がモジュールを吸入器に容易に取り付け、そして次いでモジュール中に含有される第2の薬剤を排出後モジュールを容易に取り外すことができるように構成される。ある用途では、コネクタ又は取り付け構成は、そのような専用取り付けは、そのような薬用モジュールが吸入器薬物送達デバイスのあるタイプだけに取り付けられ、そして他のタイプの吸入器又は他の薬物送達デバイスに取り付けられることを阻止されることを可能にし得る場合に、専用の取り付けを含んでよい。一度モジュールが取り付けられると、吸入器は次いで第1又は一次薬剤を投与するために独立型薬物送達デバイスとして使用されることができる。
【0043】
図に示される吸入器デバイス2は、第1の薬剤の多回用量を含有する交換可能加圧式キャニスタ10を保持する加圧式定量噴霧式吸入器(pMDI)であるが、別タイプの吸入デバイスが本発明で使用されることができる。上記のように、別タイプの吸入デバイスは、第1の薬剤なしに噴霧剤を含有する交換可能加圧式キャニスタ10を保持する加圧式定量噴霧式吸入器(pMDI)を含むことができる。
【0044】
さて
図3及び4を参照して、これらの図は、具体的に第2の薬剤を保持するリザーバ20及びリザーバ起動機構23に焦点を絞って、薬用モジュール1の断面図の拡大図を示す。リザーバ20は第1のシール21によって近位端で及び取り外し可能な第2のシール7によって遠位端で密閉される。リザーバ起動機構23は、カニューレ24又は他の流路、付勢エレメント22、及び吸入器2上のチャンネル27で密閉流路を係合しそして形成するためのガスケット25を含有する。
図3は、吸入器へのモジュールの取り付けに先立つ起動機構23を示す。シール7は取り付けられたままで、そしてカニューレ24は、付勢エレメント22、好ましくはばねが遠位方向に力を及ぼすことから、シール21を穿孔していない。
図4は、モジュール1が吸入器2へ取り付けられた後の起動機構を示す。一度取り付けられると、起動機構は遠位方向において軸方向に押されて、それ故に付勢エレメント22を圧縮しそしてカニューレ24がシール21を穿孔しそしてリザーバ20と流体連通になることを可能にする。同様に、ガスケット25は、カニューレ24の近位端との流体連通を備えるために、チャンネル27の壁26とシールを形成するように圧縮される。
【0045】
方向矢印6(
図1参照)に表示されるように、一度薬用モジュールが取り付けられると、使用者はモジュールから外側キャップ4を取り外すことができ、そしてキャップは第2のシール7の一部分に連結されることから、これはシール7をリザーバ20の遠位端から剥がし又は引き離させ得る。シール7の取り外しはこれでリザーバ及びその中に含有される第2の薬剤をモジュールマウスピース11と流体連通させる。
【0046】
使用者は、モジュールが取り付けられていなかった場合にそれらと同じように、正確に薬用モジュール1及び吸入器2の組み合わせを操作する。使用者はモジュールマウスピース11を口にセットし、そして次にシステムを通して吸入しながらキャニスタ10上に垂直に押し下げる。システムのこの単回起動は、第1の薬剤の単回用量がキャニスタ10のオリフィス28を排出させ、次いでチャンネル27を通してカニューレ24に及びリザーバ20に移動する。加圧された第1の薬剤は、リザーバ20中に含有される第2の薬剤をマウスピース11を通してモジュールから排出させる駆動力をもたらす。リザーバの設計及び/又は薬剤の性質によって、混合又は逐次的に排出され得ると、第1の薬剤は第2の薬剤で排出され得る。
【0047】
好ましくは、
図1〜4に示される実施態様では、リザーバは、マウスピース3及び11の軸に沿ってそしてカニューレ24の軸に沿って位置付けられる。別の替わりの実施態様では、リザーバはこれらの軸に対して相対的な角度に位置付けられることができ、例えばリザーバは、カニューレによって画成される軸に対して測定される約60から120度までの範囲の角度に、好ましくは標準又は90度でハウジング内に位置付けられ得る。1つの好ましい配置では、リザーバはGLP−1のような活性剤の単回用量のような第2の薬剤の単回用量を含む。あるいは、リザーバは活性剤又は薬剤のプレミックスの単回用量を含む。1つの好ましい配置では、この一次薬剤は薬物送達デバイス内に含有される薬剤と異なるタイプの薬剤を含む。
【0048】
あるいは、
図1〜4に示される実施態様では、吸入器2は噴霧剤(propellant)を備えた、しかし薬剤なしのキャニスタ又は容器を含む。使用者は上記と正確に同じように薬用モジュール1及び吸入器2の組み合わせを操作する。使用者はモジュールマウスピース11を口にセットし、そして次にシステムを通して吸入しながらキャニスタ10上に垂直に押し下げる。システムのこの単回起動は噴霧剤の単回用量がキャニスタ10のオリフィス28から排出させ、次いでチャンネル27を通してカニューレ24及びリザーバ20に移動する。加圧噴霧剤はリザーバ20中に含有される薬剤をマウスピース11を通してモジュールから排出させる駆動力をもたらす。
【0049】
リザーバ20の別の位置決めの1つの例は
図5及び6に図示され、ここではリザーバは、約60から約120度までの範囲の角度に、好ましくはカニューレ24又はマウスピースを通した流路に対して実質的に90度にある。この位置では、リザーバ及びカニューレはベンチュリ機構として、好ましくはベンチュリインジェクタとして協動し、それによってカニューレを通してリザーバチャンバ32を通る流体は、リザーバ中に含有される流体を引き込む。この実施態様では、第3のシール(示されず)はリザーバ20の上端部分40に取り付けられる。このシールは好ましくはスライダオープナー31に取り付けられ、そしてスライダ30が吸入器2へ薬用モジュール1の取り付けによって起動されるとき、スライダオープナー31によって取り外される。薬用モジュールが吸入器に押し込まれると、スライダ30は反対(遠位)方向に動き、スライダオープナー31が位置40に位置する第3のシールを剥がし又は引き離すようにさせる。
【0050】
記述の実施態様と同様に、キャップ4の取り外しはシール7をリザーバチャンバ32の遠位端から引き離す。起動機構23はまた、上記のように薬用モジュールの取り付けによってトリガーされる。リザーバ20はこれで吸入器2及びマウスピース11のチャンネル27と流体連通する。吸入器の単回起動は、第1の薬剤の用量をキャニスタ10から排出するようにさせ、出口28及びチャンネル2を通して流れ、カニューレ24を通して、リザーバ20の遠位端を過ぎて第2の薬剤をカニューレに引き込みそして両薬剤をマウスピース11に放出しそして最終的に使用者に投与される。そのような配置では、システムは好ましくは、薬用モジュール中に含有される二次薬剤のリザーバへ又はそれを通して、いずれかの逆流のリスクを阻止するように構成され得る。
【0051】
遠位端、近位端、又は両方を用量投与後にロック及び/又はブロックするために、ロッキング機構を備えた薬用モジュールを構成することは本発明の範囲内である。薬用モジュールを反復使用からロッキングすることの1つの利点は、使用者が使用済み薬用モジュールを再使用することを阻止され得て、そしてその結果男女の使用者が新しい薬用モジュール中に保存された二次薬剤の事前に定義された用量を受けていることを前提として、使用者が使用済み薬用モジュールを使用し得るという可能性を除外し得ることである。同様に、そのようなブロッキング/ロッキング機能は、用量が送達された後に、使用者が非滅菌薬用モジュールを再使用することを阻止する。
【0052】
本明細書に開示される薬用モジュール配置は好ましくは内蔵型であり、そして密閉及び滅菌使い捨てモジュールとして提供され得る。示されていないが、本明細書に開示される薬用モジュールは、使用者が無菌モジュールにアクセスするためにシール又は容器それ自体を剥がし又は破って開け得る場合、保護及び滅菌カプセル又は容器中に含有されて製造業者によって供給され得る。幾つかの例では、薬用モジュールの各端部に対して2つ又はそれ以上のシールを備えることが望ましい。
【0053】
さらに、上記の配置では、これらの配置は、第2の薬剤が薬用モジュール内に完全に含有され、そして吸入器型薬物送達デバイス内に含有される第1の薬剤から分離してそして離れている点に利点を有する。
【0054】
本発明の例示的な実施態様が記載されている。しかしながら、当業者には当然のことながら、変更又は修正は、特許請求の範囲によって規定される本発明の真の範囲及び精神から逸脱することなくこれらの実施態様で行われてよい。
【0055】
参照リスト
1 薬用モジュール
2 吸入器
3 マウスピース
4 取り外し可能キャップ
5 ハウジング
6 方向矢印
7 取り外し可能な第2のシール
10 リザーバ
11 モジュールマウスピース
20 リザーバ
21 第1のシール
22 リザーバ
23 リザーバ起動機構
24 カニューレ
25 ガスケット
26 壁
27 チャンネル
28 出口
30 スライダ
31 スライダオープナー
32 リザーバチャンバ
40 リザーバの上端部分
50 方向矢印