(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5887359
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】アセタールの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 493/08 20060101AFI20160303BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20160303BHJP
【FI】
C07D493/08 B
!C07B61/00 300
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-548933(P2013-548933)
(86)(22)【出願日】2011年2月28日
(65)【公表番号】特表2014-510032(P2014-510032A)
(43)【公表日】2014年4月24日
(86)【国際出願番号】IN2011000120
(87)【国際公開番号】WO2012095855
(87)【国際公開日】20120719
【審査請求日】2014年2月17日
(31)【優先権主張番号】78/MUM/2011
(32)【優先日】2011年1月10日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】511269587
【氏名又は名称】リライアンス、インダストリーズ、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】RELIANCE INDUSTRIES LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウッパラ・パラス・ヴェーラ
(72)【発明者】
【氏名】アドゥーリ・パバンクマール
(72)【発明者】
【氏名】サクハルカール・マンジェッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ラトナパルキー・ウダイ
【審査官】
黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2002/0137953(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第101544628(CN,A)
【文献】
Ionic Liquids,Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry,2007年 7月15日,pp.548-575
【文献】
化学便覧基礎編,改訂5版,I-781〜I-782頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DMDBS(1,3:2,4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール)とMDBS(1,3:2,4−ビス(4−メチルベンジリデン)ソルビトール)からなる群から選択されるアセタール誘導体の製造方法であって、
a)等モル量の水素供与体と「第4級アンモニウム塩」を独立して加えて混合することにより混合物を生成し、前記混合物を、溶媒中に分散ないし溶解させる処理及び加熱処理からなる群から選択された処理形態によって処理することにより、第4級アンモニウム塩系イオン性流体を製造するステップ;
b)4−メチルベンズアルデヒドおよび3,4−ジメチルベンズアルデヒドよりなる群から選択されるアルデヒドとソルビトールをモル比2:1でイオン性流体に撹拌しながら加え反応混合物とすることにより、脱水縮合反応を行うステップ;
c)生成した反応混合物を撹拌して内容物を懸濁状態に保つステップ;
d)反応混合物の撹拌を停止して反応混合物中で生成した塊を沈降させ、母液を含む上清のイオン性流体を分離するステップ;および
e)ろ過、洗浄及び乾燥により塊を単離精製して、遊離酸残留物を含まないアセタール誘導体を得るステップを含む方法。
【請求項2】
イオン性流体を15〜65℃の温度範囲で製造する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶媒がメタノール、エタノール、プロパン−1−オール、プロパン−2−オール、1−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、炭酸ジメチル、ジエチルケトン、tert−ブチルメチルエーテル、ジエチレングリコール、N,N−ジメチルアセトアミド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコール、ヘキサメチルホスホルアミド、へキサメチルホスホラストリアミド、イソアミルアルコール、2−メトキシエタノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メチル−2−ピロリジノン、ニトロメタン及び水よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記水素供与体が、スルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ブタンスルホン酸、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、m−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、3−メチル−1−ブタンスルホン酸、2−メチル−1−プロパンスルホン酸、キシレンスルホン酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、酒石酸及びマレイン酸よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第4級アンモニウム塩が塩化コリンである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
イオン性流体を等モル量のパラトルエンスルホン酸と塩化コリンの反応により製造する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
イオン性流体が、塩化コリンと、スルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ブタンスルホン酸、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、m−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、3−メチル−1−ブタンスルホン酸、2−メチル−1−プロパンスルホン酸、キシレンスルホン酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、酒石酸及びマレイン酸よりなる群から選択される少なくとも1種の水素供与体との反応により生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
脱水縮合反応が25℃〜50℃の温度範囲で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ステップa)で生成されるイオン性流体がステップb)における脱水縮合反応の反応媒体として働く、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ソルビトールが40%〜99%の濃度範囲のソルビトール水溶液である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
撹拌する方法ステップを100〜800rpmの速度範囲で行う、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
母液を再利用して脱水縮合反応を少なくとも35回行う、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は1,3:2,4−ビス(4−メチルベンジリデン)ソルビトール(MDBS)と1,3:2,4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール(DMDBS)の製造方法に関する。本発明は特にイオン性流体を用いるMDBSとDMDBSの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本アセタール化合物はアルジトールとベンズアルデヒドの反応生成物である。MDBS(1,3:2,4−ビス(4−メチルベンジリデン)ソルビトール)誘導体化合物やDMDBS(1,3:2,4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール)誘導体化合物などのアルジトールアセタールは、ポリプロピレンの添加剤として有用な公知の化合物である。置換アルデヒドや無置換アルデヒドのアセタールは、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、防臭剤、制汗剤組成物の核形成剤、ゲル化剤、加工助剤、強度改良剤、また炭化水素燃料や塗料として有用であることも知られている。
【0003】
アセタール−アルジトールは通常、芳香族アルデヒドをソルビトールなどの炭素数6のアルジトールと縮合反応することにより製造される。MDBS構造やDMDBS構造は、そのような反応を2モルのアルデヒドと1モルのアルジトールを用いて行うことにより得られる。
【0004】
アセタール−アルジトールを製造する数種の方法がUS4,267,110、US3,721,682、US4,429,140、US4,562,265、US4,902,807、US5,023,354、US5,731,474、US6,500,964に報告されている。
【0005】
従来報告されている方法には欠点がいくつかある。今まで公知の方法の多くでは、反応を高温で行わなければならない種々の有機溶媒が用いられているので、コストが高くなっている。さらに溶媒の多くがとても高価であることも、この方法を非経済的なものとしている。
【0006】
酸性触媒を用いて方法の収率や汎用性(様々な置換アルデヒドを利用できること)を改善することにより、上記の欠点を克服する試みが既に行われている。
【0007】
しかし現在知られている、酸性触媒を用いるアセタールの製造方法にもまだ制約がいくつかある。無機酸はアセタール化のよい触媒として働くが、極めて腐食性の性質を有する。また、このような方法で得られる最終生成物は、残留する遊離酸を中和して精製しなければならない。すべての教示に提示された収率は実用的な目的には許容できるが、汎用性、環境調和性、エネルギー効率、信頼性、費用効果、生産安全性の観点からはすべての方法が効果的とはいえない。
【0008】
イオン系は粘性の溶融塩の例であるが、多くの興味深く有用な特性を有し、例えば合成化学において高極性溶媒、補助溶剤及び触媒として有用である。イオン系はまた、電気化学、化合物の合成、染料、電池、燃料電池、光起電力素子、電着工程、半導体洗浄、熱分解、ガス化などの種々の分野における用途、セルロース溶解を含む用途、金属の電気めっきに有用であることも見いだされており、例えば米国特許第6573405号、米国特許第7183433号、米国特許第7196221号、米国特許出願第2005/0147889号、米国特許第6527977号、米国特許出願第2008/0307703号、米国特許出願第2006/0183654号、米国特許出願第2009/0247432号に記載がある。
【0009】
イオン性
流体は極めて低い蒸気圧を示すか全く蒸気圧を示さないので、多くの通常の分子溶媒と比べると実質的に蒸気を発生しない。従ってイオン性
流体は、健康面、安全性、環境の観点から好都合である。
【0010】
イオンの1種である第4級アンモニウム塩から製造されたイオン性流体がUS5,892,124、US5104840、US6573405、US7183433及びUS7196221に報告されている。
【0011】
US7183433で教示されるイオン性化合物は、式R1R2R3R4N
+X
-の第4級アミン塩を水素結合供与体と混合することにより製造される。例えば粘性のイオン性化合物は、0.1モルの塩化コリンと0.1モルのパラトルエンスルホン酸を混合することにより製造される。この反応は一般に吸熱性で、通常加熱により行われる。
【0012】
US7183433で教示される方法には制約がいくつかある。US7183433で教示される方法は、第一にエネルギーを必要とし、第二に最終生成物が粘性であるためにだらだらととても時間がかかる。
【0013】
触媒及び/又は反応媒体としてイオン性
流体を用いた、MDBS構造とDMDBS構造以外のアセタールやジアセタールの製造方法が報告されている。例えばCN101440025は、N−メチルグリオキサリン硫酸水素イオン性
流体触媒を用いたエチリデンエーテル又はケタールの製造方法を開示している。MDBS構造とDMDBS構造以外のアセタールを製造するための触媒としてのイオン性
流体の利用を開示した他の特許としては、CN101723852、CN101544628及びCN1858048がある。
【0014】
しかし触媒及び/又は反応媒体としてイオン性
流体を用いてMDBS及びDMDBSを製造する方法は、今までに報告されていない。そこで触媒及び/又は反応媒体としてイオン性
流体を用いてMDBS及びDMDBSを製造する方法が必要とされている。また高価な溶媒や無機酸を用いずにアセタール、特にMDBS及びDMDBSを製造する方法も必要とされている。
【0015】
定義
本明細書においては、用いられる文脈が他を示さない限り、下記の語句を通常以下に記載するような意味で用いることとする。
【0016】
「イオン性流体」という語句はここでは、溶媒中にその場で生成した、溶媒和したイオン性化合物を言う。イオン性流体は、溶媒の存在下で第4級アンモニウム化合物と水素供与性化合物間の水素結合により生成したものを本質的に含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
発明の目的
本発明の目的は、アルジトールアセタール誘導体化合物を高収率及び高純度で製造する方法を提供することである。
【0018】
本発明の他の目的は、対称及び非対称のジベンジリデンソルビトール化合物を制約なく製造できる方法を提供することである。
【0019】
本発明の他の目的はまた、アセタール誘導体の経済的な製造方法を提供することである。
【0020】
さらに本発明の他の目的は、アセタール誘導体の環境にやさしい製造方法を提供することである。
【0021】
さらに本発明の他の目的は、その場で生成したイオン性化合物(イオン性流体)を含む再利用可能な単一溶媒を用いる、アセタール誘導体の製造方法を提供することである。
【0022】
さらに本発明の他の目的は、最終生成物が残留遊離酸を含まない、アセタール誘導体の製造方法を提供することである。
【0023】
さらに本発明の他の目的は、アセタール誘導体の安全な製造方法を提供することである。
【0024】
さらに本発明の目的は、トリアセタール誘導体を形成することなくモノアセタール誘導体及びジアセタール誘導体を製造できる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
発明の要約
本発明の第1態様によれば、DMDBS(1,3:2,4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール)とMDBS(1,3:2,4−ビス(4−メチルベンジリデン)ソルビトール)からなる群から選択されるアセタール誘導体の製造方法であって、
a)等モル量の水素供与体と「第4級アンモニウム塩」を独立して加えて混合することにより混合物を生成し、前記混合物を、溶媒中に
分散ないし溶解させる処理及び加熱処理からなる群から選択された処理形態によって処理することにより、第4級アンモニウム塩系イオン性流体を製造するステップ;
b)
4−メチルベンズアルデヒドおよび3,4−ジメチルベンズアルデヒドよりなる群から選択されるアルデヒドと
ソルビトールをモル比2:1でイオン性流体に撹拌しながら加え反応混合物とすることにより、脱水縮合反応を行うステップ;
c)生成した反応混合物を撹拌して内容物を懸濁状態に保つステップ;
d)反応混合物の撹拌を停止して反応混合物中で生成した塊を沈降させ、母液を含む上清のイオン性流体を分離するステップ;および
e)ろ過、洗浄及び乾燥により塊を単離精製して、遊離酸残留物を含まないアセタール誘導体を得るステップを含む方法が提供される。
【0026】
実施形態の1つによると、本イオン性流体は、15〜65℃の温度範囲で製造する、請求項1に記載の方法。
【0028】
一般に本溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、プロパン−1−オール、プロパン−2−オール、1−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド
、メチルエチルケトン、炭酸ジメチル、ジエチルケトン
、アセトン、tert−ブチルメチルエーテル
、ジエチレングリコール、N,N−ジメチルアセトアミド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコール
、ヘキサメチルホスホルアミド、へキサメチルホスホラストリアミド、イソアミルアルコール、2−メトキシエタノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メチル−2−ピロリジノン、ニトロメタ
ン及び水よりなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0029】
一般に本水素供与体は、
例えば、スルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ブタンスルホン酸、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、m−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、3−メチル−1−ブタンスルホン酸、2−メチル−1−プロパンスルホン酸、キシレンスルホン酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、酒石酸及びマレイン酸
よりなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。1実施形態によると、水素供与体はPTSA(パラトルエンスルホン酸)である。
【0030】
一般に本第4級アンモニウム塩は塩化コリンである。
【0031】
あるいはイオン性化合物は、等
モル量のパラトルエンスルホン酸と塩化コリンを50℃の温度で反応することにより製造される。一般にイオン性化合物は、第4級アンモニウム塩並びに
前記水素供与体間の水素結合により生成する。
【0032】
一般に
ステップa)で生成される本イオン性流体は、
ステップb)における脱水縮合反応の反応媒体として働く。
【0033】
一般に本脱水縮合反応は、約25℃〜約50℃の温度範囲で行われる。
【0038】
一般に本
ソルビトールは、40%〜99%の濃度範囲のソルビトール水溶液である。
【0039】
一般に撹拌の方法ステップを約100〜800rpmの範囲で行う。一般に本母液を再利用して、脱水縮合反応を少なくとも35回、好ましくは30回行う。
【発明を実施するための形態】
【0040】
発明の詳細な説明
高価な溶媒や無機酸触媒を用い、中程度の温度でアセタールを製造する、従来報告されている方法の欠点を克服するために、本発明者らは特定のイオン性流体を選択してアセタール、特にMDBS及びDMDBSを製造した。
【0041】
US7183433で教示されるようなイオン性化合物を、触媒と溶媒又は溶媒のみとして任意の化学合成に直接用いると、化学合成方法において大きなエネルギーを必要とする。さらにまたイオン性化合物を用いる反応の場合、生成物の分離に大きな問題がある。イオン性化合物は多種多様な物質を溶解することができるので、特定の生成物を単離することが極めて困難な場合がある。
【0042】
本発明による方法は、イオン性
流体を用いることで上記の制約を克服する。本発明による方法は大量のエネルギーを必要とせず、50℃未満の温度で行われる。
【0043】
本発明の第1態様において、大気圧下、比較的低温でイオン性流体を用いる、アルデヒドとアルジトール間の脱水縮合反応によるアセタール誘導体、特にMDBS及びDMDBSの製造方法であって、
a)等モル量の水素供与体と「第4級アンモニウム塩」を独立して加えて混合することにより混合物を生成し、前記混合物を、溶媒中に
分散ないし溶解させる処理及び加熱処理からなる群から選択された処理形態によって処理することにより、第4級アンモニウム塩系イオン性流体を製造するステップ;
b)
4−メチルベンズアルデヒドおよび3,4−ジメチルベンズアルデヒドよりなる群から選択されるアルデヒドと
ソルビトールをモル比2:1でイオン性流体に撹拌しながら加え反応混合物とすることにより、脱水縮合反応を行うステップ;
c)生成した反応混合物を撹拌して内容物を懸濁状態に保つステップ;
d)反応混合物の撹拌を停止して反応混合物中で生成した塊を沈降させ、母液を含む上清のイオン性流体を分離するステップ;および
e)ろ過、洗浄及び乾燥により塊を単離精製して、遊離酸残留物を含まないアセタール誘導体を得るステップを含む方法が提供される。
【0044】
本発明者らは高温、特に50℃を超える温度を必要とせず、US7183433に報告されている方法より速い、溶媒和したイオン性流体の簡単な製造方法を見いだした。
【0045】
本発明によれば、等量の、一般式R1R2R3R4N
+X
-を有する第4級アンモニウム塩と水素供与性化合物を独立して溶媒に加えると、イオン性流体がその場で生成する。一般に溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、プロパン−1−オール、プロパン−2−オール、1−ブタノール、イソブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド
、メチルエチルケトン、炭酸ジメチル、ジエチルケトン
、tert−ブチルメチルエーテル
、ジエチレングリコール、N,N−ジメチルアセトアミド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコール
、ヘキサメチルホスホルアミド、へキサメチルホスホラストリアミド、イソアミルアルコール、2−メトキシエタノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メチル−2−ピロリジノン、ニトロメタ
ン及び水よりなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0046】
実施形態の1つにおいてイオン性流体は、0.1モルの塩化コリンとパラトルエンスルホン酸を、溶媒に室温で撹拌しながら独立して加えることにより製造される。
【0047】
本発明によるイオン性流体をその場で形成させる方法ステップには有利性がいくつかある。本発明によるイオン性流体を製造する方法ステップの主な有利性の1つは、US7183433に報告されている先行技術の方法とは異なり、低温で行われるのでエネルギーが節約されることである。さらに、イオン性流体を製造するために必要な時間も短縮される。さらにまた、溶媒中にインサイチュのイオン性化合物を製造することで、別に共晶イオン性化合物を製造するステップが不要になる。
【0048】
イオン性化合物のその場での形成は、溶媒中の塩のアニオンと水素供与性化合物間に水素結合が形成された結果である。イオン性化合物は、水素結合により互いに結合したカチオンとアニオンの拡張ネットワークを有するナノ構造を含む。これらのナノ構造の自己拡散係数は、イオン性化合物が溶媒に溶解している状態よりも高い。
【0049】
水素供与体は一般に、
例えば、スルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ブタンスルホン酸、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、m−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、3−メチル−1−ブタンスルホン酸、2−メチル−1−プロパンスルホン酸、キシレンスルホン酸、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、酒石酸及びマレイン酸
よりなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。一方、式R1R2R3R4N
+X
-の第4級アンモニウム化合物のアニオンは、塩化物イオン、硝酸イオン及び四ホウ酸イオンからなる群から選択される。
【0050】
本発明者らは、本発明による方法によって製造された、その場で形成されたイオン性化合物を含むイオン性流体が、あらかじめ製造したイオン性化合物を溶媒に溶解させることにより形成させたイオン性流体と同じ物理化学的特性を有することを見出した。
【0051】
水素結合によるカチオンとアニオンの結合により形成されたイオン性化合物は、超分子構造組織を有することが報告されている(Olivier−Bourbigou,H.等、Applied Catalysis A:General,373,1〜56,2010年;Deetlefs,M.等、J.Physical Chemistry B.110,12055〜12061,2006年;Canongia Lopez,J.N.及びPadua,A.A.H.,J.Physical Chemistry B.110、3330〜3335,2006年)。水素結合のネットワークにより形成された連続マイクロドメイン構造は酸を遊離型で利用できず、そのため最終生成物に酸性を残さないので、触媒反応に適しているようだ。
【0052】
本発明の方法によれば、脱水縮合反応は一般に、溶媒として及び/又は触媒として働くイオン性流体を用いて行われる。一般に脱水縮合反応は約25〜約50℃の温度範囲で行われる。
【0056】
本発明の方法で用いられるアルデヒドは
、4−メチルベンズアルデヒド
、3,4−ジメチルベンズアルデヒ
ドからなる群から選択される少なくとも1種である。
【0057】
一般に本発明の方法により用いられる
ソルビトールは、40%〜99%の濃度範囲のソルビトール水溶液
である。
【0058】
イオン性流体の触媒活性は、イオン性流体の製造に用いられる酸の水素供与能に依存する。したがって、イオン性流体の触媒活性は用いられる酸の種類によって変わり、その強さはメタンスルホン酸>パラトルエンスルホン酸>シュウ酸>マレイン酸>クエン酸である。より強い酸を水素供与体として含むイオン性流体の触媒活性は、反応が行われる温度に反比例する。しかし、弱酸を水素供与体として含むイオン性流体が用いられると、その触媒活性は温度に正比例する。
【0059】
幅広い温度における触媒活性は、水素結合の安定性と強度を示す水素結合供与体と共にイオン性化合物を形成している塩に依存する(Angew.Chem.Int.Ed.,2000年,39,3772〜3789,Ionic Liquids−New “Solutions” for Transition Metal Catalysis)。
【0060】
本発明者らは意外なことに、本発明の方法によって得られる生成物が全く残留遊離酸を含まないことを見いだした。生成物中の残留遊離酸は高温、特に乾燥工程中に最終生成物を加水分解するので、きわめて望ましくない。
【0061】
本発明の方法は従って、方法のコストを高くしたり方法を複雑にすることになる、最終生成物中の残留遊離酸の中和が必要ないので、特に好都合である。すなわち、酸による脱水縮合反応を行う反応媒体として、本イオン性流体が有用であることが明らかである。
【0062】
本発明の方法によると、母液を再利用でき、それ自体を用いて脱水縮合反応を行う。本発明者らは、少なくとも35回、好ましくは30回再利用した後でも母液は触媒活性を保持しており、最終生成物の収率や純度を損なうことはないことを見いだした。実際いずれの再利用でも、モノ中間体又は遊離型のいずれかのアルデヒドを過剰量存在させることで、母液は収率を微増させた。
【0063】
以下の実施例に基づき本発明をさらに説明するが、実施例はここに添付される請求項に規定される発明を制限するものとは解釈されない。
【実施例1】
【0064】
水素供与体であるトルエン−4−スルホン酸一水和物(PTSA)(51.8g)を塩化コリン(38.2g)と等モル比で反応させ、深い共晶イオン性化合物を製造した。温度を50℃に上昇させて透明な液体とした後、冷却した。得られたイオン性化合物を溶媒及び触媒として用いて室温で脱水反応を行った。例えば3,4−ジメチルベンズアルデヒドをソルビトールと反応させ、アセタールである1,3:2,4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトールとした。
【0065】
3,4−ジメチルベンズアルデヒドとソルビトールを1:1のモル比でイオン性化合物に加え、撹拌して反応を開始した。固形塊が反応開始後、数分以内に生成した。撹拌速度を上昇させて塊を懸濁状態に保ち、反応を8時間続けた。固形の生成物をろ過し、250mlのジエチルエーテルで洗浄した。白色固形の生成物を95℃のオーブンで2時間乾燥後、4時間風乾し、収率を求めた。収率は75%、純度は37%であった。
【実施例2】
【0066】
塩化コリン(1.4g)とPTSA(1.9g)をメタノール(30ml)に加え、よく混合してイオン性流体を製造した。3,4−ジメチルベンズアルデヒド(0.8ml)とソルビトール(1.5g)をイオン性流体に加え、撹拌して反応を26℃で開始した。密な固形塊が反応開始数分後に生成した。撹拌速度を上昇させて塊を懸濁状態に保ち、反応を8時間続けた。固形の生成物をろ過し、100mlのジエチルエーテルで洗浄した。白色固形の生成物を95℃のオーブンで2時間乾燥後、4時間風乾し、収率を求めた。収率と純度はそれぞれ22%と97.5%であった。
【実施例3】
【0067】
塩化コリン(0.21g)とPTSA(0.29g)をメタノール(30ml)に加え、よく混合してイオン性流体を製造した。3,4−ジメチルベンズアルデヒド(0.8ml)とソルビトール(1.5g)をイオン性流体に加え、撹拌して反応を開始した。反応を26℃で8時間続けた。固形の生成物をろ過し、100mlのジエチルエーテルで洗浄した。白色固形の生成物を95℃のオーブンで2時間乾燥後、4時間風乾し、収率を求めた。収率と純度はそれぞれ37%と95.9%であった。
【実施例4】
【0068】
3,4−ジメチルベンズアルデヒドとソルビトールのモル比を2:1に上昇させた以外は、実施例1の方法に従った。数分後、密な白色の塊が生成し、1時間以内に撹拌が妨げられた。しかし、反応を26℃で8時間継続させた。収率と純度はそれぞれ70%と43%であった。
【実施例5】
【0069】
3,4−ジメチルベンズアルデヒドとソルビトールのモル比を2:1に上昇させた以外は実施例2の方法に従い、反応を26℃で8時間継続した。収率と純度はそれぞれ77%と98.7%であった。
【実施例6】
【0070】
3,4−ジメチルベンズアルデヒドとソルビトールのモル比を2:1に上昇させた以外は実施例3の方法に従い、反応を26℃で8時間継続した。収率と純度はそれぞれ52.4%と72%であった。
【実施例7】
【0071】
水素供与体であるシュウ酸二水化物(28.5g)を塩化コリン(61.5g)と混合し反応させた。均一で透明な液体が得られるまで混合物を65℃でよく撹拌した。PTSAの代わりにシュウ酸を用いた以外は実施例4の方法に従い、反応を8時間続けた。収率と純度はそれぞれ58%と98%であった。
【実施例8】
【0072】
塩化コリン(1.4g)とシュウ酸(0.65g)をメタノール(30ml)に加え、よく混合してイオン性流体を製造した。3,4−ジメチルベンズアルデヒド(1.5ml)とソルビトール(1.5g)をイオン性流体に加え、撹拌して反応を26℃で開始した。白色固形の生成物が反応開始90分後に現れ始め、反応を8時間続けた。固形の生成物をろ過し、100mlのジエチルエーテルで洗浄した。白色固形の生成物を95℃のオーブンで2時間乾燥後、4時間風乾し、収率を求めた。収率と純度はそれぞれ24%と69.8%であった。
【実施例9】
【0073】
0.35gの塩化コリンと0.15gシュウ酸をメタノール(30ml)に加えた以外は、実施例8の方法に従った。収率と純度はそれぞれ25.7%と95.9%であった。
【実施例10】
【0074】
水素供与体であるクエン酸(3.5g)を塩化コリン(7g)と反応させ、深い共晶イオン性化合物を製造した。均一で透明な液体が得られるまで混合物を65℃でよく撹拌した。イオン性化合物を室温まで冷却後、実施例4の方法を行ったが、反応は起こらなかった。
【実施例11】
【0075】
塩化コリン(1.4g)とクエン酸(0.7g)をメタノール(30ml)に加え、よく混合してイオン性流体を製造した。3,4−ジメチルベンズアルデヒド(1.5ml)とソルビトール(1.5g)をイオン性流体に加え、撹拌して反応を開始した。反応は26℃では極めて遅いことがわかり、反応を8時間後に停止した。固形の生成物をろ過し、100mlのジエチルエーテルで洗浄した。白色固形の生成物を95℃のオーブンで2時間乾燥後、4時間風乾し、収率を求めた。収率と純度はそれぞれ5.2%と89.8%であった。
【実施例12】
【0076】
塩化コリン(0.33g)とクエン酸(0.17g)をメタノール(30ml)に加え、よく混合してイオン性流体を製造した。3,4−ジメチルベンズアルデヒド(1.5ml)とソルビトール(1.5g)をイオン性流体に加え、撹拌して反応を開始した。反応は26℃では極めて遅いことがわかり、反応を8時間後に停止した。固形の生成物をろ過し、100mlのジエチルエーテルで洗浄した。白色固形の生成物を95℃のオーブンで2時間乾燥後、4時間風乾し、収率を求めた。収率と純度はそれぞれ1.8%と94.3%であった。
【実施例13】
【0077】
塩化コリン(1.4g)とメタンスルホン酸(MSA)(0.96g)をメタノール(30ml)に加え、よく混合してイオン性流体を製造した。3,4−ジメチルベンズアルデヒド(1.5ml)とソルビトール(1.5g)をイオン性流体に加え、撹拌して反応を26℃で開始した。密な固形塊が反応開始数分後に生成し、反応を8時間続けた。固形の生成物をろ過し、100mlのジエチルエーテルで洗浄した。白色固形の生成物を95℃のオーブンで2時間乾燥後、4時間風乾し、収率を求めた。収率と純度はそれぞれ80%と99.8%であった。
【実施例14】
【0078】
反応温度を45℃に保った以外は、実施例5の方法を繰り返した。収率と純度はそれぞれ70%と97.5%であった。
【実施例15】
【0079】
反応温度を45℃に保った以外は、実施例8の方法を繰り返した。収率と純度はそれぞれ36.5%と98.5%であった。
【実施例16】
【0080】
反応温度を45℃に保った以外は、実施例11の方法を繰り返した。収率と純度はそれぞれ10%と98.2%であった。
【実施例17】
【0081】
反応温度を45℃に保った以外は、実施例13の方法を繰り返した。収率と純度はそれぞれ75%と98.7%であった。
【実施例18】
【0082】
母液の再生/再利用例
実施例5から得られた母液に3,4−ジメチルベンズアルデヒドとソルビトールを2:1のモル比で補充した以外は実施例5の方法に従い、反応を続けた。収率と純度はそれぞれ100%と97%であった。
【実施例19】
【0083】
母液の再生/再利用例
実施例18から得られた母液に3,4−ジメチルベンズアルデヒドとソルビトールを2:1のモル比で補充した以外は実施例5の方法に従い、反応を続けた。収率と純度はそれぞれ85%と98.3%であった。
【実施例20】
【0084】
母液の再生/再利用例
実施例19から得られたろ液に3,4−ジメチルベンズアルデヒドとソルビトールを2:1のモル比で補充した以外は実施例5の方法に従い、反応を続けた。収率と純度はそれぞれ93%と97.3%であった。
【実施例21】
【0085】
3,4−ジメチルベンズアルデヒドの代わりにp−トルアルデヒドを用いた以外は、実施例5の方法に従った。生成物である1,3:2,4−ビス(4−メチルベンジリデン)ソルビトールの収率は42.5%、純度は90.5%であった。
【実施例22】
【0086】
3,4−ジメチルベンズアルデヒドの代わりにp−トルアルデヒドを用いた以外は、実施例8の方法に従った。生成物である1,3:2,4−ビス(4−メチルベンジリデン)ソルビトールの収率は40%、純度は90%であった。
【実施例23】
【0087】
3,4−ジメチルベンズアルデヒドの代わりにp−トルアルデヒドを用いた以外は、実施例11の方法に従った。生成物である1,3:2,4−ビス(4−メチルベンジリデン)ソルビトールの収率は4%、純度は91%であった。
【実施例24】
【0088】
3,4−ジメチルベンズアルデヒドの代わりにp−トルアルデヒドを用いた以外は、実施例13の方法に従った。生成物である1,3:2,4−ビス(4−メチルベンジリデン)ソルビトールの収率は55%、純度は91.5%であった。
【0089】
試験データ
【0090】
米国特許第4429140号に開示されている従来法によりジベンジリデンソルビトールを製造し、エネルギー所要量、所要時間、本発明による方法に用いられた試薬数から見たこの方法全体の複雑さを評価した。
【0091】
3,4−ジメチルベンズアルデヒドとソルビトールを2.5:1のモル比でシクロヘキサン(100重量部)とメタノール(100重量部混合)に混合した。この混合物に98%硫酸(0.5重量部)を触媒として加え、脱水縮合反応を窒素雰囲気下78〜82℃で3時間行った。反応中に生成した水をシクロヘキサンとメタノールと共に共沸混合物として連続的に留去した。冷却器で凝縮、分離したシクロヘキサンを反応系に再利用し、水層は反応系から除いた。反応を3時間後に終了し、冷却、KOH水溶液で中和、熱水で洗浄、ろ過して白色粉末を得た。収率は95%、純度は97.5%であった。
【0092】
本発明による方法はあまりエネルギーを必要とせず、室温で進行することがわかった。さらに本発明の方法はまた方法ステップの数が少なく、硫酸などの有害又は腐食性の薬品を必要としない。さらにまた、上記の従来法とは異なり、本発明の方法の場合のイオン性流体の形態の触媒は再利用可能であり、したがって本方法は環境にやさしい。
[試験例]
【0093】
(PTSAとメタンスルホン酸の酸触媒としての使用)
本発明者らは、メタンスルホン酸とパラトルエンスルホン酸のみが存在する溶液中でも脱水縮合反応を行った。このような方法で生じる母液は工程は、2〜3回を超えて再利用することができないことが明らかになった。また最終生成物を中和して残留酸性を除く必要があった。
【実施例25】
【0094】
(PTSAのみを用いる反応)
PTSA(9.5g)をメタノール(150ml)に加えよく混合し、3,4−ジメチルベンズアルデヒド(7.5ml)とソルビトール(5g)をメタノール溶液に加え、撹拌して反応を26℃で開始した。反応を8時間続けた。固形の生成物をろ過し、母液を回収してさらに反応を行った。生成物をNaOH水溶液で中和した後、ジエチルエーテル(100ml)で洗浄した。生成物を95℃のオーブン中で2時間乾燥後、4時間風乾し、収率を求めた。収率と純度はそれぞれ70%と91.4%であった。
【実施例26】
【0095】
実施例25から得られた母液に3,4−ジメチルベンズアルデヒドとソルビトールを2:1のモル比で補充した以外は、実施例25の方法に従い反応を続けた。収率と純度はそれぞれ88%と93%であった。
【実施例27】
【0096】
実施例26から得られた母液に3,4−ジメチルベンズアルデヒドとソルビトールを2:1のモル比で補充した以外は、実施例25の方法に従い反応を続けた。収率と純度はそれぞれ80%と93%であった。
【実施例28】
【0097】
実施例27から得られた母液に3,4−ジメチルベンズアルデヒドとソルビトールを2:1のモル比で補充した以外は、実施例25の方法に従い反応を続けた。収率と純度はそれぞれ60%と94%であった。
【0098】
従って、酸(PTSA)のみを用いて脱水縮合反応を行う場合、そのような反応から生じた母液を2〜3回を超えて再利用できないことが確かめられた。
【0099】
本発明の実施形態をいくつか記載したが、これらの実施形態は例として示されただけで、本発明の範囲を限定するものではない。当業者がこの開示を検討すると、本発明の範囲内で、本発明の構造及び構成への変形又は変更を思いつくかもしれない。しかしそのような変形又は変更は十分に本発明の思想の範囲内である。添付の請求項及びそれらと等価なものは、本発明の範囲及び思想の範囲内にある形態又は変更に及ぶものとする。
【0100】
種々の物理的パラメーター、大きさ及び量の数値は単におおよその値であり、明細書中にそうでないと述べられていない限り、物理的パラメーター、大きさ及び量に割り当てられた数値を超える値は本発明及び請求項の範囲内に含まれるものとする。