特許第5887370号(P5887370)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5887370パワー・カッド・フラット・ノーリード(PQFN)リードフレーム上に置かれた制御及びドライバ回路
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5887370
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】パワー・カッド・フラット・ノーリード(PQFN)リードフレーム上に置かれた制御及びドライバ回路
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/50 20060101AFI20160303BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20160303BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
   H01L23/50 R
   H01L23/50 X
   H01L25/04 C
【請求項の数】23
【外国語出願】
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-37305(P2014-37305)
(22)【出願日】2014年2月27日
(65)【公開番号】特開2014-175656(P2014-175656A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2014年5月8日
(31)【優先権主張番号】14/150,469
(32)【優先日】2014年1月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/777,753
(32)【優先日】2013年3月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597161115
【氏名又は名称】インターナショナル レクティフィアー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】ディーン フェルナンド
(72)【発明者】
【氏名】ロエル バルボーザ
(72)【発明者】
【氏名】トシオ タカハシ
【審査官】 原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−129489(JP,A)
【文献】 特開2011−029262(JP,A)
【文献】 特開2012−175070(JP,A)
【文献】 特開2007−227763(JP,A)
【文献】 特開2007−266218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/50
H01L 25/07
H01L 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワー・カッド・フラット・ノーリード(PQFN)リードフレームであって、
前記PQFNリードフレームの第1エッジ上に置かれ且つ前記PQFNリードフレームのU相出力ストリップ、V相出力ストリップ、及びW相出力ストリップに接続されたW相出力パッドにそれぞれ接続されたU相、V相及びW相パワースイッチ、並びに
ドライバ回路及び制御回路を含む共通集積回路(IC)を備え、前記共通ICが前記PQFNリードフレームの前記U相出力ストリップ及び前記W相出力パッドに接続され
前記U相出力ストリップ、前記V相出力ストリップ及び前記W相出力ストリップは、前記PQFNリードフレームの第2エッジ上で、対応するI/O端子に接続されている、
PQFNリードフレーム。
【請求項2】
前記PQFNリードフレーム上に置かれたV相パワースイッチを備え、前記V相パワースイッチが前記PQFNリードフレームのV相出力ストリップに接続されている、請求項1記載のPQFNリードフレーム。
【請求項3】
前記共通ICを前記U相出力ストリップに接続する少なくとも1つのワイヤボンドを備える、請求項1記載のPQFNリードフレーム。
【請求項4】
前記W相パワースイッチが前記W相出力パッド上に置かれている、請求項1記載のPQFNリードフレーム。
【請求項5】
前記W相出力パッドが前記リードフレームのW相出力ストリップに接続されている、請求項1記載のPQFNリードフレーム。
【請求項6】
前記ドライバ回路及び前記制御回路に対して共通の電源端子を備える、請求項1記載のPQFNリードフレーム。
【請求項7】
前記W相出力パッドが前記PQFNリードフレームのW相出力ストリップに接続され、前記W相出力ストリップ上にリソースフレームアイランドが置かれている、請求項1記載のPQFNリードフレーム。
【請求項8】
前記共通ICが前記U相及びW相パワースイッチのソースに接続されている、請求項1記載のPQFNリードフレーム。
【請求項9】
前記共通ICと前記U相パワースイッチのソースとの間に接続された少なくとも1つのワイヤボンドを備える、請求項1記載のPQFNリードフレーム。
【請求項10】
前記U相、V相及びW相パワースイッチはIII−V族トランジスタよりなる、請求項1記載のPQFNリードフレーム。
【請求項11】
前記PQFNパッケージは12mm×12mmより大きいフットプリントを有する、請求項1記載のPQFNリードフレーム。
【請求項12】
前記PQFNパッケージは12mm×12mmより小さいフットプリントを有する、請求項1記載のPQFNリードフレーム。
【請求項13】
パワー・カッド・フラット・ノーリード(PQFN)リードフレームであって、
前記PQFNリードフレームの第1エッジ上に置かれた多相パワーインバータを備え、前記多相パワーインバータが前記PQFNリードフレームのU相出力ストリップに接続されたU相出力端及び前記PQFNリードフレームのW相出力パッドに接続されたW相出力端を含み、前記W相出力パッドはW相出力ストリップに接続され、V相出力端はV相出力ストリップに接続され、且つ
ドライバ回路及び制御回路を含む共通集積回路(IC)を備え、前記共通ICが前記PQFNリードフレームの前記U相出力ストリップ及び前記W相出力パッドに接続され、前記U相出力ストリップ、前記V相出力ストリップ及び前記W相出力ストリップは、前記PQFNリードフレームの第2エッジ上で、対応するI/O端子に接続されている、
PQFNリードフレーム。
【請求項14】
前記多相パワーインバータが更に前記PQFNリードフレームのV相出力ストリップに接続されたV相出力端を含む、請求項13記載のPQFNリードフレーム。
【請求項15】
前記共通ICを前記U相出力ストリップに接続する少なくとも1つのワイヤボンドを備える、請求項13記載のPQFNリードフレーム。
【請求項16】
前記W相出力パッドが前記PQFNリードフレームのW相出力ストリップに接続されている、請求項13記載のPQFNリードフレーム。
【請求項17】
前記ドライバ回路及び前記制御回路に対して共通の電源端子を備える、請求項13記載のPQFNリードフレーム。
【請求項18】
前記共通ICと前記多相パワーインバータのソースとの間に接続された少なくとも1つのワイヤボンドを備える、請求項13記載のPQFNリードフレーム。
【請求項19】
パワー・カッド・フラット・ノーリード(PQFN)リードフレームであって、
前記PQFNリードフレームの第1エッジ上に置かれ且つ前記PQFNリードフレームのU相出力ストリップV相出力ストリップ、及びW相出力ストリップに接続されたW相出力パッドにそれぞれ接続されたU相、V及びW相パワースイッチ、並びに
ドライバ回路及び制御回路を含む共通集積回路(IC)を備え、前記共通ICが前記PQFNリードフレームの前記U相出力ストリップ及び前記V相出力ストリップに接続され
前記U相出力ストリップ、前記V相出力ストリップ及び前記W相出力ストリップは、前記PQFNリードフレームの第2エッジ上で、対応するI/O端子に接続されている、
PQFNリードフレーム。
【請求項20】
前記共通ICを前記U相出力ストリップに接続する少なくとも1つのワイヤボンドを備える、請求項19記載のPQFNリードフレーム。
【請求項21】
前記共通ICを前記V相出力ストリップに接続する少なくとも1つのワイヤボンドを備える、請求項19記載のPQFNリードフレーム。
【請求項22】
前記PQFNリードフレームのW相出力パッド上に置かれたW相パワースイッチを備える、請求項19記載のPQFNリードフレーム。
【請求項23】
前記PQFNリードフレーム上に置かれたW相パワースイッチを備え、前記W相パワースイッチが前記PQFNリードフレームのW相出力ストリップに接続されている、請求項19記載のPQFNリードフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2013年3月12日に出願された「Control and Drive Circuits on a Power Quad Flat No-Lead (PQFN) Leadframe」と題する米国特許仮出願第61/777,753号の優先権の利益を主張する。本出願は、2012年10月26日に出願された「Compact Wirebonded Power Quad Flat No-Lead (PQFN) Package」と題する特許出願第13/662,224号の一部継続出願でもあり、同第13/662,224号は2011年2月24日に出願された「Multi-Chip Module (MCM) Power Quad Flat No-Lead (PQFN) Package Utilizing a Leadframe for Electrical Interconnections」と題する特許出願第13/034,519号の優先権の利益を主張しており、同第13/034,519号は2010年12月13日に出願された「Low Cost Leadframe Based High Power Density Full Bridge Power Device」と題する米国特許仮出願第61/459,527号の優先権の利益を主張している。本出願は上記の出願のすべてに基づき優先権の利益を主張する。更に、上記のすべての出願の開示内容は参照することにより本出願に全て組み込まれるものとする。
【0002】
定義
本明細書で使用される、用語「III−V族」は少なくとも1つのIII族元素と少なくとも1つのV族元素を含む化合物半導体を意味する。例えば、III−V族半導体は、III族窒化物半導体の形を取り得る。「III族窒化物」又は「III−N」は窒素とアルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)及びボロン(B)などの少なくとも1つのIII族元素を含む化合物半導体を意味し、例えば窒化アルミニウムガリウム(AlGa(1-x)N、窒化インジウムガリウムInGa(1-y)N、窒化アルミニウムインジウムガリウムAlxInGa(1-x-y)N、砒化リン化窒化ガリウム(GaAs(1-a-b))、砒化リン化窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlInGa(1-x-y)As(1-a-b))などの合金を含むが、これらに限定されない。また、III族窒化物は一般に、Ga極性、N極性、半極性又は非極性結晶方位などの任意の極性を有するが、これらに限定されない。また、III族窒化物材料は、ウルツ鉱型、閃亜鉛鉱型、あるいは混合ポリタイプ(結晶多形)のいずれかを含むことができ、単結晶又はモノクリスタル、多結晶、または非結晶の結晶構造を含むことができる。本明細書で使用される、「窒化ガリウム」、「GaN」はIII族窒化物化合物半導体を意味し、III族元素は若干量又は相当量のガリウムを含むが、ガリウムに加えて他のIII族元素も含むことができる。また、III−V族又はGaNトランジスタはIII−V族又はGaNトランジスタを低電圧IV族トランジスタとカスコード接続することによって形成される複合高電圧エンハンスメントモードトランジスタも意味する。
【0003】
さらに、本明細書で使用される、用語「IV族」はシリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)及び炭素(C)などの少なくとも1つのIV族の元素を含む半導体を意味し、例えばシリコンゲルマニウム(SiGe)及び炭化シリコン(SiC)などの化合物半導体も含む。また、IV族は歪化されたIV族材料を生成するためにIV族元素の2つ以上の層を含む又はIV族元素がドーピングされた半導体材料も意味し、例えばシリコン・オン・インシュレータ(SOI)、酸素注入分離基板(SIMOX)及びシリコンオンサファイヤ(SOS)などのIV族ベースの複合基板又はシリコン複合基板も含む。
【背景技術】
【0004】
幾つかの半導体装置を組み合わせ収容するパッケージは、関連及び依存する回路コンポーネントを近接近に保つことによって、回路設計を簡単化し、コストを低減し、より高い効率及び向上した性能をもたらすことができる。更に、これらのパッケージは、コンポーネントの個別パッケージを使用する場合に比べて、アプリケーションの統合を容易にするとともに電気的及び熱的性能を高めることができる。
【0005】
カッド・フラット・ノーリード(QFN)パッケージは、パワー半導体デバイス等の電気コンポーネントのためのリードレスパッケージである。QFNパッケージはパッケージ内に収容する電気コンポーネントへの接続にリードフレーム及びワイヤボンドを使用することができる。QFNは多くの場合複雑さが制限され、特により複雑な構成に対して電気配線のルーティングが課題になり得る。従って、QFNパッケージは多くの場合簡単な構成を取り、少数の電気コンポーネントを収容するものとなる。
【発明の概要】
【0006】
パワー・カッド・フラット・ノーリード(PQFN)リードフレーム上に置かれた制御及びドライバ回路が概して図面の少なくとも一つに示され且つ又関連して明細書で説明され、請求の範囲でより完全に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】パワー・カッド・フラット・ノーリード(PQFN)パッケージの模範的な回路の回路図を示す。
図1B】PQFNパッケージの模範的な共通ICの回路図を示す。
図1C】模範的な多相パワーインバータ回路内のPQFNパッケージの回路図を示す。
図2A】模範的なPQFNパッケージのPQFNリードフレームの上面図を示す。
図2B】ワイヤボンドを備えた模範的なPQFNパッケージの上面図を示す。
図2C】模範的なPQFNパッケージの底面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明には本発明の実施形態に関連する具体的な情報が含まれる。当業者に明らかなように、本発明は本明細書に具体的に記載される態様と異なる態様で実施することができる。本願の添付図面及びそれらの詳細説明は模範的な実施形態を対象にしているにすぎない。特に断らない限り、図中の同等もしくは対応する構成要素は同等もしくは対応する参照番号で示されている。更に、本願の図面及び説明図は一般に正しい寸法比で示されておらず、実際の相対寸法に対応するものではない。
【0009】
図1Aはパワー・カッド・フラット・ノーリード(PQFN)パッケージ100の模範的な回路の回路図を示す。図1BはPQFNパッケージ100の共通IC102の回路図を示す。
【0010】
図1Aにつき説明すると、PQFNパッケージ100は共通集積回路(IC)102及び多相パワーインバータ110を含む。多相パワーインバータ110は、U相パワースイッチ104a及び104b、V相パワースイッチ106a及び106b、及びW相パワースイッチ108a及び108bを含む。
【0011】
図1Bに示されるように、共通IC102は制御回路112、ドライバ回路114及び電圧調整器116を含む。制御回路112は、アルゴリズム及び制御回路120、パルス幅変調(PWM)回路122、動的過電流リミタ124、アナログインタフェース126、アナログ−ディジタル変換器(ADC)128、レジスタ130、ディジタルインタフェース132、水晶ドライブ回路134、クロック合成回路136、ディジタル制御発信機(DCO)138、及びクロックプリスケーラ140を含む。ドライバ回路114は、前置ドライバ142、U相ドライバ144a及び144b、V相ドライバ146a及び146b、W相ドライバ148a及び148b、パワーオンリセット回路150、過電流検出回路156、及び不足電圧及びスタンバイ回路154を含む。
【0012】
図1Aには更に、PQFNパッケージ100は、VBUS端子152a、VSP端子152b、AADV端子152c、PG端子112d、DIR端子152e、PGSEL端子152f、PARI端子152g、PAR2端子152h、RX端子152i、TX端子152j、XTAL端子152k、CLKIN端子152l、VSS端子152m、VCOM端子152n、SW1端子152o、SW2端子152p、SW3端子152q、VB1端子152r、VB2端子152s、VB3端子152t、及びVCC端子152uを含むことが示され、これらの端子は総称してI/O端子152という。
【0013】
図1Cは多相パワーインバータ回路158内のPQFNパッケージの回路図を示す。特に、図1CはPQFNパッケージ100のI/O端子152が多相パワーインバータ回路158に接続される模範的な態様を示す。図1Cは、PQFNパッケージ100に結合されたホスト160、負荷162、インバータフロントエンド164、シャントRS、抵抗R1、キャパシタC1、及びブートストラップキャパシタCB1,CB2及びCB3を示す。
【0014】
PQFNパッケージ100において、図1Bのドライバ回路114は、制御回路112からの制御信号(例えば、制御信号CTRL)に応答して多相パワーインバータ110を駆動するように構成される。制御回路112は、制御信号(例えば、制御信号CTRL)を発生し、その制御信号をドライバ回路114に供給するように構成される。ドライバ回路114及び制御回路112をPQFNパッケージ100内に含めることによって、PQFNパッケージ100は特に回路設計の簡略化、コストの低減、効率及び性能の向上をもたらすことができる。制御回路112及びドライバ回路114を図1Bに示すように共通IC102に含めることによってこれらの利点を一層高めることができる。
【0015】
このように、共通IC102は、制御信号CTRLを発生し、多相パワーインバータ110を制御信号CTRLに応答して駆動するように構成される。多相パワーインバータ110において、U相パワースイッチ104a及び104b、V相パワースイッチ106a及び106b、並びにW相パワースイッチ108a及び108bは縦導通型パワーデバイスであり、例えばファスト・リバース・エピタキシャル・ダイオード・電界効果トランジスタ(FREDFET)のようなIV族半導体パワー金属−酸化物−半導体電界効果トランジスタ(パワーMOSFET)又はIV族半導体絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)である。他の実施形態においては、III−V族半導体FET、HEMT(高電子移動度トランジスタ)、特にGaNFET及び/又はHEMTをU相パワースイッチ104a及び104b、V相パワースイッチ106a及び106b、及びW相パワースイッチ108a及び108bのパワーデバイスとして使用することができる。上で定義したように、本明細書で使用する「窒化ガリウム」又は「GaN」はIII族窒化物化合物半導体を意味し、III族元素は若干量又は相当量のガリウムを含むが、ガリウムに加えて他のIII族元素も含むことができる。前述したように、III−V族又はGaNトランジスタは、III−V族又はGaNトランジスタを低電圧IV族トランジスタとカスコード接続することによって形成される複合高電圧エンハンスメントモードトランジスタも指す。PQFNパッケージ100はフルブリッジパワーデバイスを提供するが、代替実施形態は特定の用途により要求される他のパッケージ構成を提供することができる。また、多相パワーインバータ110は3相パワーインバータであるが、幾つかの実施形態においては、多相パワーインバータ110は2相パワーインバータとすることもできる。
【0016】
上述したように、ドライバ回路114は、制御信号CTRLに応答して多相パワーインバータ110を駆動するように構成される。制御回路112は3相制御回路であり、制御信号CTRLは高圧側パワースイッチであるU相パワースイッチ104a、V相パワースイッチ106a及びW相パワースイッチ108aのための制御信号を含む。前置ドライバ142は、高電圧レベルシフタを含むことができ、制御信号CTRLを受信する。高電圧レベルシフタは、例えば約600ボルトを維持できる成端を有することができる。
【0017】
レベルシフタされた制御信号CTRLは、U相ドライバ144a、V相ドライバ146a及びW相ドライバ148aにより受信される。U相ドライバ144a、V相ドライバ146a及びW相ドライバ148aは更にU相出力端111a、V相出力端111b及びW相出力端111c(図1A参照)からSW1,SW2及びSW3をそれぞれ受信する。U相ドライバ144a、V相ドライバ146a及びW相ドライバ148aは、制御信号CTRLから高圧側ゲート信号H1,H2及びH3を発生し、高圧側ゲート信号H1,H2及びH3を図1Aに示すようにU相パワースイッチ104a、V相パワースイッチ106a及びW相パワースイッチ108aに供給する。従って、U相ドライバ144a、V相ドライバ146a及びW相ドライバ148aは高圧側ドライバであり、多相パワーインバータ110の高圧側パワースイッチに結合される。
【0018】
同様に、制御信号CTRLは、低圧側パワースイッチであるU相ドライバ144b、V相ドライバ146b及びW相ドライバ148bのための制御信号を含む。前置ドライバ142は論理接地GVSSと電力段接地GCOMとの差を補償することができる。しかしながら、低電圧レベルシフタはいくつかの実施形態では使用しなくてもよい。例えば、低電圧レベルシフタは、論理接地GVSSと電力段接地GCOMが共通接地の一部分である場合には使用しなくてもよい。
【0019】
本実施形態において、レベルシフトされた制御信号CTRLはU相ドライバ144b、V相ドライバ146b及びW相ドライバ148bにより受信される。U相ドライバ144b、V相ドライバ146b及びW相ドライバ148bは制御信号CTRLから低圧側ゲート信号L1,L2及びL3を発生し、低圧側ゲート信号L1,L2及びL3を図1Aに示すようにU相パワースイッチ104b、V相パワースイッチ106b及びW相パワースイッチ108bに供給する。従って、U相ドライバ144b、V相ドライバ146b及びW相ドライバ148bは低圧側ドライバであり、多相パワーインバータ110の低圧側パワースイッチに結合される。
【0020】
本実施形態において、U相ドライバ144a及び144b、V相ドライバ146a及び146b、並びにW相ドライバ148a及び148bは、U相パワースイッチ104a及び104b、V相パワースイッチ106a及び106b、並びにW相パワースイッチ108a及び108bのそれぞれに対してインピーダンス整合される。よって、U相ドライバ144a及び144b、V相ドライバ146a及び146b、並びにW相ドライバ148a及び148bはゲート抵抗なしでU相パワースイッチ104a及び104b、V相パワースイッチ106a及び106b、及びW相パワースイッチ108a及び108bを駆動することができ、それによりPQFNパッケージ100をより小型に単純にすることが可能になる。
【0021】
よって、共通IC102、特にドライバ回路114は、U相ドライバ144a及び144b、V相ドライバ146a及び146b、並びにW相ドライバ148a及び148bを用いてU相パワースイッチ104a及び104b、V相パワースイッチ106a及び106b、並びにW相パワースイッチ108a及び108bのスイッチングを駆動して、例えば電力負荷(一例としてモータ)を給電することができる。
【0022】
図1Cに示すように、負荷162はPQFNパッケージ100に結合され、SW1端子252o、SW2端子252p及びSW3端子252qからそれぞれU相出力端111a,V相出力端111b及びW相出力端111cを受信するように構成される。このようにすると、負荷162は負荷電流ILを発生し、これが図1Aに示されている。
【0023】
図1Cを参照すると、インバータフロントエンド164はバス電圧VBUSをPQFNパッケージ100のVBUS端子152aに供給するとともに、電源電圧VCCをPQFNパッケージ100のVCC端子152uに供給する。本実施形態において、インバータフロントエンド164はAC/DCフロントエンドであり、AC−DC整流装置に結合された入力フィルタ(例えば、EMIフィルタ)を含む。AC電圧は、一例として、230ボルトのようなアウトレット電圧とすることができる。DC電圧は、例えばバス電圧VBUS及び電源電圧VCC用に約300ボルト乃至400ボルトとすることができる。
【0024】
図1Aに示すように、PQFNパッケージ100のVBUS端子152aはバス電圧VBUSを受電し、バス電圧VBUSはU相パワースイッチ104a、V相パワースイッチ106a及びW相パワースイッチ108aのそれぞれのドレイン(及び/又は一部の実施形態ではコレクタ)に供給される。よって、バス電圧VBUSは多相パワーインバータを給電するように構成される。
【0025】
更に図1Aに示すように、PQFNパッケージ100のVCC端子152uは電源電圧VCCを受電するように構成され、電源電圧VCCは共通IC102に供給される。電源電圧VCCは共通IC102を給電するように構成される。図1Bに示すように、PQFNパッケージ100は電源電圧VCCを受電するように構成された電圧調整器116を含むことができる。電圧調整器116はPQFNパッケージ100の制御回路112用及びドライバ回路114用である。従って、幾つかの実施形態において、VCC端子152uは制御回路112及びドライバ回路114に対して共通の電源電圧端子とすることができる。図に示すように、共通IC102は共通IC102の制御回路112及びドライバ回路114を給電するように構成された電圧調整器116を含む。電圧調整器116は電源電圧VCCからドライバ電圧V1、ディジタル回路電圧V2及びアナログ回路電圧V3を発生するように構成される。
【0026】
本実施形態において、ドライバ電圧V1はドライバ回路114のドライバ、例えばU相ドライバ144a及び144b、V相ドライバ146a及び146b、並びにW相ドライバ148a及び148b、を給電するように構成される。U相、V相及びW相ドライバ144b、146b及び148bはドライバ電圧V1に結合されるが、U相,V相及びW相ドライバ144a,146a及び148aはそれぞれのブートストラップ電源電圧VB1,VB2及びVB3に結合される。
【0027】
PQFNパッケージ100のVB1端子152r,VB2端子152s及びVB3端子152t(図1C参照)はそれぞれのブートストラップ電源電圧VB1,VB2及びVB3を受電するよう構成され、これらの電圧は共通IC102に供給される。ブートストラップ電源電圧VB1,VB2及びVB3は、ブートストラップキャパシタCB1,CB2及びCB3、U相,V相及びW相ドライバ144a,146a及び148a内のブートストラップダイオード、並びにドライバ電圧V1を用いて発生される。図1Cに示すように、ブートストラップキャパシタCB1,CB2及びCB3はそれぞれSW1端子152o、SW2端子152p及びSW3端子152qとVB1端子152r、VB2端子152s及びVB3端子152tとの間に結合される。電圧調整器116、特にドライバ電圧V1はブートストラップ電源電圧VB1,VB2及びVB3をU相,V相及びW相ドライバ144a,146a及び148a内のブートストラップダイオードを経て充電するように構成される。
【0028】
更に本実施形態において、ディジタル回路電圧V2は共通IC102のディジタル回路を給電するように構成される。共通IC102のディジタル回路は、例えばアルゴリズム及び制御回路120、PWM回路122、動的過電流リミタ124、ADC128、レジスタ130、ディジタルインタフェース132及びクロックプリスケーラ140を含む。ディジタル回路電圧V2は、例えば約3.3ボルトとすることができる。制御信号CTRLを発生するように構成されたディジタル回路を含むことによって、制御回路112はロバストな制御機能を提供する。
【0029】
アナログ回路電圧V3は共通IC102のアナログ回路を給電するように構成される。共通IC102のアナログ回路は、例えば前置ドライバ142、パワーオンリセット回路150、過電流検出回路156、不足電圧及びスタンバイ回路154、アナログインタフェース126、水晶ドライブ回路134、クロック合成回路136、DCO138及びクロックプリスケーラ140を含む。アナログ回路電圧V3は、例えば約3.3ボルトとすることができる。
【0030】
従って、共通IC102は共通IC102の制御回路112及びドライバ回路114を給電するように構成された電圧調整器116を含む。一般的な多相パワーインバータ回路は電圧調整器を個別コンポーネントとして含む。しかしながら、電圧調整器116をPQFNパッケージ100内に、共通IC102の内部でも外部でも、含めることによって、PQFNパッケージ100は特に簡単な回路設計、コストの低減、効率及び性能の向上をもたらすことができる。
【0031】
図1Cにおいて、PQFNパッケージ100のVSS端子152mは論理接地VSSを受けるように論理接地GVSSに結合され、VCOM端子112nは電力段接地VCOMを受けるように電力段接地GCOMに結合される。図1A及び1Bは更に示されるように、共通IC102は論理接地VSSを受けるように構成され、共通IC102及び多相パワーインバータ110は電力段接地VCOMを受けるように構成される。
【0032】
論理接地VSSは共通IC102のサポート論理回路の接地である。サポート論理回路は、前置ドライバ142、不足電圧及びスタンバイ回路154、パワーオンリセット回路150、過電流検出回路156、及び制御回路112を含む。
【0033】
電力段接地VCOMは、(多相パワーインバータ110の)U相パワースイッチ104a及び104b、V相パワースイッチ106a及び106b、及びW相パワースイッチ108aの接地である。図1Aは、PQFNパッケージ100内のU相パワースイッチ104a及び104b、V相パワースイッチ106a及び106b、並びにW相パワースイッチ108a及び108bのソース(及び/又は一部の実施形態ではエミッタ)に結合された電力段接地VCOMを示す。電力段接地VCOMは共通IC102に対する接地とすることもできる。例えば、電力段接地VCOMは本実施形態におけるドライバ回路114のU相,V相及びW相ドライバ144b,146b及び148bにも結合することができる。
【0034】
図1Cに示すように、電力段接地VCOMと別個の論理接地VSSは多相パワーインバータ回路158内にシャントRSを用いることで与えられる。シャントRSはPQFNパッケージ100のVSS端子152mとVCOM端子112nの間に結合される。従って、図1Aに示す例えば負荷162からの負荷電流ILはU相レッグ182a、V相レッグ182b、及びW相レッグ182cからの合成相電流である。U相レッグ182a、V相レッグ182b、及びW相レッグ182cはそれぞれU相パワースイッチ104b、V相パワースイッチ106b及びW相パワースイッチ108bのソース及び/又はエミッタに対応する。従って、幾つかの実施形態において、制御回路112はU相パワースイッチ104b、V相パワースイッチ106b及びW相パワースイッチ108b(低圧側パワースイッチ)の各々のソース/エミッタからの合成相電流を受電するように構成される。本実施形態のような多相パワーインバータ回路158の閉ループ実装においては、制御回路112は制御信号CTRLを生成するために負荷電流ILを利用する。開ループ実装においては、制御回路112は制御信号CTRLを生成するために負荷電流ILを利用し得ない。
【0035】
このように、本実施形態においては、PQFNパッケージ100は電力段接地VCOMと別個の論理接地VSSを備える。U相パワースイッチ104a及び104b、V相パワースイッチ106a及び106b、並びにW相パワースイッチ108a及び108bのスイッチング中に、シャントRSの両端間に電圧が発生し得る。論理接地VSSを電力段接地VCOMと別個にすることによって、サポート論理回路のための電源電圧VCCをシャントRS間の電圧ではなく論理接地に対するものとすることができる。従って、別々の接地を使用することによって、PQFNパッケージ100は、さもなければU相パワースイッチ104a及び104b、V相パワースイッチ106a及び106b、並びにW相パワースイッチ108a及び108bからの過度のスイッチング電圧により生じ得るラッチアップ及びノイズ誤動作から保護される。
【0036】
他の実施形態において、論理接地VSSを電力段接地VCOMと別個にせず、PQFNパッケージ100は論理部及び電力部に対して単一の接地を有する。例えば、VSS端子152m及びVCOM端子152nは単一の端子に結合することができ、或いは互いに短絡することができる。このような一実施形態においては、PQFNパッケージ100はオープンソース/エミッタ型PQFNパッケージであり、このパッケージでは、負荷電流ILとは対照的に、多相パワーインバータ110のU相レグ182a、V相レグ182b及びW相レグ182cの少なくとも2つからの負荷電流が別々に供給される。従って、共通IC102はこれらの負荷電流を用いて制御信号CTRLを生成する。
【0037】
上述したように、制御回路112は負荷電流ILを用いて制御信号CTRLを生成することができる。例えば、制御回路112は過電流検出回路156から負荷電流ILを受電するように構成される。動的過電流リミタ124は過電流検出回路156からの負荷電流ILを受電し、負荷電流ILをアルゴリズム及び制御回路120に供給するように構成される。
【0038】
制御回路112において、アルゴリズム及び制御回路120は多相パワーインバータ110のスイッチングを制御するように構成される。本実施形態において、アルゴリズム及び制御回路120は負荷電流ILに基づいたフィールドオリエンテド制御(FOC)を利用する。制御回路112のアルゴリズム及び制御回路120は、合成相電流である負荷電流ILから多相パワーインバータ110の少なくとも2つの相電流を再構成するように構成される。再構成される少なくとも2つの相電流はU相レグ182a、V相レグ182b及びW相レグ182cのいずれかの相電流に相当し得る。FOCは相電流のd軸(direct axis)及びq軸(quadrature axis)座標に基づくものとすることができる。
【0039】
アルゴリズム及び制御回路120はPWM回路122に結合され、PWM回路122を用いてパルス幅変調された制御信号CTRLを生成する。本実施形態において、PWM回路122はスペースベクトル変調回路であり、この変調回路は(スペースベクトル変調を用いて)制御信号CTRLをスペースベクトル変調された制御信号として生成するように構成される。PWM回路122はアルゴリズム及び制御回路120からのボルト秒コマンドから生成するように構成される。PWM回路122は2相及び/又は3相PWMを実行することができる。PWM回路122は2相PWMを3相PWMより約20%低い損失で実行することができる。
【0040】
このように、共通IC102は制御信号CTRLを生成し、多相パワーインバータ110を制御信号CTRLに応答して駆動するように構成される。具体的には、制御回路112が制御信号CTRLを生成するように構成され、ドライバ回路114が多相パワーインバータ110を制御信号CTRLに応答して駆動するように構成される。
【0041】
制御回路112及びドライバ回路114はPQFNパッケージ100に向上した機能を提供するために追加の回路を含めることができる。図1Bに示すように、不足電圧及びスタンバイ回路154を含む。不足電圧及びスタンバイ回路154は電圧調整器116に結合され、電源電圧VCCが閾値電圧以下に下がるとき不足電圧状態を検出することができる。不足電圧及びスタンバイ回路154は不足電圧状態を動的過電流リミタ124に通知するように構成され、これに応答して動的過電流リミタ124はアルゴリズム及び制御回路120に、多相パワーインバータ110のスイッチングをディセーブルするように通知する。
【0042】
共通IC102内のディジタル回路のタイミングはシステムクロックCLKSYS及びクロックプリスケーラ140を用いて制御されるように構成される。システムクロックCLKSYSは、例えば約10MHzの周波数を有するものとし得る。システムクロックCLKSYSは、水晶ドライブ回路134、クロック合成回路136及びDCO138を用いて発生される。図1Cに示すように、システムクロックCLKSYSのタイミングを設定するために、抵抗R1がXTAL端子152kとCLKIN端子152lとの間に結合され、キャパシタC1がCLKIN端子152lと論理接地GVSSとの間に結合される。水晶ドライブ回路134はXTAL端子152k及びCLKIN端子152lからXTAL信号及びCLKIN信号を受信するように構成される。
【0043】
PQFNパッケージ100は多相パワーインバータ110のスイッチングをパワーオンリセット回路150に応答してディセーブルするように構成される。パワーオンリセット回路150はパワーオン時に、制御回路112内の種々の回路が安定状態になるまで、制御回路内のディジタル回路を強制的にリセットするように構成される。例えば、パワーオンリセット回路150は動的過電流リミタ124にリセット信号を供給することができ、動的過電流リミタ124はアルゴリズム及び制御回路120に、多相パワーインバータ110のスイッチングをディセーブルするように通知することができる。
【0044】
動的過電流リミタ124は過電流検出回路156に結合され、過電流検出回路156から受信されるか電流情報(例えば電圧)を用いて、多相パワーインバータ110に過電流保護を提供するように構成される。例えば、過電流情報が閾値を超えると、動的過電流リミタ124はアルゴリズム及び制御回路120に、多相パワーインバータ110のスイッチングをディセーブルするように通知することができる。過電流情報が閾値を超えなくなると、多相パワーインバータ110のスイッチングは再開することができる。
【0045】
動的過電流リミタ124はアナログインタフェース126及びADC128にも結合され、多相パワーインバータ110に過熱保護を提供するように構成される。従って、動的過電流リミタ124は過熱保護回路124と言うこともできる。動的過電流リミタ124はサーミスタDTから温度情報を受信するように構成される。サーミスタDTは一例として、負温度係数ダイオード型のサーミスタである。動的過電流リミタ124は、サーミスタDTからの温度情報が基準値を超える場合に、多相パワーインバータ110のスイッチングをディセーブル又は変更するようアナログ及び制御回路120に通知する。
【0046】
一般的な多相パワーインバータ回路は多相パワーインバータのパワースイッチの温度を測定するために個別の温度センサを使用する。個別の温度センサはプリント回路板上にパッケージの外部に装着される。しかしながら、この構成は個別の温度センサとパワースイッチとの間に大きな距離を必要とする。従って、個別の温度センサを用いる温度検出は不正確で遅いため、パワースイッチが高温に曝されることになる。
【0047】
本開示の幾つかの実施形態、例えば図1Bに示す実施形態によれば、PQFNパッケージ100、具体的には共通IC102がサーミスタDTを含む。従って、サーミスタDTは多相パワーインバータ110に近接させることができる。例えば、本実施形態において、サーミスタDTはU相パワースイッチ104a及び104b、V相パワースイッチ106a及び106b、並びにW相パワースイッチ108a及び108bから約2mm〜約3mmである。従って、サーミスタDTを用いたこの温度検出は極めて正確で速いため、動的過電流リミタ124により精密な過熱保護を達成することができる。
【0048】
更に、PQFNパッケージ100は約12mm×約12mmのフットプリントを達成することができる。他の実施形態においては、PQFNパッケージ100は12mm×12mmより大きいフットプリントを有するものとすることができる。更に他の実施形態においては、PQFNパッケージ100は12mm×12mmより小さいフットプリントを有するものとすることができる。PQFNパッケージ100は高度にコンパクトで熱的に一貫しているので、サーミスタDTは多相パワーインバータ110の正確な温度測定を提供したまま共通IC102内に含めることができる。また、共通IC102内にサーミスタDTを含めると、回路設計が簡単になり、コストが減少し、PQFNパッケージ100をもっと小さくすることができる。
【0049】
一般的な多相パワーインバータ回路は低速で不正確な温度検出のために過熱保護に対してたった1つの閾値を必要とする。しかしながら、幾つかの実施形態において、動的過電流リミタ124は複数の閾値(例えば少なくとも2つ)を用いて多相パワーインバータ110に過電流保護を与えるように構成される。アナログインタフェース126はサーミスタDTからの温度情報をADC128に供給することができる。ADC128は温度情報からディジタル化された温度情報を生成し、そのディジタル化された温度情報を動的過電流リミタ124に供給することができる。動的過電流リミタ124は、ディジタル化された温度情報を多数の閾値のいずれかと比較するように構成される。幾つかの実施形態では、温度情報はアナログのままとすることができる点に注意されたい。
【0050】
図示の実施形態において、動的過電流リミタ124は3つの閾値(例えば、温度値)を用いて多相パワーインバータ110に過熱保護を与えるように構成される。3つの閾値は異なる過熱保護モードを規定する。
【0051】
例えば約100℃から約120℃までの第1の閾値において、アルゴリズム及び制御回路120は、U相パワースイッチ104a、V相パワースイッチ106a、及びW相パワースイッチ108aのスイッチングをディセーブルする(高圧側スイッチングをディセーブルする)ように構成される。このスイッチングは動的過電流リミタ124からの通知に応答してディセーブルされる。しかしながら、U相パワースイッチ104b、V相パワースイッチ106b、及びW相パワースイッチ108bのスイッチングは維持される。従って、負荷電流ILは負荷162からU相パワースイッチ104b、V相パワースイッチ106b、及びW相パワースイッチ108bを経て流れる残留電流に相当し得る。
【0052】
例えば約120℃から約140℃までの第2の閾値において、アルゴリズム及び制御回路120は多相パワーインバータ110のスイッチングを、少なくとも1PWMサイクルの間、周期的にディセーブルするように構成され、これには零ベクトルを使用し得る。例えば、10kHzのキャリヤ周波数に対して、スイッチングは100ms期間の間周期的にディセーブルすることができる。この周期的ディセーブル動的過電流リミタ124からの通知に応答する。
【0053】
例えば約140℃以上の第3の閾値において、アルゴリズム及び制御回路120は多相パワーインバータ110を完全にディセーブルするように構成される。完全なディセーブルは動的過電流リミタ124からの通知に応答する。
【0054】
このように、複数の閾値は多相パワーインバータ110に対する複数の加熱保護モードを規定する。複数の過熱保護モードは多相閾値(例えば温度値)が増大するにつれて、多相パワーインバータ110の電流をますます強く制限する。よって、動的過電流リミタ124は、多相パワーインバータ110の温度が上昇するにつれて、多相パワーインバータ110の電流をますます強く制限するように構成される。
【0055】
ここで図1B図1Cとともに参照すると、ホスト160はVSP端子152bにVSPを供給するように構成される。共通IC102(制御回路112)はVSP端子152bからVSPを受けるように構成される。制御回路112はVSPを用いてモータとし得る負荷162の速度を設定するように構成される。例えば、VSPはアナログ電圧コマンドであり、一例としてアナログポテンシャルメータから供給することができる。
【0056】
ホスト160は更に、AADV端子152cにAADVを供給するように構成される。共通IC102(制御回路112)はAADV端子152cからAADVを受けるように構成される。制御回路112はAADVを用いて負荷162と相電流対電圧コマンドとの間の角度関係を変化させるように構成される。これは負荷162の効率を増大することができる。
【0057】
ホスト160は更に、PG端子152dからPGを受け、PGSELをPGSEL端子152fに供給するように構成される。共通IC102(制御回路112)はPGをPG端子152dに供給し、PGSELをPGSEL端子152fから受けるように構成される。PGは、負荷162の速度をホスト160及び/又は他の回路に知らせるために負荷162の速度に比例するパルスを含むことができる。共通IC102(制御回路112)はPG内に1回転につき何個のパルスが存在するかを選択するように構成される。例えば、共通IC102はPGSELを用いて1回転につき8〜12個のパワーを選択することができる。
【0058】
ホスト160は更に、DIRをDIR端子152eに供給するように構成される。共通IC(例えば、制御回路112)はDIR端子152eからDIRを受けるように構成される。制御回路112はDIRを用いて負荷162(モータ)の方向を選択するように構成される。
【0059】
ホスト160は更に、PAR1をPAR1端子152gに、PAR2をPAR2端子152hに供給するように構成される。共通IC102(例えば、制御回路112)はPAR1端子152g及びPAR2端子152hからPAR1及びPAR2を受けるように構成される。制御回路112はPAR1及びPAR2を用いてアルゴリズム及び制御回路120を異なるタイプの負荷162(例えば、異なるタイプのモータ)に対応するように調整する。これは負荷が異なるKe、Kt、極数及び/又は他の特性を有し得るためである。
【0060】
ホスト160は更に、TX端子152jからTXを受け、RXをRX端子152iに供給する。共通IC(例えば、制御回路112)はTXをTX端子152jに供給し、RXをRX端子152iから受けるように構成される。制御回路112はRX、TX、ディジタルインタフェース132、及びレジスタ130を用いて、例えばホスト160とディジタル的に通信することができる。本実施形態では、ディジタルインタフェース132は万能非同期送受信機(UART)を含む。
【0061】
様々な実施形態において、I/O端子152の数量及び位置を図示のものと相違させることができることは理解されよう。例えば、様々な実施形態において、ドライバIC102と異なる機能及び/又はI/O要件を有する異なるドライバICを使用することができる。この変更はPQFNパッケージ100のI/O端子152にも、他の接続にも反映させることができる。例えば、本実施形態は単一シャント実装例を示すが、上述したように、他の実施形態においてはPQFNパッケージ100をオープンソース/エミッタ型パッケージとすることができる。更に、制御回路112及びドライバ回路114は幾つかの実施形態において別々のIC上に設けることができるが、これはI/O端子152に影響を与え得る。別の例として、幾つかの実施形態においては、XTAL及びCLKINはPQFNパッケージ100(及び/又は制御回路112)内で生成し、PQFNパッケージ100はXTAL端子152k及びCLKIN端子152lを含まないようにすることができる。
【0062】
従って、PQFNパッケージ100は、多相パワーインバータ110、制御回路112及びドライバ回路114を含み、それらの各々はPQFNパッケージ100のPQFNリードフレーム上に置かれる。ドライバ回路114及び制御回路112をPQFNパッケージ100内に含めることによって、PQFNパッケージ100は特に回路設計の簡略化、コストの低減、及び高い効率及び向上した性能をもたらすことができる。更に、図1Bに示すように制御回路112及びドライバ回路114を共通IC102上に含めることによってこれらの利点を更に高めることができる。
【0063】
次に図2A,2B及び2Cにつき説明すると、図2A図2B及び図2CのPQFNパッケージ200のPQFNリードフレーム270の上面図を示す。図2BはPQFNパッケージ200の上面図である。図2CはPQFNパッケージ200の底面図である。本実施形態において、PQFNパッケージ200はマルチチップモジュール(MCM)PQFNパッケージであり、約12mm×約12mmのフットプリントを有するものとし得る。他の実施形態では、PQFNパッケージ200は12mm×12mmより大きいフットプリントを有するものとし得る。更に他の実施形態においては、PQFNパッケージ200は12mm×12mmより小さいフットプリントを有するものとし得る。
【0064】
PQFNパッケージ200は図1A、1B及び1CのPQFNパッケージ100に対応する。例えば、PQFNパッケージ200は、図1AのドライバIC102、U相パワースイッチ104a及び104b、V相パワースイッチ106a及び106b、及びW相パワースイッチ108a及び108bにそれぞれ対応する、ドライバIC202、U相パワースイッチ204a及び204b、V相パワースイッチ206a及び206b、及びW相パワースイッチ208a及び208bを含む。
【0065】
更に、PQFNパッケージ200は、PQFNパッケージ100内のVBUS端子152a、VSP端子112b、AADV端子152c、PG端子512d、DIR端子152e、PGSEL端子152f、PAR1端子152g、PAR2端子152h、RX端子152i、TX端子152j、XTAL端子152k、CLKIN端子152l、VSS端子152m、VCOM端子152n、SW1端子152o、SW2端子152p、SW3端子152q、VB1端子152r、VB2端子152s、VB3端子152t、及びVCC端子152uにそれぞれ対応する、VBUS端子252a、VSP端子252b、AADV端子252c、PG端子252d、DIR3端子252e、PGSEL端子252f、PAR1端子252g、PAR2端子252h、RX端子252i、TX端子252j、XTAL端子252k、CLK端子252l、VSS端子252m、VCOM端子252n、SW1端子252o、SW2端子252p、SW3端子252q、VB1端子252r、VB2端子252s、VB3端子252t、及びVCC端子252u(「I/O端子252」とも称される)を含む。
【0066】
図2Aは、共通ICダイパッド272、W相出力パッド274a、V相出力パッド274b、U相出力パッド274c、共通ドレイン/コレクタパッド276を含むリードフレーム270を示す。PQFNリードフレーム270は更にU相,V相及びW相出力ストリップ278a,278b,278cを含む。リードフレームアイランド280aがPQFNリードフレーム270のU相出力ストリップ278a上に位置し、リードフレームアイランド280bがPQFNリードフレーム270のV相出力ストリップ278b上に位置し、リードフレームアイランド280cがPQFNリードフレーム270のW相出力ストリップ278c上に位置する。
【0067】
U相出力ストリップ278aはPQFNリードフレーム270のU相出力パッド274c及びSW1端子252oに電気的に且つ機械的に(例えば一体的に)接続される。V相出力ストリップ278bはPQFNリードフレーム270のV相出力パッド274b及びSW2端子252pに電気的に且つ機械的に(例えば一体的に)接続される。W相出力ストリップ278cはPQFNリードフレーム270のW相出力パッド274a及びSW3端子252qに電気的に且つ機械的に(例えば一体的に)接続される。
【0068】
図2Bに示すように、U相出力ストリップ278a,V相出力ストリップ278b及びW相出力ストリップ278cは必要に応じPQFNリードフレーム270と実質的に交差させることもできる。例えば、U相出力ストリップ278a,V相出力ストリップ278b及びW相出力ストリップ278cはそれぞれU相出力パッド274c、V相出力パッド274b及びW相出力パッド274cからPQFNパッケージ200のエッジ283cまで延長させることができる。そうすると、U相出力ストリップ278a,V相出力ストリップ278b及びW相出力ストリップ278cのいずれもPQFNパッケージ200の追加のI/O端子252を提供することができる。例えば、U相出力ストリップ278aはPQFNパッケージ200のエッジ283cにおける追加のSW1端子252oを提供するものとして示されている。
【0069】
PQFNリードフレーム270はオリン・ブラス(登録商標)から入手し得る銅(Cu)合金C194のような高い熱及び電気伝動率を有する材料で構成することができる。リードフレーム270の上面286aはデバイスダイ及びワイヤへの付着性を高める材料で選択的にめっきすることもできる。このめっきはリードフレーム270に選択的に被着された銀(Ag)めっきとすることができ、この銀めっきはQPLリミテッドなどの会社から入手できる。
【0070】
図2A及び2Bは、リードフレーム270はエッチングされたリードフレーム、例えばハーフエッチングされたリードフレームであることを示す。リードフレーム270のエッチング(例えばハーフエッチング)されてない部分は図2A及び2Bに破線で示されている。リードフレームアイランド280a,280b及び280cはこのようなエッチングされてない部分の例である。例えば、図2CはPQFNリードフレーム270の底面186bを示す(PQFNパッケージ200の底面にも相当する)。図2Cは更に、PQFNリードフレーム270のエッチングされた部分を覆うPQFNパッケージ200のモールドコンパウンド265も示している。モールドコンパウンド265は日立ケミカルから入手しうるCEL9220ZHF(v79)等の低い曲げ弾性率を有するプラスチックとすることができる。パッケージのクラッキングに耐える弾性を与えるために、モールドコンパウンド265で決まるPQFNパッケージ200の高さ(又は厚さ)を薄く保つことができ、例えば0.9mm以下にすることができる。
【0071】
I/O端子252、リードフレームアイランド280a,280b及び280cはエッチングされず、モールドコンパウンド265を経てPQFNリードフレーム270の底面286b(PQFNパッケージ200の底面に相当する)に露出される。したがって、I/O端子252、並びにリードフレームアイランド280a,280b及び280cは電気伝導性及び/又は熱放散を高めるためにPQFNリードフレーム270の底面240bに露出される。共通ICダイパッド272、共通ドライバ/コレクタパッド276、W相出力パッド274a、V相出力パッド274b、及びU相出力パッド274cも電気伝導性及び/又は熱放散を高めるためにPQFNリードフレーム270の底面240bに露出される。例えば、PCBに対応ランドを設けることによって、露出底面を必要に応じ利用することができる。PQFNリードフレーム270の露出領域は、例えば錫(Sn)若しくは他の金属又は金属合金でめっきすることができる。
【0072】
本実施形態において、図1Bの制御回路112及びドライバ回路114は共通IC202内に含まれる。従って、共通IC202はU相パワースイッチ204a及び204b、V相パワースイッチ206a及び206b、及びW相パワースイッチ208a及び208b(図1Aの多相パワーインバータ110に相当する)を駆動するように構成される。共通IC202はPQFNリードフレーム270上に置かれ、特にPQFNリードフレーム270の共通ICダイパッド272上に置かれる。従って、本実施形態では、ドライバ回路114及び制御回路112はPQFNリードフレーム270の同一のダイパッド上に置かれる。共通IC202、U相パワースイッチ204a及び204b、V相パワースイッチ206a及び206b、及びW相パワースイッチ208a及び208bはワイヤボンド及びPQFNリードフレーム270を用いて相互接続される。図示の個々の接続は1以上のワイヤボンドを使用することができる点に注意されたい。
【0073】
図2Bには、ワイヤボンド288aのようなワイヤボンドによって共通IC202が、VSP端子252b、AADV端子252c、PG端子252d、DIR端子252e、PGSEL端子252f、PAR1端子252g、PAR2端子252h、RX端子252i、TX端子252j、XTAL端子252k、CLK端子252l、VSS端子252m及びVCC端子252uに、並びにU相パワースイッチ204a及び204b、V相パワースイッチ206a及び206b、並びにW相パワースイッチ208a及び208bのそれぞれのゲートに電気的に且つ機械的に接続されることが示されている。
【0074】
図2Bに示されるワイヤボンド288a及び同様に示されるワイヤボンドは、例えば直径1.3ミルのG1タイプの金(Au)ワイヤとすることができる。ワイヤボンド290a,290b,290c,290d,290e及び290f(「ワイヤボンド290」ともいう)等の電力接続のためにはもっと太いワイヤを使用することができる。ワイヤボンド290は、例えば直径2.0ミルの銅(Cu)ワイヤとすることができ、例えばクリッケ・アンド・ソッファから入手し得るMaxsoft(登録商標)LDワイヤとすることができる。図2Bに示されるように、追加の処理能力を与えるために複数のワイヤボンド、例えば2つのワイヤボンドを並列に設けることもできる。
【0075】
図2Bは、U相パワースイッチ204a及び204b、V相パワースイッチ206a及び206b、W相パワースイッチ208a及び208b、並びに共通IC202はPQFNリードフレーム270に電気的に且つ機械的に接続されることを示している。この接続は、ヘンケルコーポレーションから入手し得る銀充填QMI529HT等の半田又は導電性接着剤を使用して達成できる。
【0076】
図2Bに示すように、U相パワースイッチ204b、V相パワースイッチ206b、及びW相パワースイッチ208bはPQFNパッケージ200のエッジ283aに沿ってPQFNリードフレーム270上に置かれる。W相パワースイッチ208bはW相出力パッド274a上に置かれる。具体的には、W相パワースイッチ208bのドレイン292aがW相出力パッド274a上に置かれる。同様に、V相パワースイッチ206bはV相出力パッド274b上に置かれる。具体的には、V相パワースイッチ206bのドレイン292bがV相出力パッド274b上に置かれる。同様に、U相パワースイッチ204bはU相出力パッド274c上に置かれる。具体的には、U相パワースイッチ204bのドレイン292cがU相出力パッド274c上に置かれる。従って、U相パワースイッチ204b、V相パワースイッチ206b、及びW相パワースイッチ208bはPQFNリードフレーム270のそれぞれのダイパッドに個別に結合される。従って、図2Bに示すように、W相出力パッド274aはPQFNパッケージ200のSW3端子252qに対応させることができ、V相出力パッド274bはPQFNパッケージ200のSW2端子252pに対応させることができ、U相出力パッド274cはPQFNパッケージ200のSW1端子252oに対応させることができる。
【0077】
同様に図2Bに示すように、U相パワースイッチ204a、V相パワースイッチ206a、及びW相パワースイッチ208aはPQFNパッケージ200のエッジ283aと交差するエッジ283bに沿ってPQFNリードフレーム270上に置かれる。U相パワースイッチ204a、V相パワースイッチ206a、及びW相パワースイッチ208aは共通ドレイン/コレクタパッド276上に置かれる。具体的には、U相パワースイッチ204aのドレイン292d、V相パワースイッチ206aのドレイン292e、及びW相パワースイッチ208aのドレイン292fがPQFNリードフレーム270の共通ドレイン/コレクタパッド276上に置かれる。従って、図2Bに示すように、共通ドレイン/コレクタパッド276はPQFNパッケージ200のVBUS端子252aに対応させることができる。
【0078】
U相パワースイッチ204aのドレイン292d、V相パワースイッチ206aのドレイン292e、及びW相パワースイッチ208aのドレイン292fは導電性接着剤及び/又はPQFNリードフレーム270のめっき層で共通ドレイン/コレクタパッド276に接続することができる。導電性接着剤はQMI529HT等の銀充填接着剤とすることができる。PQFNパッケージ200内に他のダイも同様にしてPQFNリードフレーム270に接続することができる。
【0079】
U相パワースイッチ204b、V相パワースイッチ206b、及びW相パワースイッチ208bはそれぞれU相パワースイッチ204a、V相パワースイッチ206a、及びW相パワースイッチ208aにPQFNリードフレーム270を介して結合される。
【0080】
図2Bに示すように、U相,V相及びW相パワースイッチ204b、206b及び208bの各々はPQFNリードフレーム270上に置かれ、U相,V相及びW相出力パッド274c,274b及び274aにそれぞれ接続される。U相パワースイッチ204b、V相パワースイッチ206b、及びW相パワースイッチ208bはそれぞれU相,V相及びW相出力パッド274c,274b及び274aを介してU相パワースイッチ204a、V相パワースイッチ206a、及びW相パワースイッチ208aにも接続される。
【0081】
図2Bにおいて、ワイヤボンド290aがU相パワースイッチ204aのソース294dをPQFNリードフレーム270に電気的に且つ機械的に接続する。即ち、ソース294dがワイヤボンド290aによってU相出力ストリップ278のリードフレームアイランド280aに、例えばPQFNリードフレーム270のめっき層を経て接続される。U相出力ストリップ278aが続いてU相出力パッド274cを経てU相パワースイッチ204bのドレイン292cに接続する。よって、ソース294dがワイヤボンド290aによりU相出力ストリップ278aのリードフレームアイランド280aに接続される。従って、図1AのU相出力端111aがPQFNリードフレーム270のU相出力ストリップ278aに接続され、U相出力ストリップ278aがPQFNリードフレーム270のU相出力パッド274cに接続される。そうすることにより、PQFNパッケージ200は、ワイヤボンド290a及びワイヤボンド288b等の他のワイヤボンドの配置に大きなフレキシビリティを有し、配線交差に起因する配線短絡を回避しながら高い電気的及び熱的性能を達成することができる。
【0082】
同様に、ワイヤボンド290bがV相パワースイッチ206aのソース294eをPQFNリードフレーム270に電気的に且つ機械的に接続する。即ち、ソース294eがワイヤボンド290bによりV相出力ストリップ278bに、例えばPQFNリードフレーム270のめっき層248bを介して接続される。V相出力ストリップ278bが続いてV相出力パッド274bを経てV相パワースイッチ206bのドレイン292bに接続する。従って、図1AのV相出力端111bがPQFNリードフレーム270のV相出力ストリップ278bに接続され、V相出力ストリップ278bがPQFNリードフレーム270のV相出力パッド274bに接続される。そうすることにより、PQFNパッケージ200は、ワイヤボンド290b及びワイヤボンド288c等の他のワイヤボンドの配置に大きなフレキシビリティを有し、配線交差に起因する配線短絡を回避しながら高い電気的及び熱的性能を達成することができる。
【0083】
更に図2Bにおいて、ワイヤボンド290cがW相パワースイッチ208aのソース294fをPQFNリードフレーム270に電気的に且つ機械的に接続する。具体的には、ワイヤボンド290cはW相パワースイッチ208aのソース294fをPQFNリードフレーム270のW相出力パッド274aに電気的に且つ機械的に接続する。従って、図1AのW相出力端111cがW相パワースイッチ208bとともにPQFNリードフレーム270のW相出力パッド274aに接続される。W相パワースイッチ208bはW相パワースイッチ208aに隣接するので、W相パワースイッチ208aのソースを、配線交差に起因する配線短絡を容易に避けながら、W相パワースイッチ208bのドレイン292aに結合することができ、高い電気的及び熱的性能を達成することができる。
【0084】
従って、図1Aの多相パワーインバータ110は共通IC202内に含めることができる。多相パワーインバータ110は、少なくともワイヤボンド288bを用いてU相出力ストリップ278a及びU相出力パッド274cに接続されたU相出力端111aを含む。更に、多相パワーインバータ110は、少なくともワイヤボンド288cを用いてV相出力ストリップ278b及びV相出力パッド274bに接続されたV相出力端111bを含む。更に、多相パワーインバータ110は、少なくともワイヤボンド288dを用いてW相出力ストリップ278c及びW相出力パッド274aに接続されたW相出力端111cを含む。
【0085】
上記の構成はW相出力少なくとも278c及び/又はリードフレームアイランド280cを用いないで達成することもできる。しかしながら、W相出力ストリップ278cを用いることによって、追加のSW3端子252qをPQFNパッケージ200のエッジ283に設けることができる。更に、リードフレームアイランド280cは高い導電性及び/又は熱放散のためにPQFNパッケージ200の底面に露出させることができる。この構成はPQFNパッケージ200内のワイヤボンドの配置のフレキシビリティに大きな影響を与えない。
【0086】
また、PQFNパッケージ200において、共通IC202はPQFNリードフレーム270のU相出力ストリップ278a、V相出力ストリップ278b及びW相出力ストリップ278cに接続される。共通IC202はU相出力ストリップ278a及びV相出力ストリップ278bにそれぞれのワイヤボンド288b及び288cによって接続される。更に、共通IC202はW相出力ストリップ278cにワイヤボンド288d、290c及びW相出力パッド274aによって接続される。
【0087】
共通IC202はPQFNリードフレーム270のU相出力パッド274c、V相出力パッド274b及びW相出力パッド274aにも接続される。共通IC202はワイヤボンド288b及びU相出力ストリップ278aを経てU相出力パッド274cに接続される。更に、共通IC202はワイヤボンド288c及びV相出力ストリップ278bを経てV相出力パッド274bに接続される。共通IC202はワイヤボンド288d及び290cを経てW相出力パッド274aに接続される。
【0088】
OQFNパッケージ200において、ワイヤボンド288bは、リードフレームアイランド280aにおいてドライバ回路114(例えばU相ドライバ144a)とPQFNリードフレーム270のU相出力ストリップ278aとを電気的に且つ機械的に結合する。図1AのU相出力端111aはPQFNリードフレーム270のリードフレームアイランド280a上に位置する。従って、図1AのU相ドライバ144aは多相パワーインバータ110のU相出力端111aに結合され、U相出力端111aはPQFNリードフレーム270のリードフレームアイランド280a(及び/又はU相出力ストリップ278a)上に位置する。
【0089】
同様に、ワイヤボンド288cは、リードフレームアイランド280bにおいてドライバ回路114(例えば、V相ドライバ146a)とPQFNリードフレーム270のV相出力ストリップ278bとを電気的に且つ機械的に結合する。図1AのV相出力端111bはPQFNリードフレーム270のリードフレームアイランド280b上に位置する。従って、図1AのV相ドライバ146aは多相パワーインバータ110のV相出力端111bに結合され、V相出力端111bはPQFNリードフレーム270のリードフレームアイランド280b(及び/又はV相出力ストリップ278b)上に位置する。
【0090】
PQFNパッケージ200は、U相,V相及びW相出力ストリップ278a,278ab及び/又は278cのないリードフレームアイランド280a,280b及び280cを含むことができる点に注意されたい。例えば、リードフレームアイランド280bはPCB上のトラックを経てV相出力パッド274bに接続することができる。更に、PQFNパッケージ200はリードフレームアイランド280a,280b及び280cのないU相,V相及びW相出力ストリップ278a,278b及び278cを含むことができる点に注意されたい。しかしながら、リードフレームアイランド280a,280b及び280cを有するU相,V相及びW相出力ストリップ278a,278b及び278cはPQFNパッケージ内のワイヤボンドの配置に大きなフレキシビリティをもたらし、高い電気的及び熱的性能が達成される。
【0091】
また本実施形態においては、ワイヤボンド288dは、ドライバ回路114(例えばW相ドライバ148a)とW相パワースイッチ208aのソース294fとを電気的に且つ機械的に結合する。ワイヤボンド288dは共通IC202とソース294fとの間の直接電気接続である。これにより、図1AのW相ドライバ148aは多相パワーインバータ110のW相出力端111cに結合される。幾つかの実施形態では、ワイヤボンド288dによってドライバ回路114(例えばW相ドライバ148a)とPQFNリードフレーム270のW相出力ストリップ278cとをリードフレームアイランド280cで結合することができる。しかしながら、これはPQFNパッケージ200のフットプリントを増大し得る。
【0092】
PQFNパッケージ200は更に、共通IC(例えばドライバ回路114)をPQFNパッケージ200のVB1,VB2及びVB3端子252r,252s及び252tにそれぞれ結合するワイヤボンド288f,288g及び288hを含む。U相,V相及びW相ドライバ144a,146a及び148aを駆動するために、ブートストラップキャパシタをそれぞれVB1,VB2及びVB3端子252r,252s及び252tとSW1端子252o,SW2端子252p及びSW3端子252qとの間に結合することができる。
【0093】
PQFNパッケージ200は共通IC202のサポート論理回路に結合されたPQFNリードフレーム270の論理接地を含む。PQFNリードフレーム270の論理接地はVSS端子252mを含む。少なくともワイヤボンドがPQFNリードフレーム270のVSS端子252mを共通IC端子202に電気的に且つ機械的に接続し、具体的にはPQFNリードフレーム270のVSS端子252mを共通IC202のサポート論理回路に接続している。
【0094】
PQFNパッケージ200は更に、U相パワースイッチ204b、V相パワースイッチ206b、及びW相パワースイッチ208bのソース294c,294b及び294aに結合されたPQFNリードフレーム270の電力段接地を含む。PQFNリードフレーム270の電力段接地はVCOM端子252nを含む。図2Bにおいて、少なくともワイヤボンド290fがPQFNリードフレーム270の電力段接地のVCOM端子252nをU相パワースイッチ204bのソース294cに電気的に且つ機械的に接続している。少なくともワイヤボンド290eがU相パワースイッチ204bのソース294cをV相パワースイッチ206bのソース294bに電気的に且つ機械的に接続している。更に、少なくともワイヤボンド290dがV相パワースイッチ206bのソース294bをW相パワースイッチ208bのソース294aに電気的に且つ機械的に接続している。従って、U相パワースイッチ204b、V相パワースイッチ206b、及びW相パワースイッチ208b(即ち低圧側パワースイッチ)のソース294c,294b及び294aはPQFNパッケージ200内で互いに結合される。
【0095】
他の実施形態においては、PQFNパッケージ200はオープンソース/エミッタ型パッケージであり、ソース294a,294b及び294cはPQFNパッケージ200内で互いに結合されない。例えば、ワイヤボンド290のようなワイヤボンドはソース294a,294b及び294cをPQFNパッケージ200のそれぞれの電流源端子に電気的に且つ機械的に接続することができる。
【0096】
本実施形態においては、PQFNリードフレーム270の電力段接地(VCOM)は共通IC102のドライバ回路114(例えば、図1BのU相,V相及びW相ドライバ114b、146b及び148b)に結合される。ワイヤボンド288eがU相パワースイッチ204bのソース294cを共通IC202のU相,V相及びW相ドライバ144b、146b及び148bに接続している。それにより、共通IC202はPQFNパッケージ200内のU相,V相及びW相パワースイッチ204b、206b及び208bのソース294c,294b及び294aに接続される。いくつかの実施形態では、共通IC202は必要に応じPQFNリードフレーム270の共通ICダイパッド272上に位置する接地294を有することができる。接地294は電力段接地及び/又は論理接地とすることができる。図示の実施形態では、接地294が論理接地である場合、VSS端子252mのためのワイヤボンドは除去することができる。
【0097】
従って、図1A〜IC及び図2A〜2Cにつき述べたように、様々な実施形態によれば、PQFNパッケージはPQFNパッケージのPQFNリードフレーム上に位置する多相パワーインバータ回路、制御回路及びドライバ回路を含むことができる。ドライバ回路及び制御回路をPQFNパッケージ内に含めることによって、PQFNパッケージは特に回路設計の簡略化、コストの低減、効率及び性能の向上をもたらすことができる。更に、制御回路及びドライバ回路を共通IC102上に含めることによってこれらの利点を更に高めることができる。
【0098】
以上の説明から明らかなように、本願に記載の発明の概念は本発明の概念の範囲を逸脱することなく種々の技術を用いて実施することができる。更に、特に幾つかの実施形態について本発明の概念を説明したが、当業者であれば、それらの形態及び細部に本発明の概念の精神及び範囲を逸脱することなく種々な変更を加えることができることは理解されよう。従って、上述した実施形態はあらゆる点において例示的なものであり、限定的なものではないと考慮されたい。更に、本発明は上述した特定の実施形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなしに、本発明に多くの再配置、変形及び置換を行い得ることを理解されたい。
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図1A