特許第5887438号(P5887438)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テンタック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5887438-包装容器およびその製造方法 図000002
  • 特許5887438-包装容器およびその製造方法 図000003
  • 特許5887438-包装容器およびその製造方法 図000004
  • 特許5887438-包装容器およびその製造方法 図000005
  • 特許5887438-包装容器およびその製造方法 図000006
  • 特許5887438-包装容器およびその製造方法 図000007
  • 特許5887438-包装容器およびその製造方法 図000008
  • 特許5887438-包装容器およびその製造方法 図000009
  • 特許5887438-包装容器およびその製造方法 図000010
  • 特許5887438-包装容器およびその製造方法 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5887438
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】包装容器およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/00 20060101AFI20160303BHJP
   B65D 85/20 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
   B65D33/00 Z
   B65D85/20 Z
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-16610(P2015-16610)
(22)【出願日】2015年1月30日
【審査請求日】2015年1月30日
(31)【優先権主張番号】特願2014-235443(P2014-235443)
(32)【優先日】2014年11月20日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594068974
【氏名又は名称】テンタック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 純一
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3025973(JP,U)
【文献】 特表平06−510261(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0176753(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/00
B65D 85/20
B65D 25/00−25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の筒状袋体と、この袋体内の一端部側に配置され印刷面を有する印刷紙とを備える包装容器であって、
前記袋体が、周面にこの袋体の軸方向に延びて外向きに突出する4本の山折り部と、隣接する2本の前記山折り部の間の面からなる前面部と、この前面部に対向する背面部と、これらを結ぶ一対の側面部とを有し、
この一対の側面部が、前記軸方向に延びて内向きに突出する谷折り部をそれぞれ有し、
前記印刷紙が前面部の幅と略同等の幅を有するとともに前面部の内側に配置され、前記袋体の一端部が前記印刷紙を挟み込んだ状態で閉止されていることを特徴とする包装容器。
【請求項2】
樹脂製の筒状袋体と、この袋体内に一端部から他端部の近傍まで配置される案内紙と、この案内紙と前記袋体の内壁面との間であり前記一端部側に配置され印刷面を有する第一印刷紙とを備え、前記一端部が前記案内紙および第一印刷紙を挟み込んだ状態で閉止されていることを特徴とする包装容器。
【請求項3】
前記袋体が、周面にこの袋体の軸方向に延びて外向きに突出する4本の山折り部と、隣接する2本の前記山折り部の間の面からなる前面部と、この前面部に対向する背面部と、これらを結ぶ一対の側面部とを有し、
この一対の側面部が、前記軸方向に延びて内向きに突出する谷折り部をそれぞれ有し、
前記袋体内であって前面部の内側に前面部の幅と略同等の幅を有する第二印刷紙が配置され、前記背面部の内側に前記第一印刷紙および案内紙が順番に配置され、前記一端部が前記案内紙、第一印刷紙および第二印刷紙を挟み込んだ状態で閉止されている請求項2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記印刷紙、第一印刷紙、第二印刷紙および案内紙から選ばれる少なくとも一つが樹脂製である請求項1〜3のいずれかに記載の包装容器。
【請求項5】
前記袋体の一端部が閉止されており当該閉止された箇所は熱圧着部を有する請求項1〜4のいずれかに記載の包装容器。
【請求項6】
前記袋体が、軟質ポリエステル製または塩化ビニル製である請求項1〜5のいずれかに記載の包装容器。
【請求項7】
請求項2または3に記載の包装容器の使用方法であって、前記袋体の他端部から前記案内紙上を滑らせながら製品を入れた後に、この他端部を閉止することを特徴とする包装容器の使用方法。
【請求項8】
樹脂製の筒状袋体の周面にこの袋体の軸方向に延びて外向きに突出する4本の山折り部を形成して、この山折り部を境界として前面部とこの前面部に対向する背面部とこれらを結ぶ一対の側面部とを区画するとともに、前記一対の側面部にさらに前記軸方向に延びて内向きに突出する谷折り部をそれぞれ形成し、
前面部の幅と略同等の幅を有するとともに印刷面を有する印刷紙を前記袋体内であって前記前面部の内側に配置し、前記印刷紙を挟み込んだ状態で前記袋体の一端部を閉止することを特徴とする包装容器の製造方法。
【請求項9】
両端部を開口した樹脂製の筒状袋体内に一端部から他端部の近傍まで延びる案内紙を配置し、この案内紙と前記袋体との内壁面との間であり前記一端部側に、印刷面を有する第一印刷紙を配置し、前記袋体の一端部を前記案内紙および第一印刷紙を挟み込んだ状態で閉止することを特徴とする包装容器の製造方法。
【請求項10】
前記袋体の周面にこの袋体の軸方向に延びて外向きに突出する4本の山折り部を形成して、この山折り部を境界として前面部とこの前面部に対向する背面部とこれらを結ぶ一対の側面部とを区画するとともに、前記一対の側面部にさらに前記軸方向に延びて内向きに突出する谷折り部をそれぞれ形成し、
前記袋体内であって前記前面部の内側に前面部の幅と略同等の幅を有する第二印刷紙を配置し、前記背面部の内側に前記第一印刷紙および案内紙を順番に配置し、前記一端部を前記案内紙、第一印刷紙および第二印刷紙を挟み込んだ状態で閉止する請求項9に記載の包装容器の製造方法。
【請求項11】
前記印刷紙、第一印刷紙、第二印刷紙および案内紙から選ばれる少なくとも一つが樹脂製である請求項8〜10のいずれかに記載の包装容器の製造方法。
【請求項12】
前記袋体の一端部が、熱圧着により閉止される請求項8〜11のいずれかに記載の包装容器の製造方法。
【請求項13】
前記袋体が、軟質ポリエステル製または塩化ビニル製である請求項8〜12のいずれかに記載の包装容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺体を包装する包装容器に関するものであり、詳しくは包装容器の破損を抑制し、製品の包装作業を短時間でかつ確実に行なうことのできる包装容器およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーテンレールや壁紙ロール等の長尺体を包装する包装容器が種々提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の包装用箱体は、硬質なプラスチックで形成された箱体状の包装容器であり、角柱形状に形成された筒体と、この筒体の両端部をそれぞれ閉止する蓋体とからなる。この包装容器は、硬質なプラスチックで形成されているため、運搬時や店舗での陳列時に衝撃等が加わると割れたりして破損する不具合が生じる。
【0004】
一般的に包装容器の一端部には、製品名や使用方法等を記載した印刷紙が配置される。製品をこの一端部側から包装容器に挿入する際には、製品を挿入した後に印刷紙を挿入して適切な位置に配置してから、蓋体を組み付けなければならないので製品の包装に時間がかかるデメリットがある。
【0005】
製品を包装容器の他端部側から挿入する場合は、包装容器の製造時に印刷紙を適切な位置に配置しておくことができるので、製品を包装する工程での作業負担はある程度低減できる。しかし包装容器に製品を挿入する際に、製品が印刷紙にひっかかると印刷紙が折れ曲がったり破れたりする。そのため作業者は製品を包装容器に挿入する作業を慎重に行わなくてはならず、製品の包装に時間がかかるデメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】登録実用新案第3025973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は包装容器の破損を抑制し、製品の包装作業を短時間でかつ確実に行なうことのできる包装容器およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成する第一の本発明の包装容器は、樹脂製の筒状袋体と、この袋体内の一端部側に配置され印刷面を有する印刷紙とを備える包装容器であって、前記袋体が、周面にこの袋体の軸方向に延びて外向きに突出する4本の山折り部と、隣接する2本の前記山折り部の間の面からなる前面部と、この前面部に対向する背面部と、これらを結ぶ一対の側面部とを有し、この一対の側面部が、前記軸方向に延びて内向きに突出する谷折り部をそれぞれ有し、前記印刷紙が前面部の幅と略同等の幅を有するとともに前面部の内側に配置され、前記袋体の一端部が前記印刷紙を挟み込んだ状態で閉止されていることを特徴とする。
【0009】
第一の本発明の包装容器の製造方法は、樹脂製の筒状袋体の周面にこの袋体の軸方向に延びて外向きに突出する4本の山折り部を形成して、この山折り部を境界として前面部と
この前面部に対向する背面部とこれらを結ぶ一対の側面部とを区画するとともに、前記一対の側面部にさらに前記軸方向に延びて内向きに突出する谷折り部をそれぞれ形成し、前面部の幅と略同等の幅を有するとともに印刷面を有する印刷紙を前記袋体内であって前記前面部の内側に配置し、前記印刷紙を挟み込んだ状態で前記袋体の一端部を閉止することを特徴とする。
【0010】
第二の本発明の包装容器は、樹脂製の筒状袋体と、この袋体内に一端部から他端部の近傍まで配置される案内紙と、この案内紙と前記袋体の内壁面との間であり前記一端部側に配置され印刷面を有する第一印刷紙とを備え、前記一端部が前記案内紙および第一印刷紙を挟み込んだ状態で閉止されていることを特徴とする。
【0011】
第二の本発明の包装容器の製造方法は、両端部を開口した樹脂製の筒状袋体内に一端部から他端部の近傍まで延びる案内紙を配置し、この案内紙と前記袋体との内壁面との間であり前記一端部側に、印刷面を有する第一印刷紙を配置し、前記袋体の一端部を前記案内紙および第一印刷紙を挟み込んだ状態で閉止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、包装容器が可撓性を有する樹脂製の袋体で構成されているので、包装容器どうしの接触等により包装容器が破損することを抑制できる。また印刷紙、第一印刷紙および案内紙が予め袋体に固定された状態となるので、包装容器に製品を入れる際に印刷紙等を配置する作業が不要となり、包装作業を短時間で行うことが可能となる。
【0013】
第一の本発明に係る包装容器および包装容器の製造方法では、背面部を下にした状態で包装容器を載置して製品を入れる場合に、印刷紙は前面部と袋体の内側に突出した傾斜する側面部によりその場に保持される。そのため製品を袋体に入れる際に、製品の先端部を印刷紙に接触させることなく袋体の一端部まで容易に移動させることが可能となる。
【0014】
第二の本発明に係る包装容器およびその製造方法では、袋体の一端部から袋体の開放された他端部の近傍まで延びる案内紙が配置されているので、製品を他端部から入れる際には製品の先端部を案内紙に接触させて滑らせるように移動させることができる。製品は、案内紙上を移動するので袋体の内壁面とこの案内紙との間に配置されている第一印刷紙に接触することがない。そのため、製品を包装する際に製品の先端部が第一印刷紙にひっかかることにより、第一印刷紙が折れ曲がったり破れたりする不具合を防止でき、包装作業を確実に行なうことができる。包装作業を行う作業者は、第一印刷紙が破れたりすることを考慮しなくてよいので、包装作業を迅速に行なうことができ、包装作業時間を短縮することができる。
【0015】
袋体は、周面にこの袋体の軸方向に延びて外向きに突出する4本の山折り部と、隣接する2本の山折り部の間の面からなる前面部と、この前面部に対向する背面部と、これらを結ぶ一対の側面部とを有し、この一対の側面部が、軸方向に延びて内向きに突出する谷折り部をそれぞれ有し、袋体内であって前面部の内側に前面部の幅と略同等の幅を有する第二印刷紙が配置され、背面部の内側に第一印刷紙および案内紙が順番に配置され、一端部が案内紙、第一印刷紙および第二印刷紙を挟み込んだ状態で閉止されている構成にすることもできる。
【0016】
この構成によれば、背面部を下にした状態で包装容器を載置して製品を入れる場合に、第二印刷紙は前面部と袋体の内側に突出した傾斜する側面部によりその場に保持される。そのため製品を袋体に入れる際に、製品の先端部を第二印刷紙に接触させることなく袋体の一端部まで容易に移動させることが可能となる。袋体の背面部と前面部との両方に第一印刷紙と第二印刷紙とをそれぞれ配置する場合であっても、包装作業を短時間でかつ確実
に行なうには有利となる。
【0017】
印刷紙、第一印刷紙、第二印刷紙および案内紙から選ばれる少なくとも一つを樹脂で形成することもできる。また袋体の一端部が熱圧着により閉止される構成にすることもできる。この構成によれば袋体の一端部を融合させて強固に閉止するとともに印刷紙等を袋体に強固に固定することができる。袋体は例えば軟質ポリエステルまたは塩化ビニルで形成される。この包装容器は、袋体の他端部から案内紙上を滑らせながら製品を入れた後に、この他端部を閉止することにより製品を包装する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第一の本発明の包装容器を例示する説明図である。
図2】第二の本発明の包装容器の前面側を例示する説明図である。
図3】第二の本発明の包装容器の背面側を例示する説明図である。
図4図2の包装容器をA−A断面で例示する説明図である。
図5図2の包装容器をB−B断面で例示する説明図である。
図6】袋体に第一および第二印刷紙、案内紙を配置した状態を例示する説明図である。
図7】袋体の他端部から長尺体を挿入する際の様子を例示する説明図である。
図8】長尺体が第一印刷紙に乗り上げる際の様子を例示する説明図である。
図9図4に示す袋体の変形例を例示する説明図である。
図10】異なる実施形態の包装容器を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の包装容器およびその製造方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0020】
第一の本発明の包装容器1は図1に例示するように、柔軟な樹脂で形成された長尺な筒状袋体2で構成されている。袋体2は可撓性を有する材料で形成されていて、例えば軟質なポリエチレンテレフタレートや、軟質な塩化ビニルで形成されている。ここで可撓性とは、袋体2に外力を加えた際に、袋体2に亀裂が発生したり割れたりせずに袋体2が柔軟に変形することを意味する。
【0021】
また袋体2は、内側に包装される製品を外側から見通すことができる透明な材料で形成されている。袋体2を形成する材料は上記に限定されず、可撓性を有する透明な樹脂材料であればよい。
【0022】
袋体2の周面には、その軸方向に沿って延びる四本の山折り部(折り目)3が形成され、これにより袋体2の周面は前面部4と、この前面部4に対向する背面部5と、この前面部4と背面部5とを結ぶ一対の側面部6とに区画されている。一対の側面部6には、幅方向の略中央部に袋体2の内側に向かう折り目であり、袋体2の軸方向に沿って延びる谷折り部7がそれぞれ形成されている。
【0023】
前面部の内側で、袋体2の一端部9側には製品名等が印刷された印刷紙20が配置されている。この印刷紙20の幅は前面部の幅と略同等に形成されている。印刷紙20を配置した後に、袋体2の一端部9を熱圧着等で閉止して包装容器1を製造する。
【0024】
包装容器1により製品等を包装する際には、袋体2の開口した他端部側から背面部5の内側に製品等の先端部を接触させながら滑らせて挿入する。
【0025】
この印刷紙20は、袋体2の内側に折り込まれた一対の側面部6の傾斜面と前面部4との間に挟まれた状態となるので、その場に保持される。そのため製品等の先端部を印刷紙
20の端部に接触させることなく、袋体2の一端部9まで短時間で移動させるのに有利である。
【0026】
第二の本願発明の包装容器は図2図5に例示するように、柔軟な樹脂で形成された長尺な筒状袋体2で構成され、閉止された一端部に向かって他端部から製品を入れて、この他端部を閉止した状態で使用される。この包装容器1は、カーテンレール、ロール紙やワイパー等の長尺体を包装する際に使用されるものである。
【0027】
長尺な袋体2には、図4に例示するようにその周面にその軸方向に沿って延びる4本の山折り部(折り目)3が形成されていることが望ましい。この4本の山折り部3により、袋体2の周面は前面部4と、この前面部4に対向する背面部5と、この前面部4と背面部5とを結ぶ一対の側面部6とに区画される。
【0028】
前面部4を区画する2本の山折り部3の間の長さと、背面部5を区画する2本の山折り部3の間の長さとは、同じ長さにすることが望ましい。即ち、前面部4の幅w1と背面部5の幅w2とは同じ長さに形成することが望ましい。
【0029】
また一方の側面部6を区画する2本の山折り部3の間の長さと、他方の側面部6を区画する2本の山折り部3の間の長さとは、同じ長さにすることが望ましい。即ち、一方の側面部6の幅w3と他方の側面部6の幅w4とは同じ長さに形成することが望ましい。
【0030】
一対の側面部6には、幅方向の略中央部に袋体2の内側に向かう折り目であり、袋体2の軸方向に沿って延びる谷折り部7がそれぞれ形成されている。
【0031】
袋体2の内部には、製品であるカーテンレール等の長尺体8を収容することができる。包装容器1の大きさは、内部に収容される長尺体8の大きさに応じて適宜決定されるが、例えば前面部4および背面部5の幅w1、w2を10〜20cm程度、側面部6の幅w3、w4を5〜15cm程度、軸方向の長さを50〜150cm程度に形成することができる。
【0032】
包装容器1を構成する袋体2の厚みは、長尺体8の重量や表面形状によって適宜決定されるが、例えば0.1〜3.0mm程度に厚みを形成することができる。長尺体8の重量が大きかったり、表面に突起等があり袋体2に穴を開けてしまう可能性がある場合は、袋体2の厚みは比較的厚く構成される。
【0033】
図4および図5に例示するように袋体2の背面部5の内側で、袋体2の一端部9には第一印刷紙10が配置されている。この第一印刷紙10には、例えば包装する製品である長尺体8の使用方法の説明書き等が印刷されている。
【0034】
この第一印刷紙10の幅は、背面部5の幅w2と同じ程度またはそれより短く設定し、軸方向の長さは例えば10〜20cm程度に設定することができる。第一印刷紙10の大きさは、印刷すべき情報の量に応じて適宜設定することができる。
【0035】
第一印刷紙10のさらに内側には案内紙11が配置されている。つまり、この案内紙11と背面部5との間に第一印刷紙10が配置される状態となる。この案内紙11は、袋体2の一端部9から他端部16の近傍まで配置されている。袋体2の軸方向の長さが例えば100cm程度の場合は、案内紙11の長さは例えば80〜100cm程度とする。この案内紙11の幅は、第一印刷紙10の幅と同程度または広く形成されている。
【0036】
袋体2の前面部4の内側で、袋体2の一端部9には印刷面を有する第二印刷紙12が配
置されている。この第二印刷紙12には、例えば包装する製品である長尺体8の製品名等が印刷されている。この第二印刷紙12と案内紙11との間に製品である長尺体8が収容される。
【0037】
第一印刷紙10、第二印刷紙12および案内紙11(以下、印刷紙等と総称することがある。)は、袋体2の一端部9を閉止して形成される閉止部13に固定されている。この閉止部13は、例えば袋体2の一端部9を熱圧着により融着させたり、ステープラ等により固定したりして形成される。
【0038】
図2および図3に例示するようにこの閉止部13には、貫通孔14が形成され、その周囲を保護する保護金具15が固定されている。この保護金具15は、製品を収容した包装容器1を、吊り金具に懸吊して店舗等で陳列する際に利用される。陳列方法によっては、貫通孔14および保護金具15を設置しない場合もある。
【0039】
印刷紙等は、合成樹脂を主原料とする合成紙で形成することが望ましい。印刷紙等は例えば、ポリプロピレン樹脂を主原料とするフィルム法合成紙であるユポ(登録商標)で形成することができる。印刷紙等を、合成樹脂を主原料とする合成紙で形成することにより、袋体2の一端部9を熱圧着する際に印刷紙等が変形して袋体2に密着する状態となる。そのため印刷紙等を袋体2に強固に安定的に固定するには有利となる。印刷紙等と袋体2とを互いに親和性の高い原料でそれぞれ形成した場合には、熱圧着する際に印刷紙等が袋体2と融合して一体化するので、印刷紙等を袋体2により強固に固定できる。
【0040】
印刷紙等が、植物繊維を主原料とする洋紙で形成される場合は、熱圧着により融合する袋体の一端部9に挟まれた状態で固定される。この場合であっても袋体2が変形して印刷紙等に密着する状態となるので、印刷紙等は袋体2にしっかり固定される。
【0041】
次に包装容器1の製造方法について説明する。図6に例示するように、まず両端を開口した筒状の袋体2に、その軸方向に延びる4本の山折り部3を形成して、前面部4、背面部5および一対の側面部6を区画する。側面部6には袋体2を内側に折り込む谷折り部7をそれぞれ形成する。この山折り部3および谷折り部7は、例えばプレス盤の間に各折り目にそって折り曲げた袋体2を配置して、加熱しながらプレスすることにより同時に形成することができる。山折り部3または谷折り部7のいずれか一方を先に形成し、その後他方を形成する構成にすることもできる。つまり山折り部3および谷折り部7を形成する順番は特に限定されるものではない。
【0042】
袋体2に山折り部3および谷折り部7を形成した後に、背面部5を下にした状態で袋体2を載置する。背面部5の内側に製品の使用方法等が予め印刷された第一印刷紙10と、案内紙11とを順番に重ねた状態で配置する。このとき第一印刷紙10および案内紙11の一方の端部を、袋体2の一端部9側にそろえて配置する。
【0043】
前面部4の内側には製品名等が予め印刷された第二印刷紙12を配置する。第二印刷紙12の幅は、袋体2の内側に折り込まれる一対の谷折り部7どうしの間隔よりも長く形成されている。望ましくは第二印刷紙12の幅を前面部4の幅w1と同等程度の長さに形成する。
【0044】
これにより、第二印刷紙12を前面部4の内側に配置した際に、図6に例示するように第二印刷紙12は傾斜する両側の側面部6によりその場に保持される。このとき第二印刷紙12の一方の端部を、袋体2の一端部9側にそろえて配置する。
【0045】
袋体2に印刷紙等10、11、12を配置した後に、袋体2の一端部9を熱圧着により
閉止する。このとき、印刷紙等が合成樹脂を主原料とする合成紙で形成されている場合は加熱され互いに融合し、袋体2と密着する。印刷紙等を形成する原料が袋体2を形成する原料と親和性の高い原料である場合は、印刷紙等と袋体2とが融合する。袋体2の一端部9をステープラ等で閉止する場合には、ステープラ等を袋体2とともに印刷紙等に貫通させて固定する。
【0046】
印刷紙等は袋体2の一端部9側でのみ固定されている状態である。前面部4または背面部5に印刷紙等の全面を接着剤等で貼りつける必要はない。このとき、袋体2の他端部16は開口したままの状態である。
【0047】
袋体2の一端部9を閉止して形成される閉止部13には、適宜貫通孔14を形成して保護金具15を設置することもできる。以上の工程により、包装容器1は製造される。
【0048】
従来の包装箱のように、組み立て等を行う必要がないため、本発明の包装容器1は少ない工数でかつ簡単に製造することができる。そのため製造コストを従来よりも大幅に低減することができる。
【0049】
カーテンレール等の製品である長尺体8を包装する際には、まず、図7に例示するように袋体2の前面部4を上にして背面部5を下にした状態で包装容器1を載置して、開口した袋体2の他端部16から長尺体8を挿入する。このとき長尺体8の先端部は案内紙11上に接触させて滑らせるように移動させ、袋体2の一端部9に向かって挿入していく。
【0050】
長尺体8と接触する案内紙11の内側面は、長尺体8を滑らせるために滑らかに形成することが望ましい。案内紙11を合成樹脂製とした場合、洋紙に比べてその表面を滑らかに形成し易いので、長尺体8を袋体2内に挿入する作業をよりスムーズに行なうには有利である。また背面部5の内側と接触する案内紙11の外側面を、摩擦抵抗が大きくなる状態に加工することもできる。これにより案内紙11上で長尺体8を滑らせる際に、案内紙11が袋体2内で動くことを抑制でき、長尺体8を滑らせ易くなる。
【0051】
図8に例示するように、案内紙11上を滑りながら移動する長尺体8の先端部は、第一印刷紙10に直接接触することなく袋体2の一端部9まで移動することができる。そのため長尺体8が第一印刷紙10と接触することにより、第一印刷紙10が折れ曲がったり、破れたりすることを防止できる。
【0052】
また第二印刷紙12は、袋体2の内側に折り込まれた一対の側面部6の傾斜面と前面部4との間に挟まれた状態となるので、その場に保持される。そのため長尺体8の先端部を第二印刷紙12の端部に接触させることなく、袋体2の一端部9まで短時間で移動させ易くなる。
【0053】
袋体2に長尺体8を挿入した後は、袋体2の他端部16を熱圧着、ステープラ、面ファスナーや接着剤等で閉止して、包装作業を完了させる。
【0054】
第二の本発明の包装容器1は、第一印刷紙10よりも内側に案内紙11を配置し、側面部6にそれぞれ谷折り部7を形成し第二印刷紙12を支持することにより、長尺体8を袋体2に収容する際に、長尺体8が第一印刷紙10および第二印刷紙12に接触し難くなる。これにより第一印刷紙10および第二印刷紙12が長尺体8との接触により折れ曲がったり、破れたりすることを回避できる。
【0055】
第一印刷紙10および第二印刷紙12が折れ曲がったり破れたりすることがほとんどないので、作業者は製品を包装容器1に挿入する作業をそれほど慎重に行わなくてよくなる
。そのため製品である長尺体8の包装工程における作業時間を大幅に短縮することができる。また第一印刷紙10または第二印刷紙12が破れたりすることにより、廃棄される包装容器1の数をほとんどゼロにすることができる。
【0056】
包装容器1に包装された製品を陳列する際には、保護金具15を上方として製品を吊り下げて展示する。即ち第一印刷紙10および第二印刷紙12が上方に位置する状態で、製品は展示される。一方で、第一印刷紙10等が配置された袋体2の一端部9を下方として陳列することもできる。この場合は包装容器1の製造時に強固に閉止されている袋体2の一端部9が下方となるので、この一端部9が誤って開いて製品である長尺体8が落下する可能性を低減するには有利である。
【0057】
一対の側面部6に形成される谷折り部7の位置は、幅方向の略中央部に限定されない。図9に例示するように前面部4に近い位置に形成することもできる。この構成によれば、袋体2の背面部5を下に載置した場合に、第二印刷紙12が谷折り部7近傍まで垂れ下がったとしても、第二印刷紙12と案内紙11との間に形成される空間を大きく確保することができる。この空間を大きく確保することにより、包装容器1に長尺体8を挿入する際に、長尺体8が第二印刷紙12により接触し難くなる。そのため包装作業をより短時間にかつより確実に行うには有利になる。
【0058】
また山折り部3および谷折り部7を、袋体2の一端部9近傍にのみ形成し、他端部16側まで形成しない構成にすることもできる。即ち袋体2の一端部9側には前面部4等が区画され、他端部16側には円筒形状とすることができる。このとき山折り部3および谷折り部7は、少なくとも第二印刷紙12の他端部16側の端部を保持できる程度の長さに形成されることが望ましい。
【0059】
図10に例示するように第二印刷紙12を配置しない構成にすることもできる。この場合は、両端を開口した略円筒状の袋体2の内側(内壁面)に、第一印刷紙10と案内紙11とを順番に配置して、一端部9を熱圧着等で閉止して、包装容器1を製造する。第一印刷紙10には製品名等が印刷される。このとき略円筒状の袋体2の代わりに、図1等に例示するように山折り部3および谷折り部7を形成される袋体2で構成することもできる。
【0060】
製品である長尺体8を包装する際には、袋体2の他端部16から案内紙11上に長尺体8の先端部を接触させながら滑らせて長尺体8を挿入する。
【符号の説明】
【0061】
1 包装容器
2 袋体
3 山折り部
4 前面部
5 背面部
6 側面部
7 谷折り部
8 長尺体
9 一端部
10 第一印刷紙
11 案内紙
12 第二印刷紙
13 閉止部
14 貫通孔
15 保護金具
16 他端部
20 印刷紙
【要約】
【課題】破損を防止し、製品の包装作業を短時間でかつ確実に行なうことのできる包装容器および製造方法を提供する。
【解決手段】樹脂製の筒状袋体2の周面にこの袋体2の軸方向に延びて外向きに突出する4本の山折り部3を形成して、この山折り部3を境界として前面部4とこの前面部4に対向する背面部5とこれらを結ぶ一対の側面部6とを区画するとともに、一対の側面部6にさらに軸方向に延びて内向きに突出する谷折り部7をそれぞれ形成し、前面部4の幅と略同等の幅を有するとともに印刷面を有する印刷紙20を袋体2内であって前面部4の内側に配置し、印刷紙20を挟み込んだ状態で袋体2の一端部9を閉止する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10