【文献】
河野 美也,拠点間接続のキーテクノロジーMPLSを理解する,NETWORK WORLD Vol.7 No.9,日本,(株)IDGジャパン,第7巻
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ネットワーク要素において共通のラベル空間を共有するマルチプルラベル配布プロトコル(LDP)ラベルスイッチルータ(LSR)インスタンスをホスティングする方法であって、
各LSRインスタンスにそれぞれのLSR識別子(LSR ID)および共通のラベル空間識別子(ラベル空間ID)が関連付けられている複数のLSRインスタンスを、ネットワーク要素におけるメモリ内でインスタンス化するステップと、
各LSR IDをネットワーク要素におけるそれぞれのIPアドレスにマッピングするステップと
を含み、
各LSRインスタンスが、ピアネットワーク要素におけるLSRとのそれぞれのLDPセッションをサポートするように構成されており、
前記ネットワーク要素は、マルチプルLSRホスティング機能を他のピアネットワーク要素にアドバタイズする、方法。
前記ネットワーク要素が複数の異なるラベル空間に関連付けられ、前記共通のラベル空間が、前記複数の異なるラベル空間のうちの第1のラベル空間を含み、前記複数の異なるラベル空間の各々にそれぞれのマルチプルLSRインスタンスが関連付けられている、請求項1に記載の方法。
前記複数の異なるラベル空間のうちの第2のラベル空間を共有するマルチプルLSRインスタンスを実現するために、前記インスタンス化するステップと前記マッピングするステップを繰り返すステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
1つまたは複数のピアネットワーク要素における近傍のLSRを発見するために、前記複数のLSRインスタンスのうちの少なくとも1つに対するLDPディスカバリを開始するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
各ピアネットワーク要素が、他のピアネットワーク要素のLSRインスタンスとのLDPセッションをサポートするように構成された1つまたは複数のLSRインスタンスをサポートするように、前記ステップが複数のピアネットワーク要素の各々において実行される、請求項1に記載の方法。
マルチプルLSRインスタンスをホスティングすることが可能な各ピアネットワーク要素が、アドバタイズするネットワーク要素を一意に識別するLDPノードID TLVによって、前記マルチプルLSRホスティング機能を他のピアネットワーク要素にアドバタイズする、請求項1に記載の方法。
ネットワーク要素におけるインスタンス化されたLSRにおいて、ネットワーク要素における別のインスタンス化されたLSRによって既に受信されたFECラベルマッピングに一致するFECラベルマッピングを、ピアリングセッションを介して受信したことに応答して、検出されたループ状態を示す状態コードとともにLabel Releaseメッセージを、ピアリングセッションを介して送信するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
ネットワーク要素における複数のインスタンス化されたLSRの各々が、それぞれのFECタイプのトラフィックを、ピアネットワーク要素においてインスタンス化された対応するLSRに輸送するために使用され、
前記FECタイプが、IPv4FEC要素タイプ、IPv6要素タイプ、ユニキャスト要素タイプ、マルチキャスト要素タイプ、スードワイヤ要素タイプおよびマルチキャストスードワイヤ要素タイプのいずれかを含む、請求項1に記載の方法。
ネットワーク要素において共通のデータプレーンを共有するマルチプルラベル配布プロトコル(LDP)ラベルスイッチルータ(LSR)インスタンスをホスティングする電気通信ネットワーク要素であって、
各LSRインスタンスにそれぞれのLSR識別子(LSR ID)が関連付けられている複数のLSRインスタンスを、ネットワーク要素におけるメモリ内でインスタンス化し、かつ
各LSR IDを、ネットワーク要素における共通のデータプレーンに関連するIPアドレスのプールからのそれぞれのIPアドレスにマッピングする
ように構成されたプロセッサを備え、
各LSRインスタンスが、ピアネットワーク要素におけるLSRとのそれぞれのLDPセッションをサポートするように構成されており、
前記ネットワーク要素は、マルチプルLSRホスティング機能を他のピアネットワーク要素にアドバタイズする、電気通信ネットワーク要素。
電気通信ネットワーク要素におけるプロセッサによって実行されたとき、コンピュータ命令が、ネットワーク要素において共通のデータプレーンを共有するマルチプルラベル配布プロトコル(LDP)ラベルスイッチルータ(LSR)インスタンスをホスティングする方法を提供するように電気通信ネットワーク要素の動作を適合させる、コンピュータプログラムであって、方法が、
各LSRインスタンスにそれぞれのLSR識別子(LSR ID)が関連付けられている複数のLSRインスタンスを、ネットワーク要素におけるメモリ内でインスタンス化するステップと、
各LSR IDを、ネットワーク要素における共通のデータプレーンに関連するIPアドレスのプールからのそれぞれのIPアドレスにマッピングするステップとを含み、
各LSRインスタンスが、ピアネットワーク要素におけるLSRとのそれぞれのLDPセッションをサポートするように構成されており、
前記ネットワーク要素は、マルチプルLSRホスティング機能を他のピアネットワーク要素にアドバタイズする、コンピュータプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0025】
理解を容易にするために、可能な場合には、図面に共通する同一の要素を指すために同一の参照符号が使用されている。
【0026】
マルチプロトコルラベルスイッチングをサポートするネットワークの状況で種々の実施形態が説明され、マルチプロトコルラベルスイッチングは、たとえばIETF RFC3031およびRFC5036に定義されており、これらの各RFCのそれぞれは全体が引用により本明細書に組み込まれている。
【0027】
一般的に言えば、本明細書に記載の実施形態は、同じ(すなわち、共通の)データプレーンおよび同じラベル空間を共有するマルチプルLSRをホスティングする、LDPネットワーク要素またはノードの機能を対象とする。
【0028】
LDP(ラベル配布プロトコル)は、MPLS LSP(ラベルスイッチパス)をセットアップおよび維持し、LSPのセットアップ用のラベルを配布するためのシグナリングプロトコルである。LDPは手順セットおよびメッセージを含み、これらによってラベルスイッチルータ(LSR)は、ネットワーク層ルーティング情報を、データリンク層のスイッチパス、すなわちLSPに直接的にマッピングすることによって、ネットワークを通してラベルスイッチパス(LSP)を確立する。これらのLSPは、直接的に接続された近隣におけるエンドポイント(IPのホップバイホップ転送に相当)、ネットワークの出口ノードにあることですべての中間ノードなどを介したラベルスイッチングを可能にするエンドポイントなどを有することがある。
【0029】
LDPは、それ自体が作成した各LSPに同一転送クラス(FEC)を関連付ける。LSPに関連付けられたFECは、いずれのパケットがそのLSPに「マッピング」されるかを指定する。このFECはラベルの「コンテキスト」である。LSPがネットワーク中に広げられるのは、各LSRが、あるFECについての到来ラベルを、所与のFECについての、ネクストホップによって割り当てられる送出ラベルに「継ぎ合わせ」たときである。
【0030】
LDP LSRは、4バイトのLSR IDと2バイトのラベル空間識別子を組み合わせたLDP−IDによって識別される。通常、ルーティング可能なシステム内のローカルIPv4アドレスは、運用しやすくするために4バイトのLSR IDにマッピングされる。そのようにして、4バイトのLSR IDの一意性もまたネットワーク全体にわたって達成される。ラベル空間IDが0である場合、データプレーンにおいてプログラムされている各ローカルラベルがシステム全体にわたって一意であるグローバル/プラットフォームごとのラベル空間を意味する。ラベル空間IDが0でない場合、データプレーンにおいてプログラムされている各ローカルラベルがインターフェースのみにわたって一意であるインターフェースごとのラベル空間を意味する。そのようなインターフェースの例は、VCI(仮想チャネル識別子)をラベルとして使用するラベル制御型ATMインターフェース、またはDLCI(データリンク接続識別子)をラベルとして使用するフレーム中継インターフェースである。
【0031】
種々の方法は、たとえば、ネットワーク要素のメモリ内で複数のLSRインスタンスをインスタンス化することによって、ネットワーク要素において共通のラベル空間を共有するマルチプルラベル配布プロトコル(LDP)ラベルスイッチルータ(LSR)インスタンスのホスティングを実現し、各LSRインスタンスは、それぞれのLSR識別子(LSR ID)および共通のラベル空間識別子(ラベル空間ID)が関連付けられ、各LSR IDを、ネットワーク要素におけるそれぞれのIPアドレスにマッピングする。このようにして、各LSRインスタンスは、ピアネットワーク要素におけるLSRとのそれぞれのLDPセッションをサポートするように構成されている。
【0032】
種々の実施形態において、単一のラベル空間が、ネットワーク要素またはノードなどの単一のプラットフォームにおいてサポートされており、たとえば単一、デフォルトまたはグローバル(すなわち、プラットフォーム幅の)ラベル空間などである。この場合、単一の実現されるラベル空間は典型的にはラベル空間識別子0(ゼロ)に関連付けられる。したがって、複数のLSRインスタンスのそれぞれは、単一またはグローバルラベル空間(すなわち、ラベル空間ID=0)に関連付けられた単一群のLSRインスタンスの一部である。
【0033】
種々の実施形態において、複数の異なるラベル空間が、ネットワーク要素またはノードなどの単一のプラットフォームにおいてサポートされている。この場合、異なるラベル空間識別子(たとえば、1、2、3など)を有する複数のラベル空間が、種々の実施形態による使用に利用可能である。したがって、LSRインスタンスの複数の群が実現されてもよく、ここでは、LSRインスタンスの各群が複数の群メンバのLSRインスタンスを含み、LSRインスタンスの各群が、自身にそれぞれのラベル空間識別子を関連付けたそれぞれのラベル空間に関連付けられる。
【0034】
したがって、種々の実施形態において、ネットワーク要素は、単一の共通のラベル空間内で、複数のインスタンス化されたLSRに関連付けられてもよい。他の実施形態において、ネットワーク要素は、インスタンス化されたLSRの複数の群に関連付けられてもよく、ここでは、各群における複数のインスタンス化されたLSRが、共通または群のラベル空間を共有する。
【0035】
2つの近傍のLSRノードが、UDPに基づくHello隣接関係およびTCPに基づくセッションを維持する。リンクレベルのHello隣接関係が、直接的にピアリングしているLSRがLSPを介してトラフィックを送受信しようとするリンクを決定する。Targeted Hello隣接関係は、ネットワーク内でマルチホップされることがあり、非直接的に接続されたLDP LSR間にマルチホップLDPセッションを形成する。LDPセッションは、すべてのラベルおよびさまざまなシグナリングパラメータ(たとえば、ラベルマッピング)がさまざまなFECに対して交換されるチャネルである。
【0036】
単一のプラットフォームが、異なるラベル空間識別子に基づいて複数のLSRを生成することができ、これは特定インターフェースごとのラベル空間(Per Interface Specific Label Space)などの実装のためである。しかしながら、そのような場合には、インターフェースごとのデータプレーンが他のインターフェースから隔てられる。
【0037】
単一のプラットフォームは、各仮想LDP LSRがそれ自体の仮想データプレーンを有することになるCarrier in Carrierなどのケースで各LSRが仮想化されるとき、複数のLSRを生成することができる。各LSRは、互いに完全に独立したものとして扱われ、したがって、異なるルータIDによって分離されたグローバルラベル空間ID(=0)を有し得る。
【0038】
種々の実施形態は、複数のLSRが、同じデータプレーンおよびグローバルラベルを共有しながらプラットフォームにおいて要求される構成を対象とする。同じデータプレーンを共有する複数のLSRをホスティングする機能が、LDPに基づくMPLSネットワークにおけるいくつかの運用上の問題を解決する。
【0039】
図1は、種々の実施形態から利益を得る通信ネットワークの高レベルブロック図である。具体的には、
図1の通信ネットワーク100は、複数のノード110
1−110
7(まとめてノード110と呼ぶ)を含む。ノード110は、ネットワークインターフェース(NI)112および/または外部インターフェース(EI)102の種々の組み合わせをサポートする。ノード110は、EI102を使用して外部機器(たとえば、他のネットワークドメインのノード、ユーザデバイスなど)と通信する。NI112はネットワークリンクを含み得る。EI102は外部リンクを含み得る。
【0040】
ノード110は、パケットベースの通信をサポートする通信ノードを含む。一実施形態において、ノード110は、インターネットプロトコル(IP)、マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)、イーサネット(登録商標)およびそれらに類するもの、ならびにそれらのさまざまな組み合わせなどのマルチキャスト機能をサポートする任意の通信技術をサポートする通信ノードを含む。NI112およびEI102は、関連ノード110によってサポートされる任意の通信技術をサポートするインターフェースを含む。
【0041】
特定のタイプ、数、および構成のノード110、NI112、およびEI102を有する通信ネットワークに関して主として描かれ、本明細書で説明されているが、本明細書の各実施形態は、他のさまざまなタイプ、数、および構成のノード110、NI112、およびEI102を有する通信ネットワークにおいて実施されてもよい。同様に、特定のマルチキャスト通信技術に関して主として描かれ、本明細書に説明されているが、本明細書の各実施形態は、さまざまな他のユニキャスト通信技術、マルチキャスト通信技術およびそれらに類するもの、ならびにそれらのさまざまな組み合わせを使用して実施されてもよい。
【0042】
ネットワークは、本明細書で検討される例示的なプロトコルではない他のMPLS関連プロトコルを使用するように当業者によって改変されてもよい。
【0043】
ネットワーク100は、たとえば、出発LSRノード110−1と宛先LSRノード110−7の間で、1つまたは複数のラベルスイッチパス(LSP)112を介してトラフィックをルーティングするように動作可能なIP/MPLS通信ネットワーク(CN)105および少なくとも1つのネットワーク管理システム(NMS)120を含む。
【0044】
図示のように、NMS120は、CN105をなす複数のルータ110、すなわち、複数のラベルスイッチルータ(LSR)110−1から110−7を制御するように動作可能である。LSRは7つだけ図示されているが、CN105はさらに多くのLSRを含み得ることに留意されたい。CN105という表現はこの検討のために単純化されている。
【0045】
NMS120は、本明細書に記載の種々の管理機能を実行するように構成されたネットワーク管理システムである。NMS120は、CN105のノードと通信するように構成されている。NMS120はまた、単純化するために図示していない他の運用サポートシステム(たとえば、要素管理システム(EMS)、トポロジ管理システム(TMS)、およびそれらに類するもの、ならびにそれらのさまざまな組み合わせ)と通信するように構成されていてもよい。
【0046】
NMS120は、ネットワークノード、ネットワークオペレーションセンタ(NOC)またはCN105およびそれに関連する種々の要素と通信することが可能な任意の他の位置に実装されてもよい。NMS120は、1または複数のユーザが、ネットワークの管理、構成、準備または制御に関連した種々の機能(たとえば、情報の入力、情報の検討、本明細書に述べられているような種々の方法の実行の開始など)を行えるようにするために、ユーザインターフェース機能をサポートすることができる。NMS120の種々の実施形態は、種々の実施形態に関連させて本明細書において検討される機能を実行するように構成されている。NMS120は、
図6に関連させて説明されるような汎用コンピューティングデバイスまたは特定用途向けコンピューティングデバイスとして実装されてもよい。
【0047】
NMS120および種々のルータ110は、LDP LSPのデータプレーン死活分離をサポートするように動作する。マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)のアーキテクチャは、IETF(インターネット技術タスクフォース)のRFC3031に記載されている。
【0048】
図1に描かれているように、トラフィックストリーム(たとえば、映像または他のデータストリーム)は、LSR110−1によって例示しているソースノードから、LSR110−7によって例示している宛先ノードに、種々の中間ノード110を通る1つまたは複数のラベルスイッチパス(LSP)を介して伝えられる。たとえば、第1のLSPは、ソースノード110−1から始まり、ノード110−3を通り、ノード110−6で終わっていてもよく、エッジLSR110−7を宛先ノードとする。同様に、第2のLSPは、ソースノード110−1から始まり、ノード110−2を通り、ノード110−5で終わっていてもよく、エッジLSR110−7を宛先ノードとする。
【0049】
本明細書に記載の種々の実施形態は、1つまたは複数のネットワーク要素またはノードにおける共通のデータプレーンを共有するマルチプルラベル配布プロトコル(LDP)ラベルスイッチルータ(LSR)インスタンスのホスティングおよび動作をサポートするシステム、方法、機構および装置を提供する。特に、上記の実施形態は、ネットワーク要素におけるメモリ内で、各LSRインスタンスが自身にそれぞれのLSR識別子(LSR ID)を関連付けている複数のLSRインスタンスのインスタンス化を実現し、かつ、ネットワーク要素における共通のデータプレーンに関連するIPアドレスのプールからのそれぞれのIPアドレスへの、各LSR IDのマッピングを実現する。各LSRインスタンスは、ピアネットワーク要素におけるLSRとのそれぞれのLDPセッションをサポートするように構成されている。
【0050】
種々の実施形態は、複数のLSRインスタンスのうちの少なくとも1つについてのLDPディスカバリを開始して、それによって近傍の、1つまたは複数のピアネットワーク要素またはノードにおけるLSRを発見することと、複数のLSRインスタンスのうちの少なくとも1つについての1つまたは複数の発見されたLSRに対するLDPセッション確立を開始して、それによって1つまたは複数のそれぞれのLDPセッションを確立することと、複数のLSRインスタンスのうちの少なくとも1つについての1つまたは複数の確立されたLDPセッションに対するLDPラベルアドバタイズを開始して、それによって1つまたは複数のそれぞれのLDPラベルをアドバタイズすることとを実現する。
【0051】
種々の実施形態は、各ピアネットワーク要素またはノードが、他のピアネットワーク要素またはノードのLSRインスタンスとのLDPセッションをサポートするように構成された1つまたは複数のLSRインスタンスをサポートするように、複数のピアネットワーク要素またはノードのそれぞれにおいてこれらのステップの実行を可能にする。種々のネットワーク要素またはノードは、マルチプルLSRホスティング機能を他のピアネットワーク要素にアドバタイズすることができる。マルチプルLSRインスタンスをホスティングすることが可能なそれらのネットワーク要素またはノードは、アドバタイズするネットワーク要素を一意に識別するLDPノードID TLVなどによって、その複数LSRのホスティング機能を他のピアネットワーク要素にアドバタイズすることができる。LDPノードID TLVは、Helloメッセージのオプションのパラメータ部分に含めて搬送され得る。
【0052】
種々の実施形態は、ネットワーク要素における別のインスタンス化されたLSRによって既に受信されたFECラベルマッピングに一致するFECラベルマッピングを、ピアリングセッションを介して受信したことに応答して、ネットワーク要素またはノードにおけるインスタンス化されたLSRが、検出されたループ状態を示す状態コードとともにLabel Releaseメッセージを、ピアリングセッションを介して送信することができるようにする。このようにしてループ状態は回避され得る。
【0053】
種々の実施形態は、ネットワーク要素またはノードの各インスタンス化されたLSRが、ネットワーク要素のインスタンス化されたLSRのそれぞれに共通する1つまたは複数のパラメータを含むHelloメッセージを使用できるようにする。各Helloメッセージの共通パラメータはネットワーク要素の識別子を含む。
【0054】
種々の実施形態は、ネットワーク要素またはノードにおける複数のインスタンス化されたLSRのそれぞれが、それぞれのFECタイプのトラフィックを、ピアネットワーク要素においてインスタンス化された対応するLSRに輸送するように使用され得るようにする。FECタイプは、IPv4FEC要素タイプ、IPv6要素タイプ、ユニキャスト要素タイプ、マルチキャスト要素タイプ、スードワイヤ要素タイプ、マルチキャストスードワイヤ要素タイプまたは他のタイプのうちのいずれかを含む。
【0055】
種々の実施形態は、ネットワーク要素またはノードにおける複数のインスタンス化されたLSRのうちの少なくとも一部が、ピアネットワーク要素においてインスタンス化された対応するLSRと通信し、それによって複数のピアリングセッションを実現するようにしており、各ピアリングセッションは、それぞれのトランスポート通信プロトコル(TCP)アドレスを使用する。ネットワーク要素またはノードにおけるインスタンス化されたLSRと、ピアネットワーク要素またはノードにおけるインスタンス化されたLSRは、一般に同じラベル空間を使用し、LDPセッションによって交換されるFECラベルマッピングは、一般に離散した組である。
【0056】
図2Aは、一実施形態による、マルチインスタンスOSPF(開放型最短経路優先)およびLDPの例示的な構成を示す。種々の実施形態はマルチインスタンスOSPFおよびLDPの構成を実現する。
【0057】
一実施形態において、たとえば、ネットワークは、ターゲットLDP Hello隣接関係を確立するために、LDP LSR IDがたとえばOSPFルータID(またはIS−ISルータIDもしくはそれに類するもの)にマッピングされることを要求するマルチプルOSPFインスタンスを使用するように構成されている。そのような実施形態では、各ネットワークセグメントは、そのセグメントにおいて、OSPFルータIDにマッピングされたIPv4アドレスをアドバタイズし、ルータIDを他のセグメントから漏らさない。その結果、複数のLDP LSRが、同じデータプレーンを共有する同じノードにおいてインスタンス化される。結果的に、ネットワークオペレータは、基礎にあるIPネットワークのセグメントを、OSPF(開放型最短経路優先)またはISIS(中間システム間連携)などのIGP(内部ゲートウェイプロトコル)における異なるインターネットルーティングインスタンスに分ける能力を有する。たとえば、各OSPFインスタンスが別個の4バイトOSPFルータIDによって識別されるマルチインスタンスOSPFでは、単一のプラットフォームが、そのようなインスタンスのうちの複数を、そのようなネットワークセグメントごとに終了させることができる。
【0058】
他の実施形態は、LSPをTE(トラフィック設定された)トンネル上のIGPショートカット上のLDPとして実現し、TEトンネルでは、LSP階層と称されるTE(トラフィック設定された)MPLSトンネルにLDP LSPがさらに乗っている。LDPピアリングが標的とされ、LDPラベルが、各中間ルーティングノードにわたって切り替えられるTEトンネル上を運搬される。TEトンネルは、中間ノードまたはリンクに障害が生じたとき、LDP LSPトラフィックに対する回復力を実現することができる。
【0059】
図2Aに描かれているように、2つのターゲットLDPピアリングノード(すなわち、ノード110
1および110
7)が間接的に接続されている。ノード110
1のLDP LSRは、IP1をLSR IDとして使用しており、ノード110
7のLDP LSRは、IP4をルータIDとして使用している。しかしながら、各ネットワークセグメントN1、N2およびN3のそれぞれにわたって動作するOSPFの3つの別個のインスタンスが存在する。それらのインスタンスは、IP2およびIP3をノード110
1におけるルータIDとして、それぞれN1およびN2にマッピングしている。ノード110
7は、IP5およびIP6をルータIDとしてそれぞれN2およびN3にマッピングしている。セキュリティ上の理由で、オペレータはIP1およびIP4をネットワークセグメントのいずれにもアドバタイズしないことに決定した。したがって、IP2はネットワークN1にのみアドバタイズされ、IP3はネットワークN2にのみアドバタイズされ、IP5はネットワークN2にのみアドバタイズされ、IP6はネットワークN3にのみアドバタイズされる。
【0060】
そのような場合には、LSR IDをそれぞれIP1およびIP4にマッピングすることによっては、LDP Hello隣接関係はネットワーク全体にわたって形成され得ない。IP1およびIP4は、IP2、IP3、IP5、IP6をトランスポートアドレスとして使用することによって、LSR IDとして保持され得るが、種々のLDPに基づくアプリケーションにおいては機能しない。BGP自動ディスカバリまたはLDPに基づく動的マルチセグメントスードワイヤ(MS−PW)を使用するLDPに基づく仮想私設LANサービス(VPLS)などの種々のアプリケーションが存在し、ここではIP2、IP3、IP5、IP6がBGPネクストホップであり得、その結果、ターゲットLDP隣接関係はBGPネクストホップに「自動生成」される必要がある。オペレータは常に、OSPFルータIDにマッピングされた共通のIPアドレス、LDP LSR ID、BGPネクストホップ、「シームレス」MPLSネットワークにおけるOAM(運用、管理および保守)の相互参照法を使用する。
【0061】
ネットワークN1、N2、N3にわたってターゲットLDP Hello隣接関係を形成し、それらのネットワークにわたるIGPショートカット上のシームレスLDP LSPをセットアップできるように、LDPは複数のLSR IDを以下のように割り当てる:
ノード110
1では:
ネットワークN1の任意のピアと通信中、IP2をLSR IDとして。
ネットワークN2の任意のピアと通信中、IP3をLSR IDとして。
ノード110
7では:
ネットワークN2の任意のピアと通信中、IP5をLSR IDとして。
ネットワークN3の任意のピアと通信中、IP6をLSR IDとして。
【0062】
ノード110
1およびノード110
7におけるすべてのLSRは同じラベル空間にある必要があり、これは、IGPショートカット上のLDP LSPが、N1、N2、N3にわたってシームレスである必要があるためである。したがって、各システムにおいて同じデータプレーンが共有される。
【0063】
図2Bは、種々の実施形態による、種々のLDP LSPタイプの死活分離の例示的な構成を示す。
【0064】
LDPは、IETFにおいて規定されたRFC4447に準拠するスードワイヤ(PW)セットアップおよび維持プロトコルについてのデフォルトのプロトコルである。RFC5036における基礎LDP仕様は、トランスポートLSP(IPv4またはIPv6)の機能を規定している。
【0065】
一実施形態において、PWのシグナリングは、単一のセッションで交換されたときに生じるあるタイプと別のタイプのラインブロッキングのヘッドを回避するために、トランスポートLSPから分離される。そのような分離は、各タイプのラベルが、同じプラットフォーム間の別個のセッションで交換された場合に達成され得る。同様に、オペレータは、同じピアを有するセッションの分離を要求するが同じデータプレーンを共有する、IPv4LSPとIPv6LSPの死活分離を望むことがある。IPv4とIPv6の死活分離は、デュアルIPスタックネットワークを配備するオペレータ一般にとっての重要な問題である。
【0066】
図2Bに描かれているように、ノード110
1およびノード110
7は、同じラベル空間/データプレーンを共有しているIPv4LSPと、IPv6LSPと、PW LSPとの死活分離のための3つのピアリングセッション、すなわち、
PWラベルのみの配布に使用されるS1−セッション、
IPv4ラベルのみの配布に使用されるS2−セッション、
IPv6ラベルのみの配布に使用されるS3−セッション
を動作させている。
【0067】
2つのノード間でそのようなパラレル死活分離のLDPセッションを確立するために、異なるLSR IDが、ノードによって開始される各セッションに使用される。次いで得られる構成は、RFC5036に記載されているようなLDPセッションセットアップ手順と後方互換性がある。
【0068】
さらに、そのような制御プレーン分離を使用する種々のVPLS(仮想私設LANサービス)の実施形態において、すべてのそのような死活分離のセッションが、同じ遠隔プラットフォームまたはノードにおいて終了させられることに留意されたい。その結果、同じピアリングノードによって実行されるアプリケーションに関係するパラレルセッションは、これらの複数のセッションのすべてが、ピアリングノードによって同じセットのラベルを配布するために使用される場合にループを作成することができるので、アプリケーションは、ループ検出を実行し、後続の行動を行うことができる。
【0069】
死活分離は、RFC5036手順に準拠する同時の後方互換性準拠を可能にするマルチプルLDPインスタンス構成を要求する。そのような解決策は、既存のLDP実装の上に構成され得るので、より商業的に実現可能である。
【0070】
種々の実施形態は、たとえば、(1)同じデータプレーンを共有し、上記のようなセットアップにおいて構成されるアプリケーションについてループ検出を実行する複数のLSRを実装し、(2)単一の共通のラベル空間を使用して同じプラットフォームまたはネットワークノードにおける複数のLDP LSRを実装し、(3)群ごとにそれぞれのコメントラベル空間を使用する同じプラットフォームまたはネットワークノードにおける複数のLDP LSRの群を実装する方法を提供する。これらの構成は、種々のLSPタイプの死活分離だけでなくマルチインスタンスIGPトポロジによるLDPネットワークのセグメント化を可能にする。
【0071】
本明細書で使用される場合、「LSRインスタンス」および「LDPインスタンス」という用語は、本明細書では概して、たとえば、LDPセッションが間で確立されたピアネットワーク要素またはノードにおいてインスタンス化されたLSRと通信する、ネットワーク要素またはノードにおいてインスタンス化されたLSRを示すために使用される。
【0072】
マルチプルLDPインスタンス構成は、ネットワークセグメント化および死活分離の両方に対するネットワークオペレータからの要件に対処する単一点の解決策である。
【0073】
図2Cは、種々の実施形態を実施する例示的な複数のLDP LSRを示す。具体的には、複数のLDP LSRが、共通のデータプレーンを共有する同じプラットフォームに実装される。
図2Cに描かれているように、ノード110
1およびノード110
7は、共通のデータプレーンを共有する同じプラットフォームにおいて複数のLDP LSR構成を実装する。パラレルLDPセッションが、種々のLSPタイプの死活分離のために2つのピアリングプラットフォームの間で確立される。図示されているように、ノード110
1とノード110
7の間に3つのパラレルリンク、すなわち、L1、L2、L3が存在する。ノード110
1は、それぞれIPアドレスIP1、IP2およびIP3にマッピングされる複数のLSRを備えて構成され、ノード110
7は、それぞれIPアドレスIP4、IP5およびIP6にマッピングされる複数のLSRを備えて構成されており、結果的に以下の隣接関係となる:(1)ノード110
1は、IP1をLSR IDとして使用して、リンクL1を介してノード110
7とのHello隣接関係を形成し、(2)ノード110
7は、IP4をLSR IDとして使用して、リンクL1を介してノード110
1とのHello隣接関係を形成し、(3)ノード110
1は、IP2をLSR IDとして使用して、リンクL2を介してノード110
7とのHello隣接関係を形成し、(4)ノード110
7は、IP5をLSR IDとして使用して、リンクL2を介してノード110
1とのHello隣接関係を形成し、(5)ノード110
1は、IP3をLSR IDとして使用して、リンクL3を介してノード110
7とのHello隣接関係を形成し、(6)ノード110
7は、IP6をLSR IDとして使用して、リンクL3を介してノード110
1とのHello隣接関係を形成する。
【0074】
3つのLDPセッションが、上記の組の隣接関係を有するノード110
1と110
7の間で以下に列挙されるように形成される:
セッション1=IP1とIP4の間のLDPセッション、
セッション2=IP2とIP5の間のLDPセッション、
セッション3=IP3とIP6の間のLDPセッション。
【0075】
すべてのセッションにわたって配布されたラベルは、同じラベル空間からのラベルを割り当てることにより、データプレーンを共有することになるはずである。各ピアリングセッションは別個のTCPトランスポートアドレスを使用する。
【0076】
各ピアリングセッションを介して交換されるFECラベルマッピングは離散した組である。RFC5561は、離散したFECタイプについてのパラレルLDPセッションをセットアップしながら種々のFECタイプ機能が交換され得る際に基づくLDP Capabilitiesを記載している。
【0077】
パラレルマルチインスタンスLDPセッションが2つのピアリングノード間で動作している間、そのようなセッションが同じピアノードに関与していることを検出することが重要である。ノードが、パラレルマルチLSRピアリングセッションから同じFECラベルマッピングを受け取ったとき、いくつかのアプリケーションについてループを招くことがある。そのようなアプリケーションの例には、LDPに基づく仮想私設LANサービス(VPLS)があり得る。したがって、そのようなループを検出し、防止することが重要である。本明細書に記載された実施形態は、マルチインスタンスのピアリングを検出する方法を含む。
【0078】
図2Dは、種々の実施形態による、標準LDP TLVフォーマットに従って符号化された例示的なLDPノードID TLVを示す。
【0079】
種々の実施形態は、IANAのLDP TLV登録に利用できる数によってIETFにおいて標準化されることになるノードIDタイプとして示されているフィールド208を設ける。他の実施形態では、RFC5036に記載されているようなベンダ固有のLDP TLVタイプが使用される。値フィールド210は48ビットの識別子であり、これはネットワーク全体で一意の識別子である。
【0080】
マルチプルLDPインスタンスをホスティングするノードは、同じLDPノードID TLVを、そのノードによって発せられるすべてのHelloメッセージに含めてアドバタイズする。いくつかの実施形態において、値は、ネットワーク内のノードを一意に識別することができるIEEEベンダ固有のMACアドレスであり得る。
【0081】
LSRがピアリングセッションからFECラベルマッピングを受け取っても、同じノードIDに関連する別のピアリングセッションを介して同じFECマッピングが既に受け取られていると、受信側LSRは、RFC5036に準拠する状態コード「LOOP_DETECTED」でLabel Releaseをピアリングセッションに送る。
【0082】
図2Eは、一実施形態による、RFC5036に従って符号化された例示的なLDP Helloメッセージ215を示す。フィールド219はメッセージIDを含み、これはこのメッセージを識別するために使用される32ビットの値である。フィールド220は共通のHelloパラメータTLVを含み、これはすべてのHelloメッセージに共通するパラメータを指定し、一方でフィールド221はHelloメッセージ(Mesage)のオプションのパラメータを含む。共通のHelloパラメータTLVに対する符号化は
図3を参照して説明される。
【0083】
図3Aは、一実施形態による、標準LDPフォーマットに従って符号化された例示的な共通のHelloパラメータTLV300を示す。
【0084】
図2Cを参照すると、ノード110
1は、ノードID S1をもつすべてのそのLSRにHelloを送り出す。ノード110
7は、ノードID S2をもつすべてのそのLSRにHelloを送り出す。これらのHelloメッセージは
図3Aに示されたフォーマットに従って符号化される。
【0085】
フィールド310は秒単位のHello保持時間を含む。LSRは、潜在的なピアから受け取ったHelloの記録を維持する。Hello保持時間は、送信側LSRが、受信側LSRからのHelloのその記録を、別のHelloの受信なしで維持する時間を指定する。
【0086】
いくつかの実施形態において、一対のLSRは、互いからのHelloに使用する保持時間に対して同意する。それぞれが保持時間を提案する。使用される保持時間は、それらのHelloに提案された保持時間の最小値である。値0は、Link Helloでは15秒、Targeted Helloでは45秒のデフォルトを使用することを意味する。値0xffffは無限を意味する。
【0087】
「T」が付されたフィールド311は、Targeted Helloを指す。値1は、このHelloがTargeted Helloであることを指定する。値0は、このHelloがLink Helloであることを指定する。
【0088】
「R」が付されたフィールド312は、Request Send Targeted Hellosを指す。値1は、受信側に、周期的なTargeted HelloをこのHelloの発信元に送ることを要求する。値0は要求を行わない。
【0089】
拡張ディスカバリを開始するLSRはRを1に設定する。Rが1である場合に、受信側LSRは、この要求を伴うHelloに応答して、Targeted HelloをHello発信元に送るように構成されているかどうかを確認する。検査の結果が否定であれば、ノードは要求を無視する。検査の結果が肯定であれば、ノードはTargeted HellosのHello発信元への周期的送信を開始する。
【0090】
「予約」と付されたフィールド313が予約される。それは送信時に0に設定され、受信時に無視される。
【0091】
フィールド309はオプションである。Helloメッセージのこの可変長フィールドは0以上のパラメータを含み、そのそれぞれがTLVとして符号化される。このバージョンのプロトコルによって規定されるオプションのパラメータは、以下の通りである:
【0092】
オプションのパラメータ 型 長さ 値
IPv4トランスポートアドレス 0X0401 4 下記参照
構成シーケンス番号 0X0402 4 下記参照
IPv6トランスポートアドレス 0X0403 16 下記参照
【0093】
IPv4トランスポートアドレス
LDPセッションTCP接続を開くときに送信側LSRに使用されるべきIPv4アドレスを指定する。このオプションのTLVが存在しない場合、Helloを運搬するUDPパケット用のIPv4発信元アドレスが使用されることになる。
【0094】
構成シーケンス番号
送信側LSRの構成状態を識別する4オクテットで符号なしの構成シーケンス番号を指定する。送信側LSRの構成の変更を検出するために受信側LSRによって使用される。
【0095】
IPv6トランスポートアドレス
LDPセッションTCP接続を開くときに送信側LSRに使用されるべきIPv6アドレスを指定する。このオプションのTLVが存在しない場合、Helloを運搬するUDPパケット用のIPv6発信元アドレスが使用されることになろう。
【0096】
図3Bは、一実施形態による、2つの別個の群における、ノード間で交換されるFECの死活分離の例示的な構成を示す。具体的には、オペレータは、ノード間で交換されるFECの死活を2つの別個の群に分けることを望む。いくつかの実施形態において、群1は、IPv4FEC要素タイプおよびLDPマルチポイント(MP)FECタイプなどのすべての「トランスポート」固有のFECタイプを含む。LDPマルチポイントFECタイプは、RFC6388に記載されている。群2は、種々のスードワイヤ(PW)FECタイプを含む。
【0097】
2つの別個のLSR IDが各ノードに供給され(すなわち、2つの別個のLSRは各ノードにおいてインスタンス化されている)、あるLSRはFEC群1専用であり、別のLSRはFEC群2専用である。
【0098】
110
1と110
7の間に、2つのパラレルインターフェースがそれぞれIF1とIF2として存在する。FEC群1のためのLSPセットアップ用のトラフィックは、IF1およびIF2の両方を使用できる。したがって、IF1およびIF2の両方は、FEC群1に割り当てられたLDPインスタンス用のHello隣接関係をセットアップするためにそれぞれLSR−A1:0およびLSR−A2:0を使用してHelloパケットを交換することになろう。
【0099】
IF1およびIF2を介して交換されるHelloメッセージは、特定のFEC群におけるFECタイプごとにLDP隣接関係機能を搬送することができる。これまではLDP隣接関係機能が存在していないものの、RFC5561における既存のLDP機能が、LDP Hello隣接関係機能を実装するように拡張され得る。そのような場合には、LDP Helloメッセージは、LDP機能情報も運搬することになろう。Hello交換は、それぞれLSR−A1:0とLSR−B1:0によって識別されるインスタンスについての2つのノード110
1と110
7の間のLDPセッションの形成をもたらすことになろう。LDPセッションは、FEC群1の機能でセットアップされよう。
【0100】
ターゲットLDP(T−LDP)Hello隣接関係は、110
1と110
7の間でそれぞれLSR−A2:0およびLSR−B2:0を使用して形成されることになろう。FEC群2におけるFECタイプごとにLDP隣接関係機能を搬送する、ノード間で交換されるT−LDP Helloメッセージは、それぞれLSR−A2:0とLSR−B2:0によって識別されるインスタンスについての110
1と110
7の間のLDPセッションをもたらす。LDPセッションは、FEC群2の機能でセットアップされ得る。
【0101】
図3Cは、一実施形態による、IPv4FEC(同一転送クラス)要素タイプとMP FEC要素タイプの、ユニキャスト群とマルチキャスト群への死活分離の例示的な構成を示す。具体的には、オペレータは、IPv4FEC要素タイプとMP FEC要素タイプの死活を「ユニキャスト」群と「マルチキャスト」群にさらに分けることを選択できる。本実施形態において、3つのFEC群が存在し、死活分離がすべての3つのFEC群に要求される。
【0102】
FEC群1:IPv4FEC要素タイプ、
FEC群2:MP FEC要素タイプ、および
FEC群3:PWF EC要素タイプ。
【0103】
LDPインスタンス1:ピアリングLSR−A1:0とLSR−B1:0を有するLDPインスタンスはFEC群1に対して割り当てられる。
【0104】
LDPインスタンス2:ピアリングLSR−A2:0とLSR−B2:0を有するLDPインスタンスはFEC群2に対して割り当てられる。
【0105】
LDPインスタンス3:ピアリングLSR−A3:0とLSR−B3:0を有するLDPインスタンスはFEC群3に対して割り当てられる。
【0106】
本実施形態において、IF1およびIF2の両方はLDPインスタンス1および2と関連付けられる。IF1およびIF2のそれぞれは、同じ発信元IPアドレスを使用して、2つの別個のHelloメッセージ、すなわち各インスタンスに対して1つのHelloメッセージを発することになろう。この構成は、インターフェースごとに2つ、すなわちインスタンス1とインスタンス2に1つずつのHello隣接関係をもたらす。各Hello隣接関係は、上記の規則を使用して機能をアドバタイズすることになろう。
【0107】
他の実施形態は、IPv4LDPとIPv6LDPに基づくLSPの死活分離を行うことをオペレータが望めるようにするが、IF1およびIF2は、IPv4またはIPv6のいずれか、すなわち1つだけのスタックインターフェースである。したがって、オペレータは、単一のスタックインターフェースIF1およびIF2を供給でき、IPv4LSPとIPv6LSPの死活分離も供給できる。T−LDP Hello隣接関係は、PW機能を使用して、LDPインスタンス3に対して形成されることになろう。
【0108】
図3Dは、一実施形態による、デュアルスタックIPv4LSPとIPv6LSPの死活分離の例示的な構成を示す。本実施形態において、両インターフェースIF1およびIF2はデュアルスタック(IPv4およびIPv6)インターフェースであり、オペレータは、IPv4LSPとIPv6LSPの死活分離を望む。たとえば、IPv4またはIPv6FECは、IPv4またはIPv6に関連するすべてのFECタイプを含み得る。たとえば、IPv6に分類され得るいくつかのバンド内MP FECタイプが存在する。本実施形態において形成されるインスタンスは以下の通りである。
【0109】
LDPインスタンス1:ピアリングLSR−A1:0とLSR−B1:0を有するLDPインスタンスはIPv4FECタイプに対して割り当てられる。
【0110】
LDPインスタンス2:ピアリングLSR−A2:0とLSR−B2:0を有するLDPインスタンスはIPv6FECタイプに対して割り当てられる。
【0111】
両インターフェースIF1およびIF2は、LDPインスタンス1および2のそれぞれと関連している。本実施形態において、オペレータは、インスタンス1に対してHelloメッセージを送るためにインターフェースにIPv4アドレスを使用し、インスタンス2にHelloメッセージを送るためにインターフェースのIPv6アドレスを使用するように選択することができる。
【0112】
他の実施形態では、IF1はIPv4LSP専用であり、IF2はIPv6LSP専用である。これは、制御プレーンならびにデータプレーンの両方の死活分離を実現する。
【0113】
LDPアドレス配信の実施
LSRは、学習したラベルをラベル情報ベース(LIB)内に維持する。ダウンストリームアンソリシットモードで動作するとき、アドレスプレフィックスへのLIB入力によって、プレフィックスに対応するラベルをアドバタイズするピアごとに1つ、(LDP識別子、ラベル)ペアの集まりがプレフィックスに関連付けられる。プレフィックスに対応するネクストホップが変わるとき、LSRは、新たなネクストホップによってアドバタイズされるラベルをLIBから取り出して、パケットの転送に使用する。ラベルを取り出すために、LSRは、プレフィックスに対応するネクストホップアドレスをLDP識別子にマッピングする。同様に、LSRは、LDPピアからプレフィックスに対応するラベルを学習したとき、そのピアが現在、プレフィックスに対応するネクストホップであるかどうかを判定して、プレフィックスに一致するパケットを転送するときに新たに学習されたラベルの使用を開始する必要があるかどうかを決定する。その決定を下すために、LSRは、LDP識別子を種々のピアアドレスにマッピングして、それらの中にプレフィックスに対応するネクストホップがあるかどうかを確認する。LSRがピアLDP識別子とピアのアドレスをマッピングできるようにするために、LSRは、RFC5036に規定されている手順に従ってLDP AddressおよびWithdraw Addressメッセージを使用して、そのアドレスをアドバタイズする。
【0114】
しかしながら、2つのノード間でマルチインスタンスLDPピアリングを動作させている間、すべてのそのようなセッションが、各ノードにおいて同じセットのローカルアドレスを配信し得る可能性がある。種々の実施形態は、アドレス配信の重複を避けるために、各ノードにおけるローカルアドレス空間をマルチプルLDPインスタンス間で隔離する。他の実施形態はこの特徴を実装していない。
【0115】
図4は、一実施形態による方法の流れ図を示す。一般的に言うと、方法400は、ネットワークノードにおけるマルチプルLDPインスタンスをLSRが実装するための機構を提供する。
【0116】
方法400はステップ405から始まり、ステップ410に進み、ここでLSRが、ノード内で確立するLDPマルチプルインスタンスのタイプを決定する。ボックス415を参照すると、マルチプルLDPインスタンスの実現をもたらす2つの主要なカテゴリ、すなわち、セグメント化されたネットワークと、異なるFECタイプに属するLSPをセットアップするためのラベル交換とが存在する。
【0117】
セグメント化されたネットワークにおいて、各ネットワークセグメントは、そのセグメントにおいて、OSPFルータIDにマッピングされたIPv4アドレスをアドバタイズし、ルータIDを他のセグメントから漏らさない。その結果、複数のLDP LSRが、同じデータプレーンを共有する同じノードにおいてインスタンス化される。結果的に、ネットワークオペレータは、基礎にあるIPネットワークのセグメントを、OSPF(開放型最短経路優先)またはISIS(中間システム間連携)などのIGP(内部ゲートウェイプロトコル)における異なるインターネットルーティングインスタンスに分ける能力を有する。たとえば、各OSPFインスタンスが別個の4バイトOSPFルータIDによって識別されるマルチインスタンスOSPFでは、単一のプラットフォームが、そのようなインスタンスのうちの複数を、そのようなネットワークセグメントごとに終了させることができる。
【0118】
他のカテゴリにおいて、すべてのセッションにわたって配布されたラベルは、同じラベル空間から割り当てられ、したがって、データプレーンを共有する。各ピアリングセッションは別個のTCPトランスポートアドレスを使用する。
【0119】
ステップ420では、確立するためのLDPマルチプルインスタンスのタイプが決定済みであり、ピアリングノードが同じデータプレーンを共有するようにLSR IDがマッピングされる。ボックス425を参照すると、ネットワークがセグメント化されるかどうかなどの特徴に従ってLSR IDがマッピングされるか、またはマルチインスタンスOSPFが実現されるか、またはTE上のIGPショートカットの上のLDPとしてのLSPが実現される。
【0120】
ステップ430では、LDPラベル配布が、既に決定されたそれぞれの死活分離構成に従って実施される。ボックス435を参照すると、そのような死活分離構成は、さまざまなタイプのLSPの死活分離、仮想プレーンLANサービス、IPv4FEC要素タイプ、MP FEC要素タイプ、デュアルスタックIPv4とIPv6の死活分離、専用IPv4LSPインターフェース、専用IPv6LSPインターフェースなどを含む。
【0121】
ステップ440では、共通のデータプレーンおよびグローバル空間を共有する同じネットワークノードにおけるLDPマルチプルインスタンスが確立される。
【0122】
図5は、種々の実施形態の実施に適した例示的なノードの制御部500、たとえばLDPノード110の制御部を示す。
図5に描かれているように、ノード制御部500は、1つまたは複数のプロセッサ540、メモリ550、入力/出力(I/O)インターフェース535およびネットワークインターフェース545を備える。
【0123】
プロセッサ540は、ノード110に関して本明細書に説明されているさまざまな機能を実現するために、メモリ550、ネットワークインターフェース545、I/Oインターフェース535などと協働するように構成されている。種々の実施形態において、例示的なノード制御部500は、
図6のコンピューティングデバイスに関して以下で説明されるように実現され得る。
【0124】
メモリ550は一般的に言うと、ノード110に関連する種々の制御プレーン機能およびデータプレーン機能の提供に使用されるように構成されたプログラム、データ、ツールなどを記憶している。メモリ550は、図示され、本明細書で説明されている種々の制御プレーンおよびデータプレーン機能のサポートに有用なプログラム552およびデータ553を記憶するものとして図示されている。たとえば、メモリ550は、MPLS通信システム内のさまざまなコンピューティング、ルーティング、制御およびホスティング機能の実現に使用するために構成されたプログラム522およびデータ523を記憶するものとして描かれている。
【0125】
ディスカバリエンジン531、LDPマルチプルインスタンスエンジン532およびLDPラベル配布エンジン533もまた
図5に描かれている。これらのエンジンは、本明細書に記載のノード制御部500の外部にあるハードウェアまたはファームウェアモジュールとして実装され得る。種々の実施形態において、エンジンは、一部または全体が、プログラム552によって本明細書に記載のノード制御部500またはノード110内で実行され得る。
【0126】
種々の実施形態において、メモリ550は、ディスカバリエンジン531、LDPマルチプルインスタンスエンジン532および/またはLDPラベル配布エンジン533に関連するプログラムおよびデータを含む。種々の実施形態において、ディスカバリエンジン531、LDPマルチプルインスタンスエンジン532およびLDPラベル配布エンジン533は、図示され、本明細書で説明されているさまざまな機能を行うためのプロセッサ(たとえば、プロセッサ535)によって実行され得るソフトウェア命令を使用して実現される。
【0127】
I/Oインターフェース535およびネットワークインターフェース545は、プロセッサ540の内部および外部の周辺デバイスとの通信を容易にするように構成されている。たとえば、I/Oインターフェース535は、メモリ550とのインターフェースになるように構成されている。同様に、I/Oインターフェース535は、LDPノード110ディスカバリエンジン531、LDPマルチプルインスタンスエンジン532およびLDPラベル配布エンジン533などとの通信を容易にするように構成されている。種々の実施形態において、ネットワーク(図示せず)と通信するために使用されるプロセッサポート間および任意の周辺デバイス間で接続が行われる。
【0128】
ディスカバリエンジン531、LDPマルチプルインスタンスエンジン532およびLDPラベル配布エンジン533と通信するノード110の制御部500に関して主として図示および説明されているが、I/Oインターフェース535は、本明細書に記載のさまざまな機能の実現に適した任意の他のデバイスとの通信をサポートするように構成されていてもよいことが理解されよう。
【0129】
ディスカバリエンジン531、LDPマルチプルインスタンスエンジン532および/またはLDPラベル配布エンジン533が、図示されたノード制御部500の外部および/または内部にある実施形態に関して図示および説明されているが、エンジンは、LDPノード110および/またはそのノード制御部500の内部および/または外部にある1つまたは複数の他の記憶装置に記憶されていてもよいことが当業者には理解されよう。エンジンは、LDPノード110および/またはそのノード制御部400の内部および/または外部にある、任意の適切な数および/またはタイプの記憶装置全体に配信されてもよい。メモリ550は、メモリ550のエンジンを含めて、本明細書の以下においてさらに詳細に説明される。
【0130】
種々の実施形態において、ディスカバリエンジン531は、マルチプルLDPインスタンスの実現をもたらすカテゴリ、すなわち、上記のような、セグメント化されたネットワークと、異なるFECタイプに属するLSPをセットアップするためのラベル交換とを決定するように構成されている。
【0131】
種々の実施形態において、LDPマルチプルインスタンスエンジン532は、同じデータプレーンおよびグローバル空間をピアリングノードが共有し、それによって、上記のようなLDPマルチプルインスタンスを確立するように、LSR IDをそれぞれのノードにマッピングするように構成されている。
【0132】
種々の実施形態において、LDPラベル配布エンジン533は、決定された死活分離構成に従ってラベル配布を実行するように構成されている。
【0133】
図6は、図面に関連させて本明細書で説明される種々の要素に関連するものなどの、本明細書に記載の機能の実行における使用に適した電気通信ネットワーク要素内のプロセッサなどのコンピューティングデバイスの高レベルブロック図を示す。
【0134】
図6に描かれているように、コンピューティングデバイス600は、プロセッサ要素603(たとえば、中央処理装置(CPU)および/または他の適切なプロセッサ)、メモリ604(たとえば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)など)、協働モジュール/処理605、ならびに種々の入力/出力デバイス606(たとえば、ユーザの入力デバイス(キーボード、キーパッド、マウスなど)、ユーザの出力デバイス(ディスプレイ、スピーカなど)、入力ポート、出力ポート、受信機、送信機、および記憶装置(たとえば、永続的なソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ、コンパクトディスクドライブなど))を備える。
【0135】
図示され、本明細書で説明されている機能は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアとハードウェアの組み合わせにおいて、たとえば、汎用コンピュータ、1つもしくは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、および/または任意の他のハードウェアに相当する物を使用して実施され得ることが理解されよう。一実施形態において、協働処理605は、本明細書において検討されたような機能を実施するために、メモリ604にロードされ、プロセッサ603によって実行され得る。したがって、協働処理605(関連するデータ構造を含む)は、コンピュータ可読記憶媒体、たとえば、RAMメモリ、磁気ドライブまたは光学ドライブまたはディスケットなどに記憶され得る。
【0136】
図6に描かれているコンピューティングデバイス600は、本明細書に記載の機能要素または本明細書に記載の機能要素の部分を実装するのに適した汎用的なアーキテクチャおよび機能を設けていることが理解されよう。
【0137】
本明細書で検討されたステップの一部は、たとえば、種々の方法ステップを実行するためにプロセッサと協働する回路構成としてのハードウェアにおいて実装され得ることが企図される。本明細書に記載の機能/要素の部分は、コンピュータ命令が、コンピューティングデバイスによって処理されたとき、本明細書に記載の方法および/または技法が呼び出されるかまたはその他の形で提供されるように、コンピューティングデバイスの動作を適合させるコンピュータプログラム製品として実現されてもよい。本発明の方法を呼び出す命令は、固定されているか、もしくは取り外し可能な媒体またはメモリなどの有形かつ一時的でない(non−transitory)コンピュータ可読媒体に記憶されていてもよく、かつ/またはその命令に従って動作するコンピューティングデバイス内のメモリに記憶されていてもよい。
【0138】
本発明の教示を組み込んだ種々の実施形態が図示され、本明細書において詳細に説明されてきたが、当業者は、これらの教示を組み込んだままの多くの他の変形形態を容易に考案することができる。したがって、上記は種々の本発明の実施形態を対象とするが、本発明の他の実施形態およびさらに別の実施形態が、その基本範囲から逸脱することなく考案され得る。したがって、本発明の適切な範囲は特許請求の範囲に従って決定されるべきである。