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特許5887612土壌に含まれる重金属除去剤組成物および重金属除去方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5887612
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】土壌に含まれる重金属除去剤組成物および重金属除去方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 17/02 20060101AFI20160303BHJP
   B09C 1/02 20060101ALI20160303BHJP
   B09C 1/08 20060101ALI20160303BHJP
   C09K 17/06 20060101ALI20160303BHJP
   C09K 17/48 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
   C09K17/02 ZZAB
   B09B3/00 304K
   C09K17/06 Z
   C09K17/48 Z
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2010-294352(P2010-294352)
(22)【出願日】2010年12月29日
(65)【公開番号】特開2011-190428(P2011-190428A)
(43)【公開日】2011年9月29日
【審査請求日】2013年12月27日
(31)【優先権主張番号】特願2010-32188(P2010-32188)
(32)【優先日】2010年2月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(73)【特許権者】
【識別番号】309016393
【氏名又は名称】合同会社CORDA
(74)【代理人】
【識別番号】100134016
【弁理士】
【氏名又は名称】園部 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140408
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康介
(72)【発明者】
【氏名】中谷 清治
(72)【発明者】
【氏名】牧野 結智
(72)【発明者】
【氏名】牛久 純
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 久代
(72)【発明者】
【氏名】酒井 勝
【審査官】 中村 浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−043921(JP,A)
【文献】 特開2006−312163(JP,A)
【文献】 特開2004−181303(JP,A)
【文献】 特開2010−029843(JP,A)
【文献】 特開2004−237137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K17/00−17/52
B09B 1/00− 5/00
B01J20/00−20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌に含まれる重金属を除去する重金属除去剤組成物であって、
前記土壌に溶出剤を添加した後の水相がpH4以上でpH8未満となり、かつ塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、フィチン酸の内いずれか一つの溶出剤と、
硫黄(S)含量が0.3〜5質量%で且つマンガン(Mn)含量が0.1〜10質量%である鉄粒子を、当該鉄粒子は漏れないが前記溶出剤により溶出した重金属は透過できる袋に収納した回収鉄粉と、
を有することを特徴とする重金属除去剤組成物。
【請求項2】
土壌に含まれる重金属を除去する重金属除去剤組成物であって、
前記土壌に溶出剤を添加した後の水相がpH4以上でpH8未満となり、かつ塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、フィチン酸の内いずれか一つの溶出剤と、
硫黄(S)含量が0.3〜5質量%で且つマンガン(Mn)含量が0.1〜10質量%である鉄粒子である散布鉄粉と、
を有することを特徴とする重金属除去剤組成物。
【請求項3】
前記溶出剤が0.020mol/Lから0.1mol/Lの塩化カルシウムである請求項1又は2に記載の重金属除去剤組成物。
【請求項4】
前記鉄粒子の粒径の長径が、1μm以上で1000μm以下である請求項1から3のいずれか1項に記載の重金属除去剤組成物。
【請求項5】
土壌に含まれる重金属を除去する重金属除去方法であって、
前記土壌に溶出剤を添加した後の水相がpH4以上でpH8未満となり、かつ塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、フィチン酸の内いずれか一つの溶出剤を散布する工程と、
硫黄(S)含量が0.3〜5質量%で且つマンガン(Mn)含量が0.1〜10質量%である鉄粒子を、当該鉄粒子は漏れないが前記溶出剤により溶出した重金属は透過できる袋に収納した回収鉄粉を散布する工程と、
を有することを特徴とする重金属除去方法。
【請求項6】
土壌に含まれる重金属を除去する重金属除去方法であって、
前記土壌に溶出剤を添加した後の水相がpH4以上でpH8未満となり、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、フィチン酸の内いずれか一つの溶出剤を散布する工程と、
硫黄(S)含量が0.3〜5質量%で且つマンガン(Mn)含量が0.1〜10質量%である鉄粒子を散布する工程と、
を有することを特徴とする重金属除去方法。
【請求項7】
前記溶出剤が0.020mol/Lから0.1mol/Lの塩化カルシウムである請求項5又は6に記載の重金属除去方法。
【請求項8】
前記鉄粒子の粒径の長径が1μm以上で1000μm以下である請求項5から7のいずれか1項に記載の重金属除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌に含まれる重金属除去剤組成物および重金属除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カドミウム(Cd)は鉱物土壌中に天然に存在する重金属で、人体に悪影響を与える。有名な症例として神通川流域で発症したイタイイタイ病である。カドミウムの人体への主な侵入経路は食事からで、日常食からのカドミウムの1日摂取量は21.4μgで、これは暫定耐容摂取量の約4割を占めている。更に食事からのカドミウム摂取量の約半分が米に由来する。そのため、食品中の汚染物質・毒素に関する一般規格では、各農産物の含有上限基準値が設けられており、精米からは0.4mg/kg以下とされている。また、カドミウムの土壌環境基準値は0.01mg/L以下となっており、土壌からのカドミウムの除去は極めて重要である。
【0003】
汚染された土壌浄化法には、封じ込め、電気的分離、掘削除去などがあるが、いずれの場合も大掛かりなものであり、高コストである。比較的安価に行える方法で固化・不溶化がある。現在、水田土壌中のカドミウムの浄化法として農林水産省により推奨されている塩化第二鉄を用いた方法は、不溶化の一種で、原位置で行える。カドミウム汚染された水田土壌を塩化第二鉄溶液で洗浄し、カドミウムを除去する。除去処理後に土壌に残ったカドミウムや塩化物イオンの汚染があるため、洗浄を行う必要がある。塩化第二鉄法によるカドミウムの除去率は50%と報告されている(非特許文献1等参照)。
【0004】
また、カドミウムを高吸収するイネを育成して、水田中に含まれるカドミウムを吸収する報告もなされている(非特許文献2等参照)。しかし、この方法では、イネを育成するのに3年以上を必要とするので、長期間を要するという問題がある。
【0005】
また、発明者は電気浸透流を用いた汚染物質除去方法及び汚染物質除去装置の提案を行っている(特許文献1等参照)。しかし、実現には、かなり大規模な装置が必要である。
【0006】
関連する提案としては、汚染水中のヒ素除去法およびヒ素除去処理剤について提案されているが、カドミウムの除去については記載されていない(特許文献2等参照)。
【0007】
一方、重金属の除去法として鉄くずを用いた鉄粉法が知られていた。イオン化傾向により金属を還元、析出させる。鉄粉法はカドミウム除去にも使えるが、鉛や銅などに主に適用されていた。また、EDTAなどのキレート剤が含まれていると析出量が著しく低下するので鉄粉法を行うにはあらかじめキレート剤を酸化分解しておくことが必要であるとされていた(非特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−21079号公報
【特許文献2】特開2006−312163号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】独立行政法人 農業環境技術研究所「カドミウムで汚染された水田の土壌洗浄法による修復」平成17年7月1日 プレスリリース
【非特許文献2】独立行政法人 農業環境技術研究所「カドミウム高吸収イネ品種によるカドミウム汚染水田の浄化技術の開発」平成21年8月21日 プレスリリース
【非特許文献3】公害防止の技術と法規編集委員会編「公害防止の技術と法規、五訂、水質編」1995、丸善、235〜252ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、従来の方法は大掛かりなものであり、またカドミウムを低減するのに長期間を要するという問題がある。
【0011】
本発明は、以上のような課題を解決し、土壌における重金属除去剤組成物および重金属除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、土壌中より重金属を効率的に抽出し、抽出した重金属を鉄粒子に析出させる方法と組成剤を鋭意研究し、下記の発明を完成するに至った。
【0013】
(1) 土壌に含まれる重金属を除去する重金属除去剤組成物であって、前記土壌に溶出剤を添加した後の水相がpH4以上でpH8未満となり、かつ塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、フィチン酸、酢酸の内いずれか一つの溶出剤と、硫黄(S)含量が0.3〜5質量%で且つマンガン(Mn)含量が0.1〜10質量%である鉄粒子を、当該鉄粒子は漏れないが前記溶出剤により溶出した重金属は透過できる袋に収納した回収鉄粉と、を有することを特徴とする重金属除去剤組成物。
【0014】
重金属で汚染された土壌中に本発明の重金属除去剤組成物の土壌に溶出剤を添加した後の水相がpH4以上でpH8未満となり、かつ塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、フィチン酸、酢酸の内いずれか一つの溶出剤を散布すると、溶出剤により土壌中の重金属が溶出剤と結合またはイオン交換をして溶出される。溶出された重金属は透過できる袋に収納した回収鉄粉内の鉄粒子に析出される。鉄粒子は硫黄(S)含量が0.3〜5質量%で且つマンガン(Mn)含量が0.1〜10質量%が含まれるので、これらが、触媒の働きをすると推定され、溶出剤中であっても、鉄粒子に重金属が析出される。pH4以上でpH8未満である溶出剤としたのは、pHがこれより低いと鉄粒子を溶解する恐れがあり、pH8を超えると鉄や重金属の水酸化物となり沈殿する影響がでるからである。
【0015】
(1)に記載の重金属除去剤組成物によれば、硫黄(S)含量が0.3〜5質量%で且つマンガン(Mn)含量が0.1〜10質量%である鉄粒子と、pH4以上でpH8未満である溶出剤と、を含有することを特徴とする。
【0016】
(1)に記載の本発明の重金属除去剤組成物は、当該鉄粒子は漏れないが前記溶出剤により溶出した重金属は透過できる袋に収納した回収鉄粉によるので、処理後容易に回収鉄粉を袋ごと回収できる利点がある。
【0017】
ここで、溶出剤とは、土壌中で金属と結合またはイオン交換を起こさせる材料であり、本発明の重金属除去剤組成物の溶出剤としては、塩化カルシウムが最も望ましい。適切に使用すると重金属の溶出能力が高く、土壌が農業に使用された場合に影響が少ないからである。その他、重金属とイオン交換できる陽イオンを含む溶出剤であるカルシウムやマグネシウムの塩、キレート剤であるエチレンジアミン四酢酸(EthyleneDiamineTetraacetic Acid:以下「EDTA」という。)クエン酸、フィチン酸、酢酸が考えられる。
【0018】
(2) 土壌に含まれる重金属を除去する重金属除去剤組成物であって、 前記土壌に溶出剤を添加した後の水相がpH4以上でpH8未満となり、かつ塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、フィチン酸、酢酸の内いずれか一つの溶出剤と、硫黄(S)含量が0.3〜5質量%で且つマンガン(Mn)含量が0.1〜10質量%である鉄粒子である散布鉄粉と、を有することを特徴とする重金属除去剤組成物。
【0019】
(3)前記溶出剤が0.020mol/Lから0.1mol/Lの塩化カルシウムである(1)又は(2)に記載の重金属除去剤組成物。
【0020】
(3)に記載の重金属除去剤組成物によれば、溶出剤が塩化カルシウムであるので、土壌が農業に使われた場合に影響がすくないからである。なお、0.020mol/Lとしたのは、これ以下であると重金属特にカドミウムの溶出効果が少ないからであり、0.1mol/L以上であると、特に水田で使用した場合に、稲の生育が悪くなるからである。
【0021】
(4) 前記鉄粒子の粒径の長径が1μm以上で1000μm以下である請求項1から3のいずれか1項に記載の重金属除去剤組成物。
【0022】
(4)に記載の発明は、鉄粒子の粒径の長径が1μm以上で1000μm以下である。鉄粒子の粒径の長径が1000μm以下としたのは、1000μmをこえると、粒子の比表面積が小さく本発明の効果が期待できないからである。鉄粒子の粒径の長径が1μm以上としたのは、これ未満であると製作が難しく高価となるからである。このように、小さな粒子で比表面積を大きくとることができるので析出効率を高くすることができる。比表面の測定は、気体吸着法により測定することができる。
【0023】
(5) 土壌に含まれる重金属を除去する重金属除去方法であって、前記土壌に溶出剤を添加した後の水相がpH4以上でpH8未満となり、かつ塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、フィチン酸、酢酸の内いずれか一つの溶出剤を散布する工程と、硫黄(S)含量が0.3〜5質量%で且つマンガン(Mn)含量が0.1〜10質量%である鉄粒子を、当該鉄粒子は漏れないが前記溶出剤により溶出した重金属は透過できる袋に収納した回収鉄粉を散布する工程と、 を有することを特徴とする重金属除去方法。
【0024】
(5)に記載の本発明の土壌に含まれる重金属を除去する重金属除去方法によれば、前記土壌に溶出剤を添加した後の水相がpH4以上でpH8未満となり、かつ塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、フィチン酸、酢酸の内いずれか一つの溶出剤を散布する工程と、硫黄(S)含量が0.3〜5質量%で且つマンガン(Mn)含量が0.1〜10質量%である鉄粒子を散布する工程と、を有するので、土壌を水溶液とした場合に当該水溶液がpH4以上でpH8未満となり、かつ塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、フィチン酸、酢酸の内いずれか一つの溶出剤を散布することにより、土壌中より重金属を溶出し、溶出された重金属を散布された回収鉄粉中の鉄粒子に析出させるので、大規模な装置を必要としないで、土壌中の重金属を除去することができる。また、処理後の袋ごと回収できるので比較的容易に回収することができる。
【0025】
(6) 土壌に含まれる重金属を除去する重金属除去方法であって、前記土壌に溶出剤を添加した後の水相がpH4以上でpH8未満となり、かつ塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、フィチン酸、酢酸の内いずれか一つの溶出剤を散布する工程と、硫黄(S)含量が0.3〜5質量%で且つマンガン(Mn)含量が0.1〜10質量%である鉄粒子を散布する工程と、を有することを特徴とする重金属除去方法。
【0026】
(6)に記載の本発明の土壌に含まれる重金属を除去する重金属除去方法によれば、前記土壌に溶出剤を添加した後の水相がpH4以上でpH8未満となり、かつ塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、フィチン酸、酢酸の内いずれか一つの溶出剤を散布する工程と、硫黄(S)含量が0.3〜5質量%で且つマンガン(Mn)含量が0.1〜10質量%である鉄粒子を散布する工程と、を有するので、pH4以上でpH8未満であり、かつ塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸、フィチン酸、酢酸の内いずれか一つの溶出剤を散布することにより、土壌中より重金属を溶出し、溶出された重金属を散布された鉄粒子に析出させるので、大規模な装置を必要とせず、土壌中の重金属を除去することができる。
【0027】
(7) 前記溶出剤が0.020mol/Lから0.1mol/Lの塩化カルシウムである(5)又は(6)に記載の重金属除去方法。
【0028】
(8) 前記鉄粒子の粒径の長径が1μm以上で1000μm以下である(5)から(7)のいずれかに記載の重金属除去方法。
【0029】
(7)から(8)に記載の発明は、(1)から(4)に記載の重金属除去剤組成物を重金属除去方法として用いるものであり、効果等については、上記と同様である。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、大規模な装置を必要とせず、土壌中の重金属を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の重金属除去剤組成物の回収鉄粉の一例を示す図である。
図2】30 mg/Lのカドミウム水溶液に4時間浸して振とうした鉄粉の一例の写真である。
図3】カドミウム水溶液に浸さない鉄粉の定性分析結果である。
図4】30 mg/Lのカドミウム水溶液に24時間浸して振とうした鉄粉の定性分析結果である。
図5】本発明のカドミウム除去剤組成物の水溶液系におけるカドミウムの鉄粒子への析出を示す図である。
図6】エチレンジアミン四酢酸(EDTA)の構造図である。
図7】本発明の重金属除去剤組成物の土壌系におけるpH依存性を説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0033】
〈実施例1〉
実施例1は土壌を含む実験の例で、土壌サンプルを用いて鉄粉でカドミウム除去を調べたものある。
【0034】
表1に示すように、カドミウムで汚染された国内の水田土壌Aのサンプル(風乾させたもの)10gに、溶出剤(エチレンジアミン四酢酸ナトリウム(EDTA(0.01
mol/L)または塩化カルシウム(0.1 mol/L、0.025
mol/L))水溶液50 mL、神戸製鋼株式会社製のエコメル53NJ鉄粉0.5gを内包する(鉄粉は漏れないが水溶液は透過できる)ポリプロピレン製の袋(鉄粉入袋を含まない実験も行った)を250
mLのポリエチレン製の容器に入れ、振とう機(Yamato・MK161型)により振とう数200R.P.Mで48時間振とうさせた。振とう後、鉄粉を袋ごと取り除き、ろ紙でろ過後、水相中のカドミウム濃度を測定した。測定は、プラズマ発光分光分析装置(島津製作所 ICPS−8100)で行った。
【0035】
土壌Aについて、農林省令第四十七号「農用地土壌汚染対策地域の指定要件に係るカドミウムの量の検定の方法を定める省令」に準拠して、カドミウム濃度を算出したところ、土壌(1 kgに対する)のカドミウム濃度は1.07 mg/kgであった。表1に結果を示す。
【0036】
鉄粉が無い場合、キレート剤であるEDTAだけでなく、イオン交換性の溶出剤である塩化カルシウムでも土壌中のカドミウムを水相に溶出させることができた。塩化カルシウムの濃度が高い程カドミウムの溶出量は増加した。溶出剤と鉄粉をともに含む場合は、溶出したカドミウムの90%以上を鉄粉で除去できることがわかった。
【0037】
EDTA、塩化カルシウム0.1 mol/L、塩化カルシウム0.025
mol/Lと鉄粉の組み合わせで除去できた土壌中(1 kgに対する)のカドミウムは、それぞれ、0.94
mg/kg(除去率90%)、0.72 mg/kg(除去率70%)、0.4
mg/kg(除去率40%)と見積もれる。イオン交換性の溶出剤はEDTAより溶出効率は低いが、実際の水田では容易に水相に溶け出し稲に吸収されるのは、イオン交換性のカドミウムの可能性が高いので、カドミウムとイオン交換するカルシウムイオンを含む溶出剤で充分な効果が得られる可能性がある。
【0038】
【表1】
【0039】
〈実施例2〉
実施例2も土壌を含む実験の例で、実際の水田土壌において鉄粉でカドミウム除去を調査した。カドミウムで汚染された国内の水田土壌BとCで、溶出剤は塩化カルシウム(0.025mol/L)を用い、図1のような浄化用鉄粒子40である神戸製鋼株式会社製のエコメル53NJ鉄粉150gを内包するポリプロピレン製の袋10(鉄粒子40は漏れないが多数の1μ程度透過孔22を介しての水溶液は透過できる)で回収鉄粉1を0.7m間隔あたり1個として配置するか、1m2当たり1.5kgの鉄粒子である散布鉄粉を直接散布した。
【0040】
表2に水田試験の実験条件等を示す。
【0041】
【表2】

【0042】
BとCは同一地区内の異なる2つの水田であり、1つの水田をBは4つに、Cは2つに水が混ざらないように仕切った。散布鉄粉(B2、B4)は田植えの1週間前に、B3の回収鉄粉は収穫の3週間前に、C2の回収鉄粉は田植え後10週間後に配置した。塩化カルシウムの散布は収穫の3週間前に行い、この後1週間は高さ1015cm程度の水をはった状態を維持した。
【0043】
収穫した玄米中のカドミウム濃度の結果は表2に示す。この分析結果は、指定調査機関に依頼して、農林省令第四十七号「農用地土壌汚染対策地域の指定要件に係るカドミウムの量の検定の方法を定める省令」に定める方法で行われたものである。
【0044】
この結果から、鉄粉のみで溶出剤を用いない場合は、未対策の場合と変わらずカドミウムを除去できていないことがわかる。しかし、鉄粉(回収鉄粉、散布鉄粉ともに)と溶出剤である塩化カルシウムを用いた場合、カドミウムは明らかに減少し、水田Bでは除去率3035%、水田Cでは除去率40%以上となった。
【0045】
鉄粉のみでは、水相中に溶解しているカドミウム濃度が低いため、稲がカドミウムを吸収する時期までに土壌からカドミウムを除去できないが、溶出剤を併用すると短時間でカドミウムを除去できたものと考えられる。また、鉄粉に析出したカドミウムは、水田では容易には溶出しないと予想される。しかし、袋詰めされた回収鉄粉を用いると、浄化処理後、容易に水田から取り出すことができ、直接散布と同程度のカドミウム除去が可能なことから、直接散布よりも有効であると考えられる。実際の水田での実験は1年間に1度しかできないので浄化処理条件の最適化が行えなかったが、実施例1の結果等から、溶出剤や鉄粉の量を増加させることで除去率をさらに高くできると考えられる。
【0046】
〈実施例3〉
実施例3は土壌を含まない実験の例で、水溶液サンプルを用いて鉄粉で重金属除去を調査した。実際の土壌系に近い値であるpH7に調整した硝酸カドミウム、硝酸鉛または硝酸銅の水溶液50mL、神戸製鋼株式会社製のエコメル53NJ鉄粒子0.1gを100mLのガラス製容器に入れ、振とう機(Yamato・MK161型)により振とう数200R.P.Mで2時間振とうさせた。振とう後、ろ過で水相と当該鉄粒子を分離した。水溶液中の重金属濃度はプラズマ発光分光分析装置(島津製作所 ICPS−8100)で測定した。
【0047】
表3に水溶液中の重金属濃度を示す。
【0048】
【表3】
【0049】
鉄粉添加前のmg/L単位での濃度が重金属の種類によって異なるが、これはモル濃度をほぼ一定にした(〜0.25mmol/L)ためである。2時間で水相から除去できた量はCd<Pb<Cuの順に増加した。水相中のCd2+、Pb2+、Cu2+は鉄粉で還元されると考えられる。実際、酸化還元電位は、Fe/Fe2+対で−0.440V、Cd/Cd2+対で−0.402V、Pb/Pb2+対で−0.126 V、Cu/Cu2+対で+0.337Vであり(大堺・加納・桑畑著(2000)ベーシック電気化学、化学同人、ページ189−194)、実験から求めた水相からの重金属減少量の順と一致する。この結果から、酸化還元電位の大きいものほど効率よく鉄粉で除去できることがわかった。
【0050】
〈実施例4〉
実施例4も土壌を含まない実験の例で、水溶液(pH7)サンプルを用いて鉄粉上に析出したカドミウムを直接観測したものである。測定は電子プローブマイクロアナラーザー(日本電子 JXA−8530F)で行った。画像撮影は500倍で行った。定性分析は加速電圧15.0kV、照射電流50nA、ビームは円形で直径5μmで行った。波長はCH−1(LIFH)89−239nm、CH−2(TAP)65−215nm、CH−4(PETH)89−239nmに設定した。
【0051】
図2に鉄粉の写真の一例を示す。定性分析から、カドミウム水溶液に浸さない鉄粉では鉄、マンガン、硫黄を観測できたが、カドミウムは観測されなかった(図3)。30mg/Lのカドミウム水溶液に24時間浸して振とうしたものは、鉄、マンガン、硫黄とともにカドミウムが観測された(図4)。粒子表面は平滑になっておらず凸凹になっているため、観測場所によって値は異なるが、カドミウムは鉄粉上に析出することがわかった。
【0052】
〈実施例5〉
実施例5も、土壌を含まない実験の例である。図5は、本発明のカドミウム除去剤組成物の鉄粒子の水溶液系におけるカドミウムの鉄粒子への析出を示す図である。上澄み液はプラズマ発光分光分析装置(Nippon Jarrel−Ash 575 シーケンシャル型)でカドミウムの濃度を測定した。カドミウムがエコメル53NJ鉄粒子に析出するに必要な時間をモデル水溶液で調べた。カドミウム5ppmのモデル水溶液50mLに1wtパーセントの鉄粒子を加えて撹拌を行ったところ、24時間で0.02ppm程度、48時間で検出限界値以下となった。
【0053】
また、鉄粉法ではキレート剤が含有すると吸着量が低下するということから(非特許文献3参照)、硫黄(S)含量が0.3〜5質量%で且つマンガン(Mn)含量が0.1〜10質量%であるエコメル53NJ鉄粒子にも当てはまるかEDTAを用いて、カドミウムの除去が阻害されないかを確かめた。なお、エコメル53NJ鉄粒子の粒径は長径で1μm以上で1000μm以下である。カドミウム濃度の10倍量でEDTAを添加したモデル水溶液50mLにエコメル53NJ鉄粒子を加えて撹拌したところ、48時間後にカドミウムは検出限界となり、EDTAによるエコメル53NJ鉄粒子によるカドミウム析出に影響はないことが確かめられた。
【0054】
EDTA水溶液のpHは実際の土壌系に近い値であるpH7にしたため、カドミウム錯体の有効安定度定数は1013となっており(日本化学会(編)(1997)新実験化学講座9分析化学II、丸善ページ88−190)、水相中のカドミウムはEDTAとキレート錯体を形成し、遊離しているカドミウムはほぼないと考えられる。鉄粉法ではEDTAなどのキレート剤が含まれると吸着量が低下すると報告されている(非特許文献3参照)。本発明のカドミウム除去剤組成物の鉄粒子ではEDTA存在下でもカドミウムは効率的に除去された。本発明のカドミウム除去剤組成物のエコメル53NJ鉄粒子に含まれる硫黄とマンガンの働きによるものと考えられる。
【0055】
〈実施例6〉
実施例6は、土壌を含む実験の例である。土壌試料として日本国内のカドミウム汚染水田土壌Aを用いた。イオン交換性の溶出剤については実施例1に示したので、ここでは他の溶出剤も示した。特に、イオン交換性の溶出剤よりも、キレート剤の溶出剤の方がより効率が高い可能性があるので、典型的なキレート剤のEDTAについて、詳細に調べた。土壌試料とモデル水溶液を1:5の重量比で混合し、振とう機(Yamato・MK161型)により振とう数150R.P.Mで振とうさせた。振とう後、神戸製鋼株式会社製のエコメル53NJ鉄粒子を加えた場合は出来るだけ回収し、ろ過で上澄み液と当該鉄粒子を分離した。上澄み液はプラズマ発光分光分析装置(Nippon Jarrel−Ash 575 シーケンシャル型)でカドミウムの濃度を測定した。なお、今回使用した土壌試料中に含まれるカドミウムの量を、JISK102・55に則り、水溶液中の濃度を測定したところ0.3ppm程度であった。
【0056】
土壌試料中のカドミウムを除去するためには水相中により多くカドミウムを溶出させる必要があるため、同じ土壌試料から多くのカドミウムを迅速に溶出させるためにカドミウムを溶出し易いと考えられる水溶液を用いて溶出試験を行った。本発明のカドミウム除去剤組成物の鉄粒子を使用するため、水溶液のpHは鉄粒子が溶解しないpH4以上とした。水、EDTA、酢酸ナトリウム、硫酸アンモニウムで溶出を行ったところ表4のようにEDTAでカドミウムの溶出が高くなった。この結果からカドミウムの溶出にはEDTAを用いるのが良いことが判明した。図6にEDTAの化学的な構造を示す。図6のように、EDTAはMの所にカドミウム(Cd)、鉛(Pb)などの金属とキレート結合を形成しキレート錯体が作られる。
【0057】
【表4】
【0058】
次に本発明のカドミウム除去剤組成物のエコメル53NJ鉄粒子によりEDTA10mMを含む同じ土壌試料中のカドミウムがどれくらい除去できるか確かめた。その結果を表5に示す。使用した同じ土壌試料はカドミウムの他に鉛も多く含まれており、鉄粒子はカドミウムだけでなく鉛も析出するということで、鉛の量についても測定した。振とう時間はモデル水溶液でEDTA存在下でも48時間で検出限界まで達していたので、48時間とした。鉄粒子は、0、1、2、5wtパーセントで添加した。結果は、鉄粒子を加えたときと加えないときでその差ははっきりと出て、鉄粒子を添加するとカドミウム、鉛はともに大幅に減少した。1wtパーセントと2wtパーセントでは若干差があるが、2wtパーセントと5wtパーセントでは有意のある差は見られなかった。
【0059】
【表5】
【0060】
さらに、図7に示すように土壌系におけるpH依存性について、調査した。図7に示すようにpH4または7で実験を行った。土譲そのものがpH緩衝能をもっているので、pH4で実験を開始しても酸を適宜添加し続けないとpHが7程度になる。塩酸を適宜添加し続けてpH4を維持した場合でも同様の結果が得られており、酸を加えない方が実施しやすいと考えられる。
【0061】
EDTA10mMを含む系で時間変化によるカドミウムの鉄粒子への析出変化を調査した。振とう時間をこれまで通りの48時間、その2倍の96時間、さらに2倍の192時間として実験を行った。この結果を表6に示す。表6のように、上澄み液中の濃度は、時間経過毎に溶出量は増加しているが、鉄粒子を添加することによりカドミウム及び鉛の濃度は低下している。また、時間経過とともにカドミウムの鉄粒子への析出量が増える結果となった。
【0062】
【表6】
【0063】
更にEDTAの濃度を変えてカドミウムの同じ土壌試料溶出量と鉄粒子への析出量を確かめた。EDTAは、2mM、10mM、100mMで行った。EDTAが100mMで添加したとき同じ土壌試料の粉砕が大きく、上澄みと同じ土壌試料に分離できなかった。この結果を表7に示す。表7のように、しかし、EDTAの添加量が2mMのときよりも10mMの方がカドミウムと鉛は共に溶出量が増加し、吸着量も2mMは0.14ppmが0.007(検出限界)、10mMのときは0.27ppmが0.04ppmまでと鉄粒子への吸着量も増えているという結果が得られた。
【0064】
【表7】
【0065】
現在、水田土壌中に含有するカドミウムの除去法として農林水産省により推奨されているのは塩化第二鉄を用いた方法がある。塩化第二鉄溶液法によるカドミウムの除去率は50%である。本発明のカドミウム除去剤組成物の鉄粒子では溶出したカドミウムに対して、90%近い除去率が得られた。実際の水田での実験は1年間に1度しかできないので浄化処理条件の最適化が行えなかったが、除去率として3040%以上であることを実証できた。これは処理条件の最適化で除去率をさらに高くできると考えられる。また、当該鉄粒子ではカドミウム以外に鉛も多く除去出来たことから、カドミウム除去と同時に他の汚染物質も除去できる可能性があることが確かめられた。塩化第二鉄法では除去処理後、土壌中にカドミウムが残留し、塩化物イオンによる二次汚染があるため、その後の洗浄作業が必要となる。本発明のカドミウム除去剤組成物に含まれる鉄粒子ではカドミウムの析出除去後は鉄粒子を回収するだけであるが、未回収でも土壌中で不溶化となっているため、除去処理後の二次汚染は少ないと考えられる。
【0066】
本発明のカドミウム除去剤組成物に含まれる鉄粒子による土壌中重金属の除去過程の検討を行なった。当該鉄粒子はイオン交換性の溶出剤やキレート剤である溶出剤の存在下で、カドミウムや鉛を効率よく土壌から除去できることが判明した。
【0067】
〈比較例1〉
汎用純鉄粉である神戸製鋼所製のアトメル300Mを用いて、EDTAを含む図5と同じ実験条件(カドミウム5ppm、鉄粒子1重量%)で48時間後のカドミウム濃度を調べた。その結果は3ppm程度であり、カドミウムは効率よく除去できなかった。
【0068】
以上主にカドミウム除去剤組成物について、有用であることを実験結果を中心に説明をした。このカドミウム除去剤組成物を用いて、実施例2にように、水田におけるカドミウム除去方法に適用することが可能である。すなわち、pH4以上でpH8未満である溶出剤を散布する工程と、硫黄(S)含量が0.3〜5質量%で且つマンガン(Mn)含量が0.1〜10質量%である鉄粒子を散布する工程と、を有することを特徴とするカドミウム除去方法としても実施することができる。
【0069】
溶出剤を散布する工程の次に、鉄粒子を散布する工程が望ましいが、両工程を同時に実施してもよい。ただし、溶出剤により重金属が高濃度になる場合は、十分な遮水措置を行うか、両工程を同時に実施することが必要である。
【0070】
本発明の実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることができる。例えば重金属については、主にカドミウムで説明してきたが、鉛なども含まれる。また、溶出剤については、主に塩化カルシウム、EDTAにて説明してきたが、重金属とイオン交換できる陽イオンを含む溶出剤であるカルシウムやマグネシウムの塩、キレート剤であるクエン酸、フィチン酸、酢酸であっても良いと考えられる。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0071】
1 回収鉄粉
10 回収鉄粉用袋端
20 回収鉄粉用袋部
22 回収鉄粉用袋の透過孔
30 回収鉄粉用袋の壁
40 鉄粒子
図1
図5
図6
図7
図2
図3
図4