特許第5887680号(P5887680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5887680
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】電動クランプ装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/06 20060101AFI20160303BHJP
【FI】
   B23Q3/06 301P
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-15335(P2012-15335)
(22)【出願日】2012年1月27日
(65)【公開番号】特開2013-154421(P2013-154421A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2013年9月5日
【審判番号】不服2015-6912(P2015-6912/J1)
【審判請求日】2015年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【復代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(72)【発明者】
【氏名】福井 千明
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 則行
【合議体】
【審判長】 平岩 正一
【審判官】 西村 泰英
【審判官】 栗田 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】 実開平6−27032(JP,U)
【文献】 特開2001−105332(JP,A)
【文献】 特開2004−255559(JP,A)
【文献】 特開平10−306807(JP,A)
【文献】 実開昭63−103938(JP,U)
【文献】 特開2006−205331(JP,A)
【文献】 特開2009−72891(JP,A)
【文献】 特開2004−216515(JP,A)
【文献】 特開2004−141989(JP,A)
【文献】 特開2004−216514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動するクランプアームによってワークを把持する電動クランプ装置であって、
ボディと、
電気信号によって回転駆動する駆動部と、
前記駆動部の回転作用下に軸方向に変位することで回転運動を直線運動へと変換する変位体を有した駆動力変換機構と、
前記ボディに対して回動自在に設けられ、駆動力によって回動するクランプアームと、
前記クランプアームによるワークのクランプ時において、該クランプアームの回動動作を規制するロック機構と、
前記ボディの側方へ突出して前記クランプアームとの間で前記ワークを把持する把持部と、
前記変位体と前記クランプアームとの間に接続されるリンクアームと、
を備え、
前記ロック機構は、前記クランプアームに回動自在に設けられたサブローラと、前記変位体に設けられ、前記サブローラが当接し、前記変位体の変位方向に対して所定角度傾斜した傾斜部とからなり、前記クランプ時において、前記傾斜部が前記サブローラを前記クランプアーム側に向かって徐々に押圧するように傾斜して形成されると共に、前記クランプアームの端部には半球状に突出した突部を有し、前記突部が前記把持部と対峙するように設けられ
前記変位体にはローラが回転自在に設けられ、前記ローラは、前記変位体の軸方向と直交する方向に移動可能となるように前記変位体に支持されると共に、前記ボディに設けられたローラ溝に挿入され、前記リンクアームは前記変位体に対して前記ローラと共に支持されることを特徴とする電動クランプ装置。
【請求項2】
請求項1記載の電動クランプ装置において、
前記ボディには、前記変位体を軸方向に沿って案内するガイド機構を備えることを特徴とする電動クランプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動組立ライン等においてワークをクランプすることが可能な電動クランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車の自動組立ラインにおいて、成形されたボディパネルを重ね合わせ位置決めした状態でクランプ装置によってクランプを行い、前記ボディパネル同士を溶接する組立工程が行われている。
【0003】
本出願人は、特許文献1に開示されるような電動クランプ装置を提案している。この電動クランプ装置は、ボディと、前記ボディの内部に設けられた回転駆動部と、前記ボディに対して外部に突出したクランプアームとを備え、前記回転駆動部の回転駆動力がボールねじ機構へと伝達されることで、トグルリンク機構を介してクランプアームが所定角度だけ回動動作し、例えば、ワーク等をクランプする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−105332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記の提案に関連してなされたものであり、クランプアームの調整作業を行うことなく常に安定したクランプ力が得られると共に、厚さの異なる様々なワークを安定してクランプすることが可能な電動クランプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、本発明は、回動するクランプアームによってワークを把持する電動クランプ装置であって、
ボディと、
電気信号によって回転駆動する駆動部と、
前記駆動部の回転作用下に軸方向に変位することで回転運動を直線運動へと変換する変位体を有した駆動力変換機構と、
前記ボディに対して回動自在に設けられ、駆動力によって回動するクランプアームと、
前記クランプアームによるワークのクランプ時において、該クランプアームの回動動作を規制するロック機構と、
前記ボディの側方へ突出して前記クランプアームとの間で前記ワークを把持する把持部と、
前記変位体と前記クランプアームとの間に接続されるリンクアームと、
を備え、
前記ロック機構は、前記クランプアームに回動自在に設けられたサブローラと、前記変位体に設けられ、前記サブローラが当接し、前記変位体の変位方向に対して所定角度傾斜した傾斜部とからなり、前記クランプ時において、前記傾斜部が前記サブローラを前記クランプアーム側に向かって徐々に押圧するように傾斜して形成されると共に、前記クランプアームの端部には半球状に突出した突部を有し、前記突部が前記把持部と対峙するように設けられ
前記変位体にはローラが回転自在に設けられ、前記ローラは、前記変位体の軸方向と直交する方向に移動可能となるように前記変位体に支持されると共に、前記ボディに設けられたローラ溝に挿入され、前記リンクアームは前記変位体に対して前記ローラと共に支持されることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、駆動部の駆動作用下にクランプアームを回動させワークをクランプする電動クランプ装置において、前記クランプアームによるワークのクランプ時において、該クランプアームの回動動作を規制するロック機構を備える。そして、ロック機構が、クランプアームに回動自在に設けられたローラと、前記ローラが当接し、前記変位体の変位方向に対して所定角度傾斜した傾斜部とから構成される。
【0008】
従って、クランプアームによるワークのクランプ時において、傾斜部がローラを前記クランプアーム側に向かって押圧するように傾斜して形成されているため、トグル機構を設けることなく、前記クランプアームの回動動作を規制したロック状態とすることができると共に、単一の電動クランプ装置で、厚さの異なるワークをクランプする場合、板厚が変わる毎に調整作業を行う必要がなく、確実且つ安定的に前記ワークのクランプを行うことができる。
【0009】
また、ボディには、変位体を軸方向に沿って案内するガイド機構を備えるとよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0011】
すなわち、電動クランプ装置において、トグル機構を設けることなく、ワークのクランプ時においてクランプアームの回動動作を規制することができると共に、厚さの異なるワークをクランプする場合でも、該板厚が変わる毎に調整作業を行う必要がなく、確実且つ安定的に前記ワークのクランプを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る電動クランプ装置を示す全体断面図である。
図2図1の電動クランプ装置においてクランプアームがさらに回動したワークのクランプ状態を示す全体断面図である。
図3図2の電動クランプ装置において、板厚の大きなワークをクランプした状態を示す全体断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る電動クランプ装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0014】
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係る電動クランプ装置を示す。
【0015】
この電動クランプ装置10は、図1図3に示されるように、中空状のボディ12と、該ボディ12の内部に設けられた回転駆動部(駆動部)14と、前記回転駆動部14の回転駆動力をクランプアーム20へと伝達する駆動力伝達機構18と、前記ボディ12に対して回動自在に設けられるクランプアーム20とを備える。
【0016】
ボディ12は、例えば、鉛直方向(矢印A、B方向)に長尺な断面略長方形状に形成され、その上部には、側方に突出するように支持部22が設けられる。この支持部22は、ボディ12の側面に対して所定長さだけ水平方向に突出し、その先端には上方に向かって突出した把持部24が形成される。そして、図2に示されるように、クランプアーム20が回動したクランプ時において、該クランプアーム20と支持部22との間にワークWがクランプされる。
【0017】
また、ボディ12の略中央部には、鉛直方向(矢印A、B方向)に沿って延在するローラ溝26が形成され、後述する変位体28に設けられたローラ30が挿入され案内される。
【0018】
回転駆動部14は、例えば、インダクションモータ、ブラシレスモータ等の回転駆動源32からなり、電気信号が入力されることで回転駆動する。この回転駆動源32は、ボディ12の鉛直方向(矢印A、B方向)に沿って設けられ、その駆動軸34が下方(矢印A方向)となるように配置されている。
【0019】
駆動力伝達機構18は、ボディ12の略中央部に回転自在に設けられる送りねじ軸36と、回転駆動源32の駆動軸34に連結される駆動プーリ38と、前記送りねじ軸36の下端部に連結される従動プーリ40と、前記駆動プーリ38と従動プーリ40との間に懸架される伝達ベルト42と、前記送りねじ軸36の外周側に螺合される変位体28とを含む。
【0020】
送りねじ軸36は、所定長さを有した軸体からなり、ボディ12の内部において鉛直方向(矢印A、B方向)に延在するように配置され、その上端部及び下端部がボディ12に対して回転自在に支持される。また、送りねじ軸36の外周面には、ねじ溝が螺旋状に形成され、ボディ12の内部において回転駆動部14と並列に設けられる。
【0021】
駆動プーリ38及び従動プーリ40は、それぞれ円盤状に形成され、互いの外周面が向い合うように同一高さで設けられる(図1参照)。そして、駆動プーリ38及び従動プーリ40の外周面にそれぞれ伝達ベルト42が懸架され、回転駆動部14が駆動することにより、駆動プーリ38が回転し、その回転力が伝達ベルト42を介して従動プーリ40へと伝達され、該従動プーリ40及び送りねじ軸36が一体的に回転する。
【0022】
変位体28は、軸方向(矢印A、B方向)に沿って所定長さを有した円筒状に形成され、その内部に形成された雌ねじ44には送りねじ軸36が螺合される。すなわち、変位体28の内部に送りねじ軸36が挿入され螺合されている。そして、送りねじ軸36が回転することによって変位体28が軸方向(矢印A、B方向)に沿って移動する。
【0023】
また、変位体28の上部には、一対のローラ30が回転自在に設けられ、前記ローラ30がボディ12のローラ溝26に挿入されることで、前記変位体28が移動する際に鉛直方向(矢印A、B方向)に沿って案内され、且つ、回転変位が規制される。
【0024】
ローラ30は、変位体28の上部に形成されたリンク溝56を介して変位体28の軸方向(矢印A、B方向)に対して直交方向(矢印C方向)に所定距離だけ移動自在に設けられており、該ローラ30と共に変位体28に軸支されたリンクアーム50の一端部が変位体28の軸方向に対して直交方向に移動自在に設けられている。
【0025】
さらに、変位体28の上部には、クランプアーム20に臨む側面に、上端部に向かって徐々に先狭状となる傾斜部46が形成され、前記傾斜部46には、クランプアーム20がアンクランプ状態からクランプ状態へと回動する際に、該クランプアーム20のサブローラ52が当接する。
【0026】
変位体28の上部とクランプアーム20との間には、リンクアーム50が接続され、該リンクアーム50は、前記変位体28に対してローラ30と共に軸支されると共に、クランプアーム20のクランプ状態(図2参照)における上方角部に軸支される。そして、リンクアーム50は、送りねじ軸36の直線運動を変位体28を介してクランプアーム20の回動運動へと変換する。
【0027】
一方、変位体28の側部には、該変位体28の軸方向に沿って延在し、前記側部に対して突出したガイド体58が設けられ、前記変位体28が上方へと変位した際、ボディ12に設けられたガイドレール60に当接するように移動する。これにより、変位体28がガイドレール60に沿って鉛直方向(矢印A、B方向)に移動することとなる。すなわち、ガイド体58及びガイドレール60は、変位体28の軸方向への移動を案内するガイド手段として機能する。
【0028】
クランプアーム20は、例えば、断面略矩形状に形成され、その一端部の下方角部が支持ピン48を介してボディ12に対して回動自在に支持され、該下方角部の上部となる上方角部にリンクアーム50が軸支される。
【0029】
また、クランプアーム20の一端部には、下方角部と上方角部との間に、サブローラ52が回転自在に軸支され、該サブローラ52は、クランプアーム20の回動作用下に変位体28の傾斜部46に当接して回転する。
【0030】
一方、クランプアーム20の他端部には、半球状に突出した突部54を備え、前記突部54は、クランプ時において支持部22の把持部24と対峙するように設けられる。そして、クランプアーム20が所定角度だけ回動したクランプ状態において、突部54と支持部22との間にワークWがクランプされ挟持される。
【0031】
本発明の実施の形態に係る電動クランプ装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。なお、以下の説明においては、図1に示すアンクランプ状態を初期位置として説明する。この初期位置においては、クランプアーム20の突部54が、支持部22の把持部24に対して略直交するように位置し、リンクアーム50が変位体28と略一直線上に配置された状態にある。
【0032】
先ず、図1に示される電動クランプ装置10の初期位置において、図示しないコントローラから回転駆動部14の回転駆動源32に対して電気信号が入力されることにより、前記回転駆動源32の駆動軸34と共に駆動プーリ38が回転し、それに伴って、従動プーリ40が回転することで送りねじ軸36が回転する。この送りねじ軸36の回転により、変位体28がローラ溝26に対するローラ30のガイド作用下に上方(矢印B方向)へと移動し、それに伴って、リンクアーム50が前記変位体28に軸支された部位を支点として時計回りに回動し始め、クランプアーム20が支持ピン48を支点として時計回りに所定角度だけ回動する。
【0033】
これにより、図2に示されるように、クランプアーム20の突部54がワークWへと当接し、該ワークWがボディ12の支持部22と前記突部54との間に挟持されたクランプ状態となる。
【0034】
この際、クランプアーム20の回動に伴って、リンクアーム50を介してローラ30がリンク溝56に沿ってクランプアーム20に接近する方向へと移動すると共に、サブローラ52が変位体28の傾斜部46に当接して前記クランプアーム20が押圧されることで、該クランプアーム20の回動がロックされたロック状態となり、ワークWのクランプ状態が維持される。
【0035】
一方、図3に示されるように、上述したワークWに対して板厚の大きなワークW1をクランプする場合には、クランプアーム20の突部54がワークW1に当接することにより、該クランプアーム20の回動角度が、板厚の小さなワークWを把持した場合と比較して小さくなるため、それに伴って、リンクアーム50の回動角度が小さく、ローラ30がリンク溝56の略中央部に位置した状態でクランプがなされる。この場合も、クランプアーム20は、その一端部に設けられたサブローラ52が変位体28の傾斜部46に当接し、且つ、前記クランプアーム20の他端部側に向かって押圧されているため、該クランプアーム20の回動動作が規制されたロック状態となる。
【0036】
以上のように、本実施の形態では、回転駆動部14の駆動作用下にリンクアーム50によってクランプアーム20を回動させると共に、該クランプアーム20のサブローラ52が変位体28の傾斜部46に当接することによってクランプ時における回動動作を規制している。すなわち、クランプアーム20の回動動作をリンクアーム50によって行い、前記クランプアーム20の回動動作の規制をサブローラ52及び傾斜部46によって行っている。これにより、プレート状のワークW、W1を電動クランプ装置10でクランプする際、薄板から厚板まで板厚の異なるワークW、W1を、調整作業を行うことなく確実且つ安定的にクランプすることができる。
【0037】
なお、本発明に係る電動クランプ装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0038】
10…電動クランプ装置 12…ボディ
14…回転駆動部 18…駆動力伝達機構
20…クランプアーム 26…ローラ溝
28…変位体 30…ローラ
32…回転駆動源 36…送りねじ軸
46…傾斜部 50…リンクアーム
52…サブローラ 54…突部
56…リンク溝
図1
図2
図3