【実施例】
【0046】
本発明を実施例、比較例を挙げて更に詳しく説明する。しかし、本発明は係る実施例に限定して解釈されるものではない。なお、PPS以外のポリアリーレンスルフィドからなる繊維を用いた場合であっても本願明細書の記載を参考に積層や延伸温度などの条件を設定すれば、下記実施例等を応用して本発明の多孔性フィルムを得ることができる。
【0047】
各特性あるいは物性値の測定方法ならびに効果の評価方法は次のとおりである。
(1)透気抵抗(ガーレー透気抵抗)
JIS P 8117(1998)のB法に準拠して、23℃、65%RHにて測定した(単位:秒/100ml)。各実施例・比較例の多孔性フィルムについて同様の測定を、場所を変えて5回行い、得られたガーレー透気抵抗の平均値を当該サンプルのガーレー透気抵抗とした。この際、ガーレー透気抵抗の平均値が7,200秒/100mlを超えるものについては実質的に透気性を有さないものとみなし、無限大(∞)秒/100mlとした。
(2)繊度(繊維の平均太さ)
不織布表面の任意な10箇所を走査電子顕微鏡により倍率2000倍で10枚の画像撮影を行い、1枚の画像につき任意の15本の繊維の直径(但し、融着点を形成する繊維にまたがるようにその厚さが該融着点を形成する繊維の繊維径より薄い膜が形成され、ポリオレフィン系多孔性樹脂フィルムと多孔質膜との界面の幅方向の繊維径が厚み方向の繊維径の1.5倍以上である繊維が5〜40%含まれている部分は測定対象でない)を測定し、これを10枚の画像について同様に行い、合計150本の測定結果から平均繊維径(繊度)を測定した。
(3)界面の繊維径
多孔性フィルム断面の任意な10箇所を走査電子顕微鏡により倍率2000倍で10枚の画像撮影を行い、1枚の画像につき多孔性樹脂フィルムと多孔質膜の界面の多孔質膜の任意の15本の繊維の厚み方向と幅方向の直径を測定し、これを10枚の画像について同様に行い、各データの平均としてもとめた。
(4)目付量(g/m
2)、厚み
不織布あるいは多孔膜の目付量は、試料サンプルを5cm×5cmの大きさに切りだし、その重さを測定して1m
2当たりの重量に換算して表した。
【0048】
また、不織布、多孔膜あるいは多孔性フィルムの厚みは、試料サンプルを23℃65%RHの雰囲気下で ダイアルゲージ(三豊製作所製No2109−10)に10mmφ平型の標準測定子を取り付け、0.06kg/cm
2となるように荷重を加えて測定した。
【0049】
多孔膜を測定する場合は、幅15mmのセロハンテープ“ニチバン製15mm幅CT−15”を15cmの長さに切って、5cm折り返し長さ10cmとする。接着面の露出している部分の5cmを評価するフィルムの多孔膜に貼り付け、セロハンテープの幅と長さに合わせて切る。その後勢いよくテープをはがし,テープはく離することにより、多孔膜を得ることができる。
(5)耐熱性試験
試料フィルムを幅方向110mm×長手方向30mmの長方形に切り取り、テスター産業(株)製ヒートシールテスターを用いて、加熱温度200℃、加熱時間10秒間、荷重0.1MPaの条件で幅方向110mm×長手方向10mmの面積を加熱した。
【0050】
上記処理を行ったフィルムを以下の基準で評価した。
【0051】
○:フィルムの形状を保っている。目視にて孔の形成なし
×:フィルムの平面性が悪い。溶融による孔の形成あり
(6)熱収縮率
試料フィルムを幅方向110mm×長手方向110mmの正方形に切り取り、サンプルに100mmの間隔で標線を描き、140℃に加熱した熱風オーブン内に1時間設置し加熱処理を行った。熱処理後、空冷し、標線間距離を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から熱収縮率を算出し、寸法安定性の指標とした。測定は各フィルムとも長手方向および幅方向に3サンプル実施して平均値で評価を行った。
(7)融着点の薄い膜の有無
多孔質膜5cm×5cmを実体顕微鏡若しくは電子顕微鏡を用いて多孔質膜表面を観察し、融着点を形成する繊維にまたがるようにその厚さが該融着点を形成する繊維の繊維径より薄い膜、すなわち融着点の薄い膜の有無を確認し、下記のとおりで評価した。
○:1つ以上の融着点の薄い膜が認められる
×:融着点の薄い膜が形成されていない。
(8)多孔性樹脂フィルムと多孔質膜との接着性
幅15mmのセロハンテープ“ニチバン製15mm幅CT−15”を15cmの長さに切って、5cm折り返し長さ10cmとする。接着面の露出している部分の5cmを評価するフィルムの多孔膜に貼り付け、セロハンテープの幅と長さに合わせて切る。その後勢いよくテープをはがし、テープはく離時の破壊モードで多孔膜と多孔性樹脂フィルムの接着性を評価した。セロハンテープの貼り方は、JIS K 5600−5−6(1999)に準じて行った。
【0052】
A:多孔性樹脂フィルム内もしくは多孔膜内での材料破壊であった。
【0053】
B:大部分は多孔性樹脂フィルム内もしくは多孔膜内での材料破壊であるが一部多孔性樹脂フィルムと多孔膜の界面剥離であった。
【0054】
×:多孔性樹脂フィルムと多孔膜の界面剥離であった。
【0055】
A、Bは、多孔性樹脂フィルムと多孔膜との接着強度が、多孔性樹脂フィルムおよび多孔質膜の材料破壊強度以上とした。
(9)電池特性
宝泉(株)製のリチウムコバルト酸化物(LiCoO
2)厚みが40μmの正極を使用し、直径15.9mmの円形に打ち抜き、また、宝泉(株)製の厚みが50μmの黒鉛負極を使用し、直径16.2mmの円形に打ち抜き、次に、各実施例・比較例の多孔性フィルムを直径24.0mmに打ち抜いた。下から負極、セパレータ、正極の順に重ね、蓋付ステンレス金属製小容器に収納した。容器と蓋とは絶縁され、容器は負極の銅箔と、蓋は正極のアルミ箔と接している。この容器内に有機溶媒としてエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを質量比で3:7の割合にて混合したものを用い、これに指示塩としてLiPF
6 1.0mol/Lを溶解させた電解液を注入して密閉して、電解液注液後1時間エージングし、各実施例・比較例につき、電池を作製した。
各実施例・比較例につき、電池を作製した。
【0056】
作製した各二次電池について、25℃の雰囲気下、充電を1mAで4.2Vまで3時間、放電を3mAで2.7Vまでとする充放電操作を行い、放電容量Aを調べた。さらに、充電を1mAで4.2Vまで3時間行い、放電を30mAで2.7Vまでとする充放電操作を行い、放電容量Bを調べた。
[(放電容量B)/(放電容量A)]×100の計算式で得られる値を以下の基準で評価した。なお、試験個数は20個測定し、その平均値で評価した。
【0057】
○:85%以上
△:80%以上85%未満
×:80%未満、または、個々の電池において20%未満となる電池が1個以上
以下に実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。もちろん、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
【0058】
実施例1
ポリアリーレンスルフィド繊維とポリオレフィン繊維からなる不織布(未延伸)の製造方法。
【0059】
2台の押出機と口金幅1cmあたり7本のオリフィスと0.3mm幅もガス噴射スリット間隙を有するメルトブロー噴射装置を備える装置において、一つの押出機に回転型真空乾燥機で180℃3時間真空乾燥したポリアリーレンスルフィドペレットを供給し、もう片方の押出機にポリプロピレンペレットである住友化学(株)製FS3611を供給し、310℃の押出機温度で溶融し、口金温度315℃でオリフィスより押し出し、ガス噴射スリットに330℃の加熱空気を噴出し牽引することで表2に記載の繊維径の繊維をメルトブロー噴出装置から14cm離して配した多孔性ベルト上に捕集してポリアリーレンスルフィド繊維とポリオレフィン繊維の比率が70:30、繊度が6μm、厚み100μm、目付量100g/m
2の混繊不織布を得た。
【0060】
多孔性樹脂フィルムの未延伸フィルムの製造方法
下記の組成を二軸押出機でコンパウンドして、樹脂Aのチップを準備した。
【0061】
<ポリプロピレン樹脂A>
住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4(以下、PP−1と表記)を99.75質量部、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、Nu−100、以下、単にβ晶核剤と表記)を0.25質量部に、さらに酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.15、0.1質量部(以下、単に酸防剤と表記し、特に記載のない限り3:2の質量比で使用)で、二軸押出機でコンパウンドした。
【0062】
ポリプロピレン樹脂Aのチップを単軸押出機に供給し、228℃で溶融押出を行い、25μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、Tダイにて120℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出し、フィルムの非ドラム面側からエアーナイフを用いてエアを吹き付けて密着させながら、ドラムに15秒間接するようにキャストして、シート状に成形し、多孔性樹脂フィルムの未延伸フィルムを得た。
【0063】
上記で得られた不織布(未延伸)の先端部分にスプレー糊を吹きつけ、縦延伸の入口で多孔性樹脂フィルムの未延伸フィルムと軽く密着させて、150℃に加熱した予熱ロール群に導き、次いで、150℃に加熱したゴムロールとセラミック材質のロールで圧着し、120℃に加熱したロール間で周速差を利用し、116℃で縦方向に5倍延伸後、120℃で1秒保持し、80℃に冷却した。一旦冷却後、両端をクリップで把持しつつテンターに導入して150℃で予熱し、155℃で横方向に6倍に延伸した。次いで、テンター内で横方向に14%の弛緩を与えつつ、161℃で熱固定をし、100℃で徐冷した後、室温まで冷却して、エッジをスリット後、巻き取り、得られた多孔性フィルムの厚みは25μmであった。
【0064】
得られたフィルムの接着性、透気抵抗、電池特性、耐熱性を測定した。結果を表2に示した。
【0065】
得られたフィルムは、優れた接着性、透気抵抗、電池特性を両立し、さらに耐熱性を有するものであった。
【0066】
実施例2
ポリアリーレンスルフィド繊維とポリオレフィン繊維からなる不織布(未延伸)の厚みを200μmとした以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた多孔性フィルムの厚みは25μmであった。
【0067】
得られたフィルムの接着性、透気抵抗、電池特性、耐熱性を測定した。結果を表2に示した。
【0068】
得られたフィルムは、優れた接着性、透気抵抗、電池特性を両立し、さらに耐熱性を有するものであった。
【0069】
実施例3
ポリアリーレンスルフィド繊維とポリオレフィン繊維からなる不織布(未延伸)の目付を50g/m
2とした以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた多孔性フィルムの厚みは25μmであった。
【0070】
得られたフィルムの接着性、透気抵抗、電池特性、耐熱性を測定した。結果を表2に示した。
【0071】
得られたフィルムは、優れた接着性、透気抵抗、電池特性を両立し、さらに耐熱性を有するものであった。
【0072】
実施例4
ポリアリーレンスルフィド繊維とポリオレフィン繊維からなる不織布(未延伸)の目付を200g/m
2とした以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた多孔性フィルムの厚みは25μmであった。
【0073】
得られたフィルムの接着性、透気抵抗、電池特性、耐熱性を測定した。結果を表2に示した。
【0074】
得られたフィルムは、優れた接着性、透気抵抗、電池特性を両立し、さらに耐熱性を有するものであった。
【0075】
実施例5
ポリアリーレンスルフィド繊維とポリオレフィン繊維からなる不織布(未延伸)の繊度を50μmとした以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた多孔性フィルムの厚みは25μmであった。
【0076】
得られたフィルムの接着性、透気抵抗、電池特性、耐熱性を測定した。結果を表2に示した。
【0077】
得られたフィルムは、優れた接着性、透気抵抗、電池特性を両立し、さらに耐熱性を有するものであった。
【0078】
実施例6
実施例1で得られた不織布(未延伸)の先端部分にスプレー糊を吹きつけ、縦延伸の入口で実施例1で得られた多孔性樹脂フィルムの未延伸フィルムと軽く密着させて、3000Wに設定したラジエーションヒーターで加熱し、次いで、150℃に加熱したゴムロールとセラミック材質のロールで圧着した以外は実施例1と同様の操作を行った。
【0079】
得られたフィルムの接着性、透気抵抗、電池特性、耐熱性を測定した。結果を表2に示した。
【0080】
得られたフィルムは、優れた接着性、透気抵抗、電池特性を両立し、さらに耐熱性を有するものであった。
【0081】
実施例7
ポリプロピレン樹脂Aのチップを単軸押出機に供給し、228℃で溶融押出を行い、25μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、Tダイにて120℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出し、シート化する際に、実施例1で得られた不織布(未延伸)をフィルムの非ドラム面側からフィルムの非ドラム面側からエアーナイフを用いて120℃の高温加熱したエアを吹き付けて密着させながら、ドラムに15秒間接するようにキャストして、シート状に成形し、多孔性フィルムの未延伸フィルムを得た以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた多孔性フィルムの厚みは25μmであった。
【0082】
得られたフィルムの接着性、透気抵抗、電池特性、耐熱性を測定した。結果を表2に示した。
【0083】
得られたフィルムは、優れた接着性、透気抵抗、電池特性を両立し、さらに耐熱性を有するものであった。
【0084】
実施例8
実施例1で得られた不織布(未延伸)の先端部分にスプレー糊を吹きつけ、縦延伸の入口で実施例1で得られた多孔性樹脂フィルムの未延伸フィルムと軽く密着させて、150℃に加熱したゴムロールとセラミック材質のロールで圧着した以外は実施例1と同様の操作を行った。
【0085】
得られたフィルムの接着性、透気抵抗、電池特性、耐熱性を測定した。結果を表2に示した。
【0086】
得られたフィルムは、優れた接着性、透気抵抗、電池特性を両立し、さらに耐熱性を有するものであった。
【0087】
実施例9
ポリアリーレンスルフィド繊維とポリオレフィン繊維の比率を50:50とした以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた多孔性フィルムの厚みは25μmであった。
【0088】
得られたフィルムの接着性、透気抵抗、電池特性、耐熱性を測定した。結果を表2に示した。
【0089】
得られたフィルムは、優れた接着性、透気抵抗、電池特性を両立し、さらに耐熱性を有するものであった。
【0090】
実施例10
ポリアリーレンスルフィド繊維とポリオレフィン繊維の比率を35:65とした以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた多孔性フィルムの厚みは25μmであった。
【0091】
得られたフィルムの接着性、透気抵抗、電池特性、耐熱性を測定した。結果を表2に示した。
【0092】
得られたフィルムは、優れた接着性、透気抵抗、電池特性を両立し、さらに耐熱性を有するものであった。
【0093】
実施例11
ポリアリーレンスルフィド繊維とポリオレフィン繊維からなる不織布(未延伸)の製造方法。
【0094】
2台の押出機と口金幅1cmあたり7本のオリフィスと0.3mm幅もガス噴射スリット間隙を有するメルトブロー噴射装置を備える装置において、一つの押出機に回転型真空乾燥機で180℃3時間真空乾燥したポリアリーレンスルフィドペレットを供給し、もう片方の押出機に重量平均分子量が35万の高密度ポリエチレン(HDPE)を供給し、310℃の押出機温度で溶融し、口金温度315℃でオリフィスより押し出し、ガス噴射スリットに330℃の加熱空気を噴出し牽引することで表2に記載の繊維径の繊維をメルトブロー噴出装置から14cm離して配した多孔性ベルト上に捕集してポリアリーレンスルフィド繊維とポリオレフィン繊維の比率が70:30、厚み100μm、目付量100g/m2の混繊不織布を得た以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた多孔性フィルムの厚みは25μmであった。
【0095】
得られたフィルムの接着性、透気抵抗、電池特性、耐熱性を測定した。結果を表2に示した。
【0096】
得られたフィルムは、優れた接着性、透気抵抗、電池特性を両立し、さらに耐熱性を有するものであった。
【0097】
実施例12
多孔性樹脂フィルムの未延伸フィルムの製造方法
特開2002−273787の実施例1に従って作製した。ポリエチレン樹脂(重量平均分子量25万、分子量分布7、密度0.956、結晶融点135℃)、及び樹脂に対して0.3重量%の2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールをヘンシェルミキサーを用いてドライブレンドし、35mm二軸押出機に投入した。さらに、組成物の比率が、ポリエチレン樹脂40重量%に対して流動パラフィン(37.8℃における動粘度75.9cSt)60重量%となるように、押出機に流動パラフィンを注入して200℃で溶融混練した。混練物を、コートハンガーダイを経て表面温度40℃に制御された冷却ロール上に押出キャストすることにより、厚さ200μmのシート状の成形体を得た。成形体を2−ブタノン中に浸漬して流動パラフィンを抽出除去した後に、付着した2−ブタノンを乾燥除去し、多孔質成形体を得た。
実施例1で得られた不織布(未延伸)の先端部分にスプレー糊を吹きつけ、縦延伸の入口で上記記載の多孔性樹脂フィルムの未延伸フィルムと軽く密着させて、100℃に加熱した予熱ロール群に導き、次いで、100℃に加熱したゴムロールとセラミック材質のロールで圧着し、110℃で縦方向に3倍延伸後、両端をクリップで把持しつつテンターに導入して、110℃で横方向に3倍に延伸した。得られた多孔性フィルムの厚みは50μmであった。
【0098】
得られたフィルムの接着性、透気抵抗、電池特性、耐熱性を測定した。結果を表2に示した。
【0099】
得られたフィルムは、優れた接着性、透気抵抗、電池特性を両立し、さらに耐熱性を有するものであった。
【0100】
比較例1
実施例1で得られた多孔性樹脂フィルムの未延伸フィルムを120℃に加熱したロール間で周速差を利用し、116℃で縦方向に5倍延伸後、120℃で1秒保持し、80℃に冷却した。一旦冷却後、両端をクリップで把持しつつテンターに導入して150℃で予熱し、155℃で横方向に6倍に延伸した。次いで、テンター内で横方向に14%の弛緩を与えつつ、161℃で熱固定をし、100℃で徐冷した後、室温まで冷却して、エッジをスリット後、巻き取り、得られた多孔性フィルムの厚みは25μmであった。
【0101】
得られたフィルムの接着性、透気抵抗、電池特性、耐熱性を測定した。結果を表2に示した。
【0102】
得られたフィルムは、優れた接着性、透気抵抗、電池特性を有するものの、耐熱性が不十分であった。
【0103】
比較例2
実施例1で得られた不職布を厚みが25μmになるように熱プレスした。得られた多孔性フィルムの厚みは25μmであった。
【0104】
得られたフィルムの接着性、透気抵抗、電池特性、耐熱性を測定した。結果を表2に示した。
【0105】
得られたフィルムは、優れた接着性、透気抵抗、耐熱性を有するものの、保存特性が不十分であった。
【0106】
比較例3
ポリアリーレンスルフィド繊維からなる不織布(未延伸)の製造方法。
【0107】
押出機と口金幅1cmあたり7本のオリフィスと0.3mm幅もガス噴射スリット間隙を有するメルトブロー噴射装置を備える装置において、押出機に回転型真空乾燥機で180℃3時間真空乾燥したポリアリーレンスルフィドペレットを供給し、310℃の押出機温度で溶融し、口金温度315℃でオリフィスより押し出し、ガス噴射スリットに330℃の加熱空気を噴出し牽引することで表2に記載の繊維径の繊維をメルトブロー噴出装置から14cm離して配した多孔性ベルト上に捕集して厚み100μm、目付量100g/m2の不織布を得た以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた多孔性フィルムの厚みは25μmであった。
【0108】
得られたフィルムの接着性、透気抵抗、電池特性、耐熱性を測定した。結果を表2に示した。
【0109】
得られたフィルムは、優れた透気抵抗、電池特性、耐熱性を有するものの、接着性が不十分であった。
【0110】
比較例4
ポリオレフィン繊維からなる不織布(未延伸)の製造方法
押出機と口金幅1cmあたり7本のオリフィスと0.3mm幅もガス噴射スリット間隙を有するメルトブロー噴射装置を備える装置において、押出機に回転型真空乾燥機でポリプロピレンペレットを供給し、310℃の押出機温度で溶融し、口金温度315℃でオリフィスより押し出し、ガス噴射スリットに330℃の加熱空気を噴出し牽引することで表2に記載の繊維径の繊維をメルトブロー噴出装置から14cm離して配した多孔性ベルト上に捕集して厚み100μm、目付量100g/m2の不織布を得た以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた多孔性フィルムの厚みは25μmであった。
【0111】
得られたフィルムの接着性、透気抵抗、電池特性、耐熱性を測定した。結果を表2に示した。
【0112】
得られたフィルムは、優れた透気抵抗、電池特性、接着性を有するものの、耐熱性が不十分であった。
【0113】
比較例5
実施例1で得られた多孔性樹脂フィルムの未延伸フィルムを120℃に加熱したロール間で周速差を利用し、116℃で縦方向に5倍延伸後、120℃で1秒保持し、80℃に冷却した。一旦冷却後、両端をクリップで把持しつつテンターに導入して150℃で予熱し、155℃で横方向に6倍に延伸した。次いで、テンター内で横方向に14%の弛緩を与えつつ、161℃で熱固定をし、100℃で徐冷した後、室温まで冷却して、エッジをスリット後、巻き取った。さらに、比較例2で得られた不職布と150℃で熱圧着することにより得られた多孔性フィルムの厚みは25μmであった。
【0114】
得られたフィルムの接着性、透気抵抗、電池特性、耐熱性を測定した。結果を表2に示した。
【0115】
得られたフィルムは、優れた接着性、耐熱性を有するものの、透気抵抗、電池特性が不十分であった。
【0116】
比較例6
実施例1で得られた不職布を120℃に加熱したロール間で周速差を利用し、116℃で縦方向に5倍延伸後、120℃で1秒保持し、80℃に冷却した。一旦冷却後、両端をクリップで把持しつつテンターに導入して150℃で予熱し、155℃で横方向に6倍に延伸すると、縦方向の延伸では破膜しなかったが、横方向の延伸で破膜が多発し製品としては得られなかった。
【0117】
【表1】
【0118】
【表2】