【実施例】
【0053】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。なお諸特性は以下の方法により測定、評価した。
【0054】
1.MOR−c値、配向角
KSシステムズ(株)製(現王子計測機器(株))のMOA−2001(周波数4GHz)を用い、MOR値を測定し、下記式(1)によりMOR−c値を求めた。
【0055】
MOR−c値=(MOR値−1)×tc/t +1 ……(1)
ここで、tは試料の厚み(μm)、tcは補正したい基準の厚さ(188μm)、MORは上述の測定により得られた極座標(配向パターン)の長軸と短軸の比、MOR−c値は補正後のMORちを示す。また、極座標の長軸の直交座標系における傾きを配向角とする。
【0056】
2.配向角の直交方向への150℃でのF100値、配向角方向へのF100値
MOR値の測定によって得られた配向角とその配向角と直交する方向にそれぞれ幅10mmにサンプルを切り出した。引張試験機(オリエンテック社製テンシロンUCT−100)を用いて、切り出したサンプルをチャック間長さ50mm(初期試料長)となるようにセットし、温度150℃、湿度65%RHの条件に設定した恒温層中で60秒間の予熱後、引張速度300mm/分で引張試験を行い、100%伸張時の応力をそれぞれF100値とした。それぞれ測定数(以下、Nとする)は、N=5で行った。
【0057】
3.熱寸法変化率(180℃)
フィルムを配向角方向に長さ50mm×幅4mmの矩形に切り出しサンプルとした。熱機械分析装置(セイコ−インスツルメンツ製、TMA EXSTAR6000)を使用して、下記の条件下で保持した際のフィルム長の寸法変化率をN=2で求めた。
試長:15mm
荷重:19.6mN
温度:25℃〜220℃(5℃/分)
熱寸法変化率(%)=[{180℃でのフィルム長(mm)−25℃でのフィルム長(mm)}/25℃でのフィルム長(mm)]×100。
【0058】
4.厚みムラ
フィルムを10cm×10cmに切り出し、長手方向に5点、幅方向に5点、のべ10点の厚みを測定し、その平均値、最大値、最小値から厚みムラを求めた。
【0059】
5.耐薬品テスト
フィルムを水平台上に置き、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンをそれぞれ1滴ずつ滴下し、10秒後に拭き取った。
【0060】
○:まったく痕が残らない
△:拭き取った際の痕(キズ)が残る
×:滴下した痕が残る
3種の薬品で評価し、最も悪かった結果について、△以上を合格とした。
【0061】
6.印刷加工テスト
フィルムを300mm×210mmに切り出し、枚葉印刷機にて格子パターンを印刷した。
【0062】
○:問題なく印刷できた
△:格子パターンがやや歪んでいた
×:シワが入ったり、格子パターンがずれたりした。
【0063】
7.成型テスト
印刷したサンプルを両面真空成型機NGF−0406(布施真空(株)製)を用いて成型テストを行った。成型条件は、150℃〜190℃の間で各フィルムに最適な条件とし、金型は(A)〜(D)のいずれかのものを用いた。
【0064】
(A)60mm×150mm×30mmのカマボコ型(半円柱型)
(B)(A)の金型の下から10mmを粘土に埋め、高さ20mmとした金型
(C)(A)の金型の下から20mmを粘土に埋め、高さ10mmとした金型
(D)60mm×150mm×10mmの箱型。
【0065】
(1)成型性
○:成型できた
△:エッジがやや甘いが、成型できている
×:十分に成型できなかった
△以上を合格とした。
【0066】
(2)寸法安定性
○:格子パターンに異常はなかった
△:格子パターンがやや歪んでいた
×:格子パターンが大きく歪む、または断裂していた
△以上を合格とした。
【0067】
(ポリエステルチップα)
テレフタル酸ジメチル100質量部、およびエチレングリコール70質量部の混合物に、0.09質量部の酢酸マグネシウムと0.03質量部の三酸化アンチモンとを添加して、徐々に昇温し、最終的には220℃でメタノールを留出させながらエステル交換反応を行った。ついで、該エステル交換反応生成物に、0.020質量部のリン酸85質量%水溶液を添加した後、重縮合反応釜に移行した。重合釜内で加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1hPaの減圧下、290℃で重縮合反応を行い、固有粘度0.65,副生したジエチレングリコール成分が、樹脂中のグリコール成分に対して、2モル%共重合されたポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。
【0068】
(ポリエステルチップβ)
1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が、ポリエチレンテレフタレートのグリコール成分に対して、33モル%共重合された共重合ポリエステルを使用した。
【0069】
(ポリエステルチップγ)
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール成分が、ポリエチレンテレフタレートのグリコール成分に対して、33モル%共重合された共重合ポリエステルを使用した。
【0070】
(ポリエステルチップδ)
ポリブチレンテレフタレート樹脂(東レ(株)製“トレコン”、1100S)チップを使用した。
【0071】
(粒子マスターM)
上記ポリエステルチップαを製造する際、エステル交換反応後に平均粒子径2.2μmの凝集シリカ粒子のエチレングリコールスラリーを添加してから重縮合反応を行い、ポリマー中の粒子濃度2質量%の粒子マスターを作製した。
【0072】
実施例1、2、3、4、6は、それぞれ比較例5、6、7、8、9と読み替える。
(実施例1)
B層/A層/B層の3層積層フィルムとした。
ポリエステルチップα、ポリエステルチップβと粒子マスターMを真空乾燥機にてそれぞれ180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、A層はポリエステルチップα:ポリエステルチップβ=70:30の質量比になるように、B層はポリエステルチップα:ポリエステルチップβ:粒子マスターM=89:10:1の質量比でブレンドしてそれぞれ別の単軸押出機に供給し、275℃で溶融し、別々の経路でフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にてB層/A層/B層の厚み比が1/8/1になるように積層した後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、予熱温度を90℃、延伸温度を95℃で長手方向に3.3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。その後、コロナ放電処理を施し、水分散アクリル樹脂を主成分とする易接着層をメタリングバーにより塗布した。次いでテンター式横延伸機にて予熱温度80℃、延伸温度90℃で幅方向に3.7倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度230℃で5秒間の熱処理を行い、成型用ポリエステルフィルムを得た。枚葉印刷機で印刷した成型用ポリエステルフィルムを金型(B)で成型した。問題なく成型できた。
【0073】
(比較例1)
B層/A層/B層の3層積層フィルムとした。
ポリエステルチップα、ポリエステルチップβと粒子マスターMを真空乾燥機にてそれぞれ180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、A層はポリエステルチップα:ポリエステルチップβ=70:30の質量比になるように、B層はポリエステルチップα:ポリエステルチップβ:粒子マスターM=89:10:1の質量比でブレンドしてそれぞれ別の単軸押出機に供給し、275℃で溶融し、別々の経路でフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にてB層/A層/B層の厚み比が1/8/1になるように積層した後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、予熱温度を75℃、延伸温度を80℃で長手方向に3.4倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。
その後、コロナ放電処理を施し、水分散アクリル樹脂を主成分とする易接着層をメタリングバーにより塗布した。
次いでテンター式横延伸機にて予熱温度80℃、延伸温度90℃で幅方向に3.4倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度230℃で5秒間の熱処理を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
枚葉印刷機で印刷した二軸配向ポリエステルフィルムを金型(B)で成型した。
側面の成型が不十分であり、フィルムの方向を変えても改善せず不可となった。
【0074】
(実施例2)
B層/A層/B層の3層積層フィルムとした。
ポリエステルチップα、ポリエステルチップγと粒子マスターMを真空乾燥機にてそれぞれ180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、A層はポリエステルチップα:ポリエステルチップγ=80:20の質量比になるように、B層はポリエステルチップα:ポリエステルチップγ:粒子マスターM=94:5:1の質量比でブレンドしてそれぞれ別の単軸押出機に供給し、275℃で溶融し、別々の経路でフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にてB層/A層/B層の厚み比が1/8/1になるように積層した後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、予熱温度を80℃、延伸温度を85℃で長手方向に3.0倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。
その後、コロナ放電処理を施し、水分散アクリル樹脂を主成分とする易接着層をメタリングバーにより塗布した。
次いでテンター式横延伸機にて予熱温度80℃、延伸温度90℃で幅方向に3.7倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度230℃で5秒間の熱処理を行い、成型用ポリエステルフィルムを得た。
枚葉印刷機で印刷した成型用ポリエステルフィルムを金型(C)で成型した。
問題なく成型できた。
【0075】
(比較例2)
B層/A層/B層の3層積層フィルムとした。
ポリエステルチップα、ポリエステルチップγと粒子マスターMを真空乾燥機にてそれぞれ180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、A層はポリエステルチップα:ポリエステルチップγ=80:20の質量比になるように、B層はポリエステルチップα:ポリエステルチップγ:粒子マスターM=94:5:1の質量比でブレンドしてそれぞれ別の単軸押出機に供給し、275℃で溶融し、別々の経路でフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にてB層/A層/B層の厚み比が1/8/1になるように積層した後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、予熱温度を75℃、延伸温度を80℃で長手方向に2.5倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。
その後、コロナ放電処理を施し、水分散アクリル樹脂を主成分とする易接着層をメタリングバーにより塗布した。
次いでテンター式横延伸機にて予熱温度80℃、延伸温度90℃で幅方向に4.5倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度230℃で5秒間の熱処理を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
枚葉印刷機で印刷した二軸配向ポリエステルフィルムを金型(C)で成型した。
印刷時シワが入り、成型後の歪みが大きく不可となった。
【0076】
(実施例3)
B層/A層/B層の3層積層フィルムとした。
ポリエステルチップα、ポリエステルチップδと粒子マスターMを真空乾燥機にてそれぞれ180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、A層はポリエステルチップα:ポリエステルチップδ=70:30の質量比になるように、B層はポリエステルチップα:ポリエステルチップδ:粒子マスターM=94:5:1の質量比でブレンドしてそれぞれ別の単軸押出機に供給し、275℃で溶融し、別々の経路でフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にてB層/A層/B層の厚み比が1/8/1になるように積層した後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、予熱温度を80℃、延伸温度を85℃で長手方向に3.3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。
その後、コロナ放電処理を施し、水分散アクリル樹脂を主成分とする易接着層をメタリングバーにより塗布した。
次いでテンター式横延伸機にて予熱温度80℃、延伸温度90℃で幅方向に3.5倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度230℃で5秒間の熱処理を行い、成型用ポリエステルフィルムを得た。
枚葉印刷機で印刷した成型用ポリエステルフィルムを金型(B)で成型した。
問題なく成型できた。耐薬品テストも問題なかった。
【0077】
(比較例3)
B層/A層/B層の3層積層フィルムとした。
ポリエステルチップα、ポリエステルチップδと粒子マスターMを真空乾燥機にてそれぞれ180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、A層はポリエステルチップα:ポリエステルチップδ=70:30の質量比になるように、B層はポリエステルチップα:ポリエステルチップδ:粒子マスターM=94:5:1の質量比でブレンドしてそれぞれ別の単軸押出機に供給し、275℃で溶融し、別々の経路でフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にてB層/A層/B層の厚み比が1/8/1になるように積層した後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
枚葉印刷機で印刷した成型用ポリエステルフィルム未延伸フィルムを金型(B)で成型した。
成型は問題なかったが、耐薬品テストではトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンで滴下した痕が残った。
【0078】
(実施例4)
単層構成のフィルムとした。
ポリエステルチップα、ポリエステルチップβと粒子マスターMを真空乾燥機にてそれぞれ180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、ポリエステルチップα:ポリエステルチップβ:粒子マスターM=79:20:1の質量比でブレンドして単軸押出機に供給し、275℃で溶融し、フィルターを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、予熱温度を80℃、延伸温度を90℃で長手方向に3.3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。
その後、コロナ放電処理を施し、水分散アクリル樹脂を主成分とする易接着層をメタリングバーにより塗布した。
次いでテンター式横延伸機にて予熱温度80℃、延伸温度90℃で幅方向に3.5倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度230℃で5秒間の熱処理を行い、成型用ポリエステルフィルムを得た。
枚葉印刷機で印刷した成型用ポリエステルフィルムを金型(D)で成型した。
問題なく成型できた。
【0079】
(比較例4)
単層構成のフィルムとした。
ポリエステルチップαと粒子マスターMを真空乾燥機にてそれぞれ180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、ポリエステルチップα:粒子マスターM=99:1の質量比でブレンドして単軸押出機に供給し、275℃で溶融し、フィルターを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、予熱温度を100℃、延伸温度を110℃で長手方向に3.3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。
次いでテンター式横延伸機にて予熱温度90℃、延伸温度100℃で幅方向に3.5倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度230℃で5秒間の熱処理を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
枚葉印刷機で印刷した二軸配向ポリエステルフィルムを金型(D)で成型した。
十分に成型ができなかった。
【0080】
(実施例5)
B層/A層/B層の3層積層フィルムとした。
ポリエステルチップα、ポリエステルチップβと粒子マスターMを真空乾燥機にてそれぞれ180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、A層はポリエステルチップα:ポリエステルチップβ=60:40の質量比になるように、B層はポリエステルチップα:ポリエステルチップβ:粒子マスターM=89:10:1の質量比でブレンドしてそれぞれ別の単軸押出機に供給し、275℃で溶融し、別々の経路でフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にてB層/A層/B層の厚み比が1/8/1になるように積層した後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、予熱温度を85℃、延伸温度を95℃で長手方向に3.3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。
その後、コロナ放電処理を施し、水分散アクリル樹脂を主成分とする易接着層をメタリングバーにより塗布した。
次いでテンター式横延伸機にて予熱温度80℃、延伸温度90℃で幅方向に3.5倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度230℃で5秒間の熱処理を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
この二軸配向ポリエステルフィルムを、150℃の熱風オーブン中で長手方向の巻き取り速度を巻きだし速度より1.5%低下させながらオフアニール処理を行い、成型用ポリエステルフィルムを得た。
枚葉印刷機で印刷した成型用ポリエステルフィルムを金型(A)で成型した。
問題なく成型でき、成型後の格子パターンも歪みはなかった。
【0081】
(実施例6)
B層/A層/B層の3層積層フィルムとした。
ポリエステルチップα、ポリエステルチップβと粒子マスターMを真空乾燥機にてそれぞれ180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、A層はポリエステルチップα:ポリエステルチップβ=60:40の質量比になるように、B層はポリエステルチップα:ポリエステルチップβ:粒子マスターM=89:10:1の質量比でブレンドしてそれぞれ別の単軸押出機に供給し、275℃で溶融し、別々の経路でフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にてB層/A層/B層の厚み比が1/8/1になるように積層した後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、予熱温度を85℃、延伸温度を95℃で長手方向に3.3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。
その後、コロナ放電処理を施し、水分散アクリル樹脂を主成分とする易接着層をメタリングバーにより塗布した。
次いでテンター式横延伸機にて予熱温度80℃、延伸温度90℃で幅方向に3.5倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度230℃で5秒間の熱処理を行い、成型用ポリエステルフィルムを得た。
枚葉印刷機で印刷した成型用ポリエステルフィルムを金型(A)で成型した。
エッジがやや甘いものの成型でき、成型後の格子パターンはやや歪んでいたが問題なかった。
【0082】
【表1】