(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図11に示すように、3部屋に配置されたマルチ型でない一般家庭用エアコンA、B、Cにそれぞれリモコン1、2、3が対応する空気調和機において、エアコンA、B、Cとしては冷暖房能力だけが異なり基本的な制御内容は全く同じという場合がある。リモコンとしてRFリモコン(高周波無線通信方式のリモコン)を使用した場合、例えばリモコン1からの信号がエアコンB、Cにも届いてしまい、ユーザーの意図に反しエアコンB、Cが操作されてしまうおそれがあることから、通常はエアコンAに対してリモコン1という具合にそれぞれペアリング設定をして操作可能なエアコンを限定している。
【0006】
ところで、エアコンA、B、Cは基本的な制御内容は全く同じであるから、1台のリモコン1で他の部屋のエアコンB、Cも操作可能であれば便利である。例えば、リビングにいながら、次に移る部屋(寝室)のエアコンを事前に運転開始したり、子供部屋のエアコンの温度設定ができたりして、わざわざリビングから出なくてもよくなる。上記の特許文献3のマルチ型空気調和機は、室外機が1台で複数の室内機を運転するため、一方の室内機を暖房運転に他方の室内機を暖房運転から冷房運転に変更できないので運転モードが限定されるが、マルチ型でない空気調和機の場合、他室から運転モードの変更ができてしまうため、運転モードを変更されて思いがけない温度になってしまうことが起こりうる。そこで複数のリモコンで複数の空気調和機本体を操作可能な空気調和機において、他室にあるリモコンから操作できる機能を限定できるように、空気調和機と同じ部屋(自室)で使用するリモコンをメイン機とし、他室にあるリモコンをサブ機として区別して登録する必要があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数のリモコンで複数の空気調和機本体を操作可能な空気調和機において、空気調和機本体と同じ部屋(自室)で使用するリモコンをメイン機とし、他室にあるリモコンをサブ機として区別して、容易に登録できるようにした空気調和機、空気調和機本体およびリモコンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係る空気調和機は、空調運転を行う複数の空気調和機本体と、前記空気調和機本体それぞれを運転操作する複数のリモコンとを備える空気調和機であって、前記リモコンは、前記複数の空気調和機本体のうち一つの空気調和機本体をメイン本体として登録するメイン本体登録手段と、他の空気調和機本体の少なくとも一つをサブ本体として登録するサブ本体登録手段とを有するペアリング設定手段を備え、前記ペアリング設定手段は、前記リモコンにメイン本体が登録されていない場合、サブ本体の登録を実行しないことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に係る空気調和機は、空調運転を行う複数の空気調和機本体と、前記空気調和機本体それぞれを運転操作する複数のリモコンとを備える空気調和機であって、前記空気調和機本体は、前記複数のリモコンのうち一つをメインリモコンとして登録するメインリモコン登録手段と、他のリモコンの少なくとも一つをサブリモコンとして登録するサブリモコン登録手段とを有するペアリング設定手段を備え、前記ペアリング設定手段は、前記空気調和機本体にメインリモコンが登録されていない場合、サブリモコンの登録を実行しないことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3に係るリモコンは、複数の空気調和機本体とペアリング設定手段によりペアリング設定を行ない、前記複数の空気調和機本体をそれぞれ運転操作するリモコンであって、前記ペアリング設定手段は、メイン本体として前記空気調和機本体を登録するメイン本体登録機能と、サブ本体として前記空気調和機本体を登録するサブ本体登録機能とを有し、前記メイン本体登録機能により前記空気調和機本体を登録した後に、前記サブ本体登録機能によりメイン本体として前記リモコンに登録されていない他の前記空気調和機本体の登録をすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項4に係る空気調和機本体は、複数のリモコンとペアリング設定手段によりペアリング設定を行ない、前記複数のリモコンからの運転操作信号を受信する空気調和機本体であって、前記ペアリング設定手段は、メインリモコンとして前記リモコンを登録するメインリモコン登録機能と、サブリモコンとして前記リモコンを登録するサブリモコン登録機能とを有し、前記メインリモコン登録機能によりメインリモコンを登録した後に、前記サブリモコン登録機能によりメインリモコンとして前記空気調和機本体に登録されていない他の前記リモコンの登録をすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、空調運転を行う複数の空気調和機本体と、前記空気調和機本体それぞれを運転操作する複数のリモコンとを備える空気調和機であって、前記リモコンは、前記複数の空気調和機本体のうち一つの空気調和機本体をメイン本体として登録するメイン本体登録手段と、他の空気調和機本体の少なくとも一つをサブ本体として登録するサブ本体登録手段とを有するペアリング設定手段を備え、前記ペアリング設定手段は、前記リモコンにメイン本体が登録されていない場合、サブ本体の登録を実行しない。このため、サブ本体としてのサブ機よりもメイン本体としてのメイン機を優先して登録することで、メイン機とサブ機とを容易に区別してペアリング登録できるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る空気調和機、空気調和機本体およびリモコンの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
[空気調和機の概略構成]
まず、本発明に係る空気調和機の概略構成について説明する。
図1に示すように、本発明に係る空気調和機10は、複数の部屋RA、RB、RCに配置された室内機(以下、エアコン)12A、12B、12Cと図示しないそれぞれの室内機の対となる室外機とからなる空気調和機本体と、リモコン14A、14B、14Cとで構成され、各エアコン12A、12B、12Cおよび各リモコン14A、14B、14Cの機能は共通である。
【0016】
この空気調和機10は、RFモジュールによる双方向無線通信を利用し、例えば、リモコン14Aからエアコン12A〜12Cに対してそれぞれ遠隔操作や各種設定を行うことができる。またリモコン14Aは、エアコン12A〜12Cからの各種運転情報を記憶する図示しないメモリと、それを表示する表示部34Aを有している。エアコン12A〜12Cからの各種運転情報をリモコン14Aが取得すると、リモコン14Aは、取得した運転情報を新たな運転情報として記憶、表示させて、運転管理や各種設定に利用する。また、リモコン14Aは、取得した各種運転情報を図示しない外部接続端子を介して図示しないパーソナルコンピュータと有線接続し、運転情報管理をこのパーソナルコンピュータ側で行うことができる。他のリモコン12B、12Cも同様である。
【0017】
エアコン12A〜12Cは、
図3に示すように、リモコン14A〜14Cと双方向無線通信を行うRFモジュールからなる送受信部16A〜16C、LED表示部20A〜20C、操作部22A〜22C、これらを制御する制御部24A〜24Cを有している。この制御部24A〜24Cは、受信したリモコン14A〜14Cからの運転操作信号に基づいてエアコン12A〜12Cの各部を制御するとともに、エアコン12A〜12Cの現在の運転情報のデータと、運転情報の履歴から運転時間と消費電力(電気代)を計算し、一定期間(例えば、1ヶ月分)のデータを保持する図示しないメモリを含んでいる。
【0018】
図4に示すように、LED表示部20A〜20Cは、メイン機用LED26A〜26Cとサブ機用LED28A〜28Cとを有しており、それぞれ登録済みの場合には消灯し、未登録の場合には点灯するように制御部24A〜24Cに制御される。また、操作部24A〜24Cは、メイン機、サブ機としてリモコン14A〜14Cに登録する際に用いる図示しないペアリング登録ボタンを有している。
【0019】
一方、リモコン14A〜14Cは、
図2および
図3に示すように、エアコン12A〜12Cの送受信部16A〜16Cと双方向無線通信を行うRFモジュールからなる送受信部30A〜30C、エアコンの運転情報(運転時間、消費電力等)を表示する液晶表示部34A〜34C、エアコンを運転操作する操作部36A〜36C、これらを制御する制御部38A〜38Cを有している。この操作部36A〜36Cによってペアリングしている自室エアコンまたは他室エアコンを選択して、それぞれのエアコン間で双方向無線通信が可能となっている。なお、リモコンの送受信部30A〜30Cは通常は動作をオフにして使用する電池の消耗を防止している。従って、リモコンとエアコン間の通信は、常にリモコンから操作対象となるエアコンへ操作信号を送信してから通信が行われる。
【0020】
なお、エアコンの制御部24A〜24Cとリモコンの制御部38A〜38Cは、図示しないがペアリング設定手段をそれぞれに含むようになっている。このペアリング設定手段は、複数のエアコン12A〜12Cと複数のリモコン14A〜14Cのうちの一対、例えばエアコン12Aとリモコン14Aをメイン機(自室用)として登録するメイン機登録機能と、他のエアコン12B、12Cのうちの他のリモコン14B、14Cでメイン機として登録されているエアコン12B、12Cをサブ機(例えば他室用)として登録するサブ機登録機能とを有するものである。このペアリング設定手段によれば、例えば複数のエアコン12A〜12Cと複数のリモコン14A〜14Cのうちの一対をメイン機として登録するとともに、残りの少なくとも一つをサブ機として登録することができる。
【0021】
この空気調和機10では、上記したリモコンとエアコンの間で、RFモジュールを用いて双方向無線通信を行うため、近くに別機種のエアコンがあると操作対象機器が区別できなくなることから、事前にペアリング設定を行う必要がある。
【0022】
[ペアリング設定]
次に、ペアリング設定における制御部24A〜24C、38A〜38C(ペアリング設定手段)の処理内容(メイン機登録機能およびサブ機登録機能)について説明する。
【0023】
(メイン機登録機能)
リモコン14Aにエアコン12Aをメイン機として登録する場合を例にとり説明する。
図5(1)に示すように、メイン機が未登録の状態でエアコン12Aに電源を投入すると、未登録であることを検知した制御部24Aは、
図5(2)に示すようにLED表示部20Aのメイン機用LED26Aとサブ機用LED28Aとを点灯させ、エアコン側がメイン機の登録待ち状態であることをユーザーに報知して、自動的にペアリング登録待ちの状態となる。
【0024】
次に、リモコン14Aに乾電池を装着するか、または、装着されている場合にリモコン14Aの何れかの操作キーを押下すると、
図5(3)に示すように制御部38Aは液晶表示部34Aにメイン機の登録操作を案内する初期設定画面を表示する。通常はこの内容に従ってユーザーが操作することになる。例えば、エアコン側の操作部22Aに設けられた図示しないペアリング登録ボタンを3秒押した後、リモコン側の運転/停止ボタン42Aと確定ボタン44Aを同時に押すと、エアコン12Aがメイン機としてリモコン14Aに登録される。登録操作が完了すると制御部24Aはメイン機用LED26Aを消灯させる制御を行い、メイン機として登録済み、サブ機として未登録であることをユーザーに報知する。
【0025】
以下、ペアリング設定について具体的に説明する。
まず、リモコン14Aの登録設定が選択された場合、あるいは、リモコン14Aの制御部38Aに搭載された図示しない不揮発性メモリにペアリング相手が記憶されていない場合は、リモコン登録設定モードとなり、エアコン12Aとペアリングを行う際の手順を表示するペアリング表示を液晶表示部34Aにする。同様に、エアコン12Aもペアリング登録がない場合は、エアコン12Aに備えられたLED表示部20Aで表示される。操作者がエアコン12Aにある図示しないペアリング登録ボタンを押下すると、ペアリング実行状態をブザーの鳴動、ランプの点灯等で示し、エアコン12A側のペアリング要求信号が送受信部16Aからペアリング対象となるリモコンに送られて、ペアリングが開始される。
【0026】
また、リモコン14Aの液晶表示部34Aにペアリング表示がされている間は、
図3に示すリモコン14Aの操作部36Aの運転/停止ボタン42Aと、確定ボタン44Aとを同時に押下すると、ペアリング要求信号が送受信部30Aからペアリング対象となるエアコン12Aに送られ、ペアリングが開始される。リモコン14Aの液晶表示部34Aには、「ペアリング登録中」と表示される。ここで、リモコン14Aの送受信部30Aとエアコン12Aの送受信部16Aとの間でペアリングのための通信を行い、ペアリング登録可能な機種かどうかを確認する。ペアリング登録が可能な機種であれば、リモコン14Aとエアコン12Aのペアリングを行ない、リモコン14Aの送受信部30Aからエアコン12Aの制御部24Aにペアリングが完了した旨のペアリング完了信号を送信するとともに、エアコン12Aの送受信部16Aからリモコンの制御部38Aにペアリングが完了した旨のペアリング完了信号を送信する。
【0027】
続いて、リモコン14Aからエアコン12Aに対し、エアコン機種情報要求を汎用データとして送信する。この時、エアコン12Aから受信可能なエアコン機種情報の信号としては、シリーズ名、製造年度、文字列(機種名16文字以内)、エアコンID(MACアドレス)などがある。エアコン12A側の送受信部16Aは、エアコン機種情報要求をエアコン12Aで受信すると、リモコン14Aに対して汎用データ送信完了信号を送信し、送信が成功したことを通知する。
【0028】
続いて、エアコン12Aの制御部38Aは、エアコンの機種情報をリモコン14A側に情報転送する。エアコン12Aの機種情報をリモコン14A側で受信すると、送受信部30Aは、エアコン12Aに対して情報転送完了信号を送信し、送信が成功したことを通知する。
【0029】
上記のペアリング設定が終了したリモコン14Aとエアコン12Aとの間では、リモコン14Aからエアコン12Aに対して運転操作や各種設定を行う他、エアコン12Aに保存されている運転状況ログ(履歴)をリモコン14Aが要求することにより、ログを取得することができる。
【0030】
上述したペアリング設定は、エアコン12Bとリモコン14Bをペアリングする場合、や、エアコン12Cとリモコン14Cをペアリングする場合でも同様である。また、エアコン12Aとリモコン14Cをサブ機としてペアリングする場合であっても同様である。
【0031】
一方、
図5(4)に示すように、メイン機が未登録であるこのエアコン12Aをサブ機としてエアコン14Aがメイン機として登録されたリモコン14Bから登録をしようとすると、エアコン12Aの制御部24Aはリモコン14Bにメイン機が未登録である旨を送信する。リモコン14Bはエアコン12Aがメイン機として未登録である旨を受信すると、液晶表示部34Bに登録エラーの内容とエアコン12Aをメイン機として登録するよう促す内容とを表示させ、エアコン12Aが未だメイン機として未登録の状態のため、サブ機として登録不可能であることをユーザーに報知する。
【0032】
(サブ機登録機能)
次に、例えばメイン機として登録済みのエアコン12Aをサブ機として別のリモコン14Cに登録する場合には、
図6に示すように、このリモコン14Cを操作して液晶表示部34Cに他室のエアコンの登録操作を案内する初期設定画面を表示させる。この表示内容に従って、例えば、エアコン側の操作部22Aのペアリング登録ボタンを3秒押した後、リモコン側の運転/停止ボタン42Aと確定ボタン44Aを同時に押すと、エアコン12Aがサブ機としてリモコン14Cに登録される。登録が認識されると制御部24Aはサブ機用LED28Aを消灯させる制御を行い、メイン機、サブ機として登録済みであることをユーザーに報知する。なお、このエアコン12Aがさらに別のリモコンにサブ機として登録可能であることは言うまでもない。
【0033】
なお、サブ機として登録待ち状態にあるエアコンに対して、他のリモコンからメイン機としての登録を仕掛けようとした場合も上記と同様にそのリモコンの液晶表示部に登録エラーの内容とサブ機としての登録を促す内容とを表示させ、エアコンが既にメイン機として登録済みのため、サブ機として登録不可能であることをユーザーに報知する。
【0034】
なお、上記のペアリング設定において、ペアリング登録ボタンを例えば数十秒程度長押しした場合にメイン機、サブ機としての登録を消去するようにしてもよい。
【0035】
このように、本実施例の制御部24A〜24C、38A〜38C(ペアリング設定手段)では、リモコンに最初にペアリング設定するエアコンをメイン機として登録し、この後にペアリング設定するエアコンをサブ機として登録するというように順序を持たせることで、メイン機として登録されないエアコンあるいはリモコンが生じないようにしている。
【0036】
ここで、メイン機として登録されるエアコン12Aとリモコン14Aを、リモコン14Aに対するメイン本体としてリモコン14Aに登録されるエアコン12Aと、エアコン12Aに対するメインリモコンとしてエアコン12Aに登録されるリモコン14Aとし、サブ機として登録されるエアコン12Bとリモコン14Aを、リモコン14Aに対するサブ本体としてリモコン14Aに登録されるエアコン12Bと、エアコン12Bに対するサブリモコンとしてエアコン12Bに登録されるリモコン14Aして登録するようにしても良い。
【0037】
具体的には、リモコンの制御部38A〜38Cに含まれるペアリング設定手段が、複数のエアコンのうち一つをメイン本体として登録するメイン本体登録手段(もしくはメイン本体登録機能)と、他のエアコンの少なくとも一つをサブ本体として登録するサブ本体登録手段(もしくはサブ本体登録機能)とを有するように構成し、エアコンの制御部24A〜24Cに含まれるペアリング設定手段が、複数のリモコンのうち一つをメインリモコンとして登録するメインリモコン登録手段(もしくはメインリモコン登録機能)と、他のリモコンの少なくとも一つをサブリモコンとして登録するサブリモコン登録手段(もしくはサブリモコン登録機能)とを有するように構成してもよい。そして、メイン本体登録手段によりエアコンをリモコンに登録するとともに、メインリモコン登録手段によりリモコンをエアコンに登録した後に、サブ本体登録手段によりメイン本体としてリモコンに登録されていない他のエアコンの登録をするとともに、サブリモコン登録手段によりメインリモコンとして本体に登録されていない他のリモコンの登録をするようにしてもよい。
【0038】
あるいは、リモコンの制御部38A〜38Cにメイン本体が登録されていない場合、サブ本体の登録を実行しないようにしてもよい。サブ本体としてのサブ機よりもメイン本体としてのメイン機を優先して登録することで、メイン機とサブ機とを容易に区別してペアリング登録できる。
また、エアコンの制御部24A〜24Cにメインリモコンが登録されていない場合、サブリモコンの登録を実行しないようにしてもよい。この場合にも上記と同様にして、メイン機とサブ機とを容易に区別してペアリング登録できる。
【0039】
[ペアリング設定後の操作]
次に、ペアリング設定後の操作について説明する。
まず、本実施例では、制御部24A〜24C、38A〜38C(ペアリング設定手段)によるメイン機およびサブ機の登録後におけるリモコンからのサブ機に対する操作可能な機能の数を、メイン機に対する操作可能な機能の数よりも少なくしている。
【0040】
より具体的には、
図7に示すように、リビングRAのリモコン14Aはメイン機として登録されているエアコン12Aに対しては基本的には全ての操作が可能であるが、サブ機として登録してある寝室RBのエアコン12Bや子供部屋RCのエアコン12Cに対しては、例えば冷暖房の切り換え等の操作は不可能で、運転/停止および設定温度変更だけが操作可能という具合に操作できる機能の数あるいは種類を限定している。また、設定できる温度範囲を限定するなど、機能の内容を限定するようにしても良い。
【0041】
こうすることで、リモコンの操作中、例えば運転/停止しかできない場合には、他室のサブ機のエアコンを操作していることに気がつき易くなる。したがって、ユーザーがリモコン操作中にその操作対象となるエアコンを容易に把握できる。なお、仮にメイン機、サブ機とも同じように全操作可能であるとした場合にはメイン機とサブ機の関係が判りづらくなり、ユーザーが現在どのエアコンに対して操作をしているのかが認識しにくくなる。特に、本実施例のように広範囲に電波が届くようなRFリモコンを用いる場合には、上記のようにサブ機に対して操作可能な機能の数を限定することは利便性を高めるうえで有効である。
【0042】
また、本実施例では、リモコン14A〜14Cによってメイン機またはサブ機を操作する際に、リモコン側の制御部38A〜38Cはメイン機およびサブ機に対する制御情報の信号(操作信号)をリモコンからメイン機およびサブ機に向けて一括送信し、メイン機およびサブ機の制御部24A〜24Cは受信した制御情報の信号に含まれる認識情報に基づいて自身に向けての操作内容か否かを判定するようにしてある。
【0043】
そして、自身に向けての操作内容と判定した場合には、その制御部24A〜24Cはその操作内容を実行する制御を行う。一方、自身に向けての操作内容ではないと判定した場合には、その制御部24A〜24Cはその操作内容を無視する。
【0044】
ところで、RF式リモコンは赤外線式リモコンより消費電力が大きいため、リモコン14Aと図外の別のリモコンは、電池の消耗を抑制するために常時受信待ち状態にしていない。従って、
図7に示すように、リモコン14Aとメイン機のエアコン12Aとの間の同期を必要時以外は取らない場合、図外の別のリモコン14Bでエアコン12Bの設定内容を変えると、エアコン12Bの制御部24Bとリモコン14Bの制御部38Bにそれぞれ保持されている運転情報が一致しなくなるおそれがある。こうした事態を回避するために、このリモコン14Bの操作部34Bに設けてある運転情報確認するお知らせボタン40B(
図2を参照。お知らせスイッチ)を押圧操作した際にリモコン14Bとそのメイン機としてのエアコン12Bから運転情報を取得して新たな運転情報として記憶、表示する。
【0045】
運転情報を取得する場合には、リモコンに登録されているメイン機にこの運転操作信号を送信して、これを受信したメイン機から当該リモコンに対して運転情報を送信することにより取得できる。別の言い方をすると、リモコンの運転操作対象となるエアコンは、運転操作信号を受信した際、リモコンに対して運転操作信号受信後の運転情報を送信する。そして、この運転情報を受信したリモコンは、運転操作対象となったエアコンの運転情報を、新たな運転情報として記憶する。なお、リモコンの液晶表示部に定期的に「お知らせボタンを押してください」と表示してユーザーに操作すべき内容を報知して運転情報の取得を促してもよい。
【0046】
また、メイン機またはサブ機として操作された場合にLEDが点灯するお知らせ表示部をエアコン12A〜12Cに設けてもよい。このお知らせ表示部は
図4のLED表示部20A〜20Cで兼用することができる。また、リモコンでサブ機を操作した場合には、操作されたサブ機のエアコンのLEDを点灯させ、サブ機として操作されたことを確認できるようにしてもよいし、サブ機に対して操作したつもりがメイン機のLEDが点灯することで、この操作がエラー操作であることをユーザーに認識させてもよい。なお、メイン機を示すLEDの点灯を確認しエラー操作を認識したユーザーはリモコンのお知らせボタン40A〜40Cを押すことでこのメイン機との運転情報の同期をとることもできる。この場合、リモコンの液晶表示部34A〜34Cにエラー発生原因や運転情報の同期をとった結果を表示してもよい。
【0047】
[サブ機操作モード時の操作]
次に、サブ機操作モード時の操作について説明する。
【0048】
本実施例では、制御部(ペアリング設定手段)によるメイン機およびサブ機の登録後において、リモコンでメイン機のエアコンを操作する場合をメイン機操作モード(自室操作モード)、リモコンでサブ機のエアコンを操作する場合をサブ機操作モード(他室操作モード)としている。このメイン機操作モードとサブ機操作モードの切り換えは、リモコンの操作部のボタン操作により行うことができる。
【0049】
例えば、
図7において、リモコン14Aのボタン操作によってメイン機操作モードからサブ機操作モードへの移行が指示されると、この移行の際にリモコン14Aがサブ機として登録してある全てのエアコン12B、12Cの運転情報(運転中/運転停止中、冷房/暖房などの情報)を取得するとともに、この運転情報を反映させて他室操作用の画面を液晶表示部34Aに表示し、サブ機操作モードに移行する。
【0050】
このサブ機操作モードにおいては、リモコンにサブ機として登録してあるエアコンは全て操作可能であり、任意のサブ機を個別に操作または全てのサブ機を一括して操作することができる。ユーザーは液晶表示部34Aを参照しながら図外の操作部36Aを操作して、操作したいサブ機を選択する。なお、
図7の右側においては、操作対象を寝室か子供部屋か全室のエアコン(サブ機)かに選択可能とした画面が例示されている。
【0051】
図8(1)〜(3)は、サブ機操作モードへの移行直後にリモコン14Aの液晶表示部34Aに表示される初期画面の一例を示したものである。サブ機操作モードに移行する際に全サブ機から取得した運転情報が反映されて、各室(各サブ機)の現在の運転状況が表示されている。例えば、
図8(1)は、寝室は設定温度26℃で冷房運転中で、子供部屋は運転停止していることを示している。液晶表示部内のカーソルを動かすことで、寝室のエアコンを操作したり、全室のエアコンを一括して操作(例えば運転開始/運転停止)することが可能である。
【0052】
また、
図9はサブ機操作モード時の液晶表示部の画面表示の推移の一例である。例えば、リモコンの操作部の操作ボタンで他室操作を選択すると、
図9に示すように、ユーザーによる操作ボタンの操作に応じて液晶表示部の画面表示が推移していく。ここで、寝室を選択すると、画面が切り替わって寝室に対する操作内容が選択できるようになる。
【0053】
図10(1)〜(3)は、サブ機操作モード時のサブ機に対する操作内容の選択画面の一例を示したものである。
図10(1)に示すように、例えば、寝室のエアコン12Bが現在冷房運転中の場合には、リモコン14Aで設定温度を18〜30℃の範囲の設定変更のみ可能としてもよい。また、
図10(2)に示すように、子供部屋のエアコン12Cが現在自動運転中の場合には、リモコン14Aで標準±2℃の範囲の設定変更のみ可能としてもよい。また、
図10(3)に示すように、子供部屋のエアコン12Cが現在運転停止中の場合には、リモコン14Aで運転開始のみ可能とし、この運転開始後にエアコン12Cの運転状況を再取得するようにしてもよい。
【0054】
以上説明したように、本発明によれば、空調運転を行う複数の空気調和機本体と、前記空気調和機本体それぞれを運転操作する複数のリモコンとを備える空気調和機であって、前記リモコンは、前記複数の空気調和機本体のうち一つの本体をメイン本体として登録するメイン本体登録手段と、他の本体の少なくとも一つをサブ本体として登録するサブ本体登録手段とを有するペアリング設定手段を備え、前記ペアリング設定手段は、前記リモコンにメイン本体が登録されていない場合、サブ本体の登録を実行しない。このため、サブ本体としてのサブ機よりもメイン本体としてのメイン機を優先して登録することで、メイン機とサブ機とを容易に区別してペアリング登録できるという効果を奏する。