【実施例】
【0014】
実施例に係るコンデンサ装置につき、
図1から
図10を参照して説明する。
図1の符号1は、本発明の適用されたコンデンサ装置である。本実施例では、2台のコンデンサ装置1が互いに上下方向に連設されている。なお、このコンデンサ装置1は、主に車両等の機器に搭載されて使用されるようになっている。
【0015】
図2及び
図6に示すように、1台のコンデンサ装置1には、5本(複数)のコンデンサ本体2が収納ケース3に一体的に収納されるようになっている。なお、本実施例では、コンデンサ本体2に電気二重層コンデンサを用いている。このコンデンサ本体2は円筒形状をなしており、各コンデンサ本体2の上端部の封口板6には、陽極用及び陰極用の各端子部4が設けられている。また、収納ケース3には、各コンデンサ本体2を収納する5つ(複数)の収納部5が設けられており、収納ケース3は、その上部側が開口され、この開口部9を介して5つの収納部5が外部に露呈される。
【0016】
また、収納ケース3は、5つの収納部5を一体的に成型した樹脂製となっている。この収納ケース3を構成する樹脂材料としては、熱可塑性樹脂が用いられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリフェニレンサルファド、アクリル、ポリカーボネートなどが用いられる。また、各種樹脂材料に添加剤としてガラス繊維等を添加して収納ケース3の強度や耐熱性を向上させることもできる。
【0017】
なお、収納ケース3は、樹脂材料を金型に流し込んで製造する樹脂成型により形成されている。そのため、収納ケース3を容易に量産化することができ、低コストでコンデンサ装置1を製造できる。
【0018】
また、収納ケース3の5つの収納部5は、その長手方向が互いに同一方向を向いて平面視において環状に配置されている。さらに、環状に配置される収納部5の中央部には、後述するコンデンサ本体2内で発生する水素ガスが開放される空洞部7が形成されている。なお、各収納部5は、コンデンサ本体2の形状及び寸法に適合する円筒形状をなし、各収納部5は、その一端が開口されて他端が閉塞された有底円筒形状をなしている。
【0019】
図2に示すように、収納部5の上部側は、上方に延設されて壁部8が形成されている。この壁部8は、5つの収納部5の配置形状に合わせて、その配置形状の外周を囲むように立設されている。そして、この壁部8によって、後述する各コンデンサ本体2の端子部4を互いに電気的に接続するバスバー18(接続部材)やバランス回路等を設けた回路基板19(回路部)などを配置できる回路配置部20が形成される(
図5参照)。
【0020】
また、収納部5の上部の側周面には、コンデンサ装置1を他の部材に固定するためのボルト(図示略)が螺合されるナット(図示略)を保持する上部側ナット保持部14が形成されている。さらに、収納部5の下部の側周面には、下部側ナット保持部15が形成されている。これら上下のナット保持部14,15は、収納部5同士の谷間を利用してナットを保持する空間を設けるようにしている。
【0021】
また、コンデンサ装置1の上下のナット保持部14,15に保持されたナット(図示略)を用いて、コンデンサ装置1を機器の筐体等に固定することが可能となる。なお、本実施例では、2台のコンデンサ装置1を上下に配置しているが、2台のコンデンサ装置1を左右に隣接配置して、各コンデンサ装置1の上下のナット保持部14,15に保持されたナットを用いて、各コンデンサ装置1を連接することもできる。
【0022】
図3、
図7及び
図8に示すように、収納ケース3の上部側の中央部には、環状に配置される収納部5の中央部の空洞部7に向かって貫通する導出孔16が形成され、後述するコンデンサ本体2内で発生するガスが前述の空洞部7に向かって導出されるようになっている。
【0023】
図8に示すように、収納部5の内周面は、その底面に行くに従って狭まるテーパ面10となっている。本実施例におけるテーパ面10の傾きθは、約1.0度となっている。なお、このテーパ面10の傾きθは、約0.3〜5.0度の範囲であれば、いずれの角度であってもよい。なお、収納部5の外周面にも、テーパ面12が形成されており、このテーパ面12の傾きθ’は、約0.8度以上に形成される。
【0024】
さらに、
図9に示すように、収納部5の内径は、その開口側ではコンデンサ本体2の外径よりも若干大きくなっており、その底部側では、コンデンサ本体2の外径とほぼ同じ径となっている。また、後述するように、収納部5の内周面とコンデンサ本体2の外周面との間には、隙間部11が形成されるようになっており、この隙間部11に樹脂材17が充填されるようになっている。なお、隙間部11の開口側の寸法Sは、伝熱性や樹脂材の充填効率を考慮して約0.5〜3.0mmとしている。
【0025】
そして、収納部5の内周面が底面に行くに従って狭まるテーパ面10となっていることで、収納部5の開口側を拡大させてコンデンサ本体2を収納部5に入れ易くした状態で、コンデンサ本体2の底部側は、収納部5の内周面の狭まるテーパ面10によって位置決めされるようになり、収納ケース3の収納部5に収納されたコンデンサ本体のぐらつきを防止して、収納部5の内周面とコンデンサ本体2の外周面との間に均一な幅の隙間部11を形成することができ、この隙間部11に樹脂材17を充填する際に、充填される樹脂材17に斑が生じることなく、均一に充填することができる。
【0026】
また、
図3及び
図8に示すように、収納部5の内周面には、コンデンサ本体2に向かって突出し、上下方向に延びる3条のリブ13(凸部)が形成されている。このリブ13は、収納部5の内周面の周方向に均等に配置さるとともに、収納部5の底部側から開口側に行くに従いリブ13の突出量が大きくなっている。さらに、このリブ13は、収納部5の開口側から底部側に向かって全長に渡って延びているため、コンデンサ本体2を収納部5に収納したときに、リブ13が全長に渡ってコンデンサ本体2の外周面に接触するようになっている。
【0027】
また、収納部5にコンデンサ本体2が収納されると、3条のリブ13がコンデンサ本体2に3方向から接触され、このリブ13によってコンデンサ本体2が収納部5の中央位置に保持されるようになり、収納部5の内周面とコンデンサ本体2の外周面との間に周方向に均一な幅の隙間部11を形成することができる。なお、リブ13は周方向に2〜6条の範囲で均等に配置されているのが望ましい。
【0028】
本実施例では、収納部5の内周面のリブ13がコンデンサ本体2の上下寸法とほぼ同じ長さを有している。なお、リブ13の上下寸法は、収納部5の開口から底部までの全長に渡って形成するようにしてもよいし、収納部5の開口から下方に向かって3分の2程度の範囲に渡って形成するようにしてもよい。
【0029】
また、
図6に示すように、収納ケース3には、隣接する収納部5同士を連接する連接部39が形成されている。さらに、
図2及び
図8に示すように、この連接部39の上部には、開口から下方に向かって所定の長さに渡って切り欠かれた切欠部21(連通部)が形成されている。そして、この切欠部21によって隣接する収納部5同士が連通されている。
【0030】
前述したように、収納部5の内周面は、テーパ面10となっており、収納部5の上部側同士が近接されて連接部39(
図6参照)の肉厚が薄くなっている。そのため、切欠部21を開口から下方に向かって切り欠いて形成することが容易になっている。なお、収納部5の連接部39の上部側の肉厚が薄くなっている部位は破損し易いため、この部位を切欠部21により切り欠いてしまうことで連接部39の破損を防止でき、かつ収納部5同士が近接されて収納ケース3の幅寸法を小さくでき、収納効率が向上される。
【0031】
また、収納部5同士を連通する切欠部21が形成されることで、後述するように、各収納部5に樹脂材17を充填した際に、所定の収納部5に充填される樹脂材17が切欠部21を介して隣接する収納部5に移動されるようになり、各収納部5に充填される樹脂材17の量を均等にすることができる。さらに、樹脂材17の硬化後には、各収納部5に充填された樹脂材17が一体化されてコンデンサ本体2の保持強度を向上させることができる。
【0032】
また、収納部5の底面には、その中央部が盛り上がって山型形状に突出された山型部22(凸部)が形成されている。そして、コンデンサ本体2が収納部に収納された際に、コンデンサ本体2の底面が山型部22に接触されるようになっている。このようにすることで、収納部5の底面の山型部22によってコンデンサ本体2の収納部5内における高さ位置を確定できる。
【0033】
また、山型部22によって、コンデンサ本体2の底面と収納部5の底面との間に、樹脂材17が充填される隙間を形成することができる。この隙間は、外側に向かって上下幅が広がるように形成され、樹脂材17が充填される際に、コンデンサ本体2の底面と収納部5の底面との間に樹脂材17が滞留されることを防ぎ、空気溜りが生じることを防止できる。なお、この山型部22の突出寸法Tは、約0.2〜1.0mm程度となっている。
【0034】
図2及び
図3に示すように、コンデンサ装置1を組み立てる際には、先ず各コンデンサ本体2が各収納ケース3の上部の開口部9から収納部5に挿入される。コンデンサ本体2は、各収納ケース3の上部の開口部9側にて、収納部5のテーパ面10により、収納部5の中心方向に案内されて挿入される。なお、コンデンサ本体2を収納部5に収納する際には、所定の押圧力で徐々に収納部5に挿入する。すると、コンデンサ本体2の底部は、リブ13によって収納部5の所定位置に位置決めされる。なお、各コンデンサ本体2を各収納部5に収納する工程が、本実施例における収納工程となっている。
【0035】
さらに、コンデンサ本体2の底面が収納部5の底面の山型部22に接触し、コンデンサ本体2の高さ位置が合わせられる。そして、収納部5に収納されたコンデンサ本体2は、その外周面が収納部5に覆われた状態となる。また、
図6に示すように、複数の収納部5の全周は、コンデンサ本体2の外周面に沿って均一な肉厚となっている。
【0036】
図4に示すように、収納部5に収納された5つのコンデンサ本体2を上方から覆うようにセンターガイド23(要素部材)が取り付けられる。このセンターガイド23は、その外周縁が5つの収納部5を合わせた全体形状とほぼ同じ形状をなす略星形状をなす樹脂製の板部材となっている。なお、このセンターガイド23を構成する樹脂は、前述した収納ケース3と同様の樹脂となっている。
【0037】
なお、本実施例では、収納部5にコンデンサ本体2を収納した後に、センターガイド23をコンデンサ本体2に取り付けるようにしているが、センターガイド23をコンデンサ本体2の取り付けた後に、収納部5にコンデンサ本体2を収納するようにしてもよい。
【0038】
また、センターガイド23の端縁には、
図9に示すように、下方に屈曲された屈曲片24が形成されており、この屈曲片24が収納部5の内周面に接触されて、センターガイド23の位置決めがなされる。さらに、センターガイド23には、コンデンサ本体2の端子部4が挿通される挿設孔26が形成されている。
【0039】
図10に示すように、コンデンサ本体2の封口板6には、端子部4を配置する端子台部27が凸設されている。この端子台部27には、陽極用及び陰極用の端子部4が配置されるとともに、両端子部4の間に、センターガイド23の被係合孔28(被係合部)に係合される係合凸部29(係合部)が凸設されている。この係合凸部29は、封口板6の中心C、即ちコンデンサ本体2の長手軸Cから若干外れた位置に設けられている。
【0040】
図4に示すように、センターガイド23がコンデンサ本体2に取り付けられた際に、両端子部4がセンターガイド23の挿設孔26に挿設された状態で、係合凸部29が被係合孔28に係合できるコンデンサ本体2の向きは特定されている。即ち、係合凸部29によってコンデンサ本体2がその長手軸を中心C(
図10参照)として非回転対称性を有するようになっており、コンデンサ本体2の陽極用端子部4と陰極用端子部4とが逆向きにされて取り付けられてしまうことを防止できる。
【0041】
また、コンデンサ本体2の封口板6の端子台部27の上面は、センターガイド23の下面に接触され、各コンデンサ本体2の高さ位置が統一される。なお、センターガイド23の下面に下方に突出される凸部(図示略)を設け、この凸部を封口板6の上面に接触させることで各コンデンサ本体2の高さ位置を統一するようにしてもよい。
【0042】
また、センターガイド23がコンデンサ本体2に取り付けられると、5本のコンデンサ本体2同士が一体化されて、各コンデンサ本体2同士の相対的な位置が規定される。このようにすることで、コンデンサ本体2の係合凸部29がセンターガイド23の被係合孔28に係合されて、各コンデンサ本体2をセンターガイド23により位置決めさせた状態で各収納部5に収納できるようになり、かつ端子部4を予め定められた特定の配置にすることができ、センターガイド23によりコンデンサ本体2の端子部4の位置合わせを容易に行うことができる。
【0043】
そして、コンデンサ本体2の各端子部4は、センターガイド23の挿設孔26から上方に突出し、この端子部4にバスバー18(接続部材)が接続されて、各コンデンサ本体2が電気的に直列に接続される。なお、端子部4とバスバー18との接続には、螺子接続、レーザー接続、超音波接続等を用いるようになっている。
【0044】
さらに、各バスバー18間に配置されるバランス回路等を設けた回路基板19が取り付けられる。センターガイド23の上面には、バスバー18に形成された孔部30や、回路基板19の下面の係合穴部(図示略)に係合される突出棒31(被係合部)が突出されており、この突出棒31によりバスバー18及び回路基板19の位置決めが行われる。
【0045】
また、センターガイド23の上面には、バスバー18が縁部(係合部)に沿って係合されるバスバー係合凸部40(被係合部)が突出されるとともに、回路基板19の縁部(係合部)に係止されるフック状の係止爪41(被係合部)が設けられている。これらバスバー係合凸部40や係止爪41によりバスバー18及び回路基板19の位置決めが行われる。そして、センターガイド23、バスバー18及び回路基板19が一体化し耐振動性が向上する。なお、回路基板19のバランス回路は、バスバー18毎に接続されるようになっている。
【0046】
前述したように、5本のコンデンサ本体2同士の相対的な位置が規定されるため、コンデンサ本体2の端子部4にバスバー18や回路基板19等を接続し易くなり、コンデンサ装置1の製造作業を簡便化できる。なお、回路基板19は、エポキシ樹脂やウレタン樹脂等で表面がコーティングされて腐食が防止されている。また、バスバー18や回路基板19等の各部材の固定性の向上がなしえるようになり、特に、振動が加わる車両用途に当該コンデンサ装置1を用いる場合に効果的である。
【0047】
また、センターガイド23の挿設孔26を被係合部とし、コンデンサ本体2の端子部4を前述の係合部として兼用させることができ、かつ各コンデンサ本体2の各端子部4を電気的に接続するバスバー18を用いて、各コンデンサ本体2がセンターガイド23及びバスバー18により一体的に連結されるようになり、各コンデンサ本体2を各収納部5に収納し易くなり、コンデンサ装置1の製造作業を簡便化できる。なお、コンデンサ本体2にセンターガイド23を取り付ける工程が、本実施例における一体化工程となっている。
【0048】
図9に示すように、収納部5の内周面とコンデンサ本体2の外周面との間に形成される隙間部11には、流動性を有する樹脂材17が充填される。また、センターガイド23には、樹脂材17を充填させる際に用いる充填孔33が形成されており、この充填孔33から充填用パイプ(図示略)等を隙間部11に向かって挿入して樹脂材17を充填する。この樹脂材17は、加熱若しくは2液の混合により重合反応を起こして硬化されるエポキシ樹脂やウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂となっている。
【0049】
また、コンデンサ本体2の外周面と収納部5の内周面との隙間部11の全部位Lに樹脂材17が充填される。なお、本実施例では、樹脂材17が隙間部11の全部位Lに充填されているが、隙間部11の半分ほどの部位Hに充填されるようにしてもよく、樹脂材17の使用量は適宜変更できる。
【0050】
そして、収納部5の隙間部11に樹脂材17が充填された状態で、収納ケース3を加熱して、樹脂材17を硬化させる樹脂硬化工程を実施する。なお、この樹脂硬化工程の加熱温度は、コンデンサ本体2に過度の熱が加わり特性劣化等が生じないように、200度以下で5分以内とする。
【0051】
このようにすることで、樹脂材17の硬化によりコンデンサ本体2の保持強度を向上させるとともに、コンデンサ本体2の腐食を防止することができ、かつ一体化工程にて、各コンデンサ本体2を所定のセンターガイド23に係合させて一体化し、各コンデンサ本体2の端子部4同士の相対的な位置がセンターガイド23により位置決めされた後に、樹脂硬化工程にて、収納部5の内周面とコンデンサ本体2の外周面との間の樹脂材17が硬化されるため、各コンデンサ本体2の端子部4同士がバスバー18や回路基板19等に接続されても、端子部4に対して歪みや応力が生じずに済むようになり、長年の使用に耐えることができるコンデンサ装置1を製造できる。つまり、端子部4等への応力が生じる工程の後に樹脂材を硬化することが好ましい。
【0052】
また、コンデンサ本体2の外周面が樹脂材17を介して収納部5の内周面と接着され、コンデンサ本体2が収納部5内で強固に保持されるとともに樹脂材17を通じて収納ケース3への伝熱性が向上する。さらに、放熱性が高まり、かつコンデンサ本体2に対する外部からの衝撃力が樹脂材17によって緩和される。
【0053】
また、前述の一体化工程にて、各コンデンサ本体2の端子部4同士を電気回路等に電気的に接続した後で、樹脂硬化工程にて、収納部5の内周面とコンデンサ本体2の外周面との間の樹脂材17が硬化されるため、端子部4に対して歪みや応力が生じずに済むようになり、長年の使用に耐えることができるコンデンサ装置1を製造できる。
【0054】
また、収納部5に充填される樹脂材17として、加熱等により重合反応を起こす熱硬化性樹脂を用いることで、樹脂材17の硬化状態を制御して作業を行うことができ、樹脂材17が流動性を有する状態のときに、各コンデンサ本体2の端子部4同士の相対的な位置決めを行ったり、収納部5内にコンデンサ本体を挿入したりすることができるようになり、コンデンサ装置1の製造を容易に行うことができる。
【0055】
また、収納ケース3を構成する樹脂は、収納部5に充填される樹脂材17と親和性を有する樹脂となっており、樹脂硬化工程にて樹脂材17が硬化されると、この樹脂材17と樹脂製の収納ケース3の収納部5とが強固に結合されて、コンデンサ本体2の保持強度を向上させることができる。
【0056】
なお、本実施例では、収納部5にコンデンサ本体2を収納した後に、収納部5に樹脂材17を充填するようにしているが、その他の態様でもよく、例えば、先に収納部5に全量の樹脂材17を流し込んだ後に、この樹脂材17を押し分けてコンデンサ本体2を収納部5に収納することで、隙間部11に樹脂材17を充填するようにしてもよい。
【0057】
また、先に収納部5に半分の量の樹脂材17を流し込んだ後に、この樹脂材17を押し分けてコンデンサ本体2を収納部5に収納し、その後、残りの量の樹脂材17を収納部5に流し込んで、隙間部11に樹脂材17を充填するようにしてもよい。
【0058】
さらに、本実施例では、収納部5に樹脂材17を充填する前に、コンデンサ本体2にセンターガイド23を取り付ける一体化工程を実施するようにしているが、収納部5に樹脂材17を充填した後に、コンデンサ本体2にセンターガイド23を取り付けて一体化工程を実施するようにしてもよい。その場合でも、樹脂材17が硬化されるタイミングが一体化工程の後であればよい。
【0059】
また、本実施例では、加熱により樹脂材17を硬化させており、この加熱工程が樹脂硬化工程となっているが、例えば、2液を混合してから所定時間後に硬化される樹脂材17を用いた場合には、充填された樹脂材17が硬化されるまで所定時間待機する工程が樹脂硬化工程となる。
【0060】
また、収納ケース3の開口部9を閉塞板32によって閉塞するようになっている。なお、センターガイド23の上面側には、上方に向かって突出され、閉塞板32の下面に接触して閉塞板32の位置合わせを行う突出棒34が設けられている。この突出棒34により閉塞板32の位置が特定された状態で、閉塞板32の周縁と収納ケース3の壁部8とが超音波溶接等の手段により密封される。
【0061】
また、コンデンサ本体2内部では、使用中に漏れ電流が流れ、この漏れ電流により水素ガスが発生する場合がある。そして、
図10に示すように、コンデンサ本体2の封口板6の上面には、コンデンサ本体2内で発生する水素ガスの圧力を開放する圧力開放機構25(圧力開放手段)が設けられている。なお、コンデンサ本体2が収納部5に収納された状態では、この圧力開放機構25が収納ケース3の中心側に配置されるようになっている(
図3参照)。
【0062】
図4及び
図9に示すように、センターガイド23には、圧力開放機構25に対応する位置に開放孔35が形成されている。そのため、圧力開放機構25から開放されたガスがセンターガイド23により遮られることなくなり、ガスを開放孔35から安全に開放させることができる。
【0063】
また、各コンデンサ本体2の圧力開放機構25から開放されたガスは、開放孔35からセンターガイド23の上面側に流れるようになっている。そして、センターガイド23の中央部には、前述した収納ケース3の導出孔16に対応する位置に、ガスが通過する通過孔36が形成されており、センターガイド23の上面側に流れたガスが、収納ケース3の導出孔16に導かれるようになっている。
【0064】
図7及び
図9に示すように、導出孔16は、環状に配置された収納部5で囲まれた位置に設けられている。また、この導出孔16は、下方側の空洞部7に向かって突出される円筒形状をなす円筒部37を有している。さらに、円筒部37よりも上方側には、円筒部37に向かって傾斜する漏斗状の漏斗部38が設けられている。この漏斗状の漏斗部38によって浸入した水の水はけがよくなる。
【0065】
また、コンデンサ本体2内部でガスが発生して圧力開放機構25が作動した際には、ガスが収納ケース3の中央部の導出孔16から空洞部7に向かって導出されるようになっている。さらに、空洞部7の下方側は、外部に開放されており、この空洞部7からガスが収納ケース3の外部に排出されるようになっている。
【0066】
このようにすることで、コンデンサ本体2の圧力開放機構25から開放されたガスを収納ケース3の外部に導出する導出孔16が、一体的に連設された複数の収納部5に囲まれて、これら複数の収納部5により形成される空洞部7の奥側(収納ケース3の上部側)に導出孔16が配置されるようになり、収納ケース3の外部に導出孔16が露呈されずに済み、導出孔16から外部の埃や水が収納ケース3内に入り込むことを防止できる。
【0067】
また、
図6に示すように、収納部5の少なくとも空洞部7側は、コンデンサ本体2の外周面に沿って均一な肉厚となっている。そのため、複数の収納部5同士を近接させて配置することが可能になり、収納ケース3の小型化及び軽量化を図ることができ、かつ導出孔16から導出されたガスが広がる充分な容積を有する空洞部7を形成することができ、ガスを導出孔16から安全に開放させることができる。
【0068】
また、複数の収納部5が環状に配置されるとともに、これら複数の収納部5の中央部に、導出孔16が設けられることで、各収納部5に収納されたコンデンサ本体2の圧力開放機構25から導出孔16までの距離が同じになり、いずれのコンデンサ本体2の圧力開放機構25からガスが開放されても、開放されたガスを導出孔16まで到達させることができる。なお、導出孔16を通過したガスは、上下に連接したコンデンサ本体1の間に設けられた空隙(図示略)を通じてコンデンサ本体1から外部に放出されることになる。
【0069】
また、収納ケース3が複数の収納部5を一体的に成型した樹脂製となっていることで、収納ケース3内の閉塞度が高まり、導出孔以外から外部の埃や水が収納ケース内に入り込むことを防止できる。
【0070】
また、収納ケース3は、その開口部側が閉塞板32にて封止されており、収納ケース3の中央の導出孔16のみが開口されているため、コンデンサ装置1を車両等の機器に搭載した場合に、車両が水没してしまう状況にあっても、収納ケース3の導出孔16を超えて水が到達しない限り、コンデンサ装置1内に水が浸入することがない。
【0071】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0072】
例えば、前記実施例では、コンデンサとして電気2重層コンデンサを例示しているが、本発明が適用されるコンデンサはこれに限らず、電解コンデンサ、電気化学キャパシタなどの各種コンデンサ、キャパシタに適用できる。
【0073】
また、前記実施例では、円筒形状のコンデンサ本体2を例示しているが、本発明はこれに限らず、角型形状等の非円筒形のコンデンサ本体にも適用することができる。なお、角型形状のコンデンサ本体であれば、その角型形状に適合させ、収納ケースの収納部を角筒形状にすればよい。
【0074】
また、前記実施例では、1つの収納ケース3に対して、5つの収納部5が環状に形成されているが、これら収納部5の個数や配置形態は特に限定されるものではなく、少なくとも2個や3個の収納部5、或いは6個や7個以上の収納部5を形成してもよく、また収納部5を一列や複数列に配置してもよい。