特許第5887895号(P5887895)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5887895検査対象物表面の傷検出装置及び傷検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5887895
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】検査対象物表面の傷検出装置及び傷検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/952 20060101AFI20160303BHJP
   G01N 21/954 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
   G01N21/952
   G01N21/954 Z
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2011-265568(P2011-265568)
(22)【出願日】2011年12月5日
(65)【公開番号】特開2013-117463(P2013-117463A)
(43)【公開日】2013年6月13日
【審査請求日】2014年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100087527
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 光雄
(72)【発明者】
【氏名】太田 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】村山 浩
【審査官】 小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−223610(JP,A)
【文献】 特開平04−172238(JP,A)
【文献】 特開2001−033394(JP,A)
【文献】 特開2009−115613(JP,A)
【文献】 特開2012−185031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 − G01N 21/958
G01B 11/00 − G01B 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の検査対象表面を撮影する撮影装置と、
該撮影装置から出力された撮影画像の変化に基づいて上記検査対象表面の傷の有無を判定する判定装置と、
記検査対象表面に沿う方向に上記撮影装置又は上記検査対象物の少なくとも一方を移動させる相対変位装置と、
制御装置と、を備え、
上記制御装置は、上記撮影装置又は上記検査対象物が移動する際に、上記撮影装置に複数回露光を行わせる機能と該露光時間の間に上記撮影装置の撮影視野の相対移動距離が上記判定装置により判定できる傷の最小長さ以上になるまで上記相対変位装置を駆動させ続けて上記撮影装置により傷を引き伸ばした状態の撮影画像を得る機能とを有する構成としたこと
を特徴とする検査対象物表面の傷検出装置。
【請求項2】
制御装置に、撮影装置による複数回行われる露光の、ある露光時間終了時の撮影装置の撮影視野に対して撮影装置の次の露光開始時の撮影視野が判定装置により判定できる傷の最小長さ以上重なるまで相対変位装置を駆動させる機能を設けるようにした
請求項1記載の検査対象物表面の傷検出装置。
【請求項3】
検査対象物を円筒体とすると共に、相対変位装置を上記円筒体の軸心上でその周方向に該円筒体と撮影装置とを相対的に回転させる回転駆動装置とし、
更に、制御装置に、上記撮影装置による複数回行われる露光の、撮影装置の最初の露光時の撮影視野に対して撮影装置の周方向最後の露光時の撮影視野が判定装置により判定できる傷の最小長さ以上重なるように上記回転駆動装置を駆動させる機能を設けるようにした
請求項1又は2記載の検査対象物表面の傷検出装置。
【請求項4】
円筒体の検査対象表面の位置を検知する検知装置と撮影装置を円筒体の直径方向に移動させる撮影装置駆動機構とを備える計測ユニットを設けて、
制御装置に、上記検知装置の検知信号に基づいて上記撮影装置駆動機構の駆動を制御する機能を設けるようにした
請求項3記載の検査対象物表面の傷検出装置。
【請求項5】
円筒体の外周面に搬送面を接触させることにより撮影装置の支持軸の軸心と円筒体の軸心方向位置を一致させた状態にして円筒体を搬送する搬送装置と、計測ユニットを鉛直方向に移動させる計測ユニット駆動機構とを設けて、
制御装置に、円筒体の外径に基づいて該円筒体の軸心の高さを求める機能と該求めた軸心の高さに上記撮影装置の支持軸の軸心の高さが一致するまで上記計測ユニット駆動機構を駆動させる機能とを設けるようにした
請求項4記載の検査対象物表面の傷検出装置。
【請求項6】
検査対象物の検査対象表面を撮影する撮影装置に露光を行わせている間に、該撮影装置の撮影視野を、上記検査対象表面に沿って、判定装置により判定できる傷の最小長さ以上相対移動させ続けて、上記撮影装置により傷を引き伸ばした状態の撮影画像を得る工程と、
上記撮影装置の露光により撮影された撮影画像の変化に基づいて、上記検査対象表面の傷の有無を、上記判定装置により判定する工程と、
を有することを特徴とする検査対象物表面の傷検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管材の端面に形成された開先の内面に生じた傷など、検査対象物の表面に生じた傷を検出するために用いられる検査対象物表面の傷検出装置及び傷検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、検査対象物表面の傷を検出する装置としては、検査対象物を所定の回転角度毎に間欠的に回転させる回転装置と、上記検査対象物の表面を上記所定の回転角度毎に撮像する撮像カメラ装置と、該撮像カメラ装置から出力された画像データ毎に、所与の画像データと該所与の画像データの一つ前の回転角度にて撮像された画像データとに基づいて、上記検査対象物の検査対象領域における画像間の差分の画像を示す差分画像を生成して、該差分画像に基づいて上記検査対象物表面の傷の有無を判定する検査装置と、を備えた構成のものが提案されてきている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
又、検査対象物表面の傷を検出する他の装置としては、管材の一方の開口端部側に配置した拡散光源と、管材の他方の開口端部側に該管材の中心軸に対して光軸が微小な角度で交差するように相対配置した焦点可動型ズームレンズ付のカメラと、第1の管材位置にて焦点を連続変化させて撮影して得られた第1の内面観察統合画像と上記第1の管材位置に対して管材を軸廻りに微小回転させた第2の管材位置に対して焦点を連続変化させて撮影して得られた第2の内面観察統合画像とを比較解析する傷検出解析手段と、を備えた構成のものが提案されてきている(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−248325号公報
【特許文献2】特開2011−69616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献1に記載された検査対象物表面の傷を検出する装置は、撮像カメラ装置により、撮影画像にぶれが生じないシャッタースピードで検査対象物表面の撮影を行うものであるため、検査対象物表面の傷の長さが、検査装置で検出できる最小長さ未満である場合、検査対象物表面の傷を検査装置で検出することができないという問題がある。
【0006】
又、上記特許文献2に記載された検査対象物表面の傷を検出する装置は、第1の管材位置にて撮影して得られた第1の内面観察統合画像と、上記第1の管材位置から軸廻りに微小回転させた第2の管材位置にて撮影して得られた第2の内面観察統合画像とを比較することにより、検査対象物表面の傷を検出するものであるため、引用文献1に記載されたものと同様に、検査対象物表面の傷の長さが、傷検出解析手段で検出できる最小長さ未満である場合には、検査対象物表面の傷を検出することができないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、検査対象物表面に生じた傷が、検査対象物表面の傷の有無を判定する判定装置で検出できる最小長さ未満であったとしても、該検査対象物表面に生じた傷を容易に検出することができる検査対象物表面の傷検出装置及び傷検出方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、検査対象物の検査対象表面を撮影する撮影装置と、該撮影装置から出力された撮影画像の変化に基づいて上記検査対象表面の傷の有無を判定する判定装置と、上記検査対象表面に沿う方向に上記撮影装置又は上記検査対象物の少なくとも一方を移動させる相対変位装置と、制御装置と、を備え、上記制御装置は、上記撮影装置又は上記検査対象物が移動する際に、上記撮影装置に複数回露光を行わせる機能と該露光時間の間に上記撮影装置の撮影視野の相対移動距離が上記判定装置により判定できる傷の最小長さ以上になるまで上記相対変位装置を駆動させ続けて上記撮影装置により傷を引き伸ばした状態の撮影画像を得る機能とを有する構成とする。
【0009】
又、請求項2に対応して、上記構成における制御装置に、撮影装置による複数回行われる露光の、ある露光時間終了時の撮影装置の撮影視野に対して撮影装置の次の露光開始時の撮影視野が判定装置により判定できる傷の最小長さ以上重なるまで相対変位装置を駆動させる機能を設けるようにした構成とする。
【0010】
更に、請求項3に対応して、上記構成における検査対象物を円筒体とすると共に、相対変位装置を上記円筒体の軸心上でその周方向に該円筒体と撮影装置とを相対的に回転させる回転駆動装置とし、更に、制御装置に、上記撮影装置による複数回行われる露光の、撮影装置の最初の露光時の撮影視野に対して撮影装置の周方向最後の露光時の撮影視野が判定装置により判定できる傷の最小長さ以上重なるように上記回転駆動装置を駆動させる機能を設けるようにした構成とする。
【0011】
更に又、請求項4に対応して、上記構成において、円筒体の検査対象表面の位置を検知する検知装置と撮影装置を円筒体の直径方向に移動させる撮影装置駆動機構とを備える計測ユニットを設けて、制御装置に、上記検知装置の検知信号に基づいて上記撮影装置駆動機構の駆動を制御する機能を設けるようにした構成とする。
【0012】
又、請求項5に対応して、上記構成において、円筒体の外周面に搬送面を接触させることにより撮影装置の支持軸の軸心と円筒体の軸心方向位置を一致させた状態にして円筒体を搬送する搬送装置と、計測ユニットを鉛直方向に移動させる計測ユニット駆動機構とを設けて、制御装置に、円筒体の外径に基づいて該円筒体の軸心の高さを求める機能と該求めた軸心の高さに上記撮影装置の支持軸の軸心の高さが一致するまで上記計測ユニット駆動機構を駆動させる機能とを設けるようにした構成とする。
【0013】
更に、請求項6に対応して、検査対象物の検査対象表面を撮影する撮影装置に露光を行わせている間に、該撮影装置の撮影視野を、上記検査対象表面に沿って、判定装置により判定できる傷の最小長さ以上相対移動させ続けて、上記撮影装置により傷を引き伸ばした状態の撮影画像を得る工程と、上記撮影装置の露光により撮影された撮影画像の変化に基づいて、上記検査対象表面の傷の有無を、上記判定装置により判定する工程と、を有する構成とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の検査対象物表面の傷検出装置及び傷検出方法によれば、検査対象物の検査対象表面を撮影する撮影装置と、該撮影装置から出力された撮影画像の変化に基づいて上記検査対象表面の傷の有無を判定する判定装置と、上記検査対象表面に沿う方向に上記撮影装置又は上記検査対象物の少なくとも一方を移動させる相対変位装置と、制御装置と、を備え、上記制御装置は、上記撮影装置又は上記検査対象物が移動する際に、上記撮影装置に複数回露光を行わせる機能と該露光時間の間に上記撮影装置の撮影視野の相対移動距離が上記判定装置により判定できる傷の最小長さ以上になるまで上記相対変位装置を駆動させ続けて上記撮影装置により傷を引き伸ばした状態の撮影画像を得る機能とを有する検査対象物表面の傷検出装置、及び、検査対象物の検査対象表面を撮影する撮影装置に露光を行わせている間に、該撮影装置の撮影視野を、上記検査対象表面に沿って、判定装置により判定できる傷の最小長さ以上相対移動させ続けて、上記撮影装置により傷を引き伸ばした状態の撮影画像を得る工程と、上記撮影装置の露光により撮影された撮影画像の変化に基づいて、上記検査対象表面の傷の有無を、上記判定装置により判定する工程と、を有する検査対象物表面の傷検出方法としてあるので、撮影装置の露光時間中に、判定装置により判定できる傷の最小長さ以上に、撮影装置の撮影視野を検査対象物表面の傷に対して相対的に移動させることができる。したがって、検査対象物表面に生じた傷を判定装置により判定できる傷の最小長さ以上に引き伸ばした状態の撮影画像を撮影装置により作成することができる。よって、検査対象物表面に生じた実際の傷の長さが、判定装置で判定できる傷の最小長さ未満であったとしても、該判定装置により検査対象物表面の傷を容易に検出することができる。又、検査対象物表面に生じた傷の長さが、判定装置により判定できる傷の最小長さ以上の場合でも、その傷を撮影装置の露光時間中に撮影装置の撮影視野を移動させた分だけ引き伸ばした撮影画像を撮影装置により作成することができるので、判定装置により、傷とより容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の検査対象物表面の傷検出装置の実施の一形態を示す概略側面図である。
図2図1のA−A方向矢視図である。
図3】検査対象物としての円筒体の搬送とクランプの状態を示すもので、(a)は図1のB−B方向矢視図、(b)は図1のC−C方向矢視図である。
図4図1に示す計測ユニットを拡大して示すもので、(a)は概略側面図、(b)は(a)の概略正面図である。
図5図1の検査対象物表面の傷検出装置に備えた制御装置の制御構成を示すブロック図である。
図6図1の検査対象物表面の傷検出装置により、検査対象物としての円筒体の端部表面の検査を行う手順を示すもので、(a)は円筒体の下流側端面をストッパーに当接させた状態を示す概略側面図、(b)は円筒体をクランプ装置で固定した状態を示す概略側面図、(c)は円筒体の軸心と撮影装置の回転軸との芯合わせを行った状態を示す概略側面図である。
図7図6(c)の状態から円筒体の外周面端部の検査を行う手順を示すもので、(a)は撮影装置を所望の撮影視野で円筒体外周面の撮影を行える位置に移動させた状態を示す概略側面図、(b)は撮影装置を円筒体軸心方向の撮影位置に移動させた状態を示す概略側面図、(c)は通常撮影制御により撮影を行っている状態を示す模式図、(d)は送り制御により撮影装置を移動させている状態を示す模式図、(e)は終端撮影制御により撮影を行っている状態を示す模式図である。
図8図6(c)の状態から円筒体の内周面端部の検査を行う手順を示すもので、(a)は撮影装置を所望の撮影視野で円筒体内周面の撮影を行える位置に移動させた状態を示す概略側面図、(b)は撮影装置を円筒体軸心方向の撮影位置に移動させた状態を示す概略側面図、(c)は通常撮影制御により撮影を行っている状態を示す模式図、(d)は送り制御により撮影装置を移動させている状態を示す模式図、(e)は終端撮影制御により撮影を行っている状態を示す模式図である。
図9】本発明の検査対象物表面の傷検出装置の実施の他の形態を示すもので、(a)は概略側面図、(b)は(a)のD−D方向矢視図である。
図10図9の検査対象物表面の傷検出装置に備えた制御装置の制御構成を示すブロック図である。
図11図9の検査対象物表面の傷検出装置により、円筒体の外周面上端の検査を行う手順を示すもので、(a)は円筒体の下流側端面をストッパーに当接させた状態を示す概略側面図、(b)は撮影装置を所望の撮影視野で円筒体外周面上端の撮影を行える位置に移動させた状態を示す概略側面図、(c)は撮影装置を円筒体軸心方向の撮影位置に移動させた状態から始端撮影制御により撮影を行っている状態を示す概略側面図、(d)送り制御により撮影装置を移動させている状態を示す概略側面図である。
図12図11の検査手順の続きを示すもので、(a)は通常撮影制御により撮影を行っている状態を示す概略側面図、(b)は終端撮影制御により撮影を行っている状態を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図1及至図8(a)(b)(c)(d)(e)は本発明の検査対象物表面の傷検出装置及び傷検出方法の実施の一形態を示すもので、検査対象物としての円筒体1(管材)を該円筒体1の軸心方向に搬送する搬送装置8と、該搬送装置8により搬送される上記円筒体1の一端面をストッパー29で停止させた後に固定するクランプ装置9とを備えて、該クランプ装置9で固定された円筒体1の一端面に対向するように、該円筒体1の検査対象表面を撮影するための撮影装置2と、上記円筒体1の内周面の位置を検知する検知装置5と、該検知装置5と上記撮影装置2を上記円筒体1の直径方向に移動させるようにする撮影装置駆動機構3と、該撮影装置駆動機構3と撮影装置2を上記円筒体1の軸心上でその周方向に回転させる相対変位装置としての回転駆動装置4と、を備えてなる計測ユニット6を備え、且つ、該計測ユニット6を上記円筒体1の軸心方向に移動させると共に鉛直方向(円筒体1の直径方向)に移動させるようにする計測ユニット駆動機構7を備えている。更に、上記撮影装置2から出力された撮影画像の明暗(輝度値)の変化に基づいて上記円筒体1の検査対象表面の傷の有無を判定する機能を有する判定装置10と、制御装置11が備えられており、該制御装置11には、上記撮影装置2に露光を行わせている間に該撮影装置2の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動(変位)距離が上記判定装置10により判定できる傷の最小長さ以上になるまで上記回転駆動装置4を駆動させ続けるという通常撮影制御を行う通常撮影制御部26と、露光時間終了時(撮影終了時)の上記撮影装置2の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向下流側端部(終端部)に対し、撮影装置2の次の露光開始時の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向上流側端部(始端部)が判定装置10により判定できる傷の最小長さ以上重なるまで上記回転駆動装置4を駆動させるという送り制御を行う送り制御部27と、上記撮影装置2の最初の露光時(撮影時)の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向上流側端部に対し、上記撮影装置2の最後の露光時(撮影時)の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向下流側端部が判定装置10により判定できる傷の最小長さ以上重なるまで回転駆動装置4を上記撮影装置2の露光時間中に駆動させ続けるという終端撮影制御を行う終端撮影制御部28と、が備えられた構成としてある。更に又、該制御装置11による上記通常撮影制御と上記終端撮影制御により撮影された撮影画像を処理して上記判定装置10に送る機能を有する画像処理装置12を備えた構成としてある。
【0018】
なお、上記判定装置10により判定できる傷の最小長さは、たとえば、撮影装置2の撮影視野(mm)×撮影装置2のCCD上の最小検出画素サイズ(画素)÷撮影装置2のCCDサイズ(画素)で求められる値などとする。
【0019】
詳述すると、上記計測ユニット6の撮像装置2は、たとえば、CCDカメラとしてあり、該撮影装置2の光軸が、軸心方向を水平にして配置した検査対象物としての円筒体1の中心軸に所要の角度で交差するように、該円筒体1の検査対象表面(図では内周面)に対して傾斜させた状態で、図1図4(a)に示す如く、搬送テーブル13の表面(円筒体1に対向する側面)に固定して設けるようにしてある。
【0020】
上記撮影装置駆動機構3は、上記搬送テーブル13を介して撮影装置2を円筒体1の直径方向に移動させるようにするもので、上記搬送テーブル13の裏面に、図4(b)に示す如く、搬送テーブル13の幅方向に所要の間隔で複数(図では4個)設けたリニアガイド14と、該各リニアガイド14を支持して上記搬送テーブル13を上記円筒体1の直径方向に移動させるように回転テーブル15の表面に平行に固定して設けたリニアガイドレール16とを備えてなる構成としてある。又、上記搬送テーブル13の裏面には、リニアモータ等の図示してないテーブル駆動装置を設けるようにしてある。
【0021】
このように、撮影装置駆動機構3を、上記搬送テーブル13と上記リニアガイド14と上記リニアガイドレール16と上記テーブル駆動装置とを備えてなる構成とすることで、上記撮影装置2を上記円筒体1の直径方向に移動できるようにしてある。
【0022】
上記搬送テーブル13の表面には、前記した撮影装置2の他に、図1図4(a)(b)に示す如く、上記円筒体1の内周面の位置を検知する、たとえば、光電センサの如き検知装置5が設けてある。該光電センサ5から照射される照射光は、上記円筒体1の軸心方向に照射されるようにしてあり、該光電センサ5からの照射光が上記円筒体2の端面内縁に遮られることにより、後述する制御装置11の撮影装置駆動機構制御部11dによる上記撮影装置駆動機構3の駆動が停止されるようにしてある。なお、上記円筒体1の内面の位置を検知することができれば、検知装置5として、接触式の変位センサなど、他のセンサを用いるようにしてもよい。
【0023】
更に、上記回転テーブル15の裏面には、上記撮影装置2を上記回転テーブル15を介して回転させるサーボモータの如き回転駆動装置4の回転軸(支持軸)4aを固定するようにしてある。これにより、上記撮影装置2を、上記回転駆動装置4における回転軸4aの軸心を回転中心として、上記撮影装置駆動機構3と一体に上記円筒体1の軸心上で回転させることができるようにしてある。又、上記回転テーブル15の表面には、図示してないが、上記リニアガイドレール16と平行に、位置検出器としてのリニアスケールを設けるようにしてあり、上記リニアガイドレール16に沿う方向の搬送テーブル13の位置や光電センサ5の位置を、上記リニアガイドレール16に沿う方向の任意の位置を基準とした絶対位置として検出することができるようにしてある。これにより、上記撮影装置2を回転させる回転軸4aの軸心位置から搬送テーブル13上の光電センサ5までの鉛直距離と、搬送テーブル13が移動してから上記光電センサ5の照射光が円筒体1の端面内縁に遮られて搬送テーブル13が停止するまでの移動距離に基づいて、円筒体1の内径の半径を計測することができるようにしてある。更に、上記回転駆動装置4は、支持構造体17に支持させるようにしてある。
【0024】
このようにして、上記撮影装置2と上記撮影装置駆動機構3と上記回転駆動装置4と上記検知装置5と上記支持構造体17を備えてなる計測ユニット6を構成するようにしてある。
【0025】
一方、上記計測ユニット駆動機構7は、図1図2に示す如く、上記計測ユニット6を上記円筒体1の軸心方向に移動させる水平方向駆動機構18と、上記計測ユニット6を鉛直方向に移動させる鉛直方向駆動機構19とを備えてなる構成としてある。
【0026】
上記水平方向駆動機構18は、上記支持構造体17の下端部に上記円筒体1の軸心方向平行となる前後方向に平行に設置したリニアガイド20と、該リニアガイド20を上記円筒体1の軸心方向に移動可能にするリニアガイドレール21と、上記支持構造体17の下端部に取り付けたリニアモータ等の図示してない駆動装置とを備えた構成としてある。これにより、上記計測ユニット6を上記円筒体1の軸心方向に移動できるようにしてある。
【0027】
又、上記鉛直方向駆動機構19は、上記水平方向駆動機構18におけるリニアガイドレール21を上面に設置した支持ブラケット22と、該支持ブラケット22の基端側(円筒体1に対向する側)に鉛直方向に平行に延びるように固定して設けたリニアガイド23と、該リニアガイド23を介して上記支持ブラケット22を鉛直方向に移動可能にするリニアガイドレール24と、上記支持ブラケット22に取り付けたリニアモータ等の図示してない駆動装置と、上記リニアガイドレール24を固定して立設させた支持台25とを備えた構成としてある。これにより、上記計測ユニット6を鉛直方向に移動させることができるようにしてある。
【0028】
更に、上記支持ブラケット22と上記支持台25には、上記水平方向駆動機構18におけるガイドレール21、上記鉛直方向駆動機構19におけるガイドレール24と平行に、図示してない位置検出器としてのリニアスケールをそれぞれ設けるようにしてある。これにより、上記撮影装置2を回転させる回転軸4aの軸心の高さ位置と、上記撮影装置2の円筒体1軸心方向の位置を、上記各ガイドレール21,24に沿う方向の任意の位置を基準とした絶対位置として検出することができるようにして、上記円筒体1の軸心の高さと上記撮影装置2を回転させる回転軸4aの軸心の高さとを一致させることができるようにしてあると共に、上記撮影装置2の円筒体1軸心方向の位置を、円筒体1の撮影位置に容易に合わせることができるようにしてある。
【0029】
上記計測ユニット6の撮影装置2には、円筒体1を搬送する搬送装置8を、円筒体1の一端面に対向させて設けるようにしてある。該搬送装置8は、図3(a)に示す如く、搬送面8aをトラフ形状にしてあり、該搬送面8aの両側面に上記円筒体1の外周面を接触させた状態で搬送面8aを円筒体1軸心方向に駆動させることで、上記円筒体1を搬送面8aが移動する円筒体1軸心方向に沿って搬送できるようにしてある。又、該搬送装置8の搬送面8aは、平面視で、搬送される円筒体1の軸心線が、上記撮影装置2を回転させる回転軸4aの軸心線と同一直線上に配置されるように設けてある。これにより、搬送される円筒体1の軸心線に直交する水平方向の位置と、上記撮影装置2の回転軸4aの軸心線に直交する水平方向の位置とを、円筒体1が搬送される間に自動で一致させるようにしてある。
【0030】
更に、上記支持台25上には、図3(b)に示す如く、上記撮影装置2による撮影位置に上記搬送装置8から送り出された円筒体1を送り出すローラ25aを、上記円筒体1の外周面に両側から当接させるように設けるようにしてある。又、支持台25上には、図1図3(b)に示す如く、上記搬送装置8により搬送される円筒体1を、撮影装置2による撮影位置で固定するクランプ装置9を昇降可能に設けるようにしてある。これにより、上記撮影装置2による円筒体1の検査対象表面の撮影中に、上記円筒体1が支持台25上から移動してしまうのを防止するようにしてある。
【0031】
次に、上記制御装置11の構成について説明する。上記制御装置11は、図5に示す如く、入力された情報に基づいて上記回転駆動装置4の回転速度ω,ω´を演算する撮影演算部11aを備えると共に、上記撮影装置2に露光を行わせると共に該露光時間tの間に上記撮影装置2の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動距離が上記判定装置10により判定できる傷の最小長さL以上になるまで上記撮影演算部11aで求めた回転速度ω,ω´で上記回転駆動装置4を駆動させ続けるという通常撮影制御を行う通常撮影制御部26と、該通常撮影制御による露光(撮影)が終了した際の撮影装置2の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向下流側端部(終端部)に対し、次の通常撮影制御又は終端撮影制御による露光開始時の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向上流側端部(始端部)が判定装置10により判定できる傷の最小長さL以上重なるまで上記撮影演算部11aで求めた回転速度ω,ω´で上記回転駆動装置4を駆動させる送り制御を行うという送り制御部27と、上記撮影装置2に露光を行わせると共に該露光時間tの間に上記撮影装置2の最初の露光時(撮影時)の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向上流側端部に対し、上記撮影装置2の最後の露光時の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向下流側端部が判定装置10により判定できる傷の最小長さL以上重なるまで上記撮影演算部11aで求めた回転速度ω,ω´で上記回転駆動装置4を駆動させ続ける終端撮影制御を行うという終端撮影制御部28と、を有する撮影制御部11bを備え、且つ、上記円筒体1の軸心の高さに上記撮影装置2を回転させる回転軸4aの軸心の高さが一致するまで上記計測ユニット駆動機構7における鉛直方向駆動機構19を駆動させる制御と、上記撮影装置2を円筒体1軸心方向における円筒体1を撮影する撮影位置に移動するまで上記計測ユニット駆動機構7における水平方向駆動機構18を駆動させる制御と、を行う計測ユニット駆動機構制御部11cを備え、更に、上記検知装置5の検知信号に基づいて上記撮影装置駆動機構3の駆動の制御を行う撮影装置駆動機構制御部11dを備えた構成としてある。
【0032】
上記撮影演算部11aは、円筒体1の検査対象表面を内周面とする場合には、たとえば、上記回転テーブル15に取り付けた図示してないリニアスケールから求まる円筒体1の内径の半径rと、上記撮影装置2の露光時間tと、上記撮影装置2の撮影視野2aの長さXと、上記送り制御により上記撮影装置2が移動させられる距離Zと、円筒体1の内周面全周を検査する場合に上記撮影装置2が露光(撮影)を行う回数nと、上記終端撮影制御により最初の露光時の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向上流側端部に対して最後の露光時の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向下流側端部を重ねる長さAとから、上記回転駆動装置4の回転速度ω(=(2πr+A−X−(n−1)Z)/ntr、但し、rωt≧判定装置により判定できる傷の最小長さL、A≧L、X−Z≧L)を求めるようにしてある。又、円筒体1の検査対象表面を外周面とする場合には、たとえば、図示してないレーザ変位センサの如き外径計測器などで計測された円筒体1の外径の半径Rと、上記撮影装置2の露光時間tと、上記撮影装置2の撮影視野2aの長さXと、上記送り制御により上記撮影装置2が移動させられる距離Zと、円筒体1の外周面全周を検査する場合に上記撮影装置2が露光(撮影)を行う回数nと、上記終端撮影制御により最初の露光時の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向上流側端部に対して最後の露光時の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向下流側端部を重ねる長さAとから、上記回転駆動装置4の回転速度ω´(=(2πR+A−X−(n−1)Z)/ntR、但し、Rωt≧L、A≧L、X−Z≧L)を求めるようにしてある。なお、rωt≧L、Rωt≧L、A≧L、X−Z≧Lとしてあるのは、rωt、Rωt、A、X−Zのいずれかが、判定装置10により判定できる傷の最小長さL未満だと、撮影装置2の撮影画像において、傷の引き伸ばし作用が得られない部分が生じてしまうからである。
【0033】
又、上記撮影演算部11aは、上記円筒体1の内径の半径rと、上記回転駆動装置4の回転速度ωと、上記送り制御により撮影装置2が移動させられる距離Zとから、送り制御により回転駆動装置4を駆動させる送り時間t´を求めるようにしてある。
【0034】
上記撮影制御部11bは、上記撮影演算部11aから回転速度ω,ω´と露光回数nと露光時間tと送り時間t´を読み込むようにしてあり、検査対象物に対する検査開始の信号を受けると、上記通常撮影制御部26に通常撮影制御開始信号を送って、該通常撮影制御部26に、通常撮影制御を開始させるようにしてある。該通常撮影制御は、上記撮影装置2に露光を行わせる制御と、該露光時間tの間に上記撮影演算部11aで求めた回転速度ω,ω´で上記回転駆動装置4を駆動させ続ける制御とを備えるようにしてある。これにより、上記撮影装置2の撮影視野2aを、露光時間tの間に、図7(c)、図8(c)に示す如く、上記判定装置10により判定できる傷の最小長さL以上移動させることで、撮影装置2により傷を引き伸ばした状態の撮影画像を得ることができるようにしてある。又、通常撮影制御部26は、露光時間tが経過して撮影が終了すると、露光時間終了信号を送り制御部27に送るようにしてある。
【0035】
上記送り制御部27は、上記通常撮影制御部26から露光時間終了信号を受けると、送り時間t´の間、上記撮影演算部11aで求めた回転速度ω,ω´で回転駆動装置4を駆動させる送り制御を行うようにしてある。これにより、上記撮影装置2の撮影視野2aを、図7(d)、図8(d)に示す如く、通常撮影制御による露光が終了した際の撮影装置2の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向下流側端部に対して次の通常撮影制御又は終端撮影制御による露光開始時の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向上流側端部が判定装置10により判定できる傷の最小長さL以上重なるまで移動させるようにしてある。又、送り制御部27は、送り時間t´が経過して送り制御が終了すると、通常撮影制御部26による合計撮影回数がn−1回未満の場合には、通常撮影制御部26に通常撮影制御開始信号を送って、通常撮影制御部26に再び通常撮影制御を行わせるようにしてある。一方、通常撮影制御部26による合計撮影回数がn−1回の場合には、上記終端撮影制御部28に、終端撮影制御開始信号を送るようにしてある。
【0036】
上記終端撮影制御部28は、上記送り制御部27から終端撮影制御開始信号を受けると、終端撮影制御として、上記撮影装置2に露光を行わせる制御と、該露光時間tの間に上記撮影演算部11aで求めた回転速度ω,ω´で上記回転駆動装置4を駆動させ続ける制御とを行うようにしてある。これにより、上記撮影装置2の撮影視野2aを、露光時間tの間に、通常撮影制御による露光が終了した際の撮影装置2の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向下流側端部に対して終端撮影制御による露光開始時の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向上流側端部を判定装置10により判定できる傷の最小長さL以上重ねた状態から、図7(e)、図8(e)に示す如く、終端撮影制御による露光終了時の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向下流側端部が上記撮影装置2の最初の露光時の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向上流側端部に判定装置10により判定できる傷の最小長さL以上重なるまで移動させるようにしてある。
【0037】
一方、上記計測ユニット駆動機構制御部11cは、たとえば、図示してないレーザ変位センサの如き外径計測器などで計測された円筒体1の外径と、上記搬送装置8のトラフ形状の搬送面8aの高さと、該搬送面8aのなす角から、上記円筒体1の軸心の高さを求める機能を有しており、上記支持台25に取り付けた図示してないリニアスケールから求まる上記撮影装置2を回転させる回転軸4aの軸心の高さと、上記求めた円筒体1の軸心の高さとに基づいて、鉛直方向駆動機構19を駆動させる制御を行うようにしてある。これにより、上記撮影装置2を回転させる回転軸4aの軸心の高さと、円筒体1の軸心の高さを一致させることができるようにしてある。又、上記支持ブラケット22に取り付けた図示してないリニアスケールから求まる上記撮影装置2の円筒体1軸心方向の位置と、円筒体1が後述するストッパー29により停止される位置、すなわち、撮影装置2による撮影位置とに基づいて、上記水平方向駆動機構18を駆動させる制御を行うようにしてある。これにより、上記撮影装置2を、円筒体1に対して離反する退避位置と、円筒体1を撮影する撮影位置(円筒体1がストッパー29により停止される位置)との間を移動させることができるようにしてある。
【0038】
上記撮影装置駆動機構制御部11dは、円筒体1の検査対象表面を外周面とする場合には、たとえば、図示してないレーザ変位センサの如き外径計測器などで計測された円筒体1の外径と、上記回転テーブル15に取り付けた図示してないリニアスケールから求まる上記撮影装置2の現在位置と、予め記憶させておいた所望の撮影視野2aが得られる撮影装置2と円筒体1の検査対象表面との垂直方向距離に基づいて、上記搬送テーブル13を上記円筒体1の直径方向に移動させる距離を求める機能を有しており、該求めた距離に基づいて、上記撮影装置駆動機構3を駆動させる制御を行うようにしてある。これにより、撮影装置2に所望の撮影視野2aで円筒体1の外周面の撮影を行えるようにしてある。一方、円筒体1の検査対象表面を内周面とする場合には、検知装置5の検知信号、たとえば、光電センサ5の照射光が円筒体1の端面内縁に遮られることにより送られる検知信号、に基づいて、上記撮影装置駆動機構3の駆動を停止するようにしてある。これにより、上記撮影装置2に所望の撮影視野2aで円筒体1の内周面の撮影を行えるようにしてあると共に、検知装置5の検知信号に基づいて円筒体1の内径の半径を求めて、該円筒体1の内径の半径rを、上記撮影演算部11aに送るようにしてある。
【0039】
更に、上記画像処理装置12は、露光回数nが2以上、送り制御により撮影装置2が移動させられる距離Zがゼロで、且つ、X≧Rωt≧Lの場合には、上記撮影装置2より出力される各撮影画像を順次繋げる処理を行い、該繋げた撮影画像を判定装置10に送るようにしてある。これにより、判定装置10で、円筒体1の検査対象表面に生じた全ての傷の位置を推定できるようにしてある。一方、送り制御により撮影装置2が移動させられる距離Zが設定されている場合には、上記撮影装置2より出力される各撮影画像を繋げる処理をせずに、各撮影画像を判定装置10に送るようにしてある。これにより、少ない露光回数nで、判定装置10により傷の有無を判定することができる。なお、画像処理装置12においては、撮影画像に対して、明るさの補正などを適宜行うようにしてある。
【0040】
更に又、上記判定装置10は、撮影画像の明暗の変化と該明暗の変化の出現パターンとに基づいて円筒体1の検査対象表面に生じた傷の有無の判定を行う判定機能と、該判定機能により傷と判定された明暗の変化部分の下流側端部を円筒体1の検査対象表面に生じた傷の位置と推定する位置推定機能とを備えた構成としてある。上記判定機能は、露光回数nが2回以上の場合に、各撮影画像の同じ位置に明暗の変化が生じる部分が出現したり、繋げた撮影画像に等間隔に明暗の変化が生じる部分が出現したりするときには、該部分を撮影像装置2のレンズに付着した汚れと認識して、該部分を傷と判定しないようにしてある。
【0041】
かかる構成の検査対象物表面の傷検出装置を用いて、円筒体1の外周面端部又は内周面端部の検査を行う場合、まず、ストッパー29を、図示してない昇降機構により下降させておき、該ストッパー29に、図6(a)に示す如く、円筒体1の下流側端面が当接するまで、円筒体1を搬送装置8により搬送する。次に、ストッパー29に、円筒体1の下流側端面が当接すると、搬送装置8を停止させて、図6(b)に示す如く、クランプ装置9を下降させ、円筒体1を支持台25上で固定し、図示してない昇降機構によりストッパー29を上昇させる。次いで、図示してないレーザ変位センサの如き外径計測器などを用いて計測した円筒体1の外径に基づいて、上記制御装置11の計測ユニット駆動機構制御部11cにおいて円筒体1の軸心の高さを求め、該求めた円筒体1の軸心の高さと上記撮影装置2を回転させる回転軸4aの軸心の高さに基づいて、計測ユニット駆動機構制御部11cの制御により、計測ユニット駆動機構7における鉛直方向駆動機構19を駆動させて、図6(c)に示す如く、円筒体1の軸心と撮影装置2を回転させる回転軸4aとの芯合わせを行う。
【0042】
この状態において、円筒体1の外周面端部の検査を行う場合、まず、上記制御装置11における撮影装置駆動機構制御部11dの制御により、図7(a)に示す撮影装置駆動機構3の駆動を開始させて、撮影装置2を、所望の撮影視野2aで円筒体1の外周面の撮影を行える位置にリニアガイドレール16に沿い移動させる。次に、上記制御装置11の計測ユニット駆動機構制御部11cの制御により、図7(b)に示す如く、円筒体1の下流側端面をストッパー29に当接させた位置と、上記撮影装置2の円筒体1軸心方向の位置に基づいて、計測ユニット駆動機構7の水平方向駆動機構18を駆動させて、上記撮影装置2を円筒体1軸心方向の撮影位置に移動させる。次いで、通常撮影制御部26の通常撮影制御により、図7(c)に示す如く、上記撮影装置2に露光を開始させると共に、該露光時間tの間、上記撮影演算部11aにおいて求めた回転速度ω´で回転駆動装置4を駆動させ続けて、撮影装置2を回転変位させる。その後、送り制御部27の送り制御により、送り時間t´の間、図7(d)に示す如く、上記撮影演算部11aで求めた回転速度ω´で回転駆動装置4を駆動させる。この通常撮影制御と送り制御をn−1回行った後、終端撮影制御部28の終端撮影制御により、図7(e)に示す如く、上記撮影装置2に露光を開始させると共に、該露光時間tの間、上記撮影演算部11aにおいて求めた回転速度ω´で回転駆動装置4を駆動させ続けて、円筒体1外周面端部の撮影を終了する。なお、撮影画像は順次、撮影装置2から画像処理装置12に送るようにしてある。
【0043】
一方、円筒体1の内周面端部の検査を行う場合、まず、上記制御装置11における撮影装置駆動機構制御部11dの制御により、図8(a)に示す如く、撮影装置駆動機構3を、検知装置5が円筒体1の端面内縁を検知するまで駆動させて、撮影装置2を、リニアガイドレール16に沿わせて所望の撮影視野2aで円筒体1の内周面の撮影を行える位置に移動させる。次に、上記制御装置11の計測ユニット駆動機構制御部11cの制御により、図8(b)に示す如く、円筒体1の下流側端面をストッパー29に当接させた位置と、上記撮影装置2の円筒体1軸心方向の位置に基づいて、水平方向駆動機構18を駆動させて、上記撮影装置2を円筒体1軸心方向の撮影位置に移動させる。次いで、通常撮影制御部26の通常撮影制御により、図8(c)に示す如く、上記撮影装置2に露光を開始させると共に、該露光時間tの間、上記撮影演算部11aにおいて求めた回転速度ωで回転駆動装置4を駆動させ続ける。その後、送り制御部27の送り制御により、送り時間t´の間、図8(d)に示す如く、上記撮影演算部11aで求めた回転速度ω´で回転駆動装置4を駆動させる。この通常撮影制御と送り制御を撮影回数n−1回行った後、終端撮影制御部28の終端撮影制御により、図8(e)に示す如く、上記撮影装置2に露光を開始させると共に、該露光時間tの間、上記撮影演算部11aにおいて求めた回転速度ωで回転駆動装置4を駆動させ続けて、円筒体1内周部端部の撮影を終了する。なお、撮影画像は順次、撮影装置2から画像処理装置12に送るようにしてある。
【0044】
画像処理装置12に撮影画像が送られると、送り制御により撮影装置2が移動させられる距離Zが設定されている場合には、上記撮影装置2より出力される各撮影画像を繋げる処理をせずに、各撮影画像が判定装置10に送られる。一方、露光回数nが2以上、送り制御により撮影装置2が移動させられる距離Zがゼロで、且つ、X≧Rωt≧Lの場合には、上記撮影装置2より出力される各撮影画像を順次繋げる処理を行い、該繋げた撮影画像が判定装置10に送られる。
【0045】
判定装置10は、撮影画像を受け取ると、各撮影画像の明暗の変化が生じる部分を傷と判定する。この際、各撮影画像の同じ位置に明暗の変化が生じる部分が出現したり、繋げた撮影画像に等間隔に明暗の変化が生じる部分が出現したりする場合には、該部分を撮影装置2のレンズに付着した汚れと認識して、該部分は傷と判定されないことになる。又、傷と判定された明暗の変化部分の下流側端部が円筒体1に生じた傷の位置と推定されることになる。
【0046】
このように、上記構成の検査対象物表面の傷検出装置によれば、撮影装置2の露光時間中に、判定装置10により判定できる傷の最小長さ以上に、撮影装置2の撮影視野2aを円筒体1の外周面端部、内周面端部の傷に対して相対的に移動させることができる。したがって、円筒体1の外周面端部、内周面端部に生じた傷を判定装置10により判定できる傷の最小長さ以上に引き伸ばした状態の撮影画像を撮影装置2により作成することができる。よって、円筒体1の外周面端部、内周面端部に生じた実際の傷の長さが、判定装置10で判定できる傷の最小長さ未満であったとしても、該判定装置10により円筒体1の外周面端部、内周面端部の傷の有無を容易に判定することができる。
【0047】
又、円筒体1の外周面端部、内周面端部に生じた傷の長さが、判定装置10により判定できる傷の最小長さ以上の場合でも、その傷を撮影装置2の露光時間中に撮影装置2の撮影視野2aを移動させた分だけ引き伸ばした状態の撮影画像を撮影装置2により作成することができるので、判定装置10により、傷とより容易に判定することができる。
【0048】
次に、図9(a)(b)及至図12(a)(b)は本発明の検査対象物表面の傷検出装置及び傷検出方法の実施の他の形態として、検査対象物としての円筒体1の外周面をその軸心方向に撮影して傷の検出を行うようにした場合の一例を示すもので、計測ユニット30と、計測ユニット駆動機構32と、制御装置33とを備えた構成としてある。上記計測ユニット30は、検査対象物としての円筒体1(管材)の検査対象表面を撮影するための撮影装置2と、上記円筒体1の軸心上で該円筒体1に対して上記撮影装置2を相対的に円筒体1軸心方向に移動させる相対変位装置としての移動装置31と、を備えてなる構成としてある。又、上記計測ユニット駆動機構32は、上記計測ユニット30を鉛直方向に移動させる構成のものとしてある、更に、上記制御装置33は、撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向上流側端を円筒体1の下流側端から判定装置10により判定できる傷の最小長さ以上突出させた上記撮影装置2における撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動距離が判定装置10により判定できる傷の最小長さ以上になるまで上記移動装置31を上記撮影装置2の露光時間中に駆動させ続けるという始端撮影制御を行う始端撮影制御部41と、該始端撮影制御の後に上記撮影装置2に露光を行わせている間に上記撮影装置2の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動距離が上記判定装置10により判定できる傷の最小長さ以上になるまで上記移動装置31を駆動させ続けるという通常撮影制御を行う通常撮影制御部42と、露光時間終了時(撮影終了時)の上記撮影装置2の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向下流側端部(終端部)に対して撮影装置2の次の露光開始時の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向上流側端部(始端部)が判定装置10により判定できる傷の最小長さ以上重なるまで上記回転駆動装置4を駆動させるという送り制御を行う送り制御部43と、通常撮影制御の後に上記撮影装置2の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向下流側端が円筒体1の上流側端から判定装置10により判定できる傷の最小長さ以上突出するまで上記移動装置31を上記撮影装置2の露光時間中に駆動させ続けるという終端撮影制御を行う終端撮影制御部44と、を有するものとした構成とする。
【0049】
詳述すると、上記計測ユニット30の撮影装置2は、図9(a)に示す如く、光軸を上記円筒体1の中心軸に所要の角度で交差するように傾斜させた状態で、搬送テーブル34の下側面に固定して設けるようにしてある。該搬送テーブル34の上側面には、リニアガイド35が、図9(b)に示す如く、所要の間隔で複数(図では4個)設けてあり、該各リニアガイド35は、図9(a)に示す如く、上記円筒体1の軸心方向に延びるように昇降テーブル36の下側面に平行に固定して設けたリニアガイドレール37に移動可能に取り付けられている。更に、上記搬送テーブル34には、リニアモータ等の図示してないテーブル駆動装置が設けられてある。このように、移動装置31を、上記搬送テーブル34と上記リニアガイド35と上記リニアガイドレール37と上記テーブル駆動装置とを備えてなる構成することで、上記撮影装置2を上記円筒体1の軸心方向に移動できるようにしてある。
【0050】
又、上記昇降テーブル36には、上記リニアガイドレール37と平行に位置検出器としての図示してないリニアスケールを設けるようにして、上記リニアガイドレール37に沿う方向の搬送テーブル34の位置を、上記リニアガイドレール37に沿う方向の任意の位置を基準とした絶対位置として検出することができるようにしてある。これにより、上記撮影装置2の最初の露光時(撮影時)の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向上流側端を、円筒体1の上流側端から判定装置10により判定できる傷の最小長さ以上突出させた位置に位置決めできるようにしてある。又、上記撮影装置2の最後の露光時(撮影時)の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向下流側端を、図示してないレーザ変位センサの如き長さ計測器などで計測された円筒体1の長さに基づいて、円筒体1の下流側端から判定装置10により判定できる傷の最小長さ以上突出する位置まで移動させることができるようにしてある。このようにして、上記撮影装置2と上記移動装置31を備えてなる計測ユニット30を構成するようにしてある。
【0051】
一方、上記計測ユニット駆動機構32は、図9(a)(b)に示す如く、上記昇降テーブル36の各コーナー部分(図では4ヶ所)に鉛直方向に固定して設けたリニアガイド38と、該各リニアガイド38を鉛直方向に移動可能に取り付けたリニアガイドレール39と、上記昇降テーブル36に取り付けたリニアモータ等の図示してない駆動装置と、上記各リニアガイドレール36をそれぞれ固定して搬送装置8の両側に立設させた支持台40とを備えた構成としてある。これにより、上記計測ユニット30を鉛直方向に移動させることができるようにしてある。
【0052】
又、上記支持台40には、上記計測ユニット駆動機構32におけるリニアガイドレール39と平行に、図示してない位置検出器としてのリニアスケールを設けるようにしてある。これにより、上記撮影装置2の高さ位置を、上記リニアガイドレール39に沿う方向の任意の位置を基準とした絶対位置として検出することができるようにして、上記円筒体1の外周面上端と上記撮影装置2との間の距離を、所望の撮影視野2aが得られる距離に容易に設定できるようにしてある。
【0053】
又、上記搬送装置8は、該搬送装置8により搬送される円筒体1の軸心線が、平面視で、上記撮影装置2の光軸と同一直線上に配置されるように設置するようにしてある。これにより、搬送される円筒体1の軸心線に直交する水平方向の位置と、上記撮影装置2の光軸に直交する水平方向の位置とが、円筒体1が搬送される間に自動で一致されるようにしてある。
【0054】
次に、上記制御装置33の構成について説明する。上記制御装置33は、図10に示す如く、入力された情報に基づいて上記移動装置31の移動速度vを演算する撮影演算部33aを備えると共に、前記したように、上記撮影装置2に最初の露光を行わせると共に撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向上流側端を円筒体1の下流側端から判定装置10により判定できる傷の最小長さL以上突出させた上記撮影装置2における撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動距離が判定装置10により判定できる傷の最小長さL以上になるまで上記移動装置31を上記撮影装置2の最初の露光時間tの間に駆動させ続けるという始端撮影制御を行う始端撮影制御部41と、該始端撮影制御の後に上記撮影装置2に露光を行わせると共に該露光時間tの間に上記撮影装置2の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動距離が上記判定装置10により判定できる傷の最小長さL以上になるまで上記撮影演算部33aで求めた移動速度vで上記移動装置31を駆動させ続けるという通常撮影制御を行う通常撮影制御部42と、該通常撮影制御と始端撮影制御による露光が終了した際の撮影装置2の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向下流側端部(終端部)に対して次の通常撮影制御又は終端撮影制御による露光開始時の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向上流側端部(始端部)が判定装置10により判定できる傷の最小長さL以上重なるまで上記撮影演算部33aで求めた移動速度vで上記移動装置31を駆動させるという送り制御を行う送り制御部43と、上記通常撮影制御の後に上記撮影装置2に最後の露光を行わせると共に該露光時間tの間に上記撮影装置2の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向下流側端が円筒体1の上流側端から判定装置10により判定できる傷の最小長さL以上突出するまで上記移動装置31を上記撮影装置2の露光時間tの間に駆動させ続けるという終端撮影制御を行う終端撮影制御部44と、を有する撮影制御部33bを備え、且つ、上記円筒体1の外周面上端の高さと上記撮影装置2の高さとの間の距離が撮影装置2の所望の撮影視野2aが得られる距離まで上記計測ユニット駆動機構32を駆動させる制御を行う計測ユニット駆動機構制御部33cと、上記撮影装置2を円筒体1軸心方向における円筒体1を撮影する撮影位置に移動するまで上記移動装置31を駆動させる制御を行う移動装置制御部33dと、を備えた構成としてある。
【0055】
上記撮影演算部33aは、たとえば、図示してないレーザ変位センサの如き長さ計測器などで計測された円筒体の長さYと、上記撮影装置2の露光時間tと、上記撮影装置2の撮影視野2aの長さXと、上記送り制御により上記撮影装置2が移動させられる距離Zと、上記撮影装置2が露光(撮影)を行う回数nと、上記撮影装置2の最初の露光時の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向上流側端を円筒体1の下流側端から突出させた水平距離Bと、上記撮影装置2の最後の露光時の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向下流側端を円筒体1の上流側端から突出させた水平距離Cとから、上記移動装置31の移動速度v(=(Y+B+C−X+Z−nZ)/nt、但し、vt≧L、B≧L、C≧L、X−Z≧L)を求めるようにしてある。なお、vt≧L、B≧L、C≧L、X−Z≧Lとしてあるのは、vt、B、C、X−Zのいずれかが、判定装置10により判定できる傷の最小長さL未満だと、撮影装置2の撮影画像において、傷の引き伸ばし作用が得られない部分が生じてしまうからである。
【0056】
又、上記撮影演算部33aは、上記移動装置31の移動速度vと、上記送り制御により撮影装置2が移動させられる距離Zとから、送り制御により移動装置31を駆動させる送り時間t´を求めるようにしてある。
【0057】
上記撮影制御部33bは、上記撮影演算部33aから移動速度vと露光回数nと露光時間tと送り時間t´を読み込むようにしてあり、検査対象物に対する検査開始の信号を受けると、上記始端撮影制御部41に始端撮影制御開始信号を送って、該始端撮影制御部41に、始端撮影制御を開始させるようにしてある。該始端撮影制御は、上記撮影装置2に露光を行わせる制御と、該露光時間tの間に上記撮影演算部33aで求めた移動速度vで上記移動装置31を駆動させ続ける制御とを備えるようにしてある。これにより、円筒体1に対する相対移動方向上流側端を円筒体1の下流側端から判定装置10により判定できる傷の最小長さL以上突出させた上記撮影装置2の撮影視野2aを、露光時間tの間に、図11(c)に示す如く、上記判定装置10により判定できる傷の最小長さL以上移動させることで、撮影装置2により傷を引き伸ばした状態の撮影画像を得ることができるようにしてある。又、始端撮影制御部41は、露光時間tが経過して撮影が終了すると、露光時間終了信号を送り制御部43に送るようにしてある。
【0058】
上記送り制御部43は、上記始端撮影制御部41、通常撮影制御部42から露光時間終了信号を受けると、送り時間t´の間、上記撮影演算部33aで求めた移動速度vで上記移動装置31を駆動させる送り制御を行うようにしてある。これにより、上記撮影装置2の撮影視野2aを、図11(d)に示す如く、始端撮影制御と通常撮影制御による露光が終了した際の撮影装置2の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向下流側端部に対して次の通常撮影制御又は終端撮影制御による露光開始時の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向上流側端部が判定装置10により判定できる傷の最小長さL以上重なるまで移動させるようにしてある。又、送り制御部43は、送り時間t´が経過して送り制御が終了すると、通常撮影制御部42による合計撮影回数がn−2回未満の場合には、通常撮影制御部42に通常撮影制御開始信号を送って、通常撮影制御部42に通常撮影制御を行わせるようにしてある。一方、通常撮影制御部42による合計撮影回数がn−2回の場合には、上記終端撮影制御部44に、終端撮影制御開始信号を送るようにしてある。
【0059】
上記通常撮影制御部42は、通常撮影制御開始信号を受けると、上記撮影装置2に露光を行わせる制御と、該露光時間tの間に上記撮影演算部33aで求めた移動速度vで上記移動装置31を駆動させ続ける制御とを行う、通常撮影制御を行うようにしてある。これにより、上記撮影装置2の撮影視野2aを、露光時間tの間に、図12(a)に示す如く、上記判定装置10により判定できる傷の最小長さL以上移動させることで、撮影装置2により傷を引き伸ばした状態の撮影画像を得ることができるようにしてある。又、通常撮影制御部42は、露光時間tが経過して撮影が終了すると、露光時間終了信号を上記送り制御部43に送るようにしてある。
【0060】
上記終端撮影制御部44は、上記送り制御部43から終端撮影制御開始信号を受けると、上記撮影装置2に露光を行わせる制御と、該露光時間tの間に上記撮影演算部33aで求めた移動速度vで上記移動装置31を駆動させ続ける制御とを行う、終端撮影制御を行うようにしてある。これにより、上記撮影装置2の撮影視野2aを、露光時間tの間に、
通常撮影制御による露光が終了した際の撮影装置2の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向下流側端部に対して終端撮影制御による露光開始時の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向上流側端部を判定装置10により判定できる傷の最小長さL以上重ねた状態から、図12(b)に示す如く、終端撮影制御による露光終了時の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向下流側端部が判定装置10により判定できる傷の最小長さL以上、円筒体1の上流側端から突出するまで移動させるようにしてある。
【0061】
一方、上記計測ユニット駆動機構制御部33cは、たとえば、図示してないレーザ変位センサの如き外径計測器などで計測された円筒体1の外径と、上記搬送装置8のトラフ形状の搬送面8aの高さと、該搬送面8aのなす角から、上記円筒体1の外周面上端の高さを求める機能を有しており、上記支持台40に取り付けた図示してないリニアスケールから求まる上記撮影装置2の高さと、上記求めた円筒体1の外周面上端の高さとに基づいて、計測ユニット駆動機構32を駆動させる制御を行うようにしてある。これにより、上記撮影装置2の高さと、円筒体1の外周面上端の高さとの間の距離を、撮影装置2の所望する撮影視野2aが得られる距離に設定できるようにしてある。
【0062】
上記移動装置制御部33dは、たとえば、上記昇降テーブル36に取り付けた図示してないリニアスケールから求まる上記撮影装置2の円筒体1軸心方向の位置と、円筒体1が搬送装置8上で円筒体1直径方向に移動するストッパー29により停止される位置と、撮影装置2の最初の露光時の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向上流側端を円筒体1の下流側端から突出させる水平距離Bに基づいて、上記移動装置31を駆動させる制御を行うようにしてある。これにより、上記撮影装置2を、円筒体1に対して円筒体1軸心方向に離反する退避位置と、円筒体1を撮影する撮影位置、すなわち、撮影装置2の最初の露光時の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向上流側端が円筒体1の下流側端から上記判定装置10により判定できる傷の最小長さL以上突出する位置との間を移動させることができるようにしてある。
【0063】
又、画像処理装置12は、露光回数nが2以上、送り制御により撮影装置2が移動させられる距離Zがゼロで、且つ、X≧vt≧Lの場合には、上記撮影装置2より出力される各撮影画像を順次繋げる処理を行い、該繋げた撮影画像を判定装置10に送るようにしてある。
【0064】
更に、上記搬送装置8の下流側には、円筒体1を周方向に回転させるための図示してない円筒体回転駆動装置を設けるようにしてある。
【0065】
その他の構成は、図1及至図8(a)(b)(c)(d)(e)に示したのと同様であり、同一のものには同一符号を付してある。
【0066】
図9(a)(b)及至図12(a)(b)に示した実施の形態の検査対象物表面の傷検出装置を用いて円筒体1の外周面の検査を行う場合、まず、図11(a)に示す如く、図示してない昇降機構により搬送装置8の下流側端部から所要距離離反する位置に移動させておいたストッパー29に、円筒体1の下流側端面が当接するまで、円筒体1を搬送装置8により搬送する。次に、ストッパー29に、円筒体1の下流側端面が当接すると、搬送装置8を停止させて、図示してない昇降機構によりストッパー29を下降させて退避させる。次いで、上記制御装置33における計測ユニット駆動機構制御部33cの制御により、計測ユニット駆動機構32を駆動させて、図11(b)に示す如く、上記撮影装置2を、所望の撮影視野2aが得られる高さ位置に移動させる。その後、上記制御装置33における移動装置制御部33dの制御により、移動装置31を駆動させて、撮影装置2を、該撮影装置2の最初の露光時の撮影視野2aの円筒体1に対する相対移動方向上流側端が円筒体1の下流側端から上記判定装置10により判定できる傷の最小長さL以上突出する位置に移動させてから、図11(c)に示す如く、始端撮影制御部41の始端撮影制御により、上記撮影装置2に露光を開始させると共に、該露光時間tの間、上記撮影演算部33aにおいて求めた移動速度vで移動装置31を駆動させ続ける。次に、図11(d)に示す如く、送り制御部43の送り制御により、送り時間t´の間、上記撮影演算部33aで求めた移動速度vで移動装置31を駆動させる。この送り制御を行った後、図12(a)に示す如く、通常撮影制御部42の通常撮影制御により、上記撮影装置2に露光を開始させると共に、該露光時間tの間、上記撮影演算部33aにおいて求めた移動速度vで移動装置31を駆動させ続ける。次いで、図11(d)に示したのと同様に、送り制御部43による送り制御を行う。この通常撮影制御と送り制御をn−2回行った後、図12(b)に示す如く、終端撮影制御部44の終端撮影制御により、上記撮影装置2に露光を開始させると共に、該露光時間tの間、上記撮影演算部33aにおいて求めた移動速度vで移動装置31を駆動させ続けて、円筒体1外周面上端の撮影を終了する。なお、撮影画像は順次、撮影装置から画像処理装置12に送るようにしてある。
【0067】
画像処理装置12に撮影画像が送られると、送り制御により撮影装置2が移動させられる距離Zが設定されている場合には、上記撮影装置2より出力される各撮影画像を繋げる処理をせずに、各撮影画像が判定装置10に送られる。一方、露光回数nが2以上、送り制御により撮影装置2が移動させられる距離Zがゼロで、且つ、X≧Rωt≧Lの場合には、上記撮影装置2より出力される各撮影画像を順次繋げる処理を行い、該繋げた撮影画像が判定装置10に送られる。
【0068】
判定装置10は、撮影画像を受け取ると、各撮影画像の明暗の変化が生じる部分を傷と判定する。この際、各撮影画像の同じ位置に明暗の変化が生じる部分が出現したり、繋げた撮影画像に等間隔に明暗の変化が生じる部分が出現したりする場合には、該部分を撮影像装置2のレンズに付着した汚れと認識して、該部分は傷と判定されないことになる。又、傷と判定された明暗の変化部分の下流側端部が円筒体1に生じた傷の位置と推定されることになる。
【0069】
しかる後、図示してない円筒体回転駆動装置を円筒体1に取り付けて、該円筒体回転駆動装置により、上記円筒体1を、上記撮影装置2の撮影視野2aの幅以下周方向に回転させ、該円筒体1の外周面上端を上記と同様の順序で再び検査するようにする。
【0070】
このように、図9(a)(b)及至図12(a)(b)に示した実施の形態の検査対象物表面の傷検出装置によれば、図1及至図8(a)(b)(c)(d)(e)に示した実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0071】
なお、上記図1及至図8(a)(b)(c)(d)(e)に示した実施の形態では、撮影装置2を円筒体1に対して回転変位させるために回転駆動装置4を相対変位装置として撮影装置2を回転させる場合について説明したが、これに限られるものではなく、円筒体1を撮影装置2に対して回転させたり、撮影装置2と円筒体1の両方を互いに円筒体1の軸心上で互いに逆方向に相対変位するように回転させたりしてもよい。
【0072】
又、上記図9及至図12(a)(b)に示した実施の形態では、撮影装置2を円筒体1に対して相対的に変位させるために相対変位装置として移動装置31で撮影装置2を移動させる場合について説明したが、これに限られるものではなく、円筒体1を撮影装置2に対して移動させたり、撮影装置2と円筒体1の両方を互いに相対的に移動させたりしてもよい。
【0073】
更に、上記各実施の形態では、回転駆動装置4の回転速度ω、ω´、移動装置31の移動速度vを制御装置11,33により制御する場合について説明したが、これに限られるものではなく、制御装置11,33により、撮影装置2の露光時間tを制御するようにしてもよい。
【0074】
上記図1及至図8(a)(b)(c)(d)(e)に示した実施の形態における、撮影装置2と搬送テーブル13との間にシリンダを設けて、該シリンダを伸縮させることにより、円筒体1の内面を全長に亘り撮影装置2で撮影できるようにしてもよい。
【0075】
又、上記図1及至図8(a)(b)(c)(d)(e)に示した実施の形態における、撮影装置2の露光時間tの間に、計測ユニット駆動機構7における水平方向駆動機構18を、判定装置10により判定できる傷の最小長さL以上移動させて、撮影装置2により撮影される円筒体1の傷を、円筒体1の軸心方向にも引き伸ばすようにしてもよい。
【0076】
更に、上記図9及至図12(a)(b)に示した実施の形態では、検査対象物を円筒体1とした場合について説明したが、これに限られるものではなく、平板など、円筒以外の形状を検査対象物としてもよい。
【0077】
上記各実施の形態では、制御装置11,33による通常撮影制御と送り制御とで、回転駆動装置4の回転速度ω、ω´、移動装置31の移動速度vを同じ速度に制御する場合について説明したが、別々の回転速度ω、ω´、移動速度vに制御するようにしてもよい。
【0078】
又、上記図1及至図8(a)(b)(c)(d)(e)に示した実施の形態における検知装置5は、検査対象物の検査対象表面の位置を検知できれば、いかなる位置に設けてもよい。
【0079】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0080】
1 円筒体(検査対象物)
2 撮影装置
2a 撮影視野
3 撮影装置駆動機構
4 回転駆動装置(相対変位装置)
4a 回転軸(支持軸)
5 検知装置
6 計測ユニット
7 計測ユニット駆動機構
8 搬送装置
8a 搬送面
10 判定装置
11 制御装置
31 移動装置(相対変位装置)
33 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12