(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液体吸収剤は透過させずに水蒸気を透過させる透湿膜(62)を有し、上記液体吸収剤と空気が上記透湿膜(62)を介して水蒸気の授受を行う2つの調湿用モジュール(40a、40b)と、
循環ポンプ(31)を有し、上記2つの調湿用モジュール(40a、40b)のうちの一方において上記液体吸収剤が空気から吸湿し、他方において上記液体吸収剤が空気へ放湿するように、上記二つの調湿用モジュール(40a、40b)の間で上記液体吸収剤を循環させる吸収剤回路(30)と、
上記吸収剤回路(30)に設けられ上記液体吸収剤の圧力が所定の上限値を超えると該液体吸収剤を上記吸収剤回路(30)外に放出する圧力逃がし弁(81a、81b)とを備え、
上記圧力逃がし弁(81a、81b)は、少なくとも、上記循環ポンプ(31)の吐出口と、上記循環ポンプ(31)から吐出された上記液体吸収剤が最初に流入する上記調湿用モジュール(40b)の液入口との間に設けられており、
上記圧力逃がし弁(81a、81b)は、上記吸収剤回路(30)における上記2つの調湿用モジュール(40a、40b)の液入口付近にそれぞれ設けられ、
上記吸収剤回路(30)は、上記循環ポンプ(31)を2つ有し、一方の上記循環ポンプ(31)が一方の上記調湿用モジュール(40a、40b)から吸い込んだ上記液体吸収剤を該調湿用モジュール(40a、40b)に供給し、且つ、他方の上記循環ポンプ(31)が他方の上記調湿用モジュール(40a、40b)から吸い込んだ上記液体吸収剤を該調湿用モジュール(40a、40b)に供給する第1状態と、一方又は両方の上記循環ポンプ(31)が作動して上記2つの調湿用モジュール(40a、40b)の間で上記液体吸収剤が循環する第2状態とを切換可能になっていることを特徴とする調湿装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記吸収剤回路において、例えば液体吸収剤の結晶析出等に起因して管の閉塞が生じた場合、吸収剤回路内の圧力が上昇する。吸収剤回路内の圧力が上昇すると、調湿装置、例えば調湿部の透湿膜に損傷を与えることがある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸収剤回路における圧力が上昇した場合にも、調湿装置における損傷を防止又は低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、液体吸収剤は透過させずに水蒸気を透過させる透湿膜(62)を有し、液体吸収剤と空気が透湿膜を介して水蒸気の授受を行う2つの調湿用モジュール(40a、40b)と、循環ポンプ(31)を有し、2つの調湿用モジュール(40a、40b)のうちの一方において液体吸収剤が空気から吸湿し、他方において液体吸収剤が空気へ放湿するように、二つの調湿用モジュール(40a、40b)の間で液体吸収剤を循環させる吸収剤回路(30)と、吸収剤回路(30)に設けられ液体吸収剤の圧力が所定の上限値を超えると該液体吸収剤を吸収剤回路(30)外に放出する圧力逃がし弁(81a、81b)とを備える調湿装置(10)を対象とする。そして、圧力逃がし弁(81a、81b)は、少なくとも、循環ポンプ(31)の吐出口と、循環ポンプ(31)から吐出された液体吸収剤が最初に流入する調湿用モジュール(40b)の液入口との間に設けられている。
更に、圧力逃がし弁(81a、81b)は、吸収剤回路(30)における2つの調湿用モジュール(40a、40b)の液入口付近にそれぞれ設けられている。吸収剤回路(30)は、循環ポンプ(31)を2つ有し、一方の循環ポンプ(31)が一方の調湿用モジュール(40a、40b)から吸い込んだ液体吸収剤を該調湿用モジュール(40a、40b)に供給し、且つ、他方の循環ポンプ(31)が他方の調湿用モジュール(40a、40b)から吸い込んだ液体吸収剤を該調湿用モジュール(40a、40b)に供給する第1状態と、一方又は両方の循環ポンプ(31)が作動して2つの調湿用モジュール(40a、40b)の間で液体吸収剤が循環する第2状態とを切換可能になっている。
【0010】
第1の発明では、循環ポンプ(31)により、2つの調湿用モジュール(40a、40b)の間を液体吸収剤が循環される。各調湿用モジュール(40a、40b)において、空気と液体吸収剤とは透湿膜(62)を介して水分を授受する。液体吸収剤は、一方の調湿用モジュール(40a、40b)において空気から吸湿した後、他方の調湿用モジュール(40a、40b)に送られる。他方の調湿用モジュール(40a、40b)において液体吸収剤は空気に放湿し、一方の調湿用モジュール(40a、40b)に送り返される。
【0011】
吸収剤回路(30)には、液体吸収剤の圧力が所定の上限を超えて上昇した際に、液体吸収剤を吸収剤回路(30)外に放出するための圧力逃がし弁(81a、81b)が設けられている。圧力逃がし弁(81a、81b)は、少なくとも、循環ポンプ(31)の吐出側と循環ポンプ(31)から吐出された液体吸収剤が最初に流入する調湿用モジュール(40a、40b)の液入口との間に設けられている。従って、管の閉塞が生じている場合にも、循環ポンプ(31)から吐出された液体吸収剤を圧力逃がし弁(81a、81b)から放出させることができ、最初の調湿用モジュール(40a、40b)内における液体吸収剤の圧力の過上昇を避けることができる。
【0012】
また
、圧力逃がし弁(81a、81b)は、吸収剤回路(30)における2つの調湿用モジュール(40a、40b)の液入口付近にそれぞれ設けられてい
る。
【0013】
従って、吸収剤回路(30)において液体吸収剤の圧力が上限値に達すると、液体吸収剤が圧力逃がし弁(81a、81b)から放出される。従って、調湿用モジュール(40a、40b)内における液体吸収剤の圧力は、上限値以下に維持される。
【0014】
また
、吸収剤回路(30)は、循環ポンプ(31)を2つ有し、一方の循環ポンプ(31)が一方の調湿用モジュール(40a、40b)から吸い込んだ液体吸収剤を該調湿用モジュール(40a、40b)に供給し、且つ、他方の循環ポンプ(31)が他方の調湿用モジュール(40a、40b)から吸い込んだ液体吸収剤を該調湿用モジュール(40a、40b)に供給する第1状態と、一方又は両方の循環ポンプ(31)が作動して2つの調湿用モジュール(40a、40b)の間で液体吸収剤が循環する第2状態とを切換可能になってい
る。
【0015】
上記第1状態及び第2状態のいずれにおいても、調湿用モジュール(40a、40b)内における液体吸収剤の圧力の過上昇を避けることができる。
【0016】
また、第
2の発明は、第
1の発明において、圧力逃がし弁(81a、81b)の液出口を上記循環ポンプ(31)の吸入口に接続するための流路(82)を更に備えるものである。
【0017】
第
2の発明では、圧力逃がし弁(81a、81b)から循環ポンプ(31)の吸入側への流路(82)を備えるので、圧力逃がし弁(81a、81b)から放出された液体吸収剤は、循環ポンプ(31)の吸入側に戻される。
【0018】
また、
第3の発明は、液体吸収剤は透過させずに水蒸気を透過させる透湿膜(62)を有し、液体吸収剤と空気が透湿膜を介して水蒸気の授受を行う2つの調湿用モジュール(40a、40b)と、循環ポンプ(31)を有し、2つの調湿用モジュール(40a、40b)のうちの一方において液体吸収剤が空気から吸湿し、他方において液体吸収剤が空気へ放湿するように、二つの調湿用モジュール(40a、40b)の間で液体吸収剤を循環させる吸収剤回路(30)と、吸収剤回路(30)に設けられ液体吸収剤の圧力が所定の上限値を超えると該液体吸収剤を吸収剤回路(30)外に放出する圧力逃がし弁(81a、81b)とを備える調湿装置(10)を対象とする。そして、圧力逃がし弁(81a、81b)は、少なくとも、循環ポンプ(31)の吐出口と、循環ポンプ(31)から吐出された液体吸収剤が最初に流入する調湿用モジュール(40b)の液入口との間に設けられている。また、液体吸収剤を回収するための回収タンク(83)と、圧力逃がし弁(81a、81b)の液出口を回収タンク(83)に接続するための流路(82)とを更に備え
、回収タンク(83)は、圧力逃がし弁(81a、81b)から放出された液体吸収剤を吸収剤回路(30)に戻すことなく溜めることができるように構成されている。
【0019】
第
3の発明では、回収タンク(83)と、圧力逃がし弁(81a、81b)から回収タンク(83)に繋がる流路(82)とを備えるので、圧力逃がし弁(81a、81b)から放出された液体吸収剤は、回収タンク(83)に回収される。
【0020】
また、
第4の発明は、液体吸収剤は透過させずに水蒸気を透過させる透湿膜(62)を有し、液体吸収剤と空気が透湿膜を介して水蒸気の授受を行う2つの調湿用モジュール(40a、40b)と、循環ポンプ(31)を有し、2つの調湿用モジュール(40a、40b)のうちの一方において液体吸収剤が空気から吸湿し、他方において液体吸収剤が空気へ放湿するように、二つの調湿用モジュール(40a、40b)の間で液体吸収剤を循環させる吸収剤回路(30)と、吸収剤回路(30)に設けられ液体吸収剤の圧力が所定の上限値を超えると該液体吸収剤を吸収剤回路(30)外に放出する圧力逃がし弁(81a、81b)とを備える調湿装置(10)を対象とする。そして、圧力逃がし弁(81a、81b)は、少なくとも、循環ポンプ(31)の吐出口と、循環ポンプ(31)から吐出された液体吸収剤が最初に流入する調湿用モジュール(40b)の液入口との間に設けられている。また、吸収剤回路(30)に設けられ、液体吸収剤を蓄えるバッファタンク(84)と、圧力逃がし弁(81a、81b)の液出口をバッファタンク(84)に接続するための流路(82)とを更に備え
る。
【0021】
第
4の発明では、吸収剤回路(30)に設けられたバッファタンク(84)と、圧力逃がし弁(81a、81b)からバッファタンクに繋がる流路(82)とを備えるので、圧力逃がし弁(81a、81b)から放出された液体吸収剤は、バッファタンク(84)に戻される。
【0022】
また、第
5の発明は、第1〜第
4のいずれかの発明において、吸収剤回路(30)における液体吸収剤の圧力の過上昇を検知する圧力検知手段を更に備え、圧力検知手段が液体吸収剤の圧力の過上昇を検知すると、循環ポンプ(31)を停止するものである。
【0023】
第
5の発明では、吸収剤回路(30)内における圧力が過上昇したことを圧力検知手段が検知すると、循環ポンプ(31)を停止する。
【0024】
また、第
6の発明は、上記第
5の発明において、圧力検
知手段は、循環ポンプ(31)に供給される電流に基づいて液体吸収剤の圧力の過上昇を検知するものである。
【0025】
第
6の発明では、圧力検
知手段は、循環ポンプに供給される電流を元に液体吸収剤の圧力の過上昇を検出することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、2つの調湿用モジュール(40a、40b)間に液体吸収剤を循環させる吸収剤回路(30)のうち、少なくとも循環ポンプ(31)の吐出側と最初の調湿用モジュール(40a、40b)の液入口との間に圧力逃がし弁(81a、81b)が設けられている。これにより、吸収剤回路(30)に管閉塞が生じた場合等にも、圧力逃がし弁(81a、81b)から液体吸収剤を放出することができるので、調湿用モジュール(40a、40b)内における液体吸収剤の圧力を上限値以下に維持できる。そこで、当該上限値を、調湿用モジュール(40a、40b)の透湿膜(62)が耐えられる圧力よりも低く設定しておくことにより、調湿装置(10)、特に、透湿膜(62)の損傷を低減又は防止できる。
【0027】
また
、2つの調湿用モジュール(40a、40b)の液入口前にそれぞれ圧力逃がし弁(81a、81b)が設けられているので、いずれの調湿用モジュール(40a、40b)についても損傷を低減又は防止できる。
【0028】
また
、吸湿側及び放湿側の調湿モジュール(40a、40b)について個別に独立して液体吸収剤を循環させる第1状態と、救出側モジュール及び放湿側モジュール(40a、40b)に互いに液体吸収剤を循環させる第2状態を取ることができ、第1状態及び第2状態のいずれにおいても、調湿用モジュール(40a、40b)の透湿膜等の損傷を低減又は防止できる。
【0029】
また、第
2の発明によると、圧力逃がし弁(81a、81b)から放出された液体吸収剤は、循環ポンプ(31)の吸入側に戻されるので、調湿装置(10)の動作を維持することも可能である。また、液体吸収剤の調湿装置(10)外への飛散等を防ぐことができる。
【0030】
また、上記第
3の発明によると、圧力逃がし弁(81a、81b)から放出された液体吸収剤は回収タンク(83)に回収されるので、液体吸収剤が調湿装置(10)の周囲に飛散するのを避けることができる。
【0031】
また、上記第
4の発明によると、圧力逃がし弁(81a、81b)から放出された液体吸収剤は、吸収剤回路(30)に設けられたバッファタンク(84)に戻される。従って、調湿装置(10)の動作を維持することも可能であり、且つ、吸収剤回路(30)に液体吸収剤が高圧のまま流入するのを避けることができる。更に、液体吸収剤の調湿装置(10)外への飛散等を防ぐことができる。
【0032】
また、上記第
5の発明によると、吸収剤回路(30)内における圧力が過上昇した際に循環ポンプ(31)を止めることができる。圧力逃がし弁(81a、81b)により液体吸収剤の一部を放出しても圧力が高くなる場合、安全等のために装置を止めることが望ましい。
【0033】
また、上記第
6の発明によると、循環ポンプ(31)に供給される電流に基づいて吸収剤回路(30)内における圧力の過上昇を検知する。これは、吸収剤回路(30)内の圧力上昇を検知する方法として、容易且つ確実である。
【0034】
また、上記第8の発明によると、
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0037】
本実施形態の調湿装置(10)は、液体吸収剤を用いて室内等の調湿を行なうものである。
【0038】
−調湿装置の構成−
本実施形態の調湿装置(10)は、ケーシング(20)を備えている。このケーシング(20)には、吸収剤回路(30)と、冷媒回路(35)と、給気ファン(27)と、排気ファン(28)とが収容されている。
【0039】
図1に示すように、ケーシング(20)は、直方体の箱状に形成されている。ケーシング(20)において、その一方の端面に外気吸込口(21)と排気口(24)とが形成され、その他方の端面に内気吸込口(23)と給気口(22)とが形成されている。ケーシング(20)の内部空間は、給気通路(25)と排気通路(26)に仕切られている。給気通路(25)は、外気吸込口(21)及び給気口(22)に連通している。また、給気通路(25)には、給気ファン(27)と、給気側モジュール(40a)とが配置されている。一方、排気通路(26)は、内気吸込口(23)及び排気口(24)に連通している。また、排気通路(26)には、排気ファン(28)と、排気側モジュール(40b)とが配置されている。
【0040】
図2は、本実施形態の調湿装置の回路図である。
【0041】
図2に示すように、冷媒回路(35)は、圧縮機(36)と、四方切換弁(37)と、膨張弁(38)と、給気側モジュール(40a)の伝熱部材(46a)と、排気側モジュール(40b)の伝熱部材(46b)とが接続された閉回路である。この冷媒回路(35)では、圧縮機(36)の吐出側が四方切換弁(37)の第1のポートに、圧縮機(36)の吸入側が四方切換弁(37)の第2のポートに、それぞれ接続される。また、この冷媒回路(35)では、四方切換弁(37)の第3のポートから第4のポートへ向かって順に、排気側モジュール(40b)の伝熱部材(46b)と、膨張弁(38)と、給気側モジュール(40a)の伝熱部材(46a)とが配置されている。冷媒回路(35)は、該冷媒回路(35)に封入された冷媒を循環させることによって、蒸気圧縮冷凍サイクルを行う。また、冷媒回路(35)は、給気側モジュール(40a)及び排気側モジュール(40b)に対して、冷媒を熱媒体として供給する。
【0042】
四方切換弁(37)は、第1状態(
図2に実線で示す状態)と、第2状態(同図に破線で示す状態)とに切り換わる。第1状態の四方切換弁(37)においては、第1のポートが第3のポートに連通し、第2のポートが第4のポートに連通する。一方、第2状態の四方切換弁(37)においては、第1のポートが第4のポートに連通し、第2のポートが第3のポートに連通する。
【0043】
次に、吸収剤回路(30)は、給気側モジュール(40a)と、排気側モジュール(40b)と、ポンプ(31)とが接続された閉回路である。この吸収剤回路(30)では、ポンプ(31)の吐出側が排気側モジュール(40b)の吸収剤通路(41b)の入口に、排気側モジュール(40b)の吸収剤通路(41b)の出口が給気側モジュール(40a)の吸収剤通路(41a)の入口に、給気側モジュール(40a)の吸収剤通路(41a)の出口がポンプ(31)の吸入側に、それぞれ接続されている。また、吸収剤回路(30)には、液体吸収剤として塩化リチウム水溶液が充填されている。
【0044】
また、ポンプ(31)の吐出口と、循環ポンプ(31)から吐出された液体吸収剤が最初に流入する調湿用モジュール(40)である排気側モジュール(40b)の液入口との間に、圧力逃がし弁(81b)が設けられている。また、排気側モジュール(40b)の液出口と、給気側モジュール(40a)の液出口との間に、圧力逃がし弁(81a)が設けられている。圧力逃がし弁(81a、81b)には流路(82)が接続され、該流路(82)は、圧力逃がし弁(81a、81b)から放出された液体吸収剤をポンプ(31)の吸入口に戻すように接続されている。
【0045】
−調湿用モジュールの構成−
給気側モジュール(40a)及び排気側モジュール(40b)は、いずれも調湿用モジュール(40)によって構成されている。以下、
図3(A)及び(B)と
図4とを参照して、調湿用モジュール(40)について説明する。
図3(A)は調湿用モジュール(40)の概略斜視図(一部構成は省略)、
図3(B)は内側部材(60)だけを示す斜視図、
図4は調湿用モジュール(40)の水平断面を表す概略図である。
【0046】
調湿用モジュール(40)は、液体吸収剤を用い、透湿膜(62)を介して空気を調湿する。調湿用モジュール(40)は、1つの外側ケース(50)と、当該外側ケース(50)に収容される複数の内側部材(60)及び2つの伝熱部材(46)とを備えている。
【0047】
外側ケース(50)は中空の直方体状に形成され、この外側ケース(50)の側板(53,54)には複数の通風孔(56)が形成されている。この外側ケース(50)には、複数の通風孔(56)と同数の内側部材(60)が収容されている。内側部材(60)は、それぞれの側面を覆う透湿膜(62)が互いに向かい合う姿勢で、外側ケース(50)の長手方向に一列に配列されている。そして、内側部材(60)は、その開口部(63)が側板(53,54)の通風孔(56)と重なるように、外側ケース(50)に固定される。
【0048】
各内側部材(60)は、両端が開口した中空の直方体状に形成されている。この内側部材(60)は、支持枠(61)と該支持枠(61)の側面を覆う透湿膜(62)とを備えている。この透湿膜(62)は、液体吸収剤を透過させずに水蒸気を透過させる膜である。この透湿膜(62)としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂から成る疎水性多孔膜を用いることができる。
【0049】
内側部材(60)の内側の空間は、外側ケース(50)の通風孔(56)を介して外部と連通しており、空気が流れる空気通路(42)となっている。空気通路(42)では、調湿装置(10)の給気通路(25)又は排気通路(26)を流れる空気が流通する。
【0050】
また、内側部材(60)の外側で且つ外側ケース(50)の内側の空間は、液体吸収剤が流れる吸収剤通路(41)となっている。吸収剤通路(41)では、吸収剤回路(30)を循環する液体吸収剤が流通する。従って、透湿膜(62)は、その表面が空気通路(42)を流れる空気と接触し、その裏面が吸収剤回路(30)を流れる液体吸収剤と接触する。
【0051】
伝熱部材(46)は、複数本の伝熱管(70)と、一つの第1ヘッダ(71)と、一つの第2ヘッダ(72)とを備えている。各伝熱管(70)は、内部が複数の流路に仕切られた多穴扁平管である。複数の伝熱管(70)は、それぞれの平坦面が互いに向かい合う姿勢で、互いに一定の間隔をおいて一列に配置されている。第1ヘッダ(71)は一列に配置された各伝熱管(70)の上端に接合され、第2ヘッダ(72)は一列に配置された各伝熱管(70)の下端に接合されている。
【0052】
外側ケース(50)内において、各伝熱部材(46)の伝熱管(70)は、隣り合う内側部材(60)の間に一本ずつ配置され、この伝熱管(70)の表面が吸収剤通路(41)を流れる液体吸収剤と接触する。つまり、伝熱部材(46)の伝熱管(70)は、吸収剤通路(41)を流れる液体吸収剤に囲まれている。
【0053】
−調湿装置の運転動作−
次に、上記調湿装置(10)の運転動作について、
図2を参照しながら説明する。先に、除湿運転について説明し、その後に加湿運転について説明する。
【0054】
−除湿運転−
除湿運転では、四方切換弁(37)が第1状態(
図2において実線にて示された状態)に設定される。また、圧縮機(36)が運転され、膨張弁(38)の開度が適宜調整される。そして、除湿運転時の冷媒回路(35)では、冷媒が循環することによって蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。また、除湿運転時の冷媒回路(35)では、排気側モジュール(40b)の伝熱部材(46b)が凝縮器となり、給気側モジュール(40a)の伝熱部材(46a)が蒸発器となる。
【0055】
圧縮機(36)から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方切換弁(37)を通過し、加熱用の熱媒体として排気側モジュール(40b)へ供給される。排気側モジュール(40b)の伝熱部材(46b)へ流入した冷媒は、吸収剤通路(41b)を流れる液体吸収剤へ放熱して凝縮し、その後に排気側モジュール(40b)から流出する。排気側モジュール(40b)から流出した冷媒は、膨張弁(38)を通過する際に減圧されて気液二相状態の低圧冷媒となり、冷却用の熱媒体として給気側モジュール(40a)へ供給される。給気側モジュール(40a)の伝熱部材(46a)へ流入した冷媒は、吸収剤通路(41a)を流れる液体吸収剤から吸熱して蒸発し、その後に給気側モジュール(40a)から流出する。給気側モジュール(40a)から流出した冷媒は、四方切換弁(37)を通過し、圧縮機(36)へ吸入される。圧縮機(36)は、吸入した冷媒を圧縮してから吐出する。
【0056】
また、除湿運転時には、吸収剤回路(30)のポンプ(31)が運転され、吸収剤回路(30)内を液体吸収剤が循環する。
【0057】
ポンプ(31)から吐出された液体吸収剤は、排気側モジュール(40b)の吸収剤通路(41b)へ流入する。この吸収剤通路(41b)へ流入した液体吸収剤は、伝熱部材(46b)を流れる冷媒によって加熱される。一方、排気側モジュール(40b)の空気通路(42)では、排気(即ち、室外へ排出される室内空気)が流れている。排気側モジュール(40b)では、液体吸収剤に含まれる水の一部が水蒸気となって透湿膜(62)を透過し、空気通路(42)を流れる排気に付与される。排気に付与された水蒸気は、排気と共に室外へ排出される。このように、排気側モジュール(40b)では、吸収剤通路(41b)の液体吸収剤に含まれる水の一部が、透湿膜(62)を透過して排気に付与される。従って、排気側モジュール(40b)では、吸収剤通路(41b)を通過する間に液体吸収剤の濃度が次第に上昇してゆく。
【0058】
排気側モジュール(40b)から流出した高濃度の液体吸収剤は、給気側モジュール(40a)の吸収剤通路(41a)へ流入する。この吸収剤通路(41a)へ流入した液体吸収剤は、伝熱部材(46a)を流れる冷媒によって冷却される。一方、給気側モジュール(40a)の空気通路(42)では、給気(即ち、室内へ供給される室外空気)が流れている。給気側モジュール(40a)では、給気に含まれる水蒸気が透湿膜(62)を透過し、吸収剤通路(41a)を流れる液体吸収剤に吸収される。給気側モジュール(40a)の空気通路(42)を通過する間に除湿された給気は、その後に室内へ供給される。このように、給気側モジュール(40a)では、空気通路(42)の給気に含まれる水蒸気の一部が、透湿膜(62)を透過して液体吸収剤に吸収される。従って、給気側モジュール(40a)では、吸収剤通路(41a)を通過する間に液体吸収剤の濃度が次第に低下してゆく。給気側モジュール(40a)から流出した低濃度の液体吸収剤は、ポンプ(31)へ吸い込まれ、排気側モジュール(40b)へ向けて送り出される。
【0059】
−加湿運転−
調湿装置(10)の加湿運転について、
図2を参照しながら説明する。
【0060】
加湿運転時には、冷媒回路(35)の四方切換弁(37)が第2状態(
図2において破線にて示された状態)に設定される。また、圧縮機(36)が運転され、膨張弁(38)の開度が適宜調節される。そして、加湿運転時の冷媒回路(35)では、冷媒が循環することによって蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。また、加湿運転時の冷媒回路(35)では、給気側モジュール(40a)の伝熱部材(46a)が凝縮器となり、排気側モジュール(40b)の伝熱部材(46b)が蒸発器となる。
【0061】
冷媒回路(35)における冷媒の流れを詳細に説明する。圧縮機(36)から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方切換弁(37)を通過し、加熱用の熱媒体として給気側モジュール(40a)へ供給される。給気側モジュール(40a)の伝熱部材(46a)へ流入した冷媒は、吸収剤通路(41a)を流れる液体吸収剤へ放熱して凝縮し、その後に給気側モジュール(40a)から流出する。給気側モジュール(40a)から流出した冷媒は、膨張弁(38)を通過する際に減圧されて気液二相状態の低圧冷媒となり、冷却用の熱媒体として排気側モジュール(40b)へ供給される。排気側モジュール(40b)の伝熱部材(46b)へ流入した冷媒は、吸収剤通路(41b)を流れる液体吸収剤から吸熱して蒸発し、その後に排気側モジュール(40b)から流出する。排気側モジュール(40b)から流出した冷媒は、四方切換弁(37)を通過し、圧縮機(36)へ吸入される。圧縮機(36)は、吸入した冷媒を圧縮してから吐出する。
【0062】
また、加湿運転時には、吸収剤回路(30)のポンプ(31)が運転され、吸収剤回路(30)内を液体吸収剤が循環する。
【0063】
ポンプ(31)から吐出された液体吸収剤は、排気側モジュール(40b)の吸収剤通路(41b)へ流入する。この吸収剤通路(41b)へ流入した液体吸収剤は、伝熱部材(46b)を流れる冷媒によって冷却される。一方、排気側モジュール(40b)の空気通路(42)では、排気(即ち、室外へ排出される室内空気)が流れている。排気側モジュール(40b)では、排気に含まれる水蒸気が透湿膜(62)を透過し、吸収剤通路(41b)を流れる液体吸収剤に吸収される。水蒸気を奪われた排気は、その後に室外へ排出される。このように、排気側モジュール(40b)では、空気通路(42)の排気に含まれる水蒸気の一部が、透湿膜(62)を透過して液体吸収剤に吸収される。従って、排気側モジュール(40b)では、吸収剤通路(41b)を通過する間に液体吸収剤の濃度が次第に低下してゆく。
【0064】
排気側モジュール(40b)から流出した低濃度の液体吸収剤は、給気側モジュール(40a)の吸収剤通路(41a)へ流入する。この吸収剤通路(41a)へ流入した液体吸収剤は、伝熱部材(46a)を流れる冷媒によって加熱される。一方、給気側モジュール(40a)の空気通路(42)では、給気(即ち、室内へ供給される室外空気)が流れている。給気側モジュール(40a)では、液体吸収剤に含まれる水の一部が水蒸気となって透湿膜(62)を透過し、空気通路(42)を流れる給気に付与される。給気側モジュール(40a)の空気通路(42)を通過する間に加湿された給気は、その後に室内へ供給される。このように、給気側モジュール(40a)では、吸収剤通路(41a)の液体吸収剤に含まれる水の一部が、透湿膜(62)を透過して給気に付与される。従って、給気側モジュール(40a)では、吸収剤通路(41a)を通過する間に液体吸収剤の濃度が次第に上昇してゆく。給気側モジュール(40a)から流出した高濃度の液体吸収剤は、ポンプ(31)へ吸い込まれ、排気側モジュール(40b)へ向けて送り出される。
【0065】
−圧力逃がし弁の動作−
上記に説明した調湿装置(10)について、吸収剤回路(30)内の液体吸収剤の圧力が高くなりすぎると、例えば調湿用モジュール(40)の透湿膜(62)等に損傷を与えることがある。これは、例えば、低温のために液体吸収剤の成分が析出し、吸収剤回路(30)に管閉塞が生じた場合等に起こりうる。特に、調湿装置(10)の停止中に上記管閉塞が生じており、吸収剤回路(30)が閉塞した状態でポンプ(31)を動作させた場合、急激に液体吸収剤の圧力が上昇してしまい、透湿膜(62)等が損傷しやすい。
【0066】
これに対し、本実施形態の調湿装置(10)において、吸収剤回路(30)における液体吸収剤の圧力が一定の上限値を超えて高くなると動作し、液体吸収剤の一部を放出させる圧力逃がし弁(81a、81b)が設けられている。従って、液体吸収剤の圧力が異常に高くなった場合、圧力逃がし弁(81a、81b)によって圧力が解放され、調湿装置(10)の損傷を抑制又は防止することができる。
【0067】
ここで、調湿装置(10)において耐圧が最も低いのは、調湿用モジュール(40)の透湿膜(62)であることが多い。そこで、透湿膜(62)の耐圧よりも液体吸収剤の圧力が高くなることがないように、圧力逃がし弁(81a、81b)が動作する上限値を設定する。透湿膜(62)の耐圧は構成に依存するが、例えば、20kPa以上で且つ120kPa以下程度である。よって、これに応じて上記上限値を設定する。更なる具体例として、透湿膜(62)の耐圧が30kPaであるとすると、液体吸収剤の圧力が10kPaとなったときに圧力逃がし弁(81a、81b)が動作し、液体吸収剤の一部を放出させるようにする。
【0068】
尚、調湿用モジュール(40)において損傷が生じやすいのであるから、調湿用モジュール(40)内における液体吸収剤の圧力の過上昇を避けるようにする。例えば、排気側モジュール(40b)の液出口と給気側モジュール(40a)の液入口との間において管閉塞が生じた場合、排気側モジュール(40b)内において圧力の過上昇が生じる。これを防ぐためには、圧力逃がし弁(81b)を、少なくとも、ポンプ(31)の吐出側と、排気側モジュール(40b)の液入口との間に設ける。特に、排気側モジュール(40b)の液入口付近に設けるのが良い。ポンプ(31)から吐出された液体吸収剤が最初に流入する調湿用モジュール(40)は排気側モジュール(40b)であるから、この位置に設けるのが良い。
【0069】
また、もう一方の調湿用モジュール(40)である給気側モジュール(40a)についても、やはり圧力の過上昇の影響を受けやすいので、液入口付近に圧力逃がし弁(81a)を設けるのが良い。このようにすると、2つの調湿用モジュール(40)をいずれも保護することができる。
【0070】
圧力逃がし弁(81a、81b)には流路(82)が接続され、該流路(82)は、吸収剤回路(30)におけるポンプ(31)の吸入側に繋がっている。従って、圧力逃がし弁(81a、81b)から放出された液体吸収剤は、吸収剤回路(30)に戻される。このようにすることで、放出された液体吸収剤が調湿装置(10)外に飛散等することを防止できる。
【0071】
また、吸収剤回路(30)における液体吸収剤の圧力の過上昇を検知する圧力検知手段を更に備え、外圧力検知手段が液体吸収剤の圧力の過上昇を検知すると、ポンプ(31)を停止するようにするのが良い。
【0072】
例えば、ポンプ(31)に供給される電流値に基づいて圧力の過上昇を検知しても良い。当該電流値を監視しておき、ポンプ(31)の駆動電流が一定以上に上昇した場合に液体吸収剤の圧力が過上昇したものと判定し、ポンプ(31)を停止する。
【0073】
但し、他の方法によって吸収剤回路(30)内の圧力を検知しても良い。例えば、吸収剤回路(30)において、管閉塞が発生すると液体吸収剤の流量が減少するので、流量検知によって閉塞を検知することができる。また、調湿用モジュール(40a、40b)における透湿膜(62)の膨らみを赤外線センサ等によって検知することにより、膜に加わる圧力を検知しても良い。更に、圧力センサを用いて吸収剤回路(30)における液体吸収剤の圧力を直接測定しても良いし、圧力逃がし弁(81a、81b)の動作を検知することにより圧力上昇を検知しても良い。
【0074】
調湿装置(10)は圧力逃がし弁(81a、81b)を有するので、吸収剤回路(30)内の圧力は所定の上限値を超えることがないようになっている。しかしながら、例えば圧力上昇の原因が管閉塞であった場合、圧力上昇を解消するためには装置を停止しなければならないことがある。
【0075】
また、上記の通り、圧力逃がし弁(81a、81b)から放出された液体吸収剤はポンプ(31)の吸引側に戻されるので、例えば圧力逃がし弁(81b)及び流路(82)を通る経路だけに液体吸収剤が流れる状態になることも考えられる。従って、液体吸収剤の圧力が上昇した場合には、ポンプ(31)を停止することが望ましい。
【0076】
尚、吸収剤回路(30)における液体吸収剤の圧力が過上昇したことを検知するためには一定の時間を要し、その後、ポンプ(31)を停止させるためには更に時間を要する。従って、仮に圧力逃がし弁(81a、81b)が設けられていなかったとすると、圧力の過上昇が生じてからポンプ(31)が停止するまでの間に、透湿膜(62)等が損傷してしまうおそれがある。つまり、圧力上昇を検知してポンプ(31)を停止するだけでは調湿装置(10)の損傷を抑制・防止するためには十分ではない。このことから、上記に説明した通り、圧力逃がし弁(81a、81b)を設けて吸収剤回路(30)内の圧力に一定の上限値を設けることが有効である。
【0077】
−実施形態の効果−
上記の通り、圧力逃がし弁(81a、81b)の動作により、吸収剤回路(30)内における液体吸収剤の圧力を所定の上限値以下に維持することができ、液体吸収剤の圧力によって透湿膜(62)等が損傷するのを避けることができる。
【0078】
また、圧力逃がし弁(81a、81b)から放出された液体吸収剤をポンプ(31)の吸引側に戻すことにより、調湿装置(10)外に液体吸収剤が飛散するのを防ぐことができる。
【0079】
また、例えばポンプ(31)に供給される電流値に基づいて吸収剤回路(30)内における液体吸収剤の圧力の過上昇を検知し、ポンプ(31)を停止する。この場合にも、透湿膜(62)等の損傷を抑制・防止するために、圧力逃がし弁(81a、81b)を設けることが有益である。
【0080】
−実施形態の変形例1−
以下に、
図5を参照して、本実施形態の変形例1を説明する。
図5は、変形例1の調湿装置(10)の回路図である。ここで、
図2に示す回路図と同じ構成要素については同じ符号を付し、以下には主に相違点を説明する。
【0081】
図1の回路では、圧力逃がし弁(81a、81b)から放出された液体吸収剤は、流路(82)を通ってポンプ(31)の吸引側に戻されるようになっていた。これに対し、
図5に示す変形例1の回路では、液体吸収剤を溜めるための回収タンク(83)が備えられ、圧力逃がし弁(81a、81b)から放出された液体吸収剤は、流路(82)を通って上記回収タンク(83)に溜められる。
【0082】
このようにすることによっても、液体吸収剤が調湿装置(10)の外に飛散すること等を防止できる。また、吸収剤回路(30)に直接戻す場合に比べ、液体吸収剤が高圧のまま流路(82)側を通り続けることや、圧力逃がし弁(81a、81b)が開閉を繰り返すことを抑制しやすい。
【0083】
−実施形態の変形例2−
以下に、
図6を参照して、本実施形態の変形例2を説明する。
図6は、変形例2の調湿装置(10)の回路図である。ここで、
図2に示す回路図と同じ構成要素については同じ符号を付し、以下には主に相違点を説明する。
【0084】
図2の回路では、圧力逃がし弁(81a、81b)から放出された液体吸収剤は、流路(82)を通ってポンプ(31)の吸引側に戻されるようになっていた。これに対し、
図6に示す変形例2の回路では、バッファタンク(84)が備えられ、圧力逃がし弁(81a、81b)から放出された液体吸収剤は、流路(82)を通って上記バッファタンク(84)に溜められる。
【0085】
バッファタンク(84)は、吸収剤回路(30)に接続され、吸収剤回路(30)を循環する液体吸収剤の一部を溜めることにより、圧力、濃度、温度等によって液体吸収剤の体積が増減した場合でも、常に一定量の液体吸収剤を吸収剤回路(30)に供給することができる。
【0086】
圧力逃がし弁(81a、81b)から放出された液体吸収剤をこのようなバッファタンク(84)に戻すことによっても、液体吸収剤が調湿装置(10)の外に飛散すること等を防止できる。また、吸収剤回路(30)に液体吸収剤が高圧のまま流入するのを避けることができる。
【0087】
−実施形態の変形例3−
以下に、
図7を参照して、本実施形態の変形例3を説明する。
図7は、変形例3の調湿装置(10)の回路図である。ここで、
図2に示す回路図と同じ構成要素については同じ符号を付し、以下には主に相違点を説明する。また、
図7の回路においても、四方切換弁(37)及び圧縮機(36)等を備える冷媒回路(35)が備えられている。
【0088】
図2に示す吸収剤回路(30)では、ポンプ(31)が1つだけ備えられている。ポンプ(31)から吐出された液体吸収剤は、まず排気側モジュール(40b)を通り、その後、給気側モジュール(40a)を通ってポンプ(31)に戻る。
【0089】
これに対し、
図7の回路では、排気側モジュール(40b)から吸引した液体吸収剤を同じ排気側モジュール(40b)に供給し、且つ、給気側モジュール(40a)から吸引した液体吸収剤を同じ給気側モジュール(40a)に供給する第1状態と、排気側モジュール(40b)及び給気側モジュール(40a)の間で液体吸収剤を循環させる第2状態とを切換可能に構成されている。
【0090】
具体的には、2つのポンプ(31a、31b)と、2つの三方弁(91a、91b)が備えられている。ポンプ(31b)の吐出側が排気側モジュール(40b)の液入口に、排気側モジュール(40b)の液出口が三方弁(91b)の第1ポートに、三方弁(91b)の第2ポートはポンプ(31b)の吸引側に、それぞれ接続されている。また、ポンプ(31a)の吐出側が給気側モジュール(40a)の液入口に、給気側モジュール(40a)の液出口は三方弁(91a)の第1ポートに、三方弁(91a)の第2ポートはポンプ(31a)の吸引側に、それぞれ接続されている。三方弁(91b)の第3ポートはポンプ(31a)の吸引側に接続され、三方弁(91a)の第3ポートはポンプ(31b)の吸引側に接続されている。
【0091】
また、排気側モジュール(40b)の液入口付近に圧力逃がし弁(81b)を介して流路82bが設けられ、流路(82b)はポンプ(31b)の吸引側に接続されている。同様に、給気側モジュール(82a)の液入口付近に圧力逃がし弁(81a)を介して流路82aが設けられ、流路(82a)はポンプ(31a)の吸引側に接続されている。
【0092】
第1状態では、三方弁(91a、91b)はいずれも第1ポートから第2ポートに(実線に示すように)接続される。このとき、ポンプ(31b)から吐出された液体吸収剤は、排気側モジュール(40b)を通って三方弁(91b)に入り、第2ポートから出てポンプ(31b)に戻る。また、ポンプ(31a)から吐出された液体吸収剤は、給気側モジュール(40a)を通って三方弁(91a)に入り、第2ポートから出てポンプ(31a)に戻る。このようにして、排気側モジュール(40b)及び給気側モジュール(40a)は、それぞれ独立して運転され、除湿又は放湿が行なわれる。
【0093】
これに対し、第2状態では、三方弁(91a、91b)はいずれも第1ポートから第3ポートに(破線に示すように)接続される。この結果、排気側モジュール(40b)及び給気側モジュール(40a)の間で液体吸収剤が相互に循環される。このようにして、第1状態にて運転することにより濃度が変化した液体吸収剤を、排気側と給気側との間で入れ替えることができる。この後、第1状態に切り替えて除湿・放湿を行なう。
【0094】
尚、第1状態及び第2状態ともに、両方のポンプ(31a、31b)を用いて運転する。
【0095】
以上のような回路においても、圧力逃がし弁(81a、81b)を備えることにより、吸収剤回路(30)内における液体吸収剤の圧力を所定の上限値以下に維持することができ、液体吸収剤の圧力によって透湿膜(62)等が損傷するのを避けることができる。但し、排気側と給気側とを独立して運転する第1状態に対応するために、排気側モジュール(40b)及び給気側モジュール(40a)のそれぞれに対して圧力逃がし弁(81a、81b)を設ける。
【0096】
尚、
図7では、
図2の場合と同様に、圧力逃がし弁(81a、81b)から放出された液体吸収剤はポンプ(31a、31b)の吸引側に戻される構成となっている。しかしながら、放出された液体吸収剤を回収タンク(83)に蓄える構成(
図5を参照)であってもよい。また、バッファタンク(84)を更に備え、放出された液体吸収剤をバッファタンク(84)に戻す構成であっても良い(
図6を参照)。
【0097】
−実施形態の変形例4−
以下に、
図8を参照して、本実施形態の変形例4を説明する。
図8は、変形例4の調湿装置(10)の回路図である。
【0098】
これまでに説明してきた例(
図1、
図5、
図6及び
図7)では、いずれも、伝熱部材(46)の伝熱管(70)が吸収剤通路(41)内に配置された構造の調湿用モジュール(40a、40b)を用いている(
図3(A)及び(B)と
図4とを参照)。
【0099】
しかしながら、このことは必須ではない。つまり、
図8に示すように、透湿膜(62)を有する給気側モジュール(40a)及び排気側モジュール(40b)のそれぞれにおいて伝熱部材(46a、46b)が省略され、その代りに、給気側熱交換器(90a)及び排気側熱交換器(90b)が追加されている。
【0100】
給気側熱交換器(90a)は、液体吸収剤と冷媒を熱交換させる熱交換器である。具体的に、給気側熱交換器(90a)は、液体吸収剤の流路が吸収剤回路(30)に接続され、冷媒の流路が冷媒回路(35)に接続されている。吸収剤回路(30)において、給気側熱交換器(90a)は、排気側モジュール(40b)の液出口と給気側モジュール(40a)の液入口との間に配置されている。冷媒回路(35)において、給気側熱交換器(90a)は、四方切換弁(37)の第4のポートと膨張弁との間に配置されている。
【0101】
排気側熱交換器(90b)は、液体吸収剤と冷媒を熱交換させる熱交換器である。具体的に、排気側熱交換器(90b)は、液体吸収剤の流路が吸収剤回路(30)に接続され、冷媒の流路が冷媒回路(35)に接続されている。吸収剤回路(30)において、排気側熱交換器(90b)は、排気側モジュール(40b)の液出口と給気側モジュール(40a)の液入口との間に配置されている。冷媒回路(35)において、排気側熱交換器(90b)は、四方切換弁(37)の第3のポートと膨張弁との間に配置されている。
【0102】
−運転動作−
調湿装置(10)の除湿運転中において、冷媒回路(35)では、四方切換弁(37)が第1状態となり、排気側熱交換器(90b)が凝縮器として機能し、給気側熱交換器(90a)が蒸発器として機能する冷凍サイクルが行われる。吸収剤回路(30)を循環する液体吸収剤は、給気側熱交換器(90a)で冷媒によって冷却され、その後に給気側モジュール(40a)の吸収剤通路(41a)へ流入し、室外空気から吸湿する。その後、給気側モジュール(40a)から出た液体吸収剤は、排気側熱交換器(90b)で冷媒によって加熱され、その後に排気側モジュール(40b)の吸収剤通路(41b)へ流入し、室内空気へ放湿する。
【0103】
調湿装置(10)の加湿運転中において、冷媒回路(35)では、四方切換弁(37)が第2状態となり、給気側熱交換器(90a)が凝縮器として機能し、排気側熱交換器(90b)が蒸発器として機能する冷凍サイクルが行われる。吸収剤回路(30)を循環する液体吸収剤は、給気側熱交換器(90a)で冷媒によって加熱された後に給気側モジュール(40a)の吸収剤通路(41a)へ流入し、室外空気へ放湿する。その後、給気側モジュール(40a)から出た液体吸収剤は、排気側熱交換器(90b)で冷媒によって冷却された後に排気側モジュール(40b)の吸収剤通路(41b)へ流入し、室内空気から吸湿する。
【0104】
また、圧力逃がし弁(81a、81b)については
図2に示す回路の場合と同様であり、例えば排気側モジュール(40b)及び給気側モジュール(40a)の液入口付近にそれぞれ設けられている。これにより、液体吸収剤の圧力が異常に高くなった場合、圧力逃がし弁(81a、81b)によって圧力が解放され、調湿装置(10)の損傷を抑制又は防止する等の効果が得られる。
【0105】
また、
図8では、
図2の場合と同様に、圧力逃がし弁(81a、81b)から放出された液体吸収剤はポンプ(31)の吸引側に戻される構成となっている。しかしながら、放出された液体吸収剤を回収タンク(83)に蓄える構成(
図5を参照)であってもよい。また、バッファタンク(84)を更に備え、放出された液体吸収剤をバッファタンク(84)に戻す構成であっても良い(
図6を参照)。
【0106】
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。