特許第5888131号(P5888131)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5888131
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】竪型ミル
(51)【国際特許分類】
   B02C 15/04 20060101AFI20160303BHJP
【FI】
   B02C15/04
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-129970(P2012-129970)
(22)【出願日】2012年6月7日
(65)【公開番号】特開2013-252494(P2013-252494A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2015年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100083563
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 祥二
(72)【発明者】
【氏名】田村 雅人
【審査官】 筑波 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−16845(JP,U)
【文献】 特開昭59−156440(JP,A)
【文献】 特開平8−196924(JP,A)
【文献】 特開2009−213998(JP,A)
【文献】 特開2011−251222(JP,A)
【文献】 特開2011−183344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分級室を形成するハウジングと、前記分級室の上部に設けられた分級機と、前記分級室の下部に設けられ、テーブル駆動装置によって回転駆動される粉砕テーブルと、該粉砕テーブル上に押圧され塊状物を粉砕する複数の加圧ローラと、前記粉砕テーブルの周囲から1次空気を噴出す吹出し口と、前記粉砕テーブルの中心に塊状物を供給するシュートと、該シュートの周囲に設けられた倒立円錐台形状のリジェクトシュートと、該リジェクトシュートと前記粉砕テーブル間に設けられ、前記ハウジングの内壁より上方に延出し周面に複数の孔が穿設された円錐筒部を有する旋回コーンとを具備し、前記リジェクトシュートの下端が前記孔の下端に位置する様前記リジェクトシュートを前記円錐筒部に連結することを特徴とする竪型ミル。
【請求項2】
前記リジェクトシュートの内面に、該内面の母線方向に延び円弧状の底部を有する集積流路が形成され、該集積流路と前記孔とが連通している請求項1の竪型ミル。
【請求項3】
前記円錐筒部の内面に前記粉砕テーブルの中心に向って延出する回収管が形成され、該回収管と前記集積流路とが連通する請求項2の竪型ミル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭、石灰岩等の塊状物を微粉に粉砕する竪型ミルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
石炭を燃料とする石炭焚きボイラでは、塊状の石炭を竪型ミルやボールミルにより粉砕して微粉炭とし、微粉炭を1次空気と共に燃焼装置であるバーナに供給している。
【0003】
竪型ミルの一部は、ハウジングと、ハウジングの上部に収納され所定の回転数で回転する回転式の分級機と、ハウジングの下部に収納され所定の回転数で回転する粉砕テーブルと、ハウジングに支持された加圧ローラユニットとを有し、加圧ローラユニットは回転自在な加圧ローラを粉砕テーブルに押圧する構造となっている。
【0004】
粉砕テーブルには給炭管から塊状の石炭が粉砕テーブルの中心に投入され、供給される。供給された塊状の石炭は、粉砕テーブルの回転遠心力によって外周へと移動し、石炭が粉砕テーブルの外周に移動する過程で、加圧ローラと粉砕テーブルの間に噛込まれて粉砕される。粉砕された粉砕炭は粉砕テーブル周囲の1次空気吹出し口より噴上がる1次空気によって噴上げられ、粉砕炭流としてハウジング内を旋回しながら上昇する。
【0005】
粉砕炭流が上昇する過程で、粉砕炭には旋回の遠心力による遠心分級が行われると共に、自重による重力が作用する重力分級が行われる。粉砕炭のうち、粒径の大きい粗粉炭に作用する遠心力及び重力荷重が大きいことから、粗粉炭は1次空気の上昇流より分離し、粉砕テーブル上に落下し、遠心分級及び重力分級により分級された後の粉砕炭流は、分級機により衝突分級が行われ、更に粗粉炭が粉砕炭から分離されることで、粒径の小さい微粉炭が1次空気と共にバーナに供給される。
【0006】
従来の竪型ミルの場合、遠心分級及び衝突分級によりハウジングの内壁方向に分級された粗粉炭を回収し、回収した粗粉炭を粉砕テーブル上に再度供給する為の構造を有さず、又分級機により分級された粗粉炭がハウジング内を上昇する粉砕炭流と再度混合され、ミル差圧の上昇の原因、或は分級機の分級効率の低下の原因となっていた。
【0007】
又、分級機の下方に倒立円錐台形状のリジェクトシュートを設け、該リジェクトシュートにより分級された粗粉炭を捕集し、捕集した粗粉炭を粉砕テーブル上に再度供給すると共に、分級機で分級され落下する粗粉炭とハウジング内を上昇する粉砕炭流とを分離しミル差圧の上昇を抑制する様にした竪型ミルもあるが、リジェクトシュートを設けた竪型ミルの場合、上昇する粉砕炭流はリジェクトシュートに形成された開口部を通って上昇するが、開口部の面積を適正に確保することができず、ミル差圧の増大を招いていた。
【0008】
尚、分級部に到達した石炭粉を回転式分級羽根で所定粒径以下の微粉炭と、所定粒径以上の粗粉炭とに分級し、分級された粗粉炭をコーンにて捕集し、粉砕部に再度供給する分級装置及び竪型ミルとして、特許文献1に示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−18301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は斯かる実情に鑑み、分級された粉砕炭を効率よく粉砕テーブル上に再度供給し粉砕効率の向上を図ると共に、ミル差圧の増大を抑制する竪型ミルを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、分級室を形成するハウジングと、前記分級室の上部に設けられた分級機と、前記分級室の下部に設けられ、テーブル駆動装置によって回転駆動される粉砕テーブルと、該粉砕テーブル上に押圧され塊状物を粉砕する複数の加圧ローラと、前記粉砕テーブルの周囲から1次空気を噴出す吹出し口と、前記粉砕テーブルの中心に塊状物を供給するシュートと、該シュートの周囲に設けられた倒立円錐台形状のリジェクトシュートと、該リジェクトシュートと前記粉砕テーブル間に設けられ、前記ハウジングの内壁より上方に延出し周面に複数の孔が穿設された円錐筒部を有する旋回コーンとを具備し、前記リジェクトシュートの下端が前記孔の下端に位置する様前記リジェクトシュートを前記円錐筒部に連結する竪型ミルに係るものである。
【0012】
又本発明は、前記リジェクトシュートの内面に、該内面の母線方向に延び円弧状の底部を有する集積流路が形成され、該集積流路と前記孔とが連通している竪型ミルに係るものである。
【0013】
更に又本発明は、前記円錐筒部の内面に前記粉砕テーブルの中心に向って延出する回収管が形成され、該回収管と前記集積流路とが連通する竪型ミルに係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、分級室を形成するハウジングと、前記分級室の上部に設けられた分級機と、前記分級室の下部に設けられ、テーブル駆動装置によって回転駆動される粉砕テーブルと、該粉砕テーブル上に押圧され塊状物を粉砕する複数の加圧ローラと、前記粉砕テーブルの周囲から1次空気を噴出す吹出し口と、前記粉砕テーブルの中心に塊状物を供給するシュートと、該シュートの周囲に設けられた倒立円錐台形状のリジェクトシュートと、該リジェクトシュートと前記粉砕テーブル間に設けられ、前記ハウジングの内壁より上方に延出し周面に複数の孔が穿設された円錐筒部を有する旋回コーンとを具備し、前記リジェクトシュートの下端が前記孔の下端に位置する様前記リジェクトシュートを前記円錐筒部に連結するので、前記円錐筒部より噴上げられた1次空気と分級された粉砕炭とが混ざり合うことがなく、ミル差圧の増大を抑制でき、又前記円錐筒部により1次空気を縮流させ増速させた後に急激に流路面積を増大させ急激な遠心力を作用させることで、分級効率を向上させ、更に分級された粉砕炭を再度前記粉砕テーブル上に供給させることで粉砕効率の向上を図ることができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例に係る竪型ミルの概略立断面図である。
図2】本発明の実施例に係る旋回コーンであり、(A)は該旋回コーンの平面図を示し、(B)は該旋回コーンの斜視図を示している。
図3】本発明の実施例に係るリジェクトシュートであり、(A)は該リジェクトシュートの斜視図を示し、(B)は該リジェクトシュートの平面図を示し、(C)は(A)のA−A矢視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0017】
図1に於いて、本発明の実施例に係る竪型ミル1について説明する。
【0018】
中空構造又は脚構造の基台2に筒状のハウジング3が立設され、該ハウジング3によって密閉された空間が形成される。該空間の下部には減速機4を介して粉砕テーブル5が設けられ、該粉砕テーブル5は前記減速機4を介しテーブル駆動モータ6によって駆動回転される。前記粉砕テーブル5は前記テーブル駆動モータ6によって定速又は可変速で回転される様になっており、該減速機4と前記テーブル駆動モータ6とによりテーブル駆動装置7が構成される。
【0019】
前記粉砕テーブル5の上面には、断面が円弧状の凹溝8を有するテーブルセグメント9が設けられ、該テーブルセグメント9がリング状に連設され、前記凹溝8によって前記粉砕テーブル5の回転中心を中心とするリング状の粉砕溝が形成される。
【0020】
前記粉砕テーブル5の回転中心から放射状に所要組数、例えば3組の加圧ローラユニット11が120°間隔で設けられている。該加圧ローラユニット11は加圧ローラ12を有し、ピボット軸13を中心に傾動自在となっている。又、前記ハウジング3の下部には、該ハウジング3を放射状に貫通する3組のローラ加圧装置14が設けられている。該ローラ加圧装置14は、アクチュエータ、例えば油圧シリンダ15を具備し、該油圧シリンダ15によって前記加圧ローラ12を前記凹溝8に押圧する様になっている。
【0021】
前記粉砕テーブル5の下方には1次空気室16が形成され、前記ハウジング3内部の前記粉砕テーブル5より上方は、分級室17となっている。
【0022】
前記ハウジング3の下部には1次空気供給口18が取付けられ、該1次空気供給口18は図示しない送風機に接続されると共に、前記1次空気室16に連通している。前記粉砕テーブル5の周囲には、1次空気の吹出し口19が全周に設けられており、該吹出し口19は前記粉砕テーブル5の周方向、好ましくは該粉砕テーブル5の回転方向とは逆向きに傾斜している。尚、前記吹出し口19の傾斜角度は45°以下であり、例えば前記吹出し口19より噴上げられる1次空気に充分な旋回が与えられる様、30°以上45°以下の範囲で傾斜するのが望ましい。
【0023】
前記ハウジング3の上側には原料給排部21が設けられており、該原料給排部21の中心部を貫通する様にパイプ状のシュート22が設けられている。該シュート22は前記ハウジング3の内部に延出し、下端が前記粉砕テーブル5の中央上方に位置している。前記シュート22には塊状物が供給され、供給された塊状物は前記粉砕テーブル5の中心部に落下する様になっている。
【0024】
前記シュート22には回転管23が外嵌され、該回転管23は回転管支持部24に軸受け25を介して回転自在に支持されている。該回転管23にはプーリ26が設けられ、該プーリ26とプーリ27との間にはベルト28が掛回され、前記プーリ27は減速機29の出力軸に嵌着されており、該減速機29には分級機モータ31が連結されている。而して、前記回転管23は前記減速機29、前記プーリ27、前記ベルト28、前記プーリ26を介して前記分級機モータ31によって回転される様になっている。
【0025】
前記回転管23にはブレード32が所要数放射状に取付けられ、前記回転管23、前記プーリ26、前記プーリ27、前記ベルト28、前記減速機29、前記分級機モータ31、前記ブレード32によって分級機33が構成されている。
【0026】
前記ブレード32は短冊状であり、倒立円錐曲面上に円周方向に所定角度ピッチで配設される。又、前記ブレード32は下端から上端に向って前記回転管23から離反する様に傾斜しており、ブレード支持部34を介して前記回転管23に取付けられている。
【0027】
前記粉砕テーブル5の上方には旋回コーン35が配設され、該旋回コーン35の下方に第1分級室17aが画成される。前記旋回コーン35は前記ハウジング3の内壁から上方に向って延出し、上方に向って漸次1次空気の流路面積を減少させる円錐筒部36と、該円錐筒部36の上端より上方に延出する円筒部37から構成され、前記円錐筒部36は旋回コーン支持部38を介して前記シュート22に支持されている。尚、前記円筒部37の径は前記シュート22の径よりも大きくなっており、前記円筒部37と前記シュート22との間に1次空気の流路が形成される様になっている。
【0028】
又、図2(A)(B)に示される様に、前記円錐筒部36には、前記加圧ローラ12と干渉しない様、例えば3箇所に切欠き部39が形成され、該切欠き部39,39間には、例えば120°間隔で3箇所に孔41が穿設されている。又、前記円錐筒部36の内面には、前記孔41より前記加圧ローラ12,12間を前記シュート22の下端に向って延出するパイプ状の回収管42が固着されている。該回収管42は、軸心が下方に向って中心側に近接する様傾斜しており、各回収管42の軸心は倒立円錐曲面に位置し、又周方向に3等分した位置となっている。又、前記回収管42の下端は前記シュート22の下端の近傍に位置し、下端開口43は前記シュート22の軸心と平行又は略平行であり、前記加圧ローラ12,12の間に位置している。
【0029】
前記旋回コーン35と前記分級機33の間には、前記ハウジング3の内壁から下方に向って延出する倒立円錐台形状のリジェクトシュート44が配設され、該リジェクトシュート44の上方に第2分級室17bが画成される。
【0030】
図3は前記リジェクトシュート44の詳細を示しており、前記リジェクトシュート44の内面の所定箇所、例えば120°間隔で3箇所に集積流路45が形成されている。該集積流路45は底面が円弧状であり、円錐曲面の母線方向に延び、上下方向全長に亘って形成されている。又、前記リジェクトシュート44の上端部は、倒立円錐曲面によって形成された斜面46となっている。
【0031】
前記リジェクトシュート44の下端は前記円錐筒部36の外周面上に位置すると共に、前記集積流路45の底部と前記孔41の位置が一致しており、前記集積流路45と前記回収管42とは連通する様になっている。又、前記リジェクトシュート44は下端が前記円錐筒部36の外周面に溶接等により固着され、前記ハウジング3と前記円錐筒部36により支持される様になっている。
【0032】
尚、前記円筒部37は、前記分級機33と前記旋回コーン35との間の距離を所定の距離に調整する為の調整代となっており、予め前記旋回コーン35を取付ける前記竪型ミル1のサイズが分っている場合には、前記分級機33迄の距離が所定の距離となる様前記円錐筒部36を作製し、前記円筒部37を省略してもよい。
【0033】
前記原料給排部21には、粉砕された粉体を送給する粉砕物送給管47が接続されており、該粉砕物送給管47はボイラのバーナ(図示せず)に接続されている。
【0034】
次に、前記竪型ミル1に於ける石炭の粉砕について説明する。尚、図1中、実線は1次空気の流れを示しており、点線は石炭の流れを示している。
【0035】
前記粉砕テーブル5が前記減速機4を介して前記テーブル駆動モータ6により回転され、前記1次空気供給口18より200℃前後の1次空気が前記1次空気室16に導入された状態で、前記シュート22より塊状の石炭が投入される。塊状の石炭は、前記シュート22の下端より前記粉砕テーブル5の中心部に流落し、該粉砕テーブル5上に供給される。
【0036】
該粉砕テーブル5上の石炭は、該粉砕テーブル5の回転による遠心力で外周方向に移動し、前記加圧ローラ12に噛込まれて粗粉炭と微粉炭からなる粉砕炭に粉砕され、更に遠心力によって外周に移動する。
【0037】
前記1次空気供給口18より前記1次空気室16に導入された1次空気は、前記粉砕テーブル5の周囲に例えば充分な旋回が与えられる様30°以上45°以下の範囲で傾斜して形成された前記吹出し口19より噴上げられる。該吹出し口19より噴出する1次空気の流速としては、例えば粉砕炭を噴上げ、粉砕炭の重力分級を行う為の最低限の流速である30m/s以上、重力分級が損われる下限の流速である100m/s以下である。
【0038】
前記粉砕テーブル5の回転による遠心力により前記テーブルセグメント9を乗越えた粉砕炭は、前記吹出し口19より噴上がった1次空気に乗り、粉砕炭流として前記第1分級室17a内を旋回しながら上昇する。
【0039】
該第1分級室17a内を上昇する過程で、粒径の大きい粗粉体は、自重により粉砕炭流から離脱し、前記粉砕テーブル5上へと落下する。
【0040】
又、前記粉砕テーブル5の上方には、上方に向って漸次径が減少する前記旋回コーン35の前記円錐筒部36が設けられているので、前記第1分級室17a内を上昇する粉砕炭流は、前記円錐筒部36の内面に沿って旋回しながら上昇し、又上昇する過程で漸次縮流され、増速される。
【0041】
前記円錐筒部36、前記円筒部37を通過する過程で縮流され増速された粉砕炭流は、前記円筒部37の上端より前記第2分級室17bに中央から噴上げられる。粉砕炭流は該第2分級室17bへと到達することで急激に流路面積が増大し、減速されて前記第2分級室17b内を外周方向に向って上昇する。
【0042】
前記第2分級室17b内を上昇する粉砕炭流には、流速に対して大きな遠心力が作用することから、粉砕炭流中から前記第1分級室17aで分級されなかった粗粉体が遠心力により分離され、又粗粉体は自重によって前記粉砕炭流中から分離され、前記第2分級室17bの外周側を通って前記リジェクトシュート44の内面上に落下する。
【0043】
前記第2分級室17bにて遠心力及び重力荷重により粗粉炭が分離した粉砕炭流は、前記分級機33へと到達し、該分級機33により更に粉砕炭の分級が行われる。
【0044】
該分級機33により、所定粒径以下の微粉炭は該分級機33を通過し、前記粉砕物送給管47より送出され、図示しないボイラのバーナに供給される。前記第2分級室17bにて分級仕切れなかった粗粉炭は、前記ブレード32によって弾かれ、又該ブレード32の回転により生じた風により押返され、該ブレード32に弾かれた粗粉炭及び風により押返された粗粉炭は、前記第2分級室17bの外周側を通って前記リジェクトシュート44の内面上に落下する。
【0045】
該リジェクトシュート44の内面上に落下した粗粉炭は、3箇所に形成された前記集積流路45のうちの何れかに落下し、該集積流路45内を滑落する。該集積流路45内を滑落した粗粉炭は、前記孔41を介して前記回収管42内に流入し、該回収管42内を滑落し、前記下端開口43より前記粉砕テーブル5の中央部に落下する。
【0046】
前記回収管42より落下した粗粉体は、前記粉砕テーブル5の回転遠心力によって前記凹溝8迄移動し、前記加圧ローラ12によって再度粉砕され、1次空気により噴上げられる。
【0047】
上述の様に、本実施例では、円錐状の前記旋回コーン35を設け、前記第1分級室17a内で粉砕炭流を縮流し、増速させた後、前記第2分級室17b内で急激に流路面積を増大させ、減速させることで、粉砕炭流に対して急激な遠心力を作用させることができ、遠心分級の効果を増大させることができる。
【0048】
又、倒立円錐台形状の前記リジェクトシュート44を設けたことで、前記第2分級室17b及び前記分級機33にて分級された粗粉炭を前記粉砕テーブル5上に再度供給することができ、石炭の粉砕効率を向上させることができる。
【0049】
又、前記第1分級室17aで増速された粉砕炭流は、前記第2分級室17bの中央より噴上げられる様になっているので、該第2分級室17b内を上昇する粉砕炭流と、該第2分級室17b及び前記分級機33にて分級され降下する粗粉炭とが混ざり合うことがなく、ミル差圧の増大を抑制することができる。
【0050】
又、前記リジェクトシュート44の内面に前記集積流路45を形成し、前記第2分級室17b及び前記分級機33にて分級された粗粉炭を前記集積流路45を介して前記第1分級室17a内に供給できる様になっているので、分級された粗粉炭を漏れなく回収することができ、粉砕効率を向上させることができる。
【0051】
又、前記円錐筒部36の前記孔41より前記シュート22の下端に向って延出する前記回収管42を設け、前記回収管42を介して分級され回収された粗粉炭を前記粉砕テーブル5の中心部に再度供給する様にしているので、前記第1分級室17a内を上昇する粉砕炭流と回収した粗粉炭とが混ざり合うことがなく、ミル差圧の増大を抑制することができる。
【0052】
更に、前記吹出し口19を、粉砕炭流に対して十分な旋回が与えられる様、30°以上45°以下の範囲で傾斜させているので、粉砕炭流に作用する遠心力を増大させることができ、分級効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 竪型ミル
3 ハウジング
5 粉砕テーブル
7 テーブル駆動装置
12 加圧ローラ
17 分級室
19 吹出し口
22 シュート
33 分級機
35 旋回コーン
36 円錐筒部
42 回収管
44 リジェクトシュート
45 集積流路
図1
図2
図3