(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1のビット数を有する複数の色データがとるデータの範囲を揃えるためのゲインを、前記複数の色データのうち最大値をとる色データに対するゲインを基準として、小さい値の色データに対するゲインほど大きい値となるように正規化して正規化ゲインデータを生成するゲイン正規化部と、
前記最大値をとる色データを、予め保持されている量子化テーブルを用いて前記第1のビット数より小さい第2のビット数に符号化し、前記最大値をとる色データ以外の色データを、予め保持されている量子化テーブルの値を前記正規化ゲインデータが示す正規化ゲインで除算した調整量子化テーブルを用いて前記第2のビット数に符号化する前記複数の色データそれぞれの符号化部と、
を備えることを特徴とする画像信号符号化装置。
第1のビット数を有する複数の色データがとるデータの範囲を揃えるためのゲインを、前記複数の色データのうち最大値をとる色データに対するゲインを基準として、小さい値の色データに対するゲインほど大きい値となるように正規化して正規化ゲインデータを生成し、
前記最大値をとる色データを、予め保持されている量子化テーブルを用いて前記第1のビット数より小さい第2のビット数に符号化し、
前記最大値をとる色データ以外の色データを、予め保持されている量子化テーブルの値を前記正規化ゲインデータが示す正規化ゲインで除算した調整量子化テーブルを用いて前記第2のビット数に符号化する
ことを特徴とする画像信号符号化方法。
第1のビット数を有する複数の色データがとるデータの範囲を揃えるためのゲインを、前記複数の色データのうち最大値をとる色データに対するゲインを基準として、小さい値の色データに対するゲインほど大きい値となるように正規化した前記複数の色データそれぞれに対する正規化ゲインデータのうち、前記最大値をとる色データに対する正規化ゲインデータと、前記最大値をとる色データを前記第1のビット数より小さい第2のビット数に符号化した第1の符号化データとが入力される第1の復号部と、
前記複数の色データそれぞれに対する正規化ゲインデータのうち、前記最大値をとる色データ以外の色データに対する正規化ゲインデータと、前記最大値をとる色データ以外の色データを前記第2のビット数に符号化した第2の符号化データとが入力される第2の復号部と、
を備え、
前記第1の復号部は、予め保持されている逆量子化テーブルを用いて前記第1の符号化データを前記第1のビット数に復号し、
前記第2の復号部は、予め保持されている量子化テーブルの値を前記正規化ゲインデータが示す正規化ゲインで除算した調整逆量子化テーブルを用いて前記第1のビット数に復号する
ことを特徴とする画像信号復号装置。
第1の復号部に、第1のビット数を有する複数の色データがとるデータの範囲を揃えるためのゲインを、前記複数の色データのうち最大値をとる色データに対するゲインを基準として、小さい値の色データに対するゲインほど大きい値となるように正規化した前記複数の色データそれぞれに対する正規化ゲインデータのうち、前記最大値をとる色データに対する正規化ゲインデータと、前記最大値をとる色データを前記第1のビット数より小さい第2のビット数に符号化した第1の符号化データとを入力し、
第2の復号部に、前記複数の色データそれぞれに対する正規化ゲインデータのうち、前記最大値をとる色データ以外の色データに対する正規化ゲインデータと、前記最大値をとる色データ以外の色データを前記第2のビット数に符号化した第2の符号化データとを入力し、
前記第1の復号部に予め保持されている逆量子化テーブルを用いて前記第1の符号化データを前記第1のビット数に復号し、
前記第2の復号部に予め保持されている逆量子化テーブルの値を前記正規化ゲインデータが示す正規化ゲインで除算した調整逆量子化テーブルを用いて前記第2の符号化データを前記第1のビット数に復号する
ことを特徴とする画像信号復号方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施形態の画像信号符号化装置及び方法、並びに、画像信号復号装置及び方法について、添付図面を参照して説明する。
図1は、入力された画像データを符号化して復号する画像信号符号化・復号装置を示している。
図1の画像信号符号化・復号装置は、一実施形態の画像信号符号化装置及び画像信号復号装置を含んで構成されている。
【0013】
図1において、ホワイトバランスゲイン算出部11及び色成分分離部13には、入力画像データとして、図示していないイメージセンサから出力されたRAWデータが入力される。入力画像データは例えば8ビットである。RAWデータは、R,G,Bの各色データを含む。
【0014】
イメージセンサは、一例として、R,G,Bの各色画素が
図2に示すように配列したベイヤ配列となっている。従って、ホワイトバランスゲイン算出部11及び色成分分離部13には、R,G,R,G,R,…の画素データと、G,B,G,B,G,…の画素データとが、ラインごとに交互に入力される。即ち、ホワイトバランスゲイン算出部11及び色成分分離部13に入力される画素データは1系統である。
【0015】
デジタル撮影装置で同じ被写体を撮影したとしても、光源の色温度によって色が異なる。イメージセンサから出力されるRAWデータのR,G,Bの画素データの最大値にはばらつきが生じる。各色の最大値にはばらつきが生じている状態で白を表現すると、白は不自然な色味となってしまう。そこで、デジタル撮影装置は、各色の画素データの最大値を揃えるホワイトバランス処理部を備える。
【0016】
ホワイトバランス処理部によって各色の画素データに対してホワイトバランスの処理を施すには、各色の画素データに乗じるゲインを算出することが必要となる。ホワイトバランスゲイン算出部11は、通常のデジタル撮影装置が備えるホワイトバランス処理部が有している構成をそのまま用いることが可能である。
【0017】
ホワイトバランスゲイン算出部11は、R,G,Bのそれぞれの画素データに対するゲインを示すゲインデータDgr,Dgg,Dgbを算出する。ホワイトバランスゲイン算出部11は、例えばGの画素データを基準として、R,Bの画素データがとる振幅の範囲をGの画素データがとる振幅の範囲に揃えるようなゲインデータDgr,Dgg,Dgbを算出する。この際、ホワイトバランスゲイン算出部11は、複数フレームに渡って各色の振幅を観察して、ゲインデータDgr,Dgg,Dgbを算出すればよい。
【0018】
ゲインデータDgr,Dgg,Dgbはゲイン正規化部12に入力される。ゲイン正規化部12は、ゲインデータDgr,Dgg,Dgbを正規化して正規化ゲインデータDngr,Dngg,Dngbを出力する。具体的には、ゲイン正規化部12は、次のようにしてゲインデータDgr,Dgg,Dgbを正規化する。
【0019】
まず、ゲイン正規化部12は、R,G,Bのどの色の画素データが最大値をとるかを判定する。例えば、ゲインデータDggが示すゲインが“1”、ゲインデータDgr,Dgbが示すゲインが“1”より大きい値の場合には、Gの画素データが最大値をとると判定できる。ゲインデータDggが示すゲインが“1”、ゲインデータDgrが示すゲインが“1”より大きい値、ゲインデータDgbが示すゲインが“1”より小さい値の場合には、Bの画素データが最大値をとると判定できる。
【0020】
次に、ゲイン正規化部12は、最大値をとる色の画素データに対するゲインが“1”となるように、ゲインデータDgr,Dgg,Dgbを正規化する。例えば、ゲインデータDgr,Dgg,Dgbが示すゲインが“1.5”,“1”,“0.5”であれば、最大値をとるBの画素データに対するゲインを“1”とするよう、それぞれのゲインに2を乗算して、正規化ゲイン“3”,“2”,“1”を得ることができる。
【0021】
ゲイン正規化部12は、最大値をとる色の画素データに対するゲインを基準として、小さい値の色データに対するゲインほど大きい値となるようにゲインデータDgr,Dgg,Dgbを正規化する。ゲイン正規化部12は、このようにして得られた正規化ゲインを示すデータを正規化ゲインデータDngr,Dngg,Dngbとして出力する。
【0022】
正規化ゲインデータDngrは、符号化部14R及び復号部16Rに入力される。正規化ゲインデータDnggは、符号化部14G及び復号部16Gに入力される。正規化ゲインデータDngbは、符号化部14B及び復号部16Bに入力される。正規化ゲインデータDngr,Dngg,Dngbは、メモリ15に入力される。復号部16R,16G,16Bに正規化ゲインデータDngr,Dngg,Dngbを入力しない構成としてもよい。
【0023】
色成分分離部13は、入力された画素データのうち、Rの画素データのみを選択したRデータDrと、Gの画素データのみを選択したGデータDgと、Bの画素データのみを選択したBデータDbとに分離する。RデータDrは符号化部14Rに入力され、GデータDgは符号化部14Gに入力され、BデータDbは符号化部14Bに入力される。
【0024】
デジタル撮影装置がR,G,B個別のイメージセンサを備える場合には、色成分分離部13は不要である。この場合、Rのイメージセンサから出力されたRの画素データを符号化部14Rに入力し、Gのイメージセンサから出力されたGの画素データを符号化部14Gに入力し、Bのイメージセンサから出力されたBの画素データを符号化部14Bに入力すればよい。
【0025】
符号化部14R,14G,14Bは、それぞれ入力されたRデータDr,GデータDg,BデータDbを符号化する。符号化部14R,14G,14Bの具体的な構成及び動作は、特許文献1に記載されている構成及び動作とすることができる。
【0026】
符号化部14Rは、量子化テーブルを保持する量子化テーブル保持部141と、正規化ゲインデータDngrに応じて量子化テーブルを調整する量子化テーブル調整部142と、量子化テーブル調整部142によって調整された量子化テーブルを用いて、RデータDrを符号化する対象画素と周辺画素との差分値を量子化する差分量子化部143とを有する。
図1では、符号化部14Rのみ詳細構成を示しているが、符号化部14G,14Bも符号化部14Rと同様の構成を有する。
【0027】
差分量子化部143は、符号化する対象画素と、周辺画素として例えば左隣に位置する画素との差分値を求める。量子化テーブル保持部141には、
図3に示すように、対象画素と左隣に位置する画素との差分値を複数の領域に分け、それぞれの領域に例えば4ビットの符号化データを対応させた量子化テーブルが保持されている。
【0028】
符号化部14R,14G,14Bは、8ビットの画素データを4ビットに符号化するものとする。符号化部14R,14G,14Bは、入力画像データが有する第1のビット幅を、第1のビット幅より小さい第2のビット幅に符号化すればよい。
【0029】
ここでは1つの量子化テーブルを示しているが、量子化テーブル保持部141に複数の量子化テーブルを保持させておき、符号化する対象画素のレベルに応じて使用する量子化テーブルを切り替えることが好ましい。本実施形態では、簡略化のため、使用する量子化テーブルを
図3に示す1つの量子化テーブルとして説明する。
【0030】
符号化部14Rの量子化テーブル調整部142は、量子化テーブル保持部141からの量子化テーブルの差分値に、正規化ゲインデータDngrが示すゲインの逆数を乗じることによって量子化テーブルを調整する。正規化ゲインデータDngr,Dngg,Dngbが示す正規化ゲインが“3”,“2”,“1”の場合、符号化部14Rの量子化テーブル調整部142は、量子化テーブルの差分値に1/3を乗じて、
図4の(a)に示す調整量子化テーブルとする。
【0031】
符号化部14Gの量子化テーブル調整部142は、量子化テーブルの差分値に1/2を乗じて、
図5に示す調整量子化テーブルとする。符号化部14Bの量子化テーブル調整部142は、量子化テーブルの差分値に1/1を乗じることになるので、符号化部14Bは、
図3に示す量子化テーブルをそのまま用いる。
【0032】
符号化部14Rの差分量子化部143は、入力されたRデータDrにおけるそれぞれの対象画素と左隣に位置する画素との差分値が
図4の(a)に示す調整量子化テーブルのどの領域に属するかを判定して、属する領域に対応した符号化データを符号化RデータDerとして出力する。
同様に、符号化部14Gの差分量子化部143は、入力されたGデータDgにおけるそれぞれの対象画素と左隣に位置する画素との差分値が
図5に示す調整量子化テーブルのどの領域に属するかを判定して、属する領域に対応した符号化データを符号化GデータDegとして出力する。
【0033】
符号化部14Bの差分量子化部143は、入力されたBデータDbにおけるそれぞれの対象画素と左隣に位置する画素との差分値が
図3に示す量子化テーブルのどの領域に属するかを判定して、属する領域に対応した符号化データを符号化BデータDebとして出力する。
【0034】
図4の(a),
図5は、差分値に1/3または1/2を乗じて小数点以下の値が発生した場合には、その小数点以下の値を切り捨てることのよって生成した量子化テーブルの例である。なお、小数点以下の値が発生した場合の量子化テーブルの生成方法はこれに限らず任意である。
図4の(a)において、例えば0〜0の領域と0〜1の領域とでは、下側の領域の上限値と上側の領域の下限値とが同じ値で重複している。このような場合は、0〜0と1〜1のように一方を繰り上げたり繰り下げたりして、値が重複しないように調整することが好ましい。
【0035】
例えば、
図4の(b)は、
図4の(a)の量子化テーブルを、下側の領域の上限値と上側の領域の下限値とにおいてそれらの値が重複しないように調整することによって生成した量子化テーブルの例である。この量子化テーブルの生成方法を以下に説明する。
なお以降は、便宜上、値が正の場合について説明する。負数の場合は、正数の場合に対して、値の大小関係、領域の上下関係を逆にすればよいので説明を省略する。
【0036】
符号化データの値が0の領域の上方の領域から調整を開始する。そして、これにより調整された領域に基づいて、さらにその上方の未調整の領域を調整する。このような調整を順次最上方の領域まで繰り返す。
具体的には、各領域において、調整対象領域における下限値aとその下方の領域の上限値bとの関係が下限値a≦上限値bとなった場合、下限値aが上限値bよりも1大きくなるように下限値aをオフセットさせることによって各差分値を調整する。このような調整によって、
図4の(b)の量子化テーブルを生成する。
【0037】
図4の(b)の量子化テーブルを用いると、符号化データ0付近の割り当て(階調)を
図4の(a)の量子化テーブルよりも細かくすることができる。
【0038】
正規化ゲインデータDngr,Dngg,Dngbが示す正規化ゲインが“3”,“2”,“1”の場合、RデータDrが最も振幅が小さい。仮に、符号化部14Rが
図3に示す量子化テーブルをそのまま使用したとすると、差分値が大きい領域の符号化データを用いることなく、RデータDrを符号化する。すると、対象画素と周辺画素との差分値が小さい領域に対して荒い領域を割り当てることになり、誤差が大きくなってしまう。
【0039】
これに対して、
図3に示す量子化テーブルの差分値を、
図4の(a)または(b)や
図5に示すように正規化ゲインの逆数を乗じて調整すると、差分値の最小値から最大値までの範囲が狭くなり、それぞれの領域の範囲を狭くすることができる。この結果、対象画素と周辺画素との差分値が小さい領域に対して細かく複数の領域を割り当てることが可能となる。よって、本実施形態によれば、誤差を小さくすることができる。
【0040】
本実施形態によれば、量子化テーブルにおいて使用されない領域を減らすことができる。よって、量子化テーブルの効率がよくなる。本実施形態によれば、各色の画素データの振幅に応じて差分値の領域が設定された量子化テーブルを用いて各色の画素データを符号化することが可能となる。
【0041】
符号化部14R,14G,14Bより出力された符号化RデータDer,符号化GデータDeg,符号化BデータDebは、メモリ15に入力されて記憶される。メモリ15は、符号化RデータDer,符号化GデータDeg,符号化BデータDebを1または複数フレーム遅延させるために用いることができる。また、メモリ15は、符号化RデータDer,符号化GデータDeg,符号化BデータDebを貯蔵するために用いることもできる。
【0042】
符号化RデータDer,符号化GデータDeg,符号化BデータDebのデータ量が削減されているため、メモリ15の容量は、RデータDr,GデータDg,BデータDbをそのまま記憶する場合と比較して少なくてよい。メモリ15に転送するデータ量が少ないので、短い転送時間で転送することができる。
【0043】
符号化RデータDerと正規化ゲインデータDngr、符号化GデータDegと正規化ゲインデータDngg、符号化BデータDebと正規化ゲインデータDngbとをそれぞれ関連付けて、メモリ15に記憶させることが好ましい。例えば、正規化ゲインデータDngr,Dngg,Dngbをヘッダ情報として、符号化RデータDer,符号化GデータDeg,符号化BデータDebに付加させればよい。
勿論、ヘッダ情報に限定されることはなく、正規化ゲインデータDngr,Dngg,Dngbを符号化RデータDer,符号化GデータDeg,符号化BデータDebに対する付加情報としてメモリ15に記憶させればよい。
【0044】
メモリ15から読み出された符号化RデータDer,符号化GデータDeg,符号化BデータDebは、それぞれ、復号部16R,16G,16Bに入力される。
【0045】
復号部16Rは、逆量子化テーブルを保持する逆量子化テーブル保持部161と、正規化ゲインデータDngrに応じて逆量子化テーブルを調整する逆量子化テーブル調整部162と、逆量子化テーブル調整部162によって調整された逆量子化テーブルを用いて、符号化RデータDerを逆量子化する差分逆量子化部163とを有する。
図1では、復号部16Rのみ詳細構成を示しているが、復号部16G,16Bも復号部16Rと同様の構成を有する。
【0046】
逆量子化テーブル保持部161には、
図6に示すように、4ビットの符号化データと復号差分値とを対応させた逆量子化テーブルが保持されている。ここでは1つの逆量子化テーブルを示しているが、逆量子化テーブル保持部161には、符号化部14R,14G,14Bの量子化テーブル保持部141に保持されている複数の量子化テーブルに対応する逆量子化テーブルが保持されている。
【0047】
復号部16R,16G,16Bは、符号化部14R,14G,14Bで選択して使用した量子化テーブルに対応する逆量子化テーブルを用いて、符号化RデータDer,符号化GデータDeg,符号化BデータDebを復号する。本実施形態では、簡略化のため、使用する逆量子化テーブルを
図6に示す1つの逆量子化テーブルとして説明する。
【0048】
復号部16Rの逆量子化テーブル調整部162は、逆量子化テーブル保持部161からの逆量子化テーブルの復号差分値に、正規化ゲインデータDngrが示すゲインの逆数を乗じることによって逆量子化テーブルを調整する。正規化ゲインデータDngr,Dngg,Dngbが示す正規化ゲインが“3”,“2”,“1”の場合、復号部16Rの逆量子化テーブル調整部162は、逆量子化テーブルの復号差分値に1/3を乗じて、
図7の(a)に示す調整逆量子化テーブルとする。
【0049】
復号部16Gの逆量子化テーブル調整部162は、逆量子化テーブルの復号差分値に1/2を乗じて、
図8に示す調整逆量子化テーブルとする。復号部16Bの逆量子化テーブル調整部162は、逆量子化テーブルの復号差分値に1/1を乗じることになるので、復号部16Bは、
図6に示す逆量子化テーブルをそのまま用いる。
【0050】
復号部16Rの差分逆量子化部163は、
図7の(a)に示す調整逆量子化テーブルを参照して、入力された符号化RデータDerに対応する復号差分値を選択する。復号部16Rの差分逆量子化部163は、左隣に位置する画素において復号した画素データに、復号しようとしている対象画素の復号差分値を加算することによって、対象画素の画素データとしての復号RデータDdrを出力する。
【0051】
復号部16Gの差分逆量子化部163は、
図8に示す調整逆量子化テーブルを参照して、入力された符号化GデータDegに対応する復号差分値を選択する。復号部16Gの差分逆量子化部163は、左隣に位置する画素において復号した画素データに、復号しようとしている対象画素の復号差分値を加算することによって、対象画素の画素データとしての復号GデータDdgを出力する。
【0052】
復号部16Bの差分逆量子化部163は、
図6に示す逆量子化テーブルを参照して、入力された符号化BデータDebに対応する復号差分値を選択する。復号部16Bの差分逆量子化部163は、左隣に位置する画素において復号した画素データに、復号しようとしている対象画素の復号差分値を加算することによって、対象画素の画素データとしての復号BデータDdbを出力する。
【0053】
一例として、復号部16Bにおける動作を具体的な値で説明する。左隣の画素データが“30”であり、対象画素の符号化BデータDebが“6”であったとする。
図6に示す逆量子化テーブルより、復号差分値は“17”である。従って、対象画素の復号BデータDdbは、“47”となる。
【0054】
以上のようにして、復号部16R,16G,16Bは、4ビットの符号化RデータDer,符号化GデータDeg,符号化BデータDebを8ビットの復号RデータDdr,復号GデータDdg,復号BデータDdbへと復号する。
【0055】
本実施形態においては、符号化部14R,14G,14Bが対象画素と周辺画素として左隣に位置する画素との差分値を求めているので、復号部16R,16G,16Bは左隣の画素データに対象画素の復号差分値を加算する。復号部16R,16G,16Bは、符号化部14R,14G,14Bが差分値を求めた周辺画素と同じ位置の周辺画素を用いて復号差分値の加算処理を実行させればよい。
【0056】
図7の(a),
図8に示す調整逆量子化テーブルにおいて、復号差分値が、調整逆量子化テーブルと対応する調整量子化テーブルの差分値の範囲におけるなるべく中央の値となるように調整してもよい。
【0057】
なお、
図7の(a)の調整逆量子化テーブルでは、符号化データの値が1,0,Fのときの復号差分値が共に0となっており重複している。これを、
図4の(b)の量子化テーブルと同様に値が重複しないようにすることが好ましい。
【0058】
例えば、
図7の(b)は、
図7の(a)の逆量子化テーブルを、復号差分値が重複しないように調整することによって生成した逆量子化テーブルの例である。この逆量子化テーブルの生成方法を以下に説明する。
なお以降は、便宜上、値が正の場合について説明する。負数の場合は、正数の場合に対して、値の大小関係、領域の上下関係を逆にすれば良いので説明を省略する。
【0059】
符号化データの値が0に対応する復号差分値の上方の差分値から調整開始する。そして、これにより調整された復号差分値に基づいて、さらにその上方の未調整の復号差分値を調整する。このような調整を順次最上方の復号差分値まで繰り返す。
具体的には、各領域において、調整対象復号差分値aとその下方の復号差分値bとの関係が、調整対象復号差分値a≦下方の復号差分値bとなった場合、調整対象復号差分値aが下方の復号差分値bよりも1大きくなるように調整対象復号差分値aをオフセットさせることによって各復号差分値を調整する。このような調整によって、
図7の(b)の逆量子化テーブルを生成する。
【0060】
この逆量子化テーブルを用いると、符号化データ0付近の割り当て(階調)を
図7の(a)の逆量子化テーブルよりも細かくすることができる。
【0061】
復号RデータDdr,復号GデータDdg,復号BデータDdbは色成分合成部17に入力される。色成分合成部17は、復号RデータDdr,復号GデータDdg,復号BデータDdbを入力画像データと同じ配列となるように合成し、1系統の出力画像データとして出力する。
色成分分離部13を備えていない構成の場合には、色成分合成部17も備える必要はない。色成分分離部13を備えている場合であっても、復号RデータDdr,復号GデータDdg,復号BデータDdbを1系統に合成する必要がない場合には、色成分合成部17を省略することが可能である。
【0062】
なお、
図1において、出力画像データは、入力画像データを符号化して復号することによる誤差を含むことから、出力画像データは入力画像データとは完全には一致しない。
【0063】
しかしながら、本実施形態においては、復号部16R,16G,16Bが、逆量子化テーブルの復号差分値を正規化ゲインデータDngr,Dngg,Dngbに応じて調整しているので、逆量子化テーブル(調整逆量子化テーブル)を符号化部14R,14G,14Bにおいて調整した量子化テーブル(調整量子化テーブル)に対応させることができる。よって、本実施形態によれば、誤差を小さく復号することができる。
【0064】
ところで、メモリ15を、符号化RデータDer,符号化GデータDeg,符号化BデータDebを所定フレーム数遅延させるために用いる場合には、符号化部14R,14G,14Bにおける符号化処理と復号部16R,16G,16Bにおける復号処理とは、所定フレーム数だけずれたタイミングとなる。復号部16R,16G,16Bは、入力される正規化ゲインデータDngr,Dngg,Dngb所定フレーム数だけずらせば、符号化部14R,14G,14Bにおける量子化テーブルの調整に対応させて逆量子化テーブルを調整することができる。
【0065】
この場合、復号部16R,16G,16Bは、メモリ15から読み出された符号化RデータDer,符号化GデータDeg,符号化BデータDebに付加されている正規化ゲインデータDngr,Dngg,Dngbを示す付加情報を用いる必要はない。
【0066】
一方、メモリ15を、符号化RデータDer,符号化GデータDeg,符号化BデータDebを貯蔵するために用いる場合には、符号化部14R,14G,14Bにおける符号化処理と復号部16R,16G,16Bにおける復号処理とを同期させることは困難である。従って、この場合には、復号部16R,16G,16Bは、メモリ15から読み出された符号化RデータDer,符号化GデータDeg,符号化BデータDebに付加されている正規化ゲインデータDngr,Dngg,Dngbを示す付加情報を用いればよい。
【0067】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
図1では、画像信号符号化・復号装置をハードウェアにて構成した例を示している。例えばゲイン正規化部12と符号化部14R,14G,14Bと復号部16R,16G,16Bの部分をコンピュータプログラムによるソフトウェアによって構成してもよい。
【0068】
図1では、画像信号符号化・復号装置がホワイトバランスゲイン算出部11を備えている。前述のように、デジタル撮影装置が備えるホワイトバランス処理部をホワイトバランスゲイン算出部11として用いることができる。従って、ホワイトバランス処理部よりゲインデータDgr,Dgg,Dgbを取り出して、画像信号符号化・復号装置に入力する構成とすることも可能である。