(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5888250
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】画像処理ユニット、撮像装置、及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
H04N 5/232 20060101AFI20160303BHJP
H01L 27/14 20060101ALI20160303BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20160303BHJP
H04N 5/369 20110101ALI20160303BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20160303BHJP
G02B 13/00 20060101ALN20160303BHJP
【FI】
H04N5/232 E
H01L27/14 D
H01L27/14 A
H04N5/335 690
H04N5/225 F
H04N5/225 D
H04N5/232 Z
!G02B13/00
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-3035(P2013-3035)
(22)【出願日】2013年1月11日
(65)【公開番号】特開2014-135660(P2014-135660A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2015年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 文三
(72)【発明者】
【氏名】東郷 康二
(72)【発明者】
【氏名】小暮 正道
【審査官】
山口 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−208775(JP,A)
【文献】
特開2005−278133(JP,A)
【文献】
特開2012−132833(JP,A)
【文献】
特開2003−307661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02−7/16
9/00−17/08
21/02−21/04
25/00−25/04
G06T 1/00
1/60
H01L 21/339
27/14
27/144−27/148
29/762
H04N 5/222−5/257
5/30−5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像レンズを通して画像を投影する撮像素子の曲率を変化させる機構部を有するカメラユニットが撮像した推定用撮像画像であって、前記撮像素子の中心部に位置する基準領域、及び外周部に位置する複数の判断領域のそれぞれに基準画像を投影したときの推定用撮像画像を処理して、前記撮像レンズに対する前記撮像素子の曲率の適値を得る画像処理ユニットであって、
前記カメラユニットが撮像した前記推定用撮像画像を入力する画像入力部と、
前記画像入力部に入力された前記推定用撮像画像における前記判断領域毎に、その判断領域に投影した前記基準画像にかかる撮像画像と、前記基準領域に投影した前記基準画像にかかる撮像画像と、の類似度を算出する画像処理部と、
前記画像処理部が前記判断領域毎に算出した類似度に基づいて、前記撮像レンズに対する前記撮像素子の曲率が適正であるかどうかを判定する判定部と、
前記判定部が前記撮像レンズに対する前記撮像素子の曲率が適正でないと判定したときに、前記画像処理部が前記判断領域毎に算出した類似度に基づいて、前記撮像素子に対する曲率の補正値を算出する補正値算出部と、
前記補正値算出部が算出した前記撮像素子に対する曲率の補正値を前記カメラユニットに出力する出力部と、を備えた画像処理ユニット。
【請求項2】
前記判定部が前記撮像レンズに対する前記撮像素子の曲率が適正であると判定したときに、前記撮像レンズの種類を示す識別情報と、この時点における前記撮像素子の曲率と、を対応付けて記憶する記憶部を備えた請求項1に記載の画像処理ユニット。
【請求項3】
前記判定部は、前記画像処理部が算出した類似度が予め定めた閾値に達していない前記判断領域の総数が、所定数を超える場合に、前記撮像レンズに対する前記撮像素子の曲率が適正でないと判定する、請求項1、又は2に記載の画像処理ユニット。
【請求項4】
撮像レンズを通して画像を投影する撮像素子の曲率を変化させる機構部を有するカメラユニットと、
前記カメラユニットが撮像した、前記撮像素子の中心部に位置する基準領域、及び外周部に位置する複数の判断領域のそれぞれに基準画像を投影したときの推定用撮像画像を入力する画像入力部、
前記画像入力部に入力された前記推定用撮像画像における前記判断領域毎に、その判断領域に投影した前記基準画像にかかる撮像画像と、前記基準領域に投影した前記基準画像にかかる撮像画像と、の類似度を算出する画像処理部、
前記画像処理部が前記判断領域毎に算出した類似度に基づいて、前記撮像レンズに対する前記撮像素子の曲率が適正であるかどうかを判定する判定部、
前記判定部が前記撮像レンズに対する前記撮像素子の曲率が適正でないと判定したときに、前記画像処理部が前記判断領域毎に算出した類似度に基づいて、前記撮像素子に対する曲率の補正値を算出する補正値算出部、及び、
前記補正値算出部が算出した前記撮像素子に対する曲率の補正値を前記カメラユニットに出力する出力部、を有する画像処理ユニットと、
を備えた撮像装置。
【請求項5】
前記画像処理ユニットは、
前記判定部が前記撮像レンズに対する前記撮像素子の曲率が適正であると判定したときに、前記撮像レンズの種類を示す識別情報と、この時点における前記撮像素子の曲率と、を対応付けて記憶する記憶部を有し、
前記出力部は、前記カメラユニットから前記撮像レンズに対する前記撮像素子の曲率の通知が要求されたときに、前記記憶部に記憶している該当する撮像レンズに対する前記撮像素子の曲率を前記カメラユニットに出力する、
請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
撮像レンズを通して画像を投影する撮像素子の曲率を変化させる機構部を有するカメラユニットが撮像した撮像画像であって、前記撮像素子の中心部に位置する基準領域、及び外周部に位置する複数の判断領域のそれぞれに基準画像を投影したときの推定用撮像画像を処理して、前記撮像レンズに対する前記撮像素子の曲率の適値を得る画像処理方法であって、
画像入力部に入力された前記推定用撮像画像における前記判断領域毎に、その判断領域に投影した前記基準画像にかかる撮像画像と、前記基準領域に投影した前記基準画像にかかる撮像画像と、の類似度を算出する画像処理ステップと、
前記画像処理ステップにおいて、前記判断領域毎に算出した類似度に基づいて、前記撮像レンズに対する前記撮像素子の曲率が適正であるかどうかを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて、前記撮像レンズに対する前記撮像素子の曲率が適正でないと判定したときに、前記画像処理ステップにおいて前記判断領域毎に算出した類似度に基づいて、前記撮像素子に対する曲率の補正値を算出する補正値算出ステップと、
前記補正値算出ステップにおいて算出した前記撮像素子に対する曲率の補正値を前記カメラユニットに出力する出力ステップと、を実行する画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮像レンズに対する撮像素子の曲率の適値を得る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタルカメラと呼ばれる撮像装置は、CCDやCMOS等の撮像素子を用いている。ディジタルカメラは、撮像レンズ(以下、単にレンズと言う。)を通して撮像素子の撮像面に画像を投影することで、投影した画像を撮像する。
【0003】
撮像素子の撮像面に投影される画像は、レンズの像面収差等によって、撮像面の中心部と周辺部とにおいてピントが合う距離(レンズの中心と撮像面との距離)が異なる。したがって、撮像面の中心部にピントを合わせると、周辺部に投影した画像にボケが生じる。反対に、撮像面の周辺部にピントを合わせると、中心部に投影した画像にボケが生じる。
【0004】
この像面収差等を抑える方法として、撮像素子の撮像面を湾曲させることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−182194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、撮像素子の撮像面全体において、レンズ中心からの距離がピント合う距離になる曲率で撮像面を湾曲させても、レンズの特性や撮像素子の撮像面の平面特性等の影響で、像面収差等が十分に抑えられないことがある。
【0007】
この発明の目的は、撮像レンズに応じて、像面収差等が十分に抑えられる撮像素子の曲率の適値を得ることができる技術を提供することにある。
【0008】
また、この発明は、使用する撮像レンズの種類に関係なく、像面収差等を十分に抑えた撮像画像を得ることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の画像処理ユニットは、画像入力部、画像処理部、判定部、補正値算出部、及び出力部を備える。画像処理ユニットは、カメラユニットが撮像した推定用撮像画像を処理して、撮像レンズに対する撮像素子の曲率の適値を得る。カメラユニットは、撮像レンズを通して画像を投影する撮像素子の曲率を変化させる機構部を有する。推定用撮像画像は、撮像素子の中心部に位置する基準領域、及び外周部に位置する複数の判断領域のそれぞれに基準画像を投影したものである。画像入力部は、カメラユニットが撮像した推定用撮像画像を入力する。画像処理部は、画像入力部に入力された推定用撮像画像における判断領域毎に、その判断領域に投影した基準画像にかかる撮像画像と、基準領域に投影した基準画像にかかる撮像画像と、の類似度を算出する。判定部は、画像処理部が判断領域毎に算出した類似度に基づいて、撮像レンズに対する撮像素子の曲率が適正であるかどうかを判定する。補正値算出部は、判定部が撮像レンズに対する撮像素子の曲率が適正でないと判定したときに、画像処理部が判断領域毎に算出した類似度に基づいて、撮像素子に対する曲率の補正値を算出する。出力部は、補正値算出部が算出した撮像素子に対する曲率の補正値をカメラユニットに出力する。
【0010】
画像処理ユニットには、カメラユニットによって実際に撮像された推定用撮像画像が入力される。推定用撮像画像は、撮像素子の中心部に位置する基準領域と、外周部に位置する複数の判断領域とのそれぞれに基準画像の少なくとも一部と、が含まれる。画像処理ユニットは、推定用撮像画像が入力されると、判断領域毎に算出された判断領域内の基準画像と基準領域内の基準画像との類似度に基づいて曲率が適正であると判定されるまで、判断領域毎に算出された類似度に基づいて曲率の補正値を繰り返し算出する。カメラユニットは、画像処理ユニットが算出した曲率の補正値で撮像素子を湾曲させて、推定用撮像画像を撮像して、画像処理ユニットへ出力する。
【0011】
また、判定部が撮像レンズに対する撮像素子の曲率が適正であると判定したときに、撮像レンズの種類を示す識別情報と、この時点における撮像素子の曲率と、を対応付けて記憶する記憶部を備えることが好ましい。このようにすることで、画像処理ユニットは、同一種類の撮像レンズに対する曲率の適値を求める場合に、記憶部の記憶内容を参照することで、曲率の算出をせずに、即座に曲率の適値を得ることができる。
【0012】
また、判定部は、例えば、画像処理部が算出した類似度が予め定めた閾値に達していない判断領域の総数が、所定数を超える場合に、撮像レンズに対する撮像素子の曲率が適正でないと判定してもよい。画像処理ユニットは、判断領域毎に算出した類似度が閾値に到達していない判断領域の総数が所定数を超えるか否かという簡単な処理で、撮像素子の曲率が適正であるか否かを判定部によって判定することができる。
【0013】
この発明に係る撮像装置は、上述のカメラユニット、及び画像処理ユニットを備える。撮像装置は、画像処理ユニットによって撮像素子の曲率の適値を求めるため、使用する撮像レンズの種類に関係なく、像面収差等を十分に抑えた撮像画像を得ることができる。
【0014】
この発明に係る画像処理方法は、上述の画像処理ユニットにおいて実行する処理手順である。この画像処理方法では、カメラユニットが装着している撮像レンズに応じて、像面収差等が十分に抑えられる撮像素子の曲率の適値を得ることができる。また、使用する撮像レンズの種類に関係なく、像面収差等を十分に抑えた撮像画像を得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、撮像レンズに応じて、像面収差等が十分に抑えられる撮像素子の曲率の適値を得ることができる。また、使用する撮像レンズの種類に関係なく、像面収差等を十分に抑えた撮像画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】この発明の画像処理ユニットを備える撮像装置のブロック図である。
【
図2】(A)は、同撮像装置のカメラユニットが備える撮像素子の曲率と圧電素子の押圧距離との関係を示し、(B)は、同カメラユニットが備える湾曲部14の模式図である。
【
図3】(A)は、基準画像の一例であり、(B)は、同適値算出処理においてカメラユニットによって撮像された推定用撮像画像の一例である。
【
図4】同画像処理ユニットの画像処理用制御部における適値算出処理のフローチャートである。
【
図5】同カメラユニットのカメラ用制御部における適値算出処理のフローチャートである。
【
図6】同画像処理用制御部におけるレンズ交換時のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明に係る画像処理ユニットを備える撮像装置について、図を参照して説明する。
図1に示すように、撮像装置100は、カメラユニット10と画像処理ユニット20とを備え、カメラユニット10が備える撮像素子18(
図2参照。)の曲率の適値を算出する。
【0018】
カメラユニット10は、撮像部11、画像出力部12、識別情報取得部13、湾曲部(本発明の機構部に相当する。)14、カメラ用記憶部15、信号入出力部16、及びカメラ用制御部17を備える。なお、カメラユニット10は、この画像処理ユニット20に一体的に設けた構成であってもよいし、この画像処理ユニット20とは別筐体であってもよい。カメラユニット10は、画像処理ユニット20とは別筐体である場合、画像処理ユニット20にケーブルで接続される。
【0019】
撮像部11は、
図2(A)に示すように湾曲自在に構成されたCCDやCMOS等の撮像素子18を備え、レンズ(この発明の撮像レンズに相当する。)19を通して撮像素子18の撮像面181に結像した撮像エリア内の画像を撮像する。撮像部11は、例えば1秒間に10〜30フレーム程度の撮像画像を撮像する。
【0020】
画像出力部12は、データ線を介して接続されている画像処理ユニット20の画像入力部23に、撮像部11が撮像した撮像画像を出力する。
【0021】
識別情報取得部13は、レンズ19に付与された二次元コード等を読み取ることで、レンズ19の種類を識別するための識別情報を取得する。
【0022】
湾曲部14は、
図2(B)に示すように、撮像素子18の外周部に配置された複数の圧電素子14A〜14Hを制御し、圧電素子14A〜14Hによって撮像素子18の外周部を押圧することで、撮像素子18を湾曲させる。湾曲部14は、カメラ用記憶部15の記憶内容を参照して、指定された曲率に対応付けられた圧電素子14A〜14H毎の電圧を圧電素子14A〜14Hに印加することで、圧電素子14A〜14H毎の押圧距離Lだけ撮像素子18を圧電素子14A〜14Hによって押圧する。
【0023】
カメラ用記憶部15は、曲率と圧電素子14A〜14Hのそれぞれに印加する電圧値とを対応付けて記憶する。
【0024】
信号入出力部16は、信号線を介して接続されている画像処理ユニット20の信号入出力部25と、撮像素子18の曲率を示す曲率情報やレンズ19の識別情報や制御信号等の各種信号を送受信する。
【0025】
カメラ用制御部17は、カメラユニット10の各機能部を制御する。例えば、カメラ用制御部17は、曲率情報が示す曲率で撮像素子18を湾曲部14に湾曲させる。
【0026】
画像処理ユニット20は、操作部21、画像処理用記憶部(本発明の記憶部に相当する。)22、画像入力部23、画像処理部24、信号入出力部(本発明の出力部に相当する。)25、及び画像処理用制御部26を備える。
【0027】
操作部21は、撮像素子18の曲率の適値を算出する適値算出処理の開始指示や撮影の開始指示を受け付けて、各種操作信号を画像処理用制御部26へ出力する。
【0028】
画像処理用記憶部22は、レンズ19の識別情報と撮像素子18の曲率情報とを対応付けて記憶する。なお、画像処理ユニット20の画像処理用記憶部22とカメラユニット10のカメラ用記憶部15とは、一つの記憶部で構成してもよい。
【0029】
画像入力部23は、データ線を介して接続されているカメラユニット10の画像出力部12から、撮像部11が撮像した撮像画像が入力される。
【0030】
画像処理部24は、画像入力部23に入力された撮像画像を処理する。
図3に示すように画像処理部24は、適値算出処理時に、推定用撮像画像33から、撮像素子18の中心部に位置する基準領域31に投影された基準画像30にかかる撮像画像と、撮像素子18の周辺部に位置する複数の判断領域32A〜32Hに投影された基準画像30にかかる撮像画像と、を取得する。画像処理部24は、判断領域32A〜32H毎に、判断領域に投影された基準画像30にかかる撮像画像と、基準領域31に投影された基準画像30にかかる撮像画像と、の類似度を算出する。推定用撮像画像33は、撮像素子18の曲率の補正値の算出に用いる基準画像30が所定位置に複数含まれる画像である。
【0031】
信号入出力部25は、信号線を介して接続されているカメラユニット10の信号入出力部16と、曲率情報や識別情報や制御信号等の各種信号を送受信する。
【0032】
画像処理用制御部26は、画像処理ユニット20の各機能部とカメラユニット10のカメラ用制御部17とを制御する。例えば、画像処理用制御部26は、撮像素子18の曲率が適正であるか否かの判定や、撮像素子18の曲率の補正値の算出を行う。画像処理用制御部26は、本発明における判定部と補正値算出部とに係る構成を有する。なお、画像処理ユニット20の画像処理用制御部26とカメラユニット10のカメラ用制御部17とは、一つの制御部で構成してもよい。
【0033】
画像処理用制御部26及びカメラ用制御部17における適値算出処理について説明する。なお、S17、S18、S22、S23の処理は、それぞれ本発明の画像処理ステップ、判定ステップ、補正値算出ステップ、出力ステップに相当する。
【0034】
まず、操作者は、撮像装置100の電源が投入された状態で、一例として
図3(A)に示す基準画像30を印刷した用紙やパネル等の複数の被写体を撮像部11の撮影エリア内の所定位置に配置する。この時、操作者は、撮像部11が撮像した推定用撮像画像を見て、被写体を所定位置に配置する。
【0035】
所定位置は、
図3(B)に示すように、撮像素子18の中心部に位置する基準領域31と、外周部に位置する複数の判断領域32A〜32Hと、を含む。また、複数の判断領域32A〜32Hのそれぞれは、一対を成す他の判断領域と撮像素子18の中央を通過する一直線上で点対象となる位置に配置されている。撮像素子18の撮像面181において、複数の判断領域32A〜32Hは、それぞれ湾曲部14の圧電素子14A〜14Hと同じ位置に配置されている。
【0036】
なお、複数の判断領域32A〜32Hのそれぞれには、同一の基準画像30が投影されるようにしたが、基準画像30の一部の画像や、基準画像30を拡大又は縮小した画像が投影されてもよい。
【0037】
次に、操作者は、操作部21を操作して、適値算出処理の開始指示を選択する。
図4に示すように、画像処理用制御部26は、操作部21から、適値算出処理の開始指示を示す操作信号が入力されると(S11)、曲率の補正値の算出回数をカウントするカウント値を0にリセットして(S12)、信号入出力部25を介して、レンズ19の識別情報の出力指示をカメラ用制御部17に出力する(S13)。
【0038】
図5に示すように、カメラ用制御部17は、信号入出力部16を介して、レンズ19の識別情報の出力指示が入力されると(S31)、レンズ19の識別情報を識別情報取得部13に取得させる(S32)。カメラ用制御部17は、信号入出力部16を介して、識別情報取得部13が取得した識別情報を画像処理用制御部26へ出力する(S33)。
【0039】
図4に示すように、画像処理用制御部26は、信号入出力部25を介して、識別情報が入力されると(S14)、画像入力部23から推定用撮像画像33を取得する(S15)。画像処理用制御部26は、取得した推定用撮像画像33を複数の領域に分割して、撮像素子18の中心部に位置する基準領域31、及び外周部に位置する複数の判断領域32A〜32Hを画像処理部24に取得させる(S16)。画像処理用制御部26は、取得した判断領域32A〜32H毎に、判断領域に投影した基準画像30にかかる撮像画像と、基準領域31に投影した基準画像30にかかる撮像画像と、の類似度を画像処理部24に算出させる(S17)。類似度は、例えば、判断領域32A〜32Hに投影した基準画像30にかかる撮像画像と基準領域31に投影した基準画像30にかかる撮像画像とにおいて、画素単位で比較して画素の差分値を算出し、画素の差分値の二乗の平均値を算出することで、求めることができる。
【0040】
画像処理用制御部26は、判断領域32A〜32H毎に算出した類似度に基づいて、レンズ19に対する撮像素子18の曲率が適正であるかどうかを判定する(S18)。画像処理用制御部26は、算出した類似度が予め定めた閾値に達していない判断領域の総数が、所定数(1,2,3等の自然数の値)を超える場合に、レンズ19に対する撮像素子18の曲率が適正でないと判定する。
【0041】
画像処理用制御部26は、適正であると判定した場合に、レンズ19の識別情報と現時点での撮像素子18の曲率を示す曲率情報とを対応付けて画像処理用記憶部22に記憶する(S19)。
【0042】
また、画像処理用制御部26は、適正でないと判定した場合に、カウント値が所定回数N以上か否かを判断する(S20)。画像処理用制御部26は、カウント値が所定回数N以上の場合に、エラーメッセージを出力して適値算出処理を終了する(S21)。
【0043】
画像処理用制御部26は、カウント値が所定回数N未満の場合に、判断領域32A〜32H毎に算出した類似度に基づいて、撮像素子18の曲率の補正値を算出して(S22)、信号入出力部25を介して、曲率の補正値を示す曲率情報の設定指示をカメラ用制御部17に出力する(S23)。画像処理用制御部26は、カウンタ値を1増加して(S24)、S15の処理へ戻る。
図5に示すように、カメラ用制御部17は、信号入出力部16を介して、曲率情報の設定指示が入力されると(S34)、曲率情報が示す曲率で撮像素子18を湾曲部14に湾曲させる(S35)。なお、S22の処理で算出した曲率の補正値は、撮像素子18の曲率を示すが、現時点での撮像素子18の曲率に対する補正量を示してもよい。
【0044】
以上のように、画像処理ユニット20は、撮像素子18によって実際に投影された推定用撮像画像33に基づいて曲率の補正値を算出し、算出した曲率の補正値で撮像素子18を湾曲させることで、レンズ19に応じて、像面収差等が十分に抑えられる撮像素子18の曲率の適値を得ることができる。また、撮像装置100は、使用するレンズ19の種類に関係なく、像面収差等を十分に抑えた撮像画像を得ることができる。
【0045】
なお、上述の適値算出処理では、S21の処理において、エラーメッセージを出力して、適値算出処理を終了した。しかし、S22の処理で曲率を算出する都度、判断領域32A〜32H毎に算出した類似度とその時点での撮像素子18の曲率とを対応付けて一時記憶しておき、S21の処理で、所定回数Nのそれぞれにおける判断領域32A〜32H毎に算出した類似度に基づいて、所定回数Nのそれぞれにおける曲率の補正値の中から最も適正な曲率を判定し、画像処理用記憶部22に記憶してもよい。例えば、所定回数Nのそれぞれにおける最も低い類似度をそれぞれ比較し、比較したこれらの類似度の中から最も高い類似度に対応する曲率を画像処理用記憶部22に記憶してもよい。また、所定回数Nのそれぞれにおいて判断領域32A〜32H毎に算出した類似度の平均値を算出し、これらの類似度の平均値の中から、最も平均値が高い判断領域32A〜32H毎に算出した類似度に対応する曲率を画像処理用記憶部22に記憶してもよい。これにより、画像処理ユニット20は、曲率の補正値を所定回数N算出しても、適正な曲率の補正値を求めることができない場合であっても、所定回数Nにおいて算出した曲率の補正値の中から最も適正な曲率を適値とすることができる。
【0046】
また、適値算出処理時おいて、画像処理用制御部26は、1回目の曲率の補正値の算出時に、レンズ19に対する撮像素子18の曲率の理論値(レンズ19の中心から撮像素子18までの焦点距離を一定にする撮像素子18の曲率)で湾曲させた撮像素子18によって撮像した推定用撮像画像33を用いてもよい。画像処理用制御部26は、理論値で湾曲させた撮像素子18を用いて曲率の適値を算出することで、湾曲していない撮像素子18を用いて曲率の適値を算出するよりも、少ない回数で曲率の適値を得ることができる。
【0047】
また、適値算出処理は、
図6に示すように、レンズ19の交換時にも行われることがある。
図6に示すように、画像処理ユニット20の画像処理用制御部26は、レンズ19が交換されると(S41)、信号入出力部25を介して、新たに装着したレンズ19の識別情報の出力指示をカメラ用制御部17に出力する(S42)。画像処理用制御部26は、信号入出力部25を介して、識別情報が入力されると(S43)、画像処理用記憶部22の記憶内容を参照して、識別情報に対応付けられた曲率の取得を試みる(S44)。画像処理用制御部26は、曲率が取得できた場合に、信号入出力部25を介して、取得した曲率を示す曲率情報の設定指示をカメラ用制御部17に出力し(S45)、処理を終了する。また、画像処理用制御部26は、曲率が取得できない場合に、上述した適値算出処理を行う(S46)。
【0048】
以上より、画像処理ユニット20は、レンズ19の交換時において、新たに装着したレンズ19に対する曲率が画像処理用記憶部22に記憶されている場合に、即座に曲率の適値を得ることができる。また、画像処理ユニット20は、新たに装着したレンズ19に対する曲率が画像処理用記憶部22に記憶されていない場合に、適値算出処理を行うことで、曲率の適値を得ることができる。
【0049】
なお、撮像素子18を湾曲させる湾曲部14の構成は、先行技術文献に記載された方法であってもよい。また、撮像装置100は、動画を撮像したが、静止画を撮像してもよい。
【0050】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0051】
10…カメラユニット
18…撮像素子
19…レンズ
20…画像処理ユニット
23…画像入力部
24…画像処理部
25…信号入出力部
26…画像処理用制御部