(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポンプに連結されたステムの先端に取り付けられると共に前記ポンプが吸い上げた内容液を上方に導く吸上路(9)を備えた押圧ヘッド部(2)と、該押圧ヘッド部(2)の側面に突出形成され且つ前記吸上路(9)に対して略水平に連通されて前記内容液を水平方向に導く流出路(10)及び前記内溶液を外部に排出する吐出口(11)を備えたノズル筒(5)と、前記流出路(10)に連通されて前記内溶液を外部に導く吐出カバー(7)と、該吐出カバー(7)を前記ノズル筒(5)に対して回動可能に連結するヒンジ(6)と、を有するノズルヘッドにおいて、
前記ヒンジ(6)を中心に前記吐出カバー(7)を回動させて前記ノズル筒(5)の先端である先筒部(8)に組み付けることにより、前記先筒部(8)と前記吐出カバー(7)との間に、前記流出路(10)の向きを下向きに変えて前記吐出口(11)に導く変更案内路(14)と、前記変更案内路(14)を通過する内溶液を整流する整流板(16)とが形成されると共に、該整流板(16)が、前記変更案内路(14)を形成する、一方の先筒部(8)に設けられた第1整流片(16a)と、他方の吐出カバー(7)に設けられた第2整流片(16b)とが組み合わされて形成されることを特徴とするノズルヘッド。
先筒部(8)の両外側面(8A)と吐出カバー(7)の両内側面(7A1)との一方に形成された第1係止凸部(12a)及び他方に形成された第1係止凹部(12b)とからなり、前記第1係止凸部(12a)と前記第1係止凹部(12b)とがアンダーカット結合する第1係止部(12)を有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載のノズルヘッド。
先筒部(8)正面(8B)の下顎部(8a)に突設された先端部と吐出カバー(7)前面(7B)の下部との一方に形成された第2係止凸部(13a)及び他方に形成された第2係止凹部(13b)とからなり、前記第2係止凸部(13a)と前記第2係止凹部(13b)とが互いに係止し合う第2係止部(13)とを有する請求項1乃至5のいずれか一項に記載のノズルヘッド。
第2係止凹部(13b)が、吐出カバー(7)の前面(7B)を貫通する貫通孔(7b)で形成されており、前記貫通孔(7b)の上面に、下顎部(8a)先端で且つ第2係止凸部(13a)の上部分に面対向する漏れ防止片(8a1)を形成した請求項6記載のノズルヘッド。
吐出カバー(7)をノズル筒(5)の先端に組み付けた状態において、前記吐出カバー(7)の内壁天面(7c)と前記ノズル筒(5)の流出路天面(10b)との間に前記内壁天面(7c)側を上方に広げる段差(15)を形成した請求項1乃至7のいずれか一項に記載のノズルヘッド。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたノズルヘッドでは、吐出口部が回動自在に装着されると共に、吐出口部の上面とノズル基体の上面に相互に係合し合う係止部が係止解除可能に構成されている。そして、吐出口部を回動させて係合部を係止状態に設定することにより、吐出口部の吐出方向を下向きに設定することができ、吐出終了後は、係止部の係止状態を解除し吐出口部を逆方向に回動させて流出口を露出させることにより、吐出口部及びノズル基体の流路内に残って付着している内容液を取り除いて、吐出ノズルの掃除をすることができるようになっている。このため、例えばボディソープ、ハンドソープなど固化しやすい内容液でも、このノズルヘッドを利用して吐出させることができるという優れた効果を有する。
【0006】
このようなノズルヘッドにおいて、内溶液の対象が口内洗浄剤(液体口腔用組成物)や消毒用のアルコールなど粘性が低く固化しにくい液体である場合には、ノズルヘッドを大きな力で押し下げると、内溶液が吐出口部から勢い良く吐出する。
しかしながら、内溶液がノズル基体の流路を通過する際に、流路の中央部を通過する内溶液と側縁部を通過する内溶液との間に密度差が生じて内溶液が渦巻き状の旋回流となった状態で、あるいは吐出方向が急激に下向きに変更させられることによって内溶液の密度に偏りが生じた状態で吐出口部に到達することがある。このような状態の内溶液は、吐出口部から吐出する際に周囲に飛散し、例えば操作者の目などに入って不測の事故を引き起こす虞れがあった。
【0007】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、ノズルヘッドを押し下げたときに、ノズルヘッド先端の吐出口から勢いよく吐出する内溶液の飛散を防止することで安全性を高めるようにした手動押下げ注出ポンプ用のノズルヘッドを創出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の主たる手段は、
ポンプに連結されたステムの先端に取り付けられると共にポンプが吸い上げた内容液を上方に導く吸上路を備えた押圧ヘッド部と、押圧ヘッド部の側面に突出形成され且つ吸上路に対して略水平に連通されて内容液を水平方向に導く流出路及び内溶液を外部に排出する吐出口とを備えたノズル筒と、流出路に連通されて内溶液を外部に導く吐出カバーと、吐出カバーをノズル筒に対して回動可能に連結するヒンジと、を有するノズルヘッドにおいて、
ヒンジを中心に吐出カバーを回動させてノズル筒の先端である先筒部に組み付けることにより、先筒部と吐出カバーとの間に、流出路の向きを下向きに変えて吐出口に導く変更案内路と、この変更案内路を通過する内溶液を整流する整流板とが形成される
と共に、この整流板が、変更案内路を形成する、一方の先筒部に設けられた第1整流片と、他方の吐出カバーに設けられた第2整流片とが組み合わされて形成されることを特徴とする、というものである。
【0009】
上記手段を備えたノズルヘッドでは、内溶液は、ノズル筒内に設けられた略水平の流出路を通過後、流出方向を略90度下方に変える変更案内路を通じて吐出口から外部に排出される構造であるが、変更案内路内と吐出口の双方、または少なくとも吐出口に整流板を配置することにより、かかる整流板の整流作用によって、内溶液の旋回流又は偏りの解消を達成する。
【0011】
また、吐出カバーをノズル筒の先端に組み付けることにより、ノズル筒の先端と吐出カバーとの間に形成される変更案内路内への整流板の設置を達成する。
【0012】
また本発明の他の手段は、請求項1記載のノズルヘッドにおいて、整流板を、吐出口のみに配置した第1整流片で構成した、と云うものである。
【0013】
上記手段においても、吐出カバーをノズル筒の先端に組み付けると、ノズル筒の先端と吐出カバーとの間に形成される変更案内路の先端である吐出口への整流板の設置が達成される。
【0014】
また本発明の他の手段は、請求項
1又は2記載のノズルヘッドにおいて、
整流板を十字形状に配置した、と云うものである。
【0015】
上記手段では、吐出口から排出される内溶液の旋回又は偏りを解消して均一な流れを達成する。
【0016】
また本発明の他の手段は、請求項
1又は2記載のノズルヘッドにおいて、
整流板を放射状に配置した、と云うものである。
【0017】
上記手段では、吐出口から排出される内溶液の更なる旋回又は偏りを解消し、より均一性に優れた内溶液の排出を達成する。
【0018】
また本発明の他の手段は、請求項1乃至
4のいずれか一項に記載のノズルヘッドにおいて、先筒部の両外側面と吐出カバーの両内側面との一方に形成された第1係止凸部及び他方に形成された第1係止凹部とからなり、第1係止凸部と第1係止凹部とがアンダーカット結合する第1係止部を有する、と云うものである。
【0019】
上記手段では、第1係止部を構成する第1係止凸部と第1係止凹部とがアンダーカット結合することにより、第1係止部が分離不能となり、先筒部を覆うように組み付いた吐出カバーが逆方向に回動して再び先筒部が露出されることがなくなる。
【0020】
また本発明の他の手段は、請求項1乃至
5のいずれか一項に記載のノズルヘッドにおいて、先筒部正面の下顎部に突設された先端部と吐出カバー前面の下部との一方に形成された第2係止凸部及び他方に形成された第2係止凹部とからなり、第2係止凸部と第2係止凹部とが互いに係止し合う第2係止部とを有する、と云うものである。
【0021】
上記手段では、第2係止部を構成する第2係止凸部と第2係止凹部とが係合することにより、ノズル筒の先端に対する吐出カバーの位置決めを達成し、先筒部と吐出カバーとが対向する部分に、内溶液を流出路から吐出口に導く案内路と整流板を確実且つ高精度に形成する。
【0022】
また本発明の他の手段は、請求項
6記載のノズルヘッドにおいて、第2係止凹部が、吐出カバーの前面を貫通する貫通孔で形成されており、この貫通孔の上面に、下顎部先端で且つ第2係止凸部
の上部分に面対向する漏れ防止片を形成した、と云うものである。
【0023】
上記手段では、漏れ防止片を、下顎部先端で且つ第2係止凸部の上部分に面対向させることで、案内路を通過する内溶液の貫通孔を介しての液漏れ防止を達成する。
【0024】
また本発明の他の手段は、請求項1乃至
7のいずれか一項に記載のノズルヘッドにおいて、吐出カバーをノズル筒の先端に組み付けた状態において、吐出カバーの内壁天面とノズル筒の流出路天面との間に内壁天面側を上方に広げる段差を形成した、と云うものである。
【0025】
上記手段では、下流側である案内路の入り口に相当する吐出カバーの内壁天面を、上流側の出口に相当する流出路の開口端よりも広げることにより、流出路から案内路に流出する際における内容液の円滑な流れを達成する。
【0026】
また本発明の他の手段は、請求項1乃至
8のいずれか一項に記載のノズルヘッドにおいて、内容液が、液体口腔用組成物である、と云うものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、上記した手段となっているので、以下に示す効果を奏する。
本発明の主たる構成においては、内溶液に旋廻流や偏りが生じていても、内溶液は整流板の整流作用によって下方に向かって真っ直ぐ排出されるようになるため、従来のような吐出口で飛散した内溶液が操作者の目などに入るという事故を防止することができる。
【0028】
また変更案内路を形成する、一方の先筒部に第1整流片が設けられ、他方の吐出カバーに第2整流片が設けられており、第1整流片と第2整流片とが組み合わされて整流板が形成される構成では、ノズル筒に対する流出路の形成を容易に行うことができる。上記手段を採用しない場合、すなわちノズル筒の先端に略90度曲がった変更案内路が一体形成されるノズルヘッドの射出成形では、流出路成形用ピンを無理矢理抜き取る作業(無理抜き作業)が困難となるため、変更案内路への整流板の形成とノズル筒への流出路の形成を一緒に行うことは不可能であるが、上記手段を採用することにより、吐出カバーは先端部が開放されたノズル筒に対してヒンジを介して連結された状態にあるので、無理抜き作業が不用となり、通常のスライドによる抜き作業で形成することが可能となるので、ノズル筒への流出路の形成を容易且つ確実に行うことが可能となる。
【0029】
また請求項
2に記載の、整流板を吐出口のみに配置した第1整流片で構成した構成では、ノズルヘッドの外部に吐出口を通じては排出される内容液の全てを整流することができ、吐出口での内溶液の飛散を防止できる。
【0030】
また請求項
3に記載の、
整流板を十字形状に配置した構成では、旋回流消又は密度の偏りを解消して均一性の高い内溶液とすることが可能となり、吐出口での内溶液の飛散防止効果を向上させることできる。
【0031】
また請求項
4に記載の、
整流板を放射状に配置した構成では、更なる旋回流消又は密度の偏りを解消して均一性の高い内溶液とすることが可能となるので、より効果的に吐出口での内溶液の飛散を防止できる。
【0032】
また請求項
5に記載の、先筒部の両外側面と吐出カバーの両内側面の一方に形成された第1係止凸部及び他方に形成された第1係止凹部とからなり、第1係止凸部と第1係止凹部とがアンダーカット結合する第1係止部を有する構成では、一度アンダーカット結合した第1係止凸部と第1係止凹部との分離が不能となり、先筒部を覆う吐出カバーの逆方向への回動を防止して再び先筒部が露出されることがなくなるため、内溶液を流出路から変更案内路を通じて整流板へ導くことができ、内溶液の飛散を確実に防止することが可能となる。
【0033】
また請求項
6に記載の、先筒部正面の下顎部に突設された先端部と吐出カバー前面の下部との一方に形成された第2係止凸部及び他方に形成された第2係止凹部とからなり、第2係止凸部と第2係止凹部とが互いに係止し合う第2係止部とを有する構成では、第2係止部を構成する第2係止凸部と第2係止凹部とが係合することにより、ノズル筒の先端に対する吐出カバーの位置決めすることができるため、内溶液を流出路から吐出口に導く案内路の形成と整流板の形成を確実に行うことができる。
【0034】
また請求項
7に記載の、第2係止凹部が、吐出カバーの前面を貫通する貫通孔で形成されており、この貫通孔の上面に、下顎部先端で且つ第2係止凸部
の上部分に面対向する漏れ防止片を形成した構成にあっては、案内路を通過する内溶液の貫通孔からの液漏れを防止することができる。
【0035】
また請求項
8に記載の、吐出カバーをノズル筒の先端に組み付けた状態において、吐出カバーの内壁天面とノズル筒の流出路天面との間に内壁天面側を上方に広げる段差を形成した構成にあっては、流出路から案内路に流出する内容液の流れを円滑とし、内容液の漏れを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明のノズルヘッドの第1実施例として、吐出カバーを組み付ける前の状態を示す側面図、
図2は
図1に示すノズルヘッドの縦断面図、
図3は吐出カバー組み付けの後の状態を示す
図1同様の側面図、
図4は吐出カバー組み付け後の状態を示す
図2同様の縦断面図、
図5は
図1のノズルヘッドの正面図であると共に吐出カバー組み付け前の状態を示す図、
図6は
図3のノズルヘッドの正面図であると共に吐出カバー組み付け後の状態を示す図、
図7はノズル筒の先端を拡大して示す底面図であると共に吐出カバー組み付け前の状態を示す図、
図8はノズル筒の先端を拡大して示す底面図であると共に吐出カバー組み付け後の状態を示す図である。
【0038】
本発明のノズルヘッド1は射出成形法により一体成形された合成樹脂製であり、図示しない容器内に設けられるポンプから口筒部を通じて容器の外部に延出されるステムの先端に取り付けられて使用されるものである。
【0039】
図1及び
図2等に示すように、ノズルヘッド1は、押圧ヘッド部2、連結部3及びノズル部4を有して形成されている。この実施例に示すノズル部4は、押圧ヘッド部2の側面2Aから略水平方向に延びるノズル筒5と、このノズル筒5の先端に形成された先筒部8と、ノズル筒5の先端上部に連設されたヒンジ6と、先筒部8を覆うことが可能な吐出カバー7とを有して構成されている。
【0040】
連結部3は押圧ヘッド部2の下面に管状に垂設されており、この連結部3の内部には垂直方向に沿って吸上路9が形成されている(
図2参照)。図示することは省略するが、この連結部3には容器内に設けられたポンプから延びるステムの先端が連結されることにより、ノズルヘッド1が容器の口筒部の上部に取り付けられるようになっている。
【0041】
ノズル筒5の内部には内溶液が流れる流出路10が略水平方向に沿って形成され、流出路10の一端である奥部は、押圧ヘッド部2の中心方向に延び、連結部3内の吸上路9に連通している。また流出路10の他端は先筒部8の末端に達しており、先筒部8の正面側の端面には流出路10の末端である開口10aが形成されている。
【0042】
ノズル筒5の前方の先端に形成された先筒部8は、上部側よりも下部側が前方に突き出る略台形状をしており(
図1参照)、その最下部の位置には更に前方に突出する下顎部8aが一体に形成されている。
図2に第1実施例として示すノズルヘッド1では、下顎部8aに垂直方向に貫通する孔からなる吐出口11が穿設されている。
【0043】
図5に示すように、先筒部8はノズル筒5よりも狭い幅寸法で形成され、ノズル筒5の前方の端面で、且つ先筒部8の左右の外側面8A,8Aと境目となる部分には逆U字形状からなる段差部8bが形成されている。また両外側面8A,8Aには、第1係止部12を構成する一方の第1係止凸部12a,12aが突設されている。
図1及び
図7などに示すように、第1係止凸部12aの前方には後方に向かって緩やかに幅広となるテーパー部12a1が形成され、続くテーパー部12a1の頂部には外側面8Aに向かって垂直に切り立つアンダーカット部12a2が形成されている。また下顎部8aの先端には、第2係止部13を構成する凸状の第2係止凸部13aが突設されている。
【0044】
図2、
図4及び
図5などに示すように、先筒部8の正面8Bには流出路10と、流出路10に続く変更案内路14の一部を構成するハーフパイプ状の後方案内路14aとが形成されている。吐出口11は、この後方案内路14aの下端に形成されており、後方案内路14aの下端は吐出口11の一部を構成している。
【0045】
そして、
図2、
図4及び
図5などに示すように、後方案内路14aには、後方案内路14aの湾曲面の中央に垂設され、変更案内路14を幅方向に左右二等分する整流板16の一方を構成する薄板状の第1整流片16aが一体形成されている。
図2に示すように、第1整流片16aは、その上端が流出路10の先端である開口10aに達し、その下端は吐出口11の内部に配置されている。第1整流片16aの径方向の長さ寸法は、後方案内路14a側では変更案内路14の直径の略1/2(半径)の寸法で形成され、吐出口11側では吐出口11を縦断する直径寸法で形成されている。この第1整流片16aは、開口10a及び吐出口11を左右の幅方向に左右二等分する。
【0046】
図1及び
図2などに示すように、吐出カバー7は、左右の一対の側面7A,7Aと、この両側面7Aどうしを連結する湾曲状の前面7Bを有すると共に、後部7C及び底部7D側が開口するフード状をしている。そして、前面7Bの上部とノズル筒5の先端上部とがヒンジ6を介して回動自在に連結されている。
【0047】
図2に示すように、左右の両側面7Aの内壁である内側面7A1,7A1には第1係止部12を構成する第1係止凹部12b,12bがそれぞれ形成され、前面7Bの内壁には、変更案内路14の一部を構成するハーフパイプ状の前方案内部14bが形成されている。そして、前方案内部14bの上部で且つ流出路10の末端と近接する位置には、凹状の湾曲面7aが形成されている(
図4参照)。
【0048】
前方案内部14bの湾曲面の中央には、変更案内路14を幅方向に左右二等分する整流板16の他方を構成する薄板状の第2整流片16bが一体に垂設されている。なお、第2整流片16bの径方向の長さ寸法は、変更案内路14の直径の1/2に相当する寸法である。
【0049】
図4において吐出カバー7の前面7Bの下端となる位置には、第2係止部13を構成する第2係止凹部13bが形成されている。この第2係止凹部13bは前面7Bの内壁に凹溝状に形成してもよいし、
図2に示すように前面7Bを貫通する孔で形成してもよい。すなわち、本発明における第2係止凹部13bは凹溝だけでなく、貫通孔をも含む概念である。
【0050】
図1乃至
図6に示すように、ヒンジ6を中心に吐出カバー7を回動させてノズル筒5の先端に組み付けると、吐出カバー7の左右の両側面7A,7A間に先筒部8が挿入され、先筒部8全体を覆い隠すことができる。このとき、先筒部8側の下顎部8aの先端に形成された第2係止凸部13aと、吐出カバー7側の前面7B下端に形成された第2係止凹部13bとが係止し合う。これにより、先筒部8に対する吐出カバー7の、特に高さ方向の位置決めが行われる。
【0051】
同時に、
図7及び
図8に示すように、先筒部8側の左右の両外側面8A,8Aに形成された第1係止凸部12a,12aが、吐出カバー7側の両内側面7A1,7A1に形成された第1係止凹部12b,12bのテーパー部12a1を相対的に乗り越えてアンダーカット部12a2に対して分離不能にアンダーカット結合する。なお、吐出カバー7の後部7Cが、ノズル筒5の先端である逆U字形状からなる段差部8bに当接することで先筒部8全体が覆われることになる。
【0052】
また
図4に示すように、先筒部8側の後方案内路14aと吐出カバー7側の前方案内路14bとが組み付けられて管状(パイプ状)の変更案内路14が形成される。これにより、ノズル筒5側の流出路10の末端と先筒部8の下顎部8aに形成された吐出口11とが連通され、吸上路9、流出路10、変更案内路14及び吐出口11に続く一連の流路が完成する。
【0053】
同時に、変更案内路14内において、第1整流片16aと第2整流片16bとの対向する辺同士が接して互いに組み合わされることにより整流板16が形成される。この整流板16は、変更案内路14及び吐出口11を幅方向に左右二等分する。
【0054】
なお、ノズルヘッド1の成形にあたっては、
図1及び
図2に示すように、吐出カバー7を、ノズル筒5に対してヒンジ6を介して上方に略90度回動させた状態の形状からなる成形金型と、ノズル筒5内の流出路10を形成する流出路成形用ピンを備えるスライドコア(図示せず)とを用いる射出成形法によって一体成形される。
【0055】
押圧ヘッド部2を押し下げると、図示しない容器から注出ポンプを介して吸い上げられた内溶液が、吸上路9→流出路10→変更案内路14の順に流出して吐出口11から排出される。この排出過程においては、吐出カバー7の内壁に形成された凹状の湾曲面7aにより、略水平な流出路10内を通過した内溶液の方向を、適正な方向、すなわち吐出口11が形成された下向きに向けられる。
【0056】
そして、内溶液は、変更案内路14に配置された整流板16による整流作用によって整流される。すなわち、内溶液は、変更案内路14内を左右に略均等に分流することにより、旋回流が解消されて、または左右の偏りが少なく密度的に略均一な状態となって吐出口11から排出されるため、吐出口11における排出時の飛散防止が可能となる。よって、内溶液が吐出口において周囲に飛散し、操作者の目に入る事故を防止することができる。
【0057】
図9は本発明のノズルヘッドの第2実施例として、吐出カバー組み付け後の状態を示すノズルヘッド先端の縦断面図、
図10は
図9に示すノズル筒の先端を拡大して示す底面図である。
【0058】
図9及び
図10に第2実施例として示すノズルヘッドが、上記第1実施例のノズルヘッド1と異なる点は、変更案内路14内に設けられた整流板の構造にあり、その他の点は上記第1実施例のノズルヘッド1と同様の構成である。なお、以下においては、第1実施例と同一部材については同一符号を付して説明する。
【0059】
図9及び
図10に示すように、第2実施例として示すノズルヘッド1では、整流板16が吐出口11に設けられた第1整流片16aのみで構成されている。第1整流片16aは、吐出口11を幅方向に左右二等分する一枚の薄板により構成され、吐出口11の内側に一体に形成されている。
【0060】
内溶液は、流出路10から変更案内路14を通過して吐出口11から外部に排出されるが、排出過程の最終段階である吐出口11に配置された整流板16において整流作用を受けることにより、旋回流が解消された状態、または偏りが少なく密度的に略均一な状態の内溶液を排出せることができる。
【0061】
図11は本発明のノズルヘッドの第3実施例として、吐出カバーを組み付け後の状態を示すノズルヘッド先端の縦断面図、
図12は
図11に示すノズル筒の先端を拡大して示す底面図である。
【0062】
図11及び
図12に第3実施例として示すノズルヘッドが、上記第1実施例のノズルヘッド1と主な異なる点は、下顎部8aの構造、第2係止部13を有しない構造及び変更案内路14内に設けられた整流板16の構造にあり、その他の点は上記第1実施例のノズルヘッド1と同様の構成である。なお、以下においては、第1実施例と同一部材については同一符号を付して説明する。
【0063】
図11及び
図12に示すように、第3実施例として示すノズルヘッドでは、下顎部8aに貫通する孔ではなく、ハーフパイプ状に湾曲形成された後方案内路14aが形成されている。この後方案内路14aは、先筒部8の正面8B及び下顎部8aに形成された湾曲面である。また整流板16が、ノズル筒5先端の後方案内路14a側に設けられた第1整流片16aと吐出カバー7の前方案内路14b側に設けられた第2整流片16bとで構成されている。
【0064】
第1整流片16aは、後方案内路14aの湾曲面に、前方向に向かって垂設された薄板状の部材であり、長手方向の長さ寸法は変更案内路14の直径の1/2寸法(半径)を有して形成されている。同様に、第2整流片16bは、前方案内路14bの湾曲面に、後方向に向かって垂設された薄板状の部材であり、長手方向の長さ寸法は変更案内路14及び吐出口11の直径の1/2寸法(半径)を有して形成されている。
【0065】
第3実施例においても、ヒンジ6を中心に吐出カバー7を回動させてノズル筒5の先端に組み付けると、先筒部8側の後方案内路14aと吐出カバー7側の前方案内路14bとが組み付けられて管状(パイプ状)の変更案内路14が形成される。そして、下顎部8aが設けられた変更案内路14の下端が吐出口11である。
【0066】
同時に、変更案内路14内に、第1整流片16aと第2整流片16bとの対向する辺同士が接して互いに組み合わされることにより整流板16が形成される。この整流板16が、変更案内路14及び吐出口11を幅方向に左右二等分する。
【0067】
よって、第1実施例同様に、内溶液を、変更案内路14及び吐出口11に設けられた整流板16による整流作用により、旋回流が解消され、偏りも少なく密度的に略均一な状態で排出せることができる。
【0068】
図15は第1実施例の変形例として、ノズルヘッドの先端を拡大して示す縦断面図である。
図15に第1実施例の変形例として示すノズルヘッド1が、第1実施例のノズルヘッド1と異なる点は、吐出カバー7の構成にあり、その他の構成は上記第1実施例のノズルヘッド1と同様である。
【0069】
図15に示すように、この変形例においても、第2係止部13を構成する第2係止凹部13bが前面7Bを貫通する貫通孔7bで形成されており、この貫通孔7b内に、下顎部8aの先端に突設された凸状の第2係止凸部13aが挿入されることで係止し合う点は上記第1実施例と同様である。
【0070】
ただし、この変形例では、貫通孔7bの上面に漏れ防止片8a1が一体に形成されている構成である点で異なっている。
この漏れ防止片8a1は、吐出カバー7を回動させて先筒部8全体を覆い、先筒部8側の第2係止凸部13aと吐出カバー7側の第2係止凹部13bとが係止し合うと、下顎部8a先端で且つ第2係止凸部13aの上部分に面対向するように設置される。これにより、変更案内路14を通過する内溶液の貫通孔7bからの液漏れを防止することが可能となる。
【0071】
図16は第1実施例の他の変形例として、ノズルヘッドの先端を拡大して示す縦断面図であり、
図15に示す第1実施例の変形例のさらなる変形例に相当している。
図16に第1実施例の他の変形例として示すノズルヘッド1が、
図15に示す第1実施例の変形例と異なる点は、ノズル筒5の先端と吐出カバー7とが接する部分の構成にあり、その他の構成は上記第1実施例のノズルヘッド1と同様である。
【0072】
図16に示す他の変形例では、吐出カバー7をノズル筒5の先端に組み付けた状態において、吐出カバー7側の案内路14の上端をこれと対向するノズル筒5先端の流出路10の開口端よりも上方に広げた構成としたものである。すなわち、吐出カバー7の湾曲面7a上部の内壁天面7cの高さ位置を、ノズル筒5の流出路天面10bの高さ位置よりも僅かに上側となるように形成することにより、組み付け状態において内壁天面7cと流出路天面10bとの間に内壁天面7c側を上方に広げる段差15が形成されている。
【0073】
内壁天面7cと流出路天面10bとを同一平面で形成する思想では、製造誤差等により内壁天面7cが流出路天面10bよりも下方の位置に形成されてしまう場合がある。このような場合には、内容液が流出路10から変更案内路14に流出する際に吐出カバー7側の内壁天面7cの角に当たって飛散し、飛散した内容液の一部が内壁天面7cと流出路天面10bとの連結部分に形成される隙間を介して外部に漏れる可能性がある。
【0074】
しかしながら、
図16に第1実施例の他の変形例のように、内壁天面7cと流出路天面10bとの間に内壁天面7c側を上方に広げた段差15を有する構成とすることにより、内容液が流出路10から変更案内路14に流出する際に吐出カバー7側の内壁天面7cの角に当たって飛散することがなくなる。よって、上流側の流出路10から下流側の変更案内路14に流出する内容液の流れが円滑となり、内容液の漏れを防止することが可能となる。
【0075】
なお、第1及び第3実施例に示すノズルヘッドでは、整流板16が変更案内路14及び吐出口11の双方に設けた構成であるため、吐出口11のみに設けた第2実施例のノズルヘッドに比較し、より高い整流作用の発揮が期待できる。
【0076】
ところで、本発明のノズルヘッドに使用される内容液としての液体口腔組成物としては、例えばアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤及びノニオン界面活性剤のうち少なくとも1つ以上の界面活性剤を含有するものが好ましい。
この場合の界面活性剤の総含有量は0.01重量%以上、5.0重量%以下が好ましく、さらには以下に述べる試験法によって測定した25℃における粘度が0mPa・s以上、50mPa・s以下であるものが好ましい。
【0077】
粘度測定法(口腔用組成物)
300mlのトールビーカーに口腔用組成物300gを量り取る。次に、25℃恒温水槽に1時間静置後、BL型粘度計を用いて正確に1分後の粘度を測定する。
なお、粘度計は東京計器社製のBL型粘度計を用い、測定条件はローターNo.1、回転数60rpmである。
【0078】
なお、液体口腔用組成物の好適な成分及び配合量の実施例として、ノニオン界面活性剤(ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油又はポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油)を使用した例を以下の表1〜表3に示す。
【0082】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
例えば、上記各実施例では、内溶液を幅方向に左右2等分するように、内溶液の流れ方向に対して平行に配置された整流板16を用いて説明したが、その他
図13に示すよう
に十字状に配置した整流板17で構成してもよいし、さらには
図14に示すよう
に放射状に配置した整流板18で構成したものであってもよい。
【0083】
このような整流板17,18は、内溶液を4等分、さらにはそれ以上に均等に分流させることができるため、幅方向に左右2等分する整流板16に比較し、より旋回流が解消された内溶液、またはより均一性に優れ密度の偏りの少ない内溶液とすることができる。よって、排出時の飛散防止をより効果的に達成することが可能となる。