(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
プレーナ型ダイヤモンド層の形成は、平坦な基板上にナノメータサイズのダイヤモンド粒子のパターンを形成することと、これらのダイヤモンド粒子を種結晶として用いて、ダイヤモンド層を成長させることとを含み、
プレーナ型チップの形成は、ダイヤモンド層をパターン形成して、少なくとも1つの角部が1つのダイヤモンド粒子の位置に配置されるようにすることを含む請求項1または2記載の方法。
【背景技術】
【0002】
例えば、原子間力顕微鏡(AFM)、走査トンネル顕微鏡(STM)、磁気力顕微鏡(MFM)、走査型拡がり抵抗顕微鏡法(SSRM)プローブなどの、走査近接顕微鏡または走査プローブ顕微鏡は、小さなチップを有するプローブでサンプル表面を走査することによって動作する。
【0003】
プローブ構成は、典型的には、スタイラスとしても知られているカンチレバーが搭載されたマウントまたは保持ブロックを有する。このカンチレバーには、チップが付着しており、この表面を走査する際にサンプル表面の方に向いている。このチップは、好ましくは、高硬度および低摩耗性を有する。チップおよび保持ブロックは、カンチレバーの長さに沿って対向する端部にそれぞれ搭載される。表面の走査時は、サンプルのみの移動、チップの移動、またはチップおよびサンプルの両方の組合せ移動によって、サンプルはチップに対して相対移動する。
【0004】
こうしたプローブは、プローブを表面上でスライドさせ、走査線に沿った各ポイントでチップの位置を監視することによって、サンプル表面のトポグラフを測定するために使用可能である。この応用において、チップの導電性はあまり関連性がなく、誘電体または半導体の材料がチップ製造に使用できる。プローブはまた、例えば、半導体サンプルの抵抗および電気キャリアプロファイルなど、サンプルの電気的特性を決定するために、あるいは、サンプル、例えば、半導体サンプルの電気分布のナノオーダー電位差測定のためにも使用できる。これらの応用では、少なくともプローブのチップは導電性である必要がある。
【0005】
走査型拡がり抵抗顕微鏡法(SSRM)を用いて半導体デバイスの2次元キャリアプロファイル決定のために、ホウ素ドープのダイヤモンドチップが必要になる。これらは高導電性チップに高硬度および低摩耗性を提供するためである。従って、ダイヤモンドプローブは、SSRMにとって必須の構成要素である。過去何年間に渡ってSSRM法はより発展しており、真空中の測定、シリコンおよびIII−V族半導体材料の測定、ナノワイヤ構造の測定が可能になっている。
【0006】
集積ダイヤモンドピラミッド型のチップを備えた金属カンチレバーの製造プロセスが知られている。1nmの電気分解能が論証されているが、極めて鋭いピラミッド型のチップが必要になるため、この全体プロセス(
図5)は、低い歩留まり、高い製造の複雑さ、高い製造コストに悩まされる。
【0007】
このピラミッド型チップは、モールディング技術によって製作される。最初に、ハードマスク(3)の開口を通した異方性エッチングによって、ピラミッド型のエッチピット(15)をシリコン支持基板(14)に形成する(
図5a−d)。そして、このエッチピットは鋳型として使用し、ダイヤモンド(16)で充填してピラミッド型ダイヤモンドチップを作成する(
図5e)。そして、ダイヤモンド層はパターン化されて(17)、プローブ構成のチップ部(7)を形成する(
図5f)。カンチレバー(8)がダイヤモンドチップに取り付けられる。その後、シリコンモールドが除去され、これによりピラミッド型ダイヤモンドチップおよびこれに取り付けられたカンチレバーを取り外す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ダイヤモンドプローブチップを製造するためのこの手法は、マイクロメータサイズのエリアの完全に四角のパターン形成(
図1)を必要とし、リソグラフステッパーおよび高価なマスクを要する。数ナノメータの四角パターンの必要な対称性は、実際にはマスク製造者によって仕様化できない。四角は7ミクロン×7ミクロンであり、これをナノメータ精度でパターン形成することは不可能なためである。例えば、下地のシリコン基板を露出させる二酸化シリコン層などのエッチングマスクの使用は、非対称なエッチピット(1)を生じさせ、その結果、ナイフ形状のチップ(2)になる(
図2a−b)。
【0009】
さらに、異方性KOHエッチングにより粒子状の残留物(5)が残り、チップの底部、即ち、頂点(2)の位置に残留することがある(
図3)。エッチピットは、ダイヤモンドを底部に完全充填することがより困難である。これらの全ての要因はともに、低い全体歩留まりに寄与する。さらに、チップは、チップ寿命を低下させるSSRM測定の走査時に見ことはできず、チップを所望の測定エリアに持っていく際に多くの時間が費やされる(
図4)。
図4は、先行技術のプローブ構成(6)の概略的な平面図(
図4a)および側面図(
図4b)を示し、カンチレバー(8)の一方の主面(12)に搭載された保持ブロック(9)を備え、チップ(7)がカンチレバー(8)の反対側の主面(11)に取り付けられる。
【0010】
保持ブロック(9)およびチップ(7)は、カンチレバー(8)の長手方向xに沿って反対側にそれぞれ配置される。チップ(7)は、
図4bで判るように、カンチレバー(8)のx−y面に垂直なz方向に突出している。
【0011】
他の重要な問題は、ナノプローバ(nanoprober)特徴付けシステムのためのマイクロ製作プローブのニーズである。ナノプローバは、典型的には、探査または走査されるサンプル(10)の表面を観察するための走査電子顕微鏡と、表面(18)と接触するためのプローブ構成を備えたナノマニピュレータと、ナノマニピュレータを経由してサンプルの電気測定を行うためのパラメータアナライザとを備える。
【0012】
チップ(22)、特に、その頂点(2)は、カンチレバーの下に隠れており、サンプル(10)の走査エリアは、走査時には見えない。従って、走査画像だけをリファレンスとして用いて関心領域を調査する際に多くの時間が費やされる。これは、早期のチップ摩耗をもたらし、チップ寿命を著しく低下させることになる。今のところ、手作業でエッチングしたタングステンプローブ(22)だけが、ナノプローバ用のプローブチップとして利用可能である(
図6)。
【0013】
チップ鋭さは、約20〜100nmに制限される。手作業で製作したチップの代わりに、マイクロ製作チップについて強いニーズがある。さらに、タングステンチップは酸化に悩まされるため、タングステンとは別の代替材料が使用できるようにすべきである。例えば、シリコンでの測定には、導電性ダイヤモンドプローブが必要になる。チップはまた、測定分解能を改善するために、より鋭いものにすべきである。
【0014】
よって、優れた費用効果で製造可能であり、チップが走査時にも直接見える、超高分解能で高い歩留まりが可能なプローブ構成についてのニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、原子間力顕微鏡(AFM)プローブ構成に関するものであり、これはカンチレバーと、カンチレバーの少なくとも側壁に装着され、その長手方向(x)に沿って延びるプレーナ型チップとを備える。プレーナ型チップは、カンチレバーから遠方に少なくとも1つの角部を有し、使用時に、角部は走査表面と接触するようにした2次元形状のものである。好ましい実施形態では、プレーナ型チップは三角形状である。
【0016】
プレーナ型チップおよびカンチレバーは、ほぼ同じx−y面内にある。プレーナ型チップは、カンチレバーの側壁に装着可能である。代替として、プレーナ型チップをカンチレバーの主要表面に装着して、カンチレバーがプレーナ型チップと部分的に重なって、遠方の角部がカンチレバーとは重ならないようにしてもよい。
【0017】
好ましくは、プレーナ型チップは、ダイヤモンドで形成される。プレーナ型チップの少なくとも遠方の角部は、ダイヤモンド層で被覆されている。少なくともプレーナ型チップを遠方の角部で被覆しているダイヤモンド層からは、ダイヤモンドのナノ微結晶(crystallite)がダイヤモンド表面から突出している。
【0018】
好ましくは、プレーナ型チップおよびカンチレバーは、同じ材料で形成される。
【0019】
プローブ構成は、カンチレバーの主要表面に装着されたミラーをさらに備えてもよく、ミラーは、この主要表面に対して垂直で、カンチレバーの長手方向(x)に垂直な反射面を有する。
【0020】
本開示の第2態様では、第1態様で開示されたプローブ構成を製造する方法を開示している。
【0021】
カンチレバーと、カンチレバーの側壁に装着され、その長手方向(x)に沿って延びるプレーナ型チップとを備える、第1態様に係る原子間力顕微鏡(AFM)プローブ構成を形成する方法は、
平坦な基板を用意すること、
この平坦な基板上にプレーナ型ダイヤモンド層を形成すること、
このプレーナ型ダイヤモンド層を、少なくとも1つの角部を有する2次元形状にパターン形成することによって、プレーナ型チップを形成すること、
プレーナ型チップを平坦な基板から取り出すこと、
取り出したプレーナ型チップをカンチレバーの側壁に装着し、少なくとも1つの角部がカンチレバーから遠方になるようにすることを含む。
【0022】
該方法は、平坦な基板上に、ダイヤモンドに対して少なくとも選択的にエッチング可能な材料層を形成することをさらに含み、プレーナ型チップの取り出しは、この選択的に除去可能な層をエッチングすることによって、パターン形成したダイヤモンド層をアンダーエッチング(underetching)することを含む。
【0023】
プレーナ型ダイヤモンド層の形成は、平坦な基板上にナノメータサイズのダイヤモンド粒子のパターンを形成することと、これらのダイヤモンド粒子を種結晶(seed)として用いてダイヤモンド層を成長させることを含んでもよく、プレーナ型チップの形成は、ダイヤモンド層をパターン形成して、少なくとも1つの角部が1つのダイヤモンド粒子の位置に配置されるようにすることを含んでもよい。
【0024】
該方法は、カンチレバー(8)の主要表面(12)にミラー(25)を形成するステップをさらに含んでもよく、ミラー(25)は、この主要表面(12)に対して垂直で、カンチレバー(8)の長手方向に垂直な反射面(29)を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】先行技術のピラミッド型ダイヤモンドチップに関連した製造問題を示す概略平面図である。
図1(a)は、点状の頂点(2)を有するピラミッド型エッチピット(1)が、完全に対称なエッチングマスク(3)と後続の対称な異方性エッチングとを必要とする。
図1(b)は、実際のエッチピット(1)であり、そこに形成されるダイヤモンドチップは、ある程度は常に僅かに非対称であって、ナイフ状のエッジ(2)となり、歩留まり低下をもたらす。
【
図2】
図2(a)(b)は、走査電子顕微鏡(SEM)画像の平面図であり、エッチングによって生ずる、先行技術のナイフ状エッジの頂点(2)を示す。
図2(a):下地のシリコン基板(4)を露出させる必要なエッチングマスク(3)は、非対称にアンダーエッチングすることがあり、ナイフ状のエッジ(2)をもたらす。
図2(b):円グラフとして表した、ナイフ状のエッジの形成によるウエハの歩留まり低下。これによりナイフ状の頂点の3つの範囲:20〜50nm、50〜100nm、>100nmについて、歩留まりの数字が与えられる。頂点長さの各範囲について、典型的な頂点のSEM画像を挿入している。
【
図3】KOHエッチング後に形成される先行技術のエッチピット(1)の平面図を示すSEM画像である。KOHエッチングは、常に材料(5)の痕跡を残し、これは頂点(2)に蓄積されることがある。粒子密度を低減するために湿式クリーニングが使用できるが、完全ではない。ピットの頂点はまた、他の粒子源を引き寄せる。
【
図4】カンチレバー(8)に装着されたチップ(7)と、カンチレバー(8)に装着された保持チップ(9)とを有する先行技術のプローブ構成(6)の概略図であり、
図4(a)は平面図、
図4(b)は側面図である。
【
図5】
図5(a)〜(f)は、ピラミッド型ダイヤモンドチップ(7)を製造するための処理ステップの概略断面図によって、
図5に示すプローブ構成を製造するための先行技術の製造プロセスを示す。
【
図6】ナノプローバで用いられる先行技術のタングステンプローブ(22)のSEM画像である。
【
図7】超高分解能電気測定用の費用効果に優れたダイヤモンドチップを開示する実施形態に係るプローブチップ構成(6)の概略断面図である。ホルダーチップ(9)は示していないが、ダイヤモンドチップ(19)の反対側で、カンチレバー(8)の端部に装着される。三角形状のプレーナ型ダイヤモンドチップ(19)は、カンチレバー(8)と面内にあり、その側壁(13)に装着される。チップ(19)は、走査時に見える。鋭い頂点(2)を有し、ダイヤモンドチップ(19)から突出しているダイヤモンドナノ結晶(21)によって超高分解能が得られる。
【
図8】超高分解能電気測定用の費用効果に優れたダイヤモンドチップを開示する実施形態に係るプローブチップ構成(6)の概略断面図である。ホルダーチップ(9)は示していないが、ダイヤモンドチップ(19)の反対側で、カンチレバー(8)の別の端部に装着される。多角形ダイヤモンドチップ(19)は、カンチレバー(8)と面内にあり、その側壁(13)に装着される。チップ(19)は、走査時に見える。鋭い頂点(2)を有し、ダイヤモンドチップ(19)から突出しているダイヤモンドナノ結晶(21)によって超高分解能が得られる。
【
図9】実施形態に係るプローブチップ構成(6)の概略断面図である。
【
図10】実施形態に係るプローブチップ構成(6)の概略断面図である。
【
図11】
図11(a)(b)は、プレーナ型ダイヤモンドチップ(19)を製造するための処理ステップの概略断面図によって、実施形態に係るプローブ構成を製造するための製造プロセスを示す。
【
図12】実施形態に係るプローブ構成(6)と、先行技術の手作業で化学エッチングしたタングステンチップ(22)とを比較するSEM画像である。プローブ構成(6)は、三角形状のダイヤモンドチップ(7)を一方の側壁に有するNiカンチレバー(8)に装着されたNiホルダーチップ(9)を備える。プローブ構成(6)は、ナノプローバでのタングステンプローブ(22)の隣に位置している。
【
図13】
図12のプローブ構成(6)の詳細を示すSEM画像である。ダイヤモンド膜(17)から突出している鋭いダイヤモンドナノ結晶(21)が、高分解能チップとして用いられる。この場合、プレーナ型ダイヤモンドチップ(19)のテーパー形状の三角形は、複数の点接触を回避して、チップを対象領域に位置決めするのに役立つ。
【
図14】実施形態に係るダイヤモンド膜(16)を示すTEM画像である。鋭いピーク(2)を有する小さなダイヤモンドナノ結晶(21)が、ダイヤモンド膜から突出しており、電気測定での高分解能を達成している。
【
図15】実施形態に従って製作したダイヤモンドチップ(19)を用いて、非接触AFMモードで走査したSrTiO
3リファレンスサンプル(10)のAFM画像を示す。SrTiO
3リファレンスサンプルの針状表面が、極めて高分解能で画像化できており、ダイヤモンドチップ(19)の高分解能を示している。
【
図16】実施形態に係るプレーナ型ダイヤモンドチップ(19)を用いて、酸化物ライン(24)を有する走査表面(18)のSSRM測定を示す。
【
図17】
図17(a)(b)は、ホルダーチップ(24)が装着された、カンチレバー(8)の主要表面(12)にミラー(25)が存在している実施形態を示し、
図17(a)は側面図、
図17(b)は平面図である。
【
図18】
図18(a)〜(n)は、プレーナ型ダイヤモンドチップ(19)を製造するための処理ステップの概略断面図によって、実施形態に従って、ホウ素ドープのプレーナ型ダイヤモンドチップ(19)と、ニッケルカンチレバー(8)に装着され、集積化しマイクロ製作した垂直ミラー(25)とを備えるプローブ構成を製造するための製造プロセスを示す。
【
図19】
図18(a)〜(n)に示した実施形態に従って製造された、集積化しマイクロ製作した垂直ミラー(25)およびホウ素ドープの導電性ダイヤモンドチップ(19)を備えたニッケルカンチレバー(8)の等角投影図を示す。
【
図20】
図20(a)(b)は、実施形態に係る集積化しマイクロ製作した垂直ミラー(25)の別々のレイアウトを示すもので、
図20(a)は、コーナーミラーの概略図である。両ミラー間の角度が107.5°(即ち、90°より大きく、90°+17.5°)であるため、本実施形態では、どのような入射角であっても、反射レーザビーム(27,27’)は、入射レーザビーム(26,26’)とともに35°の角度を形成することになる。
図20(b)は、通常のミラーについての概略図である。反射レーザビーム(27,27’)と入射レーザビーム(26,26’)の間の角度は、入射角に対して2倍になる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、特定の実施形態について一定の図面を参照して詳細に説明するが、本発明はこれに限定されず、請求項によってのみ限定される。記載した図面は、概略的かつ非限定的なものである。図面において、幾つかの要素のサイズは、説明目的のために誇張したり、縮尺どおり描写していないことがある。寸法および相対寸法は、本発明の実際の具体化に必ずしも対応していない。
【0027】
さらに、説明および請求項での用語「第1」「第2」「第3」などは、類似の要素を区別するための使用しており、必ずしも連続した順または時間順を記述するためではない。こうした用語は、適切な状況下で交換可能であり、本発明の実施形態は、ここで説明したり図示したものとは別の順番で動作可能である。
【0028】
さらに、説明および請求項での用語「上(top)」、「下(bottom)」、「の上に(over)」、「の下に(under)」等は、説明目的で使用しており、必ずしも相対的な位置を記述するためのものでない。こうして用いた用語は、適切な状況下で交換可能であって、ここで説明した本発明の実施形態がここで説明または図示した以外の他の向きで動作可能であると理解すべきである。
【0029】
請求項で用いた用語「備える、含む(comprising)」は、それ以降に列挙された手段に限定されるものと解釈すべきでなく、他の要素またはステップを除外していない。記述した特徴、整数、ステップまたは構成要素の存在を、参照したように特定するように解釈する必要があるが、1つ又はそれ以上の他の特徴、整数、ステップまたは構成要素、あるいはこれらのグループの存在または追加を除外していない。そして「手段A,Bを備えるデバイス」という表現の範囲は、構成要素A,Bだけからなるデバイスに限定すべきでない。本発明に関して、デバイスの関連した構成要素だけがA,Bであることを意味する。
【0030】
開示の第1態様において、前述した先行技術の課題を克服するプローブ構成を開示している。
【0031】
こうしたプローブ構成は、
図7に示している。プローブ構成(6)は、側壁(13)に装着されたプレーナ型ダイヤモンドチップ(19)を有するカンチレバー(8)を備え、プレーナ型ダイヤモンドチップは、カンチレバー(8)の長手方向xに沿って延びている。カンチレバー(8)およびダイヤモンドチップ(19)は、ここでは同じx−y面内にある。プレーナ型ダイヤモンドチップとは、プレーナ型ダイヤモンドチップ(19)のダイヤモンド層(17)が、この2次元x−y面から飛び出た頂点が無く、実質的に2次元レイアウトまたは設計を有することを意味する。
【0032】
サンプル(10)の表面(18)を走査する場合、カンチレバーの主面(11)およびチップの(24)の主面がこのサンプル表面(
18)に面している。チップ(
19)は、走査されるサンプル(10)の表面と接触可能である少なくとも1つの角部(20)を有する任意の2次元形状を有することができる。三角形状のプレーナ型ダイヤモンドチップ(19)は
図7に示しており、多角形状のプレーナ型ダイヤモンドチップ(19)は
図8に示している。
【0033】
図8に示すように、多角形ダイヤモンドチップ(19)のテーパー状の端部は、依然としてプレーナ型ダイヤモンドチップ(19)およびカンチレバー(8)のx−y面内にある。このテーパー状の端部(20)は、カンチレバー(8)とは反対側にあり、これに面していない。このプレーナ型ダイヤモンドチップ(19)上には、ナノダイヤモンド微結晶(21)が存在しており、好ましくは、プレーナ型ダイヤモンドチップのエッジ近傍に存在する。チップ(19)の主面(24)に渡ってナノ微結晶(21)の分布を想定した場合、角部(20)近くの微結晶の数は制限され、利用可能な表面を減少させる。
【0034】
プレーナ型ダイヤモンドチップ(19)は、任意の2次元形状を有することができるが、好ましくは、ダイヤモンドチップ(19)は、より小さな表面エリアを持つテーパー状の端部を有し、その結果、制限された数の微結晶だけがテーパー状の端部に存在する。テーパー状の端部の表面が小さくなるほど、主面(24)に存在する微結晶が少なくなり、良好になる。こうした方法は、測定の際、1個のダイヤモンドナノ結晶だけがサンプル(10)の表面(18)と接触することを確保できる。こうしたダイヤモンドナノ結晶(21)の極めて鋭いピーク(2)のおかげで、超高分解能SSRM測定が得られる。これらの微小凹凸は、サブナノメータ寸法を持つ自己組織化した鋭い頂点を有するチップを構成する。
【0035】
チップ(
19)は、ダイヤモンドから製作され、所望の硬度および低摩耗性を提供するが、カンチレバー(8)は、応用に応じて種々の材料から製作可能である。トポグラフ測定では、ダイヤモンドチップ(6)は、導電性である必要はなく、カンチレバーもそうであるは必要はない。よって、カンチレバーは、誘電体材料または導電性材料から製作可能である。
【0036】
電気測定、例えば、SSRMでは、少なくともダイヤモンドチップ(19)は、例えば、ホウ素などのドーパントをダイヤモンド層(16,17)に導入することによって、導電性に製作される。カンチレバー(8)は、ここでは、導電性材料、例えば、金属で形成可能であり、チップ(19)とホルダーブロック(9)の間に導電経路を提供する(
図9)。カンチレバー(8)が、非導電性材料で形成された場合は、導電性材料の追加パターン、例えば、金属ストライプ(23)がカンチレバー(8)の上部に存在して、これによりチップ(19)とホルダーブロック(9)の間にカンチレバー(8)を通るオーミック性の導電経路を形成する(
図10)。
【0037】
図7に示すように、ダイヤモンドチップエリア(19)は、プレーナ型チップ部分とみなすことが可能であって、マスクアライナーによってパターン形成される三角形状を有するのが有利である。これにより、
図4に示したピラミッド型チップの場合のように、高性能リソグラフステッパおよび非常に対称的なパターンを回避できる。プレーナ型チップ部分の端部、即ち、カンチレバー(8)から遠方にある三角形の角部(20)に存在する極めて鋭いダイヤモンドナノ結晶(21)によって、SSRM測定での超高分解能電気測定が得られる。これらのナノ結晶(21)は、ダイヤモンド層(16)の堆積プロセスの際に形成できる。
【0038】
パターン化されたダイヤモンド層(17)が形成された表面(14)は、テーパー状の端部を有するカンチレバー(8)の主要表面(11)とすることかできる。カンチレバー(8)は、知られた技術を用いて形成され、角部(20)を含むテーパー状の端部を有するようにパターン形成される。少なくともこの角部(20)の上および近傍には、パターン化されたダイヤモンド層(17)が形成され、走査される表面(18)と接触するための鋭いダイヤモンドナノ結晶(21)を含んでいる。
【0039】
代替として、カンチレバー(8)およびダイヤモンド層(16)は、単一のリソグラフステップの際にパターン形成でき、これによりダイヤモンド層(16)はテーパー状の端部を含むカンチレバー(8)の主面(11)を被覆する。
【0040】
本実施形態では、ダイヤモンド層(16)の成長の際、下地となる基板(14)の表面と反対側の表面に、即ち、カンチレバー(8)にダイヤモンドナノ粒子(21)が形成される。
【0041】
本開示の第2態様において、第1態様で開示したプローブ構成を製造するための方法を開示している。
【0042】
ダイヤモンド層および微結晶を形成するために、約0.5〜約1.5ミクロンの厚さを有するダイヤモンド膜(16)が、シリコンウエハなどのブランケット基板(14)上に堆積される。
【0043】
ダイヤモンドチップ(19)のx−y面に垂直なz方向に向いたピラミッド型チップ(1)を形成する必要がないことから、このシリコン支持ウエハ(14)には鋳型を形成していない。ダイヤモンド層(16)が形成される基板(14)の表面は、フラットであり、2次元ダイヤモンド層(16)が得られる。
【0044】
次に、プレーナ型チップ部分(19)は、リソグラフレジストマスキングステップと、レジストパターンを用いたダイヤモンド膜(16)のドライエッチングとを含む1つのパターニングステップによって形成され、プレーナ型ダイヤモンドチップ(19)の選択した2次元形状が得られる。
【0045】
代替として、ダイヤモンド膜のドライエッチングの際、増加するエッチング抵抗性のために、レジストとダイヤモンドの間にアルミニウムなどの追加のハードマスクを使用してもよい。
【0046】
次に、カンチレバー部分(8)が、リソグラフステップによってパターン化され、続く堆積ステップによって形成され、好ましくは、角部(20)から遠方の場所でダイヤモンドチップ(19)と部分的に重なるようにする。カンチレバー部分(8)は、ここではプレーナ型プローブチップ(19)に装着される。
【0047】
そして、ダイヤモンドチップ(19)は、例えば、ダイヤモンドチップ(19)と接触しているシリコンウエハ(14)をエッチング除去することによって、シリコンウエハ(14)から取り出される。必要に応じて、支持基板(14)とダイヤモンド層(17)の間には、ある層、例えば、シリコン酸化層が存在している。この任意の層は、取り外しのために、ダイヤモンドチップ(19)のアンダーエッチング(underetching)を可能にする。この層は、少なくともダイヤモンド層(17)に対して選択的に除去可能である。プレーナ型プローブチップ(19)を取り外す際、ナノ結晶(21)が露出することになる。
【0048】
プレーナ型プローブチップ(19)は、カンチレバー(8)の側壁(13)に取り付け可能である。好ましくは、プレーナ型プローブチップ(19)は、カンチレバー(8)の主面(11)に装着され、カンチレバー(8)がプレーナ型プローブチップ(19)と部分的に重なるようにする。
【0049】
両方のアセンブリにおいて、チップ(19)のテーパー状端部(20)はカンチレバー(8)によって覆われたり重なったりしていない。カンチレバー(8)は、プレーナ型ダイヤモンドチップ(19)のテーパー端部(20)の側方に位置決めされるため、この角部(20)の視野は、そのカンチレバー(8)によって邪魔されない。チップ(19)は、走査時に、AFMの光学顕微鏡またはナノプローバのSEMを通じて見える状態であるため、チップの正確な位置決めが可能であり、チップ寿命を増加させるのに役立つ。
【0050】
プレーナ型ダイヤモンドチップ(19)を形成するのに必要である極めて重大な処理ステップの数を低減することによって、製造歩留まりが増加する。即ち、表面と接触する鋭い角部を有するチップを得るための対称パターンの必要性がなく、鋭い頂点を持つエッチピット(15)を形成する必要性がなく、このエッチピット(15)の内側に汚い蓄積物の懸念がなく、これによりピットのクリーニングの必要性を回避できるとともに、極めて鋭いピラミッド型チップ(7)を得るために、エッチピット(15)の底部(2)において完全なダイヤモンド充填の必要性がない。
【0051】
処理コストは、劇的に低減される。即ち、必要となるステップおよび材料がより少なくなり、基板(14)に鋳型を形成するためのエッチングマスクが不要になり、このエッチングマスク(3)の形成を制御するためのリソグラフステッパおよび高価なステッパマスク(
図7)の必要性がない。
【0052】
プレーナ型ダイヤモンドチップ(19)のパターニングを用いるだけで、プレーナ型ダイヤモンドチップ(19)の所望の2次元形状が得られる。プレーナ型ダイヤモンドチップ(19)の角部(20)の角度は、極めて小さくする必要はない。この角部は、サンプル表面と接触しないからである。
【0053】
プレーナ型ダイヤモンドチップ(19)のテーパー加工だけで、このテーパー端部における微結晶の実質の数を低減できる。走査される表面との接触は、角部(20)の近傍、またはこのプレーナ型ダイヤモンドチップ(19)のテーパー端部に存在する微結晶を経由するものであり、先行技術のピラミッド型ダイヤモンドチップ(7)の場合のように、エッジや角自体を経由しない。
【0054】
典型的な処理フローは、
図11(a)(b)に示している。製造プロセスは、シリコンウエハ(14)からスタートして、第1ステップにおいて約0.5〜1.5ミクロン厚のダイヤモンド層(16)でコーティングされる。最小ダイヤモンド厚は、チップの機械的安定性にとって必要である。より薄いダイヤモンドコーティングを用いた場合は、ダイヤモンドの上に支持金属層を堆積してもよい。最大ダイヤモンド厚は、ドライエッチングによるダイヤモンドのパターン形成(厚くなるほど、エッチングにかかる時間は長くなる)、およびダイヤモンド堆積ステップの高価の程度(厚くなるほど、コストが高くなる)によって決定される。
【0055】
ダイヤモンド堆積は、種結晶形成ステップを含み、これによりシリコンウエハ(14)がナノメータサイズのダイヤモンド粒子を含む溶液中に浸漬され、そしてシリコンウエハ上に堆積される。そして、堆積したナノメータサイズのダイヤモンド粒子は、ダイヤモンド層(16)形成プロセスにおけるダイヤモンド核生成として機能する。
【0056】
そして、ダイヤモンド堆積は、熱フィラメントCVD(HFCVD)またはマイクロ波CVD(MWCVD)によって行われる。両方の方法において、ダイヤモンドは、典型的には、CH
4≦1%およびH
2からなるフローガス混合物から堆積する。ガスは、700〜1000℃に加熱された基板近傍において、HFCVDでは熱フィラメント(約2200℃)によって、MWCVDではマイクロ波プラズマによって活性化される。圧力は、典型的には、10〜50Torrである。成長レートは、典型的には、約0.1〜1μm/hである。
【0057】
P導電型のダイヤモンドは、例えば、ジボラン(B
2H
6)またはホウ酸トリメチル((CH
3)
3BO
3)をドーピング源として用いた、その場(in situ)ホウ素ドーピングによって得られる。こうして10
−2〜10
−3Ωcmの抵抗率が得られる。10
11cm
−2に達する高い核生成密度は、ダイヤモンド堆積の極めて初期において小さなダイヤモンドナノ結晶(典型的には、30〜100nmのサイズまで)の高密度成長を可能にする。これらのナノ結晶は、成長において互いに競合し、堆積の後の段階ではより大きなダイヤモンド結晶が形成され得る。予定した応用では、堆積の極めて初期に形成されたダイヤモンドナノ結晶は、電気測定(例えば、SSRMやナノプローバ)用のナノメータサイズのチップとして用いられる。これらのナノ結晶(21)は、我々の測定で得られるナノメータ規模の電気分解能を生じさせる極めて鋭いエッジ(2)を有することに留意する。
【0058】
ダイヤモンド堆積後、ダイヤモンドチップエリア(19)は、ハードマスクを用いてパターン形成(17)され、ダイヤモンド膜は、酸素含有プラズマ中でドライエッチングが施される。ダイヤモンド層(16)を形成するための種結晶(seed)として用いられるダイヤモンド粒子が基板(14)上に所定のパターンに堆積した場合、パターン化されるチップエリア(19)の少なくとも1つの角部(20)が、カンチレバー(8)への装着後にはカンチレバー(8)から遠方にあって、こうした1つのダイヤモンド粒子の場所に対応するように、ダイヤモンドチップエリア(19)はパターン形成される。こうしてダイヤモンド粒子の数および、この角部(20)に存在するナノ結晶(21)の数が制限され、AFMまたはSSRM測定の改善した分解能を導く。
【0059】
ハードマスクが剥離される。カンチレバー(8)エリアおよびホルダーチップエリア(9)をメッキするための金属シード層が堆積される。第2のハードマスクがこの金属シード層の上に堆積され、カンチレバーおよびホルダーエリアの輪郭を描くようにパターン形成される。そして、カンチレバーおよびホルダーチップエリアの場所で露出したシード層は、典型的には、2〜8μmの厚さに、例えば、ニッケルでメッキされる。そして、第2のハードマスクが除去され、チップ(19)、カンチレバー(8)およびホルダーチップエリアは、エッチング(例えば、KOH)、剥ぎ取り(peel-off)またはこれらの組合せによって、シリコンウエハ(14)から取り出される。
【0060】
そして、便利なプローブ取り扱いのためのホルダーチップ(9)が、例えば、接着または半田付けによって、ホルダーエリアに取り付けられる。ホルダーチップ(9)は、カンチレバーの上部に、例えば、有機厚膜の表面被覆や成膜によって、マイクロ製作(micro-fabricate)してもよいことに留意する。パターン化されるシード層をメッキする代わりに、カンチレバーは、例えば、スパッタ、蒸着、CVDなどの代替の堆積方法によって形成できる。
【0061】
ダイヤモンド層(16)を成長するための種結晶として用いられるダイヤモンド粒子は、事前にドープすることも可能である。これらのダイヤモンド粒子は、既に鋭いエッジを有することから、これらは、走査される表面(18)と接触するためのナノダイヤモンド微結晶(crystallite)(21)として機能する。続いて形成されるダイヤモンド層(16)は、これらのダイヤモンド粒子を埋め込んで、堆積したままの別々のダイヤモンド粒子間での機械的な堅固な結合を提供するために使用できる。そして、このダイヤモンド層は、埋め込まれたナノダイヤモンド微結晶(21)を巧みに処理することができる。
【0062】
図12は、実施形態に係るプローブ構成(6)の製作プロトタイプを示す。この場合、ダイヤモンド三角チップ(19)は、ニッケルカンチレバー(8)の長手方向端部(13)に装着される。
図12は、手作業で製作したタングステン(W)プローブ(22)と、実施形態に係る集積化ダイヤモンドチップを持つマイクロ製作したニッケルカンチレバーとの直接比較を示す。
【0063】
図13は、
図12のダイヤモンドチップをより高い倍率で示す。三角ダイヤモンドチップ(19)が、長手方向に沿ってテーパー端部を有するように、2次元のカンチレバー(8)の側方延長として形成されることが判る。
【0064】
図14は、ダイヤモンド膜(16)のTEM画像を示し、ナノメータ規模の鋭いダイヤモンド結晶(21)がダイヤモンド膜から突出している様子を示す。これらの結晶は、測定での高分解能を付与している。
【0065】
図15は、これらのチップの達成可能なトポグラフ分解能を示している。
図13と
図14に示したものと同様なプレーナ型ダイヤモンドチップを用いて、SrTiO
3表面を非接触AFMモードで走査した。極めて鋭いチップを用いてスパゲッティ状の構造が見えていることに留意する。
【0066】
図16は、製作プロトタイプを用いた電気測定の例である。走査した表面(18)上にある2.5nm幅のシリコン酸化物ライン(24)が、ダイヤモンドチップ(19)によって明瞭に画像化できる。
【0067】
ここで開示したプローブ構成は、原子間力顕微鏡(AFM)、走査トンネル顕微鏡(STM)、磁気力顕微鏡(MFM)、走査型拡がり抵抗顕微鏡法(SSRM)プローブなどの、走査近接顕微鏡または走査プローブ顕微鏡において使用できる。そして、プローブ構成(6)は、典型的には、カンチレバー(8)が搭載されるマウントまたは保持ブロック(9)を備える。このカンチレバーには、走査されるサンプル表面(18)に向けてある角度でチップ(7)が装着される。このチップは、好ましくは、高い硬度および低摩耗性を有する。チップ(19)は、カンチレバー(8)の側壁(13)に搭載されるとともに、保持チップ(9)は、典型的には、走査される表面(18)とは反対側のカンチレバーの主要表面(12)に搭載される。表面(18)の走査の際、サンプルのみの移動、チップの移動、またはチップおよびサンプルの両方の組合せ移動によって、サンプルはチップ(19)に対して相対移動する。
【0068】
こうしたプローブは、プローブを表面上でスライドさせ、走査線に沿った各ポイントでチップの位置を監視することによって、サンプル表面のトポグラフを測定するために使用可能である。この応用において、チップの導電性はあまり関連性がなく、誘電体または半導体の材料がチップ製造に使用できる。プローブはまた、例えば、半導体サンプルの抵抗および電気キャリアプロファイルなど、サンプルの電気的特性を決定するために、あるいは、サンプル、例えば、半導体サンプルの電気分布のナノオーダー電位差測定のためにも使用できる。これらの応用では、少なくともプローブのチップは導電性である必要がある。
【0069】
図17(a)(b)は、AFMプローブ構成(6)の他の実施形態を示す。他の実施形態のように、プローブ構成(6)は、カンチレバーの側壁(13)に装着されたプレーナ型プローブチップ(19)を備える。プレーナ型チップ(19)は、2次元パターン、例えば、
図8に示したような多角形、または
図7に示したような三角形を有し、これにより、この2次元パターンの少なくとも1つの角部(20)がカンチレバーから遠方にある。
【0070】
カンチレバー(8)の主要表面(12)には、ホルダーチップ(9)が装着される。この主要表面(12)は、使用時にはサンプル(10)の走査表面(18)に面していない。
【0071】
本実施形態において、主要表面(12)には、平面ミラー(25)がプローブチップ(19)に近接して形成される。ミラーの反射面は、この主要表面(12)に対して直交しており、この主要表面(12)に対して平行に、このミラー(25)に入射するレーザビーム(16)は、この反射面によって、この主要表面(12)に対して平行に反射する。
図17(b)に示すように、このミラー(25)の反射面は、プローブチップ(19)とは反対側にあるホルダーチップに向いている。ミラー(25)は、カンチレバー(8)の長手方向xに対して垂直であり、その光軸はこの長手方向xに沿っている。
【0072】
本実施形態に係るプローブチップ構成(6)の利点は、カンチレバーホルダー(9)がプローブチップ(19)の方向に狭くなる三角形状で製作されるため、互いに接近した複数プローブチップ構成(6)の位置決めが可能である点である。これらの複数プローブを同時に使用可能とするために、入射および反射レーザビームは、プローブ面に対して平行に方向付けする必要がある。カンチレバーホルダーの三角形状は、カンチレバー(8)の面(12)に対して垂直ではなく、好ましくは平面であるx−y面内のある方向に入射レーザビーム(26)および反射レーザビーム(27)の通過を可能にする。
【0073】
この構成において、レーザビーム(26)を、サンプル(10)の走査表面(18)とは反対側にあるカンチレバー(8)の主要表面(12)に、この主要表面(12)に対して垂直、または少なくともある角度にある方向に入射させることによって、使用時でのカンチレバー(8)の偏向は測定されない。これによりカンチレバーの反射面(12)は、このレーザビームを、この主要表面(12)に対して垂直、または少なくともある角度にある方向に反射させるであろう。
【0074】
代わりに、これらのレーザビームが、この主要表面(12)に対してほぼ平行であり、そのため、レーザ源は、プローブチップ(19)が走査表面(18)と接触するエリアから遠くに位置決め可能である。好ましくは、レーザ源は、ホルダーチップ(9)の上または後方に配置され、その結果、発生したレーザビーム(26)は、ホルダーチップ(9)からまたはその後方からプローブチップ(19)に向けて進行し、そして、中間のミラー(25)によって反射され、ホルダーチップ(9)またはその後方に戻る。
【0075】
垂直ミラー(25)が装着されたカンチレバー(8)に装着されたプレーナ型ダイヤモンドプローブチップ(19)を備えたミラープローブ(6)の好ましい製造方法は、[100]の結晶方位を持つブランクの200mmシリコンウエハ(14)を用いてスタートする(
図18(a))。
【0076】
最初に、1:4μm厚の導電性ホウ素ドープ多結晶性ダイヤモンド層(16)をシリコンウエハ上に堆積する(
図18(b))。ダイヤモンド層は、ダイヤモンドエッチャントマスクとして用いられる500nmの保護アルミニウム層(30)で被覆される(
図18(c))。レジスト(33)をウエハ上にスピン塗布して(S1828ポジティブトーンフォトレジスト)、プローブチップ(19)のパターン(17)を有する第1マスクを用いて露光する。現像後、レジストのパターン化した層(三角エリア)がアルミニウム層の上に残る(
図18(d))。未保護のアルミニウムが、H
3PO
4ウェットエッチングを用いて除去される。
【0077】
従って、このときウエハは、ダイヤモンド層上にアルミニウムおよびレジストの三角エリアを含む(
図18(e))。プラズマエッチングを用いて未保護のダイヤモンドが除去され、アルミニウムによって保護された三角形のダイヤモンドチップ(19)が得られる(アルミニウム上のレジストはプラズマエッチングの際に除去される)(
図18(f))。
【0078】
チップ上に残ったアルミニウムは、第2のH
3PO
4ウェットエッチングを用いて除去されて(
図18(f))、ダイヤモンドチップ(19)を備えたシリコンウエハ(14)が得られる(
図18(g))。
【0079】
カンチレバー(8)の製作では、3つの層、30nmの窒化タンタル、50nmの銅、30nmのチタンからなる金属スタック(31)が、ウエハ上にスパッタ成膜される(
図18(h))。窒化タンタルは銅の接着層として機能し、銅はニッケル電気メッキ用のシード層として機能し、チタンは銅層の酸化を回避する保護層として機能する。厚い層(>7μm)のAZ10XTレジスト(33)をウエハ上にスピン塗布し、カンチレバー(8)のパターンを有する第2のマスクを用いて露光して現像する。その結果、カンチレバーが来るオープンエリアを備えたパターン化レジスト層が得られる(
図18(i))。
【0080】
2%希釈HF溶液を用いて保護チタン層が除去され(
図18(j))、その直後に、7μmのニッケル(34)が銅シード層上に電気メッキされる(
図18(k))。
【0081】
AZ10XTレジスト(33)を除去し(剥離)、2%希釈HF溶液を用いて残りのチタン層を除去し、(NH
4)S
2O
8ウェットエッチングを用いて残りの下地銅層を除去する(
図18(l))。
【0082】
その結果、集積したダイヤモンドチップ(19)を備えたニッケル(34)カンチレバー(8)を有するウエハ(14)が得られる。
【0083】
ミラー(25)の製作は、厚い層(32)(50μm)のネガティブトーンKMPRレジスト(
図18(m))をスピン塗布することによってスタートする。ミラー(25)のパターンを有する第3のマスクを用いてレジストを露光して現像し、パターン化した矩形状構造がカンチレバーの上に製作されるようにする(
図18(n))。
【0084】
その結果、上部にKMPRミラー(25)を備えたニッケルカンチレバー(8)を有するウエハ(14)が得られる。
【0085】
ニッケルカンチレバーの製作と同様なプロセスを用いて、ホルダーチップ(9)は、パターン化したレジストを備えたウエハ(14)を用いてニッケルで電気メッキされる(
図18(h)〜
図18(l)のステップなど)。
【0086】
チップは、シリコンアンダーエッチング技術を用いてウエハ(14)から取り出される。チップを備えたシリコンウエハ(14)は、シリコンへの異方性エッチャントとして機能するKOH溶液中に置かれる。シリコンウエハ(14)は、完全にエッチングされるまで溶液中に残り、その結果、チップは取り出され、溶液からフィルタ選別できる。プローブは、同じ技術を用いて取り出される。
【0087】
KOHはシリコンへの異方性エッチャントであるため、シリコンエッチングレートは結晶方位に依存する。プローブは、最速のエッチングレートを持つ結晶面に従って(45°回転)、ウエハ上に載り、シリコンエッチングレートはプローブ下方でより速く生ずるようになる。カンチレバーがアンダーエッチングされて直ぐにエッチングプロセスが停止した場合、プローブは、適所に留まるようになり、カンチレバーまたはダイヤモンドチップに損傷を与えることなく、容易に取り出し可能である。
【0088】
最後に、プローブは、剥ぎ取り手法を用いてウエハから手作業で取り出され、プローブは、一対の精密ピンセットを用いてウエハから文字どおりに剥ぎ取られる。
【0089】
ホルダーチップは、瞬間接着剤としてよく知られているように、標準のシアノアクリレート接着剤を用いてカンチレバー基板の上に接着される。接着剤は導電性ではないため、1滴の銀ペーストをプローブ後部に載せて、カンチレバー構造とホルダーチップとの間の電気コンタクトを形成する。
【0090】
図19に示すように、プローブ構成(6)は、一端にカンチレバー(8)を備えたカンチレバー基板上に接着された、肉眼で見えるホルダーチップ(9)を含む。鋭い(20)導電性のホウ素ドープダイヤモンドチップ(19)が、良好な電気コンタクトおよび反射ミラー(25)を確保するためのニッケルカンチレバー(8)の端部に装着される。好ましくは、反射ミラー(25)は、KMPRレジスト、永久ネガティブフォトレジストでマイクロ製作される。
【0091】
カンチレバー(8)、例えば、50μmと同じ幅で広がる異なるミラー長さが使用でき、カンチレバー幅を2倍、例えば、100μmにしてもよい。より長いミラー(25)は、入射レーザビーム(26,26’)を提供するレーザシステムの照準が容易になると予想できる。しかしながら、より長いミラー(25)は、より多くの重量をカンチレバーにもたらし、ウエハから取り出す際、プローブ損傷のリスクを増やす。
【0092】
標準のミラーは、
図20(b)に示すように、入射レーザビームを入射角の2倍で反射する平坦な表面からなる。残念ながら、ミラー(25)を備えたプローブ構成(6)は、プローブホルダーに対して完全に垂直に整列していないことがあり、そのため入射角が変化する。その結果、反射角が相応に変化して、反射レーザビームが、反射レーザビーム(27,27’)を検出する検出器の範囲から外れてしまう。これは、レーザビームが反射する方向(27,27’)は、レーザシステムに対するミラープローブ(25)の整列ずれに対して極めて敏感であることを意味する。
【0093】
より良好な解決法は、
図20(a)に示すように、いわゆるコーナーミラーであり、入射レーザビーム(26,26’)は、所定の相対角で位置決めされた2つの表面で反射される。入射レーザビーム(26,26’)と反射レーザビーム(27,27’)の間の角度は、どのような入射角であっても、ここでは設計によって予め規定している。
図20(b)に示す平面ミラーと同様に、コーナーミラーの2つの反射側面は、カンチレバー(8)の表面(12)に対して垂直であり、カンチレバーの長手方向xに向けてある角度にある。コーナーミラーの2つの側面は、90°より大きい角度αにある。
【0094】
このミラー構成により、反射レーザビーム(27)を検出する検出器システムに対する入射レーザビーム(26)を提供するレーザシステムの整列誤差に対して敏感でない、はるかにより頑丈な設計が得られる。上述のように、レーザシステムおよび検出器システムは、プレーナ型プローブチップ(19)から長手方向xに沿って遠くに、好ましくは、プローブチップ(19)とは反対側の位置で、例えば、ホルダーチップ(9)の上または後方に位置決めされる。
【0095】
図20(a)は、コーナーミラーの概略図を示す。両ミラー間の角度が107.5°(即ち、90°より大きく、90°+17.5°)であるため、本実施形態では、どのような入射角であっても、反射レーザビーム(27,27’)は、入射レーザビーム(26,26’)とともに35°の角度を形成することになる。