(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年の半導体技術の発展に伴い、半導体素子を高密度に集積することが可能となった。これに伴い、半導体素子の単位面積あたりの消費電力が増加し、動作時の半導体の温度が上昇してきている。また、半導体素子の大型化により、温度が上昇する半導体素子の領域が不均一になってきている。ここで、温度が上昇する領域が不均一であるとは、例えば、半導体素子の中心部では温度上昇が大きく、半導体素子の周辺では温度上昇が小さい場合である。
【0003】
半導体素子の温度は、素子特性や信頼性に大きな影響を及ぼすため、正確に測定する必要がある。特許文献1、特許文献2には半導体素子の近傍に半導体素子とは別にショットキダイオードを形成し、温度のモニタを行なう技術が開示されている。
【0004】
図11は特許文献1に開示されている半導体素子を示す図である。
図11に示す半導体素子のうち、領域110にはショットキダイオードが形成され、領域120にはHEMT(高電子移動度電界効果トランジスタ)素子が形成されている。半導体素子は、半絶縁性GaAs基板101上に、ノンドープのGaAs層102、Siをドープしたn型AlGaAs層103、Siをドープしたn型GaAs104が積層されている。そして、GaAs層102とAlGaAs層103とのヘテロ接合界面近傍に2次元電子ガス102eが形成されている。
【0005】
図11に示す半導体素子は、素子間分離領域105により分離されている。素子間分離領域は酸素イオンを注入することで形成されている。また、ショットキダイオードのオーミックコンタクト電極115とHEMT素子のソース、ドレイン電極125は、n型GaAs層104上に、金ゲルマニウム/金(AuGe/Au)を用いて形成されている。そして、熱処理を行うことで2次元電子ガス102eに達する合金化領域115A、125Aをそれぞれ形成している。
【0006】
更に、ショットキダイオードのショットキ電極116とHEMT素子のゲート電極126は、Alを用いて形成されている。つまり、領域110には、ショットキ電極116、n型AlGaAs層103、2次元電子ガス102e、合金化領域115A、オーミックコンタクト電極115からなるショットキダイオードが形成されている。また、領域120にはHEMT素子が形成されている。
【0007】
そして、
図11に示す特許文献1にかかる半導体素子では、領域110に形成されたショットキダイオードの電圧−電流特性と温度との関係を用いて、半導体素子の温度を検知している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態1.
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は実施の形態1にかかる電界効果トランジスタを説明するための図である。
図1において、半導体アクティブ層(半導体層)5上には、通常の電界効果トランジスタとして動作させるのに必要なソース電極1、ドレイン電極2、ゲート電極3が配置されている。そして、本実施の形態にかかる電界効果トランジスタのソース電極1の一部には、当該ソース電極1の一部を取り除くことで空隙が形成されている。ソース電極1の一部に形成された空隙には、ソース電極と直接接続しない状態でショットキ電極4が配置されている。
【0018】
半導体アクティブ層5としては、例えばSiCなどの半導体基板上に、緩衝層、GaN層、AlGaN層がエピタキシャル成長されたものを用いることができる。また、半導体アクティブ層5のうち電界効果トランジスタとして動作する領域の外をイオン注入(例えば、10
14cm
−2のホウ素イオン(B+)を120keVで注入)等により絶縁化してもよい。また、半導体アクティブ層5のうちのソース領域には、当該ソース領域とオーミック接合可能なソース電極1を形成する。また、半導体アクティブ層5のうちのドレイン領域には、当該ドレイン領域とオーミック接合可能なドレイン電極2を形成する。ソース電極1、ドレイン電極2には、例えばTi/Alを用いることができる。また、ソース電極1、ドレイン電極2を形成する際は、蒸着、リフトオフ、アロイ処理を用いることができる。
【0019】
また、半導体アクティブ層5のうちのチャネル領域(ソース電極1とドレイン電極2の間)には、当該チャネル領域とショットキ接合可能なゲート電極3を形成する。また、半導体アクティブ層5のソース領域のうち、ソース電極が形成されない領域(つまり、ソース電極1の一部に形成された空隙)に、半導体アクティブ層5のソース領域とショットキ接合可能なショットキ電極4を形成する。ゲート電極3、ショットキ電極4を形成する際も、蒸着、リフトオフ、アロイ処理を用いることができる。
【0020】
このとき、ソース電極1、ドレイン電極2、ゲート電極3、半導体アクティブ層5は電界効果トランジスタとして機能する。本実施の形態にかかる電界効果トランジスタは、いわゆるMESFET(Metal-Semiconductor Field Effect Transistor)である。
また、ソース電極1、半導体アクティブ層5、ショットキ電極4はショットキダイオードとして機能する。
【0021】
次に、本実施の形態にかかる電界効果トランジスタの温度測定について説明する。まず、電界効果トランジスタが動作していない状態で、本実施の形態にかかる電界効果トランジスタとは別に設けられたヒータなどを用いて、ショットキダイオードの電極であるソース電極1とショットキ電極4の間のショットキ順方向特性の温度依存性のデータを取得する。つまり、ショットキダイオードの順方向の電流Iの対数と電圧Vは直線性を示し、この直線の勾配は温度により決定される。従って、各温度に対するショットキダイオードの順方向の電流I−電圧V特性(直線の勾配)を求めることで、ショットキダイオードを用いて温度を測定することができる。
【0022】
電界効果トランジスタが動作しているときの温度を測定する場合は、ショットキ電極4の電位を、トランジスタの動作時のソース電位よりも少しプラス(例えば、0.5V)に設定し、ショットキ電極4に流れる順方向の電流を測定する。そして、予め求めた前述の電界効果トランジスタがオフの時のショットキ電極の順方向電流と温度との関係を用いることで、測定した電流値から電界効果トランジスタの温度を求めることができる。
【0023】
本実施の形態にかかる電界効果トランジスタを用いて温度をモニタし、当該モニタ結果に基づき電界効果トランジスタの動作状態の変化や外部環境の変化を検出することができる。そして、この検出結果を用いて冷却機構の制御(例えば、空冷ファンの回転数など)を最適化することで、冷却に必要な消費電力を低減することができる。また、当該検出結果を用いて、電界効果トランジスタのゲート電圧やドレイン電圧を制御することで、電界効果トランジスタの特性が温度によって変化することを抑制することができる。
【0024】
本実施の形態にかかる電界効果トランジスタでは、電界効果トランジスタを構成するソース電極1が形成される領域の一部にショットキ電極4を形成し、電界効果トランジスタのソース領域にショットキダイオードを形成している。これにより、電界効果トランジスタの温度を背景技術にかかる半導体素子の場合よりも近くで測定することができるので、電界効果トランジスタの温度をより正確に測定することができる。
【0025】
また、本実施の形態にかかる電界効果トランジスタでは、温度をより正確に測定することができるので、測定した温度を用いた電界効果トランジスタの冷却状態の制御や温度補償を精度よくすることができる。
【0026】
図2は、本実施の形態にかかる電界効果トランジスタが複数形成された場合を示す図である。
図1で説明した電界効果トランジスタと同様に、
図2にかかる電界効果トランジスタは、半導体アクティブ層5上に、通常の電界効果トランジスタとして動作させるのに必要なソース電極1、ドレイン電極2、ゲート電極3が周期的に配置されている。また、中央部と外側の電界効果トランジスタのソース電極1の一部が取り除かれ、ソース電極と直接接続しない状態でショットキ電極4a、4bが配置されている。
【0027】
また、
図2では温度測定用のショットキダイオードを有する電界効果トランジスタと、温度測定用のショットキダイオードを有さない電界効果トランジスタが混在している構成となっている。そして、ショットキダイオードを有する電界効果トランジスタの割合は、電界効果トランジスタの用途等に応じて任意に設定することができる。
【0028】
図3は、本実施の形態にかかる電界効果トランジスタが複数形成された素子(マルチフィンガー構造を有する電界効果トランジスタ)の上面図である。つまり、
図3は
図2にかかる電界効果トランジスタの上面図である。
図3にかかる電界効果トランジスタも同様に、半導体アクティブ層5上に、通常の電界効果トランジスタとして動作させるのに必要なソース電極1、ドレイン電極2、ゲート電極3が配置されている。また、電界効果トランジスタのソース電極1の一部が取り除かれ、ソース電極と直接接続しない状態でショットキ電極4a、4bが配置されている。
【0029】
図3に示すように、各電極は紙面上下方向に短冊状に配列されている。しかし、各電極の形状は電界効果トランジスタの用途等に応じて任意に決定することができる。また、
図3に示す電界効果トランジスタのショットキ電極4a、4bは、それぞれ引き出し配線6と接続されている。この引き出し配線6はショットキ電極用のパッド(不図示)と接続されており、パッドを介して外部の測定回路等と接続されている。
【0030】
図2、
図3に示す構成の電界効果トランジスタの温度測定をする場合も、ショットキ電極4a、4bの順方向の電流特性の温度依存性を、電界効果トランジスタがオフの状態のときに測定しておく。そしてその結果と、電界効果トランジスタが動作している時のショットキ電極4a、4bの順方向の電流値を比較することで、電界効果トランジスタの動作時の温度を測定することができる。
図2、
図3に示す構成の電界効果トランジスタでは、ショットキ電極4aと4bを有するショットキダイオードが、電界効果トランジスタが複数形成されたデバイス7の内の異なる場所に形成されているため、デバイス7の異なる場所の温度をモニタすることができる。このように、温度測定用のショットキダイオードをデバイス7の温度をモニタしたい部分(例えば、温度が上がりやすい部分など)に形成することで、デバイス7の温度を精度よく測定することができる。
【0031】
次に、本実施の形態にかかる電界効果トランジスタの製造方法について
図9を用いて説明する。
本実施の形態にかかる電界効果トランジスタの製造方法は、次の工程を有する。
基板10上に半導体層5を形成する第1の工程(
図9(a))。
半導体層5上に、当該半導体層5とオーミック接合したドレイン電極2と、当該半導体層5とオーミック接合すると共に、一部に空隙が設けられたソース電極1と、を形成する第2の工程(
図9(b))。
半導体層5上のソース電極1とドレイン電極2の間に当該半導体層5とショットキ接合したゲート電極3を形成すると共に、ソース電極1の一部に形成された空隙に当該半導体層5とショットキ接合したショットキ電極4を形成する第3の工程(
図9(c))。
【0032】
ここで、本実施の形態にかかる電界効果トランジスタのソース電極、ドレイン電極、ゲート電極は、
図3に示すようなマルチフィンガー構造となるように形成してもよく、ショットキ電極の両側にソース電極が配置されてもよい。
【0033】
本実施の形態にかかる電界効果トランジスタの製造方法を用いることにより、電界効果トランジスタの製造工程を増やすことなく、ショットキダイオードを有する電界効果トランジスタを製造することができる。
【0034】
つまり、電界効果トランジスタの温度を測定するために抵抗体を用いる場合、本来、半導体素子には必要ではない金属を新たに導入しなければならないため、製造工程が増加する。また、PN接合を用いる場合も、PN接合を作製するために製造工程が増加する。しかし、本実施の形態にかかる電界効果トランジスタの製造方法では、ゲート電極を形成する第3の工程において、同時にショットキ電極を形成しているので、製造工程を増加させることなくショットキダイオードを有する電界効果トランジスタを製造することができる。
【0035】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2にかかる電界効果トランジスタについて、
図4乃至6を用いて説明する。実施の形態1では、ショットキ電極が電界効果トランジスタのソース電極の一部に形成された空隙に形成されていたが、実施の形態2にかかる電界効果トランジスタでは、当該ショットキ電極がドレイン電極の一部に形成された空隙に形成されている。
【0036】
図4は実施の形態2にかかる電界効果トランジスタを説明するための図である。
図4において、半導体アクティブ層5上には、通常の電界効果トランジスタとして動作させるのに必要なソース電極1、ドレイン電極2、ゲート電極3が配置されている。そして、本実施の形態にかかる電界効果トランジスタのドレイン電極2の一部には、当該ドレイン電極2の一部を取り除くことで空隙が形成されている。ドレイン電極2の一部に形成された空隙には、ドレイン電極と直接接続しない状態でショットキ電極4が配置されている。
【0037】
半導体アクティブ層5としては、例えばSiCなどの半導体基板上に、緩衝層、GaN層、AlGaN層がエピタキシャル成長されたものを用いることができる。また、半導体アクティブ層5のうち電界効果トランジスタとして動作する領域の外をイオン注入(例えば、10
14cm
−2のホウ素イオン(B+)を120keVで注入)等により絶縁化してもよい。また、半導体アクティブ層5のうちのソース領域には、当該ソース領域とオーミック接合可能なソース電極1を形成する。また、半導体アクティブ層5のうちのドレイン領域には、当該ドレイン領域とオーミック接合可能なドレイン電極2を形成する。ソース電極1、ドレイン電極2には、例えばTi/Alを用いることができる。また、ソース電極1、ドレイン電極2を形成する際は、蒸着、リフトオフ、アロイ処理を用いることができる。
【0038】
また、半導体アクティブ層5のうちのチャネル領域には、当該チャネル領域とショットキ接合可能なゲート電極3を形成する。また、半導体アクティブ層5のドレイン領域のうち、ドレイン電極が形成されない領域(つまり、ドレイン電極2の一部に形成された空隙)に、半導体アクティブ層5のドレイン領域とショットキ接合可能なショットキ電極4を形成する。ゲート電極3、ショットキ電極4を形成する際も、蒸着、リフトオフ、アロイ処理を用いることができる。
【0039】
このとき、ソース電極1、ドレイン電極2、ゲート電極3、半導体アクティブ層5は電界効果トランジスタとして機能する。本実施の形態にかかる電界効果トランジスタは、いわゆるMESFET(Metal-Semiconductor Field Effect Transistor)である。
また、ドレイン電極2、半導体アクティブ層5、ショットキ電極4はショットキダイオードとして機能する。
【0040】
次に、本実施の形態にかかる電界効果トランジスタの温度測定について説明する。まず、電界効果トランジスタが動作していない状態で、本実施の形態にかかる電界効果トランジスタとは別に設けられたヒータなどを用いて、ショットキダイオードの電極であるドレイン電極2とショットキ電極4の間のショットキ順方向特性の温度依存性のデータを取得する。つまり、ショットキダイオードの順方向電流Iの対数と電圧Vは直線性を示し、この直線の勾配は温度により決定される。従って、各温度に対するショットキダイオードの順方向の電流I−電圧V特性(直線の勾配)を求めることで、ショットキダイオードを用いて温度を測定することができる。
【0041】
電界効果トランジスタが動作しているときの温度を測定する場合は、ショットキ電極4の電位を、トランジスタの動作時のドレイン電位よりも少しプラス(例えば、0.5V)に設定し、ショットキ電極4に流れる順方向の電流を測定する。そして、予め求めた前述の電界効果トランジスタがオフの時のショットキ電極の順方向電流と温度との関係を用いることで、測定した電流値から電界効果トランジスタの温度を求めることができる。
【0042】
本実施の形態にかかる電界効果トランジスタでは、電界効果トランジスタを構成するドレイン電極2が形成される領域の一部にショットキ電極4を形成し、電界効果トランジスタのドレイン領域にショットキダイオードを形成している。これにより、電界効果トランジスタの温度を背景技術にかかる半導体素子の場合よりも近くで測定することができるので、電界効果トランジスタの温度をより正確に測定することができる。
【0043】
また、本実施の形態にかかる電界効果トランジスタでは、温度をより正確に測定することができるので、測定した温度を用いた電界効果トランジスタの冷却状態の制御や温度補償を精度よくすることができる。
【0044】
図5は、本実施の形態にかかる電界効果トランジスタが複数形成された場合を示す図である。
図4で説明した電界効果トランジスタと同様に、
図5にかかる電界効果トランジスタは、半導体アクティブ層5上に、通常の電界効果トランジスタとして動作させるのに必要なソース電極1、ドレイン電極2、ゲート電極3が周期的に配置されている。また、中央部と外側の電界効果トランジスタのドレイン電極2の一部が取り除かれ、ドレイン電極と直接接続しない状態でショットキ電極4a、4bが配置されている。
【0045】
また、
図5では温度測定用のショットキダイオードを有する電界効果トランジスタと、温度測定用のショットキダイオードを有さない電界効果トランジスタが混在している構成となっている。そして、ショットキダイオードを有する電界効果トランジスタの割合は、電界効果トランジスタの用途等に応じて任意に設定することができる。
【0046】
図6は、本実施の形態にかかる電界効果トランジスタが複数形成された素子(マルチフィンガー構造を有する電界効果トランジスタ)の上面図である。つまり、
図6は
図5にかかる電界効果トランジスタの上面図である。
図6にかかる電界効果トランジスタも同様に、半導体アクティブ層5上に、通常の電界効果トランジスタとして動作させるのに必要なソース電極1、ドレイン電極2、ゲート電極3が配置されている。また、電界効果トランジスタのドレイン電極2の一部が取り除かれ、ドレイン電極と直接接続しない状態でショットキ電極4a、4bが配置されている。
【0047】
図6に示すように、各電極は紙面上下方向に短冊状に配列されている。しかし、各電極の形状は電界効果トランジスタの用途等に応じて任意に決定することができる。また、
図6に示す電界効果トランジスタのショットキ電極4a、4bは、それぞれ引き出し配線6と接続されている。この引き出し配線6はショットキ電極用のパッド(不図示)と接続されており、パッドを介して外部の測定機器等と接続されている。
【0048】
図5、
図6に示す構成の電界効果トランジスタの温度測定をする場合も、ショットキ電極4a、4bの順方向の電流特性の温度依存性を、電界効果トランジスタがオフの状態のときに測定しておく。そしてその結果と、電界効果トランジスタが動作している時のショットキ電極4a、4bの順方向の電流値を比較することで、電界効果トランジスタの動作時の温度を測定することができる。
図5、
図6に示す構成の電界効果トランジスタでは、ショットキ電極4aと4bを有するショットキダイオードが、電界効果トランジスタが複数形成されたデバイス7の内の異なる場所に形成されているため、デバイス7の異なる場所の温度をモニタすることができる。このように、温度測定用のショットキダイオードをデバイス7の温度をモニタしたい部分(例えば、温度が上がりやすい部分など)に形成することで、デバイス7の温度を精度よく測定することができる。
【0049】
次に、本実施の形態にかかる電界効果トランジスタの製造方法について
図10を用いて説明する。
本実施の形態にかかる電界効果トランジスタの製造方法は、次の工程を有する。
基板10上に半導体層5を形成する第1の工程(
図10(a))。
半導体層5上に、当該半導体層5とオーミック接合したソース電極1と、当該半導体層5とオーミック接合すると共に、一部に空隙が設けられたドレイン電極2と、を形成する第2の工程(
図10(b))。
半導体層5上のソース電極1とドレイン電極2の間に当該半導体層5とショットキ接合したゲート電極3を形成すると共に、ドレイン電極2の一部に形成された空隙に当該半導体層5とショットキ接合したショットキ電極4を形成する第3の工程(
図10(c))。
【0050】
ここで、本実施の形態にかかる電界効果トランジスタのソース電極、ドレイン電極、ゲート電極は、
図6に示すようなマルチフィンガー構造となるように形成してもよく、ショットキ電極の両側にドレイン電極が配置されてもよい。
【0051】
本実施の形態にかかる電界効果トランジスタの製造方法を用いることにより、電界効果トランジスタの製造工程を増やすことなく、ショットキダイオードを有する電界効果トランジスタを製造することができる。
【0052】
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3にかかる電界効果トランジスタについて、
図7を用いて説明する。実施の形態1では、ショットキ電極が電界効果トランジスタのソース電極と平行するように(アクティブ領域を縦断するように)形成されていたが、実施の形態3にかかる電界効果トランジスタでは、ソース電極の一部をくり貫くことで形成された穴に当該ショットキ電極を形成している。つまり、
図7に示すように本実施の形態にかかる電界効果トランジスタのショットキ電極は、ソース電極に四方が取り囲まれるように配置されている。
【0053】
図7は、本実施の形態にかかる電界効果トランジスタの上面図である。
図7において、半導体アクティブ層5上には、通常の電界効果トランジスタとして動作させるのに必要なソース電極1、ドレイン電極2、ゲート電極3が配置されている。そして、本実施の形態にかかる電界効果トランジスタではソース電極1の一部が取り除かれ(くり貫かれ)、ソース電極と直接接続しない状態でショットキ電極4が配置されている。また、ショットキ電極4には引き出し配線6が接続されている。このとき、
図7のA−A'における断面の構造は、
図1のようになっている。電界効果トランジスタの詳細な構成やショットキダイオードを用いた温度測定方法等は実施の形態1の場合と同様であるので説明を省略する。
【0054】
尚、本実施の形態ではソース電極1の一部にショットキ電極4が形成された場合について説明したが、例えば
図8に示すように、ドレイン電極2の一部にショットキ電極4が形成されていてもよい。ドレイン電極2の一部にショットキ電極4を形成する場合については、実施の形態2で説明したので説明を省略する。尚、
図8のB−B'における断面の構造は、
図4のようになっている。
【0055】
本実施の形態にかかる電界効果トランジスタのように、ソース電極の一部に局所的にショットキ電極を設けることで、より微小な領域の温度を正確に測定することができる。また、ソース電極の長手方向に複数のショットキ電極を設けることで、ソース電極の長手方向における温度のばらつきを測定することができる。
【0056】
実施例1.
次に、本発明の実施例1について、
図1を用いて説明する。本実施例では、半導体基板としてSiC(炭化珪素)を用い、次のように半導体アクティブ層5を形成した。まず、SiC基板上に、緩衝層、GaN層、AlGaN層をMOCVD法(有機金属気相成長法)により形成した。次に、10
14cm
−2のホウ素イオン(B
+)を120eVでイオン注入し、電界効果トランジスタとして動作する領域の外を絶縁化した。次に、ソース電極1およびドレイン電極2を、電極間距離30μm、電極材料としてTi/Alを用いて形成した。電極を形成する際には、蒸着、リフトオフ、アロイ処理を用いた。このとき、ソース電極1の一部に、ゲート幅方向に電極金属を形成しない領域(空隙)を残しておく。次に、ソース・ドレイン電極間と、ソース電極を形成しなかった領域に、それぞれ、ゲート電極3、ショットキ電極4を形成した。電極には、Ni/Auを用い、電極を形成する際には、蒸着、リフトオフ、アロイ処理を用いた。
【0057】
次に、上記手法で作製した、ショットキダイオードを有する電界効果トランジスタの温度を下記のようにして測定した。
まず、電界効果トランジスタが動作していない状態で、電界効果トランジスタとは別に設けられたヒータなどを用いて、ショットキダイオードの電極であるドレイン電極2とショットキ電極4の間のショットキ順方向特性の温度依存性のデータを取得した。次に、電界効果トランジスタを通常の動作状態、つまり、ソースを接地し、ドレイン間電圧を50Vとし、単位ゲート幅あたりのドレイン電流を200mA/mmとして動作させた場合の温度をモニタした。
【0058】
温度をモニタする際、ショットキ電極4の電位を0.5Vに設定し、ショットキ電極4に流れる順方向の電流を測定した。そして、予め求めた前述のショットキ電極の順方向電流と温度との関係を用いて、測定した電流値から電界効果トランジスタの温度を求めると、電界効果トランジスタの温度は200℃であった。
【0059】
一方、上記測定結果と比較するために、電界効果トランジスタのアクティブ領域外に設けた抵抗体を用いて温度をモニタすると、170℃であった。つまり、本発明にかかる電界効果トランジスタを用いて測定した温度と比較すると30℃の差が生じていた。
【0060】
また、3次元の温度シミュレーションではアクティブ領域の温度は205℃であり、また、赤外線表面温度計を用いた温度計測では208℃であった。よって、本発明にかかる電界効果トランジスタを用いると、精度よく電界効果トランジスタの温度を測定することができる。
【0061】
以上、本発明を上記実施形態に即して説明したが、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得るであろう各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。