(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5889547
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】金属接合体
(51)【国際特許分類】
B21D 39/03 20060101AFI20160308BHJP
【FI】
B21D39/03 B
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-111677(P2011-111677)
(22)【出願日】2011年5月18日
(65)【公開番号】特開2012-240079(P2012-240079A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2014年4月17日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(72)【発明者】
【氏名】村上 和宏
(72)【発明者】
【氏名】石澤 孝洋
(72)【発明者】
【氏名】久保田 満治
(72)【発明者】
【氏名】林 彰大
【審査官】
水野 治彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−321856(JP,A)
【文献】
実開平06−067961(JP,U)
【文献】
米国特許第02924312(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 39/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の金属板同士が接合された金属接合体において、
前記2以上の金属板上に互いに間隔を空けて並べられた一対の第1切断線であって、当該並び方向に沿って延在する一対の第1切断線と、
前記一対の第1切断線各々に対して前記並び方向と直交する方向に相対するように並べられ、当該並び方向に沿って延在する一対の第2切断線と、
前記一対の第1切断線における一対をなす2つの切断線の互いに近づく方向の端部から前記第2切断線に対して離れる方向に延在する一対の第3切断線と、
前記一対の第2切断線における一対をなす2つの切断線の互いに近づく方向の端部から前記第1切断線に対して離れる方向に延在する一対の第4切断線と、
前記第1〜第4切断線に囲まれた部分の凹んだ中央かしめ部と、
前記第1〜第4切断線の切断面に設けられた金属接合部と、
を備え、
前記2以上の金属板において前記一対の第3切断線に挟まれて当該金属板の平面から前記中央かしめ部まで一体に繋がる素片部と、前記一対の第4切断線に挟まれて当該金属板の平面から前記中央かしめ部まで一体に繋がる素片部とは、前記中央かしめ部の中心に向かうに従って深くなるテーパ状になっており、
前記一対の第1切断線と前記一対の第2切断線とに挟まれて前記金属板の平面から前記中央かしめ部まで一体に繋がる素片部は、前記金属板の平面に対して垂直になっている
ことを特徴とする金属接合体。
【請求項2】
前記一対の第3切断線間の幅と前記一対の第4切断線間の幅とは、前記第1切断線及び前記第2切断線から離れるに従って狭くなるように設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の金属接合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属接合体に係り、特に、2つ以上の金属板同士が接合された金属接合体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属板同士を接合する方法としては、前記金属板同士を加締めて圧着させる方法が知られている。しかしながら、前記圧着による接合は、加締めによる残留応力及び接触に頼っているため電気的特性が十分ではない。また、前記金属板同士の接触部には、隙間が多く、腐食などの観点から長期的な電気的特性の確保が難しい、という問題があった。また、電気的特性を確保するために、例えば、ガス、プラズマなどで金属板を溶かして当該金属板同士を溶接することも考えられるが、自動化することが難しく、大量生産に向いておらず、コスト的に問題があった。
【0003】
そこで、前述した問題を解決するために、特許文献1には、金属板同士を接合する方法として、
図7、
図8に示すように、2つの金属板110、111を重ねた状態で、折り曲げ線L11の端部から該折り曲げ線L11から離れた側を通って該折り曲げ線L11の他端まで延在する切断線L12に沿って2つの金属板110、111を切断して、該2つの金属板110、111の切断線L12及び折り曲げ線L11に囲まれた部分を、前記折り曲げ線L11に沿って折り曲げるようにプレス(押圧)することにより、前記金属板110、111同士を接合する方法が提案されている。
【0004】
この方法によって、2つの金属板110、111の切断線L12及び折り曲げ線L11に囲まれた部分は、その切断線L12内側の切断面が切断線L12外側の切断面に擦られながら押し込まれる。このため摩擦により、切断面の酸化皮膜が除去され新生面が露出して切断線L12の内側と外側との切断面が凝着することにより、金属接合部が得られる。この金属接合部を有した金属接合体101には、切断線L12及び折り曲げ線L11に囲まれた部分をプレス(押圧)することにより押圧方向(即ち、矢印Z)に突出した突出部113が一対設けられている。前記突出部113は、上面視が台形状に形成されており、この台形状に形成された一対の突出部113の短辺(即ち、折り曲げ線L11)同士が互いに相対する位置に互いに間隔をあけて配置されている。
【0005】
また、2つの金属板110、111をプレス(押圧)する際に用いられる金型には、先端部に向かうにしたがって徐々に先細に形成されたプレス治具が、一対設けられている。これら一対のプレス治具は、台形状に形成された一対の前記突出部113それぞれを形成する位置に互いに間隔をあけて設けられている。
【0006】
特許文献1に記載された金属接合体は、金属接合部を設けることにより良好な電気的特性を得ることができた。しかしながら、特許文献1に記載された金属接合体について落下衝撃試験を行ったところ、その接合がはずれることや、電気的特性の悪化が見られた。即ち、特許文献1に記載された金属接合体では、良好な電気的特性を得ることができるが、機械的接合強度が不足している、という問題があった。
【0007】
また、特許文献2には、金属板同士を接合する方法として、
図9に示すように、2枚の金属板110、111を重ねた状態で、局部的に円形状に陥没するように塑性変形させることによってかしめ接合部114を形成した金属接合体が提案されている。かしめ接合部114では、金属板110の一部を金属板111側に嵌合されている。しかしながら、特許文献2に記載された金属接合体は、機械的強度は強くてもかしめによる接合のため電気的な特性が良くない、という問題があった。また、特許文献2に記載された金属接合体は、回転する力が加わるとその接合が容易に外れてしまう、という問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−66616号公報
【特許文献2】特開2010−279961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、電気的特性及び機械的強度の両者の向上を図った金属接合体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するための請求項1記載の発明は、2以上の金属板同士が接合された金属接合体において、前記2以上の金属板上に互いに間隔を空けて並べられた一対の第1切断線であって、当該並び方向に沿って延在する一対の第1切断線と、前記一対の第1切断線各々に対して前記並び方向と直交する方向に相対するように並べられ、当該並び方向に沿って延在する一対の第2切断線と、前記一対の第1切断線
における一対をなす2つの切断線の互いに近づく方向の端部から前記第2切断線に対して離れる方向に延在する一対の第3切断線と、前記一対の第2切断線
における一対をなす2つの切断線の互いに近づく方向の端部から前記第1切断線に対して離れる方向に延在する一対の第4切断線と、
前記第1〜第4切断線に囲まれた部分
の凹んだ中央かしめ部と、前記第1〜第4切断線の切断面に設けられた金属接合部と、
を備え、前記2以上の金属板において前記一対の第3切断線に挟まれ
て当該金属板の平面から前記中央かしめ部まで一体に繋がる素片部と、前記一対の第4切断線に挟まれ
て当該金属板の平面から前記中央かしめ部まで一体に繋がる素片部とは、前記中央かしめ部の中心に向かうに従って深くなるテーパ状に
なっており、前記一対の第1切断線と前記一対の第2切断線とに挟まれ
て前記金属板の平面から前記中央かしめ部まで一体に繋がる素片部は、前記金属板の平面に対して垂直に
なっていることを特徴とする金属接合体に存する。
【0013】
請求項
2記載の発明は、前記一対の第3切断線間の幅と前記一対の第4切断線間の幅とは、前記第1切断線及び前記第2切断線から離れるに従って狭くなるように設けられていることを特徴とする請求項
1に記載の金属接合体に存する。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、機械的強度を確保するための中央かしめ部と、電気的特性を良好にするための金属接合部と、を設けることにより、電気的特性及び機械的強度の両者の向上を図ることができる。また、プレス圧縮のみで接合を完結できるため、特別な溶接手法を用いるよりも簡便、かつ低コストで実現できる。
【0015】
また、2以上の金属板において一対の第3切断線に挟まれた
素片部と一対の第4切断線に挟まれた
素片部とを、中央かしめ部の中心に向かうに従って深くなるテーパ状に設けることにより、金属接合部の面積を大きくすることができ、より一層電気的特性の向上を図ることができる。
【0016】
また、2以上の金属板において一対の第1切断線と一対の第2切断線とに挟まれた
素片部を、金属板の平面に対して垂直に設けることにより、より一層機械的強度の向上を図ることができる。
【0017】
請求項
2記載の発明によれば、一対の第3切断線間の幅と一対の第4切断線間の幅とは、第1切断線及び第2切断線から離れるに従って狭くなるように設けられているので、より一層、電気的特性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】
図1に示す金属接合体のI−I線断面図である。
【
図4】
図1に示す金属接合体のII−II線断面図である。
【
図5】
図1に示す金属接合体のIII−III線断面図である。
【
図6】
図1〜5に示す金属接合体を製造する金属接合装置の斜視図である。
【
図7】従来の金属接合体の一例を示す斜視図である。
【
図9】従来の金属接合体の一例を示す断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の金属接合体を
図1乃至
図5に基づいて説明する。
図1は、本発明の金属接合体の斜視図である。
図2は、
図1に示す金属接合体の上面図である。
図3は、
図1に示す金属接合体のI−I線断面図である。
図4は、
図1に示す金属接合体のII−II線断面図である。
図5は、
図1に示す金属接合体のIII−III線断面図である。
【0020】
同図に示すように金属接合体1は、例えば互いに同じ金属によって構成され、かつ、互いに同じ板厚に形成された2つの金属板10、11を備えている。
図1及び
図2に示すように、これら金属板10、11には、一対の第1切断線L1と、一対の第2切断線L2と、一対の第3切断線L3と、一対の第4切断線L4とが設けられている。
【0021】
上記一対の第1切断線L1は、金属板10、11上に互いに間隔を空けて並べられると共に、その並び方向Y1に沿って延在している。上記一対の第2切断線L2は、一対の第1切断線L1各々に対して直交方向Y2に相対するように並べられている。直交方向Y2は、並び方向Y1と直交する方向である。また、一対の第2切断線L2も、並び方向Y1に沿って延在している。本実施形態では、第1切断線L1及び第2切断線L2は、互いに平行に設けられている。
【0022】
上記一対の第3切断線L3は、一対の第1切断線L1
における一対をなす2つの切断線の互いに近づく方向の端部
Pから第2切断線L2に対して離れる方向に延在している。一対の第3切断線L3間の幅は、第1切断線L1から離れるに従って狭くなるように設けられている。上記一対の第4切断線L4は、一対の第2切断線L2
における一対をなす2つの切断線の互いに近づく方向の端部
Qから第1切断線L1に対して離れる方向に延在している。一対の第4切断線L4の幅は、第2切断線L2から離れるに従って狭くなるように設けられている。
なお、図2のように、一対の第1切断線L1と、一対の第2切断線L2とは、それぞれが、一対をなす2つの切断線が直線上に延在して配置されている。また、一対の第3切断線L3と、一対の第4切断線L4とは、それぞれが、一対をなす2つの切断線はハの字状に互いに対向している。
【0023】
また、金属接合体1には、中央かしめ部2と、金属接合部3と、が設けられている。上記中央かしめ部2は、金属板10、11を重ねた状態で、上記第1〜第4切断線L1〜L4に沿って金属板10、11を切断しつつ、これら第1〜第4切断線L1〜L4に囲まれた中央部を押圧して凹ませることにより形成されている。この中央かしめ部2では、金属板10、11が塑性変形し、金属板10の一部が金属板11側に嵌合されている。
【0024】
このとき、
図1及び
図2に示すように、第1切断線L1及び第2切断線L2において第3切断線L3及び第4切断線L4から離れた側の端部同士を結ぶ線が折り曲げ線L5となり、第1切断線L1及び第2切断線L2において第3切断線L3及び第4切断線L4側の端部同士を結ぶ線が折り曲げ線L6(
図1)となる。そして、これら折り曲げ線L5及びL6は、金属板10、11において一対の第1切断線L1と一対の第2切断線L2とに挟まれた
素片部Aが、
図4に示すように、金属板10、11の平面に対して垂直になるように折り曲げられている。
【0025】
また、
図1及び
図2に示すように、一対の第3切断線L3の第1切断線L1から離れた側の端部同士、一対の第4切断線L4の第2切断線L2から離れた側の端部同士、をそれぞれ結ぶ線が折り曲げ線L7となり、一対の第3切断線L3の第1切断線L1側の端部同士、一対の第4切断線L4の第2切断線L2側の端部同士、をそれぞれ結ぶ線が折り曲げ線L8となる。そして、これら折り曲げ線L7及びL8は、金属板10、11において一対の第3切断線L3に挟まれた
素片部Bと一対の第4切断線L4に挟まれた
素片部Bとが、
図3に示すように、中央かしめ部2の中心に向かうに従って深くなるテーパ状になるように折り曲げられている。
【0026】
また、第1〜第4切断線L1〜L4に囲まれた中央部を押圧する際に、
図5に示すように、一対の第3切断線L3内側の切断面が、一対の第3切断線L3外側の切断面に擦られる。よって、摩擦により一対の第3切断線L3の切断面の酸化被膜が除去されて新生面が露出して、
図5に示すように、第3切断線L3内側の切断面と第3切断線L3外側に切断面とが凝着して、金属接合部3が得られる。同様に、一対の第4切断線L4の切断面にも金属接合部3が得られる。
【0027】
さらに、同様に、第1、第2切断線L1、L2の切断面にも金属接合部3は部分的に得られる。
【0028】
次に、本発明者らは、
図1に示す本発明品、
図7に示す従来品、
図9に示す従来品をそれぞれ作製して、落下衝撃試験を行って、本発明の効果を確認した。結果、
図7に示す従来品では接合が外れたり、
図9に示す従来品では抵抗値が上昇するなどの電気特性の低下が見られたが、本発明品では接合は維持され、電気的特性の低下は見られなかった。
【0029】
次に、上述した金属接合体1を製造する金属接合装置について、
図6を参照して説明する。同図に示すように、上記金属接合装置20は、第1の型21と、第2の型22と、ガイド23と、から構成されている。
【0030】
上記第1の型21は、例えば直方体形状に設けられていて、その上面にプレス孔24が設けられている。このプレス孔24は、前記第1〜第4切断線L1〜L4、折り曲げ線L5及びL7に囲まれた部分と同形状に形成されている。また、プレス孔24は、折り曲げ線L8が重ねられる部分24aから折り曲げ線L7を重ねる縁部24bに向かうに従って徐々に深さが浅くなるように設けられている。また、プレス孔24は、折り曲げ線L5を重ねる縁部24cから垂直に深くなっている。
【0031】
上記第2の型22は、棒状に設けられている。前記第2の型22は、前記第1〜第4切断線L1〜L4、折り曲げ線L5及びL7に囲まれた部分と同形状に形成されている。第2の型22は、折り曲げ線L8が重ねられる部分22aから折り曲げ線L7が重ねられる縁部22bに向かうに従って徐々に第1の型21から離れるテーパに設けられている。
【0032】
上記ガイド23は、例えば直方体状に設けられていて、プレス孔24に重ねられるガイド孔23aを設けている。また、ガイド孔23aは、ガイド23を押圧方向に沿って貫通している。また、ガイド孔23aは、前記第1〜第4切断線L1〜L4、折り曲げ線L5及びL7に囲まれた部分と同形状に形成されており、第2の型22を挿入して第1の型21のプレス孔24にガイドする。
【0033】
次に、前記金属接合体1の製造方法を上述した金属接合装置20を用いて説明する。まず最初に、互いに重ねられた金属板10、11を第1の型21の前記上面に重ねる。その後、第2の型22を、ガイド23のガイド孔23aに沿って押圧方向に沿って移動させて、これら第1の型21と第2の型22との間に互いに重ねられた金属板10、11を挟みこむ。
【0034】
さらに、第2の型22を押圧方向に移動させると、第1切断線L1〜L4に沿った第2の型22のエッジ及びプレス孔24のエッジによって、互いに重ねられた金属板10、11が第1切断線L1〜第4切断線L4に沿って切断される。同時に、第1切断線L1〜第4切断線L4に囲まれた中央部が凹んで中央かしめ部2及び金属接合部3が形成され、完成する。
【0035】
上述した金属接合体1によれば、機械的強度を確保するための中央かしめ部2と、電気的特性を良好にするための金属接合部3と、を設けることにより、電気的特性及び機械的強度の両者の向上を図ることができる。また、プレス圧縮のみで接合を完結できるため、特別な溶接手法を用いるよりも簡便、かつ低コストで実現できる。
【0036】
上述した金属接合体1によれば、金属板10、11において一対の第3切断線L3に挟まれた
素片部Bと一対の第4切断線L4に挟まれた
素片部Bとを、中央かしめ部2の中心に向かうに従って深くなるテーパ状に設けられている。これにより、第3切断線L3及び第4切断線L4の内側の切断面と外側の切断面とが確実に接するため、金属接合部3の面積を大きくすることができ、より一層電気的特性の向上を図ることができる。
【0037】
上述した金属接合体1によれば、金属板10、11において一対の第1切断線L1
と一対の第2切断線L2
とに挟まれた
素片部Aを、金属板10、11の平面に対して垂直に設けることにより、より一層機械的強度の向上を図ることができる。
【0038】
上述した金属接合体1によれば、一対の第3切断線L3間の幅と一対の第4切断線L4間の幅とは、第1切断線L1及び第2切断線L2から離れるに従って狭くなるように設けられているので、一対の第3切断線L3に挟まれた
素片部B、一対の第4切断線L4に挟まれた
素片部Bが押し込まれるため、より一層、電気的特性の向上を図ることができる。
【0039】
なお、上述した実施形態によれば、第1切断線L1
と第2切断線L2に挟まれた
素片部Aは、金属板10、11の平面に対して垂直に設けていたが、参考例として、例えば、機械的強度よりも電気的特性が求められる場合は、第1切断線L1
と第2切断線L2に挟まれた
素片部を中央かしめ部2の中心に向かうに従って深くなるテーパ状に設けても良い。
【0040】
また、上述した実施形態によれば、第3切断線L3及び第4切断線L4に挟まれた
素片部Bは、テーパ状に設けられていたが、
参考例として、例えば、電気的特性よりも機械的強度が求められる場合は、第3切断線L3及び第4切断線L4に挟まれた
素片部を、金属板10、11の平面に対して垂直に設けても良い。
【0041】
また、上述した実施形態によれば、第1切断線L1及び第2切断線L2は互いに平行に設けていたが、本発明はこれに限ったものではない。第1切断線L1及び第2切断線L2は並び方向Y1に沿って延在していればよく、互いに平行でなくてもよい。
【0042】
また、上述した実施形態によれば、一対の第3切断線L3間、一対の第4切断線L4間は、第1切断線L1及び第2切断線L2から離れるに従って幅が狭くなるように設けていたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、一対の第3切断線L3同士、一対の第4切断線L4同士、互いに平行に設けても良い。
【0043】
また、上述した実施形態では、2つの金属板10、11を接合していたが、本発明はこれに限ったものではない。接合する金属板の枚数は、2つ以上あればよく、3つでも4つでもよい。
【0044】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 金属接合体
2 中央かしめ部
3 金属接合部
10 金属板
11 金属板
L1 第1切断線
L2 第2切断線
L3 第3切断線
L4 第4切断線
Y1 並び方向
Y2 直交方向(並び方向と直交する方向)