【実施例1】
【0015】
図1は、洗面ボウル付きカウンターを備えた洗面台の全体斜視図であり、
図2は、この洗面台の設置状態の側面図である。また、
図3は、洗面台における前板を開けた状態の側面図である。
【0016】
図において、洗面台1は、キャビネット2上にカウンター3が設置され、このカウンター3には、下方へ向かって凹状に洗面ボウル4が一体形成されている(別体の洗面ボウル4をカウンター3に取り付けるタイプであっても良い)。
カウンター3の上面3aは、壁面Wとは反対側の前側に向かって下り勾配に傾斜されており、カウンター3の上面3aの前端には、上方へ一体状に立ち上げて堰5が形成されている。
また、カウンター3の上面3aには、洗面ボウル4の後端側から立ち上げて下面部6が一体形成されており、下面部6の下端から後方側へ延びて延出部7が一体形成されている。
【0017】
この下面部6の上端と壁面W間には、別体のトップカウンター8が水平に設置されるものである。
下面部6は、カウンター3の上面3aに対し90°の角度で一体形成されている。即ち、トップカウンター8の前端から後方(壁面W)側へ向かって下傾状に下面部6が形成されている。
また、洗面ボウル4の底側には排水口4aが形成されており、この排水口4aよりも後方側の洗面ボウル4内には、下面部6と連続して後方側へ下傾状をなす立ち面4bが形成されており、この立ち面4bの上部部位に自動水栓の吐水口9が取り付けられている。また、立ち面4bの下方の洗面ボウル4内に、自動水栓の吐水口9の取り付け位置よりも更に後方側へ凹状をなす凹状空間4cが形成されている。
【0018】
なお、キャビネット2は、
図3に示すように、縦フレーム2aと横フレーム2bとを備え、横フレーム2bの前端から縦フレーム2aに向かって後方側へ下傾状に前傾斜フレーム2cが設けられており、また、横フレーム2bの後部には、立ち上げ状に後部立上フレーム2dが設けられ、この後部立上フレーム2dの上端から前傾斜フレーム2cの前端に向かって前方へ下傾状に上傾斜フレーム2eが設けられている。即ち、この上傾斜フレーム2e上に桟木12を介してカウンター3が傾斜状に取り付けられるものである。
【0019】
また、前傾斜フレーム2cの前面には前板10が取り付けられ、前板10は、閉じた状態では、カウンターの上面3aに対し90°の角度でカウンター3の前端下面から下向きに配置される。この前板10の下方の縦フレーム2aの下端側にはケコミ板11が取り付けられる。
なお、前板10の裏面下端側には、前傾斜フレーム2cの下部に設けられたピン13に係合される回動金具14が設けられ、回動金具14を介して前板10の上端側が前方側へ開閉できるように構成されており、さらに、前板10の上端側は、前傾斜フレーム2cに対し着脱金具15を介して着脱できるように構成されている。
【0020】
即ち、
図3に示すように、前板10の上端側は開くことができ、キャビネット2内に設けられている図示しない水石鹸タンク内へ水石鹸を供給する時に、前板10の上端を10°程度、開口させることができる。
また、キャビネット2内に収納されている図示しない水石鹸装置や電気温水器などのメンテナンスを行う時には、ピン13から回動金具14を取り外して、前板10全体を取り外してメンテナンスできるように構成されている。
【0021】
なお、カウンター3の上面3aおよび洗面ボウル4の内周には、シリコン被膜あるいはフッ素樹脂被膜等の撥水コーティングが施されている。なお、撥水コーティングに代えて滑水性コーティングを施す場合もある。
【0022】
洗面ボウル付きカウンター3の第1実施例の詳細は
図4〜
図7に示す。
即ち、洗面ボウル付きカウンターの平面図を
図4に示し、正面図を
図5に示す。また、
図6では、
図5のA−A線断面を示し、
図7では、
図5のB−B線断面を示す。
図では、カウンター3に1個の洗面ボウル4が一体形成されたものを例示しているが、洗面ボウル4は、長尺のカウンター3の長手方向に沿って複数個、間隔をおいて列設されたものであっても良い。
【0023】
前述した如く、カウンター3の上面3aには、下向きに凹ませて洗面ボウル4が一体形成されており、上面3aの前端の洗面ボウル4の前側には、横方向全域に亘り平面視横長状に堰5が上方へ一体状に立ち上げ形成されており、上面3aの後端側には、上面3aに対し90°の角度をなして下面部6が一体形成されており、上面3aから連続して下面部6の下端から後方側へ延びて延出部7が一体形成されている。
【0024】
堰5は、その上面が、後方から前方側へ向かって上傾する傾斜上面5aとなっており、この傾斜上面5aの前後寸法は、堰5の左右両端側で
図7のB−B線断面で示すように長くなっており、洗面ボウル4の中央側に向かって徐々に前後寸法が短くなり、
図6のA−A線断面で示すように、洗面ボウル4の部分では、この傾斜上面5aの後端(洗面ボウル4の前端よりも後方に位置する部分)に、下向きに前方側へ傾斜する誘導傾面5bが洗面ボウル4へ連続して形成されている。
そのため、平面視すると、傾斜上面5aの後端縁(傾斜上面5aの洗面ボウル4側)は、洗面ボウル4の中央部からカウンター3の左右両端側に向かって徐々に前後寸法が広くなるように湾曲した湾曲傾斜面5cとなっている。
【0025】
このような堰5の形状により、カウンター3の上面3aに飛散した水滴がカウンター上面3aの傾斜に沿って前方側へ流れ落ちて、堰5の傾斜上面5aで受け止められ、湾曲傾斜面5cに沿って洗面ボウル4側へ集められ、誘導傾面5bを伝って良好に水滴が洗面ボウル4内に流れ落ちることとなる。
【0026】
また、洗面ボウル4内は、前側から後方側に向かって緩やかに下傾し、底面側から後方側に向かって後方へ湾曲して凹状空間4cが形成され、凹状空間4cの上端は、下面部6と連続した立ち面4bとなっており、この立ち面4bに自動水栓の吐水口9を取り付ける水栓取付孔4d,4dが形成され、更にその上方に水石鹸吐出管取付孔4e,4eが形成されている。
【0027】
なお、凹状空間4cは、自動水栓の吐水口9の取り付け位置よりも更に後方側へ向かって凹状の空間となっているため、前方側から使用者が手を洗面ボウル4内に差し込んで手洗い等を行う際に、手の先端が深く後方側まで入り込み、指が当接することはなく、この広い凹状空間4c内で良好に手洗いすることができるものとなる。
このように、凹状空間4cおよび立ち面4bの部分、即ち洗面ボウル4内の後部が深く形成されているため、自動水栓の吐水口9から吐出される水で手洗い等を行う際の水の飛散が少ないものとなり、水は洗面ボウル4内から外側へ飛散することが少なくなる。
また、下面部6と連続した立ち面4bは、カウンター3の上面3aに対し90°の角度をなして後方側に向かって下傾しており、自動水栓の吐水口9が取り付けられた状態では、自動水栓の吐水口9に前傾斜がつくことで、吐水口9から取り付け面への水伝いが少なく、水切れが良くなる。
【0028】
なお、カウンター3の上面3a上に水が飛散した場合でも、前述した如く、上面3aは前方側へ向かって下傾状に傾斜しており、更にカウンター3の上面3aには撥水コーティングが施されているため、良好に上面3aを伝って前方側へ水滴が流れ落ち、前述した如く堰5で止められて、水滴は、堰5の湾曲傾斜面5cおよび誘導傾面5bにより良好に洗面ボウル4内に誘導されて排水されるものであり、カウンター3の上面3aには水滴が付着することがなく、カウンター3の上面3aを常に乾いた清潔な状態に保持できるものとなる。
【0029】
なお、使用者が前方側から見た時に、カウンター3の上面3aは傾斜しており、洗面ボウル4の上面の開口部分は広く視認されるため、洗面ボウル4を広く見せることができ、全体の意匠性が向上したものとなる。また、使用者が手を洗う際に洗面ボウル4内に手を入れ易いものとなる。
【実施例2】
【0030】
次に、第2実施例の洗面ボウル付きカウンターを
図8の平面図、
図9の正面図で示す。また、
図10は、
図9のA−A断面を示し、
図11は、
図9のB−B断面を示す。
この
図8〜
図11に示す第2実施例の洗面ボウル付きカウンター3では、洗面ボウル4が楕円形ではなく方形状に形成されたものであり、この洗面ボウル4の前端側にカウンター3の上面3aから立ち上げ形成されている堰5は、その洗面ボウル4側に、洗面ボウル4の中央部から左右両端側に向かって徐々に傾斜上面5aの前後寸法が広くなるように湾曲した湾曲傾斜面5cを有し、カウンター3の上面3aを伝い落ちる水滴をこの湾曲傾斜面5cに沿って洗面ボウル4内に誘導させて排出できるものである。
【0031】
また、堰5は、
図11に示すように、左右端側では傾斜上面5aの前後寸法は長くなっており、洗面ボウル4の中央付近では、
図10に示すように、傾斜上面5aの前後寸法は狭くなっており、洗面ボウル4の部分では、この傾斜上面5aの後端(洗面ボウル4の前端よりも後方に位置する部分)に、下向きに前方側へ傾斜する誘導傾面5bが洗面ボウル4へ連続して形成されている。
このような方形状の洗面ボウル4では、洗面ボウル4を広く見せることができ、広い洗面空間を得ることができ、しかも、カウンター3の上面3aに飛散した水滴を良好に洗面ボウル4内に回収できて、カウンター3の上面3aを常に乾いた状態に保持できるものとなる。
【0032】
本発明の洗面ボウル付きカウンター3を取り付けた洗面台1では、水が飛散することのない上方の水平なトップカウンター8上に、手持ちの荷物を置きやすく、大きな荷物を持ち運ぶ機会の多い駅やデパートなどの洗面所に最適なものとなり、また、キャリーバック17等の荷物は、
図12に示すように、前板10の前に置き、キャリーバック17越しに洗面ボウル4内で洗面や手洗いを行うことができ、キャリーバック17などの荷物に水がかかりにくいものとなり、また、防犯上も安心して洗面や手洗いができるものとなる。
【0033】
さらに
図13に示すように、傘18の柄を堰5に掛けて、傘18を前板10に沿わせて保持しておくことができ、前板10は傾斜しているため長い寸法の傘18を良好に収納することができ、傘18が邪魔にならず、良好に洗面や手洗いを行えるものとなる。
なお、
図14には、比較のために、カウンター3の上面3aおよび前板10の傾斜していない洗面台の使用状態を示す。
【0034】
さらに、
図15に示すものは、別体または一体の小物置き19をカウンター3の上面3aに設置したものであり、この小物置き19は、その上面が水平な面となっており、この小物置き19上にコンタクト,コップ等の小物を置いて、洗面ボウル4内で洗面等を良好に行うことができ、使用勝手が良好なものとなる。
なお、小物置き19は着脱可能に構成して、上面3aの適宜位置に接着等で取り付けできるように構成しておくことができる。
【0035】
なお、堰5は、
図16や
図17に示すような形状にしても良い。
図16に示す堰5は、カウンター3の上面3a前端に90°の角度で立上部5cを形成し、立上部5cの上端後面に後方へ突出する後向き突部5dを一体形成したものである。
また、
図17に示す堰5は、カウンター3の上面3a前端に90°の角度で立上部5cを形成したものである。何れの場合も、カウンター3の上面3aを伝い落ちる水滴が堰5を越えてしまうことを防止できるものである。