特許第5889568号(P5889568)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5889568酸化タングステン膜形成用組成物およびそれを用いた酸化タングステン膜の製造法
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  • 特許5889568-酸化タングステン膜形成用組成物およびそれを用いた酸化タングステン膜の製造法 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5889568
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】酸化タングステン膜形成用組成物およびそれを用いた酸化タングステン膜の製造法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/40 20060101AFI20160308BHJP
   G03F 7/11 20060101ALI20160308BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20160308BHJP
【FI】
   G03F7/40 511
   G03F7/11 501
   G03F7/11 502
   G03F7/11 503
   H01L21/30 570
   H01L21/30 573
【請求項の数】18
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2011-176132(P2011-176132)
(22)【出願日】2011年8月11日
(65)【公開番号】特開2013-40993(P2013-40993A)
(43)【公開日】2013年2月28日
【審査請求日】2014年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】506427679
【氏名又は名称】メルク、パテント、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(72)【発明者】
【氏名】能 谷 剛
【審査官】 倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−138922(JP,A)
【文献】 特開昭61−123690(JP,A)
【文献】 特開2013−023407(JP,A)
【文献】 特開2007−061720(JP,A)
【文献】 特開2004−179254(JP,A)
【文献】 特開2000−010293(JP,A)
【文献】 特表平05−501164(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/021347(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/11,7/40,
H01L 21/027,
C01G 41/00,
C09D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性メタタングステン酸塩と、アニオン性ポリマー、ノニオン性ポリマー、アニオン性界面活性剤、および3級アミノ基含有ノニオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種の添加剤と、水とを含んでなり、画像反転三層構造、レジスト下層膜、またはレジスト上層保護膜の形成に用いられることを特徴とする、酸化タングステン膜形成用組成物。
【請求項2】
前記水溶性メタタングステン酸塩が、メタタングステン酸、メタタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸カリウム、およびメタタングステン酸ナトリウムからなる群から選択される、請求項1に記載の酸化タングステン膜形成用組成物。
【請求項3】
前記添加剤が、下記一般式(1)で表されるアニオン性ポリマー:
【化1】
(式中、Zはそれぞれ独立に水素、メチル基、またはフッ素であり、Lは、単結合、炭素数と酸素数の合計が1〜6の、酸素を含んでもよい炭化水素基、および前記炭化水素の水素がフッ素に置換された基からなる群から選択される2価の連結基であり、
Aは−COOMまたは−SOMであり、
Mは水素イオン、アンモニウムイオン、または1価金属イオンである)
である、請求項1または2に記載の酸化タングステン膜形成用組成物。
【請求項4】
前記添加剤が、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリオキサゾリン、および多糖類、ならびにその誘導体からなる群から選択されるノニオン性ポリマーである、請求項1または2に記載の酸化タングステン膜形成用組成物。
【請求項5】
前記添加剤が、炭素数4〜24の、フッ素置換されていてもよいアルキルスルホン酸、および炭素数4〜24の、フッ素置換されていてもよいアルキルカルボン酸、ならびにそれらのアンモニウム塩、カリウム塩、およびナトリウム塩からなる群から選択されるアニオン性界面活性剤である、請求項1または2に記載の酸化タングステン膜形成用組成物。
【請求項6】
前記添加剤が、アルキレンオキサイドが付加した3級アミノ基含有ノニオン性界面活性剤からなる群から選択される、請求項1または2に記載の酸化タングステン膜形成用組成物。
【請求項7】
前記水溶性タングステン酸塩の含有量が組成物の全重量を基準として10〜50重量%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の酸化タングステン膜形成用組成物。
【請求項8】
基板の表面に請求項1〜7のいずれかに記載の酸化タングステン膜形成用組成物を塗布し、加熱することを含んでなることを特徴とする、酸化タングステン膜の形成方法。
【請求項9】
基板上にハードマスクを形成させ、
前記ハードマスクの表面に所望のパターンを具備するフォトレジストパターンを形成させ、
前記フォトレジストパターンの表面に、請求項1〜7のいずれかに記載の酸化タングステン膜形成用組成物を塗布し、加熱して、酸化タングステン膜で前記フォトレジストパターンを被覆し、
前記フォトレジストパターンの上側表面上に形成された酸化タングステン膜をエッチングによって除去して前記レジストパターンの上側表面を露出させ、
前記酸化タングステン膜をマスクとして、エッチングにより前記フォトレジストパターンを除去し、さらにドライエッチングすることにより前記ハードマスクを除去することを含むことを特徴とする、パターン形成方法。
【請求項10】
前記酸化タングステン膜形成用組成物の、前記添加剤の含有量が組成物中に含まれるメタタングステン酸塩含有量を基準として0.5〜20重量%である、請求項9に記載のパターン形成方法。
【請求項11】
前記酸化タングステン膜形成用組成物を塗布した後に、60〜180℃で30〜300秒加熱する、請求項9または10に記載のパターン形成方法。
【請求項12】
基板の表面に、請求項1〜7のいずれかに記載の酸化タングステン膜形成用組成物を塗布し、加熱して、酸化タングステン膜を形成させ、
前記酸化タングステン膜の表面にフォトレジストパターンを形成させ、
前記フォトレジストパターンをマスクとして前記酸化タングステン膜をエッチングしてフォトレジストパターンを酸化タングステン膜に転写し、
前記のパターン形成された酸化タングステン膜をマスクとして前記基板をエッチングする
ことを含んでなることを特徴とする、パターン形成方法。
【請求項13】
前記酸化タングステン膜形成用組成物の、前記添加剤の含有量が組成物中に含まれるメタタングステン酸塩含有量を基準として0.5〜20重量%である、請求項12に記載のパターン形成方法。
【請求項14】
前記基板が、前記酸化タングステン膜形成用組成物を塗布する前にカーボンハードマスクで被覆されている、請求項12または13に記載のパターン形成方法。
【請求項15】
前記酸化タングステン膜形成用組成物を塗布した後に、200〜500℃で30〜600秒加熱する、請求項12〜14のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項16】
基板上にレジスト組成物を塗布してレジスト膜を形成させ、
前記レジスト膜上に、請求項1〜7のいずれかに記載の酸化タングステン膜形成用組成物を塗布し、加熱して、酸化タングステン膜を形成させ、
像様露光し、
現像する
ことを含んでなることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項17】
前記像様露光を、波長1〜500nmの光を用いて行う、請求項16に記載のパターン形成方法。
【請求項18】
前記酸化タングステン膜形成用組成物を塗布した後に、60〜150℃で30〜300秒加熱する、請求項16または17に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスの製造過程、特にリソグラフィー法に用いられる、酸化タングステン膜形成用組成物に関するものである。また、本発明はその組成物を用いた酸化タングステン膜の製造法にも関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子などのFPD、半導体デバイス、CCD、カラーフィルター製造のため、フォトリソグラフィー法が用いられている。フォトリソグラフィー法を用いた半導体素子等の製造では、例えば基板上にポジ型或いはネガ型のレジストが塗布され、ベーキングにより溶媒を除去した後、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の各種放射線により露光され、現像されレジストパターンが形成される。
【0003】
昨今の技術の進歩により、半導体素子等にはより集積度の高いものが求められるようになっており、レジストパターンの微細化がひとつの課題とされている。一方で、より安価に、より高い生産性で半導体素子を製造できる方法も望まれている。このような背景から、フォトリソグラフィー法にも種々の方法が検討され、実用化されてきている。またそれに応じてフォトリソグラフィーに使う各種の新しい材料も検討されている。
【0004】
従来、例えばフォトレジストのマスク材料として酸化ケイ素膜が用いられてきた。酸化ケイ素膜は、例えばポリシラザン、ポリシロキサンなどを含む組成物を塗布し、焼成することによって比較的簡便に形成させることができるため、非常に多くの方法に利用されている。しかしながら酸化ケイ素膜もすべての場合に十分な特性を発揮できないこともあり、二酸化ケイ素に代わる材料が望まれることがある。そのような材料の一つとして酸化タングステン膜がある。
【0005】
酸化タングステン膜は、体積収縮率が比較的低いためにボイドなどの膜欠陥が発生しにくく、また水洗などにより比較的容易に除去ができるという利点があるため、酸化ケイ素膜よりも有利な特性を発揮する場合がある。ところが、従来はポリシラザンのように組成物の塗布によって製造することが困難であり、もっぱら気相法により製造されていた。このため、生産性を高くできないという課題があった。
【0006】
なお、酸化タングステン膜を水性溶液から形成させる方法は知られていたが(たとえば特許文献1)、半導体製造におけるリソグラフィー法に適用できる、塗布性、成膜性などを兼ね備えた方法は知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−98284号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】“Image Reversal Trilayer Process Using Standard Positive Photoresist”, D. J. Abdallah, et al., Proc. of SPIE, Vol. 7223, 72732K
【非特許文献2】“193-nm Multilayer Imaging System”, J. D. Meador et al., Proc. of SPIE, Vol. 5039, 948-959
【非特許文献3】“New Materials for 193-nm Trilayer Imaging”, J. D. Meador et al., Proc. of SPIE, Vol. 5376, 1138-1148
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記のような課題に鑑みて、より簡便かつ効率的に酸化タングステン膜を形成させることができる酸化タングステン膜形成用組成物およびそれを用いた半導体製造方法に適した方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による酸化タングステン膜形成用組成物は、水溶性メタタングステン酸塩と、アニオン性ポリマー、ノニオン性ポリマー、アニオン性界面活性剤、および3級アミノ基含有ノニオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種の添加剤と、水とを含んでなり、画像反転三層(Image reversal trilayer)構造、レジスト下層膜、またはレジスト上層保護膜の形成に用いられることを特徴とするものである。
【0011】
本発明による酸化タングステン膜の形成方法は、基板の表面に前記の酸化タングステン膜形成用組成物を塗布し、加熱することを含んでなることを特徴とするものである。
【0012】
本発明による第一のパターン形成方法は、
基板上にハードマスクを形成させ、
前記ハードマスクの表面に所望のパターンを具備するフォトレジストパターンを形成させ、
前記フォトレジストパターンの表面に、前記の酸化タングステン膜形成用組成物を塗布し、加熱して、酸化タングステン膜で前記フォトレジストパターンを被覆し、
前記フォトレジストパターンの上側表面上に形成された酸化タングステン膜をエッチングによって除去して前記レジストパターンの上側表面を露出させ、
前記酸化タングステン膜をマスクとして、エッチングにより前記フォトレジストパターンを除去し、さらにドライエッチングすることにより前記ハードマスクを除去することを含むことを特徴とするものである。
【0013】
本発明による第二のパターン形成方法は、
基板の表面に、前記の酸化タングステン膜形成用組成物を塗布し、加熱して、酸化タングステン膜を形成させ、
前記酸化タングステン膜の表面にフォトレジストパターンを形成させ、
前記フォトレジストパターンをマスクとして前記酸化タングステン膜をエッチングしてフォトレジストパターンを酸化タングステン膜に転写し、
前記のパターン形成された酸化タングステン膜をマスクとして前記基板をエッチングする
ことを含んでなることを特徴とするものである。
【0014】
本発明による第三のパターン形成方法は、
基板上にレジスト組成物を塗布してレジスト膜を形成させ、
前記レジスト膜上に、前記の酸化タングステン膜形成用組成物を塗布し、加熱して、酸化タングステン膜を形成させ、
像様露光し、
現像する
ことを含んでなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、酸化タングステン膜を水性溶液の塗布により形成させることが可能となり、簡便かつ効率的に酸化タングステン膜を形成させることができる。さらに、この酸化タングステン膜は形成途中において結晶化しにくく、さらに水洗等により簡単に除去することができるために、半導体素子等の製造過程において生産効率の向上が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】画像反転三層構造を利用したパターン形成方法を説明するための概念図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明による酸化タングステン膜形成用組成物は、水溶性メタタングステン酸塩と、特定の添加剤と、水とを含んでなる。これらの各成分についてそれぞれ説明すると以下のとおりである。
【0018】
メタタングステン酸塩
水溶性メタタングステン酸塩は、それに含まれるタングステンが酸化タングステン膜を構成する酸化タングステンの直接的な原料となる。いわゆるタングステン酸塩としては、ポリタングステン酸塩、オルトタングステン酸塩、パラタングステン酸塩などが知られているが、本発明においてはメタタングステン酸塩が用いられる。この理由は、メタタングステン酸塩以外のタングステン化合物を含む組成物を用いて酸化タングステン膜を形成させようとすると、溶解性が悪い、組成物の塗布性が悪いなどの問題が起こることがあるからである。このため、その他のタングステン化合物を用いても、特性に優れた酸化タングステン膜を得ることが困難である。
【0019】
ここで、メタタングステン酸塩とは、一般式
[W1240]・xH
(式中、Mは水素、アンモニウム、または1価の金属、xは結晶水の数を表す)
で表されるものである。Mが水素である場合、この一般式で表されるものは酸であるが、本発明においては便宜的にそれを含めて「メタタングステン酸塩」という。結晶水の数xはいくつかの数をとり得るが、結晶水の数はいくつであってもよい。
【0020】
メタタングステン酸塩は、どのような金属を含む塩であってもよいが、入手容易性などの観点から、メタタングステン酸、メタタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸カリウム、およびメタタングステン酸ナトリウムからなる群から選択されるものが好ましい。また、本発明による酸化タングステン膜形成用組成物は、主に半導体素子の製造過程に用いられるものであることから、金属を含まない、メタタングステン酸またはメタタングステン酸アンモニウムが特に好ましい。さらに、本発明による酸化タングステン膜形成用組成物は、比較的高濃度のメタタングステン酸塩を含むうえ、メタタングステン酸はかなり強い酸性を示す傾向があるため、組成物のpHを適当に保つ観点からメタタングステン酸アンモニウムを用いることが好ましい。
【0021】
添加剤
本発明による酸化タングステン膜形成用組成物は、特定の添加剤を含む。具体的には、本発明による酸化タングステン膜形成用組成物は、アニオン性ポリマー、ノニオン性ポリマー、アニオン性界面活性剤、および3級アミノ基含有ノニオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種の添加剤を含んでなる。
【0022】
アニオン性ポリマーは、陰イオン基を含むポリマーであり、特に限定されないが、カルボキシル基またはスルホ基を含むものが好ましい。特に、下記一般式(1)
【化1】
(式中、Zはそれぞれ独立に水素、メチル基、またはフッ素であり、Lは、単結合、炭素数と酸素数の合計が1〜6の、酸素を含んでもよい炭化水素基、および前記炭化水素の水素がフッ素に置換された基からなる群から選択される2価の連結基であり、
Aは−COOMまたは−SOMであり、
Mは水素イオン、アンモニウムイオン、または1価金属イオンである)
で表されるアニオン性ポリマーが好ましい。より具体的には、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、パーフルオロポリアクリル酸、パーフルオロポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸などが挙げられる。これらは一般的に入手が容易であり、安価であるので好ましい。例えば、ポリアクリル酸は、PAA20EX(商品名、東邦化学工業株式会社製)など各種のものが市販されている。また、Zがすべてフッ素、Lが−O−(CF−であるポリマー(FST−100(商品名)、旭硝子株式会社製)も優れた塗布性および成膜性を達成できるので好ましい。
【0023】
ノニオン性ポリマーは、イオン性基を含まないポリマーであり、水溶性であれば特に限定されず、任意のものを選択することができる。このようなノニオン性ポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリオキサゾリン、および多糖類、ならびにその誘導体からなる群から選択されるものが挙げられる。これらのノニオン性ポリマーも各種のものが市販されている。例えばポリビニルピロリドンはLuvitec K−30(商品名、BASF社製)、ポリビニルアルコールはポバールHP−H105(商品名、株式会社クラレ製)、ポリオキサゾリンはエポクロスWS−300(商品名、株式会社日本触媒製)など、分子量等が異なるものが多数市販されている。また、多糖類であるプルラン、デキストリン、シクロデキストリン、またはセルロース、特にプルランも好ましく用いることができる。
【0024】
アニオン性ポリマーまたはノニオン性ポリマーの分子量は特に限定されないが、例えばスピンコートなどで十分な膜の連続性を得るために重量平均分子量が1,000以上であることが好ましく、3,000以上であることがより好ましい。また、塗布性の観点から重量平均分子量は300,000以下であることが好ましく、120,000以下であることがより好ましい。
【0025】
これらのポリマーを添加剤として用いることにより、本発明による酸化タングステン膜形成用組成物は高い成膜性を実現している。つまりメタタングステン酸塩の水溶液をそのまま基板等に塗布しようとしても均一な膜を形成することは困難であるが、ポリマーを添加剤として採用することによって、ポリマーの成膜性により優れた膜を形成することができる。
【0026】
しかしながら、特定のポリマー以外では、たとえポリマー自体に成膜性があっても優れた膜を得ることができるとは限らない。ポリマーとしてはそのほかにカチオン性ポリマーや両性ポリマーなどがあるが、これらはメタタングステン酸塩と混合した場合に凝集して析出を起こし、また塗布時にはこれらの凝集物が膜の均一性を著しく低下させる。このため、本発明では組成物に対する溶解性と塗布性とを十分に保つためにアニオン性ポリマーまたはノニオン性ポリマーを採用している。
【0027】
また、本発明による酸化タングステン膜形成用組成物には、添加剤として、アニオン性界面活性剤または3級アミノ基含有ノニオン性界面活性剤を用いることができる。
【0028】
アニオン性界面活性剤としては、従来知られているものから任意に選択して用いることができるが、フッ素化されていてもよい、アルキルスルホン酸またはアルキルカルボン酸、あるいはそれらのアンモニウム塩、カリウム塩、またはナトリウム塩が好ましい。アルキル基は界面活性剤の疎水性基として機能すれば特に限定されない。例えばアルキル基に含まれるメチレン基の一部がエーテル結合に置き換えられていてもよい。具体的には、アルキルスルホン酸またはアルキルカルボン酸、あるいはそれらの塩に対しては炭素数が4〜24であることが好ましく、8〜16であることがより好ましい。具体的には、PFOSと呼ばれることがあるパーフルオロオクタンスルホン酸、PFOAと呼ばれることがあるパーフルオロオクタン酸、アルキルカルボン酸ナトリウムなどの化合物や、炭素数が10〜18のアルキルスルホン酸の混合物であるパイオニンA−32−FW(商品名、竹本油脂株式会社製)などが好ましい。
【0029】
また、本発明による酸化タングステン膜形成用組成物には3級アミノ基含有ノニオン性界面活性剤を用いることができる。ここで、ノニオン性界面活性剤のうち3級アミノ基を有していないものは塗布時に固形物の析出が起こることがあるので本発明による組成物には用いることができない。このような界面活性剤としては、窒素原子に長鎖のアルキル基またはポリアルキレンオキシ基が結合したものが好ましい。長鎖のアルキル基とは、具体的には炭素数が4〜24、好ましくは8〜18であるアルキル基である。このアルキル基は、本発明の効果を損なわない範囲で、ノニオン性基、例えばアルコキシ基などに置換されていてもよい。また、ポリアルキレンオキシ基は、アルキレンオキシ基が重合したものであるが、複数種のアルキレンオキシ基が重合していてもよいし、各アルキレンオキシ基がランダムに重合しても、ブロックを形成していてもよい。このようなアルキレンオキシ基としては、エチレンオキシ基またはプロピレンオキシ基が好ましく用いられる。
【0030】
このような3級アミノ基含有ノニオン性界面活性剤は各種のものが知られている。具体的にはポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル、トリエタノールアミンのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド付加物、エチレンジアミンのエチレンオキサイド・プロピレンオキサイド付加物などが挙げられる。より具体的には、C1837N(CHCHO)(CHCHO)、NR、RNCHCHNR(ここで、R=[(CHCHO)(CHCH(CH)O)H])などが挙げられ、パイオニンD3240(商品名、竹本油脂株式会社製)などとして市販されている。
【0031】
これらの界面活性剤は、前記したポリマーとは異なり、それ自体による成膜性は大きくはないが、基板表面に対する組成物の接触角を小さくする作用があり、その作用によってメタタングステン酸塩を含む組成物と基板表面との間の親和性が高くなり、成膜性が向上すると考えられる。
【0032】
これらの添加剤は必要に応じて組み合わせて用いることができる。すなわち、複数のポリマーを組み合わせたり、複数の界面活性剤を組み合わせたりすることができる。また、前記したようにポリマーによる成膜性改良のメカニズムと、界面活性剤による成膜性改良のメカニズムは異なっていると考えられ、ポリマーと界面活性剤とを組み合わせることにより、より大きな改良が達成されるので特に好ましい。
【0033】
酸化タングステン膜形成用組成物
本発明による酸化タングステン膜形成用組成物は、前記したメタタングステン酸塩と、前記した添加剤の少なくとも1種と、水とを含んでなる。
【0034】
ここで、用いられる水は特に限定されないが、例えば蒸留水、イオン交換樹脂にて不純物イオンを除去した後にフィルターを通して異物を除去した純水や超純水、脱気水、その他の任意のものを用いることができる。本発明による酸化タングステン膜形成用組成物は、半導体装置の製造などに用いられるので、特にタングステン以外の金属不純物の含有量が低いことが好ましい。
【0035】
本発明による酸化タングステン膜形成用組成物は、前記の水に各成分を溶解または分散させることにより調製される。各成分の配合量は特に限定されず、目的に応じて任意に選択することができる。
【0036】
しかしながら、十分な特性を有する酸化タングステン膜を得るために、水溶性酸化タングステン酸塩の含有量は組成物の全重量を基準として、5重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましい。一方、水溶性タングステン酸塩の含有量が過度に高いと、結晶が析出して塗布欠陥が発生するなどの問題が起こりやすくなるため、70重量%以下であることが好ましく、50重量%以下であることがより好ましい。
【0037】
また、添加剤の含有量も特に限定されない。しかし、本発明による酸化タングステン膜形成用組成物が画像反転三層方法(Image reversal trilayer process)、またはレジスト下層膜の形成に用いられる場合には添加剤含有量が組成物中に含まれるメタタングステン酸塩の含有量を基準として0.5〜20重量%であることが好ましく、1〜10重量%であることがより好ましい。画像反転三層構造またはレジスト下層膜の形成においてはエッチング処理が行われるが、そのときに酸化タングステン膜に有機成分が多いとボイドが発生しやすく、また結晶質であるとエッチング時に結晶質部分に対するエッチング速度と非晶質部分に対するエッチング速度との差によって欠陥の発生が起こりやすい。そして、添加剤の含有量が上記の範囲内であると、非晶質かつボイドの発生の少ない酸化タングステン膜が得られる。一方、本発明による酸化タングステン膜形成用組成物をレジスト上層保護膜の形成に用いる場合には、エッチング処理を行わないため、前記のような膜の結晶性やボイドの発生は問題とならないので、添加剤の含有量はより広い範囲から選択することが可能である。
【0038】
本発明による酸化タングステン膜形成用組成物は、必要に応じてその他の追加成分を含むこともできる。このような成分としてはpH調整のための酸化合物または塩基性化合物、粘度調整のための増粘剤などが挙げられる。このような追加成分の添加量は、それぞれの追加成分の効果などを考慮して決定されるが、一般にメタタングステン酸塩の含有量を基準として、10重量%以下、好ましくは1重量%以下である。なお、前記した通り、アニオン性ポリマーおよびノニオン性ポリマー以外のポリマーや、アニオン性界面活性剤および3級アミノ基含有ノニオン性界面活性剤以外の界面活性剤は用いることは好ましくない。
【0039】
酸化タングステン膜の形成方法
本発明による酸化タングステン膜形成用組成物は、対象とされる基板やレジスト膜の上に塗布され、加熱されることによって酸化タングステン膜に転換される。塗布方法や加熱方法は特に限定されず、用途に応じて適宜選択することができる。
具体的には、塗布方法にはスピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、スリットコーティング、ブラシコーティング、またはカーテンコーティングなどが知られているが、これらのうちいずれを選択することもできる。ただし、膜厚の均一性が高いことが好ましいことや、組成物の粘度が比較的高いことなどから、スピンコーティングが最も好ましい。
【0040】
塗布する膜厚は、目的とする酸化タングステン膜の用途に応じて選択されるが、一般的に形成される酸化タングステン膜の厚さが25〜200nmとなるように調整される。このような厚さで形成された酸化タングステン膜は、結晶化しにくく、透明性の高い非晶質の膜となる。
【0041】
加熱温度や加熱時間も特に限定されない。一般的には硬化反応を迅速に行うために高温で加熱することが好ましいが、隣接する層の材料などに応じて適宜選択される。
【0042】
画像反転三層構造を利用したパターン形成方法
本発明による酸化タングステン膜形成用組成物は、画像反転三層方法(Image Reversal Trilayer Process)を利用したパターン形成方法(以下、IRT法ということがある)に用いることができる。
【0043】
慣用のIRT法については、いくつかの先行技術が知られているが(たとえば非特許文献1)、図1を参照しながら簡単に説明すると以下の通りである。
【0044】
基板1上にハードマスク2を形成させ、その上にフォトレジストパターン3を形成させる(図1(A))。この例では、基板としてシリコン基板、ハードマスクとしてカーボンマスクを用いた場合について説明するが、これに限定されるものではない。ここで基板の材料は目的に応じて任意に選択することができ、シリコン、またはゲルマニウムなどの半導体、アルミニウム、銅、またはアルミニウムシリサイドなどの導電性材料、二酸化ケイ素、窒化ケイ素などの絶縁体などの中から任意に選択することができる。また、フォトレジストパターンの形成方法は特に限定されず、任意の方法で形成させることができる。すなわち、通常のリソグラフィー法などを利用してもよいし、印刷などにより形成させてもよい。
【0045】
さらに、ポリシラザンやポリシロキサンなどを含む二酸化ケイ素膜形成用組成物を塗布および加熱することにより、レジストパターン3を二酸化ケイ素からなるハードマスク4で被覆する(図1(B))。
【0046】
この二酸化ケイ素からなるハードマスク4の表面をCF/Oガスでドライエッチングすることによって、レジストパターン3の上部を露出させる(図1(C))。ここでガス種などのエッチング条件は任意に選択されるが、ハードマスク4を効率的にエッチングできる条件が選択される。
【0047】
必要に応じて残留したレジストパターン3を除去し、さらにOガスでドライエッチングすることにより、最初に形成させたフォトレジストパターン3に対応するパターンをハードマスク2に転写することができる(図1(D))。このとき、二酸化ケイ素からなるハードマスク4をマスクとして、ハードマスク2をエッチングするので、二酸化ケイ素よりもカーボンを効率的にエッチングできる条件、すなわち、二酸化ケイ素に対するカーボンの選択比が高いエッチング条件が選択される。このような条件は、主にガス種の選択によりなされるが、目的とする材料によって適当なガス種は異なるので、材料に合わせて適切に選択されるべきである。
【0048】
本発明による酸化タングステン膜形成用組成物は、このようなIRT法に用いる二酸化ケイ素膜形成用組成物の代わりに用いることができる。すなわち本発明によるパターン形成方法は、
基板上にハードマスクを形成させ、
前記ハードマスクの表面に所望のパターンを具備するフォトレジストパターンを形成させ、
前記フォトレジストパターンの表面に、前記の酸化タングステン膜形成用組成物を塗布し、加熱して、酸化タングステン膜で前記フォトレジストパターンを被覆し、
前記フォトレジストパターンの上側表面上に形成された酸化タングステン膜をエッチングによって除去して前記レジストパターンの上側表面を露出させ、
前記酸化タングステン膜をマスクとして、エッチングにより前記フォトレジストパターンを除去し、さらにドライエッチングすることにより前記ハードマスクを除去することを含むものである。
【0049】
ここで本発明によるパターン形成方法には、従来二酸化ケイ素膜形成用組成物を適用するのに用いられていた塗布方法や、加熱方法をそのまま適用できる。ただし、組成物の成分が異なるため、塗布方法や加熱条件はそれに応じて調整されるべきである。具体的には、加熱温度は60〜180℃であることが好ましく、80〜150℃であることが好ましい。加熱温度が過度に高いとレジストパターンがダメージを受けてしまうので注意が必要である。また加熱温度が低すぎると、十分に硬化した酸化タングステン膜を得ることができない。また、加熱時間は30〜300秒であることが好ましく、30〜120秒であることが好ましい、
【0050】
従来用いられていた、ポリシラザンなどを含む二酸化ケイ素膜形成用組成物に比べて、本発明による酸化タングステン膜形成用組成物は反応性が低いため、酸化タングステン膜形成時に隣接する層などに対する影響が少ないうえ、形成される酸化タングステン膜が水洗などにより容易に除去できるため、処理のやり直しなどが可能になる。
【0051】
さらに、二酸化ケイ素膜と酸化タングステン膜とでは、ガス種によるエッチング速度が異なる。このため、エッチングする対象となるハードマスクが同じであっても、マスクとして二酸化ケイ素膜に代えて酸化タングステン膜を用いることで、マスクとエッチングされるハードマスクとのエッチング選択比を変化させることができる。この結果、より有利なエッチング選択比を実現できるという利点もある。
【0052】
レジスト下層膜を利用したパターン形成方法
本発明による酸化タングステン膜形成用組成物は、レジスト下層膜を用いたパターンの形成方法に用いることができる。従来、二酸化ケイ素膜形成用組成物を用いたレジスト下層膜は知られている(たとえば非特許文献2および3)。
【0053】
シリコン基板の表面にパターンを形成させようとする場合、シリコン基板の直上に形成されたフォトレジストからなるパターンをエッチングにより転写させようとしても、フォトレジストとシリコン基板とのエッチング選択比が適当ではないため、パターンの転写が十分にできないことがある。そのために、フォトレジストからなるパターンとシリコン基板との間、に二酸化ケイ素とカーボンハードマスクとからなるレジスト下層膜を設けて、第一のエッチング処理によりフォトレジストからなるパターンを二酸化ケイ素膜またはカーボンハードマスクに転写し、第二のエッチング処理により二酸化ケイ素膜またはカーボンハードマスクの転写されたパターンをシリコン層に転写することが行われていた。
【0054】
このようなパターン形成方法に用いられる、複数層からなるレジスト下層膜に含まれる二酸化ケイ素膜、またはレジスト下層膜そのものを、本発明による酸化タングステン膜形成用組成物を用いて形成させた酸化タングステン膜に置き換えることができる。すなわち、従来レジスト下層膜を形成させる際に、二酸化ケイ素膜を形成させる際に用いられていた組成物の塗布方法や、加熱方法をそのまま適用できる。具体的には、
基板の表面に、前記の酸化タングステン膜形成用組成物を塗布し、加熱して、酸化タングステン膜を形成させ、
前記酸化タングステン膜の表面にフォトレジストパターンを形成させ、
前記フォトレジストパターンをマスクとして前記酸化タングステン膜をエッチングしてフォトレジストパターンを酸化タングステン膜に転写し、
前記のパターン形成された酸化タングステン膜をエッチングマスクとして前記基板をエッチングする
ことを含んでなる。
【0055】
このような方法において、レジスト下層膜として酸化タングステン膜とカーボンハードマスクとからなる膜を用いる場合には、酸化タングステン膜形成用組成物を塗布する前に、前記基板をカーボンハードマスクにより被覆しておくことができる。
【0056】
ここで二酸化ケイ素膜を用いる場合に比較して組成物の成分が異なるため、塗布方法や加熱条件はそれに応じて調整されるべきである。具体的には、加熱温度は200〜500℃であることが好ましく、220〜400℃であることが好ましい。レジスト下層膜を形成させる場合、加熱によってダメージを受ける層がないので比較的高い温度で加熱することが可能であるが、加熱温度が過度に高いと基板などがダメージを受けないように注意が必要である。また加熱温度が低すぎると、十分に硬化した酸化タングステン膜を得ることができない。また、加熱時間は30〜600秒であることが好ましく、120〜300秒であることが好ましい、
【0057】
IRT法の項でも述べた通り、二酸化ケイ素膜と酸化タングステン膜とでは、ガス種によるエッチング速度が異なる。このため、エッチングする対象となるシリコン層が同じであっても、マスクとして二酸化ケイ素膜に代えて酸化タングステン膜を用いることで、より有利なエッチング選択比を実現できるという利点がある。また、従来知られていたようなカーボンハードマスクを用いてエッチングを行う場合において、用いられていたシリコン膜に代えて、本発明による酸化タングステン膜を用いることもできる。
【0058】
レジスト上層保護膜の形成
本発明による酸化タングステン膜形成用組成物は、リソグラフィー法によってパターンを形成する場合に用いられるレジスト層を被覆する保護膜を形成するのに用いることができる。このようなレジスト上層保護膜は、従来の上面反射防止膜などとは異なった効果をもたらすものである。
【0059】
このレジスト上層保護膜の適用方法は従来のパターン形成方法に用いられる上面反射防止膜と同様である。すなわち
基板上にレジスト組成物を塗布してレジスト膜を形成させ、
前記レジスト膜上に、前記の酸化タングステン膜形成用組成物を塗布し、加熱して、酸化タングステン膜を形成させ、
像様露光し、
現像する
ことによりパターンを形成させる。ここで、レジスト層の上に形成された酸化タングステン膜が上面保護膜として機能する。
【0060】
ここで、酸化タングステン膜を形成させる際の加熱温度は、60〜150℃であることが好ましく、60〜130℃であることが好ましく、加熱時間は30〜300秒であることが好ましく、30〜120秒であることが好ましい、この理由は、前記したIRT法の項で述べたものと同様である。
【0061】
また、一般の露光工程におけるレジスト上層膜への適用に関しては光酸発生剤または光反応性化合物の感光波長と酸化タングステン膜の吸収波長が重なるため、望ましくない波長の光を除去するフィルターとしての役割を持たせることができる。例えば1〜500nm付近の極紫外光、ArF光、KrF光、i線、g線などを用いる露光工程でフィルターとしての効果を期待できる。特に昨今のリソグラフィー法を用いた半導体素子の製造過程においては、パターンの微細化の要求にこたえるために、短波長の光による露光が多く行われるようになっており、極紫外線(波長1〜30nm)も用いられるようになっている。しかし、この極紫外線には一般的に10%程度の遠紫外線が含まれるといわれており、この遠紫外線に起因して、得られるパターンのCD均一性の劣化、表面ラフネスの劣化、感度変動、あるいは解像度の低下などの不具合が生じることがわかっている。
【0062】
本発明による酸化タングステン膜は、遠紫外線の波長領域の光を吸収する特性があるため、酸化タングステン膜を上面保護膜とすることにより、遠紫外線フィルターとして機能し、表面ラフネスを改良する作用がある。
【0063】
本発明を諸例を用いて説明すると以下の通りである。
【0064】
実施例1〜36および比較例37〜43
(1)酸化タングステン膜形成用組成物の調製
50重量%濃度のメタタングステン酸アンモニウム水溶液に各種の添加剤および純水を配合して、各例の酸化タングステン膜形成用組成物を調製した。各組成物に含まれるメタタングステン酸アンモニウムの含有量(組成物の全体の重量を基準とする)、添加剤の種類、添加剤の配合比(メタタングステン酸アンモニウムの重量を基準とする、重量%)は表1に示す通りであった。
【表1】
*1: 添加剤の配合比は、メタタングステン酸アンモニウムの重量を基準とする重量比
*2: パイオニンA−32−FW(商品名、竹本油脂株式会社製)
*3: パイオニンD3240(商品名、竹本油脂株式会社製)
*4: PAA20EX(商品名、東邦化学工業株式会社製)
*5: FST−100(商品名、旭硝子株式会社製)
*6: Luvitec K−30(商品名、BASF社製)
*7: ポバールHP−H105(商品名、株式会社クラレ製)
*8: サーフィノール2502(商品名、日信化学工業株式会社製)
【0065】
組成物の溶解性
酸化タングステン膜形成用組成物の調製過程において、組成物の溶解性および溶解安定性を評価した。評価基準は以下の通りであった。
A: 調製時および一晩放置後に透明であった
B: 調製時は透明であったが、一晩放置後に白濁が認められた
C: 調製時は透明であったが、一晩放置後に沈殿が認められた
【0066】
(2)IRT法によるパターンの形成
コーターデベロッパーMark8(製品名、東京エレクトロン株式会社製)を用いて、8インチシリコンウエハに下層反射防止膜形成用組成物KrF17B(製品名、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製)を2377rpmの条件で塗布し、180℃60秒でベーキング処理を施して厚さ80nmの下層反射防止膜を形成させた。
【0067】
下層反射防止膜が形成されたウエハ表面に、コーターデベロッパーを用いてレジスト組成物AZ DX6270P(製品名、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製)を3300rpmの条件で塗布し、120℃60秒でソフトベーキング処理を施して、厚さ350nmのレジスト膜を形成させた。
【0068】
レジスト膜を形成させたウエハを、KrFエキシマーレーザーステッパーFPA3000(製品名、キャノン株式会社製)を用い、波長248nmの放射線で、19mJの露光量で露光した。露光後のウエハをコーターデベロッパーにて130℃60秒の条件でポストベーキング処理し、さらに2.38%TMAHを用いて60秒間現像した。この処理によってライン幅200nm、ピッチ1:1のライン・アンド・スペースパターンを形成させた。
【0069】
ライン・アンド・スペースパターンを形成させたウエハ表面に、酸化タングステン膜形成用組成物をコーターデベロッパーを用いて3000rpmの条件で塗布し、120℃60秒の条件で加熱した。それによりレジストパターンが酸化タングステン膜に覆われた膜が形成された。
【0070】
酸化タングステン膜形成後のウエハをドライエッチャーNE−5000N(製品名、株式会社アルバック製)を用い、CF/O混合ガスを用いて、CFガス流量7.5sccm、Oガス流量42.5sccm、アンテナパワー100W、バイアスパワー100Wの条件で20秒間エッチングした。この処理によりレジストパターン上部に存在する酸化タングステン膜はエッチングで除去された。
【0071】
得られたウエハを、Oガス流量50sccm、アンテナパワー100W、バイアスパワー100Wの条件でさらに20秒間エッチングした。この処理によりレジストパターンの全てが除去され、タングステン酸化物からなる、高さ300nm、ライン幅200nm、ピッチ1:1のライン・アンド・スペースパターンを得た。なお、比較例42では、二酸化ケイ素からなる高さ、200nm、ライン幅200nm、ピッチ1:1のライン・アンド・スペースパターンを得た。
【0072】
タングステン酸化物からなるライン・アンド。スペースを形成した後のウエハを、をCFガス流量50sccm、アンテナパワー100W、バイアスパワー100Wの条件で40秒間エッチングした。この処理により、タングステン酸化物のパターンはウエハに直接転写された。
【0073】
このような画像反転三層構造の形成の過程において、以下の項目について評価した。
塗布性
酸化タングステン膜形成用組成物をレジストパターンの表面上に塗布した際の塗布性を評価した。評価基準は以下の通りであった。
A: 連続した膜を得ることができた。
B: 若干の結晶化が認められた。
C1: 結晶化が認められ、膜が連続して得られなかった(実用性許容範囲外)。
C2: 多数の欠陥が膜に出現した(実用性許容範囲外)。
【0074】
パターン形状
タングステン酸化物からなるライン・アンド・スペースの断面形状を観察した。評価基準は以下の通りであった。
A: 矩形性のよいタングステン酸化物のライン・アンド・スペースパターンが得られた。
B: 何らかのタングステン酸化物のライン・アンド・スペースパターンが得られた。
C: 凹凸が大きく、ライン・アンド・スペースパターンが全く得られなかった(実用性許容範囲外)。
【0075】
パターン中のボイド有無
タングステン酸化物からなるライン・アンド・スペース中にボイドが存在するかどうかを評価した。評価基準は以下の通りであった。
A: タングステン酸化物のライン・アンド・スペースパターン中にボイドが全く認められなかった。
B: タングステン酸化物のライン・アンド・スペースパターン中にボイドが少数認められた。
C: ラタングステン酸化物のライン・アンド・スペースパターン中にボイドが多数認められた(実用性許容範囲外)。
【0076】
ウエハへの転写性
タングステン酸化物からなるパターンをドライエッチングによりリコンウエハに転写する際の転写性を評価した。評価基準は以下の通りであった。
A: シリコンウエハにシリコンからなる矩形性に優れたライン・アンド・スペースパターンが得られた。
B: シリコンウエハにシリコンからなるライン・アンド・スペースパターンが得られたが、矩形性が若干乏しい。
C: シリコンウエハにシリコンからなるライン・アンド・スペースパターンが得られなかった(実用性許容範囲外)。
【0077】
(3)酸化タングステン膜のレジスト下層膜としての利用
酸化タングステン膜形成用組成物をコーターデベロッパーMark8(製品名、東京エレクトロン株式会社製)を用い、3000rpmの条件で8インチシリコンウエハに塗布し、250℃ 300秒でベーキング処理した。この処理によりウエハ表面に厚さ54nmの酸化タングステン膜を形成させた。
【0078】
このウエハ表面に、コーターデベロッパーを用いてAZ DX6270P(製品名、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製)を3300rpmの条件で塗布し、120℃60秒でソフトベーキング処理をして厚さ350nmのレジスト膜を形成させた。
【0079】
レジスト膜を形成させたウエハを、KrFエキシマーレーザーステッパーFPA3000(製品名、キャノン株式会社製)を用い、波長248nmの放射線で、10mJの露光量で露光した。露光後のウエハをコーターデベロッパーにて130℃60秒の条件でポストベーキング処理し、さらに2.38%TMAHを用いて60秒間現像した。この処理によってレジストからなる、ライン幅200nm、ピッチ1:1のライン・アンド・スペースパターンを形成させた。
【0080】
そのウエハをCFガス流量50sccm、アンテナパワー100W、バイアスパワー100Wの条件で20秒間エッチングし、レジストパターンを酸化タングステン膜に転写させたのち、Oガス流量50sccm、アンテナパワー100W、バイアスパワー100Wの条件で20秒間エッチングし、残留していたレジストパターンを除去した。
さらにCFガス流量50sccm、アンテナパワー100W、バイアスパワー100Wの条件で20秒間エッチングを行い、酸化タングステンのパターンをウエハに転写した。
このようなパターン形成において、以下の項目について評価した。
【0081】
塗布性
酸化タングステン膜形成用組成物をシリコンウエハの表面上に塗布した際の塗布性を評価した。評価基準は以下の通りであった。
A: 連続した膜を得ることができた。
B: 若干の膜の不連続性または若干の結晶化または欠陥が認められた。
C1: 塗布時に組成物が振り切られて塗布できなかった(実用性許容範囲外)。
C2: 多数の結晶または欠陥が膜に出現した(実用性許容範囲外)。
C3: 塗布後の膜が凝集して膜の不連続性が認められた(実用性許容範囲外)。
【0082】
エッチング後のボイド有無
タングステン酸化物からなる膜中にボイドが存在するかどうかを評価した。評価基準は以下の通りであった。
A: タングステン酸化物からなる膜中にボイドが全く認められなかった。
B: タングステン酸化物からなる膜中にボイドが少数認められた。
C: タングステン酸化物からなる膜中にボイドが多数認められた(実用性許容範囲外)。
【0083】
ウエハへの転写性
タングステン酸化物からなるパターンをドライエッチングによりリコンウエハに転写する際の転写性を評価した。評価基準は以下の通りであった。
A: シリコンウエハにシリコンからなる矩形性に優れたライン・アンド・スペースパターンが得られた。
B: シリコンウエハにシリコンからなるライン・アンド・スペースパターンが得られたが、矩形性が若干乏しい。
C: シリコンウエハにシリコンからなるライン・アンド・スペースパターンが得られなかった(実用性許容範囲外)。
【0084】
(4)酸化タングステン膜のレジスト上層保護膜としての利用
コーターデベロッパーMark8(製品名、東京エレクトロン株式会社製)を用いて8インチウエハに下層反射防止膜形成用組成物KrF17B(製品名、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製)を2377rpmの条件で塗布し、180℃60秒でベーキング処理を施して厚さ80nmの下層反射防止膜を形成させた。
【0085】
下層反射防止膜が形成されたウエハ表面に、コーターデベロッパーを用いてレジスト組成物AZ DX6270P(製品名、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製)を3300rpmの条件で塗布し、120℃60秒でソフトベーキング処理を施して、厚さ350nmのレジスト膜を形成させた。
【0086】
レジスト膜を形成させたウエハ表面に、酸化タングステン膜形成用組成物をコーターデベロッパーを用いて3000rpmの条件で塗布し、120℃60秒の条件で加熱した。
【0087】
酸化タングステン膜を形成させたウエハを、KrFエキシマーレーザーステッパーFPA3000(製品名、キャノン株式会社製)を用い、波長248nmの放射線で、39mJの露光量で露光した。露光後のウエハをコーターデベロッパーにて130℃60秒の条件でポストベーキング処理し、さらに2.38%TMAHを用いて60秒間現像した。この処理によってライン幅200nm、ピッチ1:1のライン・アンド・スペースパターンを形成させた。
【0088】
このようなレジスト上層保護膜の形成の過程において、以下の項目について評価した。
塗布性
酸化タングステン膜形成用組成物をレジストパターンの表面上に塗布した際の塗布性を評価した。評価基準は以下の通りであった。
A: 連続した膜を得ることができた。
B: 若干の結晶化か認められた。
C1: 結晶化が認められ、膜が連続して得られなかった(実用性許容範囲外)。
C2: 多数の欠陥が膜に出現した(実用性許容範囲外)。
【0089】
剥離性
パターン形成後に、レジスト膜の上側に形成された酸化タングステン膜を脱イオン水で洗浄した場合の剥離性を評価した。評価基準は以下の通りであった。
A: レジスト膜上に形成された酸化タングステン膜が脱イオン水により迅速かつ完全に除去できた。
B: レジスト膜上に形成された酸化タングステン膜が脱イオン水により完全に除去できた。
C: レジスト膜上に形成された酸化タングステン膜が脱イオン水により除去できなかった(実用性許容範囲外)。
【0090】
得られた結果は表2に示す通りであった。
【表2】
表中「−」は未評価であることを示す。
【符号の説明】
【0091】
1 基板
2 ハードマスク
3 レジストパターン
4 ハードマスク
図1