【実施例1】
【0013】
以下、本発明の電波伝搬路表示板および電波伝搬路確認方法の実施例について、図面を参照して説明する。
本発明の第1の実施例による電波伝搬路表示板10は、左方向から入射角50°で入射する電波を右方向に反射角50°で反射させる反射板2に使用するものであり、
図1に示すように板状の本体11と2個のL型固定金具12とを具備する。
【0014】
ここで、本体11は、アルミ製であり、直方体状の形状を有する。
本体11を
表面から見て左右均等に分割する中心線上には、本体11の表面から裏面まで貫通する細長い中心線孔11
Cが形成されている。
本体11の中心線孔11
Cの左側には、本体11の表面から裏面まで貫通する細長い左側方向表示孔11
L(電波の入射方向を特定するための方向表示孔)が、中心線孔11
Cとのなす角が50°となるように形成されている。また、本体11の中心線孔11
Cの右側には、本体11の表面から裏面まで貫通する細長い右側方向表示孔11
R(電波の反射方向を特定するための方向表示孔)が、中心線孔11
Cとのなす角が50°となるように、かつ、中心線孔11
Cを対象軸としたときに左側方向表示孔11
Lと線対象となる位置に形成されている。
左側および右側方向表示孔11
L,11
Rは、中心線孔11
Cと同じ大きさおよび形状を有する。
【0015】
2個のL型固定金具12は、本体11の左側面および右側面(本体11を
表面から見たときの左側および右側の側面)に、L型固定金具12で電波伝搬路表示板10を後述するように反射板2の反射面に取り付ける際に反射板2の反射面と接触させる面(以下、「取付面」と称する。)が本体11の下側面(本体11を
表面から見たときの
下側の面)と同一平面上にくるように、取付用ボルトでそれぞれ取り付けられている。
【0016】
次に、電波伝搬路表示板10を用いて電波伝搬方向を特定して障害物確認作業を行う方法について、
図2を参照して説明する。
なお、電波は、
図2図示紙面手前方向から反射板2に入射角50°で入射したのち、反射板2で反射角50°で同図図示紙面裏側に向けて反射されるものとする。また、電波伝搬路表示板10は、鉄構1に固定された反射板2の反射面の下端部に2個のL型固定金物12の取付面を当接させたのち、L型固定金物12に形成された取付用ボルト孔(
図1の破線参照)に取付用ボルトを通して予め取り付けられているものとする。
【0017】
作業員は、鉄構1に昇ったのち、
図2に矢印Aで示すように反射板2の上方から電波伝搬路表示板10を見て、左側方向表示孔11
Lの長手方向に沿って遠くを見ることにより、左側方向表示孔11
Lの長手方向(すなわち、電波の入射方向)に障害物がないかを目視で確認する。
その後、作業員は、右側方向表示孔11
Rの長手方向に沿って遠くを見ることにより、右側方向表示孔11
Rの長手方向(すなわち、電波の反射方向)に障害物がないかを目視で確認する。
これにより、作業員は、電波伝搬方向を特定して障害物確認作業を容易に行うことができる。
【0018】
また、左側および右側方向表示孔11
L,11
Rは本体11の表面から裏面まで貫通しているため、たとえば巡視時には、作業員は、鉄構1に昇らなくても、
図2に矢印Bで示すように地上から電波伝搬路表示板10を見て左側および右側方向表示孔11
L,11
Rを参照して電波伝搬方向を特定することにより、同様にして障害物確認作業を行うことができる。
【0019】
以上の説明では、電波伝搬路表示板10を反射板2に取り付けるのに2個のL型固定金具12を用いたが、
図3(a),(b)に示す電波伝搬路表示板20のように、板状の取付板22を本体21の下端部に本体21の表面に対して垂直に取り付けてもよい。
この場合には、取付板22に取付用ボルト孔(
図3(a),(b)の破線参照)を所定数(たとえば、左右2個ずつ)形成する。
【0020】
また、電波伝搬路表示板10を反射板2の反射面に取り付けたが、
図4に電波伝搬路表示板20について示すように、表示板取付部材3の上端部を、反射板2を固定している鉄構1の反射板固定部の下端部に、かつ、電波伝搬路表示板20が取り付けられる面が反射板2の反射面と平行となるように固定して、取付板22に形成された取付用ボルト孔に取付用ボルトを通して取り付けるようにしてもよい。
【0021】
この場合には、作業員は、鉄構1に昇ったのち、
図4に矢印Aで示すように鉄構1の反射板固定部の上方から電波伝搬路表示板20を見て左側および右側方向表示孔21
L,21
Rを参照して電波伝搬方向を特定することにより、障害物確認作業を行う。
また、作業員は、たとえば巡視時には、鉄構1に昇らなくても、
図4に矢印Bで示すように地上から電波伝搬路表示板20を見て左側および右側方向表示孔21
L,21
Rを参照して電波伝搬方向を特定することにより、障害物確認作業を行う。
【実施例2】
【0022】
次に、本発明の第2の実施例による電波伝搬路表示板30について、
図5および
図6を参照して説明する。
本実施例による電波伝搬路表示板30は、
図5(a),(b)に示すように、4個のU型金物33が本体31の左側および右側方向表示孔31
L,31
Rの先端部および末端部にその両端が本体31の表面側にくるようにそれぞれ取り付けられている点で、上述した第1の実施例による電波伝搬路表示板10,20と異なる。
【0023】
ここで、左側方向表示孔31
Lの先端部および末端部にそれぞれ取り付けられている2個のU型金物33は、左側方向表示孔31
Lの長手方向(
図5(b)の紙面手前から紙面裏側に向かう方向)に沿って見ると、本体31の裏面とU型金物33とで形成される開口部33aが重なり合うように取り付けられている。
同様に、右側方向表示孔31
Rの先端部および末端部にそれぞれ取り付けられている2個のU型金物33は、右側方向表示孔31
Rの長手方向に沿って見ると本体31の裏面とU型金物33とで形成される開口部33aが重なり合うように取り付けられている。
【0024】
これにより、
図6に示すように電波伝搬路表示板30を反射板2の反射面に取り付けると、作業員は、上述した電波伝搬路表示板10と同様に、同図に矢印A,Bで示すように反射板2の上方および下方から電波伝搬路表示板30を見て左側および右側方向表示孔31
L,31
Rを参照して電波伝搬方向を特定することにより、障害物確認作業を行うことができる。
【0025】
また、作業員は、鉄構1を途中まで昇って、
図6に矢印Cで示すように電波伝搬路表示板30を後方(水平方向)から見て4個のU型金物33を参照して電波伝搬方向を特定することにより、障害物確認作業を行うことができる。
すなわち、作業員は、鉄構1を途中まで昇って、左側方向表示孔31
Lの先端部および末端部に取り付けられた2個のU型金物33の開口部33aを互いに重なり合うように見ることにより、電波の入射方向を特定して、特定した電波の入射方向に障害物がないかを目視で確認することができる。
また、作業員は、右側方向表示孔31
Rの先端部および末端部に取り付けられた2個のU型金物33の開口部33aを互いに重なり合うように見ることにより、電波の反射方向を特定して、特定した電波の反射方向に障害物がないかを目視で確認することができる。
【0026】
なお、電波伝搬路表示板30においても、
図5(a)に示す2個のL型固定金物32の代わりに、
図3(a),(b)に示した取付板22を用いてもよい。
【0027】
以上の説明では、本体11,21,31に中心線孔11
C,21
C,31
Cを形成したが、小さい入射角(たとえば、20°など)で入射する電波を反射させる反射板に使用する場合には、左側方向表示孔11
L,21
L,31
Lと右側方向表示孔11
R,21
R,31
Rとのなす角度も小さくなるため(たとえば、40°など)、本体11,21,31に中心線孔11
C,21
C,31
Cを形成するスペースがなくなるので、中心線孔11
C,21
C,31
Cを形成しなくてもよい。