特許第5889811号(P5889811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5889811
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】鉄道車両
(51)【国際特許分類】
   B61D 27/00 20060101AFI20160308BHJP
【FI】
   B61D27/00 N
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-12506(P2013-12506)
(22)【出願日】2013年1月25日
(65)【公開番号】特開2014-144654(P2014-144654A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2014年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000163372
【氏名又は名称】近畿車輌株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 祝夫
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−146164(JP,A)
【文献】 特公昭57−016294(JP,B2)
【文献】 特開平11−268642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 27/00
F24F 3/00
F24F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調機から吹き出された気体が流れる主流路、及び前記空調機から吹き出された気体が流れる方向について前記空調機の下流で前記主流路から分岐し、客室に通じる分岐路を有すると共に、前記主流路における前記分岐路の上流端付近である分岐部に、前記主流路と客室外に設けられた通路とを連通させる開口が形成された空調ダクトと、
前記分岐部に配置されていると共に、前記空調機からの風量が一定であるという条件下において前記分岐路に流れ込む風量を調整する方向へ移動する第1移動部材と、
前記開口の開閉度を調整可能な開閉調整部材とを備えており、
前記第1移動部材及び前記開閉調整部材が一体になって移動し、
前記第1移動部材及び前記開閉調整部材は、第1の位置と、前記第1の位置にあるときよりも前記分岐路に流れ込む風量が多く且つ前記開口の開度が小さくなる第2の位置とを選択的に取り得ることを特徴とする鉄道車両。
【請求項2】
前記第1移動部材及び前記開閉調整部材が前記第1の位置にあるときに、前記主流路において前記開口より下流で、前記主流路の延在方向に交差する方向に延在した第1交差部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両。
【請求項3】
前記第1交差部材は、前記第1移動部材及び前記開閉調整部材と一体になって移動し、前記第の位置にあるときよりも前記第の位置にあるときの方が前記開口に近い位置に配置されることを特徴とする請求項2に記載の鉄道車両。
【請求項4】
前記気体の流れ方向について前記開口と同じ位置又は前記開口より上流において、前記開口を含む面に対して交差する方向に延在した第2交差部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調機が搭載された鉄道車両に関する。
【背景技術】
【0002】
客室が設けられた車両として、空調機と、空調機から吹き出された気体を客室へ送る空調ダクトとを備えたものが知られている(特許文献1等)。特許文献1では、空調ダクトが複数に分岐し、各分岐ダクトの先に異なる客室が配置されている。このような構成から、上記車両では、1台の空調機から複数の客室へ風を送ることができる。
【0003】
また、空調ダクトの分岐部にはダンパーが設けられている。ダンパーを作動させることにより各分岐路へ流れる風量を調整することで、各客室の給気量を変えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−16542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した構成では、1台の空調機から吹き出された空気が各客室へ分配されることから、第1の客室の給気量を少なくすると、他の客室の給気量が多くなる。このように、第1の客室の空調を変化させると、他の客室では風量の調整を行っていないにも係わらず給気量が変化する。
【0006】
そこで、本発明の目的は、特定の客室の給気量を変化させても、他の客室の給気量が変化することを抑止する鉄道車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の鉄道車両は、空調機から吹き出された気体が流れる主流路、及び前記空調機から吹き出された気体が流れる方向について前記空調機の下流で前記主流路から分岐し、客室に通じる分岐路を有すると共に、前記主流路における前記分岐路の上流端付近である分岐部に、前記主流路と客室外に設けられた通路とを連通させる開口が形成された空調ダクトと、前記分岐部に配置されていると共に、前記空調機からの風量が一定であるという条件下において前記分岐路に流れ込む風量を調整する方向へ移動する第1移動部材と、前記開口の開閉度を調整可能な開閉調整部材とを備えている。そして、前記第1移動部材及び前記開閉調整部材が一体になって移動し、前記第1移動部材及び前記開閉調整部材は、第1の位置と、前記第1の位置にあるときよりも前記分岐路に流れ込む風量が多く且つ前記開口の開度が小さくなる第2の位置とを選択的に取り得る。
【0008】
上記構成では、空調機から吹き出される気体は、空調ダクトの主流路や分岐路を通過して主流路の先にある客室及び分岐路の先にある他の客室に送られる。
そして、第1移動部材及び開閉調整部材が第2の位置から第1の位置へ移動すると、第2の位置よりも分岐路に流れ込む風量が減少する一方で、分岐部から主流路に流れる風量が増加する。しかし、分岐部に形成された開口の開度が増加しているので、主流路に流れた風は、第2の位置よりも開口から排出されやすい。このため、主流路の先に流れる風量が増加するのを抑えることができる。よって、分岐路の先にある特定の客室の給気量を減少させても、主流路の先にある他の客室の給気量が増加するのを抑止できる。
また、第1移動部材及び開閉調整部材が第1の位置から第2の位置へ移動すると、第1の位置よりも分岐路に流れ込む風量が増加する一方で、分岐部から主流路に流れる風量が減少する。しかし、第1の位置よりも開口の開度が減少しているので、開口から排出される風量が減少する。このため、主流路の先に流れ込む風量が減少することを抑止できる。よって、分岐路の先にある特定の客室の給気量を増加させても、主流路の先にある他の客室の給気量が減少するのを抑止できる。
このように、上記構成では、特定の客室の給気量を変化させても、他の客室の給気量が変化することを抑止することができる。
【0009】
また、本発明では、前記第1移動部材及び前記開閉調整部材が前記第1の位置にあるときに、前記主流路において前記開口より下流で、前記主流路の延在方向に交差する方向に延在した第1交差部材をさらに備えていることが好ましい。
【0010】
上記構成によると、第1交差部材によって分岐部から主流路に流れた風が開口から排出されやすくなるため、分岐路から主流路へ流れ込む風量が増加しても、主流路の先にある客室の給気量が増加することを効果的に抑止できる。
【0011】
さらに、上記構成において、前記第1交差部材は、前記第1移動部材及び前記開閉調整部材と一体になって移動し、前記第の位置にあるときよりも前記第の位置にあるときのほうが前記開口に近い位置に配置されることが好ましい。第1交差部材が開口に近付くことにより、分岐部から主流路に流れた風が開口からより排出されやすくなる。よって、主流路の先にある客室の給気量が増加することをより効果的に抑止できる。
【0012】
加えて、本発明では、前記気体の流れ方向について前記開口と同じ位置又は前記開口より上流において前記開口を含む面に対して交差する方向に延在した第2交差部材をさらに備えていることが好ましい。
【0013】
上記構成によると、第2交差部材によって空調機から吹き出される風が開口に向かって流れやすくなるため、風を開口から排出しやすい。これにより、分岐路から主流路へ流れ込む風量が増加しても、主流路の先にある客室の給気量が増加することをより効果的に抑止できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、第1移動部材及び開閉調整部材を第1の位置と第2の位置とのいずれかに選択的に配置させることにより、分岐路に流れる風量を減少させた場合は、分岐部から主流路に流れ込む風量が増加するが、開口からの排出量が増加するため、主流路の先に流れる風量を減少させることができる。一方、分岐路に流れる風量を増加させた場合は、分岐部から主流路に流れ込む風量が減少するが、開口からの排出量が減少するため、主流路の先に流れる風量が減少するのを抑えることができる。よって、分岐路の先にある客室の給気量を変化させても、主流路の先にある他の客室の給気量が変化するのを抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係る鉄道車両の概略側面図である。
図2】車両の内部を示す模式図であり、(a)は側面図、(b)は(a)のIIb−IIb線に沿った図、(c)は(b)のIIc−IIc線に沿った図である。
図3】分岐部Bの拡大図であり、(a)は定位置の状態を示し、(b)は狭位置の状態を示している。
図4】(a),(b)は定位置の状態であり、(c),(d)は狭位置の状態である。
図5】第2実施形態の分岐部Bの拡大図であり、(a)は定位置の状態を示し、(b)は狭位置の状態を示している。
図6】第3実施形態の分岐部Bの拡大図であり、(a),(b)は定位置の状態であり、(c),(d)は狭位置の状態である。
図7】第4実施形態の分岐部Bの拡大図であり、(a),(b)は定位置の状態であり、(c),(d)は狭位置の状態である。
図8】変形例の分岐部Bの拡大図であり、(a)は定位置の状態であり、(b)は狭位置の状態である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
ここでは、本発明の第1実施形態である鉄道車両について、図1図4を参照しつつ以下に説明する。
【0018】
〔第1実施形態〕
(鉄道車両の全体構成)
鉄道車両100は、図1に示すように、車両本体1と、車両本体1の下部に取り付けられた台車2とを備えている。車両本体1は、進行方向に長尺な直方体状に形成されている。
【0019】
車両本体1内には、図1,2に示すように、客室11,12,13が前方から順に設けられている。また、客室11,12,13の右側には、図2(b),(c)に示すように、通路(廊下)14が設けられている。客室11には、客室11内の空調を制御可能なコントローラ11cが配置され、コントローラ11cは後述するダンパー機構40に接続されている(図3参照)。
【0020】
また、天井板15上には、図2に示すように、空間(天井部16)が形成され、天井部16には、空調機20及び空調ダクト30が配置されている。空調機20は、車両本体1の先端部に配置されており、後方に向かって冷風や温風を吹き出す。空調ダクト30は、空調機20の後方に配置され、図2(b)に示すように、空調機20の吹出口20a近傍から後方に向かって延在した主流路31と、主流路31から分岐した3つの分岐路32,33,34とを有している。
【0021】
主流路31は、図2(b)に示すように、通路14の上方に配置されている。3つの分岐路32,33,34は、上流からこれらの順に、互いに異なる位置で主流路31から分岐している。また、分岐路32,33,34は、それぞれ、主流路31から斜め後方に傾斜した傾斜部32A,33A,34Aと、略L字状のL字型部32B,33B,34Bとを有している。L字型部32B,33B,34Bは、それぞれ、客室11,12,13の上方に配置されている。
【0022】
傾斜部32A,33A,34Aは、分岐路32,33,34の上流端部及び後述する第1移動板41によって形成されている(図3参照)。傾斜部32A,33A,34Aを設けることにより、主流路31を流れる空気が分岐路32,33,34へ流れやすくなる。
【0023】
L字型部32B,33B,34Bは、主流路31から離れるように車両本体1の幅方向に延在した領域と、その先端に接続され、前後方向に延在した領域とから構成されている。前後方向に延在した領域の底面には、複数の孔32c,33c,34cが形成されている。また、天井板15において複数の孔32c,33c,34cに対向する部分には開口が形成されている。
【0024】
上記構成から、空調機20から吹き出された気体は、主流路31を通過して、分岐路32,33,34に流れ、分岐路32,33,34の孔32c,33c,34cから客室11,12,13に送られる。このように、本実施形態では、1台の空調機20から3部屋の客室11,12,13に風が送られる。
【0025】
次に、主流路31における分岐路32の分岐部B周辺の構成を、図3,4を参照しつつ説明する。ここで、「分岐部B」とは、主流路31における分岐路32の上流端付近である。また、図4(a)は図3(a)のIVa-IVa線に沿った断面図であり、図4(b)は図3(a)のIVb-IVb線に沿った断面図であり、図4(c)は図3(b)のIVc-IVc線に沿った断面図であり、図4(d)は図3(b)のIVd-IVd線に沿った断面図である。そして、以下においては、空調機20から吹き出された気体が流れる方向について空調機20に近い側を上流と呼び、空調機20に遠い側を下流と呼ぶ。
【0026】
(ダンパー機構)
分岐部B周辺には、ダンパー機構40が配置されている。ダンパー機構40は、分岐路32の上流端付近で揺動する第1移動板41と、主流路31の底面に形成された開口42と、開口42の開閉度を調整可能な底板43とを有している。ダンパー機構40は、図2に示す客室11のコントローラ11cを操作することによって作動する。具体的には、コントローラ11cを操作すると、これに接続されたモータ駆動回路がモータを駆動させる。モータのエネルギーは伝達機構(ギア等)を介してダンパー機構40に伝達され、ダンパー機構40が作動する。
【0027】
<第1移動板>
第1移動板(第1移動部材)41は、略矩形状の板状の部材であり、上下方向に立設して配置されている。第1移動板41は、主流路31と分岐路32との境界付近に設けられた軸50を中心に揺動し、これにより、i)第1移動板41が軸50から上流に延在しつつ主流路31に対して傾斜して配置される定位置(第2の位置)と(図3(a)参照)、ii) 第1移動板41が分岐路32に対して直交して配置される狭位置(第1の位置)と(図3(b)参照)に選択的に配置される。
【0028】
第1移動板41が定位置から狭位置に移動すると分岐路32の入口の開度が減少し、狭位置から定位置に移動すると分岐路32の入口の開度が増加する。このため、分岐路32へ流れ込む風の通過面積は、定位置の状態の方が狭位置の状態よりも大きい(図4(b),(d)の「定位置での風の通過面積Sf1」>「狭位置での風の通過面積Sn1」参照)。従って、第1移動板41を定位置から狭位置へ移動すると分岐路32へ流れ込む風量が減少し、第1移動板41を狭位置から定位置へ移動すると分岐路32へ流れ込む風量が増加する。
【0029】
<開口>
開口42は、略扇状に形成され、風の流れる方向について軸50と略同じ位置に形成されている。また、天井板15において、開口42に対向する部分には、図4に示すように、開口15aが形成されている。これにより、開口42が開放した状態では、主流路31とその下方の通路14とが連通する。
【0030】
<底板>
底板(開閉調整部材)43は、略矩形状に形成され、平面が主流路31の底面に沿うように配置されている。また、底板43は、短辺部が第1移動板41の長手方向に延在するように配置されている。底板43は、第1移動板41の下端部に固定されており、第1移動板41の揺動に伴って軸50を中心に揺動することにより、i)開口42を閉じる定位置(第2の位置)と、ii)開口42を閉じない狭位置(第1の位置)とに選択的に配置される。このように、底板43を定位置から狭位置に移動すると開口42の開度が増加し、狭位置から定位置に移動すると開口42の開度が減少する。また、底板43の他方の短辺(第1移動板41と反対側の短辺)は、開口42の外径に沿った湾曲状となっている。
【0031】
上記構成から、ダンパー機構40では、軸50が回転することにより第1移動板41及び底板43が定位置から狭位置に移動すると、分岐路32へ流れ込む風量が少なくなるとともに開口42の開度が大きくなる。一方、第1移動板41及び底板43が狭位置から定位置に移動すると、分岐路32へ流れ込む風量が多くなるとともに開口42の開度が小さくなる。
【0032】
また、図2(b)に示す分岐路33の分岐部Cにも、ダンパー機構40と同様なダンパー機構が配置されている。分岐部Cのダンパー機構は、図2に示す客室12のコントローラ12cを操作することにより作動する。なお、「分岐部C」とは、主流路31における分岐路33の上流端付近である。
【0033】
続いて、ダンパー機構により、客室11の給気量を変える操作を説明する。
【0034】
先ず、客室11の給気量を減少させる場合について説明する。
【0035】
客室11のコントローラ11cを操作すると、第1移動板41及び底板43が定位置から狭位置へ移動することにより、分岐路32に流れ込む風量が少なくなる。その一方で、分岐部Bから主流路31に流れ込む風量が増加するが、開口42は開状態となっているため、主流路31に流れ込んだ風の一部は開口42から通路14へ排出され、その他の風は主流路31の先の分岐路33,34に流れる。したがって、分岐路33,34の先の客室12,13に送られる風量は、分岐部Bから主流路31に流れ込んだ全風量より減少している。
【0036】
次に、客室11の給気量を増加させる場合について説明する。
【0037】
客室11のコントローラ11cを操作すると、第1移動板41及び底板43が狭位置から定位置へ移動することにより、分岐路32に流れ込む風量が増加する。その一方で、分岐部Bから主流路31に流れ込む風量が減少するが、開口42が閉状態となっているため、主流路31に流れ込んだ風は全て分岐路33,34に流れ込み、その先にある客室12,13へ送られる。
【0038】
したがって、狭位置と定位置とでは、客室11に送られる風量が異なるが、客室12,13に送られる風量は殆ど変わらない。
【0039】
また、図2に示す客室12のコントローラ12cを操作すると、分岐部Cに配置されたダンパー機構が上述と同様な動作を行う。これにより、客室12の給気量を変えても客室13の給気量が変化することを抑止できる。
【0040】
以上に述べたように、本実施形態の鉄道車両100によると以下の効果を奏する。第1移動板41及び底板43が定位置から狭位置へ移動すると、定位置よりも分岐路32に流れ込む風量が減少する一方で、分岐部Bから主流路31に流れる風量が増加する。しかし、主流路31に流れた風の一部は分岐部Bの開口42から通路14に流れるため、主流路31の先にある分岐路33,34に流れ込む風量が増加するのを抑えることができる。よって、分岐路32の先にある客室11の給気量を減少させても、分岐路33,34の先にある客室12,13の給気量が増加するのを抑止できる。
【0041】
また、第1移動板41及び底板43が狭位置から定位置へ移動すると、狭位置の状態よりも、分岐路32に流れ込む風量が増加する一方で、分岐部Bから主流路31に流れる風量が減少する。しかし、分岐部Bの開口42が底板43によって閉じられているため、分岐部Bから主流路31に流れ込んだ風は全て分岐路33,34へ流れる。よって、分岐路32の先にある客室11の給気量を増加させても、分岐路33,34の先にある客室12,13の給気量が減少するのを抑止できる。
【0042】
このように、本実施形態では、客室11の給気量を変化させても、客室12,13の給気量が変化することを抑止できる。
【0043】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について、図5を参照しつつ説明する。第2実施形態において第1実施形態と異なる点は、開口242の位置及びダンパー機構240が第1交差板244を有していることである。なお、上述した第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用い、その説明を適宜省略する。
【0044】
(ダンパー機構)
ダンパー機構240は、図5に示すように、第1移動板41と、空調ダクト230の底面に形成された開口242と、開口242の開閉度を調整可能な底板43と、第1移動板41及び底板43と一体になって揺動する第1交差板(第1交差部材)244とを有している。
【0045】
<開口>
開口242は、略扇状に形成され、軸50及び第1交差板244より上流に形成されている。また、天井板15の開口242に対向する部分に開口が形成されている。これにより、開口242が開放した状態では、主流路231とその下方の通路14とが連通する。
【0046】
<底板>
底板(開閉調整部材)43は、長辺部が第1移動板41の長手方向に延在するように、また、短辺部が第1交差板244の長手方向に延在するように配置されており、第1移動板41及び第1交差板244に固定されている。
【0047】
<第1交差板>
第1交差板244は、上下方向に立設した板状の部材であり、主流路231に配置されている。第1移動板41と第1交差板244とのなす角は、軸50を中心に約90度となっている。また、水平断面において、第1交差板244の延在長さは、第1移動板41の延在長さより短い。
【0048】
第1交差板244は、軸50を中心に揺動することより、i)前後方向に対して斜め後方に傾斜して配置される定位置(第2の位置)と(図5(a)参照)、ii)前後方向に対して直交して配置される狭位置(第1の位置)と(図5(b)参照)に選択的に配置される。このように、第1交差板244は、前後方向(主流路231の延在方向)に対して交差する方向に延在する。
【0049】
図5(b)に示すように、第1交差板244を定位置から狭位置に移動すると、第1交差板244は定位置のときより開口242に近付く。一方、第1交差板244を狭位置から定位置に移動すると、図5(a)に示すように、第1交差板244は狭位置のときより開口242から遠ざかる。
【0050】
続いて、ダンパー機構により、客室11の給気量を変える操作を説明する。
【0051】
第1移動板41、底板43及び第1交差板244が定位置から狭位置へ移動すると(図5(b)参照)、分岐路32に流れ込む風量が減少することにより、その先にある客室11の給気量が減少する。その一方で、分岐部Bから主流路231に流れ込む風量が増加するが、主流路231に流れ込んだ風の一部は第1交差板244に衝突して開状態の開口242から排出され、その他の風が主流路231の先にある分岐路33,34に流れる。したがって、分岐路33,34の先にある客室12,13に送られる風量は、分岐部Bから主流路31に流れ込んだ全風量より減少している。
【0052】
これに対し、第1移動板41、底板43及び第1交差板244が狭位置から定位置へ移動すると(図5(a)参照)、分岐路32に流れ込む風量が増加することにより、その先にある客室11の給気量が増加する。その一方で、分岐部Bから主流路231に流れ込む風量が減少するが、開口242が閉状態となっているため、主流路231に流れ込んだ風は全て分岐路33,34に流れ込み、その先にある客室12,13へ送られる。
【0053】
したがって、狭位置では定位置よりも客室11の風量が減少するが、いずれの位置でも客室12,13の風量は殆ど変わらない。
【0054】
以上のように、第2実施形態においても第1実施形態と同様に、客室11の給気量を変化させても、客室12,13の給気量が変化することを抑止できる。また、狭位置では、定位置よりも第1交差部材が開口に近い位置に配置されるので、風を廊下へ排出しやすい。このため、主流路231の先に流れる風量をさらに減少させることができる。よって、その先にある客室12,13の給気量が増加することを効果的に抑止できる。
【0055】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について、図6を参照しつつ説明する。第3実施形態において第1実施形態と異なる点は、ダンパー機構340の第1移動板41に羽根345が取り付けられていることである。なお、上述した第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用い、その説明を適宜省略する。また、図6(b)は図6(a)のVIb-VIb線に沿った断面図であり、図6(d)は図6(c)のVId-VId線に沿った断面図である。
【0056】
羽根(第2交差部材)345は、図6に示すように、長手方向が第1移動板41に対して直交しており、水平な方向に延在した水平面345a及び水平面345aに直交した垂直面345bから構成されている(図6(b),(d)参照)。垂直面345bは、主流路31の底面に直交する方向に延在している。また、羽根345は第1移動板41及び底板43と共に揺動し、羽根345の下方には底板43が配置されている。
【0057】
図6(b)に示す狭位置の状態では、羽根345は、開口42の上流で、前後方向に直交して配置される。これにより、分岐部Bから主流路31に流れ込んだ風は、羽根345の垂直面345bによって主流路31の底面側を流れるため、底面に形成された開口42から排出されやすい。
【0058】
以上のように、第3実施形態においても第1実施形態と同様に、客室11の給気量を変化させても、客室12,13の給気量が変化することを抑止できる。また、狭位置では、分岐部Bから主流路31に流れ込んだ風が羽根345によって開口42から排出されやすいため、羽根345がない場合に比べて主流路31の先に流れる風量が減少する。よって、主流路31の先にある客室12,13の給気量が増加することを効果的に抑止できる。
【0059】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態について、図7を参照しつつ説明する。第4実施形態において第1実施形態と異なる点は、空調ダクト430において主流路431の天井に羽根460が取り付けられていることである。なお、上述した第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用い、その説明を適宜省略する。また、図7(b)は図7(a)のVIIb-VIIb線に沿った断面図であり、図7(d)は図7(c)のVIId-VIId線に沿った断面図である。
【0060】
羽根(第2交差部材)460は、図7(a),(c)に示すように、開口42の上流に配置され、長手方向が前後方向に直交している。また、羽根(第2交差部材)460は、図7(b),(d)に示すように、主流路431の天井から底面に向かって突出し、底面に直交する方向に延在している。
【0061】
分岐部Bから主流路31に流れ込んだ風は、図7(b),(d)に示すように、羽根460により主流路431の底面側を流れる。このため、図7(d)に示す狭位置では、分岐部Bから主流路31に流れ込んだ風が開口42から排出されやすい。
【0062】
以上のように、第4実施形態においても第1実施形態と同様に、客室11の給気量を変化させても、客室12,13の給気量が増加することを抑止できる。また、狭位置では、分岐部Bから主流路31に流れ込んだ風が羽根460によって開口42から排出されやすいため、羽根460がない場合に比べて主流路31の先に流れる風量が減少する。よって、主流路31の先にある客室12,13の給気量が増加することを効果的に抑止できる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。そして、本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0064】
例えば、ダンパー機構の第1移動板41、開口42,242、底板43、第1交差板244、羽根345,460及び軸50の形状や位置は、上述の実施形態に示す形状や位置に限られず、変更可能である。
【0065】
また、狭位置(第1の位置)及び定位置(第2の位置)は上述の実施形態に示す位置に限られず、変更可能である。例えば、図3に示す狭位置及び定位置の間に、第1の位置及び第2の位置を設定してもよい。
【0066】
さらに、上述の本実施形態では、狭位置(第1の位置)において開口42,242が閉状態となり、定位置(第2の位置)において開口42,242が開状態となるが、開口の開度は定位置より狭位置の方が小さいという条件を満たすと、閉状態又は開状態のいずれかに限られない。例えば、狭位置及び定位置において、開口の一部が開となってもよい。
【0067】
また、第2実施形態では、第1交差板244が底板43に固定され、第1移動板41及び底板43と一体になって揺動するが、第1交差板244は第1移動板41及び底板43と一体になって揺動しなくてもよい。例えば、第1交差板244が主流路231の延在方向に交差(直行又は傾斜)するように空調ダクト230に固定され、揺動しない構成としてもよい。このような構成でも、分岐部から主流路231に流れた風を開口から排出しやすくすることができる。
【0068】
さらに、第2実施形態では、第1交差板244が狭位置(第1の位置)及び定位置(第2の位置)のいずれにおいても主流路231の延在方向に交差(直行又は傾斜)するが、狭位置のときにだけ第1交差板244が主流路231の延在方向に交差し、定位置のときは第1交差板244が主流路231の延在方向に延在してもよい。
【0069】
加えて、第2実施形態では、第1移動板41と第1交差板244とのなす角度が約90度であるが、これらのなす角度は変更可能である。例えば、図8に示すように、第1移動板41と第1交差板544とのなす角度を鈍角としてもよい。また、第1交差板544に第1移動板41と同じ長さのもの(水平断面の長さが同じもの)を用いてもよい。このような大きさの部材を用いることにより、分岐部から主流路231に流れた風が開口から排出されやすいため、主流路231の先にある客室12,13の給気量が増加することをより効果的に抑止できる。なお、図8では、第1移動板41だけが底板43に固定され、第1交差板44が底板43に固定されてないが、第1交差板44が底板43に固定されてもよい。また、第1交差板44が揺動せず、空調ダクトに固定されてもよい。
【0070】
また、第3実施形態及び第4実施形態では、狭位置において、羽根345,460が開口42の上流に配置されているが、羽根345,460を開口42の上方(風の流れる方向について開口42と同じ位置)に配置してもよい。
【0071】
さらに、第3実施形態では、羽根345の垂直面345bが空調ダクト30の底面に直交する方向に延在しているが、垂直面345bを底面に対して傾斜させてもよい。また、第4実施形態でも、羽根460が空調ダクト430の底面に直交する方向に突出しているが、羽根460を底面に対して傾斜させてもよい。
【0072】
加えて、上述の実施形態では、第1移動板41、底板43、第1交差板244が軸50を中心に揺動するが、揺動に限られず、平行移動してもよく、回転してもよい。
【0073】
また、第2実施形態の空調ダクトに、第3実施形態の羽根345や第4実施形態の羽根460を取り付けてもよい。これにより、狭位置において、分岐路32,33の給気量が増加することをより効果的に抑止できる。
【0074】
さらに、上述の実施形態では、空調ダクト30の主流路31から3つの分岐路32,33,34が分岐し、1台の空調機20から3部屋の客室11,12,13へ風が送られる構成となっているが、分岐路の数は3つに限られない。例えば、空調ダクトの主流路から2つの分岐路が分岐し、1台の空調機から2部屋の客室へ風が送られる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 車両本体
11,12,13 客室
14 通路
30,230,430 空調ダクト
31,231,431 主流路
32,33,34 分岐路
41 第1移動板(第1移動部材)
42,242 開口
43 底板(開閉調整部材)
50 軸
100 鉄道車両
244,544 第1交差板(第1交差部材)
345,460 羽根(第2交差部材)
B,C 分岐部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8